JP2010054457A5 - - Google Patents

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水分検出装置、生体中水分検出装置、自然産物中水分検出装置、および製品・材料中水分検出装置
本発明は、水分検出装置、生体中水分検出装置、自然産物中水分検出装置、および製品・材料中水分検出装置に関し、より具体的には、冷却なしで近赤外域の長波長域にまで高い感度をもつ受光素子を用いた、水分検出装置、生体中水分検出装置、自然産物中水分検出装置、および製品・材料中水分検出装置に関するものである。
水分、生体成分、医薬品、環境関連物質等は、近赤外域に吸収帯を持つので、近赤外分光法は、非侵襲の分析法として注目され、研究および実用化が急速に進んでいる。また、昼夜を問わず地表に到達する宇宙光は、近赤外域に複数の発光帯を持つので、その地表物体からの反射光の撮像法が民生および軍事の用途に研究と実用化が進行している。上記の近赤外分光による分析では、出力信号に、必要な情報と、受光素子に起因する大きなノイズが含まれている。このため、センサ(受光素子)の性能向上に全面的に頼らずに、出力信号について必要な情報を抽出するために、分光学的方法またはケモメトリックスなどが重要な手法として用いられてきた。
上記センサ(受光素子)は、近赤外域では、電子管タイプと固体素子のフォトダイオード(PD)とに、大別される。このなかで、PDは、小型で、一次元アレイおよび二次元アレイなどの高集積化が容易なので、多くの研究開発が行われている。本発明は、PDを用いた水分検出装置を対象にする。現在、次のようなPD、またはPDアレイが用いられている。
(1)赤外域にまで受光感度を持ち、近赤外域にも受光感度をもつPD、またはそのアレイ。このようなフォトダイオードには、たとえばゲルマニウム(Ge)系PD、硫化鉛(PbS)系PD、HgCdTe系PD、またはその一次元アレイ、二次元アレイがある。
(2)InP系PD、そのInP系PDの範疇に入るInGaAs系PD、またはそのアレイ。これらは、近赤外域の波長1.7μm以下に受光感度を持つ。ここで、InP系PDとは、InP基板に形成されるIII−V族化合物半導体の受光層を含むPDをいい、InGaAs系PDも含まれる。
上記のフォトダイオードのうち、(1)は、ノイズを抑制するため冷却する場合が多く、たとえば液体窒素温度(77K)やペルチエ素子で稼動させるものが多い。このため民生用の装置としては大掛かりになり、ハンディ型やショルダー型のポータブル近赤外分光計、またはデジタルカメラ等には不適である。しかし、中には硫化鉛(PbS)のように、室温で稼動可能なセンサもある。ただし、硫化鉛を用いても、常温では受光可能な波長域が限定される。(2)一方、InP系PDの短所は、(I)InPに格子整合するInGaAsは暗電流が低いが、受光感度が近赤外域の1.7μm以下の波長域に限定されること、および(II)受光可能な波長域を2.6μmまで拡大したextended−InGaAsでは暗電流が大きく、冷却する必要があること、である。したがって、InP系PDでは、水の大きな吸収帯の1.9μm付近の光を用いることができないか、または用いるためにはセンサを冷却する必要がある。
これまでの水分検出において、どのような受光素子を用いているかを以下に示す。
(C1)常温で硫化鉛(PbS)を用いて、水の吸収帯のうち、波長1.8μm〜1.95μmの吸収帯を、水分含有率の測定に用いる方法が開示されている(特許文献1、2)。
(C2)赤外線撮像素子によって、波長1.2μm〜2μmの光によって画像を形成する方法が開示されている(特許文献3、4)。この方法では、赤外線撮像素子の内容は明記していないが、液体窒素またはペルチエ素子によって冷却されたPbS系PDの二次元アレイが用いられていると考えられる。
(C3)InGaAsPINフォトダイオードを用いた測定装置を用いたものもある(特許文献5、6)。また、使用する波長域からInGaAsPINフォトダイオードと推定される水分検出方法の提案もある(特許文献7)。
(C4)赤外線検出器にどのような素子を用いているか、明確な記述がないものも多い(特許文献8〜11)。この場合、赤外線センサまたは赤外線検出器という名称を受光部(赤外線を受けて電圧を発生する素子)に用いていること、および測定に用いる波長から、(C1)の硫化鉛またはそれに類似のものである可能性が高い。
InGaAsPINフォトダイオードについては、受光感度を近赤外の長波長側まで拡大する課題がある。しかし、受光感度を波長1.7μm以上に拡大した上で、ノイズや暗電流を抑制するという点で、まだ満足できる段階にいたっていない(非特許文献1、2、および特許文献12、13)。
T.Murakami, H.Takahashi, M.Nakayama, Y.Miura, K.Takemoto, D.Hara,"InxGa1-xAs/InAsyP1-y detector for near infrared(1-2.6μm)", Conference Proceedings of Indium Phosphide and Related Materials 1995, May, Sapporo, pp.528-531 R.Sidhu,"A Long-Wavelength Photodiode on InP Using Lattice-Matched GaInAs-GaAsSb Type-II Quantum Wells, IEEE Photonics Technology Letters, Vol.17, No.12(2005), pp.2715-2717 特開平6−86902号公報 特開2003−344279号公報 特開平5−34281号公報 特開2001−116689号公報 特開平8−86749号公報 特開2007−344279号公報 特開平11−9897号公報 特開平7−260680号公報 特開平7−159314号公報 特開2003−344278号公報 特開平10−118108号公報 特開平9−219563号公報 特開2001−144278号公報
液体窒素またはペルチエ素子による冷却が不要で、近赤外域の長波長側に受光感度を有する受光素子および受光素子アレイは、上記説明を省略した文献(特許文献11、12、非特許文献1,2)に示すように、いくつかの候補はある。しかし、結晶性の低さ、高い暗電流、製造の困難性等に阻まれ、実用上克服すべき困難な課題が多く、開発途上にある。このため、冷却機構を設けないフォトダイオードを用いた測定では、ノイズが多くなり、精度良く測定することが困難である。特に微量の水分量の検知において問題となる。
上記引用文献にあげた水分の分析方法において、受光素子自体の感度を問題にしたものはなく、すべて、水分が含まれている対象物の性状に応じて、どのような分析をするのがよいかという提案がなされている。しかしながら、受光素子自体の性能を向上させて、その性能向上の内容に応じて、検査対象物にとって適切な水分検出装置を得ることは、意義の高いことである。すなわち、冷却機構なしで暗電流を抑制したフォトダイオードを用いて近赤外分光が行えるようになれば、簡単に有用な情報を高感度で得ることができることになり、その多くの利用分野の発展を促すことができる。
本発明は、冷却機構なしで暗電流を減らし、受光感度を波長1.7μm以上に拡大したInP系フォトダイオードを用いて、水分を高感度で検出することができる水分検出装置、それを用いた、生体中水分検出装置、自然産物中水分検出装置、および製品・材料中水分検出装置を提供することを目的とする。
本発明の水分検出装置は、 III−V族半導体基板に形成され、pn接合を受光層に含むIII−V族半導体による受光素子またはその受光素子のアレイを備え、検査対象物の水分の検出装置である。この装置は、受光層がIII−V族半導体の多重量子井戸構造を有し、III−V族半導体基板と反対側の受光層の面に接して、III−V族半導体の拡散濃度分布調整層を備え、その拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギが、III−V族半導体基板のバンドギャップエネルギより小さく、pn接合は、不純物元素を受光層内に届くように選択拡散して形成したものであり、拡散濃度分布調整層内で選択拡散された不純物元素の濃度が前記受光層側に向かって5×10 16 /cm 以下にまで低下しており、受光層における不純物濃度が、5×1016/cm以下であり、検出装置は、検査対象物から反射された光のうち、第1波長域1.35μm以上1.8μm未満、第2波長域1.8μm以上2.0μm未満、および第3波長域2.5μm以上3.0μm未満の、3つの波長域のうち、少なくとも2つの波長域の光に対して感度を有しており、当該感度を有する波長域のうちの1つ以上の波長域の光を用いて、水分を検出することを特徴とする。
上記の構成によって、近赤外域に対応したバンドギャップエネルギを有する多重量子井戸構造を、不純物濃度を5×1016/cm以下に低くすることにより多重量子井戸構造を破壊されず、すなわち結晶性を損なわずに、形成することができる。そして、受光素子のpn接合形成のための不純物が選択拡散され、すなわち周縁部から内側に平面的に周囲限定されて、個々の受光素子に分離されるように導入される。このため、各受光素子を高精度で形成しやすく、素子分離溝を設ける必要がないので、暗電流の低い受光素子を形成することができる。
このため、波長1μm〜3μmにわたって、冷却なしで高い感度の受光をすることができる。このため、水の近赤外域の吸収帯のうち、第1の吸収帯(1.4μm付近に吸収のピークを持つ)、第2の吸収帯(1.9μm付近に吸収のピークを持つ)、および第3の吸収帯(2.9μm付近にピークを持ち、2.3μm〜3μm以上にわたっている広大な吸収帯)のうちの、どの吸収帯の波長でも用いることができる。ここで、検出とは、あらかじめ検量線(水濃度と、その波長での光の強度または吸収度との関係)を作成しておいて、水濃度または水含有率を求めることをいう。
