JP2008510099A - 別個の連結過程及び始動過程を有する内燃機関のための始動装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、自動車の内燃機関の始動装置であって、スタータモータ（１）、該スタータモータ（１）によって駆動されるピニオン（１０）をリングギヤ（１１）に噛み合わせるための作動部材（２）を備えた連結装置（２，１０，１３）、並びに作動部材（２）に対応配置されたオン・オフ段（7）及びスタータモータ（１）に対応配置されたオン・オフ段（８）を制御する制御ユニット（６）を有している形式のものに関する。始動装置がこの制御ユニット（６）を有していると、内燃機関の始動時間を著しく減少させることができる。

Description

本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の、自動車の内燃機関の始動装置に関する。

自動車の内燃機関は、一般にスタータモータによって始動され、このスタータモータは、車両バッテリから電流を供給される。公知のスタータモータはいわゆるソレノイドスイッチを有しており、このソレノイドスイッチによって、スタータモータにより駆動されるピニオンが、内燃機関のフライホイールに取り付けられたリングギヤに噛み合わされる。イグニッションロックは始動位置において、ソレノイドスイッチに給電する電流回路を閉じるので、ピニオンが連結レバーを介して前方に向かってリングギヤの方に運動させられる。この場合、一般に「歯‐歯位置」が生ぜしめられ、この「歯‐歯位置」ではピニオンが回動された後に初めてリングギヤの歯溝に噛み合うことができる。リレー経路の終端部あたりで、ソレノイドスイッチはコンタクトを介してスタータモータの主電流回路を閉じ、これにより、スタータモータが給電されて回転を開始する。この回転開始直後にピニオンは完全にリングギヤに噛み合う。これにより、スタータモータはピニオンと、このピニオンを介して内燃機関のリングギヤとを駆動する。これにより、内燃機関もやはり回転を開始する。イグニッションキーのリリースにより、最終的にリレー電流回路は中断されて、ピニオンは戻しばねによって係合解除される。

ヨーロッパ特許第０８４８１５９号明細書から、連結過程を本来の始動過程とは無関係に実施するために、ソレノイドスイッチとスタータモータとを、電子制御装置及び２つのオン・オフ段を介して別個に制御することが公知である。これにより、例えばピニオンを既に内燃機関の静止状態において噛み合わせ且つ運転者による始動要求（イグニッションロックの回動）のあった場合に初めて本来の始動過程を実施することが可能になる。この過程を前噛合いと呼ぶ。これにより、特に自動車のスタート・ストップ運転において車両の新たな始動を早めることができる。それというのも、ピニオンが既に噛み合わさった位置に位置しているからである。但し、内燃機関の静止状態におけるピニオンの早期噛合いは、ソレノイドスイッチが作動してピニオンが軸方向でリングギヤにぶつかるか、又は噛合い時に回転しながらリングギヤの歯面にぶつかった場合に、噛合い過程によってはっきりと聞こえるクラックノイズが発生するという欠点を有している。このことは、運転者を苛立たせて不快にする。

従って本発明の課題は、スタータによって生ぜしめられる噛合いノイズが著しく少ない内燃機関の始動装置を提供し、更に、始動過程を大幅に短縮することである。

この課題は本発明に基づいて、請求項１記載の構成により解決される。本発明の別の構成は従属請求項に記載されている。

本発明の本質的な思想は、ピニオンの噛合い時に連結装置の作動部材（例えばソレノイドスイッチのプルインコイル又は電動モータ）にフルにではなく、部分的にのみ給電し、この目的のために連結装置の作動部材及びスタータモータを、例えばタイミング制御により適当に調節される電流で作動させるという点にある。これにより、連結装置は比較的低速で作動し且つピニオンがフル給電時よりも低速で前進し、延いてはピニオンがリングギヤに衝突する際のクラックノイズがあまりうるさくない。スタータモータの前記の付加的な一時的な給電により、ピニオンは完全にリングギヤに噛み合う。このことは低電流で行われるので、ピニオンは噛合い時に低い回転速度延いては低ノイズを以てしか、リングギヤ歯の歯面にぶつからない。

