JP2008275737A - 光学薄膜積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材の一方の面上に、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.75以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下であり、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75未満であり、消衰係数が0.5以下であり、光学薄膜積層体のJIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下である。
【選択図】 図1
Description
前記高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.75以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下であり、
前記低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75未満であり、消衰係数が0.5以下であり、
前記光学薄膜積層体のJIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下である
ことを特徴とする光学薄膜積層体である。
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上65以下、a*が10以上80以下、b*が−80以上80以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体である。
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上60以下、a*が−20以上70以下、b*が−80以上−10以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体である。
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−35以上35以下、b*が−20以上20以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体である。
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−30以上30以下、b*が5以上70以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体である。
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−75以上−5以下、b*が−45以上45以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体である。
図1は、本発明の光学薄膜積層体の一例を示す断面図である。この光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2上に設けられた薄膜積層体4とから構成されるものである。
本発明における基材2としては、プラスチック、ガラス、金属、あるいはこれらを複合した素材が挙げられる。
プラスチック素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリパラキシレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルオキサイド、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、珪素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ABSアロイ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラス素材としては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
金属素材としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、ニッケル、クロム、ニクロム、亜鉛、錫、鉛、金、銀、銅、パラジウム、めっき鋼板等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらプラスチック素材、ガラス素材、金属素材を各種複合した素材でも構わない。
本発明における薄膜積層体4は、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層して形成されたものであり、本発明における光学薄膜積層体1は、基材2上に少なくとも薄膜積層体4を積層して形成されたものである。
このとき、JIS K 7136に準拠して測定された光学薄膜積層体1のヘイズは5%以下である。
これによると、金属光沢と彩色と透明性とを有する光学薄膜積層体を得ることができる。
なお、本発明におけるヘイズは、JIS K 7136に準拠して測定されたものであり、測定光源は基材2の薄膜積層体4を形成した側に設置されている。
本発明における高屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.75以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下の層である。
本発明における低屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75未満、消衰係数が0.5以下の層である。
さらに、CIELABのL*を15以上65以下、a*を10以上80以下、b*を−50以上50以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をより広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上65以下、a*を20以上80以下、b*を−50以上50以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をよりいっそう広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上60以下、a*を−20以上50以下、b*を−80以上−10以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をより広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上60以下、a*を−20以上20以下、b*を−80以上−10以下、かつ、CIELABのL*を15以上60以下、a*を20以上50以下、b*を−80以上−50以下、とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をよりいっそう広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