JP2003344278A - つめ水分の測定方法 - Google Patents

つめ水分の測定方法

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JP2003344278A JP2002153830A JP2002153830A JP2003344278A JP 2003344278 A JP2003344278 A JP 2003344278A JP 2002153830 A JP2002153830 A JP 2002153830A JP 2002153830 A JP2002153830 A JP 2002153830A JP 2003344278 A JP2003344278 A JP 2003344278A
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Mariko Egawa
麻里子 江川
Tadao Fukuhara
忠雄 福原
Mototsugu Takahashi
元次 高橋
Koyo Ozaki
幸洋 尾崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 in vivo状態で、簡易に測定して、精
度よく絶対量を測定することができるつめ水分の測定方
法を提供する。 【解決手段】 水分量既知の複数のつめ試料に対して近
赤外線を照射して複数の拡散反射スペクトルデータを求
めて、つめの水分量の検量線を作成する。このとき、複
数の拡散反射スペクトルデータに所定の次数の微分を施
した後、さらにMSCを施す前処理を行って補正スペク
トルデータを得、この補正スペクトルデータと既知の水
分量データとを偏最小自乗回帰解析法を用いて統計処理
して検量線を作成する。ついで、被験者のつめに対して
近赤外線を直接照射して拡散反射スペクトルデータを求
めて、検量線を用いてつめの水分量を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、つめ水分の測定方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】つめは、毛髪と同様に表皮細胞が変化し
たものであり、汗腺等を加えて皮膚付属器官と呼ばれて
いる。つめは、指の先端を保護し、細かいものを掴
むときに役立ち、指先の感触を鋭敏にし、力を加える
ことができる等の機能を持っている。また、つめは、そ
の状態を知ることが、皮膚の場合と同様に、全身の健康
状態を知ることにつながる器官である。
【0003】一般につめと呼ばれれているのは爪甲(na
il plate)を指す。以下、本明細書においても、特に断
らない限り、つめとは爪甲を言うものとする。つめは、
皮膚の角質層の主成分と同じケラチンより構成されてい
る。ケラチンは、生化学的定義では、表皮細胞中に蓄積
するタンパク質である。ケラチンは、角質層由来のもの
を軟ケラチン、つめ由来のものを硬ケラチンと区別する
ことがある。これは、シスチン含有量の違いを反映して
おり、軟ケラチンはシスチン含有量が低く、硬ケラチン
はシスチン含有量が高い。このため、硬ケラチンは外か
らの刺激や化学物質等に対する抵抗力が強い。
【0004】このようなつめの構造に関してはX線を用
いた構造解析研究が行われており、また、生理機能を追
求する観点からはつめ水分の経時的な蒸散量の測定結果
が報告されている。一方、つめの水分状態を知ること
は、上記したように健康状態を把握するうえで意義があ
り、また、つめに適正に化粧を施す、いわゆる美爪の観
点からも有用である。
【0005】つめ(爪甲)の水分は、タンパク質に対す
る結合水の形態で存在する。つめはおよそ350〜70
0μm程度の厚みがあり、つめの水分は、つめの下に存
在する爪床より供給される。つめの水分量は外界の環境
要因によって異なるが、通常の環境下では、7〜12%
程度であることが報告されている。また、つめは、毛髪
と同様に、吸湿しやすく乾燥しやすい性質を持ってい
る。乾燥状態(絶乾状態)のつめに水分を補給した場
合、水分量は18〜40%程度になることが報告されて
