JP2007217702A - 含フッ素共重合体、含フッ素共重合体製造方法、含フッ素共重合体硬化用組成物及び硬化体 - Google Patents

含フッ素共重合体、含フッ素共重合体製造方法、含フッ素共重合体硬化用組成物及び硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、加工性が良好で現場施工可能な硬化用組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、含フッ素共重合体、1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物、及び、ヒドロシリル化反応触媒を含む含フッ素共重合体硬化用組成物であって、含フッ素共重合体は、常温で流動性を有する硬化可能なものであり、トリフルオロビニル基含有単量体から得られるものであり、数平均分子量が500〜20000であり、主鎖の両末端に不飽和基を有するものであり、トリフルオロビニル基含有単量体は、下記一般式(III)
CF=CF−R−Y (III)
で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物であることを特徴とする含フッ素共重合体硬化用組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、常温で流動性を有する硬化可能な含フッ素共重合体に関し、詳しくは、主鎖末端に硬化性部位を有する低分子量の含フッ素共重合体に関し、更に、その製造方法、硬化用組成物及び硬化体に関する。
フッ素ゴムは、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等に優れた特性を示すことから、過酷な環境下で用い得るシール材等として幅広い用途がある。
フッ素ゴムは、通常、架橋前において平均分子量が5万〜20万程度の重合体からなっており、架橋剤等を加えた組成物は、高粘度であるので、高温で流動させ、成形するとともに硬化させて、成型品を得ていた。
しかしながら、このような高粘度の組成物は、複雑な形状の成形品を得ることが困難であり、また、例えば自動車組み立て工場においてゴム設置部位で硬化させる等の現場施工型の成形ができないので予め成形しておく必要があり、工程を簡略化できず、利用方法が制限されるという問題があった。
このような問題を解決するため、架橋前において常温で流動性を示す液状ゴムの開発が望まれるようになってきた。液状ゴムは、現場施工型の成形を可能にし、また、金型等に常温で液状のまま流し込むことができ、複雑な形状の成形品を容易に得ることができる。
液状ゴムとしては、現場施工型の耐熱ゴムとしてシリコーンゴムが上市されている。しかし、耐油性、耐溶剤性等から含フッ素液状エラストマーへの期待が大きい。シリコーンゴムはクリーン性を要求される用途ではシロキサン発生による問題が多く、分子構造に起因する劣化を伴うことから、シロキサンガスの発生をなくすことは不可能であり、製造段階で精製してもシロキサン発生量の低減には限界があるという問題がある。
架橋前に高分子量の重合体からなるフッ素ゴムは、主鎖における架橋点間距離を離すことができ、架橋してもこの架橋点間の主鎖が伸縮性を有するので、充分なエラストマー性を有する。これに対し、液状のフッ素ゴムは、架橋前に常温で流動性であるように低分子量の重合体からなるものであり、通常、主鎖における架橋点間距離が短いので、架橋するとエラストマー性に乏しいという問題があった。
架橋前に高分子量の重合体からなるフッ素ゴムは、架橋点が主鎖末端になく主鎖の途中にある場合、架橋点から鎖末端にかけての主鎖部分が3次元網目構造の形成に直接関与せずある程度の自由度を有することとなるが、元々高分子量であるので、この主鎖部分の存在が硬化物に与える影響はあまり大きくない。
これに対し、液状のフッ素ゴムは、架橋点が主鎖の末端になく途中にある場合、低分子量であるので、架橋点から鎖末端にかけての主鎖部分は、可塑剤のように作用することとなり、硬化物の機械的強度が低下する問題が生じていた。
これらの問題を解決して効率の良い硬化を行い液状ゴムの成形性を優れたものにするため、液状ゴムをなす重合体の主鎖が実質的に両末端に硬化性部位を有することが望ましい。硬化性部位となる官能基を主鎖末端に導入する方法としては、次のようにいくつか提案されている。
特公昭63−44744号公報には、ビニリデンフルオライド〔VdF〕とヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕とからなる共重合体の主鎖末端に特定の含フッ素ジアシルパーオキサイドを用いてt−ブトキシ基を導入し、酸によりヒドロキシル基に変換する方法が開示されている。しかしながら、この重合開始剤は特殊で高価であり、しかも低分子量重合体を得るためには大量に必要であることから、コスト面で問題がある。
同様の技術としては、米国特許第3,457,245号明細書にフッ素系パーオキサイドを用いる方法が開示されており、この方法もコスト面の問題がある。
両末端に硬化性部位を有するフッ素ゴムを得る方法としては、特開平8−67660号公報及び特開平11−286541号公報にパーフルオロジカルボン酸フルオライドを重合開始剤として用いる方法が開示されている。しかしながら、この方法も、重合開始剤が高価であることから、コスト面で問題がある。
特開昭56−57811号公報には、ヨウ素化合物を連鎖移動剤として用い、VdFの共重合体からなる液状含フッ素ポリマーの主鎖末端にヨウ素原子を導入する方法が開示されている。この方法は、価格の高いヨウ素化合物を大量に必要とし、また、反応性の高いヨウ素を数質量%含むので、高分子反応によって他の官能基に変換しなければならない等、コスト面が大きな問題である。
特開平11−322842号公報には、主鎖両末端にカルボキシル基を有するフッ素化オリゴマーの製法として、フッ素ゴム架橋体を有機溶媒で膨潤させ、塩基や過酸化物の存在下に分解する方法が開示されている。しかしながら、この分解は、VdFの重合体からなる架橋体については可能であるが、パーハロゲン化エラストマーには適用することができないという問題がある。
主鎖末端にヒドロキシル基を導入する方法として、プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Progress in Polymer Science)、2001年、第26巻、p.105−187には、過酸化水素の存在下に平均分子量約4000のVdF/HFP共重合体を得、LiAlHを作用させる方法が開示されている。しかしながら、水酸基ラジカルは、上記共重合においてCF=CHのCF側と反応すると不安定なため更に反応が進むので、実際にはヒドロキシル基がなかなか末端に導入されないという問題がある。
一般に重合体の主鎖末端に官能基を導入する方法は、これらのように特殊な方法を採用する必要があり、コスト高であったり、適用範囲が限られたりするので、実用性に欠けるという問題があった。
国際公開第00/29479号パンフレットには、主鎖末端にカルボキシル基等を有する含フッ素エラストマーが開示されている。このエラストマーは、例えばこのパンフレットの図1の赤外線吸収スペクトルから炭素−フッ素結合濃度に対するカルボキシル基濃度が相対的に低いことからわかるように、分子量の大きいものであり、また、エラストマー、即ち、室温でゴム弾性を有する高分子であり、常温で流動性を有しないものである。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、低コストで得られ、常温で流動性を有し硬化可能な含フッ素共重合体及びその製造方法、並びに、加工性が良好で現場施工可能な硬化用組成物を提供することにある。
本発明は、常温で流動性を有する硬化可能な含フッ素共重合体であって、上記含フッ素共重合体は、トリフルオロビニル基含有単量体から得られるものであり、上記トリフルオロビニル基含有単量体は、エチレン性不飽和二重結合部がトリフルオロビニル基からなるものであることを特徴とする含フッ素共重合体である。
本発明は、重合開始剤を用いてトリフルオロビニル基含有単量体のラジカル重合を行い、上記含フッ素共重合体を得ることよりなる含フッ素共重合体製造方法であって、上記重合開始剤は、上記含フッ素共重合体を硬化可能にする作用を有するものであり、上記トリフルオロビニル基含有単量体は、2種以上を用いるものであることを特徴とする含フッ素共重合体製造方法である。
本発明は、含フッ素共重合体と、架橋剤とからなる含フッ素共重合体硬化用組成物であって、上記架橋剤は、上記含フッ素共重合体の固形分100質量部に対し0.1〜10質量部(固形分)であることを特徴とする含フッ素共重合体硬化用組成物(A)である。
本発明は、含フッ素共重合体からなる含フッ素共重合体硬化用組成物(B)から得られる硬化体であって、上記含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン、及び、下記一般式(II)
CF=CF−O−R (II)
(式中、R は、4個以下の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から得られるものであり、上記硬化体は、パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)溶剤への浸漬処理を行った後の質量(a)と、前記浸漬処理を行う前の質量(b)との比(a/b)が0.95以上であるものであることを特徴とする硬化体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の含フッ素共重合体は、トリフルオロビニル基含有単量体から得られるものである。
本明細書において、上記トリフルオロビニル基含有単量体は、エチレン性不飽和二重結合部がトリフルオロビニル基〔CF=CF−〕からなるものである。
本明細書において、上記「エチレン性不飽和二重結合部」とは、上記トリフルオロビニル基含有単量体の分子構造において、炭素−炭素二重結合を構成している2個の炭素原子及びこれらの炭素原子に結合している原子又は原子団から構成される部分を意味する。上記炭素−炭素二重結合は、通常、上記トリフルオロビニル基含有単量体1分子あたり1個である。
本発明の含フッ素共重合体は、ラジカル重合において、トリフルオロビニル基含有単量体の分子においてエチレン性不飽和二重結合部を構成していた2個の炭素原子の何れかに重合開始剤より発生したラジカルが付加し、その反応により生成したラジカル化合物が、トリフルオロビニル基含有単量体の別の分子と反応することを繰り返すことにより得られる。上記ラジカルは、重合開始剤としてパーオキサイド化合物を用いる場合、パーオキサイド化合物に由来するラジカルである。
本発明においてパーオキサイド化合物に由来するラジカルとしては、例えば、通常よく用いられる過硫酸塩をパーオキサイド化合物として用いる場合、水酸基ラジカル〔・OH〕等が好ましい。この場合、水酸基ラジカルは、ラジカル重合を行う媒体の液性等の反応条件を変化させることにより、発生量を容易に調整することができる。
本発明において、上記エチレン性不飽和二重結合部は、トリフルオロビニル基からなるものであるので、2個の炭素原子のうちα−炭素とβ−炭素の何れにパーオキサイド化合物に由来するラジカルが付加してもカルボキシル基を生じることとなる。例えば、上記水酸基ラジカルがα−炭素に付加して主鎖末端が−CFR−CFOH(Rは、後述の一般式(III)におけるものと同じである。)となった場合、末端基である−CFOHは不安定であるので−CF(=O)を経て−C(=O)OHとなる。
本発明の含フッ素共重合体は、ラジカル重合において水酸基ラジカルから開始した末端がカルボキシル基となった成長ラジカル同士が結合して停止するので、両末端にカルボキシル基を有することとなる。カルボキシル基は、上記−CFOHの加水分解により容易に生成するが、本発明の含フッ素共重合体は、通常、乳化重合によりラジカル重合を行うので、上記加水分解は容易に起こすことができる。カルボキシル基は、反応性に富むので硬化性が高く、また、シアノ基、ヒドロキシル基、エステル結合等のカルボキシル基以外の官能基や結合に変化させることもでき、架橋系の選択の幅を広げることができる。
本発明の含フッ素共重合体は、硬化性部位として、特に、このように重合開始剤由来のラジカルが付加することにより得られるカルボキシル基、及び/又は、このカルボキシル基から変化させて得られるシアノ基、ヒドロキシル基、エステル結合等を有する場合、従来のように高価で特殊な重合開始剤等の添加剤を必要とせず、硬化性部位の導入を従来よりも低コストで行うことができるものである。
なお、単量体としてトリフルオロビニル基含有単量体以外のもの、例えばビニリデンフルオライド〔VdF〕を主に用いると、水酸基ラジカルが、炭素−炭素二重結合を構成していた成長末端の2個の炭素原子のうちフッ素原子が結合している炭素原子に付加した場合、上述のようにカルボキシル基が生成するが、水素原子が結合している炭素原子に付加した場合、メチロール基〔−CHOH〕となり、このメチロール基は通常のラジカル重合条件ではカルボキシル基に変化しない。従って、主鎖末端の官能基が多種類となり、架橋剤の選択等が容易でなく、得られる硬化体は不均一となる。
上記トリフルオロビニル基含有単量体は、また、炭素−炭素二重結合を構成する2個の炭素原子の両方にフッ素原子でも水素原子でもない基や原子が結合している場合よりも、立体障害が少ない点で付加しやすく、また、炭素−炭素二重結合を構成する炭素原子に水素原子が結合している場合よりも、連鎖移動が起こりにくい点で、重合性が良好である。
上記トリフルオロビニル基含有単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としてはエチレン性不飽和二重結合部がトリフルオロビニル基からなるものであれば特に限定されないが、下記一般式(III)
CF=CF−R−Y (III)
(式中、Yは、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Rは、10個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数0〜20のアルキレン基を表す。但し、Rのアルキレン基の炭素数が0のとき、Yは、ハロゲン原子である。)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物が好ましい。
上記Rにおける酸素原子としては、得られる含フッ素共重合体の柔軟性の観点から、エーテル結合を構成するものが好ましい。
上記Rにおける酸素原子は、10個を超えると、得られる硬化体の機械的性質が悪化する場合がある。好ましい上限は6個、より好ましい上限は5個である。重合性を向上し得る点から、用いるトリフルオロビニル基含有単量体の少なくとも一部が上記酸素原子を少なくとも1個有することが好ましい。
上記一般式(III)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、共重合性に優れる点から、下記一般式(I)
CF=CF−O−R (I)
(式中、Rは、4個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテルが好ましい。上記Rにおける酸素原子としては、エーテル結合を構成するものが好ましい。
上記フルオロビニルエーテルとしては、上記一般式(I)におけるRが酸素原子を有さずフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基であるものが好ましい。上記Rとしては、水中で乳化されやすく乳化重合性が良好である点から、炭素数、酸素数ともに少ないものであることが好ましい。上記アルキル基の炭素数は、好ましい上限が8、より好ましい上限が3である。このようなRとしては、例えば、−CH、−CF、−CHCF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF)CF、−CHCFCFが好ましい。上記Rとしては、ラジカル重合における連鎖移動性を低減し得る点から、水素数が少ないものであることが好ましい。
上記Rとしては、合成が容易である点から、−CH(式中、Rは、4個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜19のアルキル基、又は、水素原子を表す。)が好ましい。このような上記−CHとしては、−CHCF、−CHCFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CH(CFCF、−CHCFCFH、−CH、−CHCH、−CHCHCHが好ましく、ラジカル重合における連鎖移動性を低減し得る点から、−CHが好ましい。
上記Rが−CHであるフルオロビニルエーテルは、テトラフルオロエチレン〔TFE〕と併用することが好ましい。
上記一般式(I)で表されるフルオロビニルエーテルとしては、ラジカル重合における連鎖移動を充分に防止し得る点から、上記Rとしてのアルキル基の水素原子が全てフッ素原子により置換されているものが好ましく、このようなフルオロビニルエーテルは、下記一般式(II)
