JP2009000968A - 光学薄膜積層体 - Google Patents

光学薄膜積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2009000968A
JP2009000968A JP2007166334A JP2007166334A JP2009000968A JP 2009000968 A JP2009000968 A JP 2009000968A JP 2007166334 A JP2007166334 A JP 2007166334A JP 2007166334 A JP2007166334 A JP 2007166334A JP 2009000968 A JP2009000968 A JP 2009000968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
refractive index
film laminate
laminate
high refractive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007166334A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5125251B2 (ja
Inventor
Shigenobu Yoneyama
茂信 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2007166334A priority Critical patent/JP5125251B2/ja
Publication of JP2009000968A publication Critical patent/JP2009000968A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5125251B2 publication Critical patent/JP5125251B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制する上で有利であり、かつ、明度を増大させた赤色の金属光沢を得る上で有利な光学薄膜積層体およびそれを用いた加飾成形品を提供する。
【解決手段】光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2の両面にそれぞれ設けられた薄膜積層体3および4とから構成される。薄膜積層体3は、高屈折率薄膜層5、7と低屈折率薄膜層6とが交互に積層されることで構成される。薄膜積層体4は、高屈折率薄膜層8、10と低屈折率薄膜層9とが交互に積層されることで構成される。高屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、低屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であり、かつ消衰係数が0.5以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車部材、車両部材、家電用品部材、携帯電話部材、パーソナルコンピューター部材、オーディオ製品部材、カーナビゲーション部材、事務用品部材、スポーツ用品部材、雑貨部材、メガネ・サングラス部材、カメラ部材、光学用品部材、計測機器部材等に用いられる光学薄膜積層体であって、基材のカールを低減でき、膜割れの発生が抑制され、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体およびこのような光学薄膜積層体を用いた加飾成形品に関するものである。
基材上に高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を複数回積層した薄膜積層体によって赤色の光学薄膜積層体を作製しようとする場合、光学薄膜積層体において可視光領域の赤い光の波長範囲(650〜780nm)の反射率をその他の領域の反射率と比べて高いような反射スペクトルを持たせばよい。
赤い光の波長領域以外の反射率が低いほどより鮮明な赤色の光学薄膜積層体が得られる。
更に、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層に使用する材料に金属を選択すれば光学薄膜積層体に金属光沢感を持たせることができる。
一方で、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を積層した薄膜積層体によって赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体を作製しようとすると各層の膜厚が厚くなるという問題がある。
そして、膜厚が厚くなることで構造的には不安定になるため、例えば、膜による内部応力が加わり基材がカールしたり、膜割れ(クラック)を起こして剥離が発生し易くなる。
赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体の膜厚が厚くなる理由は、赤い光の波長域が可視光領域の長波長側にあるため最初のλ/4膜が長波長側で干渉するように膜厚を厚くする必要があるからである。
これに対して、短波長領域で反射率が高い青色の光学薄膜積層体を得る場合は、λ/4膜を可視光領域の短波長側で干渉させればよいため赤色の光学薄膜積層体と比べて膜厚が相対的に薄くなる。
膜による内部応力を緩和する方法として、引っ張り応力を有する材料と圧縮応力を有する材料を交互に積層する技術が知られている(特許文献1参照)。
この技術は、基板上に応力の方向が異なる薄膜材料を交互に形成することによって層間の応力を相殺するものである。
特開昭63−121801号公報
しかしながら、各層に生じる応力は、膜厚、成膜速度、基板温度、真空度、あるいは材料と基板の熱膨張率の違いなどの複数の要因に影響されるため、上記従来技術のように応力の方向が異なる材料を交互に積層する手法での応力制御は困難になる。
加えて、上記従来技術では、鮮明な赤色の光学薄膜積層体を得ることも困難である。
理由は、λ/4膜は長波長領域に移動するほど反射率スペクトルの山、あるいは谷が緩やかになるため赤以外の波長領域の光の成分を含む傾向が強くなり赤の波長領域の反射率だけ増大することが難しくなるためである。更に、長波長領域までλ/4膜を厚くしていくと短波長領域に次のλ/4膜(λ/2膜)が生じるため短波長成分の光の色も含むようになってしまう。
よって、本発明の目的は、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制する上で有利であり、かつ、明度を増大させた赤色の金属光沢を得る上で有利な光学薄膜積層体およびそれを用いた加飾成形品を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、基材と、前記基材の両面にそれぞれ形成された薄膜積層体とを備える光学薄膜積層体であって、前記各薄膜積層体は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで構成され、前記基材の両面に設けられる2つの薄膜積層体のうち、その物理薄膜がより薄いあるいは等しい一方の薄膜積層体の物理膜厚に対する他方の薄膜積層体の物理膜厚の比率が1以上1.45以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が25以上かつ120以下、色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下であることを特徴とする請求項1記載の光学薄膜積層体である。
