WO2012133548A1 - 硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 Download PDF

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Abstract

屈折率が低く、かつ透明性が高く、更には、耐熱性にも優れる硬化物を形成できる硬化性樹脂組成物を提供する。 本発明は、有機ケイ素化合物(A)、及び、下記式(L):(式中、XおよびXは同じか又は異なり、H又はF;XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H、F又はCF;Rfは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む1価の有機基、又は、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基;aは0~3の整数;bおよびcは同じか又は異なり、0又は1である。)で示される構造単位を有する含フッ素ポリマー(B)、からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。

Description

硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
本発明は、硬化性樹脂組成物、及び、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物に関する。
近年、CCD素子、CMOS素子、液晶、MEMS等の各種デバイスが広く利用されているが、このようなデバイスは、構造上外部環境に影響されやすく、これを避けるために気密パッケージして使用されている。
例えば、携帯電話のカメラモジュール内に採用されているCCD等のイメージセンサでは、セラミックパッケージにセンサを収納後、ワイヤボンディングで電気的接続を行い、その上からガラスなどの透明な蓋で覆って封止する方法がとられていた。しかしながら、ワイヤボンディングによる接続は、イメージセンサ全体の寸法がセンサ素子に比べて格段に大きくなってしまうという欠点があった。
そこで、イメージセンサ全体を小型化する方法として、CCDやCMOS素子が形成されたシリコンウェハーの裏面から表面に貫通する孔や溝を設け、ウェハーの表側と裏側を電気的に接続し、外部回路への接続をウェハーの裏面に配置したボールバンプにより行う方法が提案されている。このような手法を用いることにより、イメージセンサ全体を小型化することができる。
しかしながら、この手法を用いた場合であっても、封止方法としては、ガラス等の透明な蓋でセンサ素子を覆うことで封止を行っており、このような方法はセンサ素子部をシール剤で囲むため、イメージセンサの小型化に限界がある上、工程数が増加する。また、センサ素子と蓋との間に空間が存在し、界面の反射により、視認性が劣るため、上記方法に代わる封止方法が求められるところである。
これに対して、例えば、センサ素子の表面を、直接封止部材を介してガラス等の透明な蓋で封止することが考えられる。この方法はウェハーレベルで封止部材を介してガラスと積層後、ダイシング等によりデバイスが作製可能となるため、工程数も大幅に削減できる。しかしながら、このような構造のCCD素子を製造する場合、封止部材としては、低屈折率であり、かつ透明性が高いものが必要となるが、従来、充分な特性の封止部材がなかった。
例えば、特許文献1には、加水分解性金属アルコキシド部位を有する特定構造の硬化性含フッ素ポリマーが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された硬化性樹脂組成物は屈折率が高く、CCD素子用の封止部材に用いるには低屈折率化が必要であった。
特許文献2には、低屈折率でかつ防汚性に優れた反射防止膜形成用の硬化性組成物として、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する含フッ素アルキル基を有する構造単位を含む硬化性含フッ素ポリマー(A)と、含フッ素表面改質剤(B)、及び、中空シリカ微粒子(C)を含む硬化性組成物が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載された硬化性樹脂組成物は、100nm程度の薄膜であれば透明性は問題なかったが、封止部材として必要な厚みである1~十数μm程度になると中空シリカ微粒子の凝集によってヘイズが高くなり、透明性の観点から充分なものではなかった。
国際公開2006/027958号パンフレット 特開2008-40262号公報
本発明は、屈折率が低く、かつ透明性が高く、更には、耐熱性にも優れる硬化物を形成できる硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明者らが光学素子の封止剤としても好適に用いることができる封止用の含フッ素樹脂組成物について鋭意検討したところ、特定の構造の変性含フッ素アリルエーテルポリマーと、特定の有機ケイ素化合物とからなる含フッ素樹脂組成物を用いることによって、低屈折率で、かつ透明性が高く、更には、耐熱性にも優れる硬化物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、
有機ケイ素化合物(A)、及び、
下記式(L):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式中、XおよびXは同じか又は異なり、H又はF;XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H、F又はCF;Rfは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む1価の有機基、又は、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基;aは0~3の整数;bおよびcは同じか又は異なり、0又は1である。)で示される構造単位を有する含フッ素ポリマー(B)、からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
有機ケイ素化合物(A)は、下記式(1):
{Si(R(R(R(R(R    (1)
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルコキシル基、アミノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のアリール基、炭素数1~10のアリル基、又はグリシジル基である。Rは、同一又は異なり、-O-、-NH-、-C≡C-、又は、シラン単結合である。s、t、u及びvは、同一又は異なり0又は1であり、wは0~4の整数であり、nは1~20である。nが1である場合、s+t+u+vは4であり、wは0である。nが2~20である場合、s+t+u+vは、同一又は異なり0~4であり、wは、同一又は異なり0~4であり、wが1以上の整数である場合、少なくとも2個のSiはRを介して、直鎖、梯子型、環状、又は複環状に結合している。)で表される化合物(A1)であることが好ましい。
有機ケイ素化合物(A)は、テトラアルコキシシランであることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機ケイ素化合物(A)と含フッ素ポリマー(B)との合計質量に対して、有機ケイ素化合物(A)が50質量%以上であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を含むものであることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光学素子封止用であることが好ましい。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物でもある。
上記硬化物は、屈折率が1.35以下であることが好ましい。
上記光学素子は、受光素子であることが好ましい。
上記光学素子は、発光素子であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、屈折率が低く、かつ透明性が高く、更には、耐熱性にも優れる硬化物を形成することができる。
図1は、CCDモジュールの構造の一例を示す断面模式図である。 図2(a)~(f)は、CCDモジュールの製造フローを簡略的に示したフロー図である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機ケイ素化合物(A)からなる。有機ケイ素化合物(A)は、炭素とケイ素を含む化合物である。上記有機ケイ素化合物(A)は、常温(例えば、25℃)で液体であることが好ましい。
上記有機ケイ素化合物(A)としては、Si-H結合を有するSi-H化合物;アミノシラン化合物、シラザン、シリルアセトアミド、シリルイミダゾール等のSi-N結合を有するSi-N化合物;モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、シロキサン、シリルエステル、シラノール等のSi-O結合を有するSi-O化合物;モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のSi-Cl結合を有するSi-Cl化合物等のハロゲノシラン、Si-(C)化合物、Si-Si結合を有するSi-Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、エチニルシラン等が挙げられる。すなわち、有機ケイ素化合物(A)は、Si-H化合物、Si-N化合物、ハロゲノシラン、Si-(C)化合物、Si-Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、及びエチニルシランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。上記有機ケイ素化合物としては、Siに、水素、酸素及びハロゲンからなる群より選択される少なくとも1種の原子が結合した化合物がより好ましい。
以下に、上記化合物の具体例を示す。
〔Si-H化合物〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
〔Si-N化合物〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
〔Si-O化合物〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
〔ハロゲノシラン〕
Si-Cl化合物:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
SiCl
Si-Cl化合物以外のハロゲノシラン:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
〔Si-(C)化合物〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
〔Si-Si化合物〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
〔ビニルシラン、アリルシラン、及びエチニルシラン〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
上記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(1):
{Si(R(R(R(R(R    (1)
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルコキシル基、アミノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のアリール基、炭素数1~10のアリル基、又はグリシジル基である。Rは、同一又は異なり、-O-、-NH-、-C≡C-、又は、シラン単結合である。s、t、u及びvは、同一又は異なり0又は1であり、wは0~4の整数であり、nは1~20である。nが1である場合、s+t+u+vは4であり、wは0である。nが2~20である場合、s+t+u+vは、同一又は異なり0~4であり、wは、同一又は異なり0~4であり、wが1以上の整数である場合、少なくとも2個のSiはRを介して、直鎖、梯子型、環状、又は複環状に結合している。)で表される化合物(A1)であることがより好ましい。R、R、R、及びRは、Siに結合している1価の基である。Rは、2個のSiに結合している2価の基である。
なお、上記アミノ基は、-NH、-NHR、および、-NRR’(RおよびR’は、同じ又は異なり、炭素数1~10のアルキル基である)を包含する。
式(1)中、R、R、R及びRは、同一又は異なり、少なくとも1つは、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルコキシ基、又はアミノ基であり、それ以外は炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のアリール基、炭素数1~10のアリル基、又はグリシジル基であることが好ましい。nが2~20である場合、s+t+u+vは、同一又は異なり、1~3であり、wは1~3であることが好ましい。