−25以上25以下、b*を−20以上20以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をより広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−20以上20以下、b*を−10以上10以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をよりいっそう広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−20以上20以下、b*を5以上70以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をより広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−20以上20以下、b*を10以上70以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をよりいっそう広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−75以上−5以下、b*を−35以上35以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をより広くできる。
さらに、CIELABのL*を15以上80以下、a*を−75以上−20以下、b*を−35以上35以下とすることで、光学定数の観点から薄膜積層体を形成する薄膜形成材料の選択の幅をよりいっそう広くできる。
本発明における全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠して測定されたものであり、測定光源は基材2の薄膜積層体4を形成した側に設置されている。
全光線透過率が20%より低いと透過度が低すぎるために、基材1に文字や図柄などの印刷を施した場合にそれらの視認性が劣る。また、全光線透過率が98%より高いと反射率が低すぎるために、反射色が明瞭でなく、金属光沢や彩色などの装飾性が劣る。
本発明の光学薄膜積層体は、基材の少なくとも一方の面上、または、薄膜積層体の最表面上、または、その両方に、直接、または、粘着材を介して、ハードコート性、透明保護性、易接着性、密着性、粘着性、防汚性、ガスバリア性、誘電体性、導電性、電磁波シールド性、反射防止性、防眩性、アンチニュートンリング性、近赤外線カット性、紫外線カット性、光触媒性から選ばれる少なくとも一つの機能を有する機能性薄膜層を形成することが好ましい。
図3は、本発明の光学薄膜積層体の一例を示す断面図である。この光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2上に設けられた機能性薄膜層3aと、機能性薄膜層3a上に設けられた薄膜積層体4と、薄膜積層体4上に設けられた機能性薄膜層3bと、基材2の他方の面に設けられた機能性薄膜層3cとを有して概略構成されるものであるが、これは、本発明の一実施形態を示したものであり、これに限定されるものではない。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかがハードコート性を有するハードコート層である場合、鉛筆等による引っ掻き傷、スチールウールによる擦り傷等の機械的外傷から基材2表面あるいは基材2上に形成された各層を防護することができる。ハードコート層を形成する材料としては、適度な硬度および機械的強度を有するものであればよく、アクリル系樹脂、有機珪素系樹脂、ポリシロキサン等の樹脂材料が挙げられる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが透明保護性を有する透明保護層である場合、透過度が低下することなく、基材2表面あるいは基材2上に形成された各層を保護することができる。透明保護層は可視光領域の光に対して透過性があり、成膜形成したときに硬化するものであれば、如何なる材料を用いてもよいが、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹、ビニル系樹脂、フタル酸系樹脂、ビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、アノレギンド樹脂、ブチノレ化アミノアノレデヒド樹脂、アミノ−プラスト樹脂等の少なくとも一種、あるいは、これらの混合物等から選ばれることが望ましい。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが易接着性を有する易接着層である場合、易接着層を挟んで形成される各層の密着性を向上することができる。特に、易接着層は機能性薄膜層3aの位置に形成され、基材2と薄膜積層体4の間の密着性を向上することに用いられる。易接着層の材料としては、例えば、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。易接着層は、グラビアコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ロールブラッシュ法、カーテンコート法、含浸コート法等の従来公知の方式で形成することができる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが密着性を有する密着層である場合、密着層を挟んで形成される各層の密着性を向上することができる。特に、密着層は機能性薄膜層3aの位置に形成され、基材2と薄膜積層体4の間の密着性を向上することに用いられる。密着層の材料としては、例えば、珪素、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の元素、または、これら元素の2種類以上からなる化合物、または、これら元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、これら酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するならば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが粘着性を有する粘着層である場合、粘着層を挟んで形成される各層の粘着性を向上することができる。特に、粘着層は機能性薄膜層3bまたは3cの位置に形成され、光学薄膜積層体と被接着物との貼り合わせに用いられる。主に、薄膜積層体4を形成した側とは反対側の基材2表面あるいは薄膜積層体4の最表面上に形成される。粘着層は被接着物に対する接着力が強く、被接着物、あるいは粘着層を形成する面の素材・材料を変質、変色、劣化させるものでなく、かつ、続いて行われる工程に対する安定性を備えていれば如何なるものでも構わない。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが防汚性を有する防汚層である場合、表面についた水滴、指紋等の拭き取りを容易にし、かつ、表面への衝撃による擦り傷等の外傷を防止することができる。防汚層の材料としては、撥水性、撥油性および低摩擦性を有するものであればよく、例えば、珪素酸化物、弗素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、弗素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかがガスバリア性を有するガスバリア層である場合、水蒸気、酸素、空気、環境中の汚染物質等の化学的物質や物理的物質に対してバリア性を付与することができる。ガスバリア層に用いられる無機材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、窒化珪素等、あるいは、これら材料を複数組み合わせた材料が挙げられる。有機材料としては、例えば、珪素系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等、あるいはこれら材料を複数組み合わせた材料が挙げられる。