いる。これに対して、皮膚の角質層は、およそ20μm
の厚みのごく薄い膜状の構造物であり、直下の表皮から
の水分の蒸散を防止する働きと皮膚表面の水分を保持す
る働きとを備えており、正常な機能を営むためには水分
含有量が10〜15%の範囲にあることが必要といわれ
ている。
【0006】水分を測定する方法としては、皮膚を測定
対象としたものとして、赤外線分光法および高周波イン
ピーダンス法が特に知られ、さらにまた、重量法、カー
ル・フィシャー法等も検討されている。
【0007】赤外線分光法は、全反射吸収分光法(以
下、ATR分光法という。)を用いて、一定帯域の波長
からアミド基によるバンドの強度を測定し、この強度と
OH基によるバンドの強度との比より水分量を間接的に
求める方法である。このATR分光法は、媒質の界面で
全反射される光の強度が界面付近の媒質中のわずかな不
均一性によって敏感に影響を受けることを利用した分光
法として知られている。しかしながら、このATR分光
法を実施するための装置は、通常赤外線分光装置をその
まま用いるため、必ずしも操作性に優れず、特に、AT
R結晶プローブを測定対象物に確実に密着させないと良
好な測定結果が得られない。このため、広く用いられる
には至っていない。
【0008】高周波電気伝導度法は、インピーダンス測
定から求められる皮膚の電気伝導度が水分量と相関を示
すことに着目した方法であり、皮膚の2点間の電気伝導
度を測定する。この方法は、市販の安価な装置を用いて
簡易に行うことができ、しかも被験者の皮膚に直接プロ
ーブを当ててin vivo状態で測定できるため、最
も一般的に用いられている。しかしながら、測定時の外
部環境に測定精度が左右され、また、ATR分光法と同
様にプローブを測定対象物に確実に密着させないと良好
な測定結果が得られない。さらに、測定対象物の表面に
塗布物がある場合、その影響を受け易い。また、測定対
象物に含まれる水分以外の電解質の影響を受け易い。ま
た、高周波電気伝導度法は、水分量を相対値としてしか
知ることができない。
【0009】重量法は、皮膚試料を所定条件下で重量測
定した後、基準条件で皮膚試料を乾燥した状態で再度重
量測定し、その差より水分量を求める方法である。この
方法は、簡便な装置を用いて簡易に測定できるものの、
ある程度まとまった量の皮膚試料を必要とする。
【0010】カール・フィシャー法は、皮膚の水分とヨ
ウ素化合物とが反応して遊離したヨウ素を電気分解した
ときの電流量を測定する方法である。この方法は、比較
的少量の皮膚試料を用いて測定を行うことができるもの
の、必ずしも良好な測定精度を得ることができない。
【0011】また、皮膚の水分を測定するその他の方法
として、研究室レベルでは、NMR(核磁気共鳴)スペ
クトル法も用いられている。この方法は、水分子の水素
の信号を直接測定するものである。しかしながら、NM
R装置は非常に高価であり、また、in vivo状態
においては感度も悪いため、測定対象物によっては、必
ずしも適当な方法ではない。
【0012】なお、上記した皮膚の水分を測定するため
の方法は、具体的に触れたものを除き、いずれも、皮膚
の一部を剥離したものを測定試料とするもの(いわゆる
exvivoあるいはin vitro状態での測定)
であるが、皮膚の水分は、このex vivo状態とi
n vivo状態とでは、異なるため、in vivo
状態の皮膚の水分を知りたい場合に、これらの方法では
必ずしも充分ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、現在検
討され、あるいは実施されている水分測定方法は、いず
れも皮膚を測定対象物とするものであり、また、各測定
方法特有の種々の問題点を持っている。これに対して、
つめの水分量を測定する方法は、少なくともinviv
o状態での測定については実用段階では殆ど行われてい
ない。研究段階においては、上記した皮膚の水分量を測
定する方法を適用する試みは行われているものの、上記
のように各測定方法特有の不具合が、ここでも問題とな
る。
【0014】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