式(1)において、R、R、R及びRは、同一又は異なり、炭素数1~6のアルキル基、炭素数5~8のアリール基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は、アミノ基であることが好ましく、更に好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基である。
上記R、R、R及びRにおいて、アルキル基の炭素数は、1~5であることが好ましい。上記アルキル基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。また、水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられるが、例えば、R、R、R又はRとしては、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基であることが好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基である。
アリール基としては、例えば、ペンチル基、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、又はジメチルフェニル基であることが好ましい。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素が好ましく、特に塩素が好ましい。
上記R、R、R及びRにおいて、アルコキシ基の炭素数は、1~5であることが好ましい。上記アルコキシ基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。また、水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、又はブトキシ基が好ましく、より好ましくは、メトキシ基、又はエトキシ基である。
は、同一又は異なり、-O-、-NH-、-C≡C-、又は、シラン単結合である。
なお、Rがシラン単結合である場合とは、実質的にはRを介さず、SiとSiが直接結合した場合をいう。Rとしては、-O-、-NH-、又は、-C≡C-が好ましい。Rは、2個のSiに結合している2価の基であり、Rによって2以上のケイ素原子がRを介して、直鎖、梯子型、環状、又は複環状に結合することができる。nが2以上の整数である場合、ケイ素原子同士で結合していてもよい。化合物(A1)の具体例としては、上述したSi-H化合物、Si-N化合物、ハロゲノシラン、Si-(C)化合物、Si-Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、エチニルシラン等のSiを1個又は2個以上含む化合物が挙げられる。
化合物(A1)としては、中でも、テトラアルコキシシランであることが好ましく、上記式(1)において、nは1であり、R、R、R及びRは、同一又は異なり、炭素数1~10のアルコキシ基であることがより好ましい。上記アルコキシ基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。また、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。上記アルコキシ基の炭素数は、1~8であることがより好ましく、1~6であることが更に好ましく、1~4であることが特に好ましい。
化合物(A1)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができ、これらの中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、より好ましくは、入手が容易で低価格でありガラスに近い屈折率の点でテトラエトキシシラン(TEOS)である。
架橋性を向上させる観点からは、上記化合物(A1)は、炭素数1~5のアリル基、炭素数1~5のグリシジル基、アクリル基(CH=CHCOO-)、又はメタクリル基(CH=CCHCOO-)を有することも好ましい。すなわち、化合物(A1)において、R、R、R及びRの少なくとも1つが、炭素数1~5のアリル基、炭素数1~5のグリシジル基、アクリル基、又はメタクリル基であることが好ましい。
含フッ素ポリマー(B)は、下記式(L):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
(式中、XおよびXは同じか又は異なり、H又はF;XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H、F又はCF;Rfは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む有機基、又は、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基;aは0~3の整数;bおよびcは同じか又は異なり、0又は1である。)で示される構造単位(以下、「構造単位L」ともいう。)を有する。上記エーテル結合は、-O-で表される2価の基である。アミド結合は、-CONH-で表される2価の基である。カーボネート結合は、-O-COO-で表される2価の基である。ウレタン結合は、-O-CONH-で表される2価の基である。上記ウレア結合は、-NH-CONH-で表される2価の基である。
なお、本明細書中で、後述する「炭化水素基」は、炭素及び水素からなる有機基であり、「含フッ素炭化水素基」は、炭化水素基が有する一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換されたものである。「炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、アリル基、環状アルキル基、不飽和アルキル基等が挙げられる。「含フッ素炭化水素基」としては、含フッ素アルキル基、含フッ素アリル基、含フッ素環状アルキル基、含フッ素不飽和アルキル基等が挙げられる。
上記Yは、ケトン結合(-CO-)、エーテル結合又はエステル結合(-COO-)を有していてもよい。
含フッ素ポリマー(B)は、上記構成を有することによって、化合物(A)から形成されるSiOxと好適に架橋することができ、形成される硬化物を可撓性に優れたものとすることができる。また、形成される硬化物は、SiOxからなるものであるため、耐熱性及び透明性に優れる。
構造単位Lとしては、なかでも式(L1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
(式中、X、X、X、X、X、Rf、aおよびcは前記と同じ)で示される構造単位L1が好ましい。
この構造単位L1を含む含フッ素ポリマー(B)は、特に屈折率が低く、また、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる薄膜の透明性を高くすることができ、更に、種々の基材との密着性がよく、密着耐久性を向上させることができる点で好ましい。また、熱、ラジカルやカチオンの接触による硬化反応性を高くすることができる点でも好ましい。
さらに構造単位L1のより好ましい具体例の1つは式(L2):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位L2である。
この構造単位L2は屈折率が低く、また、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる薄膜の透明性を高くすることができ、種々の基材との密着性がよく耐久性を向上させることができる点で優れているほか、他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。また、近赤外透明性を高くできるだけでなく屈折率を低くできる点でも好ましい。
上記構造単位L2において、Rfは、例えば、-(CF(CF)CF-O)-T(Tは、-CHO-(CO)-CF=CH、又は、-Ry-Si(OR20)(OR21)(OR22)、(Ryは、後述するものと同じである。R20、R21及びR22は、同一又は異なって、炭素数1~5のアルキル基である。nは、0、1又は2である。)であることも好ましい形態の一つである。
また、構造単位L1の別の好ましい具体例は式(L3):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位L3である。
この構造単位L3は屈折率が低く、また、種々の基材との密着性がよく、密着耐久性を向上させることができる点で優れているほか、他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点でも好ましい。また、近赤外透明性を高くできるだけでなく屈折率を低くできる点でも好ましい。
上記構造単位L、L1、L2およびL3に含まれるRfは、上記のとおり、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む有機基、又は、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基である。
アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基において、その炭素数の上限は、好ましくは30、より好ましくは20、特に好ましくは10である。
Rfは、Rf(アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む有機基である。)で置換されている有機基)であってもよいし、Rf(アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基)であってもよいし、Rf(アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~2個がYで置換されており、水素原子の1~2個がYで置換されている有機基)であってもよい。製造の容易さからは、Rfは、Rf又はRfであることが好ましい。
上記Rfは、Rfであることが好ましい形態の一つである。上記構造単位LのRfがRfである構造単位を、以下、構造単位Mという。また、構造単位L1、L2及びL3において、RfがRfである構造単位を、以下、それぞれ、構造単位M1、M2及びM3という。上記Rf中で、炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシドは加水分解・重縮合反応を起こす役割を果たし、これにより、化合物(A)から形成されるSiOxと架橋し、耐熱性、透明性、及び可撓性に優れる硬化物を形成することができる。
好ましいRfとしては、式(Rf):
-D-Ry          (Rf
[式中、-D-は、式(D):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
(式中、nは0~20の整数であり、Rは水素原子の少なくとも1個がフッ素原子に置換されている炭素数1~5の2価の含フッ素アルキレン基であり、nが2以上の場合は同じでも異なっていてもよい)で示されるフルオロエーテルの単位であり、Ryは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~39の炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~99のエーテル結合を有する炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは前記と同じ)で置換されている有機基)]があげられる。
上記Ryは、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合又はエーテル結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~39の炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは前記と同じ)で置換されている有機基が好ましい。
Rは炭素数1~5の2価の含フッ素アルキレン基であって、少なくとも1個のフッ素原子を有するものであり、それによって、従来のフッ素を含まないアルコキシル基を有するものやアルキレンエーテル単位を有するものに比べて、化合物の粘性をさらに低粘性化できる他、耐熱性向上、屈折率の低下、汎用溶剤への溶解性向上などに寄与することができる。
-D-中の-(O-R)-又は(R-O)-として、具体的には、-(OCFCFCF)-、-(CFCFCFO)-、-(OCFQCF)-、-(CFQCHO)-、-(CFQCFO)-、-(OCFCFQ)-、-(OCFQ)-、-(CFQO)-、-(OCHCFCF)-、(OCFCFCH)-、-(OCHCHCF)-、-(OCFCHCH)-、-(CHCFCFO)-、-(OCFCFCFCF)-、-(CFCFCFCFO)-、-(OCFQCH)-、-(CHCFQO)-、-(OCH(CH)CFCF)-、-(OCFCFCH(CH))-、-(OCQ )-および-(CQ O)-(Q、Qは同じか又は異なり、H、F又はCF;QはCF)などがあげられ、-D-はこれらの1種又は2種以上の繰り返し単位であることが好ましい。
