JP2010236553A - エンジン自動停止始動制御装置 - Google Patents

エンジン自動停止始動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの自動停止によるエンジン回転降下期間中に再始動要求が発生したときに、エンジン回転速度に応じた適正な再始動制御を行うことができるようにする。
【解決手段】第2の回転速度領域(N1 ≧Ne >N2 )で再始動要求が発生したときには、リングギヤの回転速度がピニオンの回転速度よりも高く且つリングギヤの回転速度とピニオンの回転速度との回転速度差が所定値以下となるまでモータによりピニオンを回転駆動させ、アクチュエータによりピニオンをリングギヤに噛み合わせる際に、ワンウエイクラッチが空転した後、リングギヤの回転速度の低下とピニオンの回転速度の上昇に伴って、ワンウエイクラッチがロックしてモータからピニオンへ動力が伝達されることによりスタータによるクランキングを開始してエンジンを再始動させる第2の再始動制御手段を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときにエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置に関する発明である。
近年、エンジン(内燃機関)を搭載した車両においては、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、エンジン自動停止始動制御システム(いわゆるアイドルストップ制御システム)を採用したものがある。このエンジン自動停止始動制御システムは、例えば、運転者が車両を停車させたときにエンジンを自動的に停止させ、その後、運転者が車両を発進させようとする操作を行ったときに自動的にスタータでエンジンをクランキングして再始動させるようにしている。
一般に、スタータは、モータでピニオンを回転させると共に、アクチュエータでピニオンを押し出して該ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせてリングギヤを回転駆動することで、エンジンをクランキングするようになっているが、ピニオンとリングギヤの回転速度の差が大きい状態でピニオンをリングギヤに噛み合わせようとすると、ピニオンがリングギヤにスムーズに噛み合わずに騒音が発生する可能性がある。
そこで、特許文献1(特開2002−122059号公報)に記載されているように、エンジン自動停止要求が発生した直後でエンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合には、その後、エンジン回転(リングギヤの回転)がほぼ停止してから、スタータのピニオンをリングギヤに噛み合わせた後にピニオンを回転させて、スタータによるクランキングを開始してエンジンを再始動させるようにしたものがある。
しかし、上記特許文献1の技術では、エンジンの自動停止要求の発生によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合に、その後、エンジン回転がほぼ停止するまで待ってから、スタータによるクランキングを開始してエンジンを再始動させるため、エンジン再始動要求からエンジンを再始動させるまでの遅れが大きくなってしまい、運転者にエンジンの再始動が遅いと感じさせてしまう可能性がある。
この対策として、特許文献2(特開2005−330813号公報)や特許文献3(特開2002−70699号公報)に記載されているように、エンジンの自動停止要求の発生によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生したときに、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後にピニオンをリングギヤに噛み合わせて、スタータによるクランキングを開始してエンジンを再始動させるようにしたものがある。
特開2002−122059号公報 特開2005−330813号公報 特開2002−70699号公報
しかしながら、上記特許文献2や上記特許文献3の技術では、単に、ピニオンとリングギヤの回転速度を同期した時点でピニオンとリングギヤを噛み合わせるとの記載のみであり、この噛み合せタイミングに関する記載が非常に少なく、良好な噛み合せの実現には、いまだ実用化に達していないといわざるをえない状況である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エンジンの自動停止要求の発生によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生したとしても、スムーズにエンジンの再始動を行うことができるエンジン自動停止始動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ピニオンを回転駆動するモータと、該モータとバッテリとの間に設けられる機械式のリレーと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能であり、エンジン回転方向において前記ピニオンから前記モータへ動力を伝達しないワンウエイクラッチが設けられたスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときに、エンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置において、前記エンジンの自動停止要求の発生によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記リングギヤの回転速度が前記ピニオンの回転速度よりも高く且つ前記リングギヤの回転速度と前記ピニオンの回転速度との回転速度差が所定値以下となるまで前記モータにより前記ピニオンを回転駆動させ、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせる際に、前記ワンウエイクラッチが空転した後、前記リングギヤの回転速度の低下とピニオンの回転速度の上昇に伴って、ワンウエイクラッチがロックしてモータからピニオンへ動力が伝達されることにより前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第2の再始動制御手段と、前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第3の再始動制御手段とを備えた構成としたものである。
これにより、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、エンジン再始動要求からエンジンを再始動させるまでの遅れを小さくすることができる。
更に、エンジンの自動停止要求の発生によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が比較的低い第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、リングギヤの回転速度が比較的低いため、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させなくても、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み合わせることができると判断して、アクチュエータによりピニオンをリングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータによりピニオンを回転させてスタータによるクランキングを開始してエンジンを再始動させることができる。これにより、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させる処理を省略することができるため、その分、スタータによるクランキングの開始を早くしてエンジンを速やかに再始動させることができると共に、スタータの電力消費量を低減することができる。
