JP5561128B2 - エンジン自動停止始動制御装置 - Google Patents

エンジン自動停止始動制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときにエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置に関する発明である。
近年、エンジン(内燃機関)を搭載した車両においては、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、エンジン自動停止始動制御システム(いわゆるアイドルストップ制御システム)を採用したものがある。このエンジン自動停止始動制御システムは、例えば、運転者が車両を停車させたときにエンジンを自動的に停止させ、その後、運転者が車両を発進させようとする操作を行ったときに自動的にスタータでエンジンをクランキングして再始動させるようにしている。
一般に、スタータは、モータでピニオンを回転させると共に、アクチュエータでピニオンを押し出して該ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせてリングギヤを回転駆動することで、エンジンをクランキングするようになっている。しかし、ピニオンとリングギヤの回転速度の差が大きい状態でピニオンをリングギヤに噛み合わせようとすると、ピニオンがリングギヤにスムーズに噛み合わずに騒音が発生する可能性がある。
そこで、特許文献1に記載されているように、エンジン自動停止要求が発生した直後でエンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合には、その後、エンジン回転(リングギヤの回転)が停止直前の低回転になってから、スタータのピニオンを押し出してリングギヤに噛み合わせ、その後、ピニオンを回転させてクランキングを開始させることで、エンジンを再始動させるようにしたものがある。以下、この手法による再始動を「先出し制御」と記載する。
しかし、この先出し制御では、エンジン再始動要求が発生した後、エンジン回転がほぼ停止するまで待ってからクランキングを開始させるため、エンジン再始動要求からエンジンを再始動させるまでの遅れが大きくなってしまい、運転者にエンジンの再始動が遅いと感じさせてしまう可能性がある。
この対策として、特許文献2,3に記載されているように、エンジンの自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生したときに、ピニオンの回転速度をリングギヤの回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に、ピニオンを押し出してリングギヤに噛み合わせてクランキングを開始させることで、エンジンを再始動させるようにしたものがある。以下、この手法による再始動を「先回し制御」と記載する。
但し、エンジン再始動要求発生時点でのエンジン回転速度がある程度高い場合には、スタータによるクランキングを行わずとも燃料を噴射させればエンジンを再始動させることができる。以下、この手法による再始動を「自律復帰制御」と記載する。
そこで、特許文献3では、エンジン再始動要求発生時点でのエンジン回転速度が、第1の回転速度よりも高い第1の回転速度領域であれば自律復帰制御を実施し、第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域であれば先回し制御を実施し、第2の回転速度以下の第3の回転速度領域であれば先出し制御を実施している。
特開2002−122059号公報 特開2005−330813号公報 特開2002−70699号公報
しかし、自律復帰制御を実施してもエンジン再始動に失敗する場合がある。例えば、エンジン回転の降下速度が速い時に自律復帰制御を実施すると失敗のおそれが高くなる。そして、上記特許文献3記載の制御手法では、自律復帰制御による再始動に失敗すると、エンジン回転速度が第2の回転速度領域にまで降下することに伴い先回し制御が実施されることとなる。
しかしながら、図6に示すように、自動停止後のエンジン回転速度は、厳密には降下と上昇を繰り返し脈動しながら降下していく。すなわち、エンジンの圧縮行程のタイミングでエンジン回転速度は大きく降下し、圧縮行程以外の期間中に僅かに上昇する。そのため、自律復帰制御が失敗した時点t10の後、エンジン回転速度が第2の回転速度領域にまで降下した時点t20で先回し制御を実施すると、その後、その先回し制御によりピニオンを押し出す時点t30において、エンジン回転速度が第2の回転速度領域よりも高くなっている場合がある。
この場合、リングギヤの回転速度がピニオンの回転速度よりも遥かに大きい状態(両回転速度が同期していない状態)でピニオンが押し出されることとなるので、ピニオンがリングギヤにスムーズに噛み合うことができない。そのため、リングギヤ又はピニオンの著しい磨耗損傷が懸念される。
また、自律復帰制御、先回し制御及び先出し制御のいずれかによる再始動が失敗した場合において、失敗直後のエンジン回転速度が、その失敗した制御に対応する回転速度領域になっていることがある。すると、前回失敗した制御と同じ制御を再び実施することとなるが、この場合には前回同様に失敗を繰り返す可能性が高い。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エンジンの自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合に、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができるエンジン自動停止始動制御装置を提供することにある。
また、自律復帰制御、先回し制御及び先出し制御、先回し制御及び先出し制御のいずれかによる再始動が失敗した場合に、その失敗した制御を再び実施して失敗を繰り返すことの回避を図ったエンジン自動停止始動制御装置を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、ピニオンを回転駆動するモータと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能なスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときにエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置であることを前提とする。
そして、自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度が第1の回転速度よりも高い第1の回転速度領域で再始動要求が発生したときに、クランキングを行わずに燃料噴射を再開して再始動させる自律復帰制御手段と、前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で再始動要求が発生したときに、前記ピニオンの回転速度を前記リングギヤの回転速度に同期させた後に前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせて再始動させる先回し制御手段と、前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で再始動要求が発生したときに、前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記ピニオンを回転させて再始動させる先出し制御手段と、の上記3つの制御手段のうち、少なくとも2つの制御手段を備える。
そしてさらに、いずれかの制御手段による前記再始動が失敗したことを検出する検出手段を備え、前記検出手段により失敗が検出された場合には、その失敗検出時点から所定時間が経過するまでは失敗した制御手段による再始動制御を禁止し、前記所定時間が経過した時点で前記失敗した制御手段とは異なる制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする。
