JP2011258817A - 受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法 - Google Patents

受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法 Download PDF

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大樹 森
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英章 中幡
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勝史 秋田
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Abstract

【課題】 近赤外域に高い受光感度を持つ、受光素子アレイ、その製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】 タイプ2型のMQWからなる受光層3と、キャップ層5と、キャップ層表面から受光層へと届くp型領域6とを備え、タイプ2型のMQWは、(GaAsSb/InGaAs)等であり、p型領域6は、高濃度範囲6hと、傾斜濃度範囲6sとから構成され、高濃度範囲6hが受光層3内に入っており、該受光層内にpn接合15を形成していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、近赤外域光を対象とする、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法に関するものである。
近赤外域は、動植物などの生体や環境に関連した吸収スペクトル域に対応するため、受光層にIII−V族化合物半導体を用いた近赤外光の検出器の開発が盛んに行われている。たとえば受光層にExtended−InGaAsを用いることで波長2.6μmまで感度を持たせた受光素子アレイに、読み出し回路(ROIC:Read-out IC)であるCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)を接続して、光電荷を出力信号に変換する検出器の例が発表されている(非特許文献1)。その受光素子アレイでは、入射光によって発生する電子/正孔対の電子を共通のn側電極に集合的に集め、正孔を画素電極であるp側電極からCMOSへ読み出している。
また受光層にInGaAs/GaAsSbのタイプ2型の多重量子井戸構造(MQW:Multi-Quantum Wells)を用い、画素領域をp型としたpin型フォトダイオードについて、波長2.5μmまで感度を持つことが報告されている(非特許文献2)。また波長3μmまでの近赤外光を受光するタイプ2型InGaAs/GaAsSbのMQWの結晶性を良好にするために、積層構造および製造方法について提案がなされている(特許文献1)。
また、pin型フォトダイオードのi型受光層について、上記のInGaAs/GaAsSbのタイプ2型MQWを、ドーピングしないで成長させると、n導電型になることが報告されている(非特許文献3、4)。このような場合、pin型というよりはn型フォトダイオードと呼ぶべきかもしれないが、通常は、この場合もpin型フォトダイオードの範疇に入れている。上記のpin型フォトダイオードは、豊富なデータ蓄積のあるp型不純物のZnを用いて、各受光素子に、p型領域を形成して、上記のpin型フォトダイオードを得ることができる。
特開2009−206499号公報
高橋秀夫ら「近赤外用InGaAs光検出器」,OPTRONICS(1997),No.3, pp.107-113 R.Sidhu,N.Duan, J.C.Campbell, and A.L.Holmes, Jr.," A 2.3μmcutoff wavelength photodiode on InP using lattice-matched GaInAs-GaAsSb type IIquantum wells"2005 International Conference on IndiumPhosphide and Related Materials J.F.Klem, S.R.Kurtz,"Growth and properties of GaAsSb/InGaAs superlattices on InP", Journal of Crystal Growth, Vol.111,628(1991) T.Higashino,Y.Kawamura, M.Fujimoto, M.Amano, T.Yokoyama, N.Inoue,"Propertiesof In0.53Ga0.47As/GaAs0.5Sb0.5 type II multiple quantum well structures grownon (111)B InP substrates by molecular beam epitaxy",Journal of Crystal Growth, Vol.243,8(2002)
しかし、上記の非特許文献1の近赤外用InGaAs光検出器(イメージセンサ)では、InP基板に格子整合しない組成のInGaAsを受光層としているため、暗電流が大きくなりノイズが大きい。バッファ層によって徐々に歪みを緩和するなどの工夫をしているが、限界がある。このノイズを低減してS/N比を実用可能なレベルまで改善しようとすると冷却装置が必要になり、大掛かりとなる。また、InGaAs受光層上にエピタキシャル成長させる窓層には、InP等を用いることができず、たとえばInGaAs受光層に格子整合するInAsP(As/Pはほぼ0.6/0.4)を窓層に用いると、InAsPは波長1〜1.5μmに吸収帯があるため、表面入射でも裏面入射でも、この波長域に対する感度は小さくなる。
また、特許文献1、非特許文献2〜4の受光素子については、これまで、アレイ化して検出装置とした例はなく、ましてアレイ化された検出装置の感度などの測定がなされた例はない。
本発明は、近赤外域に高い受光感度を持つ、受光素子、受光素子アレイ、ハイブリッド型検出装置、光学センサ装置、および受光素子アレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の受光素子アレイは、InP基板上に、複数の受光素子が配列されている。この受光素子アレイは、InP基板の上に位置する、タイプ2型のMQWからなる受光層と、受光層の上に位置するキャップ層と、受光素子ごとの、キャップ層表面から受光層へと届くp型領域とを備える。受光層を構成するタイプ2型のMQWは、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つであり、p型領域は、p型不純物が深さ方向に選択拡散によって形成されており、隣の受光素子におけるp型領域とは、選択拡散されていない領域により隔てられており、p型領域は、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に、急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成され、高濃度範囲がキャップ層を経て受光層内に入っており、該受光層内において、傾斜濃度範囲と、受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面がpn接合を形成していることを特徴とする。
