JP2011204919A - 半導体ウエハ、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法 - Google Patents

半導体ウエハ、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法 Download PDF

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陽一 永井
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勝史 秋田
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Abstract

【課題】 本発明は、近赤外域に高い受光感度を持つ、受光素子等、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法を提供する。
【解決手段】InP基板1と、InP基板の上に位置するMQWの受光層と、受光層上に位置するp型コンタクト層4と、p型コンタクト層にオーミック接触するp側電極11とを備え、MQWが、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする積層構造であり、p型キャリア濃度、1×1014cm−3以上、かつ5×1015cm−3以下、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、近赤外域での受光を対象とする、半導体ウエハ、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法に関するものである。
近赤外域は、動植物などの生体や環境に関連した吸収スペクトル域に対応するため、受光層にIII−V族化合物半導体を用いた近赤外光の検出器の開発が盛んに行われている。たとえば受光層にExtended−InGaAsを用いることで波長2.6μmまで感度を持たせた受光素子アレイに読み出し回路(ROIC:Read-out IC)であるCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)を接続して、光電流を出力信号に変換する検出器の例が発表されている(非特許文献1)。その受光素子アレイでは、pn接合に入射した光によって発生する電子/正孔対のうち電子を共通のn側電極に集合的に集め、正孔を画素電極であるp側電極からCMOSへ読み出している。
また受光層にInGaAs/GaAsSbのタイプ2型の多重量子井戸構造(MQW:Multi-Quantum Wells)を用い、画素領域をp型としたpin型フォトダイオードについて、波長2.5μmまで感度を持つことが報告されている(非特許文献2)。また、上記のInGaAs/GaAsSbのタイプ2型MQWを、ドーピングしないで成長させると、n導電型になることが報告されている(非特許文献3、4)。上記のpin型フォトダイオードは、豊富なデータ蓄積のあるp型不純物のZnを用いて、各受光素子の領域を、容易にp型として、上記のpin型フォトダイオードを得ることができる。
高橋秀夫ら「近赤外用InGaAs光検出器」,OPTRONICS(1997),No.3, pp.107-113 R.Sidhu,N.Duan, J.C.Campbell, and A.L.Holmes, Jr.," A 2.3μmcutoff wavelength photodiode on InP using lattice-matched GaInAs-GaAsSb type IIquantum wells"2005 International Conference on IndiumPhosphide and Related Materials J.F.Klem, S.R.Kurtz,"Growth and properties of GaAsSb/InGaAs superlattices on InP", Journal of Crystal Growth, Vol.111,628(1991) T.Higashino,Y.Kawamura, M.Fujimoto, M.Amano, T.Yokoyama, N.Inoue,"Propertiesof In0.53Ga0.47As/GaAs0.5Sb0.5 type II multiple quantum well structures grownon (111)B InP substrates by molecular beam epitaxy",Journal of Crystal Growth, Vol.243,8(2002)
上記の非特許文献1の近赤外用InGaAs光検出器(イメージセンサ)では、InP基板に格子整合しない組成のInGaAsを受光層としているため、暗電流が大きくなりノイズが大きい。バッファ層によって徐々に歪みを緩和するなどの工夫をしているが、限界がある。このノイズを低減してS/N比を実用可能なレベルまで改善しようとすると冷却装置が必要になり、大掛かりとなる。また、InGaAs受光層上にエピタキシャル成長させる窓層には、InP等を用いることができず、たとえばInGaAs受光層に格子整合するInAsP(As/Pはほぼ0.6/0.4)を窓層に用いると、InAsPは波長1〜1.5μmに吸収帯があるため、表面入射でも裏面入射でも、この波長域に対する感度は小さくなる。
また、非特許文献2〜4の受光素子については、これまで、アレイ化して検出装置とした例はなく、ましてアレイ化された検出装置の感度などの測定がなされた例はない。
本発明は、近赤外域に高い受光感度を持つ、半導体ウエハ、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の半導体ウエハは、近赤外光を受光する受光素子または受光素子アレイを製造するために用いる。この半導体ウエハは、InP基板と、InP基板の上に位置する多重量子井戸構造(MQW)とを備え、そのMQWが、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする積層構造であり、p型キャリア濃度、1×1014cm−3以上、かつ5×1015cm−3以下、を有することを特徴とする。