CF=CF−O−R (II)
(式中、R は、4個以下の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)である。上記R における酸素原子としては、エーテル結合を構成するものが好ましい。
上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、上記一般式(II)におけるR が酸素原子を有さないパーフルオロアルキル基であるものが好ましい。上記R としてのパーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましい上限が8、より好ましい上限が3であり、このようなR としては、例えば、−CF、−CFCF、−CFCFCF及び−CF(CF)CFが好ましく、−CF、−CFCF、−CFCFCFがより好ましく、ガス状となり重合しやすい点から、−CFが更に好ましい。
上記一般式(III)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、また、下記一般式(IV)
CF=CF−(O−R −Y (IV)
(式中、Yは、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜5のアルコキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。R は、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基を表す。nは、0〜5の整数を表す。)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物(但し、上記一般式(I)で表されるフルオロビニルエーテルを除く。)が好ましい。
上記一般式(IV)におけるYは、フッ素原子により置換されていてもよいアルキル基としては例えば−CH、−CF等が挙げられ、フッ素原子により置換されていてもよいアルコキシル基としては例えば−OCH、−OCF、−OCHCF、−OCHCFCF等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子及び塩素原子が好ましい。上記一般式(IV)におけるR としては、例えば−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CFCF(CF)−等が挙げられる。
上記一般式(IV)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、上記一般式(IV)におけるYがフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子であり、nが0であるものが好ましく、このようなトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、TFE、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が好ましい。
上記一般式(IV)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、得られる含フッ素共重合体の低温特性(例えばガラス転移点の低下)を向上させる点から、上記R が−CFCFCF−であり、上記YがR (R は、炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシル基である。)であり、上記nが1〜4の整数であるものが好ましい。
このような上記一般式(IV)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物としては、CFOCFCFCFOCF=CF、CFCFCFOCFCFCFOCF=CF、CF(OCFCFCFOCF=CF、CFCFCF(OCFCFCFOCF=CF、CF(OCFCFCFOCF=CF、CFCFCF(OCFCFCFOCF=CF、CF(OCFCFCFOCF=CF、CFCFCF(OCFCFCFOCF=CFが好ましい。
が−CFCFCF−であり、YがR であり、nが1〜4の整数である上記一般式(IV)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物は、TFEと併用することが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、得られる含フッ素共重合体の低温特性(例えばガラス転移点の低下)を向上させる点から、CF(OCFCFOCF=CF、CFO(CFO)CFCFOCF=CF、CFO(CFO)CFCFOCF=CF、CFO(CFO)CFCFOCF=CF、CFCFCFOCFOCF=CF、CFCFOCFOCF=CFが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、また、得られる含フッ素共重合体が、液体透過膜、ガス透過膜、電気分解工程におけるイオン交換膜、燃料電池の電解質膜、透析膜、逆浸透膜等の膜材を形成するポリマーの前駆体として用い得る点から、下記一般式(V)で表される単量体が好ましい。
CF=CFO(CFCFYO)(CFYSOF (V)
(式中、Yは、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を表す。Yは、ハロゲン原子を表す。sは、0〜3の整数であり、tは、1〜5の整数である。)
上記一般式(V)で表される単量体としては、CF=CFO(CFSOF、CF=CFO〔CFCF(CF)O〕(CFSOFが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体(V)は、TFEと併用することが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、また、合成が容易である点から、下記一般式(VI)
CF=CF−O−CH12 (VI)
(式中、R12は、水素原子の一部が塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子により置換されている炭素数1〜19のハロゲン化炭化水素基を表す。上記ハロゲン化炭化水素基は、更に、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されているものであってもよい。)で表されるトリフルオロビニル基含有化合物であってもよい。上記一般式(VI)で表されるトリフルオロビニル基含有化合物としては、CF=CFOCHCFCFCl、CF=CFOCHCFCFBr、CF=CFOCHCFCFIが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、上述のように上記一般式(I)におけるR、上記一般式(IV)におけるY又は上記一般式(VI)におけるR12が、水素原子を結合してなる基であるものを使用することができるが、この場合、ラジカル重合における連鎖移動により、得られる本発明の含フッ素共重合体の主鎖末端が−CFHになって重合反応が停止する可能性があるので、連鎖移動性の少ないものが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体は、2種以上を用いる場合、該当する上記一般式が同じもの同士であってもよいし、異なるもの同士であってもよい。上記トリフルオロビニル基含有単量体は、TFEを用いる場合、本発明の含フッ素共重合体の硬化体が充分なエラストマー性を有し得る点から、上記一般式(I)で表される単量体を組み合わせて用いることが好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、TFE及び上記一般式(I)で表されるフルオロビニルエーテルを併用することがより好ましい。このようにTFEと用いる場合、上記フルオロビニルエーテルとしては、上記一般式(I)におけるRが上に例示したものであるものが好ましく、なかでも、Rが−CH又は−CFであるものがより好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、TFE及び上記一般式(II)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)を併用することが特に好ましい。この場合、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては上記一般式(II)におけるR が上に例示したものであるものが好ましく、R が−CFであるものがより好ましい。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、フッ素含有率が高いものが好ましい。フッ素含有率が高いほど、ラジカル重合においてトリフルオロビニル基含有単量体のエチレン性不飽和二重結合部に付加した重合開始剤由来の水酸基ラジカルのうち、カルボキシル基に変化するものの割合が高くなる。この点からは、上記トリフルオロビニル基含有単量体は、炭素原子に結合している水素原子が全てフッ素原子により置換されてなりエーテル酸素を有していてもよいパーフルオロ化合物がより好ましい。しかしながら、パーフルオロ化合物は通常高価であり、本発明においては、パーフルオロ化合物以外のフルオロ化合物であっても充分に硬化可能な本発明の含フッ素共重合体を得ることができる。
上記トリフルオロビニル基含有単量体としては、また、用いるものの少なくとも一部を、エチレン性不飽和二重結合部であるトリフルオロビニル基に酸素原子が直接結合しているものにすることが好ましい。このようなトリフルオロビニルオキシ基を有するものを用いると、共重合性が良い。
本発明の含フッ素共重合体には、上記トリフルオロビニル基含有単量体として、本発明の効果を損なわない範囲で、上記トリフルオロビニル基含有単量体以外の単量体も併用することができる。このような上記トリフルオロビニル基含有単量体以外の単量体としては、エチレン、プロピレン、ビニリデンフルオライド等が挙げられる。
本発明の含フッ素共重合体は、常温で流動性を有するものである。本明細書において、上記「常温」とは、0〜50℃を意味する。本発明の含フッ素共重合体は、このように常温で流動性を有するものであるので、複雑な形状の成形品を容易に得ることができ、また、現場施工型の成形が可能となる。
本発明の含フッ素共重合体は、常温における粘度が0.1〜2000Pa・sであることが好ましい。0.1Pa・s未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい場合があり、2000Pa・sを超えると、常温で流動性を有しない場合がある。より好ましい下限は、1Pa・sであり、より好ましい上限は、1000Pa・sである。本明細書において、上記粘度は、E型粘度計にて測定して得られる値である。粘度が0.1Pa・s未満である含フッ素共重合体は、鎖延長剤を用いて上記範囲内の粘度を有するものとすることができ、本発明同様の効果を発現する。
本発明の含フッ素共重合体は、また、常温におけるムーニー粘度が5〜100であるものが好ましい。5未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい場合があり、100を超えると、常温で流動性を有しない場合がある。より好ましい上限は、75であり、更に好ましい上限は、50である。本明細書において、上記ムーニー粘度は、JIS K 6300(1994年)に準拠して、ムーニー粘度計(商品名:MV2000、モンサント社製)を用いて測定して得られる値である。
本発明の含フッ素共重合体は、数平均分子量が500〜20000であることが好ましい。500未満であると、架橋による3次元網目構造の形成が困難となる場合があり、20000を超えると、常温で流動性を示さない場合がある。より好ましい下限は900であり、より好ましい上限は10000である。本発明の含フッ素共重合体は、上記範囲内の数平均分子量を有するので、室温で硬化性反応を行うことが容易である。本明細書において、数平均分子量は、カルボキシル基濃度を定量し、全ての末端がカルボキシル基であるとして計算により求めた値である。
本発明の含フッ素共重合体がこのように比較的低分子量であることは、後述のように主鎖の両末端に硬化性部位を有する場合、例えば、赤外線吸収スペクトルにおいて、2200〜2600cm−1の炭素−フッ素結合〔C−F〕に基づく吸収に対し、硬化性部位に基づく吸収の強度比が大きいことからわかる。例えば硬化性部位がカルボキシル基である場合、1774cm−1のカルボニル基〔C=O〕に基づく吸収は、上記炭素−フッ素結合に基づく吸収に対し、強度比が5倍以上である。本明細書において、本発明の含フッ素共重合体の数平均分子量を「超低分子量」ということがある。
本発明の含フッ素共重合体は、硬化可能なものである。本発明の含フッ素共重合体は、硬化可能なものであるので、例えばゴム、硬化型塗料等として好適に用いることができる。本発明の含フッ素共重合体は、硬化性部位を有することにより硬化可能となる。
本明細書において、上記「硬化性部位」とは、硬化性反応で化学的に変化し得る官能基又は結合を意味する。本明細書において、上記「硬化性反応」とは、橋かけ結合を形成する反応、及び、本発明の含フッ素共重合体の主鎖同士が結合する反応であって橋かけ結合を形成しないものを意味する。本明細書において、上記「橋かけ結合を形成する反応」を「架橋」ということがあり、分子中の上記橋かけ結合を形成している箇所を「架橋点」ということがある。本明細書において、本発明の含フッ素共重合体に上記硬化性反応を行わせることにより硬化したものを「硬化体」という。
上記硬化性部位は、上記硬化性反応において、本発明の含フッ素共重合体の1つの分子における硬化性部位と他の分子における硬化性部位との間で結合を形成するほか、通常、架橋剤と結合する。上記硬化性部位は、上記硬化性反応において、用いる本発明の含フッ素共重合体の数平均分子量によっては、上記含フッ素共重合体の1つの分子内における2つの硬化性部位の間で結合を形成する場合もある。
本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の両末端に上記硬化性部位を有するものであることが好ましい。上記含フッ素共重合体は、主鎖の両末端に上記硬化性部位を有することにより、上記硬化性反応において、3次元網目構造を形成するのみならず、上記含フッ素共重合体の1分子の主鎖末端と、他の分子の主鎖末端とが結合することにより主鎖を延長することが可能となる。この結果、本発明の含フッ素共重合体は、上述のように比較的低分子量であるにもかかわらず、架橋点間にある程度の距離をとることができるので、得られる硬化体は優れたエラストマー性を有することができる。
本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の実質的に両末端に、上記硬化性部位を有するものであればよい。本明細書において、上記「本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の実質的に両末端に、上記硬化性部位を有する」とは、上記含フッ素共重合体は、大部分の分子が主鎖の両末端に上記硬化性部位を有するものであるが、硬化性反応に影響を与えない範囲内で、一部の分子が主鎖の両末端の一方にのみ上記硬化性部位を有していてもよいし、ごく一部の分子が主鎖の両末端に上記硬化性部位を有していなくてもよいことを意味する。上記含フッ素共重合体は、上記トリフルオロビニル基含有単量体の重合により得られる反応生成物であり、通常、分子量、共重合組成等が異なる分子の混合物として得られるので、主鎖の実質的に両末端に、上記硬化性部位を有するものである。本明細書において、「主鎖の両末端」は、特に別の記載をしない限り、上記「主鎖の実質的に両末端」をも含む概念である。
本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の両末端に上記硬化性部位を有することにより、上記硬化性反応に関与しない主鎖末端を実質的に有しないこととなり、得られる硬化体の機械的強度の低下を防止することができる。
上記硬化性部位としては、例えば、カルボキシル基、エステル結合、シアノ基、アミド基〔−CONH〕、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、クロロスルホニル基や塩素原子等の反応性ハロゲン基、ヨウ素原子、臭素原子、加水分解性シリル基、不飽和基、環状シロキサン構造含有基、シラノール基〔−Si−OH〕、イソシアネート基、アクリロイル基、Si−H基等が挙げられる。本発明の含フッ素共重合体は、これらの硬化性部位を1種又は2種以上有していてもよいが、架橋方法の選択の容易さと、得られる硬化体の均一性の点から、1種であることが好ましい。