MQWでは、対をなす2種類の化合物半導体層が、複数、積層されている。タイプ2型MQWでは、一方のGaAsSbは、他方のInGaAs、InGaAsN等(以下、単にInGaAsと記す)よりも、価電子帯および伝導帯が、高い。ただし、両方のフェルミ準位が一致することから、GaAsSbの価電子帯よりはInGaAsの伝導帯のほうが高いエネルギ準位を有する。タイプ2型MQWでは、受光のとき、GaAsSbの価電子帯に位置する電子が入射光を吸収してInGaAsの伝導帯に励起される。この結果、GaAsSbの価電子帯に正孔が生じ、InGaAsの伝導帯に当該励起された電子が位置する。このように、GaAsSbの価電子帯の電子がInGaAsの伝導帯に励起されることで、より低エネルギ(より長波長)の入射光を受光することができる。
本発明における受光素子アレイでは、電子をn側電極に集めながら上記の正孔をコンタクト層表面に設けられたp側電極に集めて受光情報を得る。このため、MQW内で生じた正孔をキャップ層表面まで移動させなければならない。しかし、MQWの価電子帯には多数の井戸障壁があるため、p側電極に到達する前に、途中で消滅するものが多かった。このため、たとえばInP基板の裏面から入射して、InP基板に近い位置のMQW内での受光によって生じた正孔は、相当多くの割合がp側電極に到達せず、この結果、受光感度が低下していた。正孔が、MQW内の価電子帯を、GaAsSbからInGaAsへと移動するには、GaAsSbの価電子帯トップのエネルギと、InGaAsの価電子帯トップのエネルギとの差ΔEvを上がる必要がある。このエネルギ障壁ΔEvを越えなければ、正孔はGaAsSbからInGaAsへと移動できない。
なお、バンド模型は電子に対して作成されるので、正孔については各帯(バンド)の上下は逆になる。したがって、GaAsSbの価電子帯トップは、正孔にとっては量子井戸内のボトムになる。
従来の受光素子アレイでは、各受光素子はpin型フォトダイオードとして構成されていた。すなわち、p型領域のキャップ層/i型(またはn型)受光層/n型バッファ層(またはn型InP基板)、の積層構造を有していた。i型受光層の場合、受光層には、正孔は存在しない。また、n型受光層の場合は、不純物由来の電子は受光層の伝導帯に存在するかもしれないが、正孔は存在しない。このため、GaAsSbの価電子帯とInGaAsの価電子帯とで形成されるGaAsSbにおける正孔に対する量子井戸は、正孔にとってそのまま正味の量子井戸障壁となっていた。この結果、逆バイアス電界による駆動力を加えられたとしても、正孔のMQW内の移動を難しくしていた。
上記の本発明の構成によれば、受光素子(画素)を構成するp型領域は、その高濃度範囲がキャップ層を経て受光層内に届いている。p型領域の先側の傾斜濃度範囲は、当然、受光層内に届いている。p型領域の高濃度範囲内における受光層では、GaAsSbの価電子帯において、低エネルギレベルだけでなくより高いエネルギレベルの準位まで、p型不純物由来の正孔に占有される。以下の説明では、高濃度範囲内の受光層を高濃度領域と記す。また、傾斜濃度範囲内の受光層では、GaAsSbの価電子帯の、少なくとも低エネルギレベルの準位は、p型不純物由来の正孔に占有される。以下の説明で、傾斜濃度範囲内の受光層を傾斜濃度領域と記す。
上記の高濃度領域および傾斜濃度領域の存在によって、受光によって生じた正孔にとって、上記の2つの領域(高濃度領域および傾斜領域)においては、GaAsSbの価電子帯のボトムはp型不純物由来の正孔に埋められて底上げされることになる。高濃度領域では底上げ代は大きく、また傾斜濃度領域では底上げ代はこれより小さい。受光によって生じた正孔にとって、p型不純物由来の正孔は踏み台になり、GaAsSbとInGaAsとの価電子帯のエネルギ差ΔEvは小さく感じられる(実質的に小さくなる)。このとき、当然、高濃度領域ではエネルギ差ΔEは、傾斜濃度領域でのそれより小さくなる。たとえばInP基板側を入射面とした場合、受光はInP基板に近い受光層で生じる。受光で生じた正孔がp側電極に移動するとき、まず傾斜濃度領域で上記の障害を容易に乗り越えてゆくことができる。そのあと、高濃度領域に到達すればさらに障害は小さく感じられて、移動は容易となる。このため、受光によってGaAsSbに生じた正孔は、受光位置からp側電極まで、非常に多数の量子井戸を通る場合でも、正孔は消滅しないようになる。その結果、高い受光感度を確保することができる。
受光層が受光対象とする光は、波長「1.65〜3.0μm」以下の近赤外光である。タイプ2型MQWの受光層では、上記のように、受光可能な最長波長は、GaAsSbの価電子帯トップとInGaAsの伝導帯のボトムとのエネルギ差に対応している。p型不純物由来の正孔が価電子帯トップ側の準位を占有するとき、受光可能な最長波長に対応するエネルギ差は少し大きくなる。したがって、受光可能な最長波長は少し短くなる。しかし、上記の傾斜濃度領域における程度のp型不純物濃度では、その変化は小さく、受光可能波長域を問題にする必要はない。また、pn接合は受光層内にあるので、逆バイアス電圧の印加で生じる空乏層はpn接合からInP基板側に広がり、空乏層での受光においてはまったく影響しない。
上記より、上記の高濃度領域は、長波長域の受光に関しては、受光層を薄くし、かつ正孔をp側電極へと導入しやすくした、とみることができる。短波長域の受光に関しては、p型不純物濃度に影響されることなく、高い感度で受光することができる。
上記の受光素子アレイでは、バッファ層はなくてもよいがInP基板と受光層との間にバッファ層を挿入してもよい。また、受光層とキャップ層との間に拡散濃度分布調整層を挿入してもよいが、必須ではない。
なお、電子に対するバンドを用いて正孔の状態を論じる場合、字義に拘泥すれば解釈が混乱する箇所が生じるかもしれないが、どのような場合においても、前後の文脈から明らかな本発明の趣旨に添って解釈すべきである。
p型領域の高濃度範囲が、受光層に電子の拡散長の厚み分以下だけ入っているようにできる。これによって、pn接合を受光層内にとどめながら、受光層内に高濃度領域を延在させて、正孔のキャップ層/p側電極への移動を促進することができる。受光可能な波長については、傾斜領域、およびpn接合〜InP基板に至る範囲の受光層、において受光するため、最長3.0μmはそのまま変更することはない。そして、受光によって生じた正孔を円滑にp側電極に集めることができる。なお、電子の拡散長とは電子が正孔と再結合せずに進む距離をいう。すなわち高濃度のp型領域における少数過剰キャリアである電子が、多数キャリアの正孔と再結合して消滅するまでに移動する距離の平均値をいい、拡散距離とも呼ばれる。Dを電子の拡散係数とし、τを寿命として、電子の拡散長=(D×τ1/2の関係がある。通常、InGaAs系では1.0μm〜1.3μmの程度である。
高濃度範囲の先端部のp型不純物濃度を、1E17cm−3以上5E18cm−3以下とすることができる。これによって、MQWにおけるGaAsSbの価電子帯にp型不純物由来の正孔を配置して底上げしながら、MQWの結晶性を損なわないようにして、短波長域の受光に寄与させることができる。
p型領域の高濃度範囲の先端部を、キャップ層表面から深さ0.4μm以上とし、画素の暗電流が1nA以下であるようにできる。これによって、高濃度範囲を受光層を構成するタイプ2型のMQW内へと深く入れながら、MQWの結晶性を良好に維持した結果として低い暗電流を得ることができる。高濃度範囲の先端部をキャップ層から深さ0.4μm以上とすると、通常、MQWの結晶性が劣化して暗電流が増大する。しかし、本発明では、MQWの結晶性の劣化を防止することができ、画素の暗電流を1nA以下とすることができる。高濃度範囲を受光層内にまで深く入れながらMQWの結晶性を良好に保つ方法については、このあと説明する。
本発明のハイブリッド型検出装置は、上記のいずれかの受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えていて、受光素子アレイのp型領域に配置したp側電極ごとに、読み出し回路の読出電極とが導電接続されていることを特徴とする。これによって、精度の高い検出装置を経済的に得ることができる。