請求項3に記載の発明は、前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が比較用光学薄膜積層体の明度L*よりも大きな値であり、前記比較用光学薄膜積層体は、基材と、前記基材の一方の面のみに高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで形成され、前記比較用光学薄膜積層体の明度L*は、前記基材の前記薄膜積層体を形成した面と反対に位置する前記基材の表面を黒く塗り、前記薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*であることを特徴とする請求項1または2記載の光学薄膜積層体である。
請求項4に記載の発明は、前記高屈折率薄膜層は第1、第2の高屈折率薄膜層を備え、前記第1、第2の高屈折率薄膜層は物理膜厚30nm以上かつ200nm以下であり、前記低屈折率薄膜層は物理膜厚50nm以上かつ200nm以下であり、前記第1、第2の高屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、前記低屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、前記薄膜積層体は、前記第1の高屈折率薄膜層と前記低屈折率薄膜層と前記第2の高屈折率薄膜層とがこれらの順番で前記基材の面に順次積層して形成されることで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の光学薄膜積層体である。
請求項5に記載の発明は、前記薄膜積層体は真空成膜法により形成されることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の光学薄膜積層体である。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5に何れか1項記載の光学薄膜積層体を成形してなることを特徴とする加飾成形品である。
本発明によれば、基材の両面にそれぞれ薄膜積層体を形成し、各薄膜積層体を高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで構成したので、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制し、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を得る上で有利となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の光学薄膜積層体の一例を示す断面図である。
この光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2の両面にそれぞれ設けられた薄膜積層体3および4とから構成されるものである。
(基材)
本発明における基材2としては、透明性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、プラスチック、ガラス、あるいはこれらを複合した素材が挙げられる。
プラスチック素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリパラキシレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルオキサイド、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、珪素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ABSアロイ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラス素材としては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらプラスチック素材、ガラス素材を各種複合した素材でも構わない。
基材2の形状としては、表面が平滑であれば特に限定されず、板状、ロール状等が挙げられる。
基材2の表面は薄膜積層体を形成する前に、目的に応じて表面処理を施してもよい。
表面処理法としては、例えば、コロナ処理法、蒸着処理法、電子ビーム処理法、高周波放電プラズマ処理法、スパッタリング処理法、イオンビーム処理法、大気圧グロー放電プラズマ処理法、アルカリ処理法、酸処理法等が挙げられる。
基材2の厚さは、目的の用途に応じて適宜選択され、通常5μm以上10mm以下である。
プラスチック素材には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
(薄膜積層体)
本発明における薄膜積層体3および4は、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層して形成されたものであり、本発明における光学薄膜積層体1は、基材2の両面に薄膜積層体3および4をそれぞれ積層して形成したものである。
これによると、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制し、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体を得ることができる。
図1には、基材2に近い側から高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7の3層が順次積層してなる薄膜積層体3、および基材2に近い側から高屈折率薄膜層8、低屈折率薄膜層9、高屈折率薄膜層10の3層が順次積層してなる薄膜積層体4が示されているが、これは一実施例にすぎず、基材2の両面に高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層が各1層以上交互に積層していればよく、高屈折率薄膜層および低屈折率薄膜層が積層される層の数は、2層であっても、4層以上であってもよく、層数に制限はない。
また、2つの薄膜積層体のうち一方の薄膜積層体の物理膜厚をA、他方の薄膜積層体の物理膜厚をBとしたときに、AがB以下であり、かつ、Aに対するBの比率が1以上1.45以下であれば、基材のカールの低減、膜割れ、膜の剥離の発生の抑制の面で有利であり、この比率の範囲外であれば基材のカールの低減、膜割れ、膜の剥離の発生の抑制の面で不利がある。
(高屈折率薄膜層)
本発明における高屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下の層である。
なお、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であると、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が大きく取れるので多様な薄膜積層体を構成する上で有利であり、この屈折率の範囲外であると、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が小さくなるので多様な薄膜積層体を構成する上で不利になる。
また、消衰係数が0.5以下であると、本発明の光学薄膜積層体として十分な光反射性能を得る上で有利となり、消衰係数が0.5を超えると光の吸収が大きくなるため、十分な光反射性能を得る薄膜の形成材料として好ましくない。