これによれば、例えば自律復帰制御による再始動が失敗した場合には、その失敗検出時点から所定時間が経過するまでは自律復帰制御による再始動が禁止され、所定時間が経過した時点で自律復帰制御とは異なる制御による再始動制御が実施される。具体的には、自動停止によるエンジン回転降下期間中においてエンジン回転速度は低下していくため、先回し制御又は先出し制御による再始動が実施される。同様に、例えば先回し制御を失敗した場合には所定時間が経過するまでは先回し制御による再始動が禁止され、所定時間が経過した時点で先出し制御による再始動が実施される。したがって、再始動の失敗を繰り返すことの回避を図りつつ、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができる。
請求項2記載の発明では、前記自律復帰制御手段及び前記先出し制御手段を少なくとも備え、前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記所定時間が経過した時点で前記先出し制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする。
これによれば、前記失敗の後エンジン回転速度が例えば第3の回転速度領域にまで低下したタイミングで先出し制御手段による再始動制御が実施されるよう、所定時間を十分に長く設定しておけば、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができる。
請求項3記載の発明では、前記自律復帰制御手段、前記先回し制御手段及び前記先出し制御手段の全てを備え、前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記所定時間が経過するまでは前記先回し制御手段による再始動制御を禁止することを特徴とする。
これによれば、自律復帰制御による再始動が失敗した直後に先回し制御を実施することが禁止されるので、自律復帰制御による再始動が失敗することに伴いエンジン回転速度が第2の回転速度領域にまで低下した後、再び第1の回転速度領域にまで上昇した時点で先回し制御により同期していない状態のままピニオンをリングギヤに噛み合わせようとすることが回避される。
そして、失敗検出時点から所定時間が経過した時点で先出し制御手段による再始動制御を実施するので、前記失敗の後エンジン回転速度が例えば第3の回転速度領域にまで低下したタイミングで先出し制御手段による再始動制御が実施されるよう、所定時間を十分に長く設定しておけば、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができる。
以上により、上記発明によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができるので、リングギヤ又はピニオンが著しく磨耗損傷してしまうことを回避できる。
請求項4記載の発明では、前記所定時間を、前記エンジンの温度が低いほど短く設定することを特徴とする。
エンジンの温度が低いほどエンジンオイルの粘性が大きくなっているので、エンジンの駆動摩擦が大きくなる。よって、例えば自律復帰制御による再始動が失敗した後、エンジン回転速度の低下速度が速くなるので、前記失敗の後の先出し制御手段又は先回し制御手段による再始動制御を実施するタイミングを早くできる。また、先回し制御手段による再始動が失敗した後、エンジン回転速度の低下速度が速くなるので、前記失敗の後の先出し制御手段による再始動制御を実施するタイミングを早くできる。この点を鑑みた上記発明では、エンジンの温度が低いほど所定時間を短く設定するので、失敗後に再始動するタイミングをできるだけ早くできる。
請求項5記載の発明では、先述した自律復帰制御手段、先回し制御手段及び先出し制御手段のうち少なくとも2つの制御手段を備えるとともに、いずれかの制御手段による前記再始動が失敗したことを検出する検出手段を備える。そして、前記検出手段により失敗が検出された場合には、その後の前記エンジン回転速度が所定の閾値未満にまで低下するまでは失敗した制御手段による再始動制御を禁止し、前記エンジン回転速度が前記所定の閾値にまで低下した時点で前記失敗した制御手段とは異なる制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする。
これによれば、例えば自律復帰制御による再始動が失敗した場合には、その失敗後のエンジン回転速度が所定の閾値未満に低下するまでは自律復帰制御による再始動が禁止され、エンジン回転速度が所定の閾値にまで低下した時点で失敗した自律復帰制御とは異なる制御による再始動制御が実施される。具体的には、先回し制御又は先出し制御による再始動が実施される。同様に、例えば先回し制御を失敗した場合には閾値未満に低下するまでは先回し制御による再始動が禁止され、エンジン回転速度が所定の閾値にまで低下した時点で先出し制御による再始動が実施される。したがって、再始動の失敗を繰り返すことの回避を図りつつ、ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができる。
請求項6記載の発明では、前記自律復帰制御手段及び前記先出し制御手段を少なくとも備え、前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記閾値にまで低下した時点で前記先出し制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする。
これによれば、自律復帰制御の失敗の後に、自律復帰制御を禁止して先出し制御を実施するので、再始動の失敗を繰り返すおそれを低減しつつ再始動を実施することができる。
請求項7記載の発明では、前記自律復帰制御手段、前記先回し制御手段及び前記先出し制御手段の全てを備え、前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、その後の前記エンジン回転速度が前記第1の回転速度未満に設定された前記閾値よりも低下するまでは前記先回し制御手段による再始動制御を禁止することを特徴とする。
これによれば、自律復帰制御による再始動が失敗した直後に先回し制御を実施することが禁止されるので、自律復帰制御による再始動が失敗することに伴いエンジン回転速度が第2の回転速度領域にまで低下した後、再び第1の回転速度領域にまで上昇した時点で先回し制御により同期していない状態のままピニオンをリングギヤに噛み合わせようとすることが回避される。そして、失敗後のエンジン回転速度が第1の回転速度未満に設定された閾値にまで低下した時点で先出し制御手段による再始動制御を実施するので、前記失敗の後ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができる。
以上により、上記発明によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後ピニオンをリングギヤにスムーズに噛み込ませることができるので、リングギヤ又はピニオンが著しく磨耗損傷してしまうことを回避できる。
請求項8記載の発明では、前記閾値は、前記第2の回転速度よりも高い値に設定されていることを特徴とする。また、請求項9記載の発明では、前記閾値は、前記第2の回転速度と同じ値に設定されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明によれば、失敗後に再始動するタイミングを、請求項9記載の発明に比べて早くできる。一方、請求項9記載の発明によれば、前記失敗の後エンジン回転速度が第3の回転速度領域にまで低下したタイミングで先出し制御手段による再始動制御を実施することを、請求項8記載の発明に比べて確実にできる。
本発明の第1実施形態にかかるエンジン自動停止始動制御装置が適用される、エンジン始動制御システムの概略構成図。 第1実施形態にかかるエンジン再始動制御を説明するタイムチャート。 第1実施形態にかかる先回し制御を説明するタイムチャート。 第1実施形態にかかる先出し制御を説明するタイムチャート。 第1実施形態にかかるエンジン再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。 自律復帰制御が失敗した後に、エンジン回転速度が脈動しながら低下していく様子を示すタイムチャート。 第1実施形態にかかる失敗時再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。 本発明の第2実施形態にかかる失敗時再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。 本発明の第3実施形態にかかるエンジン再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。 第3実施形態にかかる失敗時再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。 本発明の第4実施形態にかかる失敗時再始動制御ルーチンの処理を説明するフローチャート。