上記の構成によれば、MQWはp型不純物を導入され、それに伴って、MQWのGaAsSbの価電子帯に、p型不純物由来の正孔が配置される。電子や正孔のようなフェルミ粒子は、一つの状態または準位には1つの粒子しか入り得ない。スピン状態が縮退している場合には、一つの準位に2つ(スピン:アップおよびダウン)の正孔または電子が占めることができる。その場合、エネルギレベルの低い準位から順に占められてゆく。一般に、量子井戸の価電子帯に形成される正孔の基底準位は、井戸のボトム(電子に対するバンドの価電子帯トップ)近くに位置する。以後の説明では、とくに断らない限り、電子に対するバンドの価電子帯トップを、底またはボトムと呼ぶこととする。電子に対するバンドを用いて正孔の状態を論じる場合、字義に拘泥すれば解釈が混乱する箇所が生じるかもしれないが、どのような場合においても、前後の文脈から明らかな本発明の趣旨に添って解釈すべきである。
上記のp型不純物由来の正孔は、特に励起されていないのでエネルギが低く、価電子帯の基底準位を占有する。
これまでの受光素子の半導体ウエハのように、MQWが、イントリンシック(真性半導体)かまたは非常に低濃度のn型である場合、GaAsSbの価電子帯に正孔が準位を占めることはないか、ほとんどない。このため、受光によって生成した正孔は、MQW内において、基底状態の準位にトラップされて、p型領域の画素電極にまで到達するのは容易ではなかった。すなわち、量子井戸の価電子帯の基底状態はエネルギが低く、その基底状態からは井戸障壁は高く、越えることが容易ではない。しかも、このあと説明するように、InP基板近くで受光して正孔が生じた場合、画素電極に到達するまでに数百という多くの量子井戸を越えて移動しなければならない(基板入射の場合)。この場合、多くの割合の正孔は画素電極まで到達できず、信号電荷とならない。この結果、受光感度は劣化する。
これに対して、本発明のMQWはp導電型とされて所定のp型不純物が導入されている。上記の基底状態の準位は、このp型不純物に由来する正孔によって既に占有されている。タイプ2型(InGaAs/GaAsSb)MQWの受光層では、受光によって、GaAsSbの価電子帯の電子がInGaAsの伝導帯に励起されることで、正孔がGaAsSbの価電子帯に生じる。受光によって生じた正孔は、上述のように基底状態は既にp型不純物由来の正孔に占有されているので、基底状態にまで深く落ち込むことはない。逆バイアス電圧に駆動されてMQWを越えてゆくとき、基底準位より高いエネルギレベルをとるので、移動の際、乗り越える障壁が低くてすむ。MQWのp型キャリア濃度が1×1014cm−3以上あればこれらを実現できる。一方で多重量子井戸構造のp型キャリア濃度が高すぎると逆バイアス印加時の空乏層の拡がりを妨げ、応答速度も遅くなる。MQWのp型キャリア濃度が5×1015cm−3以下であればこの影響が小さい。
上記のメカニズムによって、たとえ裏面入射であっても、正孔が受光地点から画素電極に到達できなくなる確率は低くなり、逆に、正孔が画素電極に到達できる確率が増大する。この結果、受光感度または量子効率を向上させることができる。本発明の半導体ウエハは、上記のような受光素子を製造することを可能にする。
なお、上記MQWにおけるInGaAs層は、InGaAsN層、InGaAsNP層、InGaAsNSb層などであってもよい。
MQWが、前記の対を50以上有するようにできる。MQWの前記の対が50未満であれば、感度は低い。MQWが、前記の対を50以上有するようにすることで、光を吸収するInGaAs/GaAsSb界面を多くすることができ、高い感度を確保できる。
前記多重量子井戸構造の格子定数をa、前記InP基板の格子定数をaとするとき、|a−a|/a≦0.002を満たすのがよい。これによって、格子整合性を高めて、MQWの格子欠陥密度を低くでき、暗電流が低く、S/N比の高い信号を得ることができる。
本発明の受光素子は、InP基板と、InP基板の上に位置するMQWの受光層と、受光層上に位置するp型コンタクト層と、p型コンタクト層にオーミック接触するp側電極とを備えている。この受光素子では、MQWが、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする積層構造であり、p型キャリア濃度、1×1014cm−3以上、かつ5×1015cm−3以下、を有することを特徴とする。
上記の半導体ウエハにおいて説明したように、本発明の受光素子では、MQW層がp導電型とされて所定のp型不純物が導入されている。このため、価電子帯における正孔の基底状態は、このp型不純物に由来する正孔によって既に占有されており、受光によって生じた正孔は、基底準位まで落ち込まない。このためMQWを越えてゆくとき、自らの足場が高いエネルギを有するので、MQWがイントリンシックまたはn型の場合と比較して、乗り越える障壁が低くてすむ。このため、正孔が受光位置から画素電極に到達できる確率が増大する。この結果、受光感度または量子効率を向上させることができる。
上記の受光素子において、MQWは、対を50以上有することができる。この結果、高い感度を確保できる。
また受光素子において、多重量子井戸構造の格子定数をa、InP基板の格子定数をaとするとき、|a−a|/a≦0.002を満たすのがよい。これによって、格子整合性を高めて、MQWの格子欠陥密度を低くでき、暗電流が低く、S/N比の高い信号を得ることができる。
本発明の受光素子アレイは、上記のいずれかの受光素子が、複数、InP基板に配列されている受光素子アレイであって、p側電極が受光素子ごとに位置するp型領域にオーミック接触していることを特徴とする。これによって、基板入射でもエピタキシャル層入射でも、信号電荷に正孔を用いて感度のよい受光装置を得ることができる。
受光素子の間を、溝またはn型領域によって隔てることができる。これによって、受光素子(画素)間で信号が干渉せず、鮮明な受光信号を得ることができる。
本発明のハイブリッド型検出装置は、上記の受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えており、このハイブリッド型検出装置は、受光素子アレイのp側電極ごとに、読み出し回路の読出電極とが導電接続されていることを特徴とする。これによって、近赤外光を高感度で受光して高品質の信号の解析を行うことができる。
