JP5125251B2 - 光学薄膜積層体 - Google Patents
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Description
赤い光の波長領域以外の反射率が低いほどより鮮明な赤色の光学薄膜積層体が得られる。
更に、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層に使用する材料に金属を選択すれば光学薄膜積層体に金属光沢感を持たせることができる。
そして、膜厚が厚くなることで構造的には不安定になるため、例えば、膜による内部応力が加わり基材がカールしたり、膜割れ(クラック)を起こして剥離が発生し易くなる。
これに対して、短波長領域で反射率が高い青色の光学薄膜積層体を得る場合は、λ/4膜を可視光領域の短波長側で干渉させればよいため赤色の光学薄膜積層体と比べて膜厚が相対的に薄くなる。
この技術は、基板上に応力の方向が異なる薄膜材料を交互に形成することによって層間の応力を相殺するものである。
理由は、λ/4膜は長波長領域に移動するほど反射率スペクトルの山、あるいは谷が緩やかになるため赤以外の波長領域の光の成分を含む傾向が強くなり赤の波長領域の反射率だけ増大することが難しくなるためである。更に、長波長領域までλ/4膜を厚くしていくと短波長領域に次のλ/4膜(λ/2膜)が生じるため短波長成分の光の色も含むようになってしまう。
よって、本発明の目的は、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制する上で有利であり、かつ、明度を増大させた赤色の金属光沢を得る上で有利な光学薄膜積層体およびそれを用いた加飾成形品を提供することにある。
図1は、本発明の光学薄膜積層体の一例を示す断面図である。
この光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2の両面にそれぞれ設けられた薄膜積層体3および4とから構成されるものである。
本発明における基材2としては、透明性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、プラスチック、ガラス、あるいはこれらを複合した素材が挙げられる。
プラスチック素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリパラキシレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルオキサイド、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、珪素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ABSアロイ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラス素材としては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらプラスチック素材、ガラス素材を各種複合した素材でも構わない。
表面処理法としては、例えば、コロナ処理法、蒸着処理法、電子ビーム処理法、高周波放電プラズマ処理法、スパッタリング処理法、イオンビーム処理法、大気圧グロー放電プラズマ処理法、アルカリ処理法、酸処理法等が挙げられる。
プラスチック素材には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
本発明における薄膜積層体3および4は、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層して形成されたものであり、本発明における光学薄膜積層体1は、基材2の両面に薄膜積層体3および4をそれぞれ積層して形成したものである。
これによると、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制し、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体を得ることができる。
また、2つの薄膜積層体のうち一方の薄膜積層体の物理膜厚をA、他方の薄膜積層体の物理膜厚をBとしたときに、AがB以下であり、かつ、Aに対するBの比率が1以上1.45以下であれば、基材のカールの低減、膜割れ、膜の剥離の発生の抑制の面で有利であり、この比率の範囲外であれば基材のカールの低減、膜割れ、膜の剥離の発生の抑制の面で不利がある。
本発明における高屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下の層である。
なお、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であると、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が大きく取れるので多様な薄膜積層体を構成する上で有利であり、この屈折率の範囲外であると、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が小さくなるので多様な薄膜積層体を構成する上で不利になる。
また、消衰係数が0.5以下であると、本発明の光学薄膜積層体として十分な光反射性能を得る上で有利となり、消衰係数が0.5を超えると光の吸収が大きくなるため、十分な光反射性能を得る薄膜の形成材料として好ましくない。
酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。
本発明における低屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下、消衰係数が0.5以下の層である。
なお、低屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であると、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が大きく取れるので多様な薄膜積層体を構成する上で有利であり、この屈折率の範囲外であると、高屈折率薄膜層の光の波長550nmでの屈折率との間で屈折率差が小さくなるので多様な薄膜積層体を構成する上で不利になる。
また、消衰係数が0.5以下であると、本発明の光学薄膜積層体として十分な光反射性能を得る上で有利となり、消衰係数が0.5を超えると光の吸収が大きくなるため、十分な光反射性能を得る薄膜の形成材料として好ましくない。
明度L*が25以上かつ120以下であると光学薄膜積層体の明るさの面で有利であり、明度L*がこの範囲外であると光学薄膜積層体の明るさの面で不利がある。
色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下であると色の鮮やかさの面で有利であり、色相・彩度a*、色相・彩度b*がこれらの範囲外であると色の鮮やかさの面で不利がある。
このような構成によれば、2つの薄膜積層体3、4を基材2の両面にそれぞれ設けることにより、基材2の両面の薄膜積層体3、4の内部応力を相殺して緩和することができるので、基材2のカールを低減し、膜割れの発生を抑制する上で有利となる。
また、2つの薄膜積層体3、4を基材2の両面にそれぞれ設けることにより、基材2の一方の面のみに薄膜積層体を設けたときよりも、明度(L*)の高い赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体1を得る上で有利となる。
但し、光学薄膜積層体1の一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が、薄膜積層体を基材2の一方の面にのみ形成したとき、薄膜積層体を形成した面と反対の基材2の表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*と比べて大きくなければならない。
言い換えると、2つの薄膜積層体3、4のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が比較用光学薄膜積層体の明度L*よりも大きな値となる必要がある。この比較用光学薄膜積層体は、基材と、前記基材の一方の面のみに高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで形成されるものである。
そして、比較用光学薄膜積層体の明度L*は、前記基材の前記薄膜積層体を形成した面と反対に位置する前記基材の表面を黒く塗り、前記薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*である。
