以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジン制御装置1の構成の一例を概略的に示すブロック図である。以下、「車両」は、特に断わらない限り、エンジン制御装置1が搭載される車両を指す。
尚、図中、二重線は、機械的動力系統を表し、実線は、電力系統を表し、点線(矢印)は、制御・信号系統を表す。
エンジン制御装置1は、エンジン10、スタータ11、スタータリレー12、オルタネータ13、バッテリ20、エンジンECU(Electronic Control Unit)30、エコランECU40を含む。また、当該車両は、エンジン制御装置1に関連する要素として、バッテリセンサ20s、電気負荷25、エンジン回転数センサ(以下、「NEセンサ」と称する)31、車速センサ41、マスタシリンダ圧センサ(MC圧センサ)42等を搭載している。
尚、エンジンECU30及びエコランECU40は、例えば、CAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルに基づく車載ネットワークに接続され、双方向通信が可能に構成される。また、エンジンECU30及びエコランECU40は、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、ROMに格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより後述する各種制御処理を実現することができる。
エンジン10は、車両の駆動力源としての内燃機関である。エンジン10は、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等である。
スタータ11は、エンジン10をクランキングし始動させる既知の始動装置である。スタータ11は、バッテリ20から供給される電力で作動し、バッテリ20からスタータ11への電力経路(後述する電力経路L1から分岐する電力経路L2)に設けられる常開型のスタータリレー12がエコランECU40からの駆動指令によりON(閉成)されると通電する。
オルタネータ13は、エンジン10の動力により駆動される直流発電機であり、交流発電機と該交流発電機による三相交流電力を直流化する整流器等により構成される。オルタネータ13は、エンジン10のクランク軸からベルトを介して伝達されるエンジン10の動力で発電することができる。また、オルタネータ13は、レギュレータを含み、該レギュレータが励磁電流(オルタネータ13のロータコイルに流れるフィールド電流)を調整することによりオルタネータ13の発電電圧(発電量)を制御することができる。オルタネータ13は、電力経路L1を通じて電気負荷25に接続すると共に、電力経路L1から分岐する電力経路L3を通じてバッテリ20と接続される。即ち、オルタネータ13は、バッテリ20、電気負荷25と並列に接続され、オルタネータ13により発電された電力は、バッテリ20に充電されたり、電気負荷25に供給されたりする。
尚、オルタネータ13は、エンジンECU30と通信可能に接続され、発電状態に関する情報(発電状態情報)を出力してもよい。
バッテリ20は、電力経路L1のうちの電力経路L2との接続点より下流側(電気負荷25側)の部分から分岐する電力経路L3に設けられ、スタータ11及び電気負荷25に電力を供給する電源である。バッテリ20は、例えば、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリ等の二次電池であり、通常、12Vの定格電圧を有し、その充電状態に応じて、約12V〜約15Vの電圧を出力する。また、バッテリ20は、オルタネータ13の発電電力で充電される。
バッテリセンサ20sは、バッテリ20の各種状態(電流、電圧、温度、充電状態、劣化状態等)を検出する既知の検出手段である。バッテリセンサ20sは、1対1の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、エンジンECU30及びエコランECU40と通信可能に接続され、バッテリ20の各種状態に関する検出信号は、エンジンECU30及びエコランECU40に送信される。
尚、バッテリ20の各種状態に関する検出信号は、エンジンECU30に送信され、エコランECU40は、CAN等の車載ネットワークを通じて、エンジンECU30からバッテリの各種状態に関する情報を取得してもよい。
電気負荷25は、オルタネータ13及びバッテリ20と並列に接続され、オルタネータ13及びバッテリ20のうちの少なくとも一方から供給される電力で作動する。電気負荷25は、各種照明装置、ワイパ装置、オーディオ装置、空調装置、各種ECU等を含む。
エンジンECU30は、エンジン10の作動制御、具体的には、燃料噴射装置、点火装置(共に不図示)等、エンジン10の作動に関連する各種アクチュエータの作動制御を実行する電子制御ユニットである。また、エンジンECU30は、オルタネータ13の発電制御も行う。