上記のハイブリッド型検出装置では、受光素子アレイにおけるInP基板の裏面から光を入射することができる。上記の受光素子アレイでは、光入射からすぐに受光しやすいInP基板に近い位置で受光しても、生じた正孔は基底準位には落ち込まないので、MQWにおいて、高いハードル(井戸障壁)を越える必要はなくなる。この結果、より低い井戸障壁を越えることになり、画素電極にまで到達することが容易になる。これによって、受光感度が高い検出装置を得ることができる。
本発明の光学センサ装置は、上記のいずれかの半導体ウエハ、いずれかの受光素子、いずれかの受光素子アレイ、またはいずれかのハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする。
上記の光学センサ装置は、光学素子、たとえば分光器、レンズ等の光学系と組み合わせたものであり、波長分布測定を遂行したり、撮像装置として用いたり、多くの有用な実用製品を得ることができる。上記の光学センサ装置の具体例としては、(i)視界支援もしくは監視をするための撮像装置、(ii)生体成分検査装置、水分検査装置、食品品質検査装置、などの検査装置、(iii)燃焼ガスの成分把握などのためのモニタリング装置または環境モニタ装置、などを挙げることができる。要は、上記の受光素子、受光素子アレイ、もしくはハイブリッド型検出装置と、レンズ、フィルタ、光ファイバ、回折格子、分光レンズなどの光学素子とを組み合わせた装置であれば何でもよい。画面表示や判定をする場合は、さらにマイコンや画面表示装置が加わる。
本発明の受光素子アレイの製造方法では、近赤外光を受光する受光素子が配置された受光素子アレイを製造する。この方法は、InP基板の上に、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とするMQWの受光層を成長する工程と、受光層上にp型コンタクト層を成長する工程と、受光素子の間に、受光素子分離構造を形成する工程とを備える。そして、MQWの成長工程では、該MQWがp型になるようにp型不純物をドープし、受光素子分離構造の形成工程では、受光素子の間に、エッチングによって溝を形成するかまたはn型不純物を選択拡散することによりn型領域を形成する、ことを特徴とする。
なお、InP基板をn導電型として該InP基板に各受光素子に共通のn側電極を形成するか、InP基板と受光層との間にn型バッファ層を形成して該n型バッファ層に各受光素子に共通のn側電極を形成することができる。
本発明の受光素子等によれば、正孔を信号電荷に用いて、基板入射でもエピタキシャル面入射でも、近赤外域に良好な感度を持つことができる。
本発明の実施の形態1における受光素子アレイの断面図である。 図1に示す受光素子アレイの平面図である。 図1に示す受光素子アレイと、CMOSとを組み合わせて形成したハイブリッド型検出装置を示す断面図である。 タイプ2型のGaAsSb/InGaAsMQWで構成される受光層のバンド図であり、(a)は、p型不純物がドープされたMQWのバンド、(b)は、真性半導体またはn型半導体で構成されたMQWのバンド、である。 本実施の形態における受光素子アレイおよびハイブリッド型検出装置の製造方法を示す図である。 図3に示すハイブリッド型検出装置を用いた光学センサ装置を示す図である。 本発明の半導体ウエハを示す断面図である。 本発明の実施の形態2における受光素子アレイを示す断面図である。 本発明の実施の形態3における光学センサ装置である撮像装置または視界支援装置を示す図である。 自動車の夜間後方の視界支援装置を示す図である。 本発明の実施の形態4における光学センサ装置である生体成分検出装置を示す図である。 本発明の実施の形態5における光学センサ装置である、生体中の水分検出装置(眼の水分布像形成装置)を示す図である。 本発明の実施の形態6における光学センサ装置である、ごみの燃焼炉においてごみの温度分布を得るための温度分布測定装置を示す図である。 図13における温度分布撮像装置20aを示す図である。 ごみ燃焼炉における近赤外スペクトルを示す図である。 水の吸収スペクトルを示す図である。 、本発明前の受光素子アレイと、読み出し回路を構成するCMOSとを備えるハイブリッド型検出装置を示す図である。 タイプ2型MQWを受光層とした場合のエネルギバンドを示し、(a)は基板入射、(b)はコンタクト層入射、の場合のエネルギバンド図である。
<本発明前のハイブリッド型検出装置における問題>
ここで説明する、近赤外域用のタイプ2型MQWを受光層とする本発明前の最新技術におけるハイブリッド型検出装置についての問題は未だ知られていない。
図17は、本発明前の最新技術における受光素子アレイ150と、読み出し回路(ROIC)を構成するCMOS170と、を備えるハイブリッド型検出装置110を示す図である。受光素子アレイ150は次の積層構造を有する。
InP基板101/n型InP(またはInGaAs)バッファ層102/受光層103(InGaAs/GaAsSb)のタイプ2型MQW/InGaAs選択拡散濃度分布調整層104/InPコンタクト層105
光はInP基板101側から入射される。以下、基板入射と呼ぶ。これに対して、p型コンタクト層105の側からの入射をコンタクト層入射と呼ぶ。受光素子またはフォトダイオードは、InPコンタクト層105の表面から選択拡散によって導入されたp型領域106の先端に位置するpn接合115を備える。各受光素子は、選択拡散されていない領域によって隔てられている。選択拡散に用いた選択拡散マスクパターン136はそのまま残され、その選択拡散マスクパターン136上に保護膜137が被覆される。
受光素子の電極または画素電極111は、p型領域106にオーミック接触するように配置され、グランド電極112は、各受光素子に共通に、n型InP基板101にオーミック接触するように配置される。CMOS170の読み出し電極を形成するパッド171は、接合バンプ131を介在させて画素電極111と導電接続される。CMOS170のグランド電極172および受光素子アレイ150のグランド電極112は、外部にアースされる。
受光の際には、pn接合115に逆バイアス電圧、すなわち画素電極111とグランド電極112との間に、グランド電極112の電圧が画素電極111より高くなるように電圧を印加する。空乏層はタイプ2型のMQWの受光層103に拡がり、ここに到達した光によって電子正孔対が形成される。画素電極111はグランドより電圧が低いので正孔を集めて、正孔の電荷が画素情報を形成する。この画素の電荷を所定時間ピッチで読み出すことで、画像または測定信号の強度分布等を形成することができる。