なお、上記のpn接合は、次のように、広く解釈されるべきである。受光層内において、不純物元素が選択拡散で導入される側と反対の面側の領域の不純物濃度が、真性半導体とみなせるほど低い不純物領域(i領域と呼ばれる)であり、上記拡散導入された不純物領域と当該i領域との間に形成される接合をも含むものである。すなわち上記のpn接合は、pi接合またはni接合などであってもよく、さらに、これらpi接合またはni接合におけるp濃度またはn濃度が非常に低い場合も含むものである。
上記の水分検出装置は、第1波長域1.35μm以上1.8μm未満、第2波長域1.8μm以上2.0μm未満、および第3波長域2.5μm以上3.0μm未満の、3つの波長域のうち、1つ以上波長域の光を用いて、水分を検出することができる。これによって、たとえば検査対象物の構成材料によっては、その構成材料の吸収帯と重なって精度の高い測定ができない場合、そのほかの場合などに、高精度測定のために適切な波長域を選んで、水分の検出をすることができる。
上記の拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギを、前記III−V族半導体基板のバンドギャップエネルギより小さくする。これによって、拡散濃度分布調整層の受光層側の厚み範囲の不純物濃度を低くしても、バンドギャップエネルギが小さいために電気抵抗がIII−V族半導体基板のバンドギャップエネルギをもつ材料を用いた場合よりも大きくならないようにできる。
ここで、基板のバンドギャップエネルギより小さいバンドギャップエネルギの拡散濃度分布調整層のより具体的な特性およびその特性とした理由は、次のとおりである。
(1)III−V族化合物半導体により近赤外域用の受光層を形成したとき、その受光層のバンドギャップエネルギより大きいバンドギャップエネルギを窓層に用いる場合があり、その場合、格子整合性等も考慮して、半導体基板と同じ材料が用いられることが多い。拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギは、窓層のバンドギャップエネルギより小さく、受光層のバンドギャップエネルギより大きいことを前提としている。受光層のバンドギャップエネルギより小さい場合には、エピタキシャル層表面を入射面とする構造を採用したとき、拡散濃度分布調整層が対象とする光を吸収し、受光層の受光感度を低下させるからである。
(2)窓層に通常用いられる大きなバンドギャップエネルギの材料よりも小さいバンドギャップエネルギの材料を用いることにより、不純物濃度を低くしても電気抵抗増大の程度、または電気伝導度の低下の程度を小さくすることができる。この結果、上記のように電圧印加状態において応答速度の低下を抑制できる。
上記の拡散濃度分布調整層内において、不純物元素の濃度を、受光層と接する面と反対の面側において1×1018/cm 以上とするのがよい。これによって、表面トップ側に位置する電極の界面抵抗を抑えながら、またはオーミック接触を可能にしながら、かつ多重量子井戸構造の良好な結晶性を確保することができる。拡散濃度分布調整層内の部分における低い不純物濃度に起因する電気抵抗の増大または電気伝導度の低下の問題は、上記のように、拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギをInP相当のそれよりも小さくすることにより軽減することができる。
拡散濃度分布調整層と受光層との界面に、選択拡散された不純物元素のパイルアップを生じさせることができる。
不純物元素のパイルアップによる高濃度分布は受光層内で急峻に低下しながら少し裾を引く。このため、受光層内の反対伝導型キャリア濃度が、ノンドープとしながら比較的高い場合、pn接合を確実に受光層内に形成して、しかも受光層の上面近くに配置することができる。この結果、その受光層内において深さ全体にわたって空乏層を形成することができ、受光感度を高めることができる。なお、パイルアップについては、拡散濃度分布調整層内にはほとんど入らず、また受光層内で急峻に低下するため受光層内への影響は小さい。このためパイルアップした不純物の濃度については、本発明の趣旨から、上記の拡散濃度分布調整層内における不純物元素の濃度の限定(5×10 16 /cm 以下)は、当然、適用されない。しかし、適用したとしてもパイルアップのピーク値は5×10 16 /cm 以下であるのが普通であり、上記の濃度の限定(5×10 16 /cm 以下)を満たしている。
上記の受光層を構成する多重量子井戸構造を、タイプIIの量子井戸構造とすることができる。これにより、近赤外域の長波長側に受光感度を持つ受光素子を、適切な2つのIII−V族半導体材料を選ぶことによって、実現することが容易化される可能性が出る。
III−V族半導体積層構造はInP基板上に形成しており、受光層をInGaAs/GaAsSb多重量子井戸構造、またはGaInNAs/GaAsSb多重量子井戸構造とすることができる。これにより、これまで蓄積した材料および技術を用いて、容易に、結晶性に優れ、暗電流の低い受光素子を得ることができる。
上記のInP基板を、(100)から[111]方向または[11−1]方向に、5°〜20°傾斜したオフアングル基板とすることができる。これによって、欠陥密度が小さく結晶性に優れた多重量子井戸構造の受光層を含む積層体を得ることができる。この結果、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。
上記の不純物元素を亜鉛(Zn)とし、拡散濃度分布調整層をInGaAsで形成することができる。これにより、電気抵抗の不純物濃度依存性が小さく、不純物濃度が低くても電気抵抗はそれほど高くならない材料で、拡散濃度分布調整層を形成することができる。電気抵抗の増大抑制は、応答速度の劣化を防止する。また、不純物の亜鉛は、これまでの選択拡散の実績が豊富であり、高い精度で拡散領域を形成することができる。このため、拡散濃度分布調整層内で、拡散導入側の上側で高い濃度の不純物を、受光層側の下側で低い濃度としながら、その下側での電気抵抗を高めないようにできる。このため量子井戸構造を有する受光層内に、高い不純物濃度の領域を形成しないようにできる。この結果、応答性を低下させずに、結晶性の良好な量子井戸構造の受光素子を得ることができる。なお、InGaAsのバンドギャップエネルギは0.75eVである。
拡散濃度分布調整層の上にInP窓層を備えることができる。InPによる窓層の形成は、内部の半導体積層構造の結晶性を損なわないことから、エピタキシャル層を入射面側とする構造を採用した場合、受光層より入射側での近赤外光の吸収などを防止しながら、暗電流の抑制にも有効に作用する。また、InPの結晶表面にパッシベーション膜を形成する技術は、他の結晶表面に形成する場合、たとえばInGaAsの表面にパッシベーション膜を形成する技術よりも蓄積があり、技術的に確立されており、表面での電流リークを容易に抑制することができる。
ここで、受光素子アレイは、受光素子が、複数、半導体積層構造を共通にし、かつ不純物元素が受光素子ごとに受光層内に選択拡散されて形成されており、一次元または二次元配列されている。この構成によれば、受光素子が個々の不純物拡散領域で形成されるため、素子分離溝を設ける必要がない。このため、高精度で形成しやすく、暗電流を低くできる受光素子アレイを形成することができる。
上記の検査対象物の前または後に位置して光を分光する分光部と、分光された波長に応じて位置する複数の受光素子または受光素子アレイと、受光素子または受光素子アレイで受光した結果に基づき演算をして水分を算出する制御部とを備えることができる。これによって、多波長同時検出などを、迅速に、かつ精度よく行うことができる。分光部は、回折格子などで形成するのが好ましい。また、制御部には、当然、記憶部、外部からの入力部などが含まれており、対象波長の検量線などがあらかじめ入力され、記憶されていてもよい。
上記の受光素子の二次元アレイを含む撮像装置を備え、その撮像装置により検査対象物の水分布像を形成することができる。これによって、感覚的に理解しやすい検査対象物の水分布像を得ることができる。
上記の水分検出装置は、人工の光源を備えなくてもよい。この水分検出装置に用いられる受光部は、ノイズが小さく感度が良いので、たとえばSWIR宇宙光を光源に用いることができる。SWIR宇宙光は、昼夜を問わず、常時、宇宙から地球に照射されている。したがって、被検出物によっては、SWIR宇宙光を光源に用いて、人工の光源をとくに備えなくてもよい場合がある。
また、光源に、SC光源またはLEDを用いることができる。通常ハロゲンランプが光源として用いられる。ハロゲンランプは発熱するため、照射することで水分の蒸発を伴うために、水分量の測定には適さない。これに対して、SC光源やLEDは発熱しないことから水分量の測定用光源に適している。
本発明の生体中水分検出装置は、上記のいずれか1つの水分検出装置を備え、生体中の水分を検出することを特徴とする。これによって、生体中水分を高精度で検出することが可能となる。生体は、ヒトを含む動物、魚類、鳥類、昆虫、爬虫類など、生物全般またはその生物を構成している部分をさす。
本発明の自然産物中水分検出装置は、上記のいずれか1つの水分検出装置を備え、自然産物中の水分を検出することを特徴とする。自然産物は、上記の生体に含まれるものであるが、とくに生体のなかでも、農林水産物など、農林水産活動の結果、生まれるものを指すこととする。これによって、農林水産活動によって生み出される自然産物中の水分を精度よく検出することが可能となる。
本発明の製品・材料中水分検出装置は、上記のいずれか1つの水分検出装置を備え、産業活動の対象となる、原料、中間製品、製品、日用品、廃棄物などの製品・材料中の水分を検出することを特徴とする。これによって、産業活動の対象となるすべての製品・材料中の水分を精度よく検出することが可能となる。
本発明によれば、冷却機構なしで暗電流を減らし、受光感度を波長1.7μm以上に拡大したInP系フォトダイオードを用いて、水分を高感度で検出することができる水分検出装置、それを用いた、生体中水分検出装置、自然産物中水分検出装置、および製品・材料中水分検出装置を得ることができる。