上記硬化性部位としてのカルボキシル基は、上述のように本発明の含フッ素共重合体がトリフルオロビニル基含有単量体から得られるものであるので、重合開始剤由来のラジカルがトリフルオロビニル基含有単量体のエチレン性不飽和二重結合部に付加することにより、容易に導入することができる。本発明の含フッ素共重合体がカルボキシル基を有することは、例えば、赤外線吸収スペクトルにおいて、1774cm−1にカルボニル基〔−C(=O)−〕に基づく大きな吸収があることからわかる。
上記硬化性部位としてのエステル結合は、例えば、上述のカルボキシル基を酸触媒下にアルコールと反応させることによりアルコキシカルボニル基として導入することができる。アルコキシカルボニル基のアルコキシル基としては、例えば炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルコキシル基等が挙げられ、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。アルコキシカルボニル基としては、例えば、カルボキシル基をメタノールと反応させることにより得られるメトキシカルボニル基〔−COOCH〕が好ましい。
上記硬化性部位としてのシアノ基及びアミド基は、メトキシカルボニル基から変換することにより導入することができる。この変換の方法としては、例えば、メトキシカルボニル基にアンモニア又はアンモニア水を作用させることによりアミド基を生成させ、次いでこのアミド基をCOF等の脱水剤の存在下にシアノ基に変換することよりなるWO00/59959号公報に記載された方法を用いることができる。
上記硬化性部位としてのヒドロキシル基は、例えばカルボキシル基を常法を用いて還元することにより導入することができる。
上記硬化性部位としての不飽和基は、例えば主鎖末端の隣接する2個の炭素原子から脱炭酸反応により導入することができる。
上記硬化性部位としての不飽和基は、アルコキシカルボニル基から変換することにより導入することもできる。この変換の方法としては、例えば、アルコキシカルボニル基に不飽和基含有アミンを反応させてアミド化する方法等を用いることができる。上記不飽和基含有アミンとしては特に限定されず、例えばアリル基等の不飽和基を有するアミンが挙げられ、例えば特開2001−81131号公報に記載の不飽和基含有アミン、特開平8−198926号公報に記載の化合物(5)等を用いることができる。
上記不飽和基含有アミンを反応させてアミド化する方法により導入される不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。上記不飽和基は、例えば、Si−H基を有する化合物との反応、光反応、パーオキサイドを用いたラジカル反応等により硬化性反応を起こすことができるほか、例えば後述の各種方法により他の硬化性部位に変換することもできる。本明細書において、上記「Si−H基」とは、4価のケイ素原子と、このケイ素原子に結合している水素原子1個とからなる基を意味する。
上記硬化性部位としての環状シロキサン構造含有基は、上述の不飽和基に環状シロキサン化合物を反応させる特開平11−5797号公報に記載の方法等により導入することができる。上記環状シロキサン構造含有基としては、例えば、下記一般式
Figure 2007217702
(式中、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、炭素数1〜10、特に1〜8の置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表し、aは、2〜4の整数を表す。)で表されるような基が挙げられる。上記環状シロキサン基構造含有基は、例えば、
Figure 2007217702
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10、特に1〜8の置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜10、特に1〜8の1価炭化水素基を表す。)で表される基におけるXとして導入することができる。上記環状シロキサン構造含有基は、この中の環状シロキサン構造の開環反応を経て硬化性反応を起こすことができる。
上記環状シロキサン化合物としては特に限定されず、例えば特開平11−5797号公報に記載の一般式(2a)で表される化合物等が挙げられる。
上記硬化性部位としてのシラノール基〔−Si−OH〕は、上述の不飽和基に、例えばヒドロジオルガノシラン等を反応させて−Si−Clを有する基に変換し、この−Si−Clを有する基を加水分解させることにより導入することができる。上記ヒドロジオルガノシランとしては、例えば特開平11−292884号公報において一般式(4)で表されるヒドロジオルガノクロロシラン等のヒドロジオルガノシラン等が挙げられる。上記−Si−Clを有する基の加水分解としては、例えば、塩化水素トラップ剤の存在下で水と反応させる特開平11−292884号公報に記載の方法等を用いることができる。
上記硬化性部位としてのエポキシ基は、例えば、上記不飽和基と、Si−H基含有エポキシ化合物とのヒドロシリル化反応等により導入することができる。上記Si−H基含有エポキシ化合物としては、例えば、特開平11−80315号公報に記載の化合物等が挙げられる。上記エポキシ基を有する含フッ素共重合体は、上記エポキシ基の開環反応を経て硬化性反応を起こすことができる。本明細書において、上記ヒドロシリル化反応は、炭素−炭素二重結合にSi−H基が付加する反応である。
上記硬化性部位としてのイソシアネート基は、例えば、カルボキシル基を塩素化してクロロホルミル基に変換し、次いで、アジ化水素酸−ピリジン錯体等による酸アジド化を経てクルチウス転位により導入することができる。この一連の方法は、例えば、ジャーナル・オブ・フルオリン・ケミストリー(Journal of Fluorine Chemistry)、1988年、第41巻、p.175−179、スキーム1(Scheme1)に記載の方法等を用いることができる。イソシアネート基は、アルコール類、チオール類、アミン類、カルボン酸類、また、エナミン類の不飽和化合物を反応させることにより硬化性反応を起こすことができる。
上記硬化性部位としての加水分解性シリル基は、例えば、アルコキシカルボニル基にアミノシランを反応させることにより導入することができる。上記アミノシランとしては特に限定されず、例えば、下記一般式
Figure 2007217702
(式中、Rは、置換又は非置換の1価炭化水素基若しくは水素原子を表し、Rは、2価の有機基を表し、R10は、置換又は非置換の1価炭化水素基を表し、Xは、加水分解性基を表し、mは、1〜3の整数を表す。m個のR10は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。(3−m)個のXは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。)で表される化合物等が挙げられる。上記一般式における−Si−Xが加水分解性シリル基である。上記アミノシランとしては、例えば、特開平8−198926号公報において一般式(5)で表される化合物と後述のオルガノハイドロジェンシランとを反応させて得られた化合物を用いてもよい。
上記硬化性部位としての加水分解性シリル基は、また、例えば、上記不飽和基にオルガノハイドロジェンシランを反応させることにより導入することができる。上記オルガノハイドロジェンシランとしては特に限定されず、例えば、特開平9−77777号公報において一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
上記加水分解性シリル基としては、例えば、−Si−X(Xは、塩素原子等のハロゲン原子)、−Si−OR(Rは、アルキル基等の1価炭化水素基等)等が挙げられる。上記加水分解性シリル基は、加水分解させて得られるシラノール基〔−Si−OH〕の脱水縮合反応により硬化性反応を起こすことができる。
上記硬化性部位としてのアクリロイル基は、上記加水分解性シリル基に例えばアクリロイル基を有するシラン化合物を反応させる特開平7−233180号公報に記載の方法により導入することができる。上記アクリロイル基を有するシラン化合物としては、例えば、特開平7−233180号公報において一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。上記アクリロイル基は、例えば、光、光重合開始剤、パーオキサイド化合物等の存在下、付加反応により硬化性反応を起こすことができる。
上記硬化性部位としてのSi−H基は、例えば、上記不飽和基と、上記Si−H基を1分子当たり2個以上有する化合物とを反応させる方法により導入することができる。
その他の種類の硬化性部位も常法にて導入することができる。
上記硬化性部位としては、導入が容易であり、反応性が高く硬化性反応に関与しやすい点から、カルボキシル基、エステル結合、シアノ基、ヒドロキシル基、ヨウ素原子、臭素原子、加水分解性シリル基、不飽和基、アクリロイル基、Si−H基が好ましく、カルボキシル基、エステル結合、シアノ基、ヒドロキシル基、加水分解性シリル基、不飽和基がより好ましく、導入が容易であることから、カルボキシル基が更に好ましい。
本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の両末端のみならず主鎖途中にも上記硬化性部位を有するものであってもよい。本明細書において、上記「主鎖途中に有する」は、主鎖を構成している炭素原子のうち主鎖の両末端にある炭素原子以外の炭素原子に直接結合している場合と、側鎖に存在している場合の両方を含む概念である。上記主鎖途中に有する場合としては、硬化性反応に関与しやすい点から、側鎖に存在している場合が好ましい。
本発明の含フッ素共重合体は、上記硬化性部位を主鎖の両末端のみならず主鎖途中にも有することにより、特に、架橋剤として後述の1分子あたり硬化性官能基を3個以上有する多官能化合物を用いないか又は少量しか用いない場合、3次元網目構造を効果的に形成することができる。上記含フッ素共重合体が主鎖途中に有する硬化性部位としては、室温での硬化が容易である点から、ヨウ素原子及び臭素原子が好ましい。
上記硬化性部位を上記含フッ素共重合体の主鎖途中に有させる方法としては、上記硬化性部位がヨウ素原子及び/又は臭素原子である場合、ヨウ素原子及び/又は臭素原子を有する単量体を共重合する方法(以下、「導入法1」という。)、重合開始剤又は連鎖移動剤としてヨウ素化合物又は臭素化合物を使用する方法(以下、「導入法2」という。)等が挙げられる。導入法2は重合開始剤又は連鎖移動剤として用いるヨウ素化合物と臭素化合物が高価である点で、低コストで製造することを課題の一つとする本発明においては、導入法1が好ましい。
上記導入法1で使用し得るヨウ素原子及び/又は臭素原子を有する単量体としては、例えば特公平5−63482号公報、特開平4−288305号公報、特公昭53−4115号公報等に記載されている単量体等が挙げられ、例えば
CF=CFOCFCFCHI、
CF=CFOCF(CF)CFOCFCFCHI、
CF=CFI、
CF=CHBr、
CH=CHCFCFBr、
CF=CFOCF(CF)CFOCFBr等が挙げられる。なかでも、本発明においては、トリフルオロビニル基含有単量体を用いることと同じ理由から、トリフルオロビニル基を有する単量体が好ましい。
上記ヨウ素原子及び/又は臭素原子を有する単量体は、得られる本発明の含フッ素共重合体の固形分において、上記含フッ素共重合体中に導入されたヨウ素原子及び/又は臭素原子が0.01〜10質量%となるように重合させることが好ましい。0.01質量%未満であると、ヨウ素原子及び/又は臭素原子を導入することによる3次元網目構造の形成を効果的に行うことができない場合があり、10質量%を超えると、得られる硬化体がエラストマー性に乏しい場合がある。より好ましい下限は0.05質量%であり、より好ましい上限は7質量%である。
上記硬化性部位を上記含フッ素共重合体の主鎖途中に存在させる方法としては、上記硬化性部位がヨウ素原子でなく臭素原子でもない場合、他の種類の硬化性部位から変換する上述の方法のほか、導入する硬化性部位を有する硬化性部位含有単量体をトリフルオロビニル基含有単量体とともに重合する方法が挙げられる。
上記硬化性部位含有単量体としては特に限定されず、例えば、下記一般式
Figure 2007217702
(式中、qは0〜5の整数を表し、pは1〜8の整数を表す)、
Figure 2007217702
(qは1〜5の整数を表す)、
Figure 2007217702
(pは1〜4の整数を表す)、
Figure 2007217702
(pは2〜5の整数を表す)、
Figure 2007217702
(pは1〜6の整数を表す)、
Figure 2007217702
(pは1〜2の整数を表す)又は
Figure 2007217702
(pは0〜3の整数を表す)
(式中、Yは、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基であって、カルボキシル基、シアノ基又はフッ素原子を有していてもよいものを表す。)で表されるエチレン性単量体等が挙げられる。なかでも、トリフルオロビニル基含有単量体を用いることと同じ理由から、トリフルオロビニル基を有する単量体が好ましい。
本発明の含フッ素共重合体製造方法は、重合開始剤を用いてトリフルオロビニル基含有単量体のラジカル重合を行い、上記含フッ素共重合体を得ることよりなるものである。
上記ラジカル重合の方法としては、既知の方法でよく、例えば乳化重合、懸濁重合、溶液重合等が挙げられ、乳化重合が好ましい。上記ラジカル重合の方法は、硬化性部位としてカルボキシル基を有する含フッ素共重合体を得る場合、付加した水酸基ラジカルが加水分解によりカルボキシル基に変化しやすい点から、乳化重合が好ましい。
上記重合開始剤は、上記含フッ素共重合体を硬化可能にする作用を有するものである。本明細書において、上記「硬化可能にする作用」とは、硬化性反応が可能となるような作用を意味する。上記硬化性反応は、硬化性部位について上述したものである。
上記重合開始剤は、含フッ素共重合体の主鎖末端に硬化性部位を存在させることにより、上記含フッ素共重合体を硬化可能にする作用を有するものであることが好ましい。本明細書において、上記「硬化性部位を存在させる」は、硬化性部位が存在しない含フッ素共重合体に硬化性部位を初めて導入することと、初めて導入した硬化性部位から他の硬化性部位に変換することの両方を含む概念である。硬化性部位を存在させる方法としては、例えば、本発明の含フッ素共重合体の硬化性部位について上述した各種導入方法等が挙げられる。
上記硬化性部位は、本発明の含フッ素共重合体について上述したものであり、導入が容易であり、反応性が高く硬化性反応に関与しやすい点で、カルボキシル基、エステル結合、シアノ基、ヒドロキシル基、ヨウ素原子、臭素原子、加水分解性シリル基、不飽和基、アクリロイル基、Si−H基が好ましく、カルボキシル基、エステル結合、シアノ基、ヒドロキシル基、加水分解性シリル基、不飽和基がより好ましく、導入が容易であることからカルボキシル基が更に好ましい。本発明の含フッ素共重合体製造方法は、得られる含フッ素共重合体が主鎖の両末端のみならず主鎖途中にも上記硬化性部位を有することとなるものであってもよい。
上記重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、得られる含フッ素共重合体の主鎖の末端となるトリフルオロビニル基含有単量体のトリフルオロビニル基にカルボキシル基を与える水溶性ラジカル開始剤が好ましい。このような水溶性ラジカル開始剤としては、例えば、カルボキシル基を生成し得る基を上記主鎖の末端に存在させ得るものであってよい。カルボキシル基を生成し得る基としては、例えば、−COF、−COCl、−CFOH等が挙げられ、これらの基は何れも水の存在下にカルボキシル基を生ずる。
上記水溶性ラジカル開始剤としては、パーオキサイド化合物が好ましい。パーオキサイド化合物としては、過硫酸アンモニウム〔APS〕、過硫酸カリウム〔KPS〕等の過硫酸塩単独;上記過硫酸塩と亜硫酸ナトリウム等の還元剤との併用によるレドックス系開始剤等が挙げられ、過硫酸塩を用いることが好ましい。過硫酸塩は、ラジカル重合を行う媒体の液性等の反応条件により、水酸基ラジカルを発生することができる。上記水溶性ラジカル開始剤としては、また、過酸化水素を用いることも好ましい。
上記水溶性ラジカル開始剤としては、含フッ素共重合体、後述の含フッ素共重合体硬化用組成物及び後述の硬化体に含まれる金属の量を低減させるため、過硫酸アンモニウム;過硫酸アンモニウムと亜硫酸アンモニウムの併用によるレドックス系開始剤;過酸化水素を用いることが好ましい。
上記水溶性ラジカル開始剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の配合量は、比較的低分子量の含フッ素共重合体を得るため、常法よりも多量とし、ラジカル重合に用いる水等の溶媒100質量部に対し、0.001〜5質量部が好ましい。0.001質量部未満であると、得られるポリマーが高分子量となって常温で流動性を有しない場合や、含フッ素共重合体に存在する硬化性部位が少なすぎて硬化性反応が不充分となる場合がある。5質量部を超えると、乳化重合の場合、乳化の状態が成立しなくなって、重合反応が進まず、部分的にしか重合しない場合がある。上記重合開始剤の配合量は、重合反応に用いる溶媒100質量部に対し、より好ましい下限が0.01質量部であり、より好ましい上限が1質量部である。