上記のハイブリッド型検出装置では、受光素子アレイにおけるInP基板の裏面から光を入射することができる。たとえば、基板の裏面に反射防止膜(AR膜)を配置して、基板裏面入射とすることができる。
受光素子アレイが一次元の場合は、キャップ層側入射でも読み出し回路の電極等への配線を干渉なく設けることができるが、二次元アレイの場合は、基板入射が必然となる。基板入射の場合、基板裏面から入射された光はすぐに受光層内の基板に近い位置で受光され、生じた正孔は信号形成に寄与するには、p電極に到達するために多数の量子井戸を横断しなければならない。上記の受光素子アレイは、このような実装姿勢でも、受光で生じた正孔はMQWを通って、p側電極に到達して信号形成に寄与することができる。
本発明の光学センサ装置は、上記のいずれかの受光素子アレイ、またはいずれかのハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする。これによって、回折格子などの光学素子と組み合わせることで、近赤外域に高い感度を有する光学センサ装置を得ることができる。
上記の光学センサ装置は、光学素子、たとえば分光器、レンズ等の光学系と組み合わせたものであり、波長分布測定を遂行したり、撮像装置として用いたり、多くの有用な実用製品を得ることができる。上記の光学センサ装置の具体例としては、(i)視界支援もしくは監視をするための撮像装置、(ii)生体成分検査装置、水分検査装置、食品品質検査装置、などの検査装置、(iii)燃焼ガスの成分把握などのための環境モニタリング装置、などを挙げることができる。要は、上記の受光素子、受光素子アレイ、もしくはハイブリッド型検出装置と、レンズ、フィルタ、光ファイバ、回折格子、分光レンズなどの光学素子とを組み合わせた装置であれば何でもよい。画面表示や判定をする場合は、さらにマイコンや画面表示装置が加わる。
本発明の受光素子は、InP基板上に形成されている。この受光素子は、InP基板の上に位置する、タイプ2型の多重量子井戸構造からなる受光層と、受光層の上に位置するキャップ層と、キャップ層表面から受光層へと届くp型領域とを備える。受光層を構成するタイプ2型の多重量子井戸構造は、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つであり、p型領域は、深さ方向に選択拡散によって形成されており、選択拡散されていない領域により囲まれている。そして、p型領域は、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に、急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成され、高濃度範囲がキャップ層を経て受光層内にまで入っており、該受光層内において、傾斜濃度範囲と、受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面がpn接合を形成していることを特徴とする。
これによって、近赤外域に高い受光感度をもつ受光素子を得ることができる。
本発明の受光素子アレイの製造方法では、InP基板上に、受光素子が配列された受光素子アレイを製造する。この製造方法は、InP基板の上に、タイプ2型の多重量子井戸構造の受光層を成長する工程と、受光層の上にキャップ層を成長する工程と、キャップ層から受光素子ごとにp型不純物を選択的に拡散してp型領域を形成するために、開口部を有する選択拡散マスクパターンを該キャップ層上に形成する工程と、選択拡散マスクパターンの開口部からp型不純物を選択拡散する工程とを備える。選択拡散工程では、p型領域を、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に、急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成して、高濃度範囲をキャップ層を経て前記受光層内に届くようにして、該受光層内において、傾斜濃度範囲と、受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面をpn接合とすることを特徴とする。
上記の方法によって、基板入射としても受光感度を確保でき、暗電流の低い受光素子アレイを簡単に製造することができる。
キャップ層をInP層とし、受光層を、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つのタイプ2型のMQWとして、p型不純物に亜鉛を用い、選択拡散工程では、閉管法によって、温度450℃以上530℃以下、かつ拡散時間90分以上350分以下、の条件で選択拡散することができる。この方法は、選択拡散温度が、通常の600℃台よりも100℃以上低い。また、選択拡散の時間も実用上成立する時間である。すなわち、高濃度不純物の存在下、MQWの結晶構造が損傷を受けない実用上成立する選択拡散条件を見出すことができた。上記の方法によって、Znの高濃度範囲を受光層内にまで入れながら、暗電流を上記のように低くできる。
本発明の受光素子アレイ等によれば、タイプ2型のMQW
を受光層に用いて近赤外域の長波長域を対象に、受光で発生する電子/ 正孔対のうち電子はn 側電極に集め、移動度が小さい正孔については、MQWの全厚みをp 型化することで効率よくp
側電極に到達させ、基板入射でもキャップ層入射でも、良好な受光感度を持つことができる。
本発明の実施の形態1における受光素子アレイの断面図である。 図1の受光素子アレイにおける、選択拡散マスクパターンと、p型領域との関係を説明するための断面図である。 p型領域のp型不純物(Zn)の厚み方向濃度分布を示す図である。 図1に示す受光素子アレイの平面図である。 図1に示す受光素子アレイと、CMOSとを組み合わせて形成したハイブリッド型検出装置を示す断面図である。 タイプ2型のGaAsSb/InGaAsMQWで構成される受光層のバンド図であり、(a)は、p型不純物の高濃度範囲によりp型化されたMQWのバンド、(b)は、真性半導体またはn型半導体で構成されたMQWのバンド、である。 本発明の実施の形態1におけるp型不純物の選択拡散方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1における受光素子(単一フォトダイオード)を示す図である。 本発明の実施の形態2における光学センサ装置である撮像装置または視界支援装置を示す図である。 自動車の夜間後方の視界支援装置を示す図である。 本発明の実施の形態3における光学センサ装置である生体成分検出装置を示す図である。 本発明の実施の形態4における光学センサ装置である、生体中の水分検出装置(眼の水分布像形成装置)を示す図である。 ごみの燃焼炉においてごみの温度分布を得るための温度分布測定装置を示す図である。 温度分布撮像装置20aを示す図である。 ごみ燃焼炉における近赤外スペクトルを示す図である。 水の吸収スペクトルを示す図である。 本発明の実施の形態6の光学センサ装置である気体モニタリング装置である(ガス中の不純物モニタリング装置)を示す図である。 、本発明前の受光素子を示す図である。 本発明前のタイプ2型MQWを受光層とした受光素子のエネルギバンドを示し、(a)は基板入射、(b)はキャップ層入射、の場合である。
<本発明前のハイブリッド型検出装置における問題>
ここで説明する、近赤外域用のタイプ2型MQWを受光層とする本発明前の最新技術におけるハイブリッド型検出装置についての問題は未だ知られていない。
図18は、本発明前の最新技術における受光素子150を示す図である。受光素子150は次の積層構造を有する。
n型InP基板101/n型InP(またはInGaAs)バッファ層102/受光層103(InGaAs/GaAsSb)のタイプ2型MQW/InGaAs拡散濃度分布調整層104/InPキャップ層105