請求項2にように、請求項1と同様、モータとバッテリとの間に設けられる機械式のリレーと、スタータにワンウエイクラッチが設けられた自動停止始動制御装置において、前記エンジンの自動停止要求の発生によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記リングギヤの周速度が前記ピニオンの周速度よりも高く且つ前記リングギヤの周速度と前記ピニオンの周速度との周速度差が所定値以下となるまで前記モータにより前記ピニオンを回転駆動させ、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせる際に、前記ワンウエイクラッチが空転した後、前記リングギヤの回転速度の低下とピニオンの回転速度の上昇に伴って、ワンウエイクラッチがロックしてモータからピニオンへ動力が伝達されることにより前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第2の再始動制御手段と、前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第3の再始動制御手段と
を備えた構成としたものである。
尚、本発明は、請求項3のように、第1の再始動制御手段(スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開してエンジンを再始動させる手段)を備えた構成を追加してもよい。
即ち、エンジンの自動停止要求の発生によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が比較的高い第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータによるクランキングを行わなくてもエンジンを再始動できると判断して、スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開してエンジンを再始動させることができる。これにより、エンジン再始動要求が発生したときに、直ちにエンジンの燃焼を再開してエンジンを速やかに再始動させることができる。しかも、スタータによるクランキングを行わないため、スタータの電力消費量を0にすることができると共に、ピニオンとリングギヤの回転速度の差が大きい状態でピニオンをリングギヤに噛み合わせることを回避して、騒音の発生を防止することができる構成としても良い。
また、請求項4のように、所定値は、200rpmに設定すると良い。このようにすれば、リングギヤの回転速度とピニオンの回転速度との同期を判断する際の回転速度の検出精度をあまり高くする必要がないため、リングギヤの回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサやピニオンの回転速度を精度良く検出できる高価な回転速度センサを設ける必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
或は、請求項5のように、スタータにワンウエイクラッチが設けられたシステムの場合に、第2の再始動制御手段は、リングギヤのピッチ円上の周速度がピニオンのピッチ円上の周速度よりも高く且つリングギヤのピッチ円上の周速度とピニオンのピッチ円上の周速度との周速度差が3.1m/秒の範囲内になったときにピニオンの回転速度がリングギヤの回転速度に同期したと判断するようにしても良い。このようにしても、前記請求項5とほぼ同じ効果を得ることができる。
また、請求項6のように、第1の回転速度は、300〜700rpmの範囲内に設定するようにすると良い。要するに、エンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が第1の回転速度(300〜700rpm)よりも高いときには、スタータによるクランキングを行わなくてもエンジンを再始動できるため、第1の回転速度を300〜700rpmの範囲内に設定すれば、第1の回転速度(300〜700rpm)よりも高い第1の回転速度領域が、スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開してエンジンを再始動できる領域となる。
更に、請求項7のように、第2の回転速度は、50〜450rpmの範囲内に設定するようにすると良い。要するに、エンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が第2の回転速度(50〜450rpm)以下に低下すると、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させなくても、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み合わせることができるため、第2の回転速度を50〜450rpmの範囲内に設定すれば、第2の回転速度(50〜450rpm)以下の第3の回転速度領域が、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させなくても、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み合わせることができる領域となる。
図1は本発明の実施例1におけるエンジン始動制御システムの概略構成図である。 図2は実施例1のエンジン再始動制御を説明するタイムチャートである。 図3は第2の再始動制御を説明するタイムチャートである。 図4は第3の再始動制御を説明するタイムチャートである。 図5は実施例1のエンジン再始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図6は実施例2のエンジン再始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図7は実施例3のエンジン再始動制御を説明するタイムチャートである。 図8は実施例3のエンジン再始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図9は参考例1のエンジン再始動制御を説明するタイムチャートである。 図10は参考例1のエンジン再始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図11は実施例4のエンジン再始動制御を説明するタイムチャートである。 図12は実施例4のエンジン再始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図13はピニオンとリングギヤの噛み合い時の音圧を測定した結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
<実施例1>
本発明の実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン始動制御システムの概略構成を説明する。
スタータ11は、いわゆるピニオン押し出し式スタータであり、モータ12と、このモータ12によって回転駆動されるピニオン13と、このピニオン13を押し出す電磁アクチュエータ14等を備えた構成となっている。ピニオン13は、軸方向に移動可能に設けられている。電磁アクチュエータ14には、プランジャ15と、このプランジャ15を駆動するソレノイド16が設けられ、プランジャ15の駆動力がレバー17等を介してピニオン13に伝達されるようになっている。
また、バッテリ18と電磁アクチュエータ14との間には、リレー19が設けられ、ECU20(エンジン制御回路)によってリレー19をオンして電磁アクチュエータ14の通電をオンすることで、プランジャ15をピニオン押出方向に移動させてピニオン13を押し出して、該ピニオン13をエンジン21のクランク軸22に連結されたリングギヤ23に噛み合わせるようになっている。
更に、バッテリ18とモータ12との間には、機械式のリレー25と、このリレー25をオン/オフするためのスイッチング素子24が設けられ、ECU20によってスイッチング素子24をオンしてリレー25をオンすることで、モータ12の通電をオンしてピニオン13を回転駆動するようになっている。
ECU20は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じてエンジン21の燃料噴射量や点火時期を制御する。
また、ECU20は、図示しないエンジン自動停止始動制御ルーチンを実行することで、エンジン自動停止始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する。このエンジン自動停止始動制御では、車両の走行中に運転者が減速操作(アクセル全閉、ブレーキ操作等)を行って減速要求が発生したときや、車両を停車させたときにエンジン自動停止要求が発生したと判断して、エンジン21の燃焼(燃料噴射及び/又は点火)を停止させてエンジン21を自動的に停止させる。その後、車両の走行中に減速要求が解除されたときや、車両の停止中に運転者が車両発進のための準備操作(ブレーキ解除、シフトレバー操作等)や発進操作(アクセル踏み込み等)を行ったときにエンジン再始動要求が発生したと判断して、エンジン21を再始動させる。