以下、本発明を具体化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、第2〜第4実施形態のハード構成は、図1に示す第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、図1に基づいてエンジン始動制御システムの概略構成を説明する。
スタータ11は、いわゆるピニオン押し出し式スタータであり、モータ12と、このモータ12によって回転駆動されるピニオン13と、このピニオン13を押し出す電磁アクチュエータ14等を備えた構成となっている。ピニオン13は、軸方向に移動可能に設けられている。電磁アクチュエータ14には、プランジャ15と、このプランジャ15を駆動するソレノイド16が設けられ、プランジャ15の駆動力がレバー17等を介してピニオン13に伝達されるようになっている。
また、バッテリ18と電磁アクチュエータ14との間には、リレー19が設けられ、ECU20(エンジン制御回路)によってリレー19をオンして電磁アクチュエータ14の通電をオンすることで、プランジャ15をピニオン押出方向に移動させてピニオン13を押し出して、該ピニオン13をエンジン21のクランク軸22に連結されたリングギヤ23に噛み合わせるようになっている。
更に、バッテリ18とモータ12との間には、機械式のリレー25と、このリレー25をオン/オフするためのスイッチング素子24が設けられ、ECU20によってスイッチング素子24をオンしてリレー25をオンすることで、モータ12の通電をオンしてピニオン13を回転駆動するようになっている。
ECU20は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じてエンジン21の燃料噴射量や点火時期を制御する。
また、ECU20は、図示しないエンジン自動停止始動制御ルーチンを実行することで、エンジン自動停止始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する。このエンジン自動停止始動制御では、車両の走行中に運転者が減速操作(アクセル全閉、ブレーキ操作等)を行って減速要求が発生したときや、車両を停車させたときにエンジン自動停止要求が発生したと判断して、エンジン21の燃焼(燃料噴射及び/又は点火)を停止させてエンジン21を自動的に停止させる。その後、車両の走行中に減速要求が解除されたときや、車両の停止中に運転者が車両発進のための準備操作(ブレーキ解除、シフトレバー操作等)や発進操作(アクセル踏み込み等)を行ったときにエンジン再始動要求が発生したと判断して、エンジン21を再始動させる。
その際、本実施形態では、ECU20により後述する図5のエンジン再始動制御ルーチンを実行することで、エンジン21の再始動制御を次のようにして行う。
図2のタイムチャートに示すように、エンジン運転中にエンジン自動停止要求が発生すると、エンジン21の燃焼が停止されてエンジン21が自動停止される。
<自律復帰制御>
エンジン21の自動停止によりエンジン回転速度Neが降下するエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1(例えば500rpm)よりも高い第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータ11によるクランキングを行わなくてもエンジン21を再始動できると判断して、自律復帰制御を実行する。この自律復帰制御では、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる。
これにより、エンジン再始動要求が発生したときに、直ちにエンジン21の燃焼を再開してエンジン21を速やかに再始動させることができる。しかも、スタータ11によるクランキングを行わないため、スタータ11の電力消費量を0にすることができると共に、ピニオン13とリングギヤ23の回転速度の差が大きい状態でピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせることを回避して、騒音の発生を防止することができる。
<先回し制御>
エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1以下で第2の回転速度N2(例えば250rpm)よりも高い第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、リングギヤ23の回転速度が比較的高いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させないと、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができないと判断して、先回し制御を実行する。この先回し制御では、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
具体的には、図3に示すように、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した時点t1で、モータ12の通電をオンしてモータ12によりピニオン13を回転させ、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内になった時点t2で、ピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断して、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。ここで、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差における「回転速度差」とは、「クランク軸22に換算した回転速度差」を意味する(以下、同様)。
このようにすれば、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、エンジン再始動要求からエンジン21を再始動させるまでの遅れを少なくすることができる。しかも、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との同期を判断する際の回転速度の検出精度をあまり高くする必要がないため、例えば、リングギヤ23の回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサやピニオン13の回転速度を精度良く検出できる高価な回転速度センサを設ける必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
本実施形態では、リングギヤ23の直径(歯先の外径)が300mmで、ピニオン13の直径(歯先の外径)が30mmである。この場合、例えば、リングギヤ23の回転速度が300rpmで、ピニオン13の回転速度が1000rpmのときに、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差(クランク軸22に換算した回転速度差)が200rpmになる。このとき、リングギヤ23の直径が300mmで回転速度が300rpmであるため、リングギヤ23のピッチ円上(ピニオン13の歯車ところがり接触する仮想の円上)の周速度は約4.7m/秒となる。また、ピニオン13の直径が30mmで回転速度が1000rpmであるため、ピニオン13のピッチ円上(リングギヤ23の歯車ところがり接触する仮想の円上)の周速度は約1.6m/秒となる。これにより、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差は約3.1m/秒となる。従って、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内になるとは、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が±3.1m/秒の範囲内になることである。