受光層103を構成するタイプ2型MQWでは、受光によって、図18(a),(b)に示すように、GaAsSbの価電子帯に生成する。電子はInGaAsの伝導帯に励起される。以後、正孔に注目する。図18に示すバンド図は電子に対するバンド図なので、正孔については上下を逆に読む。図18(a)は、図17に示すように、基板入射の場合であり、図18(b)は、それとは反対側のコンタクト層入射の場合である。基板入射の場合、光は、基板に近い位置ですぐにMQW内で受光され、正孔を生成する。図18(a)に示すように、逆バイアスの電界による駆動は受けるものの、多数の高い井戸障壁を越えて、MQWの受光層103を通って、コンタクト層105に到達しなければならない。
図18(a)と(b)とを比較して、基板入射の場合は、受光で生成した正孔は、多数のMQWを越えなければ、画素電極111に到達できないが、コンタクト層入射では、受光は画素電極111に近いMQW内の位置で生じて、正孔は画素電極111に到達するのに多くのMQWを越える必要はない。
基板入射の場合、受光で生じた正孔は光のエネルギを部分的に受けているが、多くの量子井戸を越えるうちに、基底状態が占有されていなければ、多くの割合の正孔は、基底状態に遷移して、基底状態にトラップされる。基底準位にトラップされた正孔は、有効質量が大きいうえコンタクト層105側にドリフトするのに、価電子帯における高い井戸障壁を越えなければならない。このため、p型領域106または画素電極111に到達する正孔の数は、受光で生成した数から相当の割合が減少する。この結果、受光感度が低下する。もともと、正孔は多くのIII−V族化合物半導体材料で有効質量が電子に比べて大きく、移動度が小さいことは知られていた。しかし、上記の受光感度の低下は、そのような一般的な移動度の大小では説明がつかない。上記の受光感度が低下する現象については、その機構を究明中であるが、ともかくタイプ2型MQWの受光層103を備え、p型領域106に画素電極111を配置して正孔を信号電荷とする受光素子アレイ150について次の実験事実を確認している。
(1)タイプ2型MQWを受光層とする受光素子に対して、コンタクト層入射の場合、近赤外光の受光感度は、0.3−0.9A/W程度を示す。この受光感度は、良好といえる。
(2)しかしながら、同じ受光素子アレイを基板入射とすると、近赤外域の受光感度は、0.05−0.5A/W以下という非常に低い値に低下してしまう。二次元の受光素子アレイを用いる場合、各画素に配線を設けるため、配線による光に対する妨害を避けるため、InP基板の裏面からの入射とせざるをえない。
<本発明のポイント>
本発明のポイントは次の点にある。受光素子アレイは、タイプ2型MQW((InGaAs/GaAsSb))を受光層に含む。この受光素子アレイにおいて、受光層のタイプ2型MQWをp導電型とすることがポイントである。画素電極はその受光層上のp型コンタクト層にオーミック接触するように配置する。本発明では、正孔を信号電荷に用いながら、タイプ2型MQWにp型不純物をドープすることで、基板入射でもコンタクト層入射でも、受光感度または量子効率を高めることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における受光素子アレイ50の断面図である。受光素子アレイ50は、InP基板1/n型InPバッファ層2/p型タイプ2型MQWによる受光層3/p型コンタクト層4、の積層構造を有している。上述のように、本実施の形態では、受光層3を構成するタイプ2型MQWに、p型不純物がドープされている点に特徴を有する。本発明前のInP系受光素子では、図17に示すように、pin型フォトダイオードまたはその変形が先端技術とされてきた。このpin型フォトダイオードでは、エピタキシャル積層体の表面からp型不純物が受光層に届くように選択拡散されて、受光層は、ほとんど不純物を含まない真性半導体(intrinsic)か、またはn型領域とされていた。InGaAs/GaAsSbのMQWの場合、意図的に不純物を導入しなくても、n型となることが非特許文献3、4に記載されている。本発明では、受光層3を構成するMQWがp型になるように、成膜時にp型不純物をドープする。したがって、pn接合15はp型受光層3とn型InPバッファ層3との境界に形成される。逆バイアス電圧を印加したとき、不純物濃度の高低から、空乏層は、MQWで構成される受光層3の側に大きく広がる。
画素Pは溝19によって隣の画素Pと分離され、画素ごとに画素電極11が設けられている。また、すべての画素に共通にグランド電極(n側電極)12が、n型InPバッファ層2に設けられている。InP基板1には、Feドープ(100)InP基板が用いられている。
図2は、図1に示す受光素子アレイ50の平面図である。画素ピッチは30μmであり、画素(受光素子)は320×256であり、チップサイズは横10mm×縦9mmである。
図3は、図1に示す受光素子アレイ50と、シリコンに形成されたROICのCMOS70とを組み合わせて形成したハイブリッド型検出装置10を示す断面図である。受光素子アレイ50の画素電極(p側電極)11と、CMOS70の読み出し電極パッド71とが、接合バンプ31を介在させて導電接続されている。反射防止(AR)膜35がInP基板1の裏面に被覆される。光は、基板入射とされ、入射した近赤外光は、InP基板1およびInPバッファ層2を透過して、空乏層が広がる受光層3において受光されて、電子正孔ペアを形成する。空乏層に生成した電子正孔ペアは、逆バイアス電圧によって分離され、本発明の実施の形態では、画素ごとの受光情報は、p側電極11に向かう正孔が担う。すなわち図18(a)に示すように、受光で生じた正孔はMQWにおける数百の価電子帯の井戸障壁を越えて画素電極に到達する。
図4は、タイプ2型のGaAsSb/InGaAsMQWで構成される受光層3のバンド図である。単位井戸の伝導帯(上側)と価電子帯(下側)とを示す。図4(a)は、p型不純物がドープされたMQWのバンドであり、図4(b)は、真性半導体またはn型半導体で構成されたMQWのバンドである。