なかでも、-D-は、-(OCFQCF)-、-(OCFCFCF)-、-(OCHCFCF)-、-(OCFQ)-、-(OCQ )-、-(CFQCFO)-、-(CFQCHO)-、-(CFCFCFO)-、-(CHCFCFO)-、-(CFQO)-および-(CQ O)-から選ばれる1種又は2種以上の繰り返し単位であることが好ましく、特には-(OCFQCF)-、-(OCFCFCF)-、-(OCHCFCF)-、-(CFQCFO)-、-(CFQCHO)-、-(CFCFCFO)-および-(CHCFCFO)-から選ばれる1種又は2種以上の繰り返し単位、さらには-(OCFQCF)-、-(OCFCFCF)-、-(CFQCFO)-、-(CFQCHO)-および-(CFCFCFO)-から選ばれる1種又は2種以上の繰り返し単位であることが好ましい。また、構造単位Lが上記構造単位L2である場合、-D-としては、Rが-(CFQCFO)-、-(CFQCHO)-、-(CFCFCFO)-および-(CHCFCFO)-からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、-(CFQCFO)-、-(CFQCHO)-および-(CFCFCFO)-からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。上記式中、Qは、H、F又はCFである。Qとしては、CFが好ましい。
ただし、上記の含フッ素エーテルの単位-D-中および前記Rf中において、-OO-(具体的には、-R-O-O-R-、-O-O-R-および-R-O-O-など)構造単位を含まないものとする。
式(Rf)におけるRyとして、より具体的には、式(Ry):
  -Ry          (Ry)
[式中、Ryは式(Ry):
 -(R11-(A)-R12-(Y1a      (Ry
(式中、qは0又は1であり、pは0又は1であり、mは1~3の整数であり、R11は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~5の2価の炭化水素基、Aは-O-、-CONH-、-O-COO-、-O-CONH-又は-NH-CONH-であり、R12は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~38の2~4価の炭化水素基又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~98のエーテル結合を有する2~4価の炭化水素基である。Y1aは式:
-[MO(R29(R30(R31(R32-M(R33(R34(R35(R36(R37(式中、MおよびMは同じか又は異なり、2~6価の金属原子;a、b、cおよびdは0又は1であって、かつa+b+c+d+2が金属原子Mの価数に等しい;e、f、g、hおよびiは0又は1であって、e+f+g+h+i+1が金属原子Mの価数に等しい;R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36およびR37は同じか又は異なり、式OR38又はR38(式中、R38は水素原子、若しくは水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の炭化水素基)で示される有機基であって、かつR29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36およびR37の少なくともひとつがOR38である;n=0~11の整数)で示される官能基)で示される有機-無機複合基]で示される基であることが好ましい。構造単位Mが構造単位M2である場合、上記Ryは、-Ryであることが好ましい。
式(Ry)における-R12-の具体例としては、例えばつぎのものがあげられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
-R12-としては、例えば、-(CH-、及び、-(CH-からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
1a中の金属MおよびMとしては、IB族としてCu;IIA族としてCa、Sr、Ba;IIB族としてZn;IIIA族としてB、Al、Ga;IIIB族としてY;IVA族としてSi、Ge;IVB族としてPb;VA族としてP、Sb;VB族としてV、Ta;VIB族としてW;ランタニドとしてLa、Ndがあげられる。
特にY1aとしては、IVA族、そのうちでもSiが好ましく、特に-Si(OCH、-Si(OC、-SiCH(OCなどが加水分解・重縮合後に、水酸基を有する基材との良好な密着性および密着耐久性の点で好ましく、また、-[SiO(OCH-Si(OCH、-[SiO(OC-Si(OC(nは1~11の整数)などが加水分解・重縮合後に水酸基を有する基材との良好な密着性およびその耐久性の他、表面硬度の向上の点で好ましい。
これらのなかでも、Y1aとしては、-Si(OCH、-Si(OC、及び-SiCH(OCからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
IVA族以外の金属の具体例としては、例えばY1aとしては、
IIA族がCa:-Ca(OR39)、好適な具体例としては-Ca(OCH);
IIB族がZn:-Zn(OR39)、好適な具体例としては-Zn(OC);
IIIA族がB:-B(OR39、好適な具体例としては-B(OCH
IIIB族がY:-Y(OR39、好適な具体例としては-Y(OC
IVB族がPb:-Pb(OR39、好適な具体例としては-Pb(OC
VB族がTa:-Ta(OR39、好適な具体例としては-Ta(OC
VIB族がW:-W(OR39、好適な具体例としては-W(OC
ランタニドがLa:-La(OR39、好適な具体例としては-La(OC
(式中、R39は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の炭化水素基)などが例示できる。
これら各種金属は、同一のものに限らず、異種のものを組みあわせてもよい。
構造単位Mとしては、構造単位M1が好ましく、構造単位M1としてはさらに構造単位M2又は構造単位M3が好ましい。そこで、-Rfを-D-Ryと表した場合、構造単位Mは、式(2-2):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
(式中、X、X、X、X、X、D、Ry、a、bおよびcは前記と同じ)で示される構造単位であることが、基材との密着耐久性、さらに低粘性化や耐熱性が優れる点で好ましい。
具体的には、式(2-2)の構造単位M1は、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000044
などが好ましく挙げられ、なかでも式(2-2)の構造単位は、式(2-3):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
(式中、X、X、X、X、X、D、Ry、aおよびcは前記と同じ)で示される構造単位であることが、耐熱性および耐薬品性が優れる点で好ましい。
式(2-3)の構造単位は、より具体的には
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
などが好ましく挙げられ、なかでも特に、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
の構造単位が耐熱性および耐薬品性においてより好ましい。
上記Rfは、Rfであることも好ましい形態の一つである。Y中の炭素-炭素二重結合は重縮合反応などを起こす能力を有し、硬化(架橋)体を与えることができるものである。詳しくは、例えばラジカルやカチオンの接触によって、含フッ素ポリマー分子間で、又は化合物(A)と必要に応じて加えられる硬化(架橋)剤との間で重合反応や縮合反応を起こし、硬化(架橋)物を与えることができるものである。
上記構造単位LのRfがRf(アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基)である構造単位を以下、構造単位Nともいう。また、構造単位L1、L2、及びL3において、RfがRfである構造単位を、それぞれ、構造単位N1、N2、及びN3という。
好ましいRfとしては、式(Rf):
-D-Ry          (Rf
[式中、-D-は、前記と同じである。Ryは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~39の炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~99のエーテル結合を有する炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは前記と同じ)で置換されている有機基]が好ましい。-D-Ryの好ましい形態としては、上記-D-Ryで例示された好ましい形態において、RyをRyに変更したものが挙げられる。
上記Ryは、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合又はエーテル結合を有していてもよく、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1~39の炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは前記と同じ)で置換されている有機基が好ましい。
好ましいYの第1としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
(式中、Y2aは末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~5のアルケニル基又は含フッ素アルケニル基;dおよびeは同じか又は異なり、0又は1)である。
好ましいY2aとしては、
-CX=CX
(式中、XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H又はF)であり、この基はラジカルやカチオンの接触による硬化反応性が高く、好ましいものである。
好ましいY2aの具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000049
などがあげられる。
またより好ましいYとしては、
-O(C=O)CX=CX
(式中、XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H又はF)があげられ、この基は特にラジカルの接触による硬化反応性がより高い点で好ましく、光硬化などにより容易に硬化物を得ることができる点で好ましい。
上記のより好ましいYの具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000050
などがあげられる。
その他の好ましいYの具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000051
などがあげられる。
のなかでも、-O(C=O)CF=CHの構造を有するものが近赤外透明性を高くでき、さらに硬化(架橋)反応性が特に高く、効率よく硬化物を得ることができる点で好ましい。
なお、上述の側鎖中に炭素-炭素二重結合を有する有機基Yは、ポリマー主鎖末端に導入してもよい。
本発明で用いる含フッ素ポリマーにおいて、構造単位N、N1、N2およびN3に含まれる-Rf2a-基(前記-RfからYを除いた基)は、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の2価の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する2価の含フッ素炭化水素基である。この-Rf2a-は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子又は塩素原子が結合した2価の含フッ素炭化水素基、エーテル結合を有する2価の含フッ素炭化水素基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキレン基又はエーテル結合を有する2価のパーフルオロ炭化水素基である。含フッ素ポリマー中のフッ素含有率は25質量%以上、好ましくは40質量%以上である。これらによって、含フッ素ポリマー(B)の近赤外透明性を高くできるだけでなく屈折率を低くできることが可能となり、特に硬化物の耐熱性や弾性率を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても近赤外透明性を高く、若しくは低屈折率性を維持できるため好ましい。
-Rf2a-基の炭素数は大きすぎると、2価の含フッ素炭化水素基の場合は溶剤への溶解性を低下させたり透明性が低下することがあり、またエーテル結合を有する2価の含フッ素炭化水素基の場合はポリマー自身やその硬化物の硬度や機械特性を低下させることがあるため好ましくない。2価の含フッ素炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。エーテル結合を有する2価の含フッ素炭化水素基の炭素数は好ましくは2~30、より好ましくは2~20である。
-Rf2a-の好ましい具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000052
などがあげられる。