噛合いノイズは、ソレノイドスイッチが給電される一方で内燃機関はまだ回転しており、これにより、噛合いノイズがエンジンノイズにより隠蔽されると、特に目立たない。従って、例えば信号の手前の車両のスタート・ストップ運転に際してエンジンが自動的に遮断され且つ規定された回転数しきい値を下回った場合に、ソレノイドスイッチは、有利には既に内燃機関の惰性運転段階中に制御される。噛合い装置の摩耗を最小限に保持するために、前記回転数しきい値は、有利にはエンジンのアイドリング回転数を大幅に下回っている。

スタータモータは、一般に搭載電源の電圧降下をもたらす恐れのある、極めて高い始動電流を必要とする。従ってスタータモータは、車両の搭載電源を過大に負荷しないために、制御ユニットによって有利にはソフト起動で運転される。この目的のためには、スタータモータのオン・オフ段が、有利にはやはり例えばタイミング制御によって適当に調節された電流により制御される。このようなスタータモータの主電流の制御によって、消費電流が制限され延いては搭載電源における電圧降下が回避若しくは減少される。

車両の搭載電源を過大に負荷しないようにするためには、スタータモータは更に、搭載電源の性能に関連して様々な出力で駆動され得る。搭載電源の性能は、例えば電源電圧の監視又はバッテリ状態の分析により、公知の形式で検知することができる。即ち、搭載電源の性能が低いと、スタータモータの主電流が低下されるか、又は始動が完全に中断される恐れがある。

更に、噛合い過程を本来の始動過程若しくは起動過程から分離することによる、本発明に基づく前噛合いは、クランクシャフトを内燃機関の静止状態において、内燃機関の始動に最適な位置へもたらすことを可能にする。このためには、スタータモータを制御ユニットにより適当に制御するだけでよく、これにより、スタータモータは所望の位置にもたらされ、この場合、クランクシャフトの位置はセンサで検出される。クランクシャフトが本来の起動前に最適な位置に位置していると、始動時間を更に短縮することができる。

連結装置及びスタータモータの作動部材のオン・オフ段は、有利には半導体スイッチ、特にトランジスタとして実現されている。

制御ユニットは、有利にはバスシステムを介して別の制御装置と接続されており、この別の制御装置は、例えば車両のスタート・ストップ運転に際しての運転者の要望を検知するか、又は搭載電源の出力状態を規定し且つ前記制御ユニットと連通している。逆の方向で制御ユニットが、リレーコンタクト又は作動部材及び電動モータのオン・オフ段で場合によっては生じるエラーを伝達することができる。これらのエラーは、有利には規定された時点での電流測定若しくは電圧測定及び制御ユニット内での妥当性モニタによって検出される。

以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

図1には、自動車の内燃機関を始動させるためのスタート・ストップシステムのスタータ装置の概略図が示されている。このスタータ装置は主としてスタータモータ1を有しており、このスタータモータ1は、該スタータモータ１によって駆動されるピニオン１０を、内燃機関のフライホイール（図示せず）に配置されたリングギヤ１１に噛み合わせるための作動部材２を備えている。噛み合った状態でスタータモータ1が給電され延いては内燃機関が始動される。この実施例では作動部材２がソレノイドスイッチとして構成されているが、例えば小型電動モータとして実現されていてもよい。

スタータ装置は２つのオン・オフ段８；７を有しており、これらのオン・オフ段８；７は、それぞれスタータモータ1若しくはソレノイドスイッチ２に対応配置されている。この場合、オン・オフ段８はスタータモータ１の主電流を切り換え、オン・オフ段７はソレノイドスイッチ２のプルインコイルの電流を切り換える。この目的のためにオン・オフ段７，８は、それぞれ少なくとも１つのトランジスタスイッチを有しており、これらのトランジスタスイッチの制御端子は制御ユニット６に接続されており、この制御ユニット６によって制御される。これにより、連結装置２，１０，１３の作動部材２をスタータモータ1とは無関係に若しくは別個に、例えばタイミング制御された電流等の特に適切に調節された電流を以て制御し、延いては連結過程を本来の始動過程から時間的に独立させて実施することが可能になる。

第１のオン・オフ段７は、制御ユニット６と一緒に制御装置３に組み込まれている。これに対してスタータモータ１のオン・オフ段８は別個に実現されている。それというのも、スタータモータ１のオン・オフ段８は高い電流を切り換えねばならないからである。