のであり、in vivo状態で、簡易に測定して、精
度よく絶対量を測定することができるつめ水分の測定方
法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るつめ水分の
測定方法は、水分量既知の複数のつめ試料に対して近赤
外線を照射して複数の反射スペクトルデータを求めて、
つめの水分量の検量線を作成する検量線作成工程と、被
験者のつめに対して近赤外線を直接照射して反射スペク
トルデータを求めて、該検量線を用いてつめの水分量を
測定する水分量測定工程とを有することを特徴とする。
【0016】ここで、水分量既知とは、水分量を測定す
るための確立された手法を用いて予め水分量が測定され
ていることをいう。このような測定手法としては、例え
ば、前記した従来の皮膚の水分測定に用いる方法等を挙
げることができる。検量線を作成するためにはこれらの
手法のうちから適宜選択して用いることができる。
【0017】前記した従来の赤外線分光法は、一般的に
は、2.5μm〜25μmの広い波長範囲でかつ長い波
長成分の吸収スペクトルを用いるため、これに必要な測
定波長域を有する装置を用いる必要があり、装置の小型
化、軽量化、ポータブル化が難しく、また、赤外領域の
光を吸収する光ファイバをプローブとして使用すること
ができない。また、被験者から分離した皮膚試料を装填
した試料部にATR結晶プローブを密着させて測定する
ことが必要となる。これに対して、本発明では、0.8
〜2.5μmの波長範囲の近赤外線の反射スペクトルを
用いるものである。この狭い波長範囲でかつ短い波長成
分の近赤外線を用いることにより、例えば光ファイバを
用いたプローブを被験者のつめに当てる等の方法でつめ
水分の測定を行うことができる。
【0018】したがって、本発明の上記の構成により、
近赤外線の反射スペクトルを利用して水分を測定するこ
とで、簡易な方法により、また、簡易な装置を用いて、
invivo状態でつめの水分の絶対量を測定すること
ができる。
【0019】この場合、前記検量線作成工程において、
偏最小自乗回帰解析法(部分最小自乗法:partical lea
st squares regression)を用いて前記検量線を作成
し、あるいはまた、前記複数の反射スペクトルデータに
所定の次数の微分を施す前処理、および該複数の反射ス
ペクトルデータにMSC (multiplicative scatter cor
rection:多重散乱補正、乗法性散乱補正)を施す前処理
のうちの少なくとも1つの前処理を施す段階を含むと、
これらのいわゆるケモメトリックス手法を用いること
で、精度よくつめの水分量を測定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係るつめ水分の測定方法
の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)
について、図を参照して、以下に説明する。
【0021】本実施の形態例に係るつめ水分の測定方法
は、市販の例えばスペクトロンテック社製等の携帯用近
赤外線分光分析装置を用いて、概略以下の手順で行うこ
とができる。
【0022】携帯用近赤外線分光分析装置は、光源とし
てタングステンハロゲンランプを用い、発光した近赤外
線を光ファイバを通じて被験者のつめに当てる。このと
き、光ファイバの先端のプローブをつめに触れさせる程
度でよい。つめに照射された近赤外線はつめから拡散反
射して、光ファイバを通じて例えばフォトダイオードを
用いたディテクタに照射される。ディテクタは、例えば
1100〜1650nmの範囲の拡散反射スペクトルを
6nmの分解能で検出することができる。ディテクタか
ら、拡散反射スペクトル強度に応じた電気信号が生成さ
れ、電気信号は増幅処理されてマイクロコンピュータに
出力される。マイクロコンピュータでは、後述する所定
の前処理が行われ、メモリに貯蔵した、後述する検量線
を用いて、つめの水分量が出力される。
【0023】上記の携帯用近赤外線分光分析装置を用い
た本実施の形態例に係るつめ水分の測定方法について説
明する。