ガスバリア層のガスバリア性としては、水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは1g/m2・day以下、より好ましくは0.1g/m2・day以下、最も好ましくは0.01g/m2・day以下であることが好ましい。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが誘電性を有する誘電体層である場合、電気的な絶縁などの電気特性、膜の変質・劣化防止のための保護、可視光領域の光の透過率向上等の機能を付与することができる。誘電体層の材料としては、例えば、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化珪素、硫化亜鉛、弗化マグネシウム、弗化ナトリウム、弗化リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛等、あるいはこれら材料を複数組み合わせた材料が挙げられる。
誘電体層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法、湿式塗工法等の従来公知の方式で形成できる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが導電性を有する導電層である場合、帯電防止性能の付与、あるいは電極の形成等の導電性機能の付与が可能になる。導電層の材料としては、電気抵抗が小さい材料であればいかなる材料でも構わない。例えば、銀、銅、アルミニウム、錫、亜鉛、炭素、鉄、ステンレス、インジウム、セリウム、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム等、または、これら材料の2種類以上を含んだ混合物、または、これらの材料の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
例えば、酸化インジウムと酸化錫との混合物(ITO)、酸化インジウムと酸化セリウムとの混合物(ICO)、酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの混合物、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物、酸化錫と酸化アンチモンとの混合物、酸化錫中にアンチモンおよびインジウムを含んだ混合物、珪素中にジルコニウムを含んだ混合物等が挙げられる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが電磁波シールド性を有する電磁波シールド層である場合、電気・電子機器等から放射される不要な電磁波、あるいは人体に有害な電磁波をシールドすることができる。
電磁波シールド層と導電層は用途が異なるだけで、電気を導通させるために設けられるため、導電層と同様の方法で形成できる。但し、情報処理装置等電波障害自主規制協議会(VCCI)の技術基準である、家庭環境における情報技術装置の妨害許容値に関するクラスB情報技術装置、あるいは、クラスB情報技術装置の妨害許容値を満たさないすべての情報技術装置に関するクラスA情報技術装置の規制値を満たす必要がある。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが反射防止性を有する反射防止層である場合、外光の写り込みを低減して反射防止層を形成した表面の視認性を向上することができる。
単層の反射防止層は、可視光領域の屈折率が1.3以上1.75未満、消衰係数が0.5以下の低屈折率材料を光学膜厚(光学膜厚は光の屈折率に物理膜厚を掛けたもの)で1/4波長だけ形成することで得られる。低屈折率材料としては、例えば、珪素系樹脂、フッ素系透明高分子樹脂、弗化マグネシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化チタン等が挙げられる。
2層以上を積層した反射防止層は、可視光領域の屈折率が1.75以上2.4以下、消衰係数が0.5以下の高屈折率材料、および可視光領域の屈折率が1.3以上1.75未満、消衰係数が0.5以下の低屈折率材料を基材2側から高屈折率材料、低屈折率材料の順番で形成することで得られる。高屈折率材料としては、例えば、チタン、ジルコニウム、ニオブ、クロム等の酸化物、硫化亜鉛等が挙げられる。
高屈折率材料と低屈折率材料を4層積層した反射防止層に関しては、基材2側に近い高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の組を、可視光領域の屈折率が1.5以上1.8以下、消衰係数が0.5以下の材料の単層に置き換えることで3層積層体の反射防止層とすることもできる。可視光領域の屈折率が1.5以上1.8以下、消衰係数が0.5以下の材料としては、例えば、三酸化アルミニウム(Al2O3)、弗化セリウム、弗化ネオジウム等が挙げられる。
2層以上を積層した反射防止層は単層の反射防止層と比べて製造工程が多く、コストが高くなるが、一方、反射防止性能は単層の反射防止層よりも優れている。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが防眩性を有する防眩層である場合、外光の写り込みを低減し、防眩層を形成した表面の視認性を向上することができる。具体的には、樹脂中に分散させた微粒子で表面に微細な凹凸を形成することによって、入射してきた外光の光拡散性を向上させる。防眩層の形成方法としては、例えば、珪素系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、メラミン系樹脂等の熱硬化型、光硬化型、あるいは、電離放射線硬化型樹脂中に、シリカ、有機珪素化合物、アクリル、メラミン等の平均粒子径が0.01μm以上3μm以下程度の透明微粒子を分散させる。ハードコート層の材料中に、例えば、シリカ、有機珪素化合物、アクリル、メラミン等の透明微粒子を分散して、ハードコート性と防眩性を兼ね備えた機能性薄膜層3とすることもできる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかがアンチニュートンリング性を有するアンチニュートンリング層である場合、ニュートンリングを基材2表面に形成し難くし、アンチニュートンリング層を形成した表面の視認性を向上することができる。