その際、本実施例1では、ECU20により後述する図5のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、エンジン21の再始動制御を次のようにして行う。
図2のタイムチャートに示すように、エンジン運転中にエンジン自動停止要求が発生すると、エンジン21の燃焼が停止されてエンジン21が自動停止される。
(1) エンジン21の自動停止によりエンジン回転速度Ne が降下するエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 (例えば500rpm)よりも高い第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータ11によるクランキングを行わなくてもエンジン21を再始動できると判断して、第1の再始動制御を実行する。この第1の再始動制御では、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる。
これにより、エンジン再始動要求が発生したときに、直ちにエンジン21の燃焼を再開してエンジン21を速やかに再始動させることができる。しかも、スタータ11によるクランキングを行わないため、スタータ11の電力消費量を0にすることができると共に、ピニオン13とリングギヤ23の回転速度の差が大きい状態でピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせることを回避して、騒音の発生を防止することができる。
(2) エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下で第2の回転速度N2 (例えば250rpm)よりも高い第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、リングギヤ23の回転速度が比較的高いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させないと、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができないと判断して、第2の再始動制御を実行する。この第2の再始動制御では、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
具体的には、図3に示すように、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した時点t1 で、モータ12の通電をオンしてモータ12によりピニオン13を回転させ、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内になった時点t2 で、ピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断して、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。ここで、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差における「回転速度差」とは、「クランク軸22に換算した回転速度差」を意味する(以下、同様)。
このようにすれば、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、エンジン再始動要求からエンジン21を再始動させるまでの遅れを少なくすることができる。しかも、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との同期を判断する際の回転速度の検出精度をあまり高くする必要がないため、例えば、リングギヤ23の回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサやピニオン13の回転速度を精度良く検出できる高価な回転速度センサを設ける必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
本実施例1では、リングギヤ23の直径(歯先の外径)が300mmで、ピニオン13の直径(歯先の外径)が30mmである。この場合、例えば、リングギヤ23の回転速度が300rpmで、ピニオン13の回転速度が1000rpmのときに、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差(クランク軸22に換算した回転速度差)が200rpmになる。このとき、リングギヤ23の直径が300mmで回転速度が300rpmであるため、リングギヤ23のピッチ円上(ピニオン13の歯車ところがり接触する仮想の円上)の周速度は約4.7m/秒となる。また、ピニオン13の直径が30mmで回転速度が1000rpmであるため、ピニオン13のピッチ円上(リングギヤ23の歯車ところがり接触する仮想の円上)の周速度は約1.6m/秒となる。これにより、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差は約3.1m/秒となる。従って、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内になるとは、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が±3.1m/秒の範囲内になることである。
本発明者は、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧を測定する試験を行ったので、その試験結果を図13に示す。この試験は、直径300mmのリングギヤ23と直径30mmのピニオン13を用いて、ピニオン13とリングギヤ23を噛み合わせる際のリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差を変化させて、回転速度差毎にピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧を測定した。また、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧は、噛み合い位置から15cm離れた位置にマイクを設置して測定した。
図13に示す試験結果より、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±250rpmの範囲内の場合、好ましくはリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内(つまりリングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が±3.1m/秒の範囲内)の場合に、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧を十分に低減できることが確認された。
尚、スタータ11に、エンジン回転方向においてモータ12からピニオン13へ動力を伝達するが、ピニオン13からモータ12へ動力を伝達しないワンウエイクラッチが設けられたシステムの場合には、第2の再始動制御の際に、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも高く且つリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が所定値(例えば200rpm)以下になったときにピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断するようにしても良い。ここで、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が200rpm以下になるとは、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が3.1m/秒以下になることである。