【0024】つめ水分の測定方法は、水分量既知の複数
のつめ試料に対して近赤外線を照射して複数の拡散反射
スペクトルデータを求めて、つめの水分量の検量線を作
成する工程(検量線作成工程)と、被験者のつめに対し
て近赤外線を直接照射して拡散反射スペクトルデータを
求めて、作成した検量線を用いてつめの水分量を測定す
る工程(水分量測定工程)とからなる。
【0025】まず、検量線作成工程について説明する。
【0026】年齢、性別等の異なる多数のヒトからつめ
試料を採取し、検量線作成用に供する。このつめ試料
は、爪甲の先端部分(遊離縁部)である。そして、つめ
試料を9〜100%の種々の相対湿度条件下で24時間
インキュベートし、つめの水分量を種々の値に調製す
る。これにより、例えば20人のヒトから100個の検
量線作成用つめ試料を得る。
【0027】このつめ試料を用いて、既存の水分測定方
法により水分量を測定するとともに、これとあわせて、
近赤外線分光分析装置を用いて拡散反射スペクトルデー
タを得る。
【0028】既存の水分測定方法としては、例えば測定
が簡便なNMR法を用いる。市販のNMR装置を用い、
十分なNMR信号が得られるように例えば10mg以上
程度の量のつめ試料について水分量を測定する。NMR
法では、つめ試料全体についての平均水分量が得られる
ことになる。なお、水分量の測定は、例えば、内部標準
法により行う。予め、種々の質量の水を含む標準溶液に
内部標準溶液を加えてNMR測定し、各々のNMR信号
の面積比を算出して水分量と面積比の検量線を作成す
る。検量線を作成する際の統計処理手法として偏最小自
乗回帰分析法を用いる。その後、予め質量を測定したつ
め試料に同じ内部標準溶液を加えてNMR測定を行い、
得られた面積比を検量線に代入し水分量を計算し、つめ
質量で除することにより平均水分量を得る。NMR測定
データの一例を図1に示す。図1中、「内部標準信号」
が内部標準試料のピークであり、「水の信号」が測定試
料中の水のピークである。
【0029】一方、上記NMR法の測定に供したのと同
じつめ試料について、携帯用近赤外線分光分析装置を用
いて、1100〜1650nmの波長範囲の近赤外線を
照射して、つめ試料の近赤外線拡散反射スペクトルデー
タを得る。近赤外線拡散反射スペクトルデータの一例を
図2に示す。図2中、横軸は波長を示し、縦軸は相対拡
散反射率Rの逆数の自然対数を示す。図2中、ピークが
観察される波長1400〜1500nmの波長域が水分
のOHバンドである。
【0030】本実施の形態例では、検量線作成に供する
ために、上記の近赤外線拡散反射スペクトルデータを前
処理する。
【0031】前処理として、近赤外線拡散反射スペクト
ルデータを例えば2次微分まで行って2次微分スペクトル
を得る。2次微分スペクトルの一例を図3に示す。この
2次微分スペクトルは、図2の近赤外線拡散反射スペク
トルデータを2次微分して得たものである。2次微分ス
ペクトルは、OHバンドで近赤外線拡散反射スペクトル
データにおけるベースラインの変動が除去され、見掛け
上単一であったピークが分離される。
【0032】ここでは、上記の2次微分スペクトルデー
タを用い、さらに、前処理としてMSCを行う。これに
より、2次微分スペクトルデータから増幅(乗法性)と
オフセット(加法性)が取り除かれる。MSC後のスペ
クトルの一例を図4に示す。このMSC後のスペクトル
は、図3の2次微分スペクトルデータを補正して得たも
のである。
【0033】近赤外線拡散反射スペクトルデータに上記
の各前処理を施すことで、例えばつめの測定部位や表面
状態が異なることによる近赤外線の反射状態(散乱状
態)の相違等のヒト間差(個体差)の影響や、測定時の
気温差等の外的変動要因の影響が軽減される。
【0034】上記2段階の前処理を行った近赤外線拡散
反射スペクトルに基づくデータと前記のNMR法で測定
した水分量データとを用いてつめの水分量の検量線を作
成する。
【0035】検量線を作成する際の統計処理手法とし
て、偏最小自乗回帰解析法を用いる。これにより、従来
の手法では誤差項にまとめられていたものが成分相互の
作用として分離されて誤差項が小さくなる結果、より有