本発明で用いる含フッ素ポリマーを構成する構造単位Nは構造単位N1が好ましく、構造単位N1としてはさらに構造単位N2又は構造単位N3が好ましい。そこで、つぎに構造単位N2および構造単位N3の具体例について述べる。
構造単位N2を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000053
(以上、nは1~30の整数;Yは前記と同じ)があげられる。
より詳しくは、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000054
(以上、Rf、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、nは0~30の整数;XはH、CH、F又はCF
などがあげられる。
構造単位N3を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000055
(以上、Yは前記と同じ;nは1~30の整数)などがあげられる。
さらに詳しくは、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000056
(以上、Rf、Rf10は炭素数1~5のパーフルオロアルキル基;mは0~30の整数;nは1~3の整数;XはH、CH、F又はCF)などがあげられる。
これらの構造単位N2およびN3以外に、含フッ素ポリマーの構造単位Nを構成する単量体の好ましい具体例としては、例えば、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000057
(以上、YおよびRfは上述の例と同じ)
などがあげられる。
より具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000058
(以上、Yは前記と同じ)などがあげられる。
含フッ素ポリマー(B)は、更に、構造単位Aからなるものであってもよい。構造単位Aは式(L)で示される構造単位Lを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位であればよい。構造単位Aは任意成分であり、構造単位Lを与える含フッ素エチレン性単量体と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とする含フッ素ポリマーやその硬化物の用途、要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
構造単位Aとしては、例えばつぎの構造単位が例示できる。
(A1)官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位A1は、含フッ素ポリマーおよびその硬化物の基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほか架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。
官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位A1は、式(A1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000059
(式中、X11、X12およびX13は同じか又は異なりH又はF;X14はH、F、CF;hは0~2の整数;iは0又は1;Rfは炭素数1~40の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数2~100のエーテル結合を有する2価の含フッ素アルキレン基;Zは-OH、-CHOH、-COOH、カルボン酸誘導体、-SOH、スルホン酸誘導体、エポキシ基およびシアノ基よりなる群から選ばれる官能基)で示される構造単位であり、なかでも、
CH=CFCFORf-Z
(式中、RfおよびZは前記と同じ)から誘導される式(A1-1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000060
(式中、RfおよびZは式(A1)と同じ)で示される構造単位が好ましい。
より具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000061
(以上、Zは前記と同じ)などの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
また、
CF=CFORf-Z
(式中、RfおよびZは前記と同じ)から誘導される式(A1-2):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000062
(式中、RfおよびZは式(A1)と同じ)で示される構造単位も好ましく例示できる。
より具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000063
(以上、Zは前記と同じ)などの単量体から誘導される構造単位があげられる。
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
CF=CFCF-O-Rf-Z、CF=CF-Rf-Z
CH=CH-Rf-Z、CH=CHO-Rf-Z
(以上、-Rf-は前記の-Rf-と同じ;Zは前記と同じ)などがあげられ、より具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000064
(以上、Zは前記と同じ)などがあげられる。
(A2)官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位A2は含フッ素ポリマー又はその硬化物の屈折率を低く維持できる点で、さらに低屈折率化することができる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマーの機械的特性やガラス転移温度などを調整でき、特に構造単位Lと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
この含フッ素エチレン性単量体の構造単位(A2)としては、式(A2):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000065
(式中、X15、X16およびX18は同じか又は異なりH又はF;X17はH、F又はCF;h1、i1およびjは同じか又は異なり0又は1;ZはH、F、Cl又は炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐鎖状パーフルオロアルキル基;Rfは炭素数1~20の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数2~100のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)で示されるものが好ましい。
具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000066
などの単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
特に、これらは硬化性含フッ素ポリマー又はその硬化物の屈折率を低く維持できる点から、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位であることが好ましい。
(A3)フッ素を有する脂肪族環状の構造単位
この構造単位A3を導入すると、透明性を高くでき、また、高ガラス転移温度の含フッ素ポリマーが得られ、硬化物にさらなる高硬度化が期待できる点で好ましい。
含フッ素脂肪族環状の構造単位A3としては式(A3):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000067
(式中、X19、X20、X23、X24、X25およびX26は同じか又は異なりH又はF;X21およびX22は同じか又は異なりH、F、Cl又はCF;Rfは炭素数1~10の含フッ素アルキレン基又は炭素数2~10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;n2は0~3の整数;n1、n3、n4およびn5は同じか又は異なり0又は1の整数)で示されるものが好ましい。
例えば、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000068
(式中、Rf、X21およびX22は前記と同じ)で示される構造単位があげられる。
具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000069
(式中、X19、X20、X23およびX24は前記と同じ)などがあげられる。
そのほかの含フッ素脂肪族環状構造単位としては、例えば
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000070
などがあげられる。
(A4)フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位
構造単位A4を導入することによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、例えば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できる。
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系又はビニルエステル系単量体:
CH=CHOR、CH=CHOCOR10(R10:炭素数1~20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH=CHCHCl、CH=CHCHOH、CH=CHCHCOOH、CH=CHCHBrなど
アリルエーテル系単量体:
CH=CHCHOR10(R10:炭素数1~20の炭化水素基)、
CH=CHCHOCHCHCOOH、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000071
アクリル系又はメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類など
などがあげられる。
これらの非フッ素系エチレン性単量体の水素原子を重水素原子に一部又は全部置換したものは透明性の点でより好ましい。
(A5)脂環式単量体から誘導される構造単位
構造単位M、Nの共重合成分として、より好ましくは構造単位M、Nと上述の含フッ素エチレン性単量体又は非フッ素エチレン性単量体(上述のA3、A4)の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位A5を導入してもよく、それによって高ガラス転移温度化や高硬度化が図られる。
脂環式単量体A5の具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000072
(mは0~3の整数;A、B、CおよびDは同じか又は異なり、H、F、Cl、COOH、CHOH又は炭素数1~5のパーフルオロアルキル基など)で示されるノルボルネン誘導体、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000073
などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などがあげられる。
含フッ素ポリマー(B)は、構造単位Lのみからなる重合体であってもよいし、構造単位Lと構造単位Aとからなる共重合体であってもよい。また、構造単位Lとしては、構造単位Mのみであってよいし、構造単位Nのみであってもよいし、含フッ素ポリマー(B)は、構造単位Mと構造単位Nの両方が、含フッ素ポリマー(B)中に含まれていてもよい。また、構造単位M、構造単位N、及び構造単位Aからなる共重合体であってもよい。
含フッ素ポリマーが構造単位Lのみからなる場合、基材との密着耐久性を付与する機能、さらには被膜の高硬度化を付与できるといった点で有利である。
また含フッ素ポリマーが共重合体である場合、構造単位Lは、含フッ素ポリマー(B)を構成する全構造単位に対し0.1モル%以上であればよいが、硬化(架橋)により高硬度で耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、耐薬品性、耐溶剤性に優れた硬化物を得るためには、2モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であることが好ましい。
特に耐熱性、透明性、低吸水性に優れた硬化物の形成が必要な用途においては、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには30モル%以上、特には40モル%以上含有することが好ましい。また、構造単位Lは、含フッ素ポリマー(B)を構成する全構造単位に対し100モル%未満であることが好ましい。
含フッ素ポリマー(B)の分子量は、例えば数平均分子量において500~1,000,000の範囲から選択できるが、好ましくは1,000~500,000、特に2,000~200,000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、特に硬化物が脆く強度不足となりやすい。分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすく、また含フッ素ポリマー(B)の貯蔵安定性も不安定になりやすい。最も好ましくは数平均分子量が5,000~100,000の範囲から選ばれるものである。