エンジンECU30は、燃料噴射装置、点火装置に対して、燃料噴射指令、点火指令を出力することにより、エンジン10の燃料噴射制御及び点火制御を行う。エンジンECU30は、NEセンサ31から入力される検出信号(NE信号、クランク角パルス信号)やカム角センサ(不図示)から入力されるカム角パルス信号に基づき、エンジン10の各気筒毎の行程に合わせたタイミングで燃料噴射信号及び点火信号を出力する。
また、エンジンECU30は、エコランECU40から送信されるエンジン10の停止要求に応じて、所定のタイミングで燃料供給をカットする(燃料噴射を停止させる)ことにより、エンジン10を停止させる。
また、エンジンECU30は、エコランECU40からエンジン10の始動要求を受信した場合、スタータ11によるエンジン10のクランキングに合わせて、燃料噴射指令、点火指令を出力し、エンジン10を始動させる。
また、エンジンECU30は、エコランECU40からの制御要求に応じて、励磁電流を調整する制御指令をオルタネータ13に出力する。
尚、エンジンECU30は、電気負荷25の作動状態(電気負荷状態)に関する情報を取得可能な態様であってもよい。例えば、エンジンECU30は、電気負荷25の電流を検出する電流センサ(不図示)から検出信号を受信可能な態様であってもよい。また、エンジンECU30は、電気負荷25と通信可能に接続され、電気負荷25の制御状態に関する信号を受信可能な態様であってもよい。
NEセンサ31は、エンジン10の回転数(エンジン回転数)に対応する検出信号(NE信号)をエンジンECU30に出力する。また、NEセンサ31は、エンジン10のクランク角に対応するパルス信号(クランク角パルス信号)をエンジンECU30に出力する。具体的には、NEセンサ31は、MR素子(磁気抵抗素子)を用いて、クランク軸と一体に回転するギヤパルサの外周に設けられる等間隔の突起部を検出し、ギヤパルサの回転に応じたパルス信号を出力する。また、ギヤパルサには、欠け歯部(突起部が設けられない外周部)が設けられ、NEセンサ31は、欠け歯部をモニタリングすることで、NE信号を出力することができる。
尚、エンジンECU30は、CAN等の車載ネットワークを通じて、NE信号やクランク角パルス信号をエコランECU40に送信する。
エコランECU40は、エンジン10の自動停止及び自動始動(所謂、アイドリングストップ機能)に関する制御を実行する電子制御ユニットである。エコランECU40は、ROMに格納される1つ以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、エコラン制御部401、スタータ制御部402を含む。
尚、エコランECU40の機能の一部又は全部は、エンジンECU30により実現されてもよい。
エコラン制御部401は、所定のエンジン停止条件が成立した場合、エンジン10を自動的に停止させるためのエンジン10の停止要求をエンジンECU30及びスタータ制御部402に出力する。エンジン停止条件は、例えば、"車両の車速が所定速度(例えば、8km/h、停車に対応する0km/h等)以下であること"、"所定以上のブレーキペダルの踏み込みがあること(MC圧が所定の第1の値以上であること)"、"バッテリ20のSOC(State Of Charge:充電率)が所定の第2の値以上であること"等を含み、かかる複数の条件の全てを満足すると成立する。
また、エコラン制御部401は、エンジン10の停止要求を出力した後、所定のエンジン始動条件が成立した場合、エンジン10を自動的に始動させるためのエンジン10の始動要求をエンジンECU30及びスタータ制御部402に出力する。エンジン始動条件は、例えば、"ブレーキペダルの踏み込みが解除されたこと(MC圧が上記第1の値より低い第3の値以下になったこと)"、"バッテリ20のSOCが上記第2の値よりも低い第4の値以下に低下したこと"等を含み、かかる複数の条件の何れか一つを満足すると成立する。
スタータ制御部402は、エコランECU40から送信される始動要求に応じて、スタータ11の駆動制御を行う。
スタータ制御部402は、エコラン制御部401から停止要求が出力されると、NEセンサ31の異常の有無を判定する処理(異常判定処理)を行う。スタータ制御部402は、NEセンサ31が正常であると判定すると、エコラン制御部401から始動要求が出力された場合、NEセンサ31の検出信号に対応するエンジン回転数NEが所定閾値NEthを下回っていることを確認した上で、スタータ11を駆動する。即ち、スタータ制御部402は、エコラン制御部401から始動要求を受信した場合であって、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが所定閾値NEthを下回っている場合、スタータリレー12に駆動指令を出力し、エンジン10を始動させる。
一方、スタータ制御部402は、NEセンサ31が異常であると判定すると、エコラン制御部401から始動要求が出力された場合、オルタネータ13の作動状況から判断されるエンジン10の回転状態に基づき、スタータ11を駆動させる。スタータ制御部402による異常判定処理等の詳細は、後述する。
尚、本実施形態における"NEセンサ31の異常"とは、NE信号の異常の意味で用いる。