光はInP基板101側から入射される。以下、基板入射と呼ぶ。これに対して、キャップ層105の側からの入射をキャップ層入射と呼ぶ。受光素子150またはフォトダイオードは、InPキャップ層105の表面から選択拡散によって導入されたp型領域106の先端に位置するpn接合115を備える。
受光素子のp側電極または画素電極111は、p型領域106にオーミック接触するように配置され、グランド電極112は、n型InP基板101にオーミック接触するように配置される。
受光の際には、pn接合115に逆バイアス電圧、すなわち画素電極111とグランド電極112との間に、グランド電極112の電位が画素電極111より高くなるように電圧を印加する。空乏層はタイプ2型のMQWの受光層103に拡がり、ここに到達した光によって電子正孔対が形成される。画素電極111はグランドより電位が低いので正孔を集めて、正孔の電荷が画素情報を形成する。この画素の電荷を所定時間ピッチで読み出すことで、画像または測定信号の強度分布等を形成することができる。
受光層103を構成するタイプ2型MQWでは、受光によって、図19(a),(b)に示すように、正孔hが、GaAsSbの価電子帯に生成する。電子eはInGaAsの伝導帯に励起される。以後、正孔hに注目する。図19に示すバンド図は電子に対するバンド図なので、正孔hについては上下を逆に読む。図19(a)は、図18に示すように、基板入射の場合であり、図19(b)は、それとは反対側のキャップ層入射の場合である。基板入射の場合、光は、InP基板に近い位置ですぐに空乏層内で受光され、正孔hを生成する。図19(a)に示すように、正孔hは、逆バイアスの電界による駆動は受けるものの、多数の高い井戸障壁ΔEvを越えながらMQWの受光層103を通って、キャップ層105に到達しなければならない。
図19(a)と(b)とを比較して、基板入射の場合は、受光で生成した正孔hは、MQWの多数の障壁ΔEvを越えなければ画素電極111に到達できないが、キャップ層入射では、受光は画素電極111に近いMQW内の位置で生じて、正孔hは画素電極111に到達するのに多くのMQWを越える必要はない。
基板入射の場合、受光で生じた正孔hは光のエネルギを部分的に受けているが、多くの量子井戸を越えるうちに、多くの割合の正孔hは、基底状態が占有されていなければ基底状態に遷移して、基底状態にトラップされる。基底準位にトラップされた正孔hは、キャップ層105側にドリフトするのに、価電子帯における高い井戸障壁ΔEvを越えなければならない。このため、p型領域106または画素電極111に到達する正孔の数は、受光で生成した数から相当の割合が減少する。この結果、受光感度が低下する。もともと、正孔は有効質量が電子に比べて大きく、移動度が小さいことは知られていた。しかし、上記の受光感度の低下は、そのような一般的な移動度の大小では説明がつかない。上記の受光感度が低下する現象については、その機構を究明中であるが、ともかくタイプ2型MQWの受光層103を備え、p型領域106に画素電極111を配置して正孔を信号電荷とする受光素子アレイ150またはハイブリッド型検出装置110について次の実験事実を確認している。
(1)タイプ2型MQWを受光層とする受光素子に対して、キャップ層入射の場合、近赤外光の受光感度または量子効率は、0.3〜0.9を示す。この量子効率は、良好といえる。
(2)しかしながら、同じ受光素子アレイを基板入射とすると、近赤外域の量子効率は、0.05〜0.5という非常に低い値に低下してしまう。二次元の受光素子アレイを用いる場合、各画素に配線を設けるため、配線による光に対する妨害を避けるため、InP基板の裏面からの入射とせざるをえない。
<本発明のポイント>
本発明のポイントは次の点にある。図1を参照して、受光素子または受光素子アレイは、タイプ2型MQW(InGaAs/GaAsSb)を受光層に含む。この受光素子または受光素子アレイにおいて、p型領域6の高濃度範囲6hを深く受光層3内にまで入れて、pn接合15を受光層3内に配置したことがポイントである。画素電極はその受光層上のキャップ層のp型領域6にオーミック接触するように配置する。本発明では、正孔を信号電荷に用いながら、p型領域6の高濃度範囲6hをタイプ2型MQW受光層3にまで深く配置することで、基板入射でもキャップ層入射でも、受光感度または量子効率を高めることができる。そのメカニズムについてはこのあと詳しく説明する(図6参照)。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における受光素子アレイ50を示す図である。受光素子アレイ50は、n型InP基板1/タイプ2型MQW受光層3/InPキャップ層5、の積層体に形成されている。InPキャップ層をn型InP基板1と受光層3との間に挿入してもよい。タイプ2型MQW受光層3は、InGaAs/GaAsSbを、繰り返し積層することで形成されている。p型不純物の亜鉛(Zn)が選択拡散されてp型領域6が形成され、p型領域6の先端部にpn接合15が形成されている。画素Pを構成する受光素子の主体をなすp型領域6は、端面とは選択拡散されていない領域によって隔てられているため、メサエッチングすることなく、簡単な構造で暗電流の低い受光素子50を得ることができる。
受光層3が、上述のように、InGaAs/GaAsSbの積層体で形成される場合には、p型不純物である亜鉛(Zn)を拡散するとき、MQW内のZn濃度を所定レベル以下に抑制するために、拡散濃度分布調整層をInPキャップ層5とMQW受光層3との間に挿入してもよい。図1では、拡散濃度分布調整層が表示されていない。また、光が入射される入射面となるInP基板1の裏面にはSiON膜の反射防止膜35が配置されている。
本実施の形態の受光素子50の特徴は、p型領域6の高濃度範囲6hがInPキャップ層5の表面からタイプ2型MQW受光層3内にまで深く入っている点にある。そして、p型領域6の傾斜濃度範囲6sの先端に位置するpn接合15は、受光層3内に位置する。p型領域6の高濃度範囲6hが、電子の拡散長の厚み以下だけ入っている。
本発明前のpin型フォトダイオードは、図18に示すように、p型領域106は、浅い範囲にとどまっており、InPキャップ層105の表面からタイプ2型MQW受光層103に至る範囲に形成される。すなわち、p型領域の傾斜濃度範囲に相当する部分が、MQW受光層103の少し入った位置に設けられる。受光層3の大部分は、p型化されておらず、アンドープ(i型)か、または上記のように低濃度のn型である。
これに対して本実施の形態の受光素子50では図1に示すように、画素Pまたは受光素子の間には、選択拡散されていない領域が介在しており、各受光素子は、電気的または半導体的に分離されている。p型領域6の形成のための選択拡散に用いられたSiNの選択拡散マスクパターン36は、そのまま残される。さらに、選択拡散マスクパターン36の開口部またはInPキャップ層5の表面および当該選択拡散マスクパターン36を被覆するポリイミド樹脂等の保護膜37が設けられている。
受光素子アレイ50において、各p型領域6は画素Pの主部分に対応しており、p側電極11は画素電極となる。すべての画素電極11に対するn側電極(グランド電極)12は、共通の接地電位に保持される。
図2は、選択拡散マスクパターン36と、p型領域6との関係を説明するための断面図である。図2において、キャップ層5上に形成された選択拡散マスクパターン36は、開口部平均径Q、マスク部の幅M、を有している。開口部の平均径は、開口部が正方形の場合は辺の長さ、円形の場合は直径、長方形の場合は短辺と長辺との平均値などとする。p型領域6の形成の際に、選択拡散マスクパターン36を形成したあと、保護膜37を形成する前に、p型不純物とくに亜鉛(Zn)を拡散によって導入する。本発明においては、p型領域6の高濃度範囲6hを深くして受光層3内にまで入れる。かつ、高濃度範囲6hの先側の傾斜濃度範囲6sの先端に形成されるpn接合15を、受光層3の下面に近い位置に配置する。