数平均分子量は、ポリスチレンに準拠してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
含フッ素ポリマー(B)は、例えば、構造単位Lからなり、必要に応じて、更に構造単位Aからなり、含フッ素ポリマーを構成する全構造単位に対して、構造単位Lを0.1~100モル%、および構造単位Aを0~99.9モル%含む数平均分子量が500~1,000,000である含フッ素ポリマーであってもよい。この場合、構造単位Lは、構造単位Mが0.1~100モル%であり、構造単位Nが0~99.9モル%であってもよいし、構造単位Nが0.1~100モル%であり、構造単位Mが0~99.9モル%であってもよい。
含フッ素ポリマー(B)としてはまた、構造単位Lからなり、必要に応じて、更に、構造単位A1及び構造単位A2からなり、含フッ素ポリマー(B)を構成する全構造単位に対して、構造単位Lが0.1~90モル%、構造単位A1が0~99.9モル%および構造単位A2が0~99.9モル%であり、かつ構造単位A1と構造単位A2との合計が、10~99.9モル%であり、数平均分子量が500~1,000,000であることも好ましい形態の一つである。
含フッ素ポリマー(B)における構造単位Lの含有量は、含フッ素ポリマーを構成する全構造単位に対し0.1モル%以上であればよいが、硬化(架橋)により高硬度で耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、耐薬品性、耐溶剤性に優れた硬化物を得るためには2モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。特に耐熱性、透明性、低吸水性に優れた硬化被膜の形成が必要な用途においては、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには50モル%以上含有することが好ましい。上限は100モル%未満である。
構造単位A1およびA2の含有量はいずれも99.9モル%以下である。また、A1+A2の合計モル%は10~99.9モル%とする。10モル%未満の場合は屈折率が低く維持できず、さらに硬化後の被膜硬度が低くなる傾向となり好ましくない。より好ましいA1+A2の合計モル%は20モル%以上、さらには30モル%以上であり、60モル%以下、さらには50モル%以下である。また、90モル%以下であってもよいし、80モル%以下であってもよいし、50モル%以下であってもよい。
含フッ素ポリマー(B)において、構造単位L〔構造単位M(M1、M2、及びM3)と構造単位N(N1、N2、及びN3)〕と、構造単位A(A1及びA2)との組合せや組成比率は、構造単位Mと構造単位Nと構造単位Aの組合せが、上記の例示から、目的とする用途、物性(特にガラス転移温度、硬度など)、機能(透明性)などによって種々選択すればよい。
含フッ素ポリマー(B)の分子量は、例えば数平均分子量において500~1,000,000の範囲から選択できるが、好ましくは1,000~500,000、特に2,000~200,000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、特に硬化物や硬化膜が脆く強度不足となりやすい。分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすく、また含フッ素ポリマーの貯蔵安定性も不安定となりやすい。最も好ましくは数平均分子量が5,000から100,000の範囲から選ばれるものである。
含フッ素ポリマー(B)は、汎用溶剤に可溶であることが好ましく、例えばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種に可溶又は汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。
汎用溶剤に可溶であることは、特に、被膜を形成するプロセスにおいて3μm以下、例えば約0.1μm程度の薄膜形成が必要な際、成膜性、均質性に優れるため好ましく、生産性の面でも有利である。
上記含フッ素ポリマー(B)は、
(1)Rfを有する単量体を予め合成し、重合して得る方法
(2)一旦、他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により官能基変換し、官能基Rfを導入する方法
(3)(1)と(2)の両方の方法を用いて導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
これらの方法のうち、(3)の方法は含フッ素ポリマー側鎖末端の炭素―炭素二重結合を硬化反応させずに、本発明の加水分解性金属アルコキシド部位を有する硬化性フッ素ポリマーを得る点から(3)の方法が好ましい。
上記含フッ素ポリマー(B)は、例えば、国際公開第02/18457号パンフレット、特開2006-027958号公報に記載の方法により製造することができる。
重合方法としては、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などが例示でき、加水分解性金属アルコキシド部位を有する重合体を得るために例示した単量体は組成や分子量などの品質のコントロールがしやすい点や工業化しやすい点からラジカル重合法が特に好ましい。
構造単位Lを与える含フッ素エチレン性単量体は、下記式:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000074
(式中、XおよびXは同じか又は異なり、H又はF;XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H、F又はCF;Rfは上記と同じである。;aは0~3の整数;bおよびcは同じか又は異なり、0又は1)で示される単量体である。上記の単量体において、X、X、X、X、X、a、b、c、及びRfにおける好ましい形態は上記したものと同じである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、化合物(A)と含フッ素ポリマー(B)との合計質量に対して、化合物(A)が50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、化合物(A)が60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上である。化合物(A)が少なすぎると、耐熱性や透明性に劣るおそれがある。また、化合物(A)と含フッ素ポリマー(B)との合計質量に対して、含フッ素ポリマー(B)は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。含フッ素ポリマー(B)が少なすぎると、誘電率が高くなり可撓性に劣るおそれがある。
硬化性樹脂組成物は、化合物(A)及び含フッ素ポリマー(B)以外に、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤は、上記含フッ素ポリマー(B)を溶解可能なものであることが好ましい。
有機溶剤としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、含フッ素ポリマー(B)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。
フッ素系の溶剤としては、例えばCHCClF(HCFC-141b)、CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物(HCFC-225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ-ノナフルオロブタン、1,3-ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000075
などのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCFCFClCFCFClなどがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。
これらのなかでも、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及び芳香族系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の溶剤が好ましく、より具体的には、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、2-ヘプタノン(MAK)及び乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤が、塗装性、塗布の生産性などの面で好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、硬化開始剤を含むことが好ましい。特に、上記Yが、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基であるYである場合に、硬化開始剤を含むことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化開始剤としては、光ラジカル発生剤、熱ラジカル発生剤等が挙げられる。例えば、活性エネルギー線硬化開始剤のほか、加熱硬化や常温2液硬化系の硬化剤が使用できる。比較的低温で硬化反応が可能である点からは、活性エネルギー線硬化開始剤が好ましい。上記Yの種類(ラジカル反応性か、カチオン(酸)反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択される。
活性エネルギー線硬化開始剤は、例えば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外線、電子線、X線、γ線などの活性エネルギー線を照射することによって初めてラジカルやカチオン(酸)などを発生し、含フッ素ポリマー(B)の架橋基(例えば炭素-炭素二重結合)の硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外線でラジカルやカチオン(酸)を発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。
上記Yが、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応を開始できるため好ましい。
紫外線領域の活性エネルギー線を用いて硬化させる場合、硬化開始剤としては、例えばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α-アミノアセトフェノンなど
ベンゾイン系
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど
ベンゾフェノン系
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ-プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなど
チオキサンソン類
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど
その他
ベンジル、α-アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3-ケトクマリン、2-エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
また、カチオン(酸)反応性の開始剤(光酸発生剤)としては、つぎのものが例示できる。
オニウム塩
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など
スルホン化合物
β-ケトエステル、β-スルホニルスルホンとこれらのα-ジアゾ化合物など
スルホン酸エステル類
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど
その他
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など
本発明の硬化性樹脂組成物において、硬化開始剤の添加量は、含フッ素ポリマー(B)中の架橋基の含有量、化合物(A)が架橋性基を有する場合には、その架橋性基の含有量、さらには用いる硬化開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、例えば、硬化開始剤は、化合物(A)及び含フッ素ポリマー(B)の合計100質量部に対して0.01~30質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.05~20質量部であり、更に好ましくは、0.1~10質量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことも好ましい。特に、上記Yが、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である場合に、硬化剤を含むことが好ましい。