高屈折率薄膜層の材料としては、例えば、インジウム、錫、チタン、珪素、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、クロム、白金、炭素、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム、イットリウム、ロジウム、セレニウム、ユーロピウム、イッテルビウム、スカンジウム、プラセオジウム、サマリウム等の元素、または、これらの元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。
酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
ここで、図1に示す4つの高屈折率薄膜層5、7、8、10は、必ずしも同一の材料でなくてもよく、目的に合わせて適宜選択されるものである。
(低屈折率薄膜層)
本発明における低屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下、消衰係数が0.5以下の層である。
なお、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であると、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が大きく取れるので多様な薄膜積層体を構成する上で有利であり、この屈折率の範囲外であると、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が小さくなるので多様な薄膜積層体を構成する上で不利になる。
また、消衰係数が0.5以下であると、本発明の光学薄膜積層体として十分な光反射性能を得る上で有利となり、消衰係数が0.5を超えると光の吸収が大きくなるため、十分な光反射性能を得る薄膜の形成材料として好ましくない。
低屈折率薄膜層の材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン、弗化ナトリウム、弗化アルミニウム、弗化炭素、弗化鉛、弗化ストロンチウム、弗化イッテルビウム、弗化ネオジウム、弗化リチウム、弗化サマリウム等の化合物、または、これら化合物の混合物等が挙げられる。これら化合物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
ここで、図1に示す2つの低屈折率薄膜層6、9は、必ずしも同一の材料でなくてもよく、目的に合わせて適宜選択されるものである。
屈折率、および、消衰係数の光学定数に関しては、分光エリプソメトリー法を用いて、高屈折率薄膜層試料、および、低屈折率薄膜層試料の表面から反射してくる光の偏光状態の変化を測定することで求めることが可能である。
図1に示す光学薄膜積層体1において、高屈折率薄膜層5と8の物理膜厚を30nm以上かつ200nm以下とし、低屈折率薄膜層6と9の物理膜厚を50nm以上かつ200nm以下とし、高屈折率薄膜層7と10の物理膜厚を30nm以上かつ200nm以下とし、2つの光学薄膜積層体3、4のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が25以上かつ120以下、色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下とすることが好ましい。
明度L*が25以上かつ120以下であると光学薄膜積層体の明るさの面で有利であり、明度L*がこの範囲外であると光学薄膜積層体の明るさの面で不利がある。
色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下であると色の鮮やかさの面で有利であり、色相・彩度a*、色相・彩度b*がこれらの範囲外であると色の鮮やかさの面で不利がある。
このような構成によれば、2つの薄膜積層体3、4を基材2の両面にそれぞれ設けることにより、基材2の両面の薄膜積層体3、4の内部応力を相殺して緩和することができるので、基材2のカールを低減し、膜割れの発生を抑制する上で有利となる。
また、2つの薄膜積層体3、4を基材2の両面にそれぞれ設けることにより、基材2の一方の面のみに薄膜積層体を設けたときよりも、明度(L*)の高い赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体1を得る上で有利となる。
図1に示す光学薄膜積層体1の2つの薄膜積層体3、4のうち一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときのCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*、色相・彩度a*、b*に関しては、薄膜積層体3、あるいは4のどちらか一方の薄膜積層体の表面を黒塗りしたときに所望の値が得られる側を採用すればよく、どちらの薄膜積層体の表面を黒塗りしなければならないという限定はない。
但し、光学薄膜積層体1の一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が、薄膜積層体を基材2の一方の面にのみ形成したとき、薄膜積層体を形成した面と反対の基材2の表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*と比べて大きくなければならない。
言い換えると、2つの薄膜積層体3、4のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が比較用光学薄膜積層体の明度L*よりも大きな値となる必要がある。この比較用光学薄膜積層体は、基材と、前記基材の一方の面のみに高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで形成されるものである。
そして、比較用光学薄膜積層体の明度L*は、前記基材の前記薄膜積層体を形成した面と反対に位置する前記基材の表面を黒く塗り、前記薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*である。
なお、本発明におけるCIELABの明度L*、色相・彩度a*、b*は、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光を用いて、JIS Z 8729に準拠して測定したものである。
本発明における高屈折率薄膜層および低屈折率薄膜層は、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等の真空成膜法により形成することが好ましい。
真空成膜法によって高屈折率薄膜層および低屈折率薄膜層を形成すると、基材表面の形状を保持したまま薄膜を形成することが可能となる効果がある。
真空成膜法で堆積していく薄膜形成材料のサイズはオングストロームオーダーの原子・分子であるため、例えば、マイクロメーターオーダーの微細な凹凸を有する基材上に成膜しても表面に均一の厚さで堆積して凹部分を埋めずに元の凹凸形状を保持するため、色ムラのない表面加飾性を得ることができるという効果がある。
本発明の光学薄膜積層体は、具体的には、自動車部材、車両部材、家電用品部材、携帯電話部材、パーソナルコンピューター部材、オーディオ製品部材、カーナビゲーション部材、事務用品部材、スポーツ用品部材、雑貨部材、メガネ・サングラス部材、カメラ部材、光学用品部材、計測機器部材等に適用される。
すなわち、本発明の光学薄膜積層体を成形することによって上述した種々の加飾成形品を得ることができる。
さらに、本発明の光学薄膜積層体を、携帯電話、テレビ、ラジオ、カーナビゲーション等の電波を送信・受信する機器の筐体部分の部材に用いる場合は、電波の反射・散乱によるアンテナの送信・受信感度の減衰や乱れを避けるために、基材の少なくとも一方の面上、または、薄膜積層体の最表面上、または、その両方に、直接、または、粘着材を介して、誘電性を有する材料からなる機能性薄膜層を形成することが好ましい。