このような上記重合開始剤の配合量は、超低分子量の含フッ素共重合体を得るために、一般的な高分子量ポリマーを作る場合に比べて非常に多く、単量体として用いるトリフルオロビニル基含有単量体の濃度を上記重合開始剤に対して相対的に低くして重合を行わせるものである。本発明におけるラジカル重合では、後述のように、得られるポリマーの分子量を低下させるために通常の重合で用いられる連鎖移動剤を極力使わないことが望ましい等の制約があるが、上記重合開始剤を上記範囲内の配合量で用いることにより、超低分子量の含フッ素共重合体を効率的に得ることができる。
上記トリフルオロビニル基含有単量体は、本発明の含フッ素共重合体について上述したものであり、本発明の含フッ素共重合体製造方法において2種以上を用いる。上記トリフルオロビニル基含有単量体は、本発明の含フッ素共重合体について好ましいとして説明したものが好ましく、特に、TFE及び上述の一般式(II)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)であることが好ましい。
上記ラジカル重合は、5〜120℃において行うものであることが好ましい。5℃未満であると、反応が遅すぎて工業的でない場合や、得られるポリマーが高分子量となって常温で流動性を有しない場合があり、120℃を超えても、大きなメリットはない。
一般的なラジカル重合においては、分子量の調整のために、通常、連鎖移動剤を用いる。しかしながら、本発明におけるラジカル重合においては、連鎖移動剤を使用してもよいが、得られる含フッ素共重合体の主鎖の末端に導入されるカルボキシル基等の硬化性部位の含有率が低下するので、できるだけ使用しない方がよい。但し、連鎖移動剤が上記主鎖の末端にカルボキシル基等の硬化性部位を存在させ得るものであれば、この限りでない。
本発明におけるラジカル重合は、連鎖移動剤を使用しない場合、低圧、例えば2MPa・G未満、好ましくは1MPa・G以下で行うことにより、分子量を調整することができる。上記ラジカル重合は、また、ラジカル重合を行う際、撹拌速度を調節し、ラジカル重合を行う媒体へのトリフルオロビニル基含有単量体の溶解度を変化させることによっても分子量を調整することができる。その他の重合条件としては、特に制限されない。
本発明の含フッ素共重合体製造方法は、上述のように行うものであるので、従来にない大量の重合開始剤を用いて急激に分解する条件下で大量のラジカルを発生させ、トリフルオロビニル基含有単量体の濃度を相対的に低く抑えて重合を行うものである。この結果、得られる含フッ素共重合体は、常温で流動性を有するに充分な低分子量で得られ、好ましくは主鎖の両末端にカルボキシル基等の硬化性部位を有することにより、硬化可能なものとなる。
本発明の含フッ素共重合体製造方法におけるラジカル重合は、pH2以上で行うものであることが好ましい。上記pHが2未満であると、重合速度が低下しすぎて、工業的生産に適さない場合がある。上記pHのより好ましい下限は2.5であり、好ましい上限はpH8、より好ましい上限はpH7である。本明細書において、上記pHの値は、通常のpHメーターを用いて測定した値である。
本発明において、上記ラジカル重合を上記範囲内のpHで行うことが好ましいことの機構としては明確ではないが、次のように考えられる。
即ち、ラジカル重合は、一般には、重合開始剤の量を増加すると重合速度は上昇するのに対し、本発明においては、上述のように通常よりも大量の重合開始剤を用いるにもかかわらず重合速度が低下し、乳化重合の場合、乳濁液のpHが大きく低下する。このようなpHの低下は、本発明においては、水酸基ラジカルがエチレン性不飽和二重結合部に付加し、瞬時に加水分解されてカルボキシル基を生成するが、その際にカルボキシル基1当量あたり2当量のHFを放出するので、結果として1つの末端について酸性成分が3分子生成することによるものと考えられる。しかも、本発明におけるラジカル重合では、超低分子量にするために末端の濃度を極端に上げることが好ましいので、上記乳濁液のpH等への影響が非常に大きい。一般に過硫酸塩は酸性下ではラジカルを発生しない機構で分解することが知られており、この場合も重合に有効なラジカルを発生しないことが重合速度を低下させた原因と考えられる。
本発明者は、種々検討を行った結果、上記ラジカル重合の方法として上記乳化重合を用いた場合、乳濁液のpHを上述した特定の範囲に調整することにより、重合速度を上昇させ得ることを見出した。これにより、上記ラジカル重合を安定して効率良く継続的に行うことが可能となる。
本発明におけるラジカル重合は、アルカリ性化合物を添加して行うことが好ましい。上記範囲内のpHに調整する方法としては特に限定されないが、アルカリ性化合物を添加することにより、簡便で効果的なpH調整が可能である。
本明細書において、上記「アルカリ性化合物」とは、単独で水に溶解した場合、得られる水溶液がpH7を超えることとなる水溶性化合物を意味する。上記アルカリ性化合物は、有機化合物、無機化合物の何れであってもよい。上記アルカリ性化合物としては特に限定されず、無機化合物として、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物;Mg(OH)、Ca(OH)等のアルカリ土類金属の水酸化物;リン酸水素二ナトリウム等の緩衝作用のある塩等が挙げられ、有機化合物として、例えば、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
上記アルカリ性化合物としては、含フッ素共重合体、後述の含フッ素共重合体硬化用組成物及び後述の硬化体に含まれる金属の量を低減させるため、アンモニア、金属を含まないアミン類が好ましい。
上記アルカリ性化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルカリ性化合物を添加する方法としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合を行う際に重合反応溶液のpHを適時測定し、上記範囲内のpHとなるように1回若しくは複数回に分けて又は連続的に添加する方法等が挙げられる。
本発明におけるラジカル重合は特に限定されないが、内壁に例えば耐食性材料を用いた反応容器を用いて反応を行うものであってよい。上記耐食性材料としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ハステロイ(登録商標)等のニッケル−モリブデン合金等が挙げられる。
上記含フッ素共重合体は、通常の凍結凝析や塩凝析によって得ることができるが、ラジカル重合により得た乳濁液を酸を用いて凝析することより得られるものであることが好ましい。このような酸処理により、重合生成物の有するカルボキシル基は、重合条件によっては金属塩やアンモニウム塩等となって遊離していない場合があるが、遊離のカルボキシル基に変換することができる。
上記凝析に用いる酸としては、鉱酸が好ましい。上記鉱酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の含フッ素共重合体は、好ましくは主鎖の両末端にカルボキシル基又はこのカルボキシル基から変換されたエステル結合、ヒドロキシル基若しくはシアノ基等の硬化性部位を有するので、アミノ基、イソシアナート基、アルコキシシリル基等の硬化性反応に関与し得る硬化性官能基と反応させることにより硬化させることができる。上記硬化性官能基は、例えば、ジアミノフェニル、アミノフェノール、アミノチオフェノール等の公知の架橋剤を用いることにより、硬化性反応に関与させることができる。
本発明の含フッ素共重合体を硬化させる方法としては、例えば、特開平10−110079号公報に記載されている方法、即ち、メトキシカルボニル基を有するポリマーとジアミンとの反応により硬化させる方法と同様の方法を用いることができる。
本発明の含フッ素共重合体を硬化させるために、3次元網目構造を形成させる。上記含フッ素共重合体が主鎖の両末端に硬化性部位を有する場合、3次元網目構造を形成させるためには、1分子あたり上記硬化性官能基を3個以上有する多官能化合物を架橋剤として使用することが好ましいが、上記多官能化合物の使用とともに又は上記多官能化合物の使用に代えて、本発明の含フッ素共重合体を製造する際に、硬化性部位を有する単量体を共重合させることにより硬化性部位を主鎖途中に導入することも可能である。上記多官能化合物及びその他の架橋剤としては、例えば後述の本発明の含フッ素共重合体硬化用組成物における架橋剤を用いることができる。
本発明の含フッ素共重合体は、このように硬化させることができ、得られる硬化体はエラストマー性を有することができるので、ゴム用含フッ素共重合体として好適に用いることができる。
上記含フッ素共重合体は、また、高分子量のポリマーに添加して反応性加工助剤としての使用、主鎖の両末端のカルボキシル基を利用して含フッ素ポリアミド等のエンジニアリングプラスチックスの変性原料としての使用が可能であり、架橋剤とともに溶剤に溶かしたり水性媒体に分散させたりして塗料としての使用も可能である。
本発明の含フッ素共重合体は、また、絶縁性の無機質粉末を添加することにより、クリーン性とアウトガス性の良好な放熱材料を調製することができる。上記無機質粉末としては、例えば、熱伝導性充填材等が挙げられる。上記熱伝導性充填材を配合することにより、熱伝導性を上げることができる。熱伝導性充填材としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化銅、酸化鉄、酸化銀等の金属酸化物;石英粉、炭化シリコン、窒化ケイ素、雲母等のケイ素化合物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の窒素化合物等が挙げられる。
本発明の含フッ素共重合体は、また、導電性充填剤を添加することにより、クリーン性とアウトガス性の良好な電磁波シールド材料を調製することができる。上記導電性充填材としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、コバルト、鉛、マグネシウム、チタン、ステンレス等の金属;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;炭素等が挙げられる。上記導電性充填材の形状としては、粒状、粉末状、短繊維等のファイバー状、フレーク状等が挙げられ、粉末状、ファイバー状及びフレーク状が好ましい。
本発明の含フッ素共重合体は、トリエチルアミン等の触媒の存在下、シリル化アニリンと反応させることにより末端にSi−H基を導入し、ゴムの架橋剤として用いることができる。上記シリル化アニリンとしては、例えば特開2000−34293号公報に記載の化合物等が挙げられる。上記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、含フッ素共重合体であって、末端に硬化性部位としての不飽和基を有するもの、末端に不飽和基を有し、主鎖にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマー等のヒドロシリル化反応により硬化性反応を起こし得るゴム等が挙げられる。
本発明の含フッ素共重合体は、主鎖の両末端にカルボキシル基を有するものである場合、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、オキサゾリン樹脂等の鎖延長剤として用いることができ、好ましくは、エポキシ樹脂の鎖延長剤として用いることができる。上記エポキシ樹脂は、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂環型等の何れであってもよい。(特開平11−322842号公報)
本発明の含フッ素共重合体は、必要に応じて水性媒体に分散させたものであってもよいし、有機溶剤に溶解したものであってもよく、このように溶解又は分散したものをコーティング剤として使用することが可能である。上記水性媒体は、水と有機溶剤との混合物であってもよい。
基材と、上記基材上に上記コーティング剤をコーティングして得られるコーティング層とからなる複層品もまた、本発明の一つである。上記基材としては特に限定されず、例えば、金属、セラミック等の無機材料からなるもの;樹脂からなるもの等が挙げられる。上記コーティングの方法としては、従来公知の塗布法、射出成形法、ディスペンサー成形し加熱する方法等が挙げられる。
上記含フッ素共重合体からなる組成物を用いて基材にディスペンサー成形してなる基材一体型成形体もまた、本発明の一つである。上記基材一体型成形体は、ガスケット又はパッキン類である。上記基材一体型成形体は、基材を含むものである。上記基材としては特に限定されず、例えば、金属、セラミック等の無機材料からなるもの等が挙げられる。上記基材一体型成形体としては、また、上記含フッ素共重合体からなる組成物を樹脂上に塗布、射出又はディスペンサー成形し加熱することにより、上記樹脂との一体成形を行ったものであってもよい。
本発明の含フッ素共重合体硬化用組成物(A)は、含フッ素共重合体と、架橋剤とからなるものであって、上記架橋剤は、上記含フッ素共重合体の固形分100質量部に対し0.1〜10質量部(固形分)であることを特徴とするものである。
本発明の含フッ素共重合体硬化用組成物(A)は、上述のように常温で流動性を有する含フッ素共重合体からなるものであるので、流動性がよく、非常に複雑な形状を有する成形品の形成に特に有用であり、低温で進行する硬化系を選択することにより現場施工型の成形方法に利用することもできる。
含フッ素共重合体は、上述のように、TFE、及び、上述の一般式(II)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から得られるものが好ましいが、含フッ素共重合体硬化用組成物(B)は、この含フッ素共重合体からなる硬化用組成物である。上記含フッ素共重合体硬化用組成物(B)は、更に、架橋剤からなるものが好ましい。
以下、上述の含フッ素共重合体硬化用組成物(A)と上記含フッ素共重合体硬化用組成物(B)とに共通し得る事項に関し、上記含フッ素共重合体硬化用組成物(A)と上記含フッ素共重合体硬化用組成物(B)とを特に区別することなく「含フッ素共重合体硬化用組成物」について述べる。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物において用いられる架橋剤としては、含フッ素共重合体のカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基等の硬化性部位と反応可能な硬化性官能基を分子中に複数有する多官能化合物であれば特に限定されないが、充分に架橋するためには、以下のように、上記含フッ素共重合体の各種硬化性部位に応じた多官能化合物を用いることが好ましい。
上記架橋剤としては、上記硬化性部位がカルボキシル基の場合、ポリアミン化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリエポキシ化合物等が挙げられ、上記硬化性部位がアミノ基の場合、ポリカルボン酸化合物、ポリエポキシ化合物、ポリイソシアナート化合物等が挙げられ、上記硬化性部位がヒドロキシル基の場合、酸無水物、ポリエポキシ化合物、ポリイソシアナート化合物等が挙げられ、上記硬化性部位がエポキシ基の場合、ポリアミン化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリオール化合物等が挙げられ、上記硬化性部位が反応性ハロゲン基の場合、ポリアミン化合物等が挙げられ、上記硬化性部位が不飽和基、ヨウ素原子又は臭素原子の場合、有機過酸化物、光開始剤等が挙げられる。
上記硬化性部位がカルボキシル基の場合、架橋剤として用いるポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン;ポリアミン塩とグアニジン誘導体の併用等が挙げられ、ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。上記ポリイソシアナート化合物は、プレポリマーや硬化温度を選択することができるブロック型であってもよい。上記架橋剤としては、また、エポキシ化合物と、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩又は塩基性化合物との併用等が挙げられる。