本発明者らは、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧を測定する試験を行った。この試験結果より、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±250rpmの範囲内の場合、好ましくはリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が±200rpmの範囲内(つまりリングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が±3.1m/秒の範囲内)の場合に、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合い時の音圧を十分に低減できることが確認された。
尚、スタータ11に、エンジン回転方向においてモータ12からピニオン13へ動力を伝達するが、ピニオン13からモータ12へ動力を伝達しないワンウエイクラッチが設けられたシステムの場合には、先回し制御の際に、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも高く且つリングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が所定値(例えば200rpm)以下になったときにピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断するようにしても良い。ここで、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が200rpm以下になるとは、リングギヤ23のピッチ円上の周速度とピニオン13のピッチ円上の周速度との周速度差が3.1m/秒以下になることである。
このようにすれば、ピニオン13の回転速度がリングギヤ23の回転速度に同期したと判断してピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせる際に、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも高いときにピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるが、ワンウエイクラッチが空転してスタータ11に加わる衝撃を緩和することができ、その後、フリクションによるエンジン回転速度(リングギヤ23の回転速度)の低下とモータ12の回転速度(ピニオン13の回転速度)の上昇に伴って、リングギヤ23の回転速度とピニオン13の回転速度との回転速度差が0になったときに、ワンウエイクラッチがロックしてモータ12からピニオン13へ動力が伝達され始める。このような挙動により、ピニオン13をリングギヤ23に比較的スムーズに噛み合わせることができ、スタータ11の構成部品への衝撃も少なく、強度的に余裕を持たせることができる。
<先出し制御>
エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2以下の第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、リングギヤ23の回転速度が比較的低いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができると判断して、先出し制御を実行する。この先出し制御では、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
具体的には、図4に示すように、エンジン回転速度Neが第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した時点t3で、電磁アクチュエータ14の通電をオンしてピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせ、ピニオン13とリングギヤ23の噛み合わせが完了した時点t4又はその噛み合わせの途中の時点で、モータ12の通電をオンしてモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
このようにすれば、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせて騒音の発生を防止しながら、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させる処理を省略することができるため、その分、スタータ11によるクランキングの開始を早くしてエンジン21を速やかに再始動させることができると共に、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
尚、エンジン21の再始動制御の際に、エンジン回転速度Ne(リングギヤ23の回転速度)は、例えば、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間をパラメータとするエンジン回転速度Neのマップを参照して、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間に応じたエンジン回転速度Neを推定(算出)する。エンジン回転速度Neのマップは、予め試験データや設計データ等に基づいて作成され、ECU20のROMに記憶されている。一般に、エンジン自動停止要求が発生してエンジン21の燃焼が停止されてからの時間経過に伴ってエンジン回転速度Neが低下するため、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間からエンジン回転速度Neを推定することができる。
また、ピニオン13の回転速度は、例えば、モータ12の通電時間(通電開始後の経過時間)と通電電流(例えばデューティ比)とをパラメータとするピニオン13の回転速度のマップを参照して、モータ12の通電時間と通電電流とに応じたピニオン13の回転速度を推定(算出)する。ピニオン13の回転速度のマップは、予め試験データや設計データ等に基づいて作成され、ECU20のROMに記憶されている。一般に、モータ12の通電開始後の時間経過に伴ってモータ12の回転速度が上昇してピニオン13の回転速度が上昇し、その際、モータ12の通電電流が大きいほどモータ12の回転速度が速くなってピニオン13の回転速度が速くなるため、モータの通電時間や通電電流からピニオン13の回転速度を推定することができる。
以上説明した本実施形態のエンジン21の再始動制御は、ECU20によって図5のエンジン再始動制御ルーチンに従って実行される。以下、図5のエンジン再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。
図5に示すエンジン再始動制御ルーチンは、ECU20の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップS101で、エンジン自動停止制御中(例えば、エンジン21の燃焼停止から再始動制御が開始されるまでの期間)であるか否かを判定し、エンジン自動停止制御中ではないと判定されれば、ステップS102以降の再始動制御に関する処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップS101で、エンジン自動停止制御中であると判定された場合には、ステップS102以降の再始動制御に関する処理を次のようにして実行する。まず、ステップS102で、エンジン再始動要求が発生したか否かを判定し、エンジン再始動要求が発生したと判定された時点で、ステップS103に進み、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Neが第1の回転速度領域であるか否かを判定する。