真空成膜法で堆積していく薄膜形成材料のサイズはオングストロームオーダーの原子・分子であるため、例えば、マイクロメーターオーダーの微細な凹凸を有する基材上に成膜しても表面に均一の厚さで堆積して凹部分を埋めずに元の凹凸形状を保持するため、色ムラのない表面加飾性を得ることができるという効果がある。
すなわち、本発明の光学薄膜積層体を成形することによって上述した種々の加飾成形品を得ることができる。
このような誘電性を有する材料からなる機能性薄膜層を形成することによって、電波の反射・散乱によるアンテナの送信・受信感度の減衰や乱れを避けることができ、かつ、基材のカールを低減し、膜割れの発生を抑制し、かつ明度を増大させた赤色の金属光沢を有する光学薄膜積層体を提供することが可能である。
更に、光学薄膜積層体を構成する基材、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層からなる薄膜積層体に誘電性を有する材料を用いることによって、電波の反射・散乱によるアンテナの送信・受信感度の減衰や乱れをより避けることができるようになる。
(実施例1)
図2に示すように、基材12である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層15、低屈折率薄膜層16、高屈折率薄膜層17からなる薄膜積層体13、および基材12の他方の面上に高屈折率薄膜層18、低屈折率薄膜層19、高屈折率薄膜層20からなる薄膜積層体14を以下のように形成した。
基材12の一方の面に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚75nmの高屈折率薄膜層15を形成した。
基材12の薄膜積層体13を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚100nmの高屈折率薄膜層18を形成した。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体11を得た。
光学薄膜積層体11の形状を観察したところ基材12のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体11の薄膜積層体13、および14の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは薄膜積層体13の物理膜厚に対する薄膜積層体14の物理膜厚の比が1.09であり、1以上1.45以下であったため、基材12の両面に形成された薄膜積層体13、および14双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
次に、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体14が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体11を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例1の光学薄膜積層体という。
比較例1の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材12表面を黒く塗り、基材12の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が45.3、a*が49.4、b*が−6.2であった。
比較例1の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例1で作製した光学薄膜積層体11の一方の薄膜積層体14の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体13を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例1の光学薄膜積層体の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例1の光学薄膜積層体11と比べて基材12のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例1の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
次に、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体13が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体11を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例2の光学薄膜積層体という。
比較例2の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材12表面を黒く塗り、基材12の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が34.7、色相・彩度a*が45.0、色相・彩度b*が4.3であった。
比較例2の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例1の光学薄膜積層体11の一方の薄膜積層体14の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体13を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例2の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例1の光学薄膜積層体11と比べて基材12のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例2の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
測定手順は次に示すとおりである。まず、光学薄膜積層体11の場合は薄膜積層体14の表面、光学薄膜積層体11の構成から薄膜積層体13、あるいは14が無い構成の光学薄膜積層体の場合は基材12表面全面を黒い塗料でムラの出ないように塗りつぶした。
黒い塗料で塗りつぶした基材12を太陽光の自然光あるいは蛍光灯などの人工光にかざして、基材12を通して光が漏れていないか確認した。
基材12の黒塗りしなかった面側をU−4000形 自記分光光度計の測定光源に向けて設置した。
このとき、薄膜積層体を形成した基材12表面における鉛直線に対して測定光が5°の角度を持って基材12表面に入射するように設置した。
基材12表面で正反射される光の方向で、かつ、2°視野になる位置に測光器を設置して可視光領域(380〜780nm)における反射率を測定し、JIS Z 8701に規定される三刺激値X、Y、Zを求めた。三刺激値X、Y、Zの計算は5nm間隔で実施した。
続いて、三刺激値を用いてJIS Z 8729に規定される明度L*、色相・彩度a*、色相・彩度b*を求めた。
次に実施例2について説明する。
図3に示すように、基材22である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの両面上に、高屈折率薄膜層24、低屈折率薄膜層25、高屈折率薄膜層26からなる薄膜積層体23をそれぞれ以下のように形成した。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体21を得た。
光学薄膜積層体21の形状を観察したところ基材22のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体21の両方の薄膜積層体23の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは基材22の両面に同じ構成の薄膜積層体23が形成されたため、双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
次に、光学薄膜積層体21の構成から一方の薄膜積層体23が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体21を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例3の光学薄膜積層体という。