このようにすれば、ピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断してピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせる際に、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも高いときにピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるが、ワンウエイクラッチが空転してスタータ11に加わる衝撃を緩和することができ、その後、フリクションによるエンジン回転速度(リングギヤ23の回転速度)の低下とモータ12の回転速度(ピニオン13の回転速度)の上昇に伴って、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が0になったときに、ワンウエイクラッチがロックしてモータ12からピニオン13へ動力が伝達され始める。このような挙動により、ピニオン13をリングギヤ23に比較的スムーズに噛み合わせることができ、スタータ11の構成部品への衝撃も少なく、強度的に余裕を持たせることができる。
(3) エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下の第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、リングギヤ23の回転速度が比較的低いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができると判断して、第3の再始動制御を実行する。この第3の再始動制御では、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
具体的には、図4に示すように、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した時点t3 で、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせ、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合わせが完了した時点t4 又はその噛み合わせの途中の時点で、モータ12の通電をオンしてモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
このようにすれば、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させる処理を省略することができるため、その分、スタータ11によるクランキングの開始を早くしてエンジン21を速やかに再始動させることができると共に、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
尚、エンジン21の再始動制御の際に、エンジン回転速度Ne (リングギヤ23の回転速度)は、例えば、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間をパラメータとするエンジン回転速度Ne のマップを参照して、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間に応じたエンジン回転速度Ne を推定(算出)する。エンジン回転速度Ne のマップは、予め試験データや設計データ等に基づいて作成され、ECU20のROMに記憶されている。一般に、エンジン自動停止要求が発生してエンジン21の燃焼が停止されてからの時間経過に伴ってエンジン回転速度Ne が低下するため、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間からエンジン回転速度Ne を推定することができる。
また、ピニオン13の回転速度は、例えば、モータ12の通電時間(通電開始後の経過時間)と通電電流(例えばデューティ比)とをパラメータとするピニオン13の回転速度のマップを参照して、モータ12の通電時間と通電電流とに応じたピニオン13の回転速度を推定(算出)する。ピニオン13の回転速度のマップは、予め試験データや設計データ等に基づいて作成され、ECU20のROMに記憶されている。一般に、モータ12の通電開始後の時間経過に伴ってモータ12の回転速度が上昇してピニオン13の回転速度が上昇し、その際、モータ12の通電電流が大きいほどモータ12の回転速度が速くなってピニオン13の回転速度が速くなるため、モータの通電時間や通電電流からピニオン13の回転速度を推定することができる。
以上説明した本実施例1のエンジン21の再始動制御は、ECU20によって図5のエンジン再始動制御ルーチンに従って実行される。以下、図5のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。
図5に示すエンジン再始動制御ルーチンは、ECU20の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン自動停止制御中(例えば、エンジン21の燃焼停止から再始動制御が開始されるまでの期間)であるか否かを判定し、エンジン自動停止制御中ではないと判定されれば、ステップ102以降の再始動制御に関する処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ101で、エンジン自動停止制御中であると判定された場合には、ステップ102以降の再始動制御に関する処理を次のようにして実行する。まず、ステップ102で、エンジン再始動要求が発生したか否かを判定し、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、ステップ103に進み、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域であるか否かを判定する。
ここで、第1の回転速度N1 は、例えば300〜700rpmの範囲内(本実施例1では500rpm)に設定されている。エンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 (300〜700rpm)よりも高いときには、スタータ11によるクランキングを行わなくても燃焼(燃料噴射・点火)を再開するだけでエンジン21を再始動できるため、第1の回転速度N1 を300〜700rpmの範囲内に設定すれば、第1の回転速度N1 (300〜700rpm)よりも高い第1の回転速度領域が、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動できる領域となる。
このステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、スタータ11によるクランキングを行わなくてもエンジン21を再始動できると判断して、ステップ104に進み、第1の再始動制御を実行する。この第1の再始動制御では、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる。このステップ104の処理が特許請求の範囲でいう第1の再始動制御手段としての役割を果たす。
この後、ステップ105に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを、例えばエンジン回転速度Ne が始動完了判定値を越えたか否かによって判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップ103に戻り、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域であれば、第1の再始動制御を継続する(ステップ103、104)。その後、ステップ105で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下であると判定された場合には、ステップ106に進み、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域であるか第3の回転速度領域であるかを判定する。
ここで、第2の回転速度N2 は、例えば50〜450rpmの範囲内(本実施例1では250rpm)に設定されている。エンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 (50〜450rpm)以下に低下すれば、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができるため、第2の回転速度を50〜450rpmの範囲内に設定すれば、第2の回転速度N2 (50〜450rpm)以下の第3の回転速度領域が、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができる領域となる。