(実施の形態1−半導体受光素子アレイの構造−)
図1は、本発明の実施の形態における受光素子10を示す断面図である。図1によれば、受光素子10は、InP基板1の上に次の構成のIII−V族半導体積層構造(エピタキシャルウエハ)を有する。
(InP基板1/InPバッファ層2/InGaAsまたはGaInNAsとGaAsSbとの多重量子井戸構造の受光層3/InGaAs拡散濃度分布調整層4/InP窓層5)
InP窓層5から多重量子井戸構造の受光層3にまで届くように位置するp型領域6は、SiN膜の選択拡散マスクパターン36の開口部から、p型不純物のZnが選択拡散されることで形成される。受光素子10の周縁部の内側に、平面的に周囲限定されて拡散導入されるということは、上記SiN膜の選択拡散マスクパターン36を用いて拡散することによって達せられる。
p型領域6にはAuZnによるp側電極11が、またInP基板1の裏面にはAuGeNiのn側電極12が、それぞれオーミック接触するように設けられている。この場合、InP基板1にはn型不純物がドープされ、所定レベルの導電性を確保されている。InP基板1の裏面には、またSiONの反射防止膜35を設け、InP基板の裏面側から光を入射するようにして使用することもできるようになっている。
多重量子井戸構造の受光層3には、上記のp型領域6の境界フロントに対応する位置にpn接合が形成され、上記のp側電極11およびn側電極12間に逆バイアス電圧を印加することにより、n型不純物濃度が低い側(n型不純物バックグラウンド)により広く空乏層を生じる。多重量子井戸構造の受光層3におけるバックグラウンドは、n型不純物濃度(キャリア濃度)で5×1015/cm程度またはそれ以下である。そして、pn接合の位置15は、多重量子井戸の受光層3のバックグラウンド(n型キャリア濃度)と、p型不純物のZnの濃度プロファイルとの交点で決まる。すなわち図2に示す位置となる。
拡散濃度分布調整層4内では、InP窓層5の表面5aから選択拡散されたp型不純物の濃度が、InP窓層側における高濃度領域から受光層側にかけて急峻に低下している。このため、受光層3内では、Zn濃度は5×1016/cm以下の不純物濃度を容易に実現することができる。図2では、受光層3内のZn濃度は、より低い1×1016/cm程度以下が実現されている。
本発明が対象とする受光素子10は、近赤外域からその長波長側に受光感度を有することを追求するので、窓層には、受光層3のバンドギャップエネルギより大きいバンドギャップエネルギの材料を用いるのが好ましい。このため、窓層には、通常、受光層よりもバンドギャップエネルギが大きく、格子整合の良い材料であるInPが用いられる。InPとほぼ同じバンドギャップエネルギを有するInAlAsを用いてもよい。
(本実施の形態の受光素子アレイのポイント)
本実施の形態における特徴は、次の要素で構成される点にある。
1.多重量子井戸構造は、選択拡散で不純物を高濃度に導入した場合、その構造が破壊されるため、選択拡散による不純物導入を低く抑える必要がある。通常、上記の拡散導入するp型不純物の濃度を5×1016/cm以下とする必要がある。
2.上記の低いp型不純物の濃度を、実生産上、再現性よく安定して得るために、InGaAsによる拡散濃度分布調整層4を、受光層3の上に設ける。この拡散濃度分布調整層4において、受光層側の厚み範囲が、上記のような低い不純物濃度になると、その低い不純物濃度の範囲の電気伝導性は低下し、または電気抵抗は増大する。拡散濃度分布調整層4における低不純物濃度範囲の電気伝導性が低下すると、応答性が低下して、たとえば良好な動画を得ることができない。しかしながら、InP相当のバンドギャップエネルギより小さいバンドギャップエネルギの材料、具体的には1.34eV未満のバンドギャップエネルギを持つIII−V族半導体材料によって拡散濃度分布調整層を形成した場合には、不純物濃度が低くても、電気伝導性は非常に大幅には低下しない。上記拡散濃度分布調整層の要件を満たすIII−V族半導体材料として、たとえばInGaAsを挙げることができる。
拡散濃度分布調整層にバンドギャップエネルギの狭い材料を用いると、不純物濃度が低くても電気抵抗の増加を抑制することができる。逆バイアス電圧印加等に対する応答速度は、容量および電気抵抗によるCR時定数で決まると考えられるので、電気抵抗Rの増大を、上記のように抑制することにより応答速度を短くすることができる。
3.本実施の形態では、多重量子井戸構造をタイプIIとする。タイプIの量子井戸構造では、バンドギャップエネルギの小さい半導体層を、バンドギャップエネルギの大きい半導体層で挟みながら、近赤外域に受光感度を持たせる受光素子の場合、小さいバンドギャップエネルギの半導体層のバンドギャップにより受光感度の波長上限(カットオフ波長)が定まる。すなわち、光による電子または正孔の遷移は、小さいバンドギャップエネルギの半導体層内で行われる(直接遷移)。この場合、カットオフ波長をより長波長域まで拡大する材料は、III−V族化合物半導体内で、非常に限定される。これに対して、タイプIIの量子井戸構造では、フェルミエネルギを共通にして異なる2種の半導体層が交互に積層されたとき、第1の半導体の伝導帯と、第2の半導体の価電子帯とのエネルギ差が、受光感度の波長上限(カットオフ波長)を決める。すなわち、光による電子または正孔の遷移は、第2の半導体の価電子帯と、第1の半導体の伝導帯との間で行われる(間接遷移)。このため、第2の半導体の価電子帯のエネルギを、第1の半導体の価電子帯より高くし、かつ第1の半導体の伝導帯のエネルギを、第2の半導体の伝導帯のエネルギより低くすることにより、1つの半導体内の直接遷移による場合よりも、受光感度の長波長化を実現しやすい。
4.上述のように、選択拡散マスクパターンを用いて選択拡散により、受光素子の周縁部より内側に、平面的に周囲限定してp型不純物を拡散導入するので、上記のpn接合は受光素子の端面に露出しない。この結果、光電流のリークは抑制される。
図3は、上記の受光素子10を、共通のInP基板を含むエピタキシャルウエハに複数個配列した受光素子アレイ50を示す断面図である。受光素子10が複数個、素子分離溝なしに配列されている点に特徴を持つ。上述の4.で述べたように、各受光素子の内側にp型領域6が限定され、隣接する受光素子とは、確実に区分けされている。受光層3が多重量子井戸構造で形成されており、受光層3の上に拡散濃度分布調整層4が配置されて、受光層3内のp型不純物濃度が5×1016/cm以下とされている点などは、図1の受光素子10と同じである。
次に、図1に示す受光素子10の製造方法について説明する。n型InP基板1上に、2μm厚みのInPバッファ層2またはInGaAsバッファ層2を成膜する。次いで、(InGaAs/GaAsSb)または(GaInNAs/GaAsSb)の多重量子井戸構造の受光層3を形成する。単位量子井戸構造を形成するInGaAs層(またはGaInNAs層)またはGaAsSb層の厚みは5nmであり、ペア数(単位量子井戸の繰り返し数)は300である。次いで、受光層3の上に、Zn拡散導入の際の拡散濃度分布調整層4として、厚み1μmのInGaAs層をエピタキシャル成長し、次いで、最後に厚み1μmのInP窓層5をエピタキシャル成長する。上記の受光層3および拡散濃度分布調整層4は、ともにMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってエピタキシャル成長するのがよい。また、InP窓層5は、MBE法でエピタキシャル成長してもよいし、拡散濃度調整層4を成長させた後、MBE装置から取り出して、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法によってエピタキシャル成長してもよい。
InPバッファ層2またはInGaAsバッファ層2は、ノンドープでもよいし、Siなどn型ドーパントを1×1017/cm程度ドーピングしてもよい。InGaAs/GaAsSb(またはGaInNAs/GaAsSb)の多重量子井戸構造の受光層3、InGaAsの拡散濃度分布調整層4、およびInP窓層5は、ノンドープが望ましいが、Siなどn型ドーパントを極微量(たとえば2×1015/cm程度)ドーピングしてもよい。また、InP基板1とバッファ層2との間に、n型ドーパントを1×1018/cm程度ドープしたn側電極を形成するための高濃度のn側電極形成層を挿入してもよい。また、InP基板1は、Feドープの半絶縁性InP基板であってもよい。この場合は、その半絶縁性InP基板1とバッファ層2との間に、n型ドーパントを1×1018/cm程度ドープしたn側電極形成層を挿入する。
上述のInP基板1を含む積層構造(エピタキシャルウエハ)を用いて、光デバイスを製造する。InP窓層5の表面5aに形成したSiNマスクパターン36を用いて、その開口部からZnを選択拡散してInGaAs/GaAsSb(またはGaInNAs/GaAsSb)多重量子井戸構造の受光層3内に届くようにp型領域6を形成する。p型領域6のフロント先端部がpn接合15を形成する。このとき、Zn濃度が1×1018/cm程度以上の高濃度領域は、InGaAs拡散濃度分布調整層4内に限定される。すなわち、上記高濃度不純物分布は、InP窓層5の表面5aから深さ方向に、InGaAs拡散濃度分布調整層4内にまで連続し、さらに拡散濃度分布調整層4内のより深い位置で5×1016/cm以下に低下する。そして、pn接合15の近傍におけるZn濃度分布は、傾斜型接合を示すような分布になっている。
受光素子10の一次元または二次元配列、すなわち図3に示す受光素子アレイは、素子分離用のメサエッチングをすることなくZnの選択拡散(受光素子の周縁部の内側になるように平面的に周囲限定した拡散)によって、隣り合う受光素子どうし分離する。すなわち、Zn選択拡散領域6が1つの受光素子10の主要部となり、1つの画素を形成するが、Znが拡散していない領域が、各画素を分離する。このため、メサエッチングに付随する結晶の損傷などを受けることがなく、暗電流を抑制することができる。