ここで、第1の回転速度N1は、例えば300〜700rpmの範囲内(本実施形態では500rpm)に設定されている。エンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1(300〜700rpm)よりも高いときには、スタータ11によるクランキングを行わなくても燃焼(燃料噴射・点火)を再開するだけでエンジン21を再始動できるため、第1の回転速度N1を300〜700rpmの範囲内に設定すれば、第1の回転速度N1(300〜700rpm)よりも高い第1の回転速度領域が、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動できる領域となる。
このステップS103で、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Neが第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、スタータ11によるクランキングを行わなくてもエンジン21を再始動できると判断して、ステップS104(自律復帰制御手段)に進み、自律復帰制御を実行する。この自律復帰制御では、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる。
この後、ステップS105に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを、例えばエンジン回転速度Neが始動完了判定値N3(図6参照)を越えたか否かによって判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップS103に戻り、エンジン回転速度Neが第1の回転速度領域であれば、自律復帰制御を継続する(ステップS103、104)。その後、ステップS105で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップS103で、エンジン回転速度Neが第1の回転速度N1以下であると判定された場合には、ステップS106に進み、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2よりも高いか否かによって、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域であるか第3の回転速度領域であるかを判定する。
ここで、第2の回転速度N2は、例えば50〜450rpmの範囲内(本実施形態では250rpm)に設定されている。エンジン回転降下期間中に、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2(50〜450rpm)以下に低下すれば、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができるため、第2の回転速度を50〜450rpmの範囲内に設定すれば、第2の回転速度N2(50〜450rpm)以下の第3の回転速度領域が、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができる領域となる。
このステップS106で、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2よりも高いと判定された場合(つまりエンジン回転速度Neが第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、リングギヤ23の回転速度が比較的高いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させないと、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができないと判断して、ステップS107(先回し制御手段)に進み、先回し制御を実行する。
この先回し制御では、先述したエンジン回転速度Neのマップ及びピニオン13の回転速度のマップに基づき、エンジン自動停止要求の発生から前記同期に至るまでの経過時間を算出する。そして、エンジン自動停止要求の発生時点でモータ12によりピニオン13を回転駆動させ、前記経過時間に達した時点で電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるよう押し出し駆動させる。これにより、モータ12によりピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させて両者の回転速度の差を小さくした後に、電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21が再始動される。
この後、ステップS108に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了するが、エンジン21の始動が完了していないと判定されれば、ステップS109(先出し制御手段)に進む。
一方、上記ステップS106で、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2以下であると判定された場合(つまりエンジン回転速度Neが第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合)には、リングギヤ23の回転速度が比較的低いため、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができると判断して、ステップS109に進み、先出し制御を実行する。この先出し制御では、エンジン自動停止要求の発生時点で電磁アクチュエータ14によりピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるよう押し出し駆動させる。そして、噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中にモータ12によりピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる。
この後、ステップS110に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップS109に戻り、先出し制御を継続する。その後、ステップS110で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
要するに、以上説明した図5の処理では、エンジン21の自動停止によるエンジン回転降下期間中にエンジン回転速度Neが第1の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、スタータ11によるクランキングを行わずに燃料噴射及び点火を再開してエンジン21を再始動させる自律復帰制御を実行する。また、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させた後にピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる先回し制御を実行する。また、エンジン回転速度Neが第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生したときには、ピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせた後又はピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせる途中にピニオン13を回転させてスタータ11によるクランキングを開始してエンジン21を再始動させる先出し制御を実行する。
したがって、エンジン回転降下期間中にエンジン再始動要求が発生した場合に、そのときのエンジン回転速度Neに応じた適正なエンジン再始動制御を行うことができ、エンジン21の再始動の遅れや騒音の発生を防止できると共に、スタータ11の電力消費量を低減することができる。
また、図5の処理では、エンジン再始動制御の際に、エンジン自動停止要求の発生(又はエンジン21の燃焼停止)からの経過時間に基づいてエンジン回転速度を推定するようにしたので、例えば、エンジン回転降下期間のエンジン回転速度を精度良く検出できる高価なクランク角センサを設ける必要がなく、更に、モータ12の通電時間と通電電流とに基づいてピニオン13の回転速度を推定するようにしたので、モータ12の回転速度(ピニオン13の回転速度)を検出するセンサを省略した構成にすることができ、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