ニュートンリングは基材を部材に貼り合わせるときに、貼り合わせの密着強度が部分毎に異なることによって生じる。アンチニュートンリング層と防眩層は用途が異なるだけで、視認性を向上させるために設けられるため、防眩層と同様の方法で形成することができる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが近赤外線カット性を有する近赤外線カット層である場合、電気・電子機器等から放射される、あるいは太陽光に含まれる不要な近赤外線をカットすることができる。近赤外線カット層は、近赤外線カット性のある材料を蒸着するか、あるいは、有機バインダーに溶解、あるいは、混合して塗布して形成する。蒸着材料としては、例えば、酸化インジウムと酸化錫との混合物(ITO)、酸化インジウムと酸化セリウムとの混合物(ICO)、酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの混合物、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの混合物、酸化錫と酸化アンチモンとの混合物、酸化錫中にアンチモンおよびインジウムを含んだ混合物、珪素中にジルコニウムを含んだ混合物、酸化インジウム、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ガリウム、酸化アンチモン等の金属酸化物、または、弗化アンチモン系有機化合物、または、フタロシアニン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、シアニン系、ナフタロシアニン系、高分子縮合アゾ系、ピロール系、フェニレンジアミニウム系等の有機色素、または、ジチオール系、メルカプトナフトール系等の有機金属錯体等が挙げられる。
近赤外線カット層の形成方法は、蒸着の場合、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法等の物理蒸着(PVD)法、あるいは、プラズマを用いた化学蒸着(CVD)法等の従来公知の方式で形成できる。
塗布する場合は、グラビアコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ロールブラッシュ法、カーテンコート法、含浸コート法等の従来公知の方式で形成できる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが紫外線カット性を有する紫外線カット層である場合、素材・材料の組成を変質・変色・劣化させる紫外線、あるいは、太陽光に含まれる人体に有害な紫外線をカットすることができる。紫外線カット層は、紫外線カット性を有する材料であれば特に限定されるものではない。紫外線カット性を有する有機材料としては、例えば、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系等、あるいは、これら材料を複数混合したものが挙げられる。
有機材料を用いた紫外線カット層は、グラビアコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ロールブラッシュ法、カーテンコート法、含浸コート法等の従来公知の方式で形成できる。
無機材料を用いた紫外線カット層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法等の従来公知の方式で形成できる。
機能性薄膜層3a〜3cのいずれかが光触媒性を有する光触媒層である場合、表面に付着した汚れや指紋等を除去し、表面を清浄に保持することができる。光触媒層の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、チタン酸鉄、チタン酸ストロンチウム等の金属化合物、あるいは、これら金属化合物の複数を組み合わせて用いることができる。
光触媒層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、化学蒸着(CVD)法、湿式塗工法等の従来公知の方式で形成できる。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの片面上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエーテルサルホンのフィルムの片面上に、エアナイフコート法により水性アクリル樹脂を塗布して易接着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、基材2である、厚さ80μmの無色透明なトリアセチルセルロースのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法により有機珪素系樹脂を塗布してハードコート層(機能性薄膜層3d)を形成した。
更に、ハードコート層(機能性薄膜層3d)の上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3e)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエーテルサルホンのフィルムの片面上に、エアナイフコート法により水性ポリエステル樹脂を塗布して易接着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの片面上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、基材2である、厚さ80μmの無色透明なトリアセチルセルロースのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法によりアクリル系樹脂を塗布してハードコート層(機能性薄膜層3d)を形成した。
更に、ハードコート層(機能性薄膜層3d)の上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3e)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの片面上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、基材2である、厚さ80μmの無色透明なトリアセチルセルロースのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法により有機珪素系樹脂を塗布してハードコート層(機能性薄膜層3d)を形成した。