図4(b)に示すように、本発明前のMQW受光層では、真性半導体またはn型半導体なので、正孔密度が低く、価電子帯における正孔の各準位はほとんど占有されていない。このため、価電子帯における基底状態の準位も、大部分、空席である。このような状態において、受光によって正孔がGaAsSbの価電子帯に生成する(電子の挙動は今の議論に関係ないので省略する)。受光によって生じた正孔は、逆バイアス電圧下、ドリフトしながら多数の量子井戸を越えて散乱等を繰り返すうちに、価電子帯における正孔の準位を低い方から占めてゆく。基底状態の準位はエネルギ的に低く安定なので、優先的に占有される。上述のように、GaAsSbの価電子帯の正孔の準位は、量子井戸の底に近いレベルに位置する。図4(b)に示すように、正孔の基底状態のエネルギ準位は、価電子帯での正孔に対する井戸障壁トップ(価電子帯でのInGaAsとの境界)をゼロとして−Wb(Wb>0)のエネルギレベルである。このような量子井戸ポテンシャルの底に近い準位を占有した正孔は、有効質量が重く障壁が高いために、この井戸を抜け出して画素電極11に到達することは容易ではない。量子井戸は数百ある。このため正孔に対する量子井戸の抵抗が大きくなると考えられる。この結果、受光感度は低下する。
図4(a)に示すように、p型不純物がドープされたMQWのGaAsSbでは、少なくとも基底状態は、p型不純物由来の正孔に占有されている。正孔や電子のようなフェルミ粒子は、パウリの原理により、2つ以上が同じ量子状態を占めることはできない。p型不純物由来の正孔が基底状態を既に占めている。
図4(a)に示すように、価電子帯での正孔に対する井戸障壁トップ(価電子帯でのInGaAsとの境界)をゼロとして−Wa(Wa>0)のエネルギをとる。Wb>Wa>0であり、両者の差は存在する。したがって、p型不純物をドープされたMQWにおける正孔は、p型不純物がドープされていないMQWにおける正孔に比べて、ドリフトする際、より小さい障壁を越えればよい。この結果、本実施の形態の受光素子アレイでは、正孔は、逆バイアス電圧下、その電界に駆動されて、数百の井戸を比較的容易に越えて画素電極11に到達することができる。この結果、基板入射であっても受光感度は低下せず、良好な感度を保つことができる。すなわち、図18(a)のような基板入射であっても、図18(b)と同様の、またはこれに近い感度を得ることができる。
次に、図5を用いて本実施の形態の受光素子アレイ50およびハイブリッド型検出装置10の製造方法について説明する。
たとえばFeドープの半絶縁性(100)InP基板を用い、そのInP基板1上にOMVPE(Organometallic Vapor Phase Epitaxy)法で、エピタキシャル積層体:(n型InGaAsバッファ層2/タイプ2型(InGaAs/GaAsSb)MQWの受光層3/p型InPコンタクト層4)を形成する(図5参照)。
InP基板1は、Sドープ(100)基板でもよい。また、InGaAsバッファ層2は、In組成をたとえば53.1at%とするのがよい。厚みは0.05〜0.5μm程度とするのがよく、n型不純物にはSiを用い、キャリア濃度はたとえば5×1016cm−3程度とするのがよい。
受光層3には、たとえばInGaAs(厚み5nm)/GaAsSb(厚み5nm)を交互に50〜300ペア成長したタイプ2型のMQWを用いる。InGaAsおよびGaAsSbの組成は、InP基板1に格子整合するように設定する。たとえばInGaAsはIn組成を53.1at%程度とし、GaAsSbはSb組成を48.7at%程度とするのがよい。MQWの成長中にBeをドープすることで、MQWをp導電型とした。平均ドーピング濃度はたとえば2×1015cm−3程度とするのがよい。このあとBe含有InPからなるp型コンタクト層4を成長する。膜厚はたとえば0.8μmとし、Beのドーピング濃度を、たとえば3×1019cm−3程度とするのがよい。
次いで、メサエッチングのためのレジストマスクパターンを形成して、トレンチ形成に用いられる既存のエッチング法により、エッチングして溝19を形成する。これによって、受光素子または画素Pは、個々に電気的または半導体的に分離される。画素Pは、たとえば表面において直径15μmとし、30μmピッチで、横320個×縦256個、となるように配置する。上記の直径2インチのInP基板(ウエハ)には、横320個×縦256個のフォトダイオードアレイ50を、複数、設けることができる。
この後、ポリイミドなどからなる保護膜37、p側電極である画素電極11、およびn側電極であるグランド電極12、を蒸着法、フォトリソグラフィ法、エッチングによって所定の位置に形成する。画素電極11はAuZnにより、またグランド電極12はAuGeNiにより、それぞれの半導体領域にオーミック接触するように形成する。また、InP基板1の裏面には全面に、SiONのAR膜35を形成する。
ROIC70の読み出し電極パッド71上に接合バンプ31を形成した後、フォトダイオードアレイ50とCMOS70との接合を行う。これによって、図5に示すように、ハイブリッド型検出装置10は完成する。
<ハイブリッド型検出装置の使用例>
図6は、ハイブリッド型検出装置10を用いた光学センサ装置20を示す図である。この光学センサ装置20は、撮像装置でもよいし、成分検査装置であってもよい。パッケージ21にハイブリッド型検出装置10が収納され、CMOS70から出力される検出信号はリード線23から図示しない画像表示装置等に送られる。光はソケット21の開口部に嵌め込まれた窓を通して受光素子アレイ50に入射される。受光素子アレイ50が一次元アレイの場合は、基板入射だけでなくコンタクト層入射であってもよい。受光素子アレイ50が二次元アレイの場合は、基板入射に限られる。
本発明のハイブリッド型検出装置10をこのような光学センサ装置20に用いることで、近赤外光を感度よく受光して、成分の検出感度を高め、撮像装置の画像品質を向上させることができる。光学センサ装置の具体例については、このあと説明する。
<半導体ウエハ>