図示の回路は、車両のスタート・ストップ運転に際してピニオン１０を、内燃機関が自動的に遮断された後で、例えば内燃機関がまだ惰性運転しているときに、リングギヤ１１に噛み合わせることを可能にする。これにより、噛合いノイズがエンジンノイズと重なり合い、延いては運転者にほとんど聞こえなくなり、不都合には作用しないということが達成される。選択的に、ピニオンは内燃機関の静止状態において噛み合わせられてもよい。

連結過程は、作動部材２及びスタータモータ１の例えばタイミング制御によって適合された制御に基づき特にソフトに（低速で）実施され、これにより、噛合いノイズが低下される。

ピニオン１０が直接にリングギヤ１１の歯溝に滑り込むのではなく、軸方向でリングギヤ１１の歯の端面にぶつかる場合に関しては、ピニオン１０が更に前方に運動できるようにするために、ピニオン１０をリングギヤ１１に対して回動させる必要がある。このためには、スタータモータ１がオン・オフ段８の例えばタイミング制御によって適合された制御によりソフトに起動される。スタータモータ１のこの低速起動に基づいて、ピニオン１０及びリングギヤ11の摩耗も著しく減少する。

（例えば運転者がアクセルペダルを操作することにより）運転者の始動要求を検知すると、内燃機関を始動させるために、スタータモータ１が比較的大きな出力で駆動される。本実施例では、運転者の始動要望は付加的な制御装置５によって検知される。この制御装置５は、例えばクラッチ操作、ブレーキ操作、ギヤセレクトレバーの位置及び／又はイグニッションロック４の位置を検知可能な、走行状況検知用センサの様々なセンサ信号を評価する。この場合、これらのセンサ信号は入力値Ｆとしてまとめられている。制御装置５がスタート条件又はストップ条件を検知すると、対応する状況信号がバスシステム１２を介して制御ユニット６に伝達される。

運転者が始動を所望した場合、スタータモータ１は、有利には車両の搭載電源に十分なエネルギが供与されている場合にのみ、フルに給電される。さもなければ、スタータモータ１は低出力で運転されて、主電流が、例えばタイミング制御により適合されたオン・オフ段８の制御を介して適宜減少される。このことは、さもなければ発生する、スタータモータ１の接続時の一時的な著しい電圧降下を防止するためにも役立つ。搭載電源の性能を規定するためには、有利には従来技術から公知の、バッテリ９の充電状態（ＳＯＣ）又は劣化状態（ＳＯＨ）を検知するバッテリ状態検知が規定されている。この場合、バッテリ９の性能は制御ユニット６によって考慮される。

図１に示した、全ての電力消費装置を備えた搭載電源は、スタータバッテリ９によって電力を供給される。オン・オフ段７，８の出力端子は、それぞれ搭載電源の供給線路に接続されている。

図２には、スタート・ストップ運転中の内燃機関の始動に際する主要な方法ステップが示されている。この場合、ブロック２０は連結過程を表しており、この連結過程では、ピニオン１０が作動部材２（例えばソレノイドスイッチ）のタイミング制御された給電に基づき前方に向かって矢印Ａの方向で運動され且つ当該ピニオン１０が直接に噛合い位置へ行かない場合は、スタータモータ１が場合によってはソフトに起動される。噛合い位置において、ピニオン１０の歯はリングギヤ１１の溝に噛み合う。

ステップ２１では、内燃機関のクランクシャフト（図示せず）を位置決めする。この場合、クランクシャフトは始動に最適な位置へもたらされる。この目的のためには、スタータモータ１がタイミング制御され、クランクシャフトが目標位置に到達するまで回転される。このことはステップ２２においてセンサにより検知される。この段階では運転者の要望が常に監視され、例えばアクセルペダルの操作に基づいてか、運転席ドアの開放後又は着席検知に基づいて始動要望が検知されると、ステップ２３においてスタータモータ１が起動される。内燃機関が自動回転すると直ちに、ステップ２４においてピニオン１０は再び係合解除される。

制御ユニット６が作動部材２及びスタータモータ１を、車両の始動過程前にピニオン１０がリングギヤ１１に噛み合うように、運転者が新たな始動要望を表す前に制御することも可能である。原則的に、作動部材2及びスタータモータ１は、それぞれ適当に調節された電流で以て制御ユニット６により別個にタイミング制御されてもよい。

図３は、車両のスタート・ストップ運転における主要な特性値の時間ダイヤグラムを示している。ここではエンジン回転数ｎ、連結距離ｓ及びスタータモータ１の電流Ｉが示されている。