上記硬化性部位がアミノ基の場合、架橋剤として用いるポリカルボン酸化合物としては、フタル酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ポリエポキシ化合物としては、ノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型等が挙げられ、ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。上記ポリカルボン酸化合物及び上記ポリエポキシ化合物は、プレポリマーであってもよい。上記ポリイソシアナート化合物としては、プレポリマーや硬化温度を選択することができるブロック型であってもよい。
上記硬化性部位がヒドロキシル基の場合、架橋剤として用いる酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、ポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン等のポリアミンが挙げられ、ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。上記ポリイソシアナート化合物は、プレポリマーや硬化温度を選択することができるブロック型であってもよい。架橋剤としては、また、アジピン酸等のポリカルボン酸、メトキシメチルメラミン等のアルコキシメチルメラミン等が挙げられる。
上記硬化性部位がエポキシ基の場合、架橋剤として用いるポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、有機カルボン酸アンモニウム塩等のポリアミン;ポリアミン塩;ジチオカルバミン酸塩;ポリカルボキシル化合物と第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩又は塩基性化合物との併用;イミダゾール誘導体とアルキル硫酸塩又はアルキルスルホン酸塩との併用;ポリアミン若しくはグアニジン誘導体とイオウ又はイオウ供与化合物との併用等が挙げられる。
上記硬化性部位が反応性ハロゲン基の場合、ポリアミン、ポリアミン塩若しくは脂肪酸アルカリ金属塩とイオウ又はイオウ供与化合物との併用;トリチオシアヌル酸と脂肪酸金属塩、ジシアンジアミド、金属酸化物、ジチオカルバミン酸塩又はチウラム化合物との併用等が挙げられる。
上記架橋剤としては、架橋を充分に行う点から、1分子あたりの硬化性官能基の保有数が少なくとも2以上、必要に応じて3以上である多官能化合物を用いることが好ましい。上記保有数が2である多官能化合物は、含フッ素共重合体の主鎖を延長する鎖延長剤として働き、上記保有数が3〜4である多官能化合物は、架橋剤として働くことができる。上記多官能化合物は、含フッ素共重合体が主鎖の両末端に硬化性部位を有する場合、上記保有数が2であるものと3〜4であるものとを混合して用いることが好ましく、含フッ素共重合体が主鎖途中に硬化性部位を有するものである場合、硬化可能であるので、上記保有数が2であるもののみを用いてもよい。
上記架橋剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記架橋剤の添加量は、上記含フッ素共重合体の固形分100質量部に対し、0.1〜10質量部である。0.1質量部未満であると、充分に架橋を行うことができず、10質量部を超えると、添加量に見合った程度に架橋反応が進行しない。好ましい下限は0.5質量部、好ましい上限は8質量部である。
上述の含フッ素共重合体硬化用組成物は、紫外線架橋に用いることができ、この場合、上記含フッ素共重合体及び架橋剤のほかに架橋助剤からなるものであることが好ましい。通常、上記架橋剤としては、光開始剤を用い、上記架橋助剤としては、多官能不飽和化合物を用いる。上記含フッ素共重合体としては、紫外線に対する反応性が高い点から、ヨウ素原子及び/又は臭素原子を硬化性部位として有するものが好ましく、ヨウ素原子及び/又臭素原子は、主鎖の両末端にあってもよいが、含フッ素共重合体を低コストに得ることができる点から、主鎖途中にあることが好ましい。
上記光開始剤としては、従来より紫外線架橋において公知の光開始剤を使用することができ、このような光開始剤としては特に限定されず、例えば、アセトフェノン系ではクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンのほか、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のヒドロキシアセトフェノン類等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;チオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン等のチオキサンソン系開始剤;そのほかα−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、ベンジル、カンファーキノン、2−エチルアントラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。
上記光開始剤の使用量は、上記含フッ素共重合体の固形分100質量部に対し、上記含フッ素共重合体硬化用組成物における架橋剤として上述したように0.1〜10質量部であってもよいが、通常、0.05〜10質量部程度であり、好ましい下限は1質量部であり、好ましい上限は5質量部である。
また、ベンゾフェノン系やチオキサンソン系では光開始助剤として水素供与体を加えてもよい。水素供与体としては、例えば脂肪族アミン系のトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等;芳香族アミン系の4,4′−ジエチルアミノフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル等が挙げられる。
光開始助剤の使用量は、通常、上記含フッ素重合体の固形分100質量部に対して0.05〜10質量部程度であり、好ましい下限は0.5質量部であり、好ましい上限は5質量部である。
上記架橋助剤として用いる多官能不飽和化合物としては、紫外線の照射によって発生するヨウ素原子及び/又は臭素原子に起因する重合体ラジカルと光開始剤に起因するラジカルの両方に対して反応活性を有するものであればよく、特に種類は限定されない。好ましい多官能不飽和化合物としては、例えば、各種のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート〔TMPTA〕、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート〔TAIC〕、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェート等が挙げられる。なかでも、1分子あたりの硬化性官能基の保有数が3個以上のものが、含フッ素重合体の架橋しやすさの点で、特に好ましい。
多官能不飽和化合物の使用量は、上記含フッ素共重合体の固形分100質量部に対して0.05〜10質量部程度であり、好ましい下限は0.5質量部であり、好ましい上限は5質量部である。
上述の含フッ素共重合体硬化用組成物は、反応を促進するため、受酸剤を予め添加することも可能である。受酸剤としては、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉛等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;合成ハイドロタルサイト等を用いることができる。受酸剤の使用量は、含フッ素共重合体の固形分100質量部に対し1〜30質量部が好ましい。
上述の含フッ素共重合体硬化用組成物は、必要に応じて、更に、各種の架橋系において反応促進のために用いられる既知の触媒を添加したものであってもよいし、充填剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、オゾン劣化剤、紫外線吸収剤等を加えたものであってもよい。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物を調製し硬化させる方法としては特に限定されず、例えば、既知の一般的な方法で混合すればよいが、含フッ素共重合体が低分子量であるので、プラネタリーミキサーや卓上のミキサーで混合すればよい。この時、反応の促進のため、温度を50℃以上に加温してもよい。更に、含フッ素共重合体と架橋剤との混合物は50℃以上の温度で3時間以上反応させておくことが好ましい。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、通常、200℃以下の温度でホットメルトガン等の押出しガンによる加工、LIMS(Liquid Injection Molding System)成形機による射出成形や押出し成形、室温〜200℃で型に流し込んで行う成形等を行うことができる。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物を硬化させる方法としては、また、用いる含フッ素共重合体が有する硬化性部位の種類によって、上記以外の方法を用いることができる。上記硬化性部位が加水分解性シリル基の場合、空気中の水分により自己架橋させることができる。上記硬化性部位が不飽和基の場合、光開始剤及び必要に応じて増感剤の存在下に紫外線等によって硬化させることができる。
上記硬化性部位がヨウ素原子及び/又は臭素原子の場合、紫外線架橋が可能であり、紫外線架橋を行う場合、上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上述のように含フッ素共重合体、光開始剤及び多官能不飽和化合物からなるものが好ましい。紫外線は、波長が420nm〜150nmのものが好適であるが、用いる光開始剤の最大吸収波長を含んだ波長領域のものであれば使用することができる。紫外線の照射時間は、紫外線強度や光開始剤等の配合量によるが、約165mW/cm程度であれば10秒間〜5分間程度でよい。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、紫外線架橋に好ましいものである場合、電子線や放射線でも架橋可能であり、紫外線に代えて又は紫外線と併用して、電子線及び/又は放射線を用いて架橋を行ってもよい。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上記硬化性部位が不飽和基の場合、上記含フッ素共重合体、(メタ)アクリルモノマー、及び、光開始剤からなるものであってもよく、紫外線架橋等により硬化することができる。上記(メタ)アクリルモノマーは、単官能性又は多官能性の何れであってもよい。上記(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、アルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート;アルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;ポリオールのアルキレンオキサイド付加物のモノ又はポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記光開始剤としては光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に限定されず、例えば上述したもの等が挙げられる。上記光開始剤は、必要に応じて増感剤とともに用いることもできる。(特開2001−81131号公報)
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上記硬化性部位が不飽和基の場合、上記含フッ素共重合体、(メタ)アクリルモノマー、及び、ラジカル発生剤からなるものであってもよく、上記含フッ素共重合体、(メタ)アクリルモノマー、及び、ラジカル発生剤を、上述したように、既知の一般的な方法で混合して硬化することができる。上記(メタ)アクリルモノマーとしては、上述したものと同様のもの等が挙げられる。上記ラジカル発生剤としては、例えば、二液主剤型アクリル系接着剤を用いることができる。上記二液主剤型アクリル系接着剤は、重合性(メタ)アクリルモノマー及びラジカルを発生させる有機過酸化物を主成分とする第1液と、重合性(メタ)アクリルモノマー及び第1液中の有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する還元剤を主成分とする第2液とからなるものである。(特開2001−81131号公報)
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上記硬化性部位が不飽和基の場合、上記含フッ素共重合体、1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物、ヒドロシリル化反応触媒、及び、所望により反応抑制剤からなるものであってもよい。上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、ヒドロシリル化反応に由来する硬化性反応を起こし、3次元網目構造を形成することができる。(特開2002−3653号公報、特開2002−20615号公報)
上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物としては、通常、一般式R11 SiO(4−b−c)/2で表される化合物を使用することができる。上記一般式において、R11は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素数1〜10、特に1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基を表し、このような1価炭化水素基としては、例えば、トリフルオロプロピル基等のハロゲンで置換されたアルキル基、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
上記一般式において、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、より好ましくは2〜300個、更に好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R11 (H)SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなり、任意にR11 SiO1/2単位、R11 SiO2/2単位、R11(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2又はR11SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン等を挙げることができる。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH
(式中、dは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HOSi(CHO−(−SiH(CH)−O−)−Si(CHOH
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HOSi(CHO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CHOH
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合等が挙げられる。
HSi(CHO−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(−Si(CH−O−)−(−SiH(CH)−O−)−Si(CH
(式中、e及びhは、それぞれ、1以上の整数を表す。)
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及び/若しくはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るトリオルガノシリル基又はジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下、−10〜40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。上記トリオルガノシリル基を含む化合物としては、例えばヘキサメチルジシロキサン等が挙げられ、上記ジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物としては、例えば1,3−ジハイドロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物は、含フッ素共重合体との相溶性、分散性及び硬化後の均一性を考慮すると、また、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロオキシアルキル基、1価のパーフルオロアルキル基、2価のパーフルオロオキシアルキレン基又は2価のパーフルオロアルキレン基を有しかつ、2個以上、好ましくは3個以上のSi−H基を有するものが好ましい。このパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基、パーフルオロアルキレン基としては、特に下記一般式で表されるものを挙げることができる。