このような誘電性を有する材料からなる機能性薄膜層を形成することによって、電波の反射・散乱によるアンテナの送信・受信感度の減衰や乱れを避けることができ、かつ、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制し、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体を提供することが可能である。
更に、光学薄膜積層体を構成する基材、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層からなる薄膜積層体に誘電性を有する材料を用いることによって、電波の反射・散乱によるアンテナの送信・受信感度の減衰や乱れをより避けることができるようになる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
図2に示すように、基材12である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層15、低屈折率薄膜層16、高屈折率薄膜層17からなる薄膜積層体13、および基材12の他方の面上に高屈折率薄膜層18、低屈折率薄膜層19、高屈折率薄膜層20からなる薄膜積層体14を以下のように形成した。
まず、次のように2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体13を形成した。
基材12の一方の面に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚75nmの高屈折率薄膜層15を形成した。
高屈折率薄膜層15の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚110nmの低屈折率薄膜層16を形成した。
低屈折率薄膜層16の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚110nmの高屈折率薄膜層17を形成し、2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体13を完成させた。
続いて、次のように2つの薄膜積層体のうちの他方の薄膜積層体14を形成した。
基材12の薄膜積層体13を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚100nmの高屈折率薄膜層18を形成した。
高屈折率薄膜層18の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚120nmの低屈折率薄膜層19を形成した。
低屈折率薄膜層19の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚105nmの高屈折率薄膜層20を形成し、2つの薄膜積層体のうちの他方の薄膜積層体14を完成し、これにより光学薄膜積層体11を完成させた。
薄膜積層体13の物理膜厚に対する薄膜積層体14の物理膜厚の比は1.09である。
光学薄膜積層体11の2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体14の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体13を測定光源に向けて設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が50.0、a*が50.1、b*が−0.2であった。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体11を得た。
光学薄膜積層体11の形状を観察したところ基材12のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体11の薄膜積層体13、および14の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは薄膜積層体13の物理膜厚に対する薄膜積層体14の物理膜厚の比が1.09であり、1以上1.45以下であったため、基材12の両面に形成された薄膜積層体13、および14双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
(比較例1)
次に、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体14が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体11を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例1の光学薄膜積層体という。
比較例1の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材12表面を黒く塗り、基材12の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が45.3、a*が49.4、b*が−6.2であった。
比較例1の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例1で作製した光学薄膜積層体11の一方の薄膜積層体14の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体13を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例1の光学薄膜積層体の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例1の光学薄膜積層体11と比べて基材12のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例1の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
(比較例2)
次に、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体13が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体11を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例2の光学薄膜積層体という。
比較例2の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材12表面を黒く塗り、基材12の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が34.7、色相・彩度a*が45.0、色相・彩度b*が4.3であった。
比較例2の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例1の光学薄膜積層体11の一方の薄膜積層体14の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体13を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例2の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例1の光学薄膜積層体11と比べて基材12のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例2の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