図示のスタート・ストップサイクルは、内燃機関がアイドリングで回転している状態で始まる。この場合、（運転者は例えば信号の手前で停止しているので、）内燃機関はｔ１の時点で自動的に遮断される。内燃機関は更に惰性回転し、この場合、エンジン回転数ｎは低下する。内燃機関が完全に停止する直前のｔ２の時点で、図３の真ん中の図において判るように、ピニオン10がリングギヤに噛み合う。次いでｔ３の時点で、内燃機関は完全に停止する。

その後、ピニオン10が噛み合ったままの状態で、上で説明したようにクランクシャフトを位置決めするために駆動される。ｔ４の時点で制御ユニット6が運転者の始動要望を検知し、これに対応してスタータモータ１を作動させる。このスタータモータ１の所属の始動電流Ｉは、図３の最下位のダイヤグラムに示されている。内燃機関を少し回転させると、内燃機関は自動的に回転するので、ピニオン１０はｔ５の時点で再び係合解除される。この過程はスタート・ストップサイクル毎に繰り返される。

本発明は、上で述べたようにスタート・ストップシステムに関して説明したが、このようなスタート・ストップシステムに限定せずに、別個の連結過程及び始動過程を実現したい場合は、内燃機関用の従来の始動装置においても使用可能である。

本発明の1実施例によるスタート・ストップシステムの概略構成図である。 スタート・ストップ運転中の内燃機関の始動における主要な方法ステップのフローチャートを示した図である。 スタート・ストップ運転における主要な値の時間ダイヤグラムを示した図である。

Claims (11)

1. 自動車の内燃機関の始動装置であって、スタータモータ（１）、該スタータモータ（１）によって駆動されるピニオン（１０）をリングギヤ（１１）に噛み合わせるための作動部材（２）を備えた連結装置（２，１０，１３）、並びに作動部材（２）に対応配置されたオン・オフ段（7）及びスタータモータ（１）に対応配置されたオン・オフ段（８）を制御する制御ユニット（６）を有している形式のものにおいて、
   ピニオン（１０）をリングギヤ（１１）に噛み合わせるために、作動部材（２）とスタータモータ（１）とが制御ユニット（６）により適当に調節された電流で別個に制御されることを特徴とする、内燃機関のための始動装置。
2. 作動部材（２）及びスタータモータ（１）が制御ユニット（６）によりタイミング制御される、請求項1記載の装置。
3. 制御ユニット（６）がスタータモータ（１）を内燃機関の静止状態において制御し、これにより、クランクシャフトが内燃機関の始動に適した位置へもたらされる、請求項１又は２記載の装置。
4. 制御ユニット（６）が作動部材（２）及びスタータモータ（１）を、車両の始動過程前にピニオン（１０）がリングギヤ（１１）に噛み合うように、運転者が新たな始動要望を表す前に制御する、請求項１から３までのいずれか1項記載の装置。
5. 運転者が新たな始動要望を表す前の、スタート・ストップ運転における各始動過程の前にピニオン（10）がリングギヤ（１１）に噛み合う、請求項１から４までのいずれか1項記載の装置。
6. 特に運転席ドアの開放後又は着席検知に基づいて始動過程が考慮されると、ピニオンがリングギヤに噛み合う、請求項１から４までのいずれか1項記載の装置。
7. 内燃機関の始動段階中に作動部材（２）が噛合い位置へもたらされるように制御ユニット（６）が作動部材（２）を制御する、請求項１から６までのいずれか1項記載の装置。
8. 制御ユニット（６）が、スタータモータ（１）を搭載電源の性能に関連して制御する、請求項１から７までのいずれか1項記載の装置。
9. オン・オフ段（７，８）がトランジスタスイッチを有している、請求項１から８までのいずれか1項記載の装置。
10. 制御ユニット（６）が、バスシステム（１２）を介して別の制御装置（５）と接続されている、請求項１から９までのいずれか1項記載の装置。
11. 制御ユニット（６）が、妥当性モニタを用いたリレーコンタクト及びオン・オフ段（７，８）の電流測定及び／又は電圧測定によってエラーを検出し、これらのエラーをバスシステム（１２）を介して伝達する、請求項１から１０までのいずれか1項記載の装置。

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