このステップ106で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、リングギヤ23の回転速度が比較的高いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させないと、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができないと判断して、ステップ107に進み、第2の再始動制御を実行する。この第2の再始動制御では、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。このステップ107の処理が第2の再始動制御手段としての役割を果たす。
この後、ステップ108に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了するが、エンジン21の始動が完了していないと判定されれば、ステップ109に進む。
一方、上記ステップ106で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下であると判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、リングギヤ23の回転速度が比較的低いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができると判断して、ステップ109に進み、第3の再始動制御を実行する。この第3の再始動制御では、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。このステップ109の処理が特許請求の範囲でいう第3の再始動制御手段としての役割を果たす。
この後、ステップ110に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップ109に戻り、第3の再始動制御を継続する。その後、ステップ110で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
以上説明した本実施例1では、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる第1の再始動制御を実行し、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させた後にピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる第2の再始動制御を実行し、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせる途中にピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる第3の再始動制御を実行するようにしたので、エンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合に、そのときのエンジン回転速度Ne に応じた適正なエンジン再始動制御を行うことができ、エンジン21の再始動の遅れや騒音の発生を防止できると共に、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
また、本実施例1では、エンジン再始動制御の際に、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間に基づいてエンジン回転速度を推定するようにしたので、例えば、エンジン回転降下期間のエンジン回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサを設ける必要がなく、更に、モータ12の通電時間と通電電流とに基づいてピニオン13の回転速度を推定するようにしたので、モータ12の回転速度(ピニオン13の回転速度)を検出するセンサを省略した構成にすることができ、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
<実施例2>
次に、図6を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例2では、ECU20により後述する図6のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、前記実施例1とは異なる第2の再始動制御を実行する。この第2の再始動制御では、スタータ11によるクランキングを行わずに、その後、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域になったときに、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させるようにしている。
以下、本実施例2でECU20が実行する図6のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンでは、まず、エンジン自動停止制御中にエンジン再始動要求が発生したか否かを判定し(ステップ101、102)、エンジン自動停止制御中にエンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、ステップ103に進み、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域であるか否かを判定する。
このステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、第1の再始動制御を実行して、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる(ステップ104、105)。
一方、上記ステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下であると判定された場合には、ステップ106aに進み、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下であるか否かを判定する。
このステップ106aで、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、スタータ11によるクランキングを行わずに、その後、ステップ106aで、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下になったと判定されたとき(つまりエンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域まで低下したとき)に、ステップ107aに進み、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させることで、第2の再始動制御を実行する。
これに対して、上記ステップ106aで、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下であると判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、その時点で、ステップ107aに進み、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させることで、第3の再始動制御を実行する。
この後、ステップ108に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップ107aに戻り、第2又は第3の再始動制御を継続し、その後、ステップ108で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