硬化剤としては、炭素-炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカル又は酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系モノマーなどのラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系モノマーなどのカチオン重合性の単量体があげられる。これら単量体は、炭素-炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素-炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。
これらの炭素-炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の組成物中の活性エネルギー線硬化開始剤と光などの活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の組成物中の含フッ素ポリマー(B)の側鎖の炭素-炭素二重結合と共重合によって架橋することができるものである。
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などを有する(メタ)アクリル酸エステル類などが例示される。
なかでも硬化物の屈折率を低く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、例えば一般式:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000076
(XはH、CH又はF、Rfは炭素数2~40の含フッ素アルキル基又は炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表わされる化合物が好ましい。
具体的には、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000077
などがあげられる。
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオールなどの多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α-フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。
具体的には、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α-フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物があげられる。
また、含フッ素アルキル基、エーテル結合を含む含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基又はエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α-フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、特に硬化物の屈折率を低く維持できる点で好ましい。
具体例としては、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000078
などの一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基又はα-フルオロアクリレート基に置き換えた構造のものが好ましくあげられる。
また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の組成物に用いる場合、なかでも特にα-フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
本発明の組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤の添加量は、含フッ素ポリマー(B)中の炭素-炭素二重結合の含有量、上記硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる硬化開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、含フッ素ポリマー(B)100重量部に対して0.01~30重量部、さらには0.05~20重量部、最も好ましくは、0.1~10重量部である。
詳しくは、含フッ素ポリマー(B)中に含まれる炭素-炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05~50モル%、好ましくは0.1~20モル%、最も好ましくは、0.5~10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、含フッ素ポリマー(B)中に含まれる炭素-炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素-炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05~50モル%、好ましくは0.1~20モル%、最も好ましくは0.5~10モル%である。
硬化剤を使用する場合、硬化剤の使用量は目的とする硬度や屈折率、硬化剤の種類、使用する硬化性含フッ素ポリマーの硬化性基の含有量などによって適宜選択され、望ましくは硬化性含フッ素ポリマーに対して、1~80重量%、好ましくは5~70重量%、より好ましくは10~50重量%である。硬化剤の添加量が多すぎると屈折率が高くなる傾向にあり、好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、中空微粒子を含んでもよい。本発明の硬化性樹脂組成物が屈折率の低い中空微粒子を含むことによって、屈折率を低下させることができる。
上記中空微粒子は、屈折率を低下させるために配合される成分である。上記中空微粒子の屈折率の上限は、例えば、1.48である。中空微粒子は、屈折率が1.45以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましい。屈折率が高すぎると、CCDモジュールの封止剤等、用途によっては使用が困難となる場合がある。上記範囲であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる薄膜の屈折率を低くすることができる。屈折率の下限は、例えば、1.15である。中空微粒子の屈折率は、特許第3761189号や特許第4046921号記載の方法で測定することができる。
中空微粒子は、気孔率が1~60%であることが好ましく、2~40%であることがより好ましい。中空微粒子の気孔率は、上記の方法で求めた屈折率を用いて、例えばシリカの中空微粒子の場合であれば、純粋なSiOの屈折率(1.45)との差から、空気に換算して含まれている空隙を算出して求めることができる。
中空微粒子は、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる封止部材(保護層)や反射防止膜の光学特性が特に良好な点から、1~150nm、さらには10~80nmであることが好ましい。
中空微粒子としては、中空シリカ微粒子であることが好ましい。中空シリカ微粒子は、特開2002-277604号公報、特開2002-265866号公報などで使用されている公知の材料である。
具体的には、特開2004-203683号公報、特開2006-021938号公報などに記載されている中空シリカ微粒子が使用できる。好ましいものとして、日揮触媒化成工業(株)製のスルーリアが例示できる。
中空シリカ微粒子は、含フッ素ポリマー(B)100質量部に対し、1~1000質量部、さらには3~250質量部であることが好ましく、特に5~150質量部であることが好ましい。この範囲で配合するとき、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる薄膜の屈折率を低くすることができ、CCDモジュールの封止剤に好適である。また、耐熱性および耐薬品性などの特性が特に優れたものになる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したものの他に、必要に応じて種々の添加剤を含むものであってもよい。
添加剤としては、例えばシランカップリング剤、可塑剤、変色防止剤、酸化防止剤、無機充填剤、レベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の硬度を高め、また屈折率の制御を行う目的で無機化合物の微粒子又は超微粒子を含むものであってもよい。
無機化合物微粒子としては特に限定されないが、屈折率が1.5以下の化合物が好ましい。具体的にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)、酸化珪素(屈折率1.46)、フッ化アルミニウム(屈折率1.33~1.39)、フッ化カルシウム(屈折率1.44)、フッ化リチウム(屈折率1.36~1.37)、フッ化ナトリウム(屈折率1.32~1.34)、フッ化トリウム(屈折率1.45~1.50)などの微粒子が望ましい。微粒子の粒径については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には300nm以下、特に100nm以下が好ましい。
無機化合物の微粒子又は超微粒子によって、空隙を形成することが可能である。すなわち、本発明の組成物に無機化合物の微粒子又は超微粒子を配合させた被膜は、この空隙を利用して被膜単体の屈折率よりもさらに低屈折率にすることが可能である。
無機化合物微粒子を使用する際は、組成物中での分散安定性、低屈折率材料中での密着性などを低下させないために、予め有機分散媒中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性、低屈折率材料中での密着性などを向上させるために、予め無機微粒子化合物の表面を各種カップリング剤などを用いて修飾することができる。各種カップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン又はこれらの混合物などの金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物などがあげられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機溶剤に対して含フッ素ポリマー(B)又は添加物がディスパージョン状のものでも、溶液状のものでもよいが、均一な薄膜を形成する観点からは、比較的低温で成膜が可能となる点で、均一な溶液状であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、形成された膜が0.1~5μmとなるために相応の粘度、すなわち1~10cp程度であることが好ましい。その為に全質量に対して、化合物(A)及び含フッ素ポリマー(B)の質量の合計が、10~100質量%であることが好ましい。より好ましくは、20~50質量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、液体の化合物(A)に、含フッ素ポリマー(B)、並びに、必要に応じて硬化開始剤、架橋剤、その他の添加剤を添加して、必要に応じて撹拌して混合することにより、製造することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、架橋、例えば熱架橋又は光架橋させることによって、硬化物を形成することが可能である。硬化物は、本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布し、乾燥し、そののち、焼成することで架橋させてもよいし、紫外線、電子線又は放射線などの活性エネルギー線を照射することによって光硬化させて形成してもよい。本発明は、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
上記硬化物は、屈折率が1.35以下であることが好ましい。例えば、本発明の硬化性樹脂組成物からは、膜厚が1~10μmであり、屈折率が1.35以下であり、ヘイズ値が5%以下である薄膜を製造することできる。しかも、このような低い屈折率及びヘイズ値は、125℃で1000時間の耐熱性試験、85℃かつ湿度85%で500時間の耐熱性試験、265℃で10分間の耐熱性試験を実施した後でも変動することがない。更に、1000ルックスに一時間暴露する耐光性試験後でも変動しない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物を種々の形態で各種の用途に利用できる。