<1価のパーフルオロアルキル基>C2k+1−(式中、kは、1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)
<2価のパーフルオロアルキレン基>−C2k−(式中、kは1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)
<1価のパーフルオロオキシアルキル基>
Figure 2007217702
(式中、nは、1〜5の整数を表す。)
<2価のパーフルオロオキシアルキレン基>
Figure 2007217702
(式中、mは、1〜50の整数を表し、nは、1〜50の整数を表す。m+nは、2〜100を満足する。)
−(CFO)−(CFCFO)−CF
(式中、m及びnは、それぞれ、1〜50の整数を表す。)
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とをつなぐ2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基、これらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合等を介在させた基等であってよく、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHOCH−、−CHCHCH−NH−CO−、−CHCHCH−N(Ph)−CO−(式中、Phは、フェニル基を表す。)、−CHCHCH−N(CH)−CO−、−CHCHCH−O−CO−等の炭素数2〜12のものが挙げられる。
また、上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物における1価又は2価の含フッ素置換基、即ち、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基を含有する1価の有機基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換の炭化水素基が挙げられる。
上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物としては、環状、鎖状、三次元網状又はそれらの組み合わせの何れでもよい。上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物のケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2〜60、好ましくは3〜60、より好ましくは3〜30である。
上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物としては、例えば下記の化合物が挙げられる。下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を表す。なお、これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2007217702
(式中、mは、1〜20、平均10の整数を表し、nは、1〜10、平均6の整数を表す。)
Figure 2007217702
Figure 2007217702
(式中、Sは、
Figure 2007217702
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜60、平均2〜50を満足する。)
Figure 2007217702
(式中、Sは、
Figure 2007217702
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜60、平均2〜50を満足する。)
Figure 2007217702
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 2007217702
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 2007217702
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
上述のヒドロシリル化反応触媒としては、上記含フッ素共重合体と上記1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に限定されず、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、なかでも、比較的入手しやすい点で、白金系触媒が好ましい。
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号明細書及び米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書及び米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物等が挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒);塩化白金酸;塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体;塩化白金酸とアルコール又はビニルシロキサンとの錯体;シリカ、アルミナ、カーボン等の担体上に担持された白金等が挙げられる。
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなり、例えば、RhCl(PPhRhCl(CO)(PPhRhCl(CRu(CO)12IrCl(CO)(PPhPd(PPh(Phは、フェニル基を表す。)等が挙げられる。
上記ヒドロシリル化反応触媒としては、また、ルイス酸、コバルトカルボニル等であってもよい。
上述の所望により用いられる反応抑制剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール;アクリロニトリル;N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド等のアミド化合物;イオウ;リン;窒素;アミン化合物;イオウ化合物;リン化合物;スズ;スズ化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン;ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
上記反応抑制剤としては、また、例えば、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレンアルコール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、米国特許第3,445,420号明細書において配合物(4)として例示される化合物、特公昭54−3774号公報において成分(ニ)として例示される化合物等のアセチレン化合物等であってもよい。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上記硬化性部位がカルボキシル基の場合、上記含フッ素共重合体と、2個以上のエポキシ構造を有する化合物とからなるものであってよく、エポキシ構造に由来する硬化性反応を起こすことができる。上記2個以上のエポキシ構造を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ブタジエンジオキサイド、ジグリシジルエーテル;エリスリトール等のポリオールやグリセロール等のポリグリシジルエーテル;ポリハイドリックフェノールのグリシジルエーテル;2個以上のエポキシ構造を有するエポン(登録商標)樹脂;ビスフェノールFのグリシジルエーテル;ピロメリット酸無水物;ジシクロペンタジエンジエポキシド;テトラメチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ジシロキサンのジグリシジルエーテル等の米国特許第3,147,314号明細書に記載の化合物等が挙げられる。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、上記硬化性部位がイソシアネート基の場合、上記含フッ素共重合体と、イソシアネート基と反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物とからなるものであってよく、イソシアネート基に由来する硬化性反応を起こすことができる。上記イソシアネート基と反応性を有する官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基等が挙げられる。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、紫外線架橋、ポリイソシアナートによる反応、及び/又は、エポキシ化合物に由来する硬化性反応を行う場合、硬化性反応を室温で行うことができ、現場施工型の成形を行う場合、複雑な形状の成形体を得る場合等には特に有利である。室温での硬化性反応は、例えばホットメルトガンやディスペンサー等の押出ガンを用い、容易に成形することができる。
上記含フッ素共重合体硬化用組成物は、1液型、2液型の何れであってもよいが、特に、室温で硬化性反応が可能である場合、2液型が好ましい。
上述の含フッ素共重合体硬化用組成物は、含フッ素共重合体硬化用組成物の粘度を調整したり、含フッ素共重合体硬化用組成物を用いて得られる硬化体のガラス転移点を低下させるために、含フッ素共重合体以外のその他のポリマー、オイル等を加えたものであってよい。上記含フッ素共重合体以外のその他のポリマーやオイルとしては特に限定されないが、好ましくは、主鎖にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーやオイル、シリコーンゴム、シリコーンオイル、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。
上記含フッ素共重合体以外のその他のポリマーやオイルは、得られる硬化体の機械的特性を向上し得る点で、上記含フッ素共重合体硬化用組成物を硬化させる反応において上記反応に関与し得る硬化性部位を有するポリマーやオイルが好ましい。上記含フッ素共重合体以外のその他のポリマーやオイルは、また、含フッ素共重合体硬化用組成物の粘度を低下し得る点で、上記含フッ素共重合体の粘度より低い粘度を有するポリマーやオイルが好ましい。上記含フッ素共重合体以外のその他のポリマーやオイルは、得られる硬化体のガラス転移点を低下し得る点で、上記含フッ素共重合体のガラス転移点より低いガラス転移点を有するポリマーやオイルが好ましい。上記含フッ素共重合体以外のその他のポリマーやオイルは、上記含フッ素共重合体との相溶性の点で、主鎖にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーやオイルが好ましい。
上述の含フッ素共重合体硬化用組成物(A)から得られることを特徴とする硬化体もまた、本発明の一つである。
含フッ素共重合体からなる含フッ素共重合体硬化用組成物(B)から得られる硬化体であって、上記含フッ素共重合体は、TFE、及び、下記一般式(II)
CF=CF−O−R (II)
(式中、R は、4個以下の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から得られるものである硬化体(以下、「高架橋硬化体」ともいう。)もまた、本発明の一つである。
上記高架橋硬化体は、パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)溶剤への浸漬処理を行った後の質量(a)と、前記浸漬処理を行う前の質量(b)との比(a/b)が0.95以上であるものである。0.95未満であると、用途により架橋が不充分である。上記高架橋硬化体は、上記比(a/b)が0.97以上であるものが好ましく、0.98以上であるものがより好ましく、0.99以上であるものが更に好ましい。本明細書において、上記比(a/b)は、ゲル分率ということがある。上記ゲル分率が1である場合、理論上、硬化体は架橋していない含フッ素共重合体を有しないものであり、架橋が良好に行われたものであるが、実用上、上記高架橋硬化体のゲル分率は、上記範囲内であれば、例えば0.997以下であってもよい。
上記パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)溶剤は、パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)を主成分とする溶剤である。本明細書において、上記「パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)を主成分とする溶剤」は、パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)を95容量%以上含有する溶剤である。
従来、液状ゴムは低分子量であるので、得られた硬化物中における架橋した重合体分子の割合が低く、得られる硬化物のゲル分率は0.95未満であった。しかしながら、本発明の高架橋硬化体は、上記含フッ素共重合体硬化用組成物(B)における上記含フッ素共重合体が低分子量であるにもかかわらず、上記範囲内のように高いゲル分率を有することができる。本発明の高架橋硬化体が上記範囲内のゲル分率を有することができる理由としては明らかではないが、上記含フッ素共重合体において架橋点を持たない分子が非常に少ないので、硬化が効率よく起こると考えられる。
本発明の硬化体は、以下に示す分野の各種成形品として有用である。
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等が挙げられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング、コーティングとして又はウェットエッチング槽のライニング、コーティングとして用いることができる。更に、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等として用いられる。
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材及びホースはエンジン並びに周辺装置に用いることができ、ホース及びシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材及びダイアフラムは燃料系統並びに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
航空機分野、ロケット分野及び船舶分野では、ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材等が挙げられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステルシール、燃料供給用ホース、ガスケット及びO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
プラント等の化学品分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等が挙げられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)、耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野及び塗装設備等の塗装分野では、ロール等が挙げられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロール及び塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。更に、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用いることができる。
またチューブを分析・理化学機分野に用いることができる。
食品プラント機器分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等が挙げられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
原子力プラント機器分野では、パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ等が挙げられる。
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等が挙げられ、鉄板加工ロール等に用いることができる。