以上説明した本実施例2では、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータ11によるクランキングを行わずに、その後、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域になったときに、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させるようにしたので、エンジン回転降下期間中にエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときにも、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させる処理を省略することができ、スタータ11の電力消費量を低減することができると共に、エンジン再始動制御を簡単化することができる。この場合、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生しても、その後、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域になってから、スタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させることになるが、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域を通過する時間は比較的短いため、エンジン再始動要求からエンジン21を再始動させるまでの遅れを許容範囲内に抑えることができる。
<実施例3>
次に、図7及び図8を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例3では、ECU20により後述する図8のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、図7のタイムチャートに示すように、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン再始動要求が発生せずにエンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下したときには、第4の再始動制御を実行する。この第4の再始動制御では、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下したときに、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせて、その後、エンジン再始動要求が発生したときに、モータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させるようにしている。
このようにすれば、エンジン回転が停止する間際のエンジン揺動期間(エンジン21の逆回転と正回転を交互に繰り返す期間)よりも前に、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせておくことができるので、エンジン揺動期間中にピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせることを回避して、スタータ11の破損や騒音の発生を防止することができる。そして、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 以下に低下した後にエンジン再始動要求が発生したときに、その時点で、スタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を速やかに再始動させることができる。
以下、本実施例3でECU20が実行する図8のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンでは、まず、ステップ101で、エンジン自動停止制御中であるか否かを判定し、エンジン自動停止制御中であると判定されれば、ステップ101aに進み、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 (例えば100rpm)よりも高いか否かを判定する。
このステップ101aで、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 よりも高いと判定された場合には、ステップ102に進み、エンジン再始動要求が発生したか否かを判定し、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、ステップ103に進み、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域であるか否かを判定する。
このステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、第1の再始動制御を実行して、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる(ステップ104、105)。
一方、上記ステップ103で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下であると判定された場合には、ステップ106に進み、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域であるか第3の回転速度領域であるかを判定する。
このステップ106で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、第2の再始動制御を実行して、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる(ステップ107、108)。
一方、上記ステップ106で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下であると判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、第3の再始動制御を実行して、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる(ステップ109、110)。
これに対して、上記ステップ101aで、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 以下であると判定された場合(つまりエンジン再始動要求が発生せずにエンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 以下に低下した場合)には、ステップ111に進み、第4の再始動制御を実行する。この第4の再始動制御では、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下したときに、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせて、その後、エンジン再始動要求が発生したときに、モータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
以上説明した本実施例3では、第4の再始動制御により、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生せずにエンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下したときに、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるようにしたので、エンジン回転が停止する間際のエンジン揺動期間(エンジン21の逆回転と正回転を交互に繰り返す期間)よりも前に、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせておくことができ、エンジン揺動期間中にピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせることを回避して、スタータ11の破損や騒音の発生を防止できる。そして、その後、エンジン再始動要求が発生したときに、ピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させるようにしたので、エンジン21を速やかに再始動させることができる。
尚、本実施例3は、前記実施例1(第1〜第3の再始動制御を実行する実施例)に第4の再始動制御を組み合わせた実施例であるが、前記実施例2(実施例1とは異なる第2の再始動制御を実行する実施例)に第4の再始動制御を組み合わせるようにしても良い。
<参考例1>
次に、図9及び図10を用いて本発明の参考例1を説明する。
前記実施例3では、第1〜第4の再始動制御を実行するようにしたが、本参考例1では、ECU20により後述する図10のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、図9のタイムチャートに示すように、第1〜第3の再始動制御を実行せずに、第4の再始動制御のみを実行するようにしている。