選択拡散においては、p型不純物(Zn)は深さ方向にのみ拡散するのではなく、横方向にも広がる。p型不純物は気化された状態で、開口部からキャップ層5に入ってくる。図2に示すように、平均径Dの開口部からキャップ層5に導入されたZnは、キャップ層5の表面で少し横方向に広がり、キャップ層5表面において平均径Dを持つ。すなわち、横方向にtだけにじみ出す。t=(D−Q)/2である。p型領域6の平均径は、キャップ層5表面における平均径Dに代表させることができる。以後の説明において、ことわりなくp型領域の平均径Dと呼ぶ。
本実施の形態では、p型領域の高濃度範囲6hを深く、受光層3内にまで選択拡散させながら、tをできるだけ抑制できる選択拡散条件を用いる。
p型領域の平均径Dは、受光素子アレイ50の感度に直接的に影響し、平均径Dが大きいほうが受光感度は高くなる。一方、あまり平均径Dが大きくなると隣の受光素子と混信が生じ、各画素Pの独立性を保つことができない。このため、マスク部の幅Mは所定値以上必要となる。
図3は、p型領域6のp型不純物(Zn)の厚み方向濃度分布を示す図である。この例では、InPバッファ層2およびInGaAs拡散濃度分布調整層4が、挿入されている。本実施の形態例の濃度分布は太い実線で示し、従来例は破線で示している。選択拡散によって形成されたp型領域6の濃度分布は、高濃度範囲6hと、そこから傾斜して大きく濃度低下してゆく傾斜濃度範囲6sとで構成される。高濃度範囲6hの深さ方向先端が高濃度境界6mである。図3より、高濃度範囲6hでは濃度勾配は緩やかであり、Zn濃度は1E18cm−3程度である。傾斜濃度範囲6sでは、Zn濃度は、1E18cm−3程度から急激に1E16cm−3程度に低下して、さらに深さとともに緩やかに1E15cm−3程度に傾斜する。それから先の濃度勾配は非常に緩やかとなる。
n型InP基板1にはn側電極が設けられるため、1E18cm−3程度のn型不純物(Si)を含んでいる。上記のように、タイプ2型GaAsSb/InGaAsのMQWを形成すると、アンドープでも低濃度のn型不純物を含むようになり、この受光層3はn型不純物のバックグランド濃度を持つ。pn接合15は、p型領域6の傾斜濃度範囲6sと、n型不純物のバックグランド濃度とが、交差する面に形成される。図3では、受光層3におけるn型不純物のバックグランド濃度が1〜2E15cm−3なので、pn接合15におけるZn濃度も同じ濃度となる。
これまで、タイプ2型GaAsSb/InGaAsMQWは、結晶品質が劣化しやすく、高濃度のZnを導入すると、結晶品質が劣化すると言われてきた。たとえば、超格子構造の混晶化という用語があるように、GaAs/AlAsのMQWにZnを導入することで、超格子構造が消失して、混晶化することが説明されている(たとえば「フォトニクスシリース4 超格子構造の光物性と応用、岡本紘 コロナ社、1988年10月25日発行)。超格子構造の機能を消失させる混晶化を利用して、素子の分離化を図る技術等が紹介されている。
しかし、本実施の形態では、このあと説明するように、これまでにない製造方法を開発することで、高濃度のZnをタイプ2型GaAsSb/InGaAsMQWにまで導入しながら、良好な結晶性を確保することができる。
図4は、図1に示す受光素子アレイ50の平面図である。画素ピッチは25μmであり、画素(受光素子)は320×256であり、チップサイズは横10mm×縦9mmである。
図5は、図1に示す受光素子アレイ50と、シリコンに形成されたROICのCMOS70とを組み合わせて形成したハイブリッド型検出装置10を示す断面図である。受光素子アレイ50の画素電極(p側電極)11と、CMOS70の読み出し電極パッド71とが、接合バンプ31を介在させて導電接続されている。反射防止(AR)膜35がInP基板1の裏面に被覆される。光は、基板入射とされ、入射した近赤外光は、InP基板1およびInPバッファ層2を透過して、空乏層が広がる受光層3において受光されて、電子正孔ペアを形成する。空乏層に生成した電子正孔ペアは、逆バイアス電圧によって分離され、本発明の実施の形態では、画素ごとの受光情報は電子と正孔の両方が担うが、特に動きにくい正孔が問題となる。
図6は、タイプ2型のGaAsSb/InGaAsMQWで構成される受光層3のバンド図である。図6(a)は、図1または図2に示すように、p型領域6の高濃度範囲6hが、MQW受光層3内にまで入ったフォトダイオード(画素)に対するバンドであり、図6(b)は、本発明前の真性半導体またはn型半導体のMQW受光層を有するフォトダイオードのバンドである。
図6(b)に示すように、本発明前のMQW受光層では、真性半導体またはn型半導体なので、受光されなければ正孔が存在せず、価電子帯における正孔の各準位はほとんど占有されていない。このため、価電子帯における基底状態の準位も、空席である。このような状態において、受光によって正孔hがGaAsSbの価電子帯に生成する(電子の挙動は今の議論に関係ないので省略する)。受光によって生じた正孔hは、逆バイアス電圧下、ドリフトしながら多数の量子井戸を越えて行く際に、価電子帯における正孔の準位を低い方から占めてゆく。基底状態の準位はエネルギ的に低く安定なので、優先的に占有される。上述のように、GaAsSbの価電子帯の正孔hの準位は、量子井戸の底近いレベルに位置する。図6(b)に示すように、GaAsSbの価電子帯トップとInGaAsの価電子帯トップとの差が、GaAsSbの基底状態の正孔hに対する障壁として作用する。正孔hは、この障壁が高いために、井戸を抜け出して画素電極11に到達することが容易ではなくなる。量子井戸は数百ある。このため画素電極11に到達する前に、生成した正孔の多くが消滅すると考えられる。この結果、受光感度は低下する。
図6(a)に示すように、選択拡散によってp型領域6の高濃度範囲6hが配置されたMQWのGaAsSbでは、基底状態のみならずより高い準位まで多くの準位が、p型不純物由来の正孔hに占有されている。このp型不純物由来の正孔hが、受光で生じた正孔hの踏み台になる。受光で生じた正孔hは、GaAsSbの価電子帯において、高いエネルギレベルの準位を占める。このため、図6(b)のMQWの価電子帯における正孔hに比べて、ドリフトする際、より小さい障壁を越えればよい。図6(a)のMQWでは、p型不純物由来の正孔hがGaAsSbの価電子帯の底上げをしているので、受光で生じた正孔hは井戸障壁は比較的越えやすく、移動の大きな障害にはならない。この結果、本実施の形態の受光素子アレイでは、正孔hは、逆バイアス電圧下、その電界に駆動されて、数百の井戸を比較的容易に越えて画素電極11に到達することができる。この結果、基板入射であっても受光感度は低下せず、良好な感度を保つことができる。すなわち、図19(a)のような基板入射であっても、図19(b)と同様の、またはこれに近い感度を得ることができる。
次に、上記の本実施の形態の受光素子アレイ50の製造方法について説明する。
たとえばSドープの(100)InP基板を用い、そのInP基板1上にOMVPE(Organometallic Vapor Phase Epitaxy)法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法で、エピタキシャル積層体:(バッファ層2/タイプ2型(InGaAs/GaAsSb)MQWの受光層3/InGaAs拡散濃度分布調整層4/InPキャップ層5)を形成する。本実施の形態では、p型領域6の高濃度範囲6hを受光層3内へ電子の拡散長の厚み分以下だけ入れ、かつpn接合15をも受光層3内に配置して、pinフォトダイオードを形成する。各受光素子に共通のn側電極であるグランド電極12はn型InP基板1にオーミック接触するように配置する。