図7は、InP基板1/n型バッファ層2/p型(InGaAs/GaAsSb)MQW受光層3、の半導体ウエハである。この半導体ウエハ51により、正孔を信号電荷に用いて基板入射でもコンタクト層入射でも、近赤外域に良好な感度を持つ受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置等を製造することができる。このような半導体ウエハ51は、これまでにない有用性を得ることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における受光素子アレイ50を示す断面図である。本実施の形態では、画素Pを構成する受光素子の間に、n型領域18を配置することで、受光素子間を隔てる点に特徴を有する。その他の部分は、実施の形態1の受光素子アレイと同じである。n型領域による受光素子分離によって、実施の形態1における溝19の形成のためのメサエッチングによる弊害を避けることができる。たとえば、メサエッチングによって結晶が損傷を受けて暗電流が増大する場合には、溝に代わるn型領域18によって暗電流の低減をはかることが可能である。
製造方法は、実施の形態1の製造方法と溝の形成以外の工程では共通する。溝を形成する工程の代わりに、受光素子の間に開口部をもつ選択拡散マスクパターンをp型コンタクト層4上に形成し、開口部からn型不純物たとえばSiなどを選択拡散することで、n型領域18を簡単に形成することができる。
(実施の形態3−光学センサ装置(1)−)
図9は、本発明の実施の形態3における光学センサ装置20である撮像装置または視界支援装置を示す図である。本視界支援装置は、自動車の夜間運転における運転者の前方の視界を支援するために、車両に搭載される。車両には、実施の形態1〜2において説明した受光素子アレイ50と、図示しない、CMOSやレンズなど光学素子等とを含むハイブリッド型検出装置10と、撮像された画像を表示する表示モニター61と、これらを駆動制御する制御装置60とが搭載される。また、図10は、自動車の夜間運転における運転者の後方の視界を支援するために、車両に搭載される、夜間後方の視界支援装置を示す図である。自動車の後部に後ろ向きに取り付けられた、実施の形態1〜2の受光素子アレイ50、CMOS、レンズなど光学素子等を含むハイブリッド型検出装置10で撮像した画像は、運転者の上部前方の表示装置61に表示される。ハイブリッド型検出装置10もしくは受光素子アレイ50および表示装置61は、制御装置60によって駆動制御される。
本発明より前の車両用視界支援装置では、物体からの赤外域の反射光または放出光を受光して画像とするため、次のような問題があった。反射光を利用する場合、光源が必要であり、搭載スペースを要し、またコスト増となる。また、物体の放射熱を利用する場合、人以外の非発熱体や防寒具を着た歩行者等は認識が難しいため、赤外カメラ以外の認識手段と併用する必要がある。また、光源を使う場合、使用する波長域によっては人体への影響、すなわちアイセーフ対策を講じる必要がある。
本実施の形態における視界支援装置では、上記のような余分の光源やアイセーフ対策は不要である。また、撮像対象の発熱、非発熱を問わない。さらに霧中など水分を含む環境中でも、対象物の鮮明な画像を得ることができる。このため夜間における優れた車両用の視界支援装置を提供することができる。これは、物体からのSWIR(Short wavelength Infra-red)帯の宇宙光の反射光を利用して、かつ暗電流が十分少なく、優れたダイナミックレンジ(S/N)を持つ受光素子を用いているからである。
上記は自動車の視界支援装置であるが、その他、暗視装置、航海支援装置、侵入者監視装置、室内監視装置、高い位置に配置した都市火災監視装置等に利用することができる。
(実施の形態4−光学センサ装置(2)−)
図11は、本発明の実施の形態4における光学センサ装置20である生体成分検出装置を示す図である。図11において、受光部に上述のハイブリッド型検出装置10を用い、グルコースの近赤外域の長波長域に位置する吸収帯を用いて濃度測定を行う。本実施の形態では、生体を透過した近赤外光を測定してグルコース濃度を求める。人体の反射光を用いてもよい。光は次の経路を通る。
光源63→照射用ファイバ64→検出部位(ユビ)→情報搭載光ファイバ65→回折格子(分光器)91→ハイブリッド型検出装置10→制御部85
なお分光器は光源と照射用ファイバの間においても良い。
検出部位において血液成分の吸収スペクトルを得ることで、制御部85において血糖値の絶対値、またはその相対値もしくは大小を検出することができる。図11に示す例は、ヒトの指の透過光を受光するが、皮膚、筋肉、血液など多くの生体組織の情報を得ることができる。
レファレンス信号の測定は、生体(指)の装入時には退き、生体が退いた時に装入されるように、アクチュエータ67によって駆動される基準板の透過光によって行う。基準板の厚みは、基準板の材料にもよるが透過光の光量が十分あるように薄くしておくのがよい。基準板の移動は、アクチュエータ67によって行うことで、位置や姿勢(角度)のばらつきが生じないようにする。
上記は、ハイブリッド型検出装置10を光学センサ装置20に組み込み、人体透過光による血糖値の測定に用いた例であるが、その他、人体反射光による血糖値、体脂肪、眼の角膜のコラーゲン、顔面のコラーゲン分布像などの測定に用いることができる。
(実施の形態5−光学センサ装置(3)−)
図12は、本発明の実施の形態5における光学センサ装置である、生体中の水分検出装置(眼の水分布像形成装置)を示す図である。眼の不具合には、乾き眼、なみだ眼、など水分と関連した症状が多い。このような症状が出たとき、図12に示すように、角膜Cだけでなく、眼Eの前面すべての水分布イメージをとることで、その症状を評価することができる。たとえば涙腺に対応する箇所で、水濃度が異常に高いなどを検出することが可能である。凹面鏡68は近赤外光に対する反射率が大きいものを用いるのがよく、たとえば金(Au)で形成したものを用いる。凹面鏡68は、眼の正面ではなく傍らに位置して、光源63から発して眼の各部からの光を反射して、眼の各部の像をハイブリッド型検出装置10による撮像装置に結像させるようにする。フィルタ69は、水の吸収帯に属する1.4μm付近の光または1.9μmの付近の光を透過させるものがよい。制御部85のマイクロコンピュータ85bは、ハイブリッド型検出装置10の画素の出力信号に基づいて、眼Eにおける水分布像を形成し、表示装置85cに表示する。本発明に係る撮像装置10は、暗電流が低く、長波長側にまで感度が高いため、S/N比の高い、鮮明な水分布像を得ることができる。このため、眼における水の果たす作用、水の動きなどの理解に役立つ。