更に、本参考例1の第4の再始動制御では、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下した時点t5 で、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるように電磁アクチュエータ14の通電をオンし、該電磁アクチュエータ14の通電をオンしてから所定時間(例えばピニオン13とリングギヤ23との噛合が完了するのに必要な時間)が経過した時点t6 で、電磁アクチュエータ14の通電をオフしてもピニオン13とリングギヤ23とを噛合状態に保持できると判断して、電磁アクチュエータ14の通電をオフにする。その後、エンジン再始動要求が発生した時点で、電磁アクチュエータ14の通電をオンすると共に、モータ12の通電をオンしてピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
以下、本参考例1でECU20が実行する図10のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンでは、まず、ステップ201で、エンジン自動停止制御中であるか否かを判定し、エンジン自動停止制御中であると判定されれば、ステップ202に進み、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 (例えば100rpm)以下であるか否かを判定する。
このステップ202で、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 以下であると判定されたときに、ステップ203に進み、第4の再始動制御を実行する。この第4の再始動制御では、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下した時点で、電磁アクチュエータ14の通電をオンし、該電磁アクチュエータ14の通電をオンしてから所定時間(例えばピニオン13とリングギヤ23との噛合が完了するのに必要な時間)が経過した時点で、電磁アクチュエータ14の通電をオフしてもピニオン13とリングギヤ23との噛合を保持できると判断して、電磁アクチュエータ14の通電をオフにする。その後、エンジン再始動要求が発生した時点で、電磁アクチュエータ14の通電をオンすると共に、モータ12の通電をオンしてピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
以上説明した本参考例1では、第4の再始動制御により、エンジン回転速度Ne が第3の回転速度N3 まで低下した時点で電磁アクチュエータ14の通電をオンし、該電磁アクチュエータ14の通電をオンしてから所定時間が経過した時点で電磁アクチュエータ14の通電をオフにするようにしたので、その後、エンジン再始動要求が発生してスタータ11によるクランキングを開始するまで、電磁アクチュエータ14の通電をオフに維持することができ、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
尚、本参考例1では、第4の再始動制御の際に、電磁アクチュエータ14の通電をオンした後に、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてから所定時間が経過した時点で電磁アクチュエータ14の通電をオフするようにしたが、例えば、ピニオン13とリングギヤ23との噛合を確認可能なセンサを設け、このセンサで実際にピニオン13とリングギヤ23との噛合を確認した時点で電磁アクチュエータ14の通電をオフするようにしても良い。
また、前記実施例3において、第4の再始動制御の際に、電磁アクチュエータ14の通電をオンした後に、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてから所定時間が経過した時点又はセンサで実際にピニオン13とリングギヤ23との噛合を確認した時点で電磁アクチュエータ14の通電をオフするようにしても良い。
<実施例4>
次に、図11及び図12を用いて本発明の実施例4を説明する。
前記実施例1では、第1〜第3の再始動制御を実行するようにしたが、本実施例4では、ECU20により後述する図12のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、図11のタイムチャートに示すように、第1の再始動制御を実行せずに、第2の再始動制御と第3の再始動制御を実行するようにしている。
以下、本実施例4でECU20が実行する図12のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンでは、まず、エンジン自動停止制御中にエンジン再始動要求が発生したか否かを判定し(ステップ301、302)、エンジン自動停止制御中にエンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、ステップ303に進み、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下であるか否かを判定する。
このステップ303で、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Neが第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、第1の再始動制御を実行せずに、その後、ステップ303で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下になったと判定されたときに、ステップ304に進み、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2 よりも高いか否かを判定し、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2よりも高いと判定されれば、ステップ305に進み、第2の再始動制御を実行して、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる(ステップ305、306)。
これに対して、上記ステップ303で、エンジン回転速度Ne が第1の回転速度N1 以下であると判定された場合には、ステップ304に進み、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いか否かを判定する。このステップ304で、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、ステップ305に進み、第2の再始動制御を実行して、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる(ステップ305、306)。
一方、上記ステップ304で、エンジン回転速度Ne が第2の回転速度N2 以下であると判定された場合(つまりエンジン回転速度Ne が第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、ステップ307に進み、第3の再始動制御を実行して、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる(ステップ307、308)。
以上説明した本実施例4においても、エンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合に、そのときのエンジン回転速度Ne に応じた適正なエンジン再始動制御を行うことができ、エンジン21の再始動の遅れや騒音の発生を防止できると共に、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
尚、本実施例4では、前記実施例1で説明した第2の再始動制御を実行するようにしたが、前記実施例2で説明した第2の再始動制御(実施例1とは異なる第2の再始動制御)を実行するようにしても良い。
また、本発明は、前記第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときに限定されず、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中又はエンジン揺動期間中にエンジン再始動要求が発生したときに、エンジン回転速度の降下によってリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内になった後に、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させるようにしても良い。