受光層3には、たとえばInGaAs(厚み5nm)/GaAsSb(厚み5nm)を交互に50〜300ペア成長したタイプ2型のMQWを用いる。InGaAsおよびGaAsSbの組成は、InP基板1に格子整合するように設定する。たとえばInGaAsはIn組成を53.1at%程度とし、GaAsSbはSb組成を48.7at%程度とするのがよい。このあとInPからなるキャップ層5を成長する。膜厚はたとえば0.8μmとするのがよい。このあと説明するp型不純物とくにZnの選択拡散濃度分布を調整するために、InGaAsの拡散濃度分布調整層4を、MQW受光層3とInPキャップ層5との間に挿入してもよい(図3および図5参照)。図1および図2に示すように、拡散濃度分布調整層をとくに用いなくてもよい。拡散濃度分布調整層4を挿入する場合、バンドギャップエネルギが比較的低いために不純物濃度が低い厚み部分(受光層側の所定厚み部分)があっても電気抵抗が大きくなりにくいInGaAsで形成するのがよい。
本発明が対象とする受光素子アレイ50は、近赤外域からその長波長側に受光感度を有することを追求するので、キャップ層5には、MQW受光層3のバンドギャップエネルギより大きいバンドギャップエネルギの材料を用いるのが好ましい。このため、キャップ層5には、通常、受光層よりもバンドギャップエネルギが大きく、格子整合がとりやすいInPを用いるのがよい。また、キャップ層5には、InPとほぼ同じバンドギャップエネルギを有するInAlAsを用いてもよい。
以後、受光素子アレイ50の場合について説明するが、基本的な製造方法は受光素子についても変更する必要はない。上述のように、選択拡散マスクパターン36を用いて、開口部に周囲限定して(すなわち選択拡散して)p型不純物を拡散導入する。本発明前の受光素子アレイの場合よりもp型領域6の高濃度範囲6hをタイプ2型(InGaAs/GaAsSb)MQW内に、そのMQW内に電子の拡散長の厚み分以下だけ入れるので、MQWの結晶構造が損傷されないようにする必要がある。上述のように、MQWにZnを高濃度に導入して混晶化してその本来の機能を消失させる技術さえも開発されている。本実施の形態では、Znを高濃度にMQW内に導入しながら、その本来の機能を発揮させるために結晶構造を損傷させない必要がある。
Znの選択拡散には、図7に示すように閉管法を用いる。すなわち石英管29中に、選択拡散マスクパターン36を形成した半導体ウエハ50aと、リン化亜鉛(Zn)を真空封入して、加熱してZnを気化させる。その気化したZnを選択拡散マスクパターン36の開口部からキャップ層/受光層へと拡散させる。同時にリン圧をかけることによりキャップ層を形成するInPの脱燐を防止するために配置する。真空封入では、1×10−5torr程度以上の高真空、たとえば1×10−6torr程度に排気するのがよい。問題は温度である。真空封入した石英管29を、所定の温度に加熱する。
従来、受光層が単一相であろうと、MQWであろうと、Znを選択拡散するときは、600℃台の温度、または広く見積もって550℃〜650℃の範囲に加熱して選択拡散していた。しかし、タイプ2型(InGaAs/GaAsSb)MQWの結晶構造は脆弱であり、とくにGaAsSbは分解しやすい。本発明の実施の形態では、上記の加熱温度を450℃〜530℃という極めて低い温度にする。従来、このような低い温度域でZnをInP系受光素子に選択拡散することはなかった。本発明者らは、高濃度の不純物の存在下で、600℃を超える温度に加熱すると、GaAsSbが損傷されることを確認した。選択拡散が実用上成立しながら、高濃度Znの存在下でも、GaAsSbが損傷されない選択拡散の温度域および時間を設定することができたのである。
選択拡散を行ったあと、保護膜37を選択拡散マスクパターン36、キャップ層5を被覆するように配置する。保護膜37には、SiON等を用いることができる。さらに、p側電極である画素電極11、およびn側電極であるグランド電極12、を蒸着法、フォトリソグラフィ法、エッチングによって所定の位置に形成する。画素電極11はAuZnにより、またグランド電極12はAuGeNiにより、それぞれの半導体領域にオーミック接触するように形成する。また、InP基板1の裏面には全面に、SiONのAR膜35を形成する。
本発明例においてpn接合15は、次のように、広く解釈されるべきである。受光層3内において、p型不純物元素Znが選択拡散で導入される側と反対側の領域(バッファ層2)の不純物濃度が、真性半導体とみなせるほど低い不純物領域(i領域と呼ばれる)であり、上記拡散導入されたp型領域6と当該i領域との間に形成される接合をも含むものである。すなわち上記のpn接合は、pi接合などであってもよく、さらに、これらpi接合におけるp濃度が非常に低い場合も含むものである。もちろん上述したように、アンドープMQWが意図することなく低濃度のn型不純物を含んでn型化していてもよい。
上記の製造方法によれば、深さ方向に深い位置にまで、p型不純物を到達させながら、従来と同様に、素子分離用のメサエッチングをすることなくZnの選択拡散(受光素子の周縁部の内側になるように平面的に周囲限定した拡散)によって、隣り合う受光素子どうしが分離される。すなわち、Zn選択拡散領域6が1つの画素部Pの主要部となるが、Znが拡散していない領域が、各画素を分離する。このため、メサエッチングに付随する結晶の損傷などを受けることがなく、暗電流を抑制することができる。
図8は、図1に示す受光素子アレイの受光素子版(単一フォトダイオード版)を示す。これまでの受光素子アレイについての説明をそのまま適用することができる。
(実施の形態2−光学センサ装置(1)−)
図9は、本発明の実施の形態2における光学センサ装置20である撮像装置または視界支援装置を示す図である。本視界支援装置は、自動車の夜間運転における運転者の前方の視界を支援するために、車両に搭載される。車両には、実施の形態1において説明した受光素子アレイ50と、図示しない、CMOSやレンズなど光学素子等とを含むハイブリッド型検出装置10と、撮像された画像を表示する表示モニタ61と、これらを駆動制御する制御装置60とが搭載される。また、図10は、自動車の夜間運転における運転者の後方の視界を支援するために、車両に搭載される、夜間後方の視界支援装置を示す図である。自動車の後部に後ろ向きに取り付けられた、実施の形態1の受光素子アレイ50、CMOS、レンズなど光学素子等を含むハイブリッド型検出装置10で撮像した画像は、運転者の上部前方の表示装置61に表示される。ハイブリッド型検出装置10(もしくは受光素子アレイ50)および表示装置61は、制御装置60によって駆動制御される。
本発明より前の車両用視界支援装置では、物体からの赤外域の反射光または放出光を受光して画像とするため、次のような問題があった。反射光を利用する場合、光源が必要であり、搭載スペースを要し、またコスト増となる。また、物体の放射熱を利用する場合、人以外の非発熱体や防寒具を着た歩行者等は認識が難しいため、赤外カメラ以外の認識手段と併用する必要がある。また、光源を使う場合、使用する波長域によっては人体への影響、すなわちアイセーフ対策を講じる必要がある。
本実施の形態における視界支援装置では、上記のような余分の光源やアイセーフ対策は不要である。また、撮像対象の発熱、非発熱を問わない。さらに霧中など水分を含む環境中でも、対象物の鮮明な画像を得ることができる。このため夜間における優れた車両用の視界支援装置を提供することができる。これは、物体からのSWIR(Short Wavelength Infra Red)帯の宇宙光の反射光を利用して、かつ暗電流が十分少なく、優れたダイナミックレンジ(S/N)を持つ受光素子を用いているからである。