効な検量線が得られる。得られた検量線を図5に示す。
図5中、横軸の水分量測定値がNMR法による値であ
り、縦軸の水分量予測値が近赤外線拡散反射スペクトル
に基づく値である。図5の検量線は、データ数100個
で、相関係数が0.982であった。
【0036】なお、以上の説明では触れなかったが、多
数のヒトからつめ試料を採取して検量線作成に供する検
量線作成用試料セットを準備するのに合わせて、これら
のつめ試料から任意のつめ試料を例えば60個分別し
て、検量線の妥当性を評価するための試料セットを準備
した。そして、上記の手順で作成した検量線の妥当性を
評価するために、この評価用の試料セットについて、N
MR法により水分量を測定するとともに、近赤外線分光
法により近赤外線拡散反射スペクトルを測定し、上記の
検量線を用いて水分量を求めた。
【0037】この近赤外線分光法により測定した水分量
(図6中、縦軸の水分量予測値)とNMR法により測定
した水分量(図6中横軸の水分量測定値)との相関を求
めた。図6に、このときのデータの散布図を示す。評価
データから求めた相関線は、相関係数が0.979であ
り、検量線に略一致した。
【0038】つぎに、上記の検量線を用いて被験者のつ
めの水分量を測定する工程(水分量測定工程)について
説明する。
【0039】上記の検量線を作成する際に行ったのと同
様の条件、手順で、被験者のつめに対して近赤外線を直
接照射して拡散反射スペクトルデータを求める。そし
て、検量線を用いてつめの水分量を測定する。このと
き、前記したように、携帯用近赤外線分光分析装置のマ
イクロコンピュータのメモリには検量線データが予めス
トアされており、被験者のつめの拡散反射スペクトルデ
ータがマイクロコンピュータに入力されると、検量線デ
ータを参照して得られた水分量の値がマイクロコンピュ
ータから出力される。
【0040】以上説明した本実施の形態例に係るつめ水
分の測定方法は、簡易な方法により、また、小型、軽量
でポータブルな装置を用いて、in vivo状態でつ
めの水分の絶対量を精度良く測定することができる。
【0041】したがって、つめ用の化粧品を開発する研
究部門において有用であるとともに、特に、化粧品販売
の店頭において、化粧品使用者に対して個々人に適した
化粧品の種類や使用法等をアドバイスするために、化粧
品使用者のつめの水分状態を把握する場合に有効であ
る。
【0042】なお、本実施の形態例で触れたように近赤
外線の拡散反射スペクトルを得る際に、測定値に影響を
与える要因として、つめの表面状態の個人差(固体差)
の影響や測定の際の気温差等の外的変動要因の影響があ
る。そして、本実施の形態例では、上記の統計処理を施
して検量線を作成することで、これらの要因の影響をラ
ンダマイズしている。
【0043】これに対して、例えば、気温、湿度等の外
的変動要因の個々の要素について予め求めたシフト量に
基づいて近赤外線の拡散反射スペクトルデータを補正し
て外的変動要因毎の仮想の拡散反射スペクトルデータを
作成し、この仮想の拡散反射スペクトルデータにより外
的変動要因の値毎の検量線を作成してもよい。
【0044】また、測定対象物の特性に着目すると、例
えば、美爪の観点からはつめの中層〜上層の厚みの部位
の水分量を知ることが有用である。このつめの厚みは数
百μm程度であるが、この厚みには当然に個人差があ
る。一方、本実施の形態例の測定方法において近赤外線
がつめに侵入する深さは400〜500μm程度であ
る。このため、つめの厚みが薄い場合には、近赤外線が
爪甲の深い部分まで侵入してしまうことにより、得られ
る拡散反射スペクトルデータもつめのものとは異なる結
果となり、測定される水分量も相違することになる。こ
のため、つめの厚みを上記した外的変動要因と同様に取
り扱って仮想の拡散反射スペクトルデータを求め、この
仮想の拡散反射スペクトルデータによりつめの厚みの値
毎の検量線を作成してもよい。
【0045】また、本実施の形態例においては、反射光
および反射スペクトルとして、つめに照射した光がつめ
から拡散反射する光である拡散反射光および拡散反射ス