或は、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中又はエンジン揺動期間中にエンジン再始動要求が発生したときに、モータ12によりピニオン13を回転させてリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差を±200rpmの範囲内にした後に、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジンを再始動させるようにしても良い。
いずれの場合も、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせる際の騒音の発生を防止することができると共に、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との同期を判断する際の回転速度の検出精度をあまり高くする必要がないため、例えば、リングギヤ23の回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサやピニオン13の回転速度を精度良く検出できる高価な回転速度センサを設ける必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
また、前記第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときに限定されず、スタータ11にワンウエイクラッチが設けられたシステムにおいて、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が所定の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときに、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも高く且つリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が200rpm以下になった後に、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせると共にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジンを再始動させるようにしても良い。
また、前記第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときに限定されず、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が所定の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときに、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジンを再始動させるようにしても良い。
更に、本発明は、エンジン再始動制御の際に、クランク角センサの出力信号に基づいてエンジン回転速度を検出するようにしたり、モータの回転速度(ピニオン13の回転速度)を検出するセンサの出力信号に基づいてピニオン13の回転速度を検出するようにしても良い。
その他、本発明は、エンジン始動制御システムの構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。
11…スタータ、12…モータ、13…ピニオン、14…電磁アクチュエータ、18…バッテリ、19…リレー、20…ECU(再始動制御手段)、21…エンジン、22…クランク軸、23…リングギヤ、24…スイッチング素子、25…リレー

Claims (7)

  1. ピニオンを回転駆動するモータと、該モータとバッテリとの間に設けられる機械式のリレーと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能であり、エンジン回転方向において前記ピニオンから前記モータへ動力を伝達しないワンウエイクラッチが設けられたスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときに、エンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置において、
    前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記リングギヤの回転速度が前記ピニオンの回転速度よりも高く且つ前記リングギヤの回転速度と前記ピニオンの回転速度との回転速度差が所定値以下となるまで前記モータにより前記ピニオンを回転駆動させ、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせる際に、前記ワンウエイクラッチが空転した後、前記リングギヤの回転速度の低下と前記ピニオンの回転速度の上昇に伴って、前記ワンウエイクラッチがロックして前記モータから前記ピニオンへ動力が伝達されることにより前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第2の再始動制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第3の再始動制御手段と
    を有することを特徴とするエンジン自動停止始動制御装置。
  2. ピニオンを回転駆動するモータと、該モータとバッテリとの間に設けられる機械式のリレーと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能であり、エンジン回転方向において前記ピニオンから前記モータへ動力を伝達しないワンウエイクラッチが設けられたスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときに、エンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置において、
    前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記リングギヤの周速度が前記ピニオンの周速度よりも高く且つ前記リングギヤの周速度と前記ピニオンの周速度との周速度差が所定値以下となるまで前記モータにより前記ピニオンを回転駆動させ、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせる際に、前記ワンウエイクラッチが空転した後、前記リングギヤの回転速度の低下と前記ピニオンの回転速度の上昇に伴って、前記ワンウエイクラッチがロックして前記モータから前記ピニオンへ動力が伝達されることにより前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第2の再始動制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる第3の再始動制御手段とを有することを特徴とするエンジン自動停止始動制御装置
  3. 前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度よりも高い第1の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開して前記エンジンを再始動させる第1の再始動制御手段を備えていることを特徴とする請求項1及び2記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  4. 前記所定値は、200rpmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  5. 前記所定値は、3.1m/秒に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  6. 前記第1の回転速度は、300〜700rpmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  7. 前記第2の回転速度は、50〜450rpmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジン自動停止始動制御装置。
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