上記は自動車の視界支援装置であるが、その他、暗視装置、航海支援装置、侵入者監視装置、室内監視装置、高い位置に配置した都市火災監視装置等に利用することができる。
(実施の形態3−光学センサ装置(2)−)
図11は、本発明の実施の形態3における光学センサ装置20である生体成分検出装置を示す図である。図11において、受光部に上述のハイブリッド型検出装置10を用い、グルコースの近赤外域の長波長域に位置する吸収帯を用いて濃度測定を行う。本実施の形態では、生体を透過した近赤外光を測定してグルコース濃度を求める。人体の反射光を用いてもよい。光は次の経路を通る。
光源63→照射用ファイバ64→検出部位(ユビ)→情報搭載光ファイバ65→回折格子(分光器)91→ハイブリッド型検出装置10→制御部85
なお分光器は光源と照射用ファイバの間においても良い。
検出部位において血液成分の吸収スペクトルを得ることで、制御部85において血糖値の絶対値、またはその相対値もしくは大小を検出することができる。図11に示す例は、ヒトの指の透過光を受光するが、皮膚、筋肉、血液など多くの生体組織の情報を得ることができる。
レファレンス信号の測定は、生体(指)の装入時には退き、生体が退いた時に装入されるように、アクチュエータ67によって駆動される基準板の透過光によって行う。基準板の厚みは、基準板の材料にもよるが透過光の光量が十分あるように薄くしておくのがよい。基準板の移動は、アクチュエータ67によって行うことで、位置や姿勢(角度)のばらつきが生じないようにする。
上記は、ハイブリッド型検出装置10を光学センサ装置20に組み込み、人体透過光による血糖値の測定に用いた例であるが、その他、人体反射光による血糖値、体脂肪、眼の角膜のコラーゲン、顔面のコラーゲン分布像などの測定に用いることができる。
(実施の形態4−光学センサ装置(3)−)
図12は、本発明の実施の形態4における光学センサ装置である、生体中の水分検出装置(眼の水分布像形成装置)を示す図である。眼の不具合には、乾き眼、なみだ眼、など水分と関連した症状が多い。このような症状が出たとき、図12に示すように、角膜Cだけでなく、眼Eの前面すべての水分布イメージをとることで、その症状を評価することができる。たとえば涙腺に対応する箇所で、水濃度が異常に高いなどを検出することが可能である。凹面鏡68は近赤外光に対する反射率が大きいものを用いるのがよく、たとえば金(Au)で形成したものを用いる。凹面鏡68は、眼の正面ではなく傍らに位置して、光源63から発して眼の各部からの光を反射して、眼の各部の像をハイブリッド型検出装置10による撮像装置に結像させるようにする。フィルタ69は、水の吸収帯に属する1.4μm付近の光または1.9μmの付近の光を透過させるものがよい。制御部85のマイクロコンピュータ85bは、ハイブリッド型検出装置10の画素の出力信号に基づいて、眼Eにおける水分布像を形成し、表示装置85cに表示する。本発明に係る撮像装置10は、暗電流が低く、長波長側にまで感度が高いため、S/N比の高い、鮮明な水分布像を得ることができる。このため、眼における水の果たす作用、水の動きなどの理解に役立つ。
眼は光に対して非常に敏感に反応するので、できれば光源63は使用しないことが好ましい。たとえば、このSWIR宇宙光のスペクトルのピークIを、光源に用いることができる。ピークIの波長は、1.4μm付近にあり、水の吸収帯に属する波長である、このため、光源63を除いて、SWIR宇宙光で代用することができる。または、人工の光源63を用いるにしても、光を近赤外域に限定して、しかもそのピーク値をSWIR宇宙光のピーク強度のたとえば2倍とすることでもよい。上記SWIR宇宙光を光源にすることでアイセーフが確実に実現される。上記のように、SWIR宇宙光を用いたり、強度レベルの低い光源を用いることができるのは、本実施の形態に係る撮像装置を構成するハイブリッド型検出装置10の暗電流を低くできるからである。すなわち微弱な信号でも、鮮明な画像を形成することができるからである。
上記は生体の部分である眼の水分検出装置の例であるが、このほか、自然産物の水分測定(メロンの水分測定(品質検定)、水分による籾混入率の測定、他の果物、海苔、魚介類、乳製品など)、角膜矯正手術における角膜水分測定、顔面肌など生体の水分測定、紙製品の水分測定、自動排油装置中の油中の水分測定、汚泥の脱水ケーキの水分測定、石炭の水分測定、衣類乾燥機における衣類の水分測定などに用いることができる。
(実施の形態5−光学センサ装置(4)−)
図13は、ごみの燃焼炉においてごみの温度分布を得るための温度分布測定装置20である。また図14は温度分布撮像装置20aを示す図である。ごみ燃焼炉では、炭素または炭化水素は塊状であり燃料に適した形態で存在するわけではないので、すすは少なく、また水分が多量に存在する。図15は、ごみ燃焼炉における近赤外スペクトルを示すが、水の発光スペクトル波長λ,λが顕著である。本実施の形態においては、水の発光スペクトルが温度によって変化することを利用して、図16に示す水の吸収スペクトルと合わせて、水の濃度と温度とをモニタリングする。図16中、(K1)および(K2)は、それぞれ10mmおよび1mmのキュベットセルを用いて測定したものである。発光スペクトルの強度は、水の濃度にも比例するので、2つの発光ピーク波長だけでは、精度のよい測定が難しいので、吸収スペクトルも用いる。
温度分布撮像装置20aでは、干渉フィルタ10aが重要である。干渉フィルタ10aは、上記の水の発光ピーク波長λ,λ、および複数の吸収ピーク波長のそれぞれに透過波長をもつフィルタとする。たとえば吸収ピーク波長は、図16に示すように、近赤外域に2つの鋭いピークM2,M3をもつが、干渉フィルタ10aは、これらの波長の光を通すようにする。したがって、干渉フィルタ10aは、上記の2つの発光ピーク波長と合わせて全部で4種類、または4つの透過波長のフィルタを配置することになる。外部の操作によって自動的に、これら4種類の干渉フィルタを選択する自動選択機構を設けることが望ましい。レンズ等の光学系10cについても自動的にピントを合わせる自動焦点機構を設けるのがよい。たとえば、上記4種類の干渉フィルタに対応して、4つの波長の光について、ごみまたはその少し上方の撮像を行う。これによって4つの波長の像を得ることができる。
予め、水蒸気温度および水蒸気濃度を変えた空気について、上記の波長における光の強度を求め、温度の回帰式を求めておくことができる。この温度回帰式を制御部のマイコン85bに記憶させておく。上記の撮像によって、各位置において、波長ごとの強度を得ることができる。上記の温度回帰式を用いれば、各位置において、温度を求めることができる。このように、水の温度および濃度を両方ともモニタすることで、ごみの燃焼状態を精度よく検知することができる。
従来は、多くの温度センサをごみ焼却装置内に配置していたが、本実施の形態の装置を、焼却炉の上方部または頂部に配置することで、温度センサの数を削減することができる。
(実施の形態6−光学センサ装置(5)−)
図17は、本発明の実施の形態6の光学センサ装置である気体モニタリング装置20を示す。この気体モニタリング装置20は、ガス中の不純物をモニタリングする。光源63に発振波長1371μm付近(図16のM2に対応)の半導体レーザを用い、ビームスプリッタ93や鏡94を用いて、2ビームに分け、一方を測定対象のプロセスガスが導入されるサンプルセルを通し、他はキャンセル用ビームとする。光強度測定には、直流ノイズ成分を除去するため、ロックイン検波を行う。