上記した反射色相および反射彩度の測定は、U−4000形 自記分光光度計(株式会社 日立製作所製)を用いて行った。
測定手順は次に示すとおりである。まず、光学薄膜積層体11の場合は薄膜積層体14の表面、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体13、あるいは14が無い構成の光学薄膜積層体の場合は基材12表面全面を黒い塗料でムラの出ないように塗りつぶした。
黒い塗料で塗りつぶした基材12を太陽光の自然光あるいは蛍光灯などの人工光にかざして、基材12を通して光が漏れていないか確認した。
基材12の黒塗りしなかった面側をU−4000形 自記分光光度計の測定光源に向けて設置した。
このとき、薄膜積層体を形成した基材12表面における鉛直線に対して測定光が5°の角度を持って基材12表面に入射するように設置した。
基材12表面で正反射される光の方向で、かつ、2°視野になる位置に測光器を設置して可視光領域(380〜780nm)における反射率を測定し、JIS Z 8701に規定される三刺激値X、Y、Zを求めた。三刺激値X、Y、Zの計算は5nm間隔で実施した。
続いて、三刺激値を用いてJIS Z 8729に規定される明度L*、色相・彩度a*、色相・彩度b*を求めた。
(実施例2)
次に実施例2について説明する。
図3に示すように、基材22である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの両面上に、高屈折率薄膜層24、低屈折率薄膜層25、高屈折率薄膜層26からなる薄膜積層体23をそれぞれ以下のように形成した。
まず、基材22の一方の面上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚85nmの高屈折率薄膜層24を形成した。
高屈折率薄膜層24の上に、二酸化珪素(SiO2)をスパッタリング法によって堆積させ、物理膜厚140nmの低屈折率薄膜層25を形成した。
低屈折率薄膜層25の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚95nmの高屈折率薄膜層26を形成し、2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体23を完成させた。
続いて、基材22の他方の面にも同様に、基材22に近い側から高屈折率薄膜層24、低屈折率薄膜層25、高屈折率薄膜層26を積層することで2つの薄膜積層体のうちの他方の薄膜積層体23を完成し、これにより光学薄膜積層体21を完成させた。
光学薄膜積層体21は基材22の両面に同じ構成の薄膜積層体23がそれぞれ形成されているため両薄膜積層体23の物理膜厚の比は1である。
光学薄膜積層体21の2つの薄膜積層体23のうちの一方の薄膜積層体23の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体23を測定光源に向けて設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が45.9、色相・彩度a*が47.8、色相・彩度b*が−0.4であった。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体21を得た。
光学薄膜積層体21の形状を観察したところ基材22のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体21の両方の薄膜積層体23の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは基材22の両面に同じ構成の薄膜積層体23が形成されたため、双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
(比較例3)
次に、光学薄膜積層体21の構成から一方の薄膜積層体23が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体21を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例3の光学薄膜積層体という。
比較例3の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材22表面を黒く塗り、基材22の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が38.1、色相・彩度a*が47.4、色相・彩度b*が−7.9であった。
比較例3の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例2の光学薄膜積層体21の一方の薄膜積層体23の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体23を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例3の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例2の光学薄膜積層体21と比べて基材22のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例3の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
(実施例3)
次に実施例3について説明する。
図4に示すように、基材28である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層31、低屈折率薄膜層32、高屈折率薄膜層33、低屈折率薄膜層34、高屈折率薄膜層35からなる薄膜積層体29を、基材28の他方の面上に高屈折率薄膜層36、低屈折率薄膜層37、高屈折率薄膜層38、低屈折率薄膜層39からなる薄膜積層体30をそれぞれ以下のように形成した。
まず、次のように2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体29を形成した。
基材28の一方の面に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚130nmの高屈折率薄膜層31を形成した。
高屈折率薄膜層31の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚55nmの低屈折率薄膜層32を形成した。
低屈折率薄膜層32の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚105nmの高屈折率薄膜層33を形成した。
高屈折率薄膜層33の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚50nmの低屈折率薄膜層34を形成した。
低屈折率薄膜層34の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚115nmの高屈折率薄膜層35を形成し、これにより2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体29を完成させた。
続いて、次のように2つの薄膜積層体のうちの他方の薄膜積層体30を形成した。
基材28の薄膜積層体29を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚60nmの高屈折率薄膜層36を形成した。
高屈折率薄膜層36の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚165nmの低屈折率薄膜層37を形成した。