比較例3の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材22表面を黒く塗り、基材22の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が38.1、色相・彩度a*が47.4、色相・彩度b*が−7.9であった。
比較例3の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例2の光学薄膜積層体21の一方の薄膜積層体23の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体23を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例3の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例2の光学薄膜積層体21と比べて基材22のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例3の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
次に実施例3について説明する。
図4に示すように、基材28である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層31、低屈折率薄膜層32、高屈折率薄膜層33、低屈折率薄膜層34、高屈折率薄膜層35からなる薄膜積層体29を、基材28の他方の面上に高屈折率薄膜層36、低屈折率薄膜層37、高屈折率薄膜層38、低屈折率薄膜層39からなる薄膜積層体30をそれぞれ以下のように形成した。
基材28の一方の面に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚130nmの高屈折率薄膜層31を形成した。
基材28の薄膜積層体29を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、二酸化チタン(TiO2)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚60nmの高屈折率薄膜層36を形成した。
つまり、可視光領域における赤色の正反射光を強調させ、赤色の彩色と金属光沢とを有する光学薄膜積層体27を得た。
光学薄膜積層体27の形状を観察したところ基材28のカールはほとんど見られなかった。
更に、光学顕微鏡で光学薄膜積層体27の薄膜積層体29、および30の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離はほとんど確認されなかった。
これは薄膜積層体30の物理膜厚に対する薄膜積層体29の物理膜厚の比が1.39であり、1以上1.45以下であったため、基材28の両面に形成された薄膜積層体29、および30双方の内部応力が相殺して緩和されたことによる。
次に、光学薄膜積層体27の構成から薄膜積層体30が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体27を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例4の光学薄膜積層体という。
比較例4の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材28表面を黒く塗り、基材28の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が49.8、色相・彩度a*が49.9、色相・彩度b*が0.0であった。
比較例4の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例3の光学薄膜積層体27の一方の薄膜積層体30の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体29を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例4の光学薄膜積層体の形状を観察したところ光学薄膜積層体27と比べて基材28のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例4の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
次に、光学薄膜積層体27の構成から薄膜積層体29が無い構成の光学薄膜積層体を、光学薄膜積層体27を作製した要領で作製した。以下説明の便宜上、この光学薄膜積層体を比較例5の光学薄膜積層体という。
比較例5の光学薄膜積層体の薄膜積層体を形成した面と反対の基材28表面を黒く塗り、基材28の薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置した場合の、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が45.2、色相・彩度a*が51.4、色相・彩度b*が−16.0であった。
比較例5の光学薄膜積層体において、明度L*に関しては、実施例3の光学薄膜積層体27の一方の薄膜積層体30の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体29を測定光源に向けて設置したときの明度L*と比べて小さかった。
比較例5の光学薄膜積層体の形状を観察したところ実施例3の光学薄膜積層体27と比べて基材28のカールが大きかった。
更に、光学顕微鏡で比較例5の光学薄膜積層体の薄膜積層体の表面を観察したところ、膜割れ、および膜の剥離が多数確認された。
Claims (4)
- 基材と、
前記基材の両面にそれぞれ形成された薄膜積層体とを備える光学薄膜積層体であって、
前記各薄膜積層体は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで構成され、
前記基材の両面に設けられる2つの薄膜積層体のうち、その物理薄膜がより薄いあるいは等しい一方の薄膜積層体の物理膜厚に対する他方の薄膜積層体の物理膜厚の比率が1以上1.45以下であり、
前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が25以上かつ120以下、色相・彩度a*が10以上かつ100以下、色相・彩度b*が−80以上かつ80以下であり、
前記高屈折率薄膜層は第1、第2の高屈折率薄膜層を備え、
前記第1、第2の高屈折率薄膜層は物理膜厚30nm以上かつ200nm以下であり、
前記低屈折率薄膜層は物理膜厚50nm以上かつ200nm以下であり、
前記第1、第2の高屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.8以上2.4以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、
前記低屈折率薄膜層は、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75以下であり、かつ、消衰係数が0.5以下であり、
前記薄膜積層体は、前記第1の高屈折率薄膜層と前記低屈折率薄膜層と前記第2の高屈折率薄膜層とがこれらの順番で前記基材の面に順次積層して形成されることで構成されている、
ことを特徴とする光学薄膜積層体。 - 前記2つの薄膜積層体のうちの一方の薄膜積層体の表面を黒く塗り、他方の薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*が比較用光学薄膜積層体の明度L*よりも大きな値であり、
前記比較用光学薄膜積層体は、基材と、前記基材の一方の面のみに高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とが交互に各1層以上積層されることで形成され、
前記比較用光学薄膜積層体の明度L*は、前記基材の前記薄膜積層体を形成した面と反対に位置する前記基材の表面を黒く塗り、前記薄膜積層体を測定光源に向けて設置したときに、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)の明度L*である、
ことを特徴とする請求項1記載の光学薄膜積層体。 - 前記薄膜積層体は真空成膜法により形成される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の光学薄膜積層体。 - 請求項1乃至3に何れか1項記載の光学薄膜積層体を成形してなる、
ことを特徴とする加飾成形品。
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