2つの光検出器(受光素子)50の内容が重要である。従来はプリアンプ付きのゲルマニウムフォトダイオードが用いられていたが、本実施の形態では、2つの受光素子50,50に、図1または図8に示す受光素子アレイまたは受光素子を用いる。このため、暗電流が低く、感度の良い近赤外域での分光測定が可能となる。また、1つの波長だけでなく、図16に示した吸収ピーク波長のどれも選択することができる。したがって、図16のM1,M3に対応する半導体レーザ装置を準備することにより、3つの波長で水分濃度をモニタリングすることができる。これによって、プロセスガス中、最も望ましくない不純物である水分の濃度を、より高精度でモニタすることが可能になる。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の受光素子等によれば、受光で生じた電子正孔対について、特にタイプ2型の量子井戸において移動度の小さい正孔を動きやすくすることで、基板入射でも近赤外域に良好な感度を持つことができる。このため、工業、医学、生活物資等の分野において、高品質の製品を得ることができるようになる。
1 InP基板、2 バッファ層、3 受光層、4 拡散濃度分布調整層、5 キャップ層、6 p型領域、6h 高濃度範囲、6m 高濃度範囲の端、6s 傾斜濃度範囲、9 キャップ層表面でのp型領域と周囲との境界、10 ハイブリッド型検出装置、10a、10c 検出装置に付加される光学部品(干渉フィルタ、レンズ等)、11 p側電極(画素電極)、12 n側電極(グランド電極)、15 pn接合、20 光学センサ装置、20a 温度分布撮像装置、29 石英管、31 接合バンプ、35 反射防止膜、36 選択拡散マスクパターン、37 保護膜、50 受光素子アレイ、50a InPウエハ、60 制御装置、61 表示装置、63 光源、64 照射用光ファイバ、65 情報搭載光ファイバ、67 アクチュエータ、69 フィルタ、70 CMOS(読み出し回路)、71 パッド(読み出し電極)、72 グランド電極、76 凹面鏡、85 制御部、85b マイコン、85c 表示部、91 回折格子(分光器)、D キャップ層表面でのp型領域の平均径、f キャップ層表面から高濃度範囲の端までの距離、M マスク部の幅、Q 開口部の平均径、P 画素、t キャップ層表面における開口部端からp型領域の端までの距離(横方向にじみ距離)。

Claims (10)

  1. InP基板上に、複数の受光素子が配列された受光素子アレイであって、
    前記InP基板の上に位置する、タイプ2型の多重量子井戸構造からなる受光層と、
    前記受光層の上に位置するキャップ層と、
    前記受光素子ごとの、前記キャップ層表面から前記受光層へと届くp型領域とを備え、
    前記受光層を構成するタイプ2型の多重量子井戸構造は、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つであり、
    前記p型領域は、p型不純物が深さ方向に選択拡散によって形成されており、隣の受光素子における前記p型領域とは、選択拡散されていない領域により隔てられており、
    前記p型領域は、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成され、前記高濃度範囲が前記キャップ層を経て前記受光層内に入っており、該受光層内において、前記傾斜濃度範囲と、前記受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面がpn接合を形成していることを特徴とする、受光素子アレイ。
  2. 前記p型領域の高濃度範囲は、前記受光層に電子の拡散長の厚み分以下だけ入っていることを特徴とする、請求項1に記載の受光素子アレイ。
  3. 前記高濃度範囲の先端部のp型不純物濃度が、1E17cm−3以上5E18cm−3以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の受光素子アレイ。
  4. 前記p型領域の高濃度範囲の先端部が、前記キャップ層表面から深さ0.4μm以上にあり、画素の暗電流が1nA以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の受光素子アレイ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の受光素子アレイと、シリコンに形成された読み出し回路とを備えたハイブリッド型検出装置であって、前記受光素子アレイのp型領域に配置したp側電極ごとに、前記読み出し回路の読出電極とが導電接続されていることを特徴とする、ハイブリッド型検出装置。
  6. 前記受光素子アレイにおけるInP基板の裏面から光を入射することを特徴とする、請求項5に記載のハイブリッド型検出装置。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の受光素子アレイ、または請求項5〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド検出装置を用いたことを特徴とする、光学センサ装置。
  8. InP基板上に形成された受光素子であって、
    前記InP基板の上に位置する、タイプ2型の多重量子井戸構造からなる受光層と、
    前記受光層の上に位置するキャップ層と、
    前記キャップ層表面から前記受光層へと届くp型領域とを備え、
    前記受光層を構成するタイプ2型の多重量子井戸構造は、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つであり、
    前記p型領域は、深さ方向に選択拡散によって形成されており、選択拡散されていない領域により囲まれており、
    前記p型領域は、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に、急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成され、前記高濃度範囲が前記キャップ層を経て前記受光層内にまで入っており、該受光層内において、前記傾斜濃度範囲と、前記受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面がpn接合を形成していることを特徴とする、受光素子。
  9. InP基板上に、受光素子が配列された受光素子アレイを製造する方法であって、
    前記InP基板の上に、タイプ2型の多重量子井戸構造の受光層を成長する工程と、
    前記受光層の上にキャップ層を成長する工程と、
    前記キャップ層から前記受光素子ごとにp型不純物を選択的に拡散してp型領域を形成するために、開口部を有する選択拡散マスクパターンを該キャップ層上に形成する工程と、
    前記選択拡散マスクパターンの開口部からp型不純物を選択拡散する工程とを備え、
    前記選択拡散工程では、前記p型領域を、前記キャップ層表面から延在する高濃度範囲と、該高濃度範囲から深さ方向に、急峻に濃度が低下して緩い勾配になる傾斜濃度範囲とから構成して、前記高濃度範囲を前記キャップ層を経て前記受光層内に届くようにして、該受光層内において、前記傾斜濃度範囲と、前記受光層におけるn型不純物のバックグランド濃度との交差面をpn接合とすることを特徴とする、受光素子アレイの製造方法。
  10. 前記キャップ層をInP層とし、前記受光層を、(GaAsSb/InGaAs)、(GaAsSb/InGaAsN)、(GaAsSb/InGaAsNP)、および(GaAsSb/InGaAsNSb)のうちのいずれか1つのタイプ2型の多重量子井戸構造として、前記p型不純物に亜鉛を用い、前記選択拡散工程では、閉管法によって、温度450℃以上530℃以下、かつ拡散時間90分以上350分以下、の条件で選択拡散することを特徴とする、請求項9に記載の受光素子アレイの製造方法。
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