一般工業分野では、パッキング、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等が挙げられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール等に用いられる。
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、例えば、自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケット、複写機・プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング剤、電気・電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等のオーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、CRTウェッジ及びネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地シール等が挙げられる。
上述の含フッ素共重合体からなる組成物は、クリーン性を活かし、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシーリング材等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
上記含フッ素共重合体からなる組成物は、耐薬品性、ガス低透過性、難燃性等の特性を活かし、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
着火源をもたない内容積500ccのステンレス製オートクレーブに純水250ml、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 2.5g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム0.023gを仕込み、窒素により置換して酸素を除去した。
次に600rpmで攪拌しながら、80℃に昇温し、TFE:PMVE=25:75(モル:モル)のTFE/PMVE混合ガスを内圧0.2MPa・Gになるように圧入した。開始剤として過硫酸アンモニウム〔APS〕0.083gを水5mlに溶かして重合槽内に仕込んで重合を開始した。重合の進行により内圧が低下するので0.18MPa・Gに低下した時点でTFE:PMVE=60:40(モル:モル)のTFE/PMVE混合ガスを仕込み、圧力を0.22MPa・Gに戻すことを繰り返した。重合開始より3時間経過する毎に、初期と同濃度のAPS水溶液5mlを仕込んで重合を継続した。この作業を繰返し、12時間経過後、オートクレーブを冷却し、ガスモノマーを排出し298gの乳濁液を得た。この乳濁液に含まれるポリマー濃度は1.6%であった。
上記乳濁液40gを7%塩酸100gに滴下して凝析させ、更に1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(フロンR141b)40gを加え、5分間攪拌した。この時点で水相、R141b層、ポリマー層の3層に分離した。ポリマー層を分離し、乾燥して、室温では水飴状の含フッ素共重合体を0.53g得た。
19F−NMR分析の結果、この含フッ素共重合体の単量体組成は、TFE:PMVE=59.9:40.1(モル%)であった。
(FT−IR測定)
下記の要領により赤外分光分析により測定したところ、図1に示す赤外線吸収スペクトルが得られた。
測定機:パーキンエルマー社製のFT−IRスペクトロメータ1760X型
サンプル:厚さ約0.1mmのフィルム
測定条件:分解能2cm−1、測定間隔1cm−1、透過法で測定
図1の赤外線吸収スペクトルにおいて、カルボキシル基が有するカルボニル基の非常に大きな特性吸収が1774.5cm−1付近に、C−F基の特性吸収が2364.59cm−1付近に認められた。
実施例2
開始剤としてAPSの代わりに過硫酸カリウム〔KPS〕0.392gを水10mlに溶かして加え、重合初期圧力を0.4MPa・G、重合圧力を0.38〜0.42MPa・G、重合時間を6時間とする以外は実施例1と同様にして重合した。
重合開始から3時間経過後において、重合による圧力低下の合計は0.37MPaであった。重合開始から6時間経過後において、圧力低下の合計は0.52MPaであり、固形分濃度2.8質量%の乳濁液309.9gが得られた。乳濁液のpHはpHメーターMP220(商品名、メトラートレド社製)を用いて測定した。
実施例3
重合開始から3時間経過後に1N−KOHを8g添加すること以外は実施例2と同様に重合を行い、pHを測定した。KOHを添加する前、重合開始から3時間経過後において、重合による圧力低下の合計は0.35MPaであり、乳濁液のpHは2.73であった。重合開始から6時間経過後において、圧力低下の合計は0.86MPaであり、固形分濃度3.7質量%の乳濁液303.8gが得られ、乳濁液のpHは3.77であった。次いで、実施例1と同様にして凝析、分離及び乾燥を行い、室温では水飴状の含フッ素共重合体を0.83g得た。
実施例2及び実施例3から、重合開始から3時間経過後にKPSを追加しKOHを添加しなかった実施例2よりも、重合開始から3時間経過後にKPSを追加するとともにKOHを添加した実施例3の方が、その後の乳濁液のpHが上昇し、重合速度も上昇したことがわかった。
以下の実施例において、E型粘度計による粘度の測定、及び、数平均分子量の測定は、下記のようにして行った。
(E型粘度計を用いた粘度の測定方法)
E型粘度測定用のダイスであるダイスPK20/4°(商品名、HAAKE社製)を備えた粘度計CV−20(商品名、HAAKE社製)を用いて測定を行った。このE型粘度計にて測定する際の剪断速度は、含フッ素共重合体の粘度に合わせて変化させる。上記測定する際の剪断速度は、含フッ素共重合体の粘度が0.1〜200Pa・sである場合、50s−1、200Pa・sを超え、500Pa・s以下である場合、10s−1、500Pa・sを超え、1000Pa・s以下である場合、1s−1、1000Pa・sを超え、2000Pa・s以下である場合、0.1s−1がそれぞれ対応する。
実際には、含フッ素共重合体の粘度を上記剪断速度の何れかを用いて測定し、粘度と用いた剪断速度とが上記のように対応した場合、得られた粘度を含フッ素共重合体の粘度とした。粘度と用いた剪断速度とが上記のように対応しなかった場合、上記剪断速度のうち別の剪断速度を用いて再度粘度を測定し、粘度に合った剪断速度での測定値を含フッ素共重合体の粘度とした。
(末端にカルボキシル基を有する含フッ素共重合体の数平均分子量の測定方法)
表面が平滑な2枚のKBr錠剤に含フッ素共重合体を挟み、含フッ素共重合体層の厚みを均一にして赤外分光分析〔IR〕を行った。カルボキシル基〔−C(=O)OH〕のカルボニル基〔C=O〕由来のピークが1774cm−1付近に現れるので、そのピークの吸光度Aを測定し、下記式を用いてカルボキシル基濃度c(mol/L)を算出した。
c=A/(ε×W)
ε:末端カルボキシル基のモル吸光係数(L・cm−1・mol−1
W:含フッ素共重合体層の厚み(cm)
上記式により算出したカルボキシル基濃度c(mol/L)を用い、末端にカルボキシル基を有する含フッ素共重合体の数平均分子量Mnを下記式により算出した。
Mn=(d/c)×2
d:含フッ素共重合体の密度(g/L)
(末端にメトキシカルボニル基を有する含フッ素共重合体の数平均分子量の測定方法)
含フッ素共重合体を溶媒に溶解し、標準物質としてトルエンを添加してH−NMRによりメトキシカルボニル基の濃度(mol/g)を測定した。下記式を用いて末端にメトキシカルボニル基を有する含フッ素共重合体の数平均分子量Mnを算出した。
Mn=〔1/(含フッ素共重合体中のメトキシカルボニル基の濃度)〕×2
実施例4
着火源をもたず、回転式の撹拌翼を備えた内容積3Lのステンレス製ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕内筒型オートクレーブに純水1643ml、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 16.43g、及び、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム十二水和物0.149gを仕込み、窒素置換を行って酸素を除去した。
次に、1116rpmで攪拌しながら、80℃に昇温し、テトラフルオロエチレン〔TFE〕:パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕=25:75(モル:モル)のTFE−PMVE混合ガスを内圧0.4MPa・Gになるように圧入した。開始剤として過硫酸カリウム〔KPS〕3.86gを水60mlに溶解し、SUS製容器を用いて開始剤を重合槽内に仕込んで重合を開始した。重合の進行により内圧が低下するので、0.35MPa・Gに低下した時点でTFE:PMVE=60:40(モル:モル)のTFE−PMVE混合ガスを仕込み、圧力を0.4MPa・Gに戻すことを繰り返した。撹拌回転数を、重合開始から60分経過後に800rpm、150分経過後に500rpmにした。重合開始から3時間経過する毎に、初期に仕込んだものと同じ量の過硫酸カリウム〔KPS〕溶液と39.4gの2N−KOHとを仕込んで重合を継続した。この作業を繰り返したところ、35.5時間経過後の圧力低下の合計は4.68MPaであった。オートクレーブを冷却しガスモノマーを排出すると、2142gの乳濁液が得られたが、ポリマーが少量析出していた。乳濁液のpHは4.14であった。
上記乳濁液と析出したポリマーとを5倍量の7質量%塩酸に滴下し、完全に凝析させた。ポリマー層を分離し、120℃で真空乾燥を70時間行い、室温で水飴状の含フッ素共重合体を178.9g得た。得られた含フッ素共重合体を7質量%塩酸で洗浄し、120℃で真空乾燥を48時間行い、塩酸と水分とを除去した。IR測定により、得られた含フッ素共重合体は、主鎖末端にカルボキシル基を有するものであることが分かった。19F−NMRにより求めた含フッ素共重合体の組成比(モル)は、TFE:PMVE=53.7:46.3であった。得られた含フッ素共重合体は、IR測定により算出した数平均分子量が5300〔ε:525(L・cm−1・mol−1)〕であり、剪断速度1s−1、温度50℃でE型粘度計を用いて測定した粘度が663Pa・sであった。図2に、IR測定のチャートを示す。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
実施例5
撹拌回転数を、重合開始から100分経過後に600rpm、300分経過後に550rpmにし、重合時間を24時間にすること以外は実施例4と同様の方法で重合して乳濁液1973gを得た。重合開始から3時間経過後の圧力低下の合計は1.20MPaであり、24時間経過後の圧力低下の合計は6.68MPaであった。
次いで、得られた乳濁液は、実施例4と同様にして凝析、分離及び乾燥を行い、室温では水飴状の含フッ素共重合体267gを得た。得られた含フッ素共重合体は、主鎖末端にカルボキシル基を有するものであった。得られた含フッ素共重合体は、19F−NMRによる組成比(モル)がTFE:PMVE=59.5:40.5であり、IR測定により算出した数平均分子量が7500〔ε:525(L・cm−1・mol−1〕であった。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
実施例6
撹拌回転数を、重合開始から215分経過後に900rpm、340分経過後に800rpm、380分経過後に700rpm、470分経過後に650rpmにし、重合時間を24時間にすること以外は実施例4と同様の方法で乳濁液2088gを得た。重合開始から3時間経過後の圧力低下の合計は1.16MPaであり、12時間経過後の圧力低下の合計は6.81MPaであった。
次いで、得られた乳濁液は、実施例4と同様にして凝析、分離及び乾燥を行い、室温では水飴状の含フッ素共重合体を342g得た。得られた含フッ素共重合体は、主鎖末端にカルボキシル基を有するものであった。上記含フッ素共重合体は、19F−NMRによる組成比(モル)がTFE:PMVE=59.7:40.3であり、IR測定により算出した数平均分子量が14000〔ε:525(L・cm−1・mol−1〕であり、50℃におけるムーニー粘度が37であった。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
実施例7
着火源をもたず、回転式の撹拌翼を備えた内容積3Lのステンレス製PTFE内筒型オートクレーブに純水1643ml、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 16.43g、及び、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム十二水和物0.149gを仕込み、窒素置換を行って酸素を除去した。
次に、1116rpmで攪拌しながら、80℃に昇温し、TFE:PMVE=25:75(モル:モル)のTFE−PMVE混合ガスを内圧0.4MPa・Gになるように圧入した。開始剤として過硫酸カリウム〔KPS〕2.57gを水50mlに溶解して、PTFE内筒型SUS製容器を用いて開始剤を重合槽内に仕込んで重合を開始した。重合の進行により内圧が低下するので0.35MPa・Gに低下した時点でTFE:PMVE=60:40(モル:モル)のTFE−PMVE混合ガスを仕込み、圧力を0.4MPa・Gに戻すことを繰り返した。重合開始から3時間経過する毎に、初期に仕込んだものと同量の過硫酸カリウム〔KPS〕溶液と26.3gの2N−KOHとを仕込んで重合を継続した。この作業を繰り返し、11時間経過後、オートクレーブを冷却しガスモノマーを排出して2180gの乳濁液を得た。得られた乳濁液のpHは3.10であった。
次いで、実施例4と同様にして凝析、分離、洗浄及び乾燥を行い、室温では水飴状の含フッ素共重合体を346g得た。得られた含フッ素共重合体は、主鎖末端にカルボキシル基を有するものであった。この含フッ素共重合体は、19F−NMRによる組成比(モル)がTFE:PMVE=59.2:40.8であり、IR測定により算出した数平均分子量が16000〔ε:525(L・cm−1・mol−1〕であり、50℃におけるムーニー粘度が78であった。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
実施例8
開始剤仕込み容器としてPTFE内筒型SUS製容器を用いた以外は実施例5と同様にして重合した。
重合により得られた乳濁液は、ポリマーが少量析出していた。乳濁液と析出したポリマーとを5倍量の7質量%塩酸に滴下し、完全に凝析させた。ポリマー層を分離し、120℃で70時間真空乾燥を行い、室温では水飴状の含フッ素共重合体252.4gを得た。得られた含フッ素共重合体を10倍量のフロリナートFC−77(商品名、住友3M社製、主成分がパーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)である溶剤)に溶解すると、ポリマーの一部が不溶となり沈降した。不溶物を分離した後、溶液を7質量%塩酸で洗浄した。洗浄後の溶液より溶媒を除去し、室温では水飴状の含フッ素共重合体を231.9g得た。得られた含フッ素共重合体は、IR測定により、主鎖末端にカルボキシル基を有するものであることがわかった。この含フッ素共重合体は、19F−NMRによる組成比(モル)がTFE:PMVE=57.2:42.8であり、IR測定により算出した数平均分子量が7300〔ε:525(L・cm−1・mol−1〕であり、50℃におけるムーニー粘度が19であった。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
また、上記不溶物を7質量%塩酸で洗浄し、120℃で48時間真空乾燥を行って混入した溶剤を除去したところ、室温では水飴状の含フッ素共重合体15.3gを得た。得られた含フッ素共重合体は、末端にカルボキシル基を有するものであり、IR測定により算出した数平均分子量が3700〔ε:525(L・cm−1・mol−1〕であった。
IRスペクトル:1774cm−1(C=O)
実施例9
カルボキシル基を主鎖末端に有する実施例4で得られた含フッ素共重合体160g、メタノール160g、硫酸12gを還流器付きのフラスコに入れ、内温65℃で23時間加熱し、メタノールを還流させた。得られた含フッ素共重合体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行ってメタノールを除去した。
IR測定及びH−NMR測定により、得られた含フッ素共重合体の主鎖末端はメトキシカルボニル基に変化したことがわかった。
得られた含フッ素共重合体は、H−NMR測定により求めた分子量が4750であった。また、剪断速度10s−1、温度50℃でE型粘度計による粘度の測定を行ったところ、粘度は433Pa・sであった。図3に、IR測定のチャートを示す。
IRスペクトル:1795cm−1(C=O)