車速センサ41は、車両の車速を検出する既知の検出手段であり、例えば、車両の各輪に設けられる車輪速センサを適用することができる。車速センサ41は、CAN等の車載ネットワークを通じて、エコランECU40と通信可能に接続され、車速に対応する検出信号は、エコランECU40に送信される。
MC圧センサ42は、MC圧を検出する既知の検出手段である。MC圧センサ42は、1対1の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、エコランECU40と通信可能に接続され、MC圧に対応する検出信号は、エコランECU40に送信される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るエンジン制御装置1による特徴的な処理について説明する。
図2は、エンジン制御装置1(スタータ制御部402)による異常判定処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、車両のイグニッションオン(IG−ON)後の初期処理完了からイグニッションオフ(IG−OFF)までの間、所定時間間隔で繰り返し実行される。
ステップS102にて、スタータ制御部402は、エコラン制御部401から停止要求を受信したか否かを判定する。スタータ制御部402は、停止要求を受信した場合、ステップS104に進み、停止要求を受信していない場合、今回の処理を終了する。
ステップS104にて、スタータ制御部402は、バッテリセンサ20sから受信する検出信号に基づき、停止要求の受信後の所定期間Aで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth1以上減少したか否かを判定する。スタータ制御部402は、所定期間Aで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth1以上減少した場合、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下した(発電停止した)と判定し、ステップS108に進む。一方、スタータ制御部402は、所定期間Aで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth1以上減少していない場合、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下していない(発電停止していない)と判定し、ステップS110に進む。
尚、スタータ制御部402は、所定期間Aで、バッテリ20の充電電流Iが所定値dIth1以上減少したか否かに基づき、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下したか否か(即ち、オルタネータ13が発電停止したか否か)を判定してもよい。また、スタータ制御部402は、簡易的に、バッテリ20に充電電流が流れる場合、オルタネータ13が発電停止していないと判定し、バッテリ20から継続的に放電電流が流れる場合、オルタネータ13が発電停止したと判定してもよい。また、所定閾値Pth、所定値dVth1、所定値dIth1は、エンジン10、オルタネータ13、バッテリ20の仕様や実験、シミュレーション等に基づき、予め規定される適合値である。
ステップS106にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の発電量Pが十分に減少しているため、エンジン10の回転数が十分に低下し、スタータ11によるエンジン10の始動が可能な状態と判断する。即ち、スタータ制御部402は、スタータ11によるエンジン10の始動を許可する状態(始動許可状態)に移行する。
ステップS108にて、スタータ制御部402は、所定期間Aにおいて、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが所定値dNEth以上減少したか否かを判定する。スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間Aで所定値dNEth以上減少している場合、ステップS120に進む。一方、スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間Aで所定値dNEth以上減少していない場合、ステップS122に進む。
また、ステップS104にて、所定期間Aで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上に減少していない場合、ステップS110にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の励磁電流を比較的高い所定状態に維持させる。具体的には、スタータ制御部402は、エンジンECU30に対して、オルタネータ13の励磁電流を比較的高い所定状態に維持する旨の制御要求を出力する。
尚、"励磁電流が比較的高い所定状態"とは、例えば、停止要求が出力される前の励磁電流の状態を維持する状態であってもよいし、停止要求が出力される前よりも更に高い励磁電流に高めた状態であってもよい。