例えば硬化膜を形成して各種用途に利用できる。膜を形成する方法としては用途に応じた適切な公知の方法を採用することができる。例えば膜厚をコントロールする必要がある場合は、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、膜形成に用いてもよいが、各種成形品の成形材料として特に有用である。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、トランスファー成形、光造形、ナノインプリント、真空成形などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光学素子封止用であることが好ましい。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、光学素子に使用される封止剤として好適に使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、封止剤であることが好ましい。例えば、フォトトランジスター、フォトダイオード、CCDなどの受光素子、LED、有機ELなどの発光素子、EPROM等の半導体素子(光半導体素子)などに用いられる封止剤であることが好ましい。上記封止剤を硬化させて封止部材(硬化物)を得ることができる。本発明の硬化物は、光学素子用の封止部材であることが好ましく、特に、受光素子用又は発光素子用の封止部材であることが好ましい。
図1は、CCDモジュールの構造の一例を示す断面模式図である。図1に示す構造のCCDモジュールは、CCD素子部12に到達する光が封止剤層13を通過することになるため、該封止剤層13には、低屈折率であり、透明性が高いことが要求される。本発明の硬化性樹脂組成物は、低屈折率であり、かつ透明性が高い薄膜を形成することができるため、上記CCDモジュールに適用する封止剤形成用の封止材料として好適である。
図2(a)~(f)は、CCDモジュールの製造フローを簡略的に示したフロー図である。以下に、CCDモジュールの製造方法について、図2(a)~(f)を用いて説明する。まず、図2(a)のように、シリコンウェハー21を準備し、その上に、CCD素子部22を作成する(図2(b))。次に、CCD素子部22上に、スピンコート等の塗布方法を用いて本発明の硬化性樹脂組成物を塗布して封止剤層23を作成する(図2(c))。その後、封止剤層23上にガラス24を積層し(図2(d))、その後、図2(e)に示すように、ダイシングを行い、CCD素子を製造する。
その後、RIE等を用いた異方性エッチングによりシリコンウェハー21に穴を形成し、シリコンウェハー21裏面に貫通電極25を形成する。このようにして製造された半導体チップを外部に接続する電極26に接着して、図2(f)に示すCCDモジュールを製造することができる。
LED、有機ELなどの発光素子の封止部材としては、直接封止するものであってもよい。また、例えば、従来用いられているエポキシ系やシリコーン系の封止部材を用いて素子を封止後、本発明の硬化性樹脂組成物を最表面に積層することで、発光デバイスから空気層に向けて屈折率が段階的に減少していく構造にしてもよい。例えば屈折率1.57のエポキシ封止樹脂で封止した場合、空気界面でのフレネル反射に基づくロスは4.92%と計算される。このエポキシ封止樹脂の最表面に本発明の硬化性樹脂組成物を用いて屈折率1.32の層を形成させたとすると、界面の数は増えるが、トータルのフレネル反射は2.65%と計算され、反射ロスを大きく減少させることが可能になり、その結果、発光素子からの光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
本発明の硬化性樹脂組成物はまた、基材上に低反射性を付与する薄膜を有する被覆物品に好適に用いられる。基材としては、例えばガラス、石材、コンクリート、タイルなどの無機材料;鉄、アルミ、銅などの金属;木、紙、印刷物、印画紙、絵画などをあげることができる。
また上記基材としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの合成樹脂基材などもあげることができる。
基材の中でも液晶ディスプレイ(LCD)表示用のアンチグレア基材は表面が微細な無機微粒子でコーティングされており好ましく用いられ、効果的に防眩性かつ低反射効果を発揮できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、以下のような形態の物品に適用した場合にも効果的である。
プリズム、レンズシート、偏光板、光学フィルター、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、背面投写型ディスプレイのスクリーン、縮小投影型露光機レンズ、光ファイバーや光カプラーなどの光学部品;ショーウインドーのガラス、ショーケースのガラス、広告用カバー、フォトスタンド用のカバーなどに代表される透明な保護版;CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、背面投写型ディスプレイなどの保護板;光磁気ディスク、CD・LD・DVDなどのリードオンリー型光ディスク、PDなどの相転移型光ディスク、ホログラム記録などに代表される光記録媒体;フォトレジスト、フォトマスク、ペリクル、レチクルなどの半導体製造時のフォトリソグラフィー関連部材;ハロゲンランプ、蛍光灯、白熱電灯などの発光体の保護カバー;上記物品に貼り付けるためのシート又はフィルム。
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記のような形態の物品に適用した場合には接着剤としても好適である。
半導体装置のキャリア用テープ・基板、リードフレーム、プリント基板、モジュール基板などの配線基板や配線シート、さらにパッケージ用基板の表面層あるいは層間絶縁層表面。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて、物品の特定部分以外の部分に薄膜を形成し、その特定部分の形状を反射光によって浮かび上がらせることにより、物品の装飾性を向上させることも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物のより好ましい構成としては、例えばつぎのものが例示できるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(例I)
有機ケイ素化合物(A)成分:加水分解縮合性シラン化合物
含フッ素ポリマー(B)成分:側鎖にシランカップリング基を持つ構造単位L2からなるホモポリマー、若しくは、構造単位L2、及び構造単位Nからなる共重合体(例えば、(L2)-(N)の構造を有する共重合体)
溶剤:ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、含フッ素アルコール系溶剤、又は芳香族系溶剤
組成割合
(A)成分100質量部(固形分)に対して、(B)成分を1~50質量部
溶剤:必要に応じて適量
(例II)
有機ケイ素化合物(A)成分:加水分解縮合性シラン化合物
含フッ素ポリマー(B)成分:側鎖にラジカル重合性基を持つL2のホモポリマー、若しくは、構造単位L2、及び構造単位Nからなる共重合体(例えば、(L2)-(N)の構造を有する共重合体)
硬化剤(架橋剤):ラジカル性架橋基と加水分解性シランカップリング基を持つ化合物
硬化開始剤:紫外光ラジカル発生剤
溶剤:ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、含フッ素アルコール系溶剤、又は芳香族系溶剤
組成割合
(A)成分100質量部(固形分)に対して、(B)成分を1~50質量部、架橋剤を0.1~10質量部、開始剤を0.01~0.5質量部、溶剤を必要に応じて適量
つぎに本発明を合成例、製造例および実施例などに基づいて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、物性の評価に使用した装置および測定条件は以下のとおりである。
(1)NMR:BRUKER社製
H-NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F-NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
(2)IR分析:PERKIN ELMER社製のFT-IR SPECTROMETER 1760X
(3)重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mn:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による。昭和電工(株)製のShodex GPC-104を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF-604を1本、GPC KF-603を1本、GPC KF-602を2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.5ml/分で流して測定したデータより算出する。
合成例1(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
攪拌装置および温度計を備えた100mLのガラス製四ツ口フラスコに、下記式:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000079
で表されるパーフルオロ(1,1,9,9-テトラハイドロ-2,5-ビストリフルオロメチル-3,6-ジオキサノネノール)を20g、下記式:
[H-(CFCF-COO-]
で表される化合物の8.0質量%パーフルオロヘキサン溶液を21.2g入れ、十分に窒素置換を行った後、窒素気流下20℃で24時間攪拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、重合体17.6gを得た。この重合体を19F-NMR、H-NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルに由来する構造単位のみからなり、側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
合成例2(α-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
還流冷却器、温度計、攪拌装置、滴下漏斗を備えた200mLの四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル80mL、合成例1で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン1.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。窒素気流下、攪拌を行いながら、さらに、ジエチルエーテル20mLにα-フルオロアクリル酸フルオライド〔CH=CFCOF〕1.2gを溶解したものを、約30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間攪拌を継続した。反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗を繰返したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ついでエーテル溶液を濾過により分離した。このエーテル溶液を19F-NMR分析により調べたところ、〔-O-COCF=CH基含有含フッ素アリルエーテル〕/〔OH基含有含フッ素アリルエーテル〕=50/50モル%の共重合体を含んでいた。また、NaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、炭素-炭素二重結合の吸収が1661cm-1に、C=O基の吸収が1770cm-1に観測された。得られたα-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を反応物をn-ヘキサン100ml中に投入し沈殿物を分取。室温減圧下で乾燥することで目的のポリマーを得た。
合成例3(α-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
α-フルオロアクリル酸フルオライド〔CH=CFCOF〕を2.5gとした以外は合成例2と同様に処理し-O-COCF=CH基含有含フッ素アリルエーテルのホモポリマーを得た。
合成例4(トリエトキシシラン基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
温度計、攪拌装置、滴下漏斗を備えた300mLの四ツ口フラスコに、MIBK150mL、合成例1で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体20.0gと、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン17.4gを仕込み5℃以下に氷冷した。窒素気流下、攪拌を行いながら、さらにラウリルジブチルスズ18mgを加えた後、室温まで温度を上げさらに4.0時間攪拌を継続した。NaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、水酸基の吸収が消失し、反応が完了したことが確認できた。反応物をn-ヘキサン1L中に投入し沈殿物を分取。室温減圧下で乾燥することで、下記式で表される目的のポリマーを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000080