しかしながら、上記図5の処理を実施するだけでは、以下に説明する問題が懸念される。すなわち、上述した自律復帰制御を実施しても、所望する燃焼が為されずにエンジン再始動に失敗する場合がある。特に、エンジン回転速度Neの降下速度が速い時に自律復帰制御を実施すると失敗のおそれが高くなる。このような自律復帰制御の失敗が生じた場合、図5の処理によると、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域にまで降下することに伴い先回し制御が実施されることとなる。
しかしながら、図6に示すように、自動停止後のエンジン回転速度Neは、厳密には降下と上昇を繰り返し脈動しながら降下していく。そのため、エンジン回転速度Neが第1の回転速度領域である時に自律復帰制御を実施したがエンジン再始動に失敗した場合、その失敗した時点t10の後、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域にまで降下した時点t20で先回し制御を実施すると、その先回し制御によりピニオン13を押し出す時点t30において、エンジン回転速度Neが第2の回転速度領域よりも高くなっている場合がある。この場合、リングギヤ23の回転速度がピニオン13の回転速度よりも遥かに大きい状態(両回転速度が同期していない状態)でピニオン13が押し出されることとなるので、ピニオン13がリングギヤ23にスムーズに噛み合うことができない。そのため、リングギヤ23及びピニオン13の著しい磨耗損傷が懸念される。
上記問題に対し、本実施形態では、自律復帰制御によるエンジン再始動が失敗した場合には、その失敗が検出された時点t40(図6参照)から所定時間Tb(図6参照)が経過するまでは先回し制御を禁止するとともに、前記所定時間Tbが経過した時点t50で先出し制御を実施する。
以上説明した失敗時の再始動制御は、ECU20によって図7の失敗時再始動制御ルーチンに従って実行される。以下、図7の失敗時再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。
図7に示す失敗時再始動制御ルーチンは、ECU20の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップS201(検出手段)で、自律復帰制御による再始動が失敗したか否かを判定する。例えば、自律復帰制御開始から所定時間Ta(図6参照)の間に、エンジン回転速度Neが始動完了判定値N3を越えて高くならなかった場合に失敗したと判定する。なお、失敗と判定された場合において、所定時間Taが経過した時点t40(図6参照)が「失敗検出時点」に相当する。
失敗と判定されなければ、ステップS202以降の再始動制御に関する処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。一方、上記ステップS201で、自律復帰制御による再始動が失敗したと判定された場合には、その時のエンジン温度(例えばエンジン冷却水の温度)、及びその時のエンジン回転速度Neに基づき、次のステップS203の判定に用いる所定時間Tb(図6参照)を設定する。
所定時間Tbは、ピニオン13の回転速度をリングギヤ23の回転速度に同期させなくても、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み合わせることができる回転速度(例えば第2の回転速度N2)にまでエンジン回転速度が低下すると推定される時間に設定される。但し、エンジン温度が低いほどエンジンオイルの粘性が大きくなっているので、エンジンの駆動摩擦が大きくなる。よって、自律復帰制御による再始動が失敗した後、エンジン回転速度Neの低下速度が速くなる。この点を鑑みて上記ステップS201では、エンジン温度が低いほど所定時間Tbを短く設定している。
また、失敗検出時点t40でのエンジン回転速度Neが低いほど所定時間Tbを短く設定している。したがって、例えばエンジン温度及びエンジン回転速度Neをパラメータとする所定時間Tbのマップを参照して所定時間Tbを設定してもよいし、エンジン温度及びエンジン回転速度Neと所定時間Tbとの関係を表す演算式を用いて所定時間Tbを設定してもよい。
続くステップS203では、失敗検出時点t40から、ステップS202で設定した所定時間Tbが経過したか否かを判定する。所定時間Tbが経過していないと判定されれば、ステップS204に進み、図5のステップS104による自律復帰制御の実行を禁止するとともに、ステップS107による先回し制御の実行を禁止する。そして、所定時間Tbが経過したと判定されれば、ステップS205に進み、図5のS109と同様の先出し制御を実行する。具体的には、所定時間Tbが経過した時点t50で電磁アクチュエータ14を通電オンさせてピニオン13をリングギヤ23に噛み合わせるよう押し出し駆動させる。
この後、ステップS206に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップS205に戻り、先出し制御を継続する。その後、ステップS206で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。なお、先出し制御を実行してから所定時間が経過するまでの間にエンジン回転速度Neが始動完了判定値N3を越えて高くなった場合にエンジン21の始動が完了したと判定すればよい。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗した直後に先回し制御を実施することが禁止される。よって、自律復帰制御による再始動が失敗することに伴いエンジン回転速度Neが第2の回転速度領域にまで低下した後、再び第1の回転速度領域にまで上昇した時点t30で同期していない状態のままピニオン13を押し出してリングギヤ23に噛み合わせようとすることが回避される。
そして、失敗検出時点t40から所定時間tb(待機時間)が経過した時点t50で先出し制御を実施するので、前記失敗の後、エンジン回転速度Neが例えば第2の回転速度N2(或いはその近傍)にまで低下したタイミングで、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み込ませることができる。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み込ませることができるので、リングギヤ23及びピニオン13が著しく磨耗損傷してしまうことを回避できる。
さらに本実施形態によれば、先回し制御が禁止される所定時間Tbを、その時のエンジン温度が低いほど短く設定するとともに、その時のエンジン回転速度Neが低いほど短く設定する。よって、自律復帰制御による再始動失敗後において、先出し制御により再始動するタイミングをできるだけ早くできる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、失敗検出時点t40から所定時間Tbが経過するまで先回し制御を禁止して、所定時間Tbが経過した時点t50で先出し制御を実行するのに対し、本実施形態では、失敗検出の後、エンジン回転速度Neが閾値Nth(図6参照)よりも低下するまで先回し制御を禁止して、閾値Nthにまで低下した時点で先出し制御を実行する。
本実施形態にかかる失敗時の再始動制御は、ECU20によって図8のエンジン再始動制御ルーチンに従って実行される。以下、図8の失敗時再始動制御ルーチンの処理内容を説明する。
図8に示す失敗時再始動制御ルーチンは、ECU20の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。なお、図8中、図7と同じ符号が付された処理については、図7の処理と同じであるため説明を援用する。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップS201(検出手段)で、自律復帰制御による再始動が失敗したか否かを判定する。
失敗と判定されなければ、ステップS203a以降の再始動制御に関する処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。一方、上記ステップS201で、自律復帰制御による再始動が失敗したと判定された場合には、ステップS203aに進み、現時点でのエンジン回転速度Neが、予め設定された閾値Nth(図6参照)以下であるか否かを判定する。当該閾値Nthは、第1の回転速度N1よりも低い値に設定されている。図6に示す例では、閾値Nthを、第2の回転速度N2よりも僅かに高い値に設定している。