ステップS112にて、スタータ制御部402は、バッテリセンサ20sから受信する検出信号に基づき、所定期間Aの後の所定期間Bで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth2以上減少したか否かを判定する。スタータ制御部402は、所定期間Bで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth2以上減少した場合、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下した(発電停止した)と判定し、ステップS114に進む。一方、スタータ制御部402は、所定期間Bで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth2以上減少していない場合、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下していない(発電停止していない)と判定し、ステップS112の処理を繰り返す。
尚、ステップS104の場合と同様、スタータ制御部402は、所定期間Bで、バッテリ20の充電電流Iが所定値dIth2以上減少したか否かに基づき、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下まで低下したか否か(即ち、オルタネータ13が発電停止したか否か)を判定してもよい。また、スタータ制御部402は、簡易的に、バッテリ20に充電電流が流れる場合、オルタネータ13が発電停止していないと判定し、バッテリ20から継続的に放電電流が流れる場合、オルタネータ13が発電停止したと判定してもよい。また、所定値dVth2、所定値dIth2は、エンジン10、オルタネータ13、バッテリ20の仕様や実験、シミュレーション等に基づき、予め規定される適合値である。
ステップS114にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の発電量Pが十分に低下しているため、ステップS106の場合と同様、スタータ11によるエンジン10の始動を許可する状態(始動許可状態)に移行する。
ステップS116にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の励磁電流を"0"に設定する。具体的には、スタータ制御部402は、エンジンECU30に対して、オルタネータ13の励磁電流を0に設定する旨の制御要求を出力する。
ステップS118にて、スタータ制御部402は、所定期間Bにおいて、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが所定値dNEth以上減少したか否かを判定する。スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間Bで所定値dNEth以上減少している場合、ステップS120に進む。一方、スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間Bで所定値dNEth以上減少していない場合、ステップS122に進む。
ステップS120にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の発電量Pの低下に対応するエンジン回転数NEの減少が確認されるため、NEセンサ31が正常であると判定し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS122にて、スタータ制御部402は、オルタネータ13の発電量Pの低下に対応するエンジン回転数NEの減少が確認されないため、NEセンサ31が異常であると判定し、引き続き、ステップS124以降の処理を行う。
ステップS124にて、スタータ制御部402は、エコラン制御部401から始動要求が出力されたか否かを判定する。スタータ制御部402は、始動要求が出力された場合、ステップS126に進み、始動要求が出力されていない場合、ステップS124の処理を繰り返す。
ステップS126にて、スタータ制御部402は、スタータ制御部402は、スタータリレー12に駆動指令を出力し、今回の処理を終了する。
次に、図3を参照して、本実施形態に係るエンジン制御装置1の一連の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係るエンジン制御装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。具体的には、図3は、車両の走行中にエンジン停止条件が成立してエンジン10が停止した後、エンジン始動条件が成立してエンジン10が始動するまでの間の一連の動作を表す。図3(a)〜図3(g)は、それぞれ、車速、ブレーキの操作状態、エコラン制御部401による制御状態、NE信号に対応するエンジン回転数NE、オルタネータ13の励磁電流、バッテリ20の電圧V、及びスタータ11の電流の時間変化を示す。