眼は光に対して非常に敏感に反応するので、できれば光源63は使用しないことが好ましい。SWIR宇宙光のスペクトルの発光ピークを、光源に用いることができる。たとえばSWIRの所定の発光ピークの波長は、1.4μm付近にあり、水の吸収帯に属する波長である。このため、光源63を除いて、SWIR宇宙光で代用することができる。または、人工の光源63を用いるにしても、光を近赤外域に限定して、しかもそのピーク値をSWIR宇宙光のピーク強度のたとえば2倍とすることでもよい。上記SWIR宇宙光を光源にすることでアイセーフが確実に実現される。上記のように、SWIR宇宙光を用いたり、強度レベルの低い光源を用いることができるのは、本実施の形態に係る撮像装置を構成するハイブリッド型検出装置10の暗電流を低くできるからである。すなわち微弱な信号でも、鮮明な画像を形成することができるからである。
上記は生体の部分である眼の水分検出装置の例であるが、このほか、自然産物の水分測定(メロンの水分測定(品質検定)、水分による籾混入率の測定、他の果物、海苔、魚介類、乳製品など)、角膜矯正手術における角膜水分測定、顔面肌など生体の水分測定、紙製品の水分測定、自動排油装置中の油中の水分測定、汚泥の脱水ケーキの水分測定、石炭の水分測定、衣類乾燥機における衣類の水分測定などに用いることができる。
(実施の形態6−光学センサ装置(4)−)
図13は、本発明の実施の形態6における光学センサ装置20である、ごみの燃焼炉においてごみの温度分布を得るための温度分布測定装置である。気体中の成分濃度を検出するための環境モニタ装置の一具体例である。また図14は温度分布撮像装置20aを示す図である。ごみ燃焼炉では、炭素または炭化水素は塊状であり燃料に適した形態で存在するわけではないので、すすは少なく、また水分が多量に存在する。図15は、ごみ燃焼炉における近赤外スペクトルを示すが、水の発光スペクトル波長λ,λが顕著である。本実施の形態においては、水の発光スペクトルが温度によって変化することを利用して、図16に示す水の吸収スペクトルと合わせて、水の濃度と温度とをモニタリングする。図16中、(K1)および(K2)は、それぞれ10mmおよび1mmのキュベットセルを用いて測定したものである。発光スペクトルの強度は、水の濃度にも比例するので、2つの発光ピーク波長だけでは、精度のよい測定が難しいので、吸収スペクトルも用いる。
温度分布撮像装置20aでは、干渉フィルタ10aが重要である。干渉フィルタ10aは、上記の水の発光ピーク波長λ,λ、および複数の吸収ピーク波長のそれぞれに透過波長をもつフィルタとする。たとえば吸収ピーク波長は、図16に示すように、近赤外域に2つの鋭いピークM2,M3をもつが、干渉フィルタ10aは、これらの波長の光を通すようにする。したがって、干渉フィルタ10aは、上記の2つの発光ピーク波長と合わせて全部で4種類、または4つの透過波長のフィルタを配置することになる。外部の操作によって自動的に、これら4種類の干渉フィルタを選択する自動選択機構を設けることが望ましい。レンズ等の光学系10cについても自動的にピントを合わせる自動焦点機構を設けるのがよい。たとえば、上記4種類の干渉フィルタに対応して、4つの波長の光について、ごみまたはその少し上方の撮像を行う。これによって4つの波長の像を得ることができる。
予め、水蒸気温度および水蒸気濃度を変えた空気について、上記の波長における光の強度を求め、温度の回帰式を求めておくことができる。この温度回帰式を制御部のマイコン85bに記憶させておく。上記の撮像によって、各位置において、波長ごとの強度を得ることができる。上記の温度回帰式を用いれば、各位置において、温度を求めることができる。このように、水の温度および濃度を両方ともモニタすることで、ごみの燃焼状態を精度よく検知することができる。
従来は、多くの温度センサをごみ焼却装置内に配置していたが、本実施の形態の装置を、焼却炉の上方部または頂部に配置することで、温度センサの数を削減することができる。
ハイブリッド型検出装置を組み立てて、本発明の効果を検証した。試験体は、本発明例および比較例の、ハイブリッド型検出装置である。
(本発明例):
S含有(100)InP基板上に、図1等に示すエピタキシャル構造をMBE(Molecular Beam Epitaxy)法で成長してエピタキシャルウエハを作製した。バッファ層には、Si含有n型InGaAsを使用した。膜厚は0.15μmとして、成長時にSiを供給してn導電型としている。組成はInを53.1at%とした。キャリア濃度は5×1016cm−3とした。受光層には、InGaAs(厚み5nm)/GaAsSb(厚み5nm)、の周期構造からなるMQWを成長した。周期(対)数は250とした。InGaAsはIn組成を53.1at%とし、GaAsSbはSb組成を48.7at%とした。MQWの成長中にBeをドープすることで、MQWをp導電型とした。平均ドーピング濃度は2×1015cm−3とした。このあとBe含有InPからなるコンタクト層を成長した。膜厚は0.8μmとし、Beのドーピング濃度を、3×1019cm−3とした。上記の手順で作製したエピタキシャルウエハを用いて、図1等に示す受光素子アレイを作製した。画素ごとの分離は、上記のエピタキシャルウエハにメサエッチングを施し、各メサ上にp側電極または画素電極を、p型コンタクト層にオーミック接触するように形成した。また、メサ形成の際に表面に現れたn型バッファ層上に、各画素に共通するn側電極またはグランド電極をオーミック接触するように形成した。電極材料には上述の材料を用いた。
この受光素子アレイを、シリコンに形成された読み出し回路のCMOSと組み合わせて、検出装置とした。受光素子アレイの画素電極と、CMOSの読み出し電極とは、接合バンプを介在させて導電接続した。
(比較例):
S含有(100)InP基板上に、本発明例と同じエピタキシャル積層構造をMBE法で形成した。ただし、InGaAs/GaAsSbのMQWは、アンドープとした。他の部分について、本発明例と同様にして、受光素子アレイおよび検出装置を作製した。
1.ホール測定
ホール測定の試験体として、本発明例および比較例と同じ積層構造のMQWを作製した。そのとき、Feを含むInP(100)基板上にAl0.479In0.521Asからなるバッファ層を成長した。その他は、上記の本発明例および比較例と同じである。
ホール測定の結果を、表1に示す。