不純物の選択拡散によってpn接合を形成する場合、拡散が深さ方向だけでなく横方向(深さ直交方向)にも進行するので、素子間隔を一定以上、狭くすることができない懸念が、上記特許文献2に表明されている。しかしながら、実際にZnの選択拡散を行ってみると、最表面にInP窓層5があり、その下にInGaAs拡散濃度分布調整層4が配置された構造では、横方向の拡散は、深さ方向と同程度またはそれ以下に収まることが確認された。すなわち、Znの選択拡散において、Znはマスクパターンの開口径よりも横方向に広がるが、その程度は小さく、図1、図3などに模式的に示すように、マスクパターン開口部よりも少し広がるだけである。
図4は、本発明とは異なる参考例1における受光素子110を示す断面図である。参考例1の受光素子110では、次の積層構造を有する。
(InP基板101/InPまたはInGaAsバッファ層102/(GaInNAs/GaAsSb)多重量子井戸構造の受光層103/InP窓層105)
本発明の実施の形態における積層構造と比較して、拡散濃度分布調整層がないことが相違点である。すなわち、InP窓層105の直下に、多重量子井戸構造の受光層103が配置されている。
拡散濃度分布調整層がないと、図5に示すように、たとえばZn濃度分布は多重量子井戸構造の受光層103まで高い濃度となる。すなわち、多重量子井戸構造内において、5×1016/cmを超えて1×1018/cmの高い不純物濃度領域が形成される。多重量子井戸構造に高濃度不純物が導入されると、その構造が破壊され、暗電流が大きく増大する。逆に、このような高濃度不純物領域が、多重量子井戸構造内に形成されないようにするために、拡散濃度分布調整層を設けて選択拡散を行うのである。
しかしながら、Znの選択拡散において、次のような考え方が成立する余地がある。
(1)拡散導入時間を短時間に限定して、高濃度領域が多重量子井戸構造103内にかからないようにする。
(2)InP窓層105の厚みを厚くして、拡散濃度分布調整層の役割をInP窓層105に分担させる。
図6は、上記の(1)および(2)の場合を検討するための参考例2における受光素子110を示す断面図である。参考例2の受光素子110では、参考例1の受光素子とほぼ同じ積層構造を有するが、InP窓層105の厚みは、参考例1よりも厚くしており、上記(2)の場合に対応するが、(1)の場合も検討することは可能である。図6の積層構造において、多重量子井戸構造103内にZnの高濃度領域を形成しないように選択拡散を行った結果、得られたのが図7に示すZn濃度分布である。図7に示すZn濃度分布の場合、InP窓層105内において、Zn濃度は、高濃度から低濃度へと急峻に低下し、受光層側のInP窓層105内において、1×1016/cm程度の低濃度不純物領域が形成される。
InP窓層105内において、1×1016/cm程度の低濃度不純物領域が形成されると、その領域では、繰り返し説明してきたように電気抵抗が高くなり、応答速度が低下する。このため、窓層を形成するほどバンドギャップエネルギが大きい材料に、具体的にはその典型材料であるInP窓層105に、拡散濃度分布調整層の役割を果たさせることはできない。このことは、上記(1)および(2)の場合について同じである。よって、拡散濃度調整層には、バンドギャップエネルギがInP相当以下、具体的には1.34eV未満を満たす材料を用いるのがよい。すなわち、低濃度不純物領域でも、電気伝導度の低下が比較的小さく、電気抵抗の増加が比較的小さいInGaAsのような材料を用いる必要がある。
(実施の形態2−水分布の画像表示(イメージング)−)
1.水分検出装置における撮像装置(水分布像形成装置)の構造
図8は本発明の実施の形態2における水分検出装置に含まれる撮像装置(受光素子アレイ)の概要を示す図である。レンズなどの光学部品は省略してある。図9は、上記の撮像装置の受光素子アレイを説明するための図である。図10は、図9の受光素子アレイ50のうちの1つの受光素子を示す図である。図8において、この撮像装置70は、共通のInP基板51の上に形成された受光素子10がエピタキシャル層側を、実装基板の機能を有するマルチプレクサ71に向けて、いわゆるエピダウン実装されている。各受光素子10のエピタキシャル層のp型領域6と電気的に接続されるp側電極11と、共通のn型InP基板51(1)に設けられるn側電極12とは、マルチプレクサ71に接続され、電気信号をマルチプレクサに送り、マルチプレクサ71では各受光素子における電気信号を受けて、対象物の全体像を形成する処理を行う。n側電極12およびp側電極11は、それぞれはんだバンプ12b,11bを介在させてマルチプレクサ71と電気的に接続される。入射光は、InP基板51の裏面に形成したAR(Anti-Reflection)膜35を通して導入され、p型領域6と受光層3との界面であるpn接合15で受光される。p型領域6は、保護膜を兼ねるSiNのZn拡散マスク36の開口部から導入される。Zn拡散マスクパターン36は、その上に形成された保護膜のSiON膜パターン43とともにそのまま残される。受光素子アレイおよび各受光素子の構造については、図9および図10を用いて、次に詳しく説明する。
図9において、受光素子アレイ50の受光素子10は、共通のInP基板51(1)に設けられている。各受光素子でSWIR帯の宇宙光を受光することにより生じた電流信号は、上述のように実装基板を兼ねたマルチプレクサ71に送られ、画像形成の処理がなされる。各受光素子のサイズやピッチ、アレイの大きさを変えながら、画素数を変化させる。図9に示す受光素子アレイ50は9万画素のものである。図10に示す受光素子10は、InP基板1の上に形成された複数のエピタキシャル膜を有し、また、p型領域6を形成する際に用いた、p型不純物導入用の拡散マスク36を残している。p型領域6にはp部電極11が接続され、はんだバンプなどによりマルチプレクサ71など実装基板の配線などへと接続される。
図11は、図8に示したエピダウンの受光素子と異なり、エピアップ実装の受光素子を説明する断面図である。本発明においては、撮像装置内の受光素子はエピダウン実装でもエピアップ実装でも、どちらでもよい。この受光素子10は、n型InP基板1上に、下から順に、n型InPバッファ層2/受光層3/拡散濃度分布調整層4/InP窓層5/拡散マスク36/反射防止膜(AR膜:Anti-Reflection)35が位置している。p型領域6は、InP窓層5から拡散濃度分布調整層4を経て受光層3内のpn接合15まで形成されている。また、n側電極12がn型InP基板の裏面に位置し、p側電極11は、p型領域6のInP窓層5の表面に位置し、配線電極27に電気的に接続されている。本実施の形態においては、受光層3は、波長1.0μm〜3.0μmの範囲の光を受光する。具体的には、受光層3は、上述のタイプIIの多重量子井戸構造によって形成される。
図11に示す受光素子は、上記したようにエピアップ実装され、エピタキシャル層すなわちInP窓層5の側から光を入射される。本実施の形態における受光素子は、上述のように、エピアップ実装でもエピダウン実装でもよく、図12に示すように、エピダウン実装され、InP基板1の裏面側から光を入射されるタイプでもよい。図12のエピダウン実装の受光素子10の場合、InP基板1の裏面にAR膜35が施される。拡散濃度調整層4、InP窓層5、p側電極11および保護膜を兼ねるSiNの拡散マスク36は、エピアップ実装の場合と同様に設けられる。図12に示すエピダウン実装の場合、InP基板などInPはSWIR帯光に透明なので、SWIR帯光は吸収されることなく、受光層3のpn接合15に到達する。図12の構造においても、受光層は、上述のタイプIIの多重量子井戸構造によって形成される。以後の本発明例においても、とくに断らない限り、同様である。
p側電極11と、n側電極12とは、図11に示すようにInP基板1を間に挟んで対向する位置に配置してもよいし、図12に示すようにInP基板1の同じ側の位置に配置してもよい。図12に示す構造の場合、図9に示す受光素子アレイ50の各受光素子10と集積回路とはフリップチップ実装により電気的に接続される。図11および図12の構造の受光素子において、pn接合15に到達した光は吸収され、電流信号を生じ、上述のように、集積回路を通して各々一画素の像に変換される。
InP基板1は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に5度〜20度傾斜したオフアングル基板とするのがよい。より望ましくは、(100)から[111]方向または[11−1]方向に10度〜15度傾斜させる。このような大きなオフ角基板を用いることにより、欠陥密度が小さく結晶性に優れたn型InPバッファ層2、タイプIIの量子井戸構造の受光層3、InGaAs拡散濃度分布調整層4およびInP窓層5を得ることができる。この結果、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。このため、微弱なSWIR帯の宇宙光を受光して撮像する装置の性能を大きく向上させる受光層を得ることができる。すなわち上記オフアングル基板を用いて形成された受光素子の有する作用は、宇宙光を受光して撮像する撮像装置の品質向上にとくに有用である。
上記のような大きなオフ角は、InP基板について提唱されたことはなく、本発明者らによってはじめて確認されたものであり、InP基板上に良好な結晶性のエピタキシャル膜を成長させる場合の重要な要素である。たとえば、非常に長波長域の発光及び受光が可能であるとする、上記の量子井戸構造の受光層3中に、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsが含まれる場合、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、実際には、実用に耐える、良好なエピアキシャル層として形成されることは不可能である。すなわち、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsは暗電流を抑制し、暗点を減らした受光層になることはない。この結果、微弱なSWIR帯の宇宙光を用いて鮮明な画像を得ることができない。上記例としてあげたGaInNAsだけでなく、GaInNAsPおよびGaInNAsSbにおいてもInP基板のオフ角は、上記のような大きい角度範囲が、良好な結晶性を得るのに必要であるという点で同じである。