ステップS203aにおいてNe>Nthと判定されれば、ステップS204に進み、図5のステップS104による自律復帰制御の実行を禁止するとともに、ステップS107による先回し制御の実行を禁止する。そして、Ne≦Nthと判定されれば、ステップS205に進み、図5のS109と同様の先出し制御を実行する。この後、ステップS206に進み、エンジン21の始動が完了したか否かを判定し、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合には、上記ステップS205に戻り、先出し制御を継続する。その後、ステップS206で、エンジン21の始動が完了したと判定されれば、本ルーチンを終了する。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗した直後に先回し制御を実施することが禁止される。よって、自律復帰制御による再始動が失敗することに伴いエンジン回転速度Neが第2の回転速度領域にまで低下した後、再び第1の回転速度領域にまで上昇した時点t30で同期していない状態のままピニオン13を押し出してリングギヤ23に噛み合わせようとすることが回避される。
そして、自律復帰制御による再始動失敗が検出された後、エンジン回転速度Neが閾値Nth(Nth<N1)にまで低下した時点で先出し制御を実行するので、前記失敗の後、エンジン回転速度Neが閾値Nthにまで低下したタイミングで、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み込ませることができる。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み込ませることができるので、リングギヤ23及びピニオン13が著しく磨耗損傷してしまうことを回避できる。
さらに本実施形態によれば、閾値Nthを第2の回転速度N2よりも僅かに高い値に設定しているので、自律復帰制御による再始動失敗後において、先出し制御により再始動するタイミングを、閾値Nthを第2の回転速度N2と同じ値に設定した場合に比べて早くできる。
(第3実施形態)
上記第1及び第2実施形態では、自律復帰制御、先回し制御、及び先出し制御の3つの制御を、第1の回転速度領域、第2の回転速度領、及び第3の回転速度領域に応じて実施することを前提としている。これに対し本実施形態では、図5のステップS107による先回し制御手段を廃止しており、自律復帰制御及び先出し制御のいずれかを、第1の回転速度領域及び第3の回転速度領域に応じて実施することを前提としている。
図9及び図10を用いて、以下、本実施形態にかかる制御内容を具体的に説明する。なお、図9及び図10中、図5及び図7と同じ符号が付された処理については、図5及び図7の処理と同じであるため説明を援用する。
図9のステップS106において、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2よりも高いと判定(S106:YES)された場合、つまりエンジン回転速度Neが第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合には、次のステップS107aに進み、自律復帰制御及び先出し制御のいずれも実施しない状態で待機する。すなわち、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2以下と判定(S106:NO)されるまで、つまりエンジン回転速度Neが第3の回転速度領域に低下するまで待機する。
そして、上記ステップS106で、エンジン回転速度Neが第2の回転速度N2以下であると判定(S106:NO)された場合、つまり、エンジン回転速度Neが第3の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した場合、或いは、第2の回転速度領域でエンジン再始動要求が発生した後に第3の回転速度領域にまでエンジン回転速度Neが低下した場合には、ステップS109に進み先出し制御を実行する。
図10のステップS203において、失敗検出時点t40から、ステップS202で設定した所定時間Tbが経過していないと判定されれば、ステップS204aに進み、図9のステップS104による自律復帰制御の実行を禁止する。そして、所定時間Tbが経過したと判定されれば、ステップS205に進み、図9のS109と同様の先出し制御を実行する。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後、自律復帰制御の再実施が禁止されるので、自律復帰制御による再始動の失敗を繰り返すことの回避を図ることができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、図9に示す上記第3実施形態と同様にして、図5のステップS107による先回し制御手段を廃止しており、自律復帰制御及び先出し制御のいずれかを、第1の回転速度領域及び第3の回転速度領域に応じて実施することを前提としている。
また、上記第3実施形態では、失敗検出時点t40から所定時間Tbが経過するまで自律復帰制御を禁止して、所定時間Tbが経過した時点t50で先出し制御を実行するのに対し、本実施形態では、失敗検出の後、エンジン回転速度Neが閾値Nth(図6参照)よりも低下するまで自律復帰制御及び先出し制御を実施することなく待機して、閾値Nthにまで低下した時点で先出し制御を実行する。
図11を用いて、以下、本実施形態にかかる制御内容を具体的に説明する。なお、図11中、図8と同じ符号が付された処理については、図8の処理と同じであるため説明を援用する。
図11のステップS201において、自律復帰制御による再始動が失敗したと判定された場合には、ステップS203aに進み、現時点でのエンジン回転速度Neが、予め設定された閾値Nth(図6参照)以下であるか否かを判定する。当該閾値Nthは、第1の回転速度N1よりも低い値に設定されている。図6に示す例では、閾値Nthを、第2の回転速度N2よりも僅かに高い値に設定している。
ステップS203aにおいてNe>Nthと判定されれば、ステップS204aに進み、図9のステップS104による自律復帰制御の実行を禁止する。そして、Ne≦Nthと判定されれば、ステップS205に進み、図9のS109と同様の先出し制御を実行する。
以上により、本実施形態によれば、自律復帰制御による再始動が失敗したとしても、その後、自律復帰制御の再実施が禁止されるので、自律復帰制御による再始動の失敗を繰り返すことの回避を図ることができる。
そして、自律復帰制御による再始動失敗が検出された後、エンジン回転速度Neが閾値Nth(Nth<N1)にまで低下した時点で先出し制御を実行するので、前記失敗の後、エンジン回転速度Neが閾値Nthにまで低下したタイミングで、ピニオン13をリングギヤ23にスムーズに噛み込ませることができる。
さらに本実施形態によれば、閾値Nthを第2の回転速度N2よりも僅かに高い値に設定しているので、自律復帰制御による再始動失敗後において、先出し制御により再始動するタイミングを、閾値Nthを第2の回転速度N2と同じ値に設定した場合に比べて早くできる。
(他の実施形態)
・上記第2実施形態では、閾値Nthを第2の回転速度N2よりも僅かに高い値に設定しているが、閾値Nthを、第2の回転速度N2と同じ値に設定してもよい。これによれば、自律復帰制御失敗の後、エンジン回転速度Neが第3の回転速度領域にまで低下したタイミングで先出し制御を実行することを、上記第2実施形態に比べて確実にできる。なお、上記閾値Nthはゼロに設定してもよいし、ゼロより高い値に設定してもよい。
・本実施形態が適用されるエンジンは、点火式のガソリンエンジン及び圧縮自着火式のディーゼルエンジンのいずれであってもよい。但し、ディーゼルエンジンの場合には、自動停止後のエンジン回転速度Neが図6に示す如く脈動しながら降下するにあたり、その脈動が大きいので、従来制御による問題が顕著となる。つまり、自律復帰制御による再始動が失敗することに伴いエンジン回転速度Neが第2の回転速度領域にまで低下した後、再び第1の回転速度領域にまで上昇した時点t30で同期していない状態のままピニオン13を押し出してリングギヤ23に噛み合わせようとする問題が顕著となる。したがって、ディーゼルエンジンに本発明を適用すれば、上記問題を解決するといった効果が好適に発揮される。