Figure 2011204919
表1に示すように、本発明例では、MQWはp導電型になり、比較例では、MQWはn導電型になる。本発明例では、キャリア濃度は意図したとおりの濃度になっているが、比較例はアンドープであるにも関わらずn型キャリア1.8×1015cm−3という明確な値が得られた。これは、背景技術において説明した非特許文献での開示例と符合する。
2.感度測定
上記の本発明例および比較例の検出装置の測定結果は次の通りである。比較例では近赤外域の受光感度は、0.05−0.5A/W以下という非常に低い値に低下してしまう。これに対して本発明例では0.3−0.9A/W程度の近赤外光の受光感度が得られる。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の半導体素子等によれば、近赤外域に感度を持ち、冷却することなく暗電流を抑制することができ、今後、小型化および高感度化が可能になり、生体等への急激な利用に資することができる。
本発明の受光素子等によれば、正孔を信号電荷に用いて、基板入射でもエピタキシャル面入射でも、近赤外域に良好な感度を持つことができる。このため、工業、医学、生活物資等の分野において、高品質の製品を得ることができるようになる。
1 InP基板、2 バッファ層、3 受光層、4 コンタクト層、10 ハイブリッド型検出装置、10a,10c 検出装置に付加される光学部品、11 p側電極(画素電極)、12 n側電極(グランド電極)、15 pn接合、18 n型領域、19 溝、20 光学センサ装置、20a 温度分布撮像装置、21 パッケージ、22 窓、23 リード線、31 接合バンプ、35 反射防止膜、37 保護膜、50 受光素子アレイ、60 制御装置、61 表示装置、63 光源、64 照射用光ファイバ、65 情報搭載光ファイバ、67 アクチュエータ、69 フィルタ、70 CMOS(読み出し回路)、71 パッド(読み出し電極)、72 グランド電極、76 凹面鏡、85 制御部、85b マイコン、85c 表示部、91 回折格子(分光器)、P 画素。

Claims (12)

  1. 近赤外光を受光する受光素子または受光素子アレイを製造するために用いる半導体ウエハであって、
    InP基板と、
    前記InP基板の上に位置する多重量子井戸構造とを備え、
    前記多重量子井戸構造が、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする積層構造であり、p型キャリア濃度、1×1014cm−3以上、かつ5×1015cm−3以下、を有することを特徴とする、半導体ウエハ。
  2. 前記多重量子井戸構造が、前記対を50以上有することを特徴とする、請求項1に記載の半導体ウエハ。
  3. 前記多重量子井戸構造の格子定数をa、前記InP基板の格子定数をaとするとき、|a−a|/a≦0.002を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体ウエハ。
  4. InP基板と、
    前記InP基板の上に位置する多重量子井戸構造の受光層と、
    前記受光層上に位置するp型コンタクト層と、
    前記p型コンタクト層にオーミック接触するp側電極とを備え、
    前記多重量子井戸構造が、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする積層構造であり、p型キャリア濃度、1×1014cm−3以上、かつ5×1015cm−3以下、を有することを特徴とする、受光素子。
  5. 前記多重量子井戸構造が、前記対を1周期として50周期以上で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の受光素子。
  6. 前記多重量子井戸構造の格子定数をa、前記InP基板の格子定数をaとするとき、|a−a|/a≦0.002を満たすことを特徴とする、請求項4または5に記載の受光素子。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の受光素子が、複数、前記InP基板に配列されている受光素子アレイであって、前記p側電極が前記受光素子ごとに位置するp型領域にオーミック接触していることを特徴とする、受光素子アレイ。
  8. 前記受光素子の間が、溝またはn型領域によって隔てられていることを特徴とする、請求項7に記載の受光素子アレイ。
  9. 請求項7または8に記載の受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えたハイブリッド型検出装置であって、前記受光素子アレイのp側電極ごとに、前記読み出し回路の読出電極とが導電接続されていることを特徴とする、ハイブリッド型検出装置。
  10. 前記受光素子アレイにおけるInP基板の裏面から光を入射することを特徴とする、請求項9に記載のハイブリッド型検出装置。
  11. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウエハ、請求項4〜6のいずれか1項に記載の受光素子、請求項7〜8のいずれか1項に記載の受光素子アレイ、または請求項9〜10のいずれか1項に記載のハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする、光学センサ装置。
  12. 近赤外光を受光する受光素子が配置された受光素子アレイを製造する方法であって、
    InP基板の上に、InGa1−xAs(0.38≦x≦0.68)層と、GaAsSb1−y(0.36≦y≦0.62)層とを対とする多重量子井戸構造の受光層を成長する工程と、
    前記受光層上にp型コンタクト層を成長する工程と、
    前記受光素子の間に、受光素子分離構造を形成する工程とを備え、
    前記多重量子井戸構造の成長工程では、該多重量子井戸構造がp型になるようにp型不純物をドープし、
    前記受光素子分離構造の形成工程では、前記受光素子の間に、エッチングによって溝を形成するかまたはn型不純物を選択拡散することによりn型領域を形成する、ことを特徴とする、受光素子アレイの製造方法。
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