図11および図12に示す受光素子10では、受光層3を覆うように位置するInGaAs拡散濃度調整層4およびInP窓層5を備える。受光層3の格子定数がInP基板1の格子定数と同じであるため、受光層3の上に、暗電流を小さくすることで定評があるInGaAs拡散濃度調整層4およびInP窓層5を形成することができる。このため、暗電流を抑制し、素子信頼性を向上させることができる。
2.自然産物中水分検出装置(水分布像形成装置)
(1)実施の形態3−メロン表皮の水分布像形成装置−
マスクメロン、夕張メロン、アンデスメロンのように、表皮に縞(ネット)を有するネット系メロンにおいては、出荷に際し、メロンの外観の評価を行う。従来は、メロンをカラーカメラで撮影し、そのカラー画像の色情報に基づいて表皮の地の部分と縞の部分とを識別することで評価していた。この方法に従う評価方法では、個体差に起因する着色度の差異や照明むらの影響を受けやすいので、識別精度が低いという欠点があった。そこで、メロンにおける表皮の地と縞では、水分の含有量に差異があることに着目して、近赤外光を用いて識別する方法が提案されている。この方法は、メロンの表皮の地の部分は水分量が多く、縞の部分は、水分量が少ないことを利用する。
図13は、水の吸収スペクトルを示す図である。図13によれば、波長1.4μm付近および1.9μm付近に吸収のピークがある。また、波長2.5μmにおいても、ピーク波長ではないが、大きな吸収を示している。これら2つのピーク波長付近の光、2.5μmの光を用い、図8に示す撮像装置70を用いることで、縞と地とを高精度で識別することができる。図14は、本発明の実施の形態3における自然産物中水分検出装置(メロン表皮の水分布像形成装置)100を示す図である。ここでは、メロン表皮の水分布を検出する。近赤外光を含む光を出射する光源73を配置して、メロンMに光を照射する。メロンMから反射された光を受光する撮像装置70の前に、1.4μm付近、1.9μm付近、または2.5μm付近の光のみを透過させるフィルタ72を配置する。撮像装置70によって撮像された画像データは、制御部85に含まれる、画像処理用コンピュータ85bで処理され、画像表示装置85cに画像が表示される。
メロンMの地の部分では水の含有量が多いので、1.4μm付近または1.9μm付近の光は、乾いた縞の部分より、吸収されやすく、したがって反射光は弱くなる。このため、図15に示すように、メロンMの水分布像において、縞の部分は明るく、かつ地の部分は暗く表示される。また、縞と地の部分の他に、評価の対象になるツルの部分および割れの部分も鮮明に識別することができる。それは、図8に示す撮像装置70、また図1に示す受光素子10の暗電流が低く、波長1.4μmおよび1.9μmにおいて、当該波長の光の強弱を敏感に検出することができるからである。上記のような、地、縞、ツル、割れの識別は、個体差に起因する着色度の相違があっても、明確に行うことができる。
本発明の水分検出装置100の受光部は、1.4μm付近の光も、1.9μm付近の光も、また2.5μm付近の光も、感度よく、高いS/N比で検出する。このため、上記の3種の波長の光における画像を得て、それらを比較して取捨選択してもよい。また、統計処理により、妥当性の高い画像を得てもよい。上記のような、メロン表皮の外観評価方法は、人間の知覚に適合しやすい方法である。たとえば、メロン表皮をスキャンして水濃度の変化を一次元データで得る方法よりも、人間にとって的確に評価しやすい。従来は、近赤外域において、暗電流が低く鮮明な画像を得ることができず、このため、上記のような水分布の画像を得ることができなかった。しかし、上述の受光素子アレイを用いることによって、S/N比が高く、鮮明な画像を得ることができ、本実施の形態に示す水分布の鮮明な画像を得ることが可能になった。
(2)実施の形態4−水分検出装置による籾混入率の測定−
籾摺りロールで籾摺りし風選した後の摺落米(混合米)や、揺動選別による選別された状態や、玄米揚穀機から取り出された玄米などについて、籾混入率を高精度で知ることは重要である。従来は、光学センサによって穀粒表面の色彩差によって、籾と玄米とを判別することによって、籾混入率を測定していた。しかし、籾は籾殻に水分を含まず、籾から籾殻をはぎ取られ籾摺りされた玄米は、籾殻に比較して、表面に多くの水分を含んでいる。このため、たとえば波長1.45μmの光を、一粒の籾および一粒の玄米に照射して反射光をフォトダイオード(PD)で受光すると、図16に示すような、発生電圧の相違を生じる。すなわち、籾の反射像は明るく、玄米の反射像は暗い。そこで、籾のPD発生電圧と、玄米のPD発生電圧との間に、しきい値を設け、2値判断することで、籾と玄米とを明確に識別することができる。これは、青米であっても、籾殻の水分量とその中身の水分量とは、大きく相違するので、光学センサによる方法のように、判別誤差を生じない。着色米についても同様である。
図17は、本発明の実施の形態4における自然産物中水分検出装置100を示す図である。図17に示すように、揺動選別板211の板面に分布している穀粒群に、光源73から、波長1.4μm〜2.5μmを含む波長域の光を照射する。光源としてはスーパーコンティニウム光源(SC光源)または発光ダイオード(LED)を用いるのがよい。通常光源として用いられるハロゲンランプの場合発熱が大きく、照射された玄米が乾燥して判別精度が悪くなる場合がある。
撮像装置70を含む水分検出装置100は、フィルタ72をかけた穀粒群からの反射光に基づき、その制御部85の画像処理用コンピュータ85bによって水分布像を形成し、その像を表示装置85cに表示する。揺動選別板211上の穀粒群の水分布像において、籾は明るく、玄米や青米は暗い。しきい値をかけているので、この明暗は強調される。このため、制御部85の画像処理用コンピュータ85bは、面積占有率などを簡単に演算することができ、画像の統計処理によって、揺動選別板上の穀粒群の籾混入率を迅速に求めることができる。しかも、使用する波長については、図13に示す水の吸収スペクトルのうちのどの波長を用いてもよい。たとえば、1.4μm付近の光、および1.9μm付近の光を用いることができる。
従来は、近赤外域において、暗電流が高く鮮明な画像を得ることができず、このため、上記のような水分布の画像を得ることができなかった。しかし、上述の受光素子アレイを用いることによって、S/N比が高く、鮮明な画像を得ることができ、本実施の形態に示す水分布の鮮明な画像を得ることが可能になった。また、上記の実施の形態では、自然産物として、メロン、米をあげたが、他の果物、穀類、海藻、海苔、魚介類、乳製品などに適用できる。
3.生体中水分検出装置
ここでは、特定の課題を解決するのではなく、生体中とくに光に敏感な眼における水分布の検出に、本発明に係る生体中水分検出装置または水分布イメージング装置が有用であることを提唱する。
(1)実施の形態5−眼の水分布像−
図18は、本発明の実施の形態5における生体中水分検出装置(眼の水分布像形成装置)100を示す図である。眼の不具合には、乾き眼、なみだ眼、など水分と関連した症状が多い。このような症状が出たとき、図18に示すように、角膜Cだけでなく、眼Eの前面すべての水分布イメージをとることで、その症状を評価することができる。たとえば涙腺に対応する箇所で、水濃度が異常に高いなどを検出することが可能である。凹面鏡76は近赤外光に対する反射率が大きいものを用いるのがよく、たとえば金(Au)で形成したものを用いる。凹面鏡76は、眼の正面ではなく傍らに位置して、眼の各部から出た光を反射して、眼の各部の像を撮像装置70に結像させるようにする。フィルタ72は、水の吸収帯に属する1.4μm付近の光または1.9μmの付近の光を透過させるものがよい。制御部85のマイクロコンピュータ85bは、撮像装置70の画素の出力信号に基づいて、眼Eにおける水分布像を形成し、表示装置85cに表示する。本発明に係る撮像装置70は、たとえば図8に示すものを用いるのがよい。暗電流が低く、長波長側にまで感度が高いため、S/N比の高い、鮮明な水分布像を得ることができる。このため、眼における水の果たす作用、水の動きなどの理解に役立つ。
眼は光に対して非常に敏感に反応するので、できれば光源73は使用しないことが好ましい。図19は、SWIR宇宙光の強度分布を示す図である。図19に示す本発明例の受光素子の感度分布は、図11に示す本発明例の受光素子についてのデータである。たとえば、このSWIR宇宙光のスペクトルのピークIを、光源に用いることができる。ピークIの波長は、1.4μm付近にあり、水の吸収帯に属する波長である、このため、図18において、光源73を除いて、SWIR宇宙光で代用することができる。または、人工の光源73を用いるにしても、光を近赤外域に限定して、しかもそのピーク値をSWIR宇宙光のピーク強度のたとえば2倍とすることでもよい。上記SWIR宇宙光を光源にすることでアイセーフが確実に実現される。上記のように、SWIR宇宙光を用いたり、強度レベルの低い光源を用いることができるのは、本発明に係る撮像装置70の暗電流を低くできるからである。すなわち微弱な信号でも、鮮明な画像を形成することができるからである。
(2)実施の形態6−角膜矯正手術における角膜水分布検出−
ArFエキシマレーザを用いて、角膜を蒸散させ、精密な角膜矯正手術を行う方法が知られている。このような角膜矯正手術は、矯正量の制御性がよい、手術が自動化されている、安定性に優れる、術後の感染性副作用が少ない、角膜の強度低下が少ない等の利点を有している。しかしながら、上記の角膜矯正手術は、弱度近視と中程度近視に対する臨床試験結果は有効であるのに対し、ArFエキシマレーザによる角膜中央部へのレーザ照射回数を増加させると、生体液の角膜表面への浸出が顕著になり、角膜の蒸散が進まなくなる。このため、強度近視に対して予定した矯正量を得ることができず、手術の成功率が悪くなるという問題があった。角膜にArFエキシマレーザを照射したとき、蒸散時に角膜表面から発生するキノコ状の噴霧を取り除くために窒素ガスを吹き付けると、表面が乾燥して蒸散面の平滑化が悪化するという問題があった。