ペクトルを用いる場合について説明したが、反射光とし
ては、これに限らず、つめを透過した光が反射して再度
つめを透過してつめの表面から反射する光である透過反
射光および透過反射スペクトルを用いることもできる。
この場合、例えば爪甲の先端部分の裏面側に適当な反射
板を配置し、つめを透過した光をこの反射板で反射させ
て再度つめを透過させて透過反射光を得る。
【0046】
【発明の効果】本発明に係るつめ水分の測定方法によれ
ば、水分量既知の複数のつめ試料に対して近赤外線を照
射して複数の反射スペクトルデータを求めて、つめの水
分量の検量線を作成する検量線作成工程と、被験者のつ
めに対して近赤外線を直接照射して反射スペクトルデー
タを求めて、検量線を用いてつめの水分量を測定する水
分量測定工程とを有するため、簡易な方法により、ま
た、小型、軽量でポータブルな装置を用いて、in v
ivo状態でつめの水分の絶対量を測定することができ
る。
【0047】また、本発明に係るつめ水分の測定方法に
よれば、検量線作成工程において、偏最小自乗回帰解析
法を用いて検量線を作成し、あるいはまた、複数の反射
スペクトルデータに所定の次数の微分を施す前処理、お
よび複数の反射スペクトルデータにMSCを施す前処理
のうちの少なくとも1つの前処理を施す段階を含むた
め、精度よくつめの水分量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】つめ試料の水分量をNMRにより測定するとき
のNMRスペクトルの一例を示すグラフ図である。
【図2】つめ試料の近赤外線分光測定するときの近赤外
線拡散反射スペクトルの一例を示すグラフ図である。
【図3】図2の近赤外線拡散反射スペクトルを2次微分
したときのスペクトルを示すグラフ図である。
【図4】図3のスペクトルをMSCしたときのスペクト
ルを示すグラフ図である。
【図5】NMR測定による水分量データと近赤外線拡散
反射スペクトルに基づくスペクトルとに基づいて作成し
た検量線を示すグラフ図である。
【図6】検量線の妥当性を評価するためのデータの散布
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福原 忠雄 神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株 式会社資生堂リサーチセンター(新横浜) 内 (72)発明者 高橋 元次 神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株 式会社資生堂リサーチセンター(新横浜) 内 (72)発明者 尾崎 幸洋 兵庫県三田市学園2丁目1番地 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB12 CC09 DD20 EE02 EE12 FF06 FF08 HH01 HH06 JJ17 KK01 MM01 MM02 MM12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分量既知の複数のつめ試料に対して近
    赤外線を照射して複数の反射スペクトルデータを求め
    て、つめの水分量の検量線を作成する検量線作成工程
    と、 被験者のつめに対して近赤外線を直接照射して反射スペ
    クトルデータを求めて、該検量線を用いてつめの水分量
    を測定する水分量測定工程とを有することを特徴とする
    つめ水分の測定方法。
  2. 【請求項2】 前記検量線作成工程において、偏最小自
    乗回帰解析法を用いて前記検量線を作成することを特徴
    とする請求項1記載のつめ水分の測定方法。
  3. 【請求項3】 前記検量線作成工程において、前記複数
    の反射スペクトルデータに所定の次数の微分を施す前処
    理、および該複数の反射スペクトルデータにMSCを施
    す前処理のうちの少なくとも1つの前処理を施す段階を
    含むことを特徴とする請求項1記載のつめ水分の測定方
    法。
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