尚、本例では、エンジン停止条件として、車両が停止していること(即ち、車速が0であること)が含まれる前提で説明を進める。また、図3(d)中の実線は、NEセンサ31が正常且つ停止要求の出力(エンジン停止条件の成立)後、直ぐに、エンジン10が停止する場合、点線は、NEセンサ31が異常な場合、及び一点鎖線は、NEセンサ31が正常且つ停止要求の出力(エンジン停止条件の成立)後、直ぐには、エンジン10が停止しない場合(例えば、燃料パージの終了を待つ場合等)、それぞれに対応するエンジン回転数NEを表す。また、図3(e)中の実線は、図2のステップS104〜S108の処理で、NEセンサ31の異常の有無を判定することができる場合、一点鎖線は、図2のステップS110〜S118の処理で、NEセンサ31の異常の有無を判定する場合、それぞれの励磁電流の推移を表す。また、図3(f)の実線は、停止要求の出力(エンジン停止条件の成立)後、直ぐに、エンジン10が停止する場合、一点鎖線は、停止要求の出力(エンジン停止条件の成立)後、直ぐには、エンジン10が停止しない場合、それぞれのバッテリ20の電圧Vの推移を表す。
図3(a)、(b)に示すように、定速走行中である時刻t1にて、ブレーキ操作が開始され、車両が減速する。そして、時刻t2にて、車速が0に到達する。
ブレーキ操作が行われた状態で、車速が0に到達したため、図3(c)に示すように、時刻t3にて、エンジン停止条件が成立し、エコラン制御部401は、停止要求を出力する。
スタータ制御部402は、エコラン制御部401から停止要求を受信すると(ステップS102のY)、時刻t3から時刻t4までの所定期間Aで、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上減少したか否かを判定する(ステップS104)。
図3(e)に示すように、停止要求の出力直後は、まだ、オルタネータ13の励磁電流が高い状態である。そのため、上述の如く、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上減少したか否かをモニタリングすることにより、エンジン10の回転数の低下に応じて、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pthを下回ったことを確認する事ができる。
通常、図3(d)の実線に示すように、エコラン制御部401から停止要求が出力されると、直ぐに、エンジン10の燃料カットが行われる場合が多い。そのため、図3(f)の実線に示すように、所定期間A(時刻t3〜t4)におけるバッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上低下し(ステップS104のY)、エンジン10の回転が十分に低下したことを確認することができる(ステップS106)。
そして、図3(d)の実線で示すように、スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間A(時刻t3〜t4)で所定値dNEth以上減少している場合(ステップS108のY)、NEセンサ31が正常であると判定できる(ステップS120)。一方、図3(d)の点線で示すように、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間A(時刻t3〜t4)で所定値dNEth以上減少していない場合(ステップS108のN)、NEセンサ31が異常であると判定できる(ステップS122)。
尚、図3(e)の実線で示すように、励磁電流は、時刻t4から減少し、時刻t6にて、0になっている。また、図3(d)に示すように、NEセンサ31が正常且つ停止要求後、直ぐに、エンジン10が停止する場合、時刻t6にて、NEセンサ31で検出されるエンジン回転数NEが0になっている。
但し、図3(d)の一点鎖線で示すように、停止要求後、直ぐには、エンジン10が停止しない場合、オルタネータ13の発電量Pが低下せず、図3(f)に示すように、所定期間A(時刻t3〜t4)で、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上低下しない(ステップS104のN)。そのため、スタータ制御部402は、図3(e)の一点鎖線で示すように、オルタネータ13の励磁電流を高い状態に設定する(ステップS110)。そして、スタータ制御部402は、所定期間A(時刻t3〜t4)の後の所定期間B(時刻t5〜t7)で、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上減少したか否かを判定する(ステップS112)。
図3(f)の一点鎖線で示すように、スタータ制御部402は、バッテリ20の電圧Vが所定値dVth以上減少したことを確認し(ステップS112のY)、エンジン10の回転が十分に低下したことを確認することができる(ステップS114)。
そして、図3(d)の一点鎖線で示すように、スタータ制御部402は、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間B(時刻t5〜t7)で所定値dNEth以上減少している場合(ステップS118のY)、NEセンサ31が正常であると判定できる(ステップS120)。一方、図3(d)の点線で示すように、NEセンサ31で検出されたエンジン回転数NEが、所定期間B(時刻t5〜t7)で所定値dNEth以上減少していない場合(ステップS118のN)、NEセンサ31が異常であると判定できる(ステップS122)。