上記のように、術中における角膜表面の湿潤状態は、蒸散の良否を左右する重要な要因となっており、術中の角膜表面の湿潤状態をモニタする必要がある。ArFエキシマレーザの照射による角膜蒸散のとき、主にコラーゲンがレーザを吸収して蒸散し、角膜の約80%を占める組織液は、残存角膜から浸出し、その部分の組成が変化してArFエキシマレーザの吸収が変化する。コラーゲンの蒸散に費やされたArFエキシマレーザは、コラーゲンの分子の振動、回転に変換され、温度上昇が生じる。このため、温度の4乗に比例した強度の赤外光が放射される。この赤外光をモニタすることで、角膜の湿潤状態を検出することができるとの提案がなされている(特許文献11)。この方法では、1つの角膜Cの全体に対して、赤外線の波形が一つ対応するだけなので、角膜全体の平均的な湿潤状態についての情報が得られるだけである。しかし、実際は、組織液の浸出は、1つの角膜のなかで、島状に分かれて生じるため、角膜の各位置の湿潤状態の情報があったほうが好ましい。
本発明に係る撮像装置70または受光素子二次元アレイ50を用いることによって、角膜の各位置における湿潤状態の情報を明確に得ることが可能である。組織液には多量の水分が含まれており、術中に過渡的に浸出が生じるときの、水分の角膜全体にわたる分布推移を検出することができる。このような検出は、角膜の湿潤状態に貴重な情報をもたらすことは明らかである。この場合、上記パルスレーザのパルス幅は10nsのオーダであり、その後の数ms〜1000msの間の水分布を検出することが重要である。ArFエキシマレーザショット後、10ns程度で、角膜蒸散のキノコ雲状の噴霧が発生するが、この噴霧の影響をなるべく受けないように、角膜表面の水分布を数ms〜数十msのオーダで追跡して検出する必要がある。
図20および図21は、本発明の実施の形態6における、手術中の角膜の水分布を検出する装置を説明するための図である。光源73は、図示しないArFエキシマレーザの出射部と重ならないように配置する。図20において、光学系は、角膜の像を、撮像装置70または受光素子二次元アレイ50に結像するように構成されている。角膜の水分が多い箇所は画素または受光素子の出力電圧は小さく(暗く)、また水分が少ない箇所では出力電圧は高く(明るく)なる。ArFエキシマレーザショットの直後、撮像装置70または受光素子二次元アレイ50、の各画素の出力電圧の波形(時間推移)は、制御部85に含まれる処理装置85bに入力され、記憶される。撮像装置70の画素または二次元アレイの受光素子10は、図21に示すように、細かく区分けされた角膜Cの各位置に対応づけられる。
図22に、ArFエキシマレーザショット直後における想定される各画素の出力電圧波形を示す。図22(a)は第3画素の波形であり、たとえば15ms経過時点で電圧Vとする。また、図22(b)は第7画素の波形であり、15ms経過時点で電圧Vとする。V>Vであることから、第3画素の位置の水濃度が高いことが分かる。これより、第3画素に対応する位置の角膜では、組織液の比率が高く、コラーゲンの比率が低下することが分かる。この結果、第3画素に対応する位置での、ArFエキシマレーザの吸収率が低下することが予想される。
本発明に係る撮像装置70は、角膜の各位置の湿潤状態を医学的に把握するのに十分すぎるほどの密度で画素を形成することができる。そして、隣接する画素間でのクロストークも小さく、暗電流も非常に小さくすることができる。また、上述のように、拡散濃度分布調整層をInGaAsで形成することで応答時間を短くすることが可能である。このため、各画素において出力電圧波形を、高い追随性をもって高精度で得ることができる。このような画素の波形をすべて集めて角膜の地図上で水分濃度をプロットすれば、ArFエキシマレーザショット直後における角膜全体での浸出状況を把握することができる。
(3)実施の形態7−顔面の水分布像−
顔面の水分布像が、医学的または美容的に、どのような利用価値をもつか明確にすることはできない。しかし、本発明に係る撮像装置70を用いれば、図23に示すように、顔面の鮮明な水分布像を得ることができる。また、上述のように、顔面の水分布像の撮像には、アイセーフが問題とされる。本発明に係る撮像装置70は、微弱な信号でも鮮明な像を得ることができるので、光源を用いずにSWIR宇宙光を用いることができる。また、光源を用いる場合でも、発光強度の低い光源を用いることができる。このため、アイセーフの問題を克服するのが容易である。
(4)実施の形態8−生体の水分検出−
図24は、本発明の実施の形態における、ツメ、毛髪、皮膚Sなど生体の各部の水分検出装置100を示す装置を示す図である。図24では、反射光を検出に用いることを想定しているが、透過光を用いてもよい。光源73は1.4μm付近および1.9μm付近の光を含む光を出射する。投光用光ファイバ81を経て、上記の生体各部Sに照射され、反射された光は受光用光ファイバ82を経て、分光検出装置91に入力される。分光検出装置91では、回折格子などの分光器で分光し、たとえば一次元受光素子アレイ50によって波長域ごとに受光して、反射光の強度を測定する。制御部85では、予め記憶された検量線をもとに、演算部85bにおいて波長域ごとの反射光の強度をもとに水分を求め、その結果を表示部85cに表示し、また記録媒体86に記録する。
図24に示す水分検出装置100では、連続した波長の光を生体各部に照射するので、水以外の生体成分を同時に検出することができる。たとえば、化粧品のクリームに含まれる尿素は、皮膚に浸透して、肌荒れやざらつきを治療し、また保湿効果を高める。このため、尿素の浸透性を評価するために、尿素塗布後の所定時間経過時に、尿素および水分を同時に測定することが行われる。水の検出は、たとえば1.85μm〜1.95μmの光により、また尿素の検出は1.95μm〜2.0μmの光で行う。分光検出装置91において分光された波長域ごとの光に対応するように、複数の受光素子(個別の複数の受光素子10、または一次元アレイ50)を配置する。これによって、多くの波長の光に対して、雑音の少ない出力電圧を得ることができ、標準サンプルを用いた検量線の作成においても、また検査対象の水分検出時の測定においても、高精度のデータを得ることができる。これによって、検査対象物について、精度の高い定量的な水分検出をすることができる。上記の実施の形態では、眼、顔、皮膚、つめ、毛髪をあげたが、他の身体部、などに適用できる。またヒトに限定されず、他の生物にも適用できることはいうまでもない。
4.製品・材料中水分検出装置
(1)実施の形態9−自動排油装置への適用−
図25は、自動排油装置を説明する図である。この自動排油装置は、油水分離器内の油を自動的に排出するために用いられる。図25において、原水入口504から油水分離器511へと油と水が流入する。油は水よりも軽いので液面512の近傍には、主として油が存在する。液面より少し下に排油入口513があり、この排油入口513から流入する油と水が、センサ入口508と、オンラインセンサ(水分検出装置)100内に設置したポンプ514とを経て、原水入口504に接続したセンサ出口509へ送られる。
図26は、本発明の実施の形態9における水分検出装置(オンラインセンサ)100の構成を示す図である。図25のポンプ514から送られた油は、フローセル515を経て図25のセンサ出口509へ送られる。フローセル515は、石英でできており、光源73から出射された光が透過する。油と水とを透過した光のうち、所定の波長の光は、吸収される。この光は、油水の情報を含んでいる。フローセル515の後段に、分光器91を配置し、その後段に、分光された波長域ごとに1個の受光素子10を配置する。個々の受光素子ではなく、一次元または二次元受光素子50を配置してもよい。受光素子10において、上記フローセル515内の油水のうち、水によって吸収された、1.4μm、1.9μm付近の光は、その分、低い出力電圧をもたらす。
受光素子10または受光素子アレイ50から出力された電気信号は、制御部85のCPU85bへ送られ、水分濃度が算出され、必要に応じて表示装置85cに表示し、またプリンタ85pに打ち出す。上記の水比率がある値以下(たとえば20%以下)であれば、電気信号を、図25に示す排油弁506を開いて、油を排油口507から排出する。また、水比率がそれより高い場合は、油水分離器511内の水を処理水出口505から排出する。
上記の水分検出装置100によれば、油水混合液中の水の比率を精度よく、与えることができる。とくに複数の波長の光について、水による吸収をへた光の受光をするので、これらを統計処理することで、より高精度の水分比率を求めることができる。
(2)実施の形態10−紙製品中の水分とセルロースの検出−
図27は、本発明の実施の形態10における紙製品中の水分とセルロースを検出する装置を示す図である。図27に示す装置では、3つの波長の光A、B、Cを用いる。
A:水分にもセルロースにも吸収を受けない光。たとえば波長1.8μmの光
B:水分の吸収を受ける波長域の光。たとえば波長1.94μmの光
C:セルロースの吸収を受ける波長域の光。たとえば波長2.1μmの光
光源73は、上記のA、B、Cの光を含む光を出射する。集光レンズ87で平行光線とされて、検査対象物の紙製品Pに照射される。紙製品Pを透過した透過光は、分光器91たとえば回折格子で分光されて、それぞれの波長を担当する受光素子10によって受光される。複数の受光素子10は、個別の受光素子から構成されても、一次元アレイ50であってもよい。各受光素子10では信号電圧を出力し、サンプルホールド回路84でこれを保持して、記憶部、演算回路等を含む制御部85に入力する。制御部85では、予め入力されている水分およびセルロースの検量線および秤量値と合わせて、水分含有率およびセルロース含有率を算出する。この結果、紙製品の物性を知り、銘柄などを判別することができる。