・図5に示す実施形態では、自律復帰制御、先回し制御及び先出し制御の3つを実施可能な制御装置を前提とし、図9に示す実施形態では、自律復帰制御及び先出し制御の2つを実施可能な制御装置を前提としている。
これらの実施形態の変形例として、自律復帰制御及び先回し制御の2つを実施可能な制御装置を前提としてもよい。この場合には、自律復帰制御による再始動が失敗した場合、その後、所定時間Tbが経過するまで、或いはエンジン回転速度Neが閾値Nthに低下するまでは、自律復帰制御の再始動を禁止すればよい。
また、先回し制御及び先出し制御の2つを実施可能な制御装置を前提としてもよい。この場合には、先回し制御による再始動が失敗した場合、その後、所定時間が経過するまで、或いはエンジン回転速度Neが閾値に低下するまでは、先回し制御の再始動を禁止すればよい。これによれば、先回し制御による再始動が繰り返し失敗することを回避できる。
11…スタータ、12…モータ、13…ピニオン、14…電磁アクチュエータ(アクチュエータ)、S104…自律復帰制御手段、S107…先回し制御手段、S109…先出し制御手段、S201…検出手段。

Claims (9)

  1. ピニオンを回転駆動するモータと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能なスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときにエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置において、
    前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度よりも高い第1の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開して前記エンジンを再始動させる自律復帰制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記モータにより前記ピニオンの回転速度を前記リングギヤの回転速度に同期させた後に前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる先回し制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる先出し制御手段と、の上記3つの制御手段のうち、少なくとも2つの制御手段を備えるとともに、
    いずれかの制御手段による制御を実施した場合に、その制御による前記再始動が失敗したことを検出する検出手段を備え、
    前記検出手段により失敗が検出された場合には、その失敗検出時点から所定時間が経過するまでは失敗した制御手段による再始動制御を禁止し、前記所定時間が経過した時点で前記失敗した制御手段とは異なる制御手段による再始動制御を実施することを特徴とするエンジン自動停止始動制御装置。
  2. 前記自律復帰制御手段及び前記先出し制御手段を少なくとも備え、
    前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記所定時間が経過した時点で前記先出し制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする請求項1に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  3. 前記自律復帰制御手段、前記先回し制御手段及び前記先出し制御手段の全てを備え、
    前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記所定時間が経過するまでは前記先回し制御手段による再始動制御を禁止することを特徴とする請求項2に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  4. 前記所定時間を、前記エンジンの温度が低いほど短く設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  5. ピニオンを回転駆動するモータと、前記ピニオンをエンジンのクランク軸に連結されたリングギヤに噛み合わせるアクチュエータとを個別に作動可能なスタータを備え、エンジン自動停止要求が発生したときにエンジンを自動停止させ、エンジン再始動要求が発生したときにエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動制御装置において、
    前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下するエンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が第1の回転速度よりも高い第1の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記スタータによるクランキングを行わずに燃料噴射を再開して前記エンジンを再始動させる自律復帰制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第1の回転速度以下で第2の回転速度よりも高い第2の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記モータにより前記ピニオンの回転速度を前記リングギヤの回転速度に同期させた後に前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる先回し制御手段と、
    前記エンジン回転降下期間中に前記エンジン回転速度が前記第2の回転速度以下の第3の回転速度領域で前記エンジン再始動要求が発生したときに、前記アクチュエータにより前記ピニオンを前記リングギヤに噛み合わせた後又はその噛み合わせの途中に前記モータにより前記ピニオンを回転させて前記スタータによるクランキングを開始して前記エンジンを再始動させる先出し制御手段と、の上記3つの制御手段のうち、少なくとも2つの制御手段を備えるとともに、
    いずれかの制御手段による制御を実施した場合に、その制御による前記再始動が失敗したことを検出する検出手段を備え、
    前記検出手段により失敗が検出された場合には、その後の前記エンジン回転速度が所定の閾値未満にまで低下するまでは失敗した制御手段による再始動制御を禁止し、前記エンジン回転速度が前記所定の閾値にまで低下した時点で前記失敗した制御手段とは異なる制御手段による再始動制御を実施することを特徴とするエンジン自動停止始動制御装置。
  6. 前記自律復帰制御手段及び前記先出し制御手段を少なくとも備え、
    前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、前記閾値にまで低下した時点で前記先出し制御手段による再始動制御を実施することを特徴とする請求項5に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  7. 前記自律復帰制御手段、前記先回し制御手段及び前記先出し制御手段の全てを備え、
    前記自律復帰制御手段による再始動の失敗が前記検出手段により検出された場合には、その後の前記エンジン回転速度が前記第1の回転速度未満に設定された前記閾値よりも低下するまでは前記先回し制御手段による再始動制御を禁止することを特徴とする請求項6に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  8. 前記閾値は、前記第2の回転速度よりも高い値に設定されていることを特徴とする請求項7に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
  9. 前記閾値は、前記第2の回転速度と同じ値に設定されていることを特徴とする請求項7に記載のエンジン自動停止始動制御装置。
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