NEセンサ31が正常な場合、時刻t7の後の時刻t8にて、エコラン制御部401から始動要求が出力されると、NEセンサ31によるエンジン回転数NEが所定閾値NEthを下回っていることを確認する。そして、図3(g)に示すように、時刻t9にて、スタータ制御部402は、スタータリレー12に駆動指令を出力し、スタータ11が駆動する。
一方、NEセンサ31が異常な場合、時刻t8にて、エコラン制御部401から始動要求が出力されると(ステップS124のY)、時刻t9にて、スタータ制御部402は、図3(g)に示すように、スタータリレー12に駆動指令を出力し、スタータ11が駆動する(ステップS126)。エンジン10の回転数が十分に低下していることは既に確認済だからである(ステップS106或いはステップS114)。
そして、図3(d)の実線に示すように、エンジン10の回転数は上昇し、時刻t10にて、エンジン10の始動が完了する。
このように、本実施形態に係るエンジン制御装置1は、所定の停止条件が成立した場合、エンジン10を自動的に停止させる。そして、エンジン制御装置1は、その後、所定の始動条件が成立した場合であって、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下である場合、スタータ11でエンジン10を自動的に始動させる。従って、オルタネータ13の発電量Pが適宜設定される所定閾値Pth以下である場合、エンジン10の回転数がスタータ11によりエンジン10の始動が可能な状態まで低下していると判断することができる。そのため、NEセンサ31が故障等した場合に、NEセンサ31の出力を用いずとも、オルタネータ13の発電量Pが所定閾値Pth以下である場合、始動条件の成立に際して、スタータ11でエンジン10を自動的に始動させることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、バッテリセンサ20sは、電力経路L3に設けられるが、電力経路L1のうちの電力経路L2との接続点と電力経路L3との接続点との間の部分に設けられてもよい(図中点線)。この場合、スタータ制御部402は、バッテリセンサ20sの検出信号に対応する電流がオルタネータ13からバッテリ20及び電気負荷25に向けて流れている場合、オルタネータ13は発電停止していると判定してよい。一方、スタータ制御部402は、バッテリセンサ20sの検出信号に対応する電流が略0であり且つ電圧が所定基準以上に低下している場合、オルタネータ13は発電停止していると判定してよい。
また、上述した実施形態では、バッテリセンサ20sの検出信号に基づき、オルタネータ13の作動状態(発電停止しているか否か)を判定したが、電気負荷状態を考慮した判定を行ってもよい。これにより、オルタネータ13の作動状態をより正確に判定することができる。例えば、バッテリセンサ20sの検出信号に基づくバッテリ20の電流と、電気負荷状態(電気負荷の消費電流の状態)を比較することにより、バッテリ20からの持ち出しだけで、電気負荷25が作動しているか否か等を判定することが可能となる。
また、上述した実施形態では、バッテリセンサ20sの検出信号に基づき、オルタネータ13の作動状態(発電停止しているか否か)を判定したが、オルタネータ13からエンジンECU30に送信される発電状態情報に基づき、判定してもよい。この場合、エコランECU40(スタータ制御部402)は、CAN等の車載ネットワークを通じて、エンジンECU30から発電状態情報を取得する。
また、上述した実施形態では、ステップS110にて、オルタネータ13の励磁電流を所定基準以上にするが、当該処理に代えて、或いは、当該処理に加えて、電気負荷25の負荷状態(消費電力)を所定基準以上に高くしてもよい。具体的には、例えば、空調装置のデフロスタ等の消費電力が比較的大きい電気負荷25を作動させて、電気負荷25の消費電力を高めてよい。これにより、電気負荷25の消費電流が増加し、電気負荷25に供給される電力がバッテリ20から主に供給されているのか、オルタネータ13からも供給されているのかを、バッテリセンサ20sの検出信号から確実に判定することができる。
また、上述した実施形態では、オルタネータ13の作動状況(発電量P)に基づき、エンジン10の回転数が十分に低下したことやNEセンサ31の異常の有無を判定したが、当該構成には限定されない。例えば、エンジン10の動力で作動するエアコンのコンプレッサの作動状況からエンジン10の回転数が十分に低下したことやNEセンサ31の異常の有無を判定してもよい。具体的には、コンプレッサをONした状況で、コンプレッサによる冷媒圧縮が行われていない場合、エンジン10の回転数が十分に低下したと判定する。また、NEセンサ31のNE信号の代わりに、クランクパルス信号を用いて、エンジン10の回転数が十分に低下したことやNEセンサ31(NE信号)の異常を判定してもよい。