合成例5(トリエトキシシラン基とα-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
合成例3で得られたα-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素アリルエーテルの単独重合体20.0gと、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン8.7gを合成例4と同様に反応させることにより、トリエトキシシラン基とα-フルオロアクリロイル基が50:50であるポリマーを得ることができた。
実施例1
合成例4で得られたポリマー含有のMIBK溶液20gに、テトラエトキシシラン(TEOS)36g、MIBK54gを加え充分攪拌して熱加水分解型絶縁膜材料溶液を調製し、〔TEOS/合成例4で得られたポリマー〕=9/1であり、TEOSと合成例4で得られたポリマーとの合計が40wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例2
合成例4で得られたポリマー含有のMIBK溶液10g、TEOS18g、MIBK72gを実施例1と同様にして調製し、〔TEOS/合成例4で得られたポリマー〕=9/1であり、TEOSと合成例4で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例3
合成例4で得られたポリマー含有のMIBK溶液40g、TEOS32g、MIBK28gを実施例1と同様に調製し、〔TEOS/合成例4で得られたポリマー〕=4/1であり、TEOSと合成例4で得られたポリマーとの合計が40wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例4
合成例4で得られたポリマー含有のMIBK溶液20g、TEOS16g、MIBK64gを実施例1と同様に調製し、〔TEOS/合成例4で得られたポリマー〕=4/1であり、TEOSと合成例4で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例5
合成例2で得られたポリマー含有のMIBK溶液13.3gにTEOS17.5g、トリプロポキシプロピルメタクリレート0.5g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK68.7gを加え室温で充分攪拌して紫外熱加水分解型絶縁膜材料溶液を調製し、〔TEOS/合成例2で得られたポリマー〕=9/1であり、TEOSと合成例2で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例6
合成例2で得られたポリマー含有のMIBK溶液26.7g、TEOS15.5g、トリプロポキシプロピルメタクリレート0.5g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK57.3gを実施例5と同様に調製し、〔TEOS/合成例2で得られたポリマー〕=4/1であり、TEOSと合成例2で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例7
合成例5で得られたポリマー含有のMIBK溶液20.0gにTEOS36.0g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK68.7gを実施例5と同様に調製し、〔TEOS/合成例5で得られたポリマー〕=9/1であり、TEOSと合成例5で得られたポリマーとの合計が40wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例8
合成例5で得られたポリマー含有のMIBK溶液13.3gにTEOS17.5g、トリプロポキシプロピルメタクリレート0.5g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK68.7gを実施例5と同様に調製し、〔TEOS/合成例5で得られたポリマー〕=9/1であり、TEOSと合成例5で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例9
合成例5で得られたポリマー含有のMIBK溶液40.0g、TEOS18.0g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK28.0gを実施例5と同様に調製し、〔TEOS/合成例5で得られたポリマー〕=4/1であり、TEOSと合成例5で得られたポリマーとの合計が40wt%であるMIBK溶液を得た。
実施例10
合成例5で得られたポリマー含有のMIBK溶液26.7g、TEOS16.0g、重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK57.3gを実施例5と同様に調製し、〔TEOS/合成例5で得られたポリマー〕=4/1であり、TEOSと合成例5で得られたポリマーとの合計が20wt%であるMIBK溶液を得た。
比較例
合成例2で得られたα-フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマー5.6gと重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティー製)0.1g、MIBK22.4gを実施例5と同様に調製し、合成例2で得られたポリマーが20wt%であるMIBK溶液を得た。
試験例1(硬化条件および硬化物の外観評価)
実施例1~10及び比較例で得られた組成物のそれぞれを、スピンコーターを用いて、はじめに300rpmで3秒間、ついで4000rpmで20秒間ウェハーを回転させながら塗布し、乾燥後、1~2μmの膜厚になるように調整しながら被膜を形成した。
上記方法で得られた被膜を、ホットステージを用いて120℃で1時間の条件で熱硬化させたところ、IRでSi-OHの吸収が確認できたので、さらに、200℃、10分の条件で加熱した結果、Si-OHの吸収が消え、透明な硬化膜が得られた。
また、実施例5~10及び比較例1で得られた組成物を使用した場合、熱硬化後の被膜に高圧水銀灯を用い、室温にて1J/cmの強度で紫外線を照射し光硬化させた。外観を目視で確認した。結果を表1に示す。
目視確認による判定基準を以下に示す。
○:透明
△:一部白濁
×:全体白濁
試験例2
試験例1で得られたそれぞれの硬化膜について、ガラス転移温度(Tg)および熱分解温度(Td)を測定した。結果を表1に示す。
ガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(SEIKO社製、RTG220)を用いて、30℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温-降温-昇温(2回目の昇温をセカンドランと呼ぶ)させて得られるセカンドランにおける吸熱曲線の中間点をTg(℃)とする。
熱分解温度(Td):
島津製作所製TGA-50型熱天秤を用い、10℃/分の昇温速度で1%質量減少の始まる温度を測定する。
試験例3
実施例1~10及び比較例で得られた組成物(MIBK溶液)を用いて、つぎの方法により、硬化膜の透過率ならびに屈折率を測定した。結果を表1に示す。
試料の作製:
8インチのシリコンウェハー基板に、実施例1~10で得られた組成物のそれぞれを、スピンコーターを用いて、はじめに300rpmで3秒間、ついで4000rpmで20秒間ウェハーを回転させながら塗布し、乾燥後、1~2μmの膜厚になるように調整しながら被膜を形成した。
屈折率の測定:
分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製のVASE ellipsometer)を用いて各波長光における屈折率および膜厚を測定する。
試験例4(ヘイズ値および全光線透過率の測定)
実施例1~10又は比較例で得られた組成物をスピンコーターを用いて500rpm、30秒の条件で、スライドガラス上に塗布した。ホットステージを用いて120℃、1時間、200℃、10分の条件で加熱硬化させ、ヘイズ値、および全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000081
試験例5(耐久性評価)
試験例4で得られた硬化膜のうち、実施例3、6又は9で得られた組成物を使用して作製した硬化膜を、日立分光光度計 U-4100を用いて吸収スペクトルを測定した(初期値)。加熱硬化させて得られた塗膜は、可視帯域(400~650nm)において非常に高い透明性をしめした。
次に、以下の3種類の条件で塗膜の耐久性を評価した。
〔1〕265℃10分間の高温耐熱試験
〔2〕85℃、85%の高温高湿耐久試験(600時間経過後の吸収スペクトルを測定)
〔3〕125℃における乾熱耐久試験(1050時間経過後の吸収スペクトルを測定)265℃、10分間経過後(高温耐熱試験)、85℃、85%、600時間経過後(高温高湿耐久試験)、および、125℃、1050時間経過後(乾熱耐久試験)、の着色の有無、屈折率の変化、および、450nmおよび550nmにおける透過率の変化(初期値を100にしたときの相対値)を表2に示す。ほぼ、初期値を維持しており、高い耐久性が確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000082
本発明の組成物は、屈折率が低く、かつ透明性が高く、更には耐熱性に優れる薄膜を形成することができるため、CCDモジュール等の受光素子に用いる封止部材の原料として特に好適である。
11、21:シリコンウェハー
12、22:CCD素子部
13、23:封止剤層
14、24:ガラス
15、25:貫通電極
16、26:外部に接続する電極
 

Claims (11)

  1. 有機ケイ素化合物(A)、及び、
    下記式(L):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (式中、XおよびXは同じか又は異なり、H又はF;XはH、F、CH又はCF;XおよびXは同じか又は異なり、H、F又はCF;Rfは、アミド結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数1~40の含フッ素炭化水素基、又は、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合若しくはウレア結合を有していてもよい炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素炭化水素基であって、水素原子の1~3個がY(Yは、末端に炭素数1~30の加水分解性金属アルコキシド部位を少なくとも1個含む1価の有機基、又は、末端にエチレン性炭素-炭素二重結合を有する炭素数2~10の1価の有機基である。)で置換されている有機基;aは0~3の整数;bおよびcは同じか又は異なり、0又は1である。)で示される構造単位を有する含フッ素ポリマー(B)、
    からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 有機ケイ素化合物(A)は、下記式(1):
    {Si(R(R(R(R(R  (1)
    (式中、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルコキシル基、アミノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のアリール基、炭素数1~10のアリル基、又はグリシジル基である。Rは、同一又は異なり、-O-、-NH-、-C≡C-、又は、シラン単結合である。s、t、u及びvは、同一又は異なり0又は1であり、wは0~4の整数であり、nは1~20である。nが1である場合、s+t+u+vは4であり、wは0である。nが2~20である場合、s+t+u+vは、同一又は異なり0~4であり、wは、同一又は異なり0~4であり、wが1以上の整数である場合、少なくとも2個のSiはRを介して、直鎖、梯子型、環状、又は複環状に結合している。)で表される化合物(A1)である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 有機ケイ素化合物(A)は、テトラアルコキシシランである請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 有機ケイ素化合物(A)と含フッ素ポリマー(B)との合計質量に対して、有機ケイ素化合物(A)が50質量%以上である
    請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 有機溶剤を含む請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 光学素子封止用である請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  8. 屈折率が1.35以下である請求項7記載の硬化物。
  9. 光学素子用の封止部材である請求項7又は8記載の硬化物。
  10. 光学素子が受光素子である請求項9記載の硬化物。
  11. 光学素子が発光素子である請求項9記載の硬化物。
     
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