H−NMR(溶媒:パーフルオロベンゼン TMS標準):4.3ppm(COOCH
実施例10
カルボキシル基を主鎖末端に有する実施例7で得られた含フッ素共重合体160g、メタノール160g、硫酸12gを還流器付きのフラスコに入れ、内温65℃で35時間加熱し、メタノールを還流させた。得られた含フッ素共重合体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行ってメタノールを除去した。
IR測定において1795cm−1の吸収が観察され、得られた含フッ素共重合体の主鎖末端がメトキシカルボニル基に変化したことがわかった。
得られた含フッ素共重合体は、H−NMR測定により求めた数平均分子量が16000であり、50℃におけるムーニー粘度が51であった。
IRスペクトル:1795cm−1(C=O)
H−NMR(溶媒:パーフルオロベンゼン TMS標準):4.3ppm(COOCH
実施例11
カルボキシル基を主鎖末端に有する実施例5で得られた含フッ素共重合体160g、メタノール160g、硫酸12gを還流器付きのフラスコに入れ、内温65℃で40時間加熱し、メタノールを還流させた。得られた含フッ素共重合体をメタノールで洗浄した後、乾燥してメタノールを除去した。
IR測定において1795cm−1の吸収が観察され、得られた含フッ素共重合体の主鎖末端がメトキシカルボニル基に変化したことがわかった。
得られた含フッ素共重合体は、H−NMR測定により求めた数平均分子量が7330であった。
IRスペクトル:1795cm−1(C=O)
H−NMR(溶媒:パーフルオロベンゼン TMS標準):4.3ppm(COOCH
実施例12
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体2gと、アリルアミンHC=CHCHNH 0.35gとを混合した。室温で混合することにより一部のアリルアミンが揮発したので、更に、0.35gのアリルアミンを添加して混合した。反応を進行させ、過剰なアリルアミンと反応により生成したメタノールとを除去するため80℃で48時間加熱して、粘着性を有する含フッ素共重合体を得た。IR測定及びH−NMR測定により、アリルアミンのアミノ基と上記メトキシカルボニル基とが反応してアミド結合を形成し、含フッ素共重合体の主鎖末端が不飽和基に変化したことがわかった。図4に、IR測定のチャートを示す。
IRスペクトル:1707cm−1(C=O)、1650cm−1(CH=CH
H−NMR:(溶媒:パーフルオロベンゼン TMS標準)6.6ppm(1H)、6.0〜6.2ppm(1H)、5.3〜5.5ppm(2H)、4.1〜4.2ppm(2H)
実施例13
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体2.5gを還流冷却管を備えたガラス製反応器に入れ、窒素気流下120℃で2時間加熱した後、ジアリルアミン(HC=CHCHNH 1.5gを入れ、105℃で10時間反応させた。過剰なジアリルアミンと反応により生成したメタノールとを除去するため真空下120℃で60時間加熱して、粘着性を有する含フッ素共重合体を得た。IR測定及びH−NMR測定により、ジアリルアミンのアミノ基と上記メトキシカルボニル基とが反応してアミド結合を形成し、含フッ素共重合体の主鎖末端が不飽和基に変化したことがわかった。
IRスペクトル:1685cm−1(C=O)
H−NMR:(溶媒:パーフルオロベンゼン TMS標準)6.2〜6.4ppm(1H)、5.7〜5.9ppm(2H)、3.9〜4.0ppm(2H)
実施例14
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体1.41gに、架橋剤として3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルアミン(商品名:LS−2450、信越化学工業社製)0.117gを添加して室温下で混合した後、フッ素樹脂フィルムに挟みシート状にした。フッ素樹脂フィルムの片面をはがし、大気圧下、空気に暴露し、室温で5時間放置することにより硬化体を得た。得られた硬化体は、弾性を有していたが、メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体に見られる粘着性を有さず、透明であった。
得られた硬化体は、7日間室温で放置しても形状が変化しなかった。7日間室温で放置した後、硬化体を97容量%のパーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)に40℃で60時間浸漬し、溶出した含フッ素共重合体量を測定することにより硬化体のゲル分率を測定したところ、0.994であった。
上記と同様の操作でシート状に成形した硬化体を室温で3日間放置した後、120℃で15時間加熱してゲル分率を測定したところ、0.996であった。
示差走査熱量計によって測定した硬化体のガラス転移点は、−6℃であった。
図5に、硬化体のIRチャートを示す。
実施例15
含フッ素共重合体の量を1.69gにし、架橋剤を3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A−1100、日本ユニカー社製)0.348gに変えること以外は実施例14と同様の方法で含フッ素共重合体をシート状にし、大気圧下、空気に暴露し、室温で5時間放置して硬化体を得た。得られた硬化体は、弾性を有していたが、メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する含フッ素共重合体に見られる粘着性を有さず、白濁していた。得られた硬化体は、70℃で28時間加熱しても形状が変化しなかった。実施例14と同様の方法でゲル分率を測定したところ、含フッ素共重合体は溶剤中に溶出せず、ゲル分率は1.00であった。
実施例16
不飽和基を主鎖末端に有する実施例12で得られた含フッ素共重合体0.213gと、架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート0.012gと、有機過酸化物(商品名:パーヘキサ25B、日本油脂社製)0.111gとを混合した。有機過酸化物の一部は、混合されずに残るが、混合物をフッ素樹脂製のフィルムに挟み、160℃で1時間加熱することにより硬化体を得た。得られた硬化体は、弾性を有していたが、不飽和基を主鎖末端に有する実施例12で得られた含フッ素共重合体に見られる粘着性は無くなった。
実施例17
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体1.2gと、平均分子量4500のパーフルオロポリエーテル F(CFCFCFO)CFCF 0.126gとを混合した後、架橋剤として3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルアミン(商品名:LS−2450、信越化学工業社製)0.099gを添加して室温下で混合した後、フッ素樹脂フィルムに挟みシート状にした。フッ素樹脂フィルムの片面をはがし、大気圧下、空気に暴露し、室温で1日放置することにより硬化体を得た。得られた硬化体は、弾性を有していたが、メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体に見られる粘着性を有さず、透明であった。混合したパーフルオロポリエーテルの一部が、硬化体表面にブリードしていた。
示差走査熱量計によって測定した硬化体のガラス転移点は、−20℃であった。
実施例18
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体0.75gと、特開平9−157388号公報の合成例3に記載された末端が水素化されたケイ素含有有機含フッ素ポリマー(B)0.082gとを窒素雰囲気下で混合した後、架橋剤として3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルアミン(商品名:LS−2450、信越化学工業社製)0.062gを添加して混合した後、フッ素樹脂フィルムに挟みシート状にした。フッ素樹脂フィルムの片面をはがし、大気圧下、空気に暴露し、室温で1日放置することにより硬化体を得た。得られた硬化体は、弾性を有していたが、メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体に見られる粘着性を有していなかった。また、末端が水素化されたケイ素含有有機含フッ素ポリマーが、硬化体表面にブリードすることはなかった。
実施例14と同様の方法で、得られた硬化体のゲル分率を測定したところ、0.983であった。
示差走査熱量計によって測定した硬化体のガラス転移点は、−12℃であった。
実施例19
不飽和基を主鎖末端に有する実施例12で得られた含フッ素共重合体を大気圧下、空気中で180℃で12時間加熱し、この加熱を経た含フッ素共重合体0.1055gと、架橋剤として(25〜30%メチルハイドロシロキサン)−(ジメチルシロキサン)共重合体(商品名:HMS−301、GELEST社製、分子量1900〜2000)0.010gとをヘキサフルオロベンゼン(東京化成工業社製)1.0gに溶解した後、0.06%白金触媒のトルエン溶液0.0080g(オーエムジープレシャスメタルズ・ジャパン社製PT−VTSC−12.0VTSをトルエンで200倍に希釈した溶液)を添加して室温下で混合し、溶液を調製した。この溶液をガラス製シャーレに移し、100℃で3分間加熱することによりシート状の硬化体を得た。得られた硬化体は、更に150℃で5時間加熱した。溶媒のヘキサフルオロベンゼン及びトルエンは、加熱により揮発した。得られた硬化体は、弾性を有していたが、不飽和基を主鎖末端に有する実施例12で得られた含フッ素共重合体に見られる粘着性を有さず透明であった。得られた硬化体のIRスペクトルには、1650cm−1の吸収がなく、含フッ素共重合体の主鎖末端の不飽和基が(25〜30%メチルハイドロシロキサン)−(ジメチルシロキサン)共重合体と反応したことが確認された。実施例14と同様の方法により得られた硬化体のゲル分率を測定したところ、0.985であった。
実施例20
実施例19で調製した溶液を、表面をブラスト処理したアルミニウム板に塗布し、大気圧下、50℃で5時間加熱し、溶媒を蒸発させた後、100℃で3分間加熱し、更に150℃で3時間加熱することにより、表面に含フッ素共重合体のコーティング層を有する複層品を得た。
実施例21
メトキシカルボニル基を主鎖末端に有する実施例11で得られた含フッ素共重合体14.1gと、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルアミン(商品名:LS−2450、信越化学工業社製)1.17gとを室温下、窒素置換されたグローブボックス内で混合し、含フッ素共重合体硬化用組成物を得た。
得られた含フッ素共重合体硬化用組成物をディスペンサーシステム(商品名:デジタルコントロールドディスペンサー ML−606GX、武蔵エンジニアリング社製)の10mlシリンジにグローブボックス内で充填した。シリンジを50℃に加熱し、上記のディスペンサーシステムを用いてパソコン用ハードディスクドライブ用の金属性の基板にディスペンサーコーティング法により含フッ素共重合体硬化用組成物をコーティングした。
コーティングされた含フッ素共重合体硬化用組成物は、大気圧下、空気に暴露し、室温で1日放置することにより硬化し、金属性の基板に含フッ素共重合体の硬化体のシール層を有し、ハードディスクドライブ用の金属性の基板と一体となったガスケットを得た。
本発明の含フッ素共重合体は、上述の構成よりなるので、常温で流動性を有し硬化可能なものとして安価な製造方法により得ることができ、加工性が良好で現場施工型の成形が可能となる。
実施例1の赤外分光分析で得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例4の赤外分光分析で得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例9の赤外分光分析で得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例12の赤外分光分析で得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例14の赤外分光分析で得られた赤外線吸収スペクトルである。

Claims (12)

  1. 含フッ素共重合体、1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物、及び、ヒドロシリル化反応触媒を含む含フッ素共重合体硬化用組成物であって、
    前記含フッ素共重合体は、常温で流動性を有する硬化可能なものであり、トリフルオロビニル基含有単量体から得られるものであり、数平均分子量が500〜20000であり、主鎖の両末端に不飽和基を有するものであり、
    前記トリフルオロビニル基含有単量体は、下記一般式(III)
    CF=CF−R−Y (III)
    (式中、Yは、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Rは、10個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数0〜20のアルキレン基を表す。但し、Rのアルキレン基の炭素数が0のとき、Yは、ハロゲン原子である。)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物である
    ことを特徴とする含フッ素共重合体硬化用組成物。
  2. トリフルオロビニル基含有単量体は、下記一般式(I)
    CF=CF−O−R (I)
    (式中、Rは、4個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテル、及び/又は、下記一般式(IV)
    CF=CF−(O−R −Y (IV)
    (式中、Yは、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜5のアルコキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。R は、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基を表す。nは、0〜5の整数を表す。)で表されるトリフルオロビニル基含有鎖状化合物(但し、前記一般式(I)で表されるフルオロビニルエーテルを除く。)である請求項1記載の含フッ素共重合体硬化用組成物。
  3. トリフルオロビニル基含有単量体は、テトラフルオロエチレン、及び、下記一般式(I)
    CF=CF−O−R (I)
    (式中、Rは、4個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテルである請求項2記載の含フッ素共重合体硬化用組成物。
  4. 含フッ素共重合体は、E型粘度計で測定した常温における粘度が0.1〜2000Pa・sであるものである請求項1、2又は3記載の含フッ素共重合体硬化用組成物。
  5. 含フッ素共重合体は、常温におけるムーニー粘度が5〜100であるものである請求項1、2又は3記載の含フッ素共重合体硬化用組成物。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物から得られる
    ことを特徴とする硬化体。
  7. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物からなる
    ことを特徴とするコーティング剤。
  8. 基材と、前記基材上に請求項7記載のコーティング剤をコーティングして得られるコーティング層とからなる
    ことを特徴とする複層品。
  9. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物を用いて基材にディスペンサー成形してなる基材一体型成形体であって、
    前記基材一体型成形体は、ガスケット又はパッキン類である
    ことを特徴とする基材一体型成形体。
  10. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物を用いてなる
    ことを特徴とする磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット。
  11. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物を用いてなる
    ことを特徴とする燃料電池用のシール材。
  12. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素共重合体硬化用組成物を用いてなる
    ことを特徴とするクリーン設備用シール材。
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