更に、ハードコート層(機能性薄膜層3d)の上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3e)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層8からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエーテルサルホンのフィルムの片面上に、エアナイフコート法により水性アクリル樹脂を塗布して易接着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエーテルサルホンのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法により水性アクリル樹脂を塗布して易接着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの片面上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、基材2である、厚さ80μmの無色透明なトリアセチルセルロースのフィルムの片面上に、エアナイフコート法によりアクリル系樹脂を塗布してハードコート層(機能性薄膜層3d)を形成した。
更に、ハードコート層(機能性薄膜層3d)の上に、SiOxを電子ビームを利用した真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3e)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの片面上に、SiOxをスパッタリング法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエーテルサルホンのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法により水性アクリル樹脂を塗布して易接着層(機能性薄膜層3)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、基材2である、厚さ80μmの無色透明なトリアセチルセルロースのフィルムの片面上に、ロールブラッシュ法によりアクリル系樹脂を塗布してハードコート層(機能性薄膜層3d)を形成した。
更に、ハードコート層(機能性薄膜層3d)の上に、SiOxを電子ビームを利用した真空蒸着法により堆積させ、物理膜厚3nmの密着層(機能性薄膜層3e)を形成した。
次いで、以下のようにして高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体4を形成した。
ここで、反射色相および反射彩度の測定は、実施例1と同様に行った。
ここで、ヘイズおよび全光線透過率の測定は、実施例1と同様に行った。
2 基材
3 機能性薄膜層
3a〜3e 機能性薄膜層
4 薄膜積層体
7 高屈折率薄膜層
8 低屈折率薄膜層
9 高屈折率薄膜層
Claims (10)
- 基材の一方の面上に、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.75以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下であり、
前記低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75未満であり、消衰係数が0.5以下であり、
前記光学薄膜積層体のJIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下である
ことを特徴とする光学薄膜積層体。 - 前記基材上に、物理膜厚12nm以上200nm以下の高屈折率薄膜層と、物理膜厚40nm以上200nm以下の低屈折率薄膜層と、物理膜厚12nm以上200nm以下の高屈折率薄膜層と、を順次積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上65以下、a*が10以上80以下、b*が−80以上80以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体。 - 前記基材上に、物理膜厚10nm以上120nm以下の高屈折率薄膜層と、物理膜厚10nm以上150nm以下の低屈折率薄膜層と、物理膜厚10nm以上120nm以下の高屈折率薄膜層と、を順次積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上60以下、a*が−20以上70以下、b*が−80以上−10以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体。 - 前記基材上に、物理膜厚10nm以上200nm以下の高屈折率薄膜層と、物理膜厚10nm以上200nm以下の低屈折率薄膜層と、物理膜厚10nm以上200nm以下の高屈折率薄膜層と、を順次積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−35以上35以下、b*が−20以上20以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体。 - 前記基材上に、物理膜厚8nm以上230nm以下の高屈折率薄膜層と、物理膜厚7nm以上210nm以下の低屈折率薄膜層と、物理膜厚8nm以上230nm以下の高屈折率薄膜層と、を順次積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−30以上30以下、b*が5以上70以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体。 - 前記基材上に、物理膜厚10nm以上180nm以下の高屈折率薄膜層と、物理膜厚12nm以上200nm以下の低屈折率薄膜層と、物理膜厚10nm以上180nm以下の高屈折率薄膜層と、を順次積層してなる薄膜積層体を有する光学薄膜積層体であって、
前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上80以下、a*が−75以上−5以下、b*が−45以上45以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜積層体。 - 前記基材の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置したときの全光線透過率(JIS K 7361−1に準拠)が20%以上98%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学薄膜積層体。
- 前記薄膜積層体が真空成膜法により形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学薄膜積層体。
- 前記基材の少なくとも一方の面上、または、前記薄膜積層体の最表面上、または、その両方に、直接、または、粘着材を介して、ハードコート性、透明保護性、易接着性、密着性、粘着性、防汚性、ガスバリア性、誘電体性、導電性、電磁波シールド性、反射防止性、防眩性、アンチニュートンリング性、近赤外線カット性、紫外線カット性、光触媒性から選ばれる少なくとも一つの機能を有する機能性薄膜層を形成してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学薄膜積層体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の光学薄膜積層体を成形してなることを特徴とする加飾成形品。
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