低屈折率薄膜層37の上に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚65nmの高屈折率薄膜層38を形成した。
高屈折率薄膜層38の上に、二酸化珪素(SiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚35nmの低屈折率薄膜層39を形成して2つの薄膜積層体のうちの他方の薄膜積層体30を完成し、これにより光学薄膜積層体27を完成させた。
薄膜積層体30の物理膜厚に対する薄膜積層体29の物理膜厚の比は1.39である。
光学薄膜積層体27の一方の薄膜積層体30の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体29を測定光源に向けて設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が58.6、色相・彩度a*が46.9、色相・彩度b*が0.0であった。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体27を得た。
光学薄膜積層体27の形状を観察したところ基材28のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体27の薄膜積層体29、および30の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは薄膜積層体30の物理膜厚に対する薄膜積層体29の物理膜厚の比が1.39であり、1以上1.45以下であったため、基材28の両面に形成された薄膜積層体29、および30双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
(比較例4)
次に、光学薄膜積層体27の構成から薄膜積層体30が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体27を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例4の光学薄膜積層体という。
比較例4の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材28表面を黒く塗り、基材28の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が49.8、色相・彩度a*が49.9、色相・彩度b*が0.0であった。
比較例4の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例3の光学薄膜積層体27の一方の薄膜積層体30の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体29を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例4の光学薄膜積層体の形状を観察したところ光学薄膜積層体27と比べて基材28のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例4の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
(比較例5)
次に、光学薄膜積層体27の構成から薄膜積層体29が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体27を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例5の光学薄膜積層体という。
比較例5の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材28表面を黒く塗り、基材28の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が45.2、色相・彩度a*が51.4、色相・彩度b*が−16.0であった。
比較例5の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例3の光学薄膜積層体27の一方の薄膜積層体30の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体29を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例5の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例3の光学薄膜積層体27と比べて基材28のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例5の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
本発明の光学薄膜積層体の一例を示す断面図である。 実施例1の光学薄膜積層体を示す断面図である。 実施例2の光学薄膜積層体を示す断面図である。 実施例3の光学薄膜積層体を示す断面図である。
符号の説明
1……光学薄膜積層体、2……基材、3……薄膜積層体、4……薄膜積層体、5……高屈折率薄膜層、6……低屈折率薄膜層、7……高屈折率薄膜層、8……高屈折率薄膜層、9……低屈折率薄膜層、10……高屈折率薄膜層、11……光学薄膜積層体、12……100μm厚ポリエチレンテレフタレート基材、13……薄膜積層体、14……薄膜積層体、15……高屈折率薄膜層(TiO2層)、16……低屈折率薄膜層(SiO2層)、17……高屈折率薄膜層(TiO2層)、18……高屈折率薄膜層(TiO2層)、19……低屈折率薄膜層(SiO2層)、20……高屈折率薄膜層(TiO2層)、21……光学薄膜積層体、22……100μm厚ポリエチレンテレフタレート基材、23……薄膜積層体、24……高屈折率薄膜層(TiO2層)、25……低屈折率薄膜層(SiO2層)、26……高屈折率薄膜層(TiO2層)、27……光学薄膜積層体、28……100μm厚ポリエチレンテレフタレート基材、29……薄膜積層体、30……薄膜積層体、31……高屈折率薄膜層(TiO2層)、32……低屈折率薄膜層(SiO2層)、33……高屈折率薄膜層(TiO2層)、34……低屈折率薄膜層(SiO2層)、35……高屈折率薄膜層(TiO2層)、36……高屈折率薄膜層(TiO2層)、37……低屈折率薄膜層(SiO2層)38……高屈折率薄膜層(TiO2層)、39……低屈折率薄膜層(SiO2層)。

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の両面にそれぞれ形成された薄膜積層体とを備える光学薄膜積層体であって、
    前記各薄膜積層体は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで構成され、
    前記基材の両面に設けられる2つの薄膜積層体のうち、その物理薄膜がより薄いあるいは等しい一方の薄膜積層体の物理膜厚に対する他方の薄膜積層体の物理膜厚の比率が1以上1.45以下である、
    ことを特徴とする光学薄膜積層体。
  2. 前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が25以上かつ120以下、色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下である、
    ことを特徴とする請求項1記載の光学薄膜積層体。
  3. 前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が比較用光学薄膜積層体の明度L*よりも大きな値であり、