上記の製品・原料中水分検出装置100によれば、複数の波長を同時に検査対象に照射して、迅速に受光して情報を出力することができる。このとき、暗電流等が低いので、S/N比の高い信号を出力することができる。また、たとえば受光素子10を一次元アレイで構成した場合でも、各受光素子は、p型不純物の選択拡散によってpn接合を形成され、隣接する受光素子とは分離されている。すなわち、メサエッチングによる分離溝を設けていないので、ノイズが低い信号を出力することができる。また、上記の受光素子は、長波長側は3μmまで感度をもつので、上記Cの光を余裕をもって高感度で受光することができる。さらに、上記のA,B、Cの波長に限定されず、3μmまでの範囲で、適切な波長の光を選ぶ自由度をもつ。
(3)実施の形態11−汚泥の脱水ケーキの水分検出装置−
図28は、本発明の実施の形態11における製品・原料中水分検出装置100を示す図である。汚泥には多くの種類があり、たとえば下水汚泥を例にしても初沈汚泥、余剰汚泥、消火汚泥、およびこれらの混合汚泥などのように処理工程によって数種類の汚泥が発生する。さらに脱水処理工程に送られる汚泥は、刻一刻と変化する。この場合、脱水ケーキの性状によっては、水の吸収帯の波長の光に重なる吸収をもつものが現れる。このとき、脱水ケーキの性状の変化に応じて、一方の水の吸収波長から他方の水の吸収波長へと、重なる部分が変わる場合などが普通に生じる。このため、脱水ケーキの性状に応じて、水分量を求める波長を適切に選択する必要がある。
図28は、本発明の実施の形態における製品・原料水分検出装置100を示す図である。本実施の形態の水分検出装置100では、6つの波長の光Λ1〜Λ6を用いる。
Λ1:1320nm(水分と油脂とによる吸収(S1,X1))
Λ2:1360nm(参照光(R))
Λ3:1450nm(水分による吸収(S2))
Λ4:1540nm(水分と蛋白質とによる吸収(S3,X2))
Λ5:1590nm(水分と蛋白質とによる吸収(S4,X3))
Λ6:1760nm(油脂による吸収(X4))
検査対象物について、上記の波長の電圧信号が得られる。各波長に付したS1などの符号は、S1〜S4は水分検出用データとして用い、X1〜X4は性状判別用データとして用いることを示す。
図28によれば、光源73は、上記の波長Λ1〜Λ6を含む光を出射する。反射板88で反射された光は、検査対象物の汚泥の脱水ケーキYに照射される。脱水ケーキYから反射された光は、集光レンズ87で平行光線とされ、回折格子などの分光器91で、上記の波長域に分光される。分光された波長ごとに受光素子10を、複数、配置して、各波長の光を受光して電気信号に変換する。この複数の受光素子10は、一次元アレイ70であってもよい。各波長の電気信号は、マイクロコンピュータ85のアナログ入力部85aに入力される。次いで、記憶部をもつ演算部85bで演算されて、水分比率を算出され、表示部85cで表示される。
上記の光→電気信号→信号処理の内容の詳細な説明は、省略するが、概要はつぎのとおりである。まず、上記のX1〜X4の電圧信号データをもとにして、検査対象物の性状を判定する。その判定結果に対応して、回帰式の係数がすでに決まっており、その回帰式に、上記のS1〜S4の電圧信号データを入力すると、水分比率を求めることができる。水分算出の回帰式が数種類あって、検査対象物の性状に応じて、水分算出回帰式が選択されるというのが、全体のスキームである。これによって、汚泥ケーキについて、常に妥当な水分含有率を得ることができる。
上記の受光素子10または一次元アレイ50は、暗電流が低く、隣接する受光素子との間のクロストークも生じない。このため、高いS/N比の電気信号を得ることができ、上記の水分算出の精度を高めることができる。また、波長の感度上限が3μmまであるので、上記の汚泥ケーキYの性状判別に用いる波長をより長波長に拡大することができ、本水分測定方法のスキームにおける波長選択の自由度を広げることができる。
(4)実施の形態12−石炭中の水分検出−
図29は、本発明の実施の形態12における石炭中の水分検出装置を示す図である。光源73からの光は、石炭Gに反射されて集光レンズ87によって平行光線とされ、分光器91によって分光される。石炭Gは、石炭粉末を押し固めたものであり、石炭の反射光ではなく、透過光を用いてもよい。分光された光を、波長別に受光するために配置された受光素子10または受光素子アレイ50が出力する電気信号は、制御部85に読み出される。電気信号は、制御部85の入力インターフェイス85aに入力される。制御部85のスペクトル形成部85jでは、受光素子10または受光素子アレイ50の出力信号に基づき近赤外域スペクトルを形成する。制御部85は、中央演算処理装置85b、入力装置85d、回帰モデル記憶装置85f、表示装置85cを、主要部として構成されている。その他、回帰モデル記憶装置のインターフェイス(メモリ駆動回路)、出力装置のインターフェイスなども含んでいる。
制御部(石炭水分推定処理装置)85は、入力装置85dによって、予め、所定の回帰モデルを打ち込んで、回帰モデル記憶装置85fに記憶させておく。回帰モデルは、上記近赤外域スペクトルと水分値との対応関係を数値化したものである。スペクトル形成部で形成される上記近赤外域スペクトルは、必要に応じて、平均化処理、一次微分、二次微分等の前処理を行うのが好ましい。このような処理が施された近赤外域スペクトルのピーク値から、水分値を求めるために、重回帰式(モデル)が、上述のように、予め形成されている。そのために、水分値が知られた石炭の標準サンプルについて、重回帰式を求めておく。この重回帰式に、測定したピーク波長のピーク値を代入して演算することで、検査対象の石炭の水分値を求めることができる。その水分検出結果は、インターフェイスを経て、表示装置85cに表示される。
上記の受光素子10または受光素子アレイ50は、暗電流が低く、クロストークもないので、S/N比の高い信号を得ることができる。このため、水分値が既知の標準サンプルについて重回帰式を作成するに際し、信頼性の高い受光信号データに基づいて、高信頼性の重回帰式を求めることができる。そして、検査対象の石炭についても、雑音が低い信頼性の高い近赤外域スペクトルを採取することができる。このため、石炭の水分を高精度で検出することができる。
(5)実施の形態13−乾燥中の衣類の水分検出装置−
図30は、衣類乾燥機610で乾燥中の衣類Lの水分検出装置100を示す図である。この衣類乾燥機610における、外槽や送風機等は省略してある。洗濯を終えた衣類Lは湿った状態で、衣類収納ドラム603に収納され、回転される。衣類収納ドラム603の外側には内槽602が位置し、さらにその外側に、図示を省略された外槽が位置している。乾燥中の衣類Lの水分検出装置100では、近赤外光の光源73として、発光ダイオードLED(Light Emitting Diode)などを用いるのが、限定的なスペースを活用する上で好ましい。LEDの光の波長は、1.4μm付近または1.9μm付近の光を発光するものがよい。
回転する衣類収納ドラム603には、フィルタの窓614,615が設けられていて、回転中のある瞬間に、光源73→窓614→窓615→受光素子10が、一直線に並ぶようにする。
図31は、受光素子10で受光したとき、電気信号を読み出して、駆動モータのスイッチ等の制御に用いる制御部85を示す図である。制御部85は、プリント基板上に実装するのがよい。受光素子10からの電気信号は、インターフェイス85aに読み出され、水分検出・乾燥度演算部85bにおいて、水分および乾燥度が算出される。そして、その乾燥度をもとにして、制御部85kは、図示しない駆動モータなどのスイッチのオンオフ制御を行う。これによって、乾燥機で乾燥中の衣類の水分を検出することができ、乾燥機による乾燥の時間を必要最小限にして、時間や電力の無駄をなくすことができる。また、衣類の過剰乾燥処理による損傷を防止することができる。
上記の受光素子10は、波長1.95μmにおいて、高い受光感度をもち、かつ暗電流が低いので、弱い光であっても、大きなS/N比の電気信号を出力することができる。このため、回転する衣類収納ドラム603に収納された衣類の乾燥状態または水分状態を検知するのに適した位置で、透過光を受光することで、乾燥状態を知ることができる。
上記の実施例では、油水、石炭、汚泥ケーキ、紙製品、衣類、についての例をあげたが、これらに限定されず、フィルム、樹脂、おむつ等への適用も可能である。
−半導体受光素子アレイの構造についての実施例−
本発明の受光素子アレイの素子間隔または画素ピッチをどの程度まで小さくできるか、図32に示す受光素子アレイを用いた実施例によって検証した。受光素子間隔または画素ピッチは、図32に示すように、SiN選択拡散マスクパターン36の非開口部の幅である。Znの選択拡散の後に、p側電極11はAuZnにより、またn側電極12はAuGeNiにより、それぞれ形成した。図3の場合、InP基板1にFeドープの半絶縁性基板を用いているので、高濃度不純物のバッファ層2にn側電極12を設けているが、図1に示すようにn型InP基板を用いる場合には、基板裏面にn側電極を設けてもよいし、または基板表面側に基板と隣接するn型半導体層(たとえばバッファ層2)にn側電極を設けてもよい。本実施例では、図3の受光素子アレイのp側電極11とn側電極12との間に5Vの逆バイアス電圧を印加して、暗電流を測定した。InP窓層5の厚みは0.6μmと1.6μmの2種類について、また素子間隔は3μm〜20μmの範囲にわたって7種類の素子間隔について、それぞれ受光素子アレイを製造して、暗電流を測定した。拡散濃度分布調整層4の厚みは1μmとした。
結果を図33に示す。図33によれば、InP窓層5の厚みが0.6μmと薄い場合、素子間隔または画素ピッチを5μmまで小さくしても、暗電流は1×10−10A(アンペア)とすることができる。InP窓層5の厚みが1.6μmの場合には、上述したように、横方向へのZnの拡散が広がり、素子間隔7μmを超えないと、1×10−10Aとすることができない。しかし、本実施例によって、InP窓層5の厚みを0.6μmと薄くし、かつ拡散濃度分布調整層を配置することによって、素子間隔5μmとすることができることを確認した。
拡散濃度分布調整層4の作用については、Znの深さ方向濃度分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析によって検証した。図34に、Znの深さ方向濃度分布を示す。図34によれば、InGaAs拡散濃度分布調整層4と受光層3との界面において、Znのパイルアップのピーク値は5×1016cm-3以下に抑制されている。このため、受光層3のn型キャリア濃度のバックグラウンドと、Zn濃度との交差位置(図中○印)に形成されるpn接合において、Zn濃度は確実に低くすることができ、結晶性等の劣化を防止することができる。そして、この拡散濃度分布調整層4の配置によって、受光層の多重量子井戸構造にその本来の作用を奏させることが可能になる。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明は、InP系PDの画期的な性能向上によって、既存の水分検出装置に対して、高精度で、感覚的にわかりやすい検出を可能にする変革をもたらす。
本発明の実施の形態1における受光素子を示す断面図である。 図1の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。 本発明の実施の形態1における受光素子アレイを示す断面図である。 本発明と異なる参考例1の受光素子の断面図である。 図4の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。 本発明と異なる参考例2の受光素子の断面図である。 図6の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。 本発明の実施の形態2における撮像装置の概要を示す図である。 図8の撮像装置の受光素子アレイを示す図である。 図9の受光素子アレイにおける一つの受光素子を示す図である。 エピアップ実装の受光素子の断面図である。 エピダウン(フリップチップ)実装の受光素子の断面図である。 水の吸収スペクトルを示す図である。 本発明の実施の形態3における自然産物中水分検出装置(水分布イメージング装置)を示す図である。 メロンの水分布像を示す図である。 本発明の実施の形態4における自然産物中水分検出装置(籾混入率測定装置)を説明するための図である。 本発明の実施の形態4における籾混入率測定装置を示す図である。 本発明の実施の形態5における生体中水分検出装置(眼の水分布イメージング装置)を示す図である。 SWIR宇宙光スペクトルと本発明例の受光素子の感度分布を示す図である。 本発明の実施の形態6の角膜矯正手術における角膜水分布検出装置を示す図である。 水分が検出される角膜上の位置を示す図である。 図21の角膜上の位置における近赤外光の波形(強度の時間推移)の例を示す図であり、(a)は第3画素の位置の波形を、(b)は第7画素の位置の波形を示す。 本発明の実施の形態7における顔面の水分布像を示す図である。 本発明の実施の形態8における生体中の水分検出装置を示す図である。 本発明の実施の形態9における自動排油装置を説明する図である。 本発明の実施の形態9における製品・原料中水分検出装置を示す図である。 本発明の実施の形態10における製品・原料中水分検出装置(水分・セルロース検出装置)を示す図である。 本発明の実施の形態11における製品・原料中水分検出装置(汚泥ケーキ中水分検出装置)を示す図である。 本発明の実施の形態12における製品・原料中水分検出装置(石炭中水分検出装置)を示す図である。 本発明の実施の形態13における衣類収納ドラム中の衣類の水分検出装置を示す図である。 図30の受光素子の電気信号の処理回路を示す図である。 実施例に用いた受光素子アレイの部分断面図である。 実施例において測定した暗電流と素子間隔との関係を示す図である。 実施例におけるZnの深さ方向濃度分布を示す図である。
1 InP基板、2 バッファ層、3 多重量子井戸構造の受光層、4 拡散濃度分布調整層、5 InP窓層、5a 窓層の表面、6 p型領域、10 受光素子、11 p側電極、12 n側電極、12b はんだバンプ、15 pn接合、35 反射防止膜、36 選択拡散マスクパターン、27 配線電極、43 SiON保護膜、50 受光素子アレイ、51 InP基板、70 撮像装置、71 マルチプレクサ(実装基板)、72 フィルタ、73 光源、76 凹面鏡、81 投光用光ファイバ、82 受光用光ファイバ、84 サンプルホールド回路、85 制御部、85a 入力インターフェイス、85b マイコン(演算部、CPU)、85c 表示部(出力装置)、85d 入力部、85f 記憶部、85j スペクトル形成部、85k 制御信号発生部、85p プリンタ、86 記録媒体、87 集光レンズ、88 反射板、91 分光器、100 水分検出装置(水分布像形成装置)、211 揺動選別板、504 原水入口、505 処理水入口、506 排油弁、507 排油口、508 センサ入口、509 センサ出口、511 油水分離器、512 油水境界面、515 フローセル、610 乾燥機、602 内槽、603 衣類収納ドラム、614,615 衣類収納ドラムの窓(フィルタ)、C 角膜、E 眼、M メロン、P 紙、S 生体各部(皮膚、毛髪、つめなど)、Y 汚泥ケーキ。



Claims (15)

  1. III−V族半導体基板に形成され、pn接合を受光層に含むIII−V族半導体による受光素子またはその受光素子のアレイを備え、検査対象物の水分を検出する装置であって、
    前記受光層がIII−V族半導体の多重量子井戸構造を有し、
    前記III−V族半導体基板と反対側の前記受光層の面に接して、III−V族半導体の拡散濃度分布調整層を備え、その拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギが、前記III−V族半導体基板のバンドギャップエネルギより小さく、
    前記pn接合は、不純物元素を受光層内に届くように選択拡散して形成したものであり、
    前記拡散濃度分布調整層内で前記選択拡散された不純物元素の濃度が前記受光層側に向かって5×10 16 /cm 以下にまで低下しており、
    前記受光層における前記不純物濃度が、5×1016/cm以下であり、
    前記検出装置は、検査対象物から反射された光のうち、第1波長域1.35μm以上1.8μm未満、第2波長域1.8μm以上2.0μm未満、および第3波長域2.5μm以上3.0μm未満の、3つの波長域のうち、少なくとも2つの波長域の光に対して感度を有しており、当該感度を有する波長域のうちの1つ以上の波長域の光を用いて、水分を検出することを特徴とする、水分検出装置。
  2. 前記拡散濃度分布調整層内において、前記不純物元素の濃度が、前記受光層と接する面と反対の面側において1×10 18 /cm 以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水分検出装置。
  3. 前記拡散濃度分布調整層と前記受光層との界面に、前記選択拡散された不純物元素のパイルアップが生じていることを特徴とする、請求項1または2に記載の水分検出装置。
  4. 前記受光層を構成する多重量子井戸構造がタイプIIの量子井戸構造であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  5. 前記III−V族半導体積層構造はInP基板上に形成されており、前記受光層がInGaAs/GaAsSb多重量子井戸構造、またはGaInNAs/GaAsSb多重量子井戸構造であることを特徴とする、請求項4に記載の水分検出装置。
  6. 前記InP基板は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に、5°〜20°傾斜したオフアングル基板であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  7. 前記不純物元素が亜鉛(Zn)であり、前記拡散濃度分布調整層がInGaAsから形成されていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  8. 前記拡散濃度分布調整層の上にInP窓層を備えることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  9. 検査対象物の前または後に位置して光を分光する分光部と、前記分光された波長に応じて位置する複数の前記受光素子または受光素子アレイと、前記受光素子または受光素子アレイで受光した結果に基づき演算をして水分を算出する制御部とを備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  10. 前記受光素子の二次元アレイを含む撮像装置を備え、該撮像装置により前記検査対象物の水分布像を形成することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  11. 人工の光源を備えないことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  12. 光源に、スーパーコンティニウム光源(SC光源)または発光ダイオード(LED)を用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水分検出装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つに記載の水分検出装置を備え、生体中の水分を検出することを特徴とする、生体中水分検出装置。
  14. 請求項1〜12のいずれか1つに記載の水分検出装置を備え、自然産物中の水分を検出することを特徴とする、自然産物中水分検出装置。
  15. 請求項1〜12のいずれか1つに記載の水分検出装置を備え、産業活動の対象となる、原料、中間製品、製品、廃棄物などの製品・材料中の水分を検出することを特徴とする、製品・材料中水分検出装置。
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