    前記比較用光学薄膜積層体は、基材と、前記基材の一方の面のみに高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで形成され、
    前記比較用光学薄膜積層体の明度L*は、前記基材の前記薄膜積層体を形成した面と反対に位置する前記基材の表面を黒く塗り、前記薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*である、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光学薄膜積層体。
  4. 前記高屈折率薄膜層は第1、第2の高屈折率薄膜層を備え、
    前記第1、第2の高屈折率薄膜層は物理膜厚30nm以上かつ200nm以下であり、
    前記低屈折率薄膜層は物理膜厚50nm以上かつ200nm以下であり、
    前記第1、第2の高屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、
    前記低屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、
    前記薄膜積層体は、前記第1の高屈折率薄膜層と前記低屈折率薄膜層と前記第2の高屈折率薄膜層とがこれらの順番で前記基材の面に順次積層して形成されることで構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の光学薄膜積層体。
  5. 前記薄膜積層体は真空成膜法により形成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の光学薄膜積層体。
  6. 請求項1乃至5に何れか1項記載の光学薄膜積層体を成形してなる、
    ことを特徴とする加飾成形品。
JP2007166334A 2007-06-25 2007-06-25 光学薄膜積層体 Expired - Fee Related JP5125251B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007166334A JP5125251B2 (ja) 2007-06-25 2007-06-25 光学薄膜積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007166334A JP5125251B2 (ja) 2007-06-25 2007-06-25 光学薄膜積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009000968A true JP2009000968A (ja) 2009-01-08
JP5125251B2 JP5125251B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=40317887

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007166334A Expired - Fee Related JP5125251B2 (ja) 2007-06-25 2007-06-25 光学薄膜積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5125251B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019144586A (ja) * 2010-10-12 2019-08-29 トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド 半透明反射器

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006099049A (ja) * 2004-06-18 2006-04-13 Sony Corp 光学多層膜及び反射型スクリーン
JP2008275737A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Toppan Printing Co Ltd 光学薄膜積層体

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006099049A (ja) * 2004-06-18 2006-04-13 Sony Corp 光学多層膜及び反射型スクリーン
JP2008275737A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Toppan Printing Co Ltd 光学薄膜積層体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019144586A (ja) * 2010-10-12 2019-08-29 トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド 半透明反射器

Also Published As

Publication number Publication date
JP5125251B2 (ja) 2013-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101458733B1 (ko) 반사 방지 적층체
JP2009083183A (ja) 光学薄膜積層体
JP2009116219A (ja) 反射防止膜、反射防止膜の形成方法、及び透光部材
JP2009116218A (ja) 反射防止膜、反射防止膜の形成方法、及び透光部材
KR20180116566A (ko) 적층 시스템
JP2007171735A (ja) 広帯域反射防止膜
WO2019187416A1 (ja) 反射防止膜および光学部材
US10816707B2 (en) Gold color tone multilayer coat and reflector including the same
JP2008164678A (ja) 反射鏡
JP5262039B2 (ja) 光学薄膜積層体
CN213537738U (zh) 有色玻璃
JP2003248102A (ja) 多層構造の反射防止膜
JP2006337672A (ja) 反射防止フィルム
JPH03109503A (ja) プラスチック製光学部品の反射防止膜とその形成方法
JP2023182732A (ja) 耐久性向上のためナノラミネートを備えた光学コーティング
JP5125251B2 (ja) 光学薄膜積層体
JP2006259124A (ja) コールドミラー
CN116819661A (zh) 一种光谱特性可变的光学薄膜及其光谱特性的调节方法
JPH10139491A (ja) 低反射濃色グレ−ガラス
JP2013182091A (ja) 反射防止膜及びその形成方法
CN114728497B (zh) 层叠体和门或墙壁
WO2017107181A1 (zh) 增透膜及其制备方法
JP2002277606A (ja) 反射防止膜及び光学素子
JP2004255635A (ja) 透明積層フィルム、反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
US20190177553A1 (en) Antireflection Film and Its Use on a Substrate

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees