JP5505405B2 - 含フッ素エラストマーおよび含フッ素エラストマーの製造方法 - Google Patents

含フッ素エラストマーおよび含フッ素エラストマーの製造方法 Download PDF

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本発明は、不飽和結合を有する基を主鎖末端および/または側鎖末端に含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、該硬化性組成物を架橋して得られる成形品に関する。
含フッ素エラストマーは、優れた耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性を示すことから、過酷な環境下でのシール材等として、自動車工業、半導体工業、化学工業等の分野において広く使用されている。
しかし、技術の進歩に伴い要求される特性はさらに厳しくなり、航空宇宙分野や半導体製造装置分野、化学プラント分野、自動車工業などの様々な分野において、より優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、加工性が求められている。
これらの種々の特性を強化するために、末端にビニル基またはアリル基が導入された含フッ素エラストマーからなる組成物と架橋剤からなる組成物が開発されている。
たとえば、特許文献1には、側方オレフィン二重結合を有するフルオロエラストマーと、シリコンオリゴマー、シリコンエラストマーまたはSi−H基含有フルオロシリコンエラストマーからなる化学的連結可能な混合物が開示されている。しかし、該側方オレフィン二重結合を有するフルオロエラストマーは、少量の少なくとも2つのオレフィン二重結合を含有するモノマー、たとえば、イソシアヌル酸アルケニル、シアヌル酸アルケニルおよび/または非共役ジエンを共重合することにより製造されるものであり、該方法では、二重結合の導入位置を制御することが困難であるため、主鎖末端にオレフィン二重結合を導入したフルオロエラストマーを得ることができない。
したがって、含フッ素エラストマーの末端に不飽和結合を有する部位を経済的にかつ簡便に導入する方法の開発が切望されている。
特開平6−192524号公報
本発明は、不飽和結合を有する基を主鎖末端および/または側鎖末端に含む含フッ素エラストマーの製造方法を提供する。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、該硬化性組成物を架橋して得られる成形品を提供する。
すなわち、本発明は、主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を含む含フッ素エラストマーに、一般式(1):
Figure 0005505405
(式中、Rは、同じかまたは異なり、一般式(2):
Figure 0005505405
(式中、X、X、Xは同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、−CY (Yは同じかまたは異なりフッ素原子または水素原子である)であり、Zは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子を含んでも良い炭素数1〜20のn価の有機基であり、nは2〜7の整数である)
で示される化合物を付加させて主鎖末端および/または側鎖末端に一般式(3):
Figure 0005505405
または、一般式(4):
Figure 0005505405
(式中R、X、X、X、Z、nは前記と同様であり、Yはヨウ素原子、臭素原子または水素原子である)
で示される部位を導入する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。
さらに、一般式(5)
Figure 0005505405
(式中、Rは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基、Xは同じかまたは異なり、加水分解性基、bは1〜3の整数)
で示されるオルガノハイドロジェンシランと触媒の存在下に反応させて、
前記一般式(3)または(4)で示される部位を、一般式(6):
−SiR 3―b (6)
で示される加水分解性シリル基を有する構造に変換する工程を含むことが好ましい。
さらに、一分子中に二つ以上の−SiH基を有する有機ケイ素化合物を触媒の存在下で反応させて、前記一般式(3)または(4)で示される部位を、−SiH基を有する構造に変換する工程を含むことが好ましい。
また、本発明は、一般式(7):
Figure 0005505405
(式中、Mはテトラフルオロエチレンおよび/またはビニリデンフルオライドからなる重合体であり、aは1以上の整数であり、Bは一般式(3):
Figure 0005505405
または、一般式(4):
Figure 0005505405
(式中、Rは、同じかまたは異なり、一般式(2):
Figure 0005505405
(式中、X、X、Xは同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、−CY (Yは同じかまたは異なりフッ素原子または水素原子である)、X、X、Xは前記と同様であり、Yはヨウ素原子、臭素原子または水素原子であり、Zは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子を含んでも良い炭素数1〜20のn価の有機基であり、nは2〜7の整数である)で示される含フッ素エラストマーに関する。
含フッ素エラストマーが、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムであることが好ましい。
本発明は、主鎖末端に、一般式(6):
−SiR 3−b (6)
(式中、Rは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基、Xは同じかまたは異なり、加水分解性基、bは1〜3の整数)
で示される加水分解性シリル基を有する部位を含むビニリデンフルオライド系フッ素ゴムからなる含フッ素エラストマーに関する。
数平均分子量が500〜500000であることが好ましい。
さらに、本発明は、含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物、および該硬化性組成物を架橋して得られる成形品に関する。
本発明の製造方法では、主鎖および/または側鎖の特定の部位、特に主鎖末端に不飽和基を導入することができ、導入位置を制御することができるものである。また、得られた含フッ素エラストマーは、主鎖末端および/または側鎖末端に不飽和結合を有する基を導入することができるため、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物を架橋することで、耐熱性が優れ、圧縮永久歪(CS)が小さい成形品を得ることができる。また、該含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物は、加工性に優れており、複雑な形状の成形品を形成することができる。また、該含フッ素エラストマーは、反応性の高い不飽和基を有するため、その不飽和基を変換し、異なる官能基を導入することも可能である。
本発明は、主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を含む含フッ素エラストマーに、一般式(1):
Figure 0005505405
(式中、Rは、同じかまたは異なり、一般式(2):
Figure 0005505405
(式中、X、X、Xは同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、−CY (Yは同じかまたは異なりフッ素原子または水素原子である)であり、Zは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子を含んでも良い炭素数1〜20のn価の有機基であり、nは2〜7の整数である)
で示される化合物を付加させて主鎖末端および/または側鎖末端に一般式(3):
Figure 0005505405
または、一般式(4):
Figure 0005505405
(式中R、X、X、X、Z、nは前記と同様であり、Yはヨウ素原子、臭素原子または水素原子である)
で示される部位を導入する工程を含む含フッ素エラストマーの製造方法に関する。
一般式(2)のX、X、Xは、同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、−CY (Yは同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子である)であるが、これらの中でも、導入する不飽和結合を有する基の耐熱性に優れる点からフッ素原子、−CFが好ましく、不飽和結合を用いてのヒドロシリル化反応による硬化反応の反応性に優れる点から、水素原子、−CHが好ましい。
Zは、炭素数1〜20のn価の有機基である。また、水素原子、フッ素原子、塩素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子を含んでも良い。
nは、2〜7の整数であり、2〜5の整数であることが好ましく、2〜3の整数であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。nが1であると、含フッ素エラストマーの末端に一般式(3)または(4)で示される部位を導入することができないものであり、7をこえると主鎖末端および/または側鎖末端に付加させる際に含フッ素エラストマーがゲル化する傾向がある。
具体的には、Zとしては、
Figure 0005505405
などをあげることができる。
一般式(1)で示される化合物としては、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリル−アクリルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−マロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニル−メチルトリシロキサン、N,N’−ビスアリルビシクロ−オクト−7−エン−ジスクシンイミド(BOSA)、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルジメチルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、N,N−ジアリル−2,2,2−トリフルオロアセトアミド、トリメタクリルイソシアネート、トリアリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、N,N’−ジアリル尿素、N,N−ジアリル−アセトアミド、一般式(8):
Figure 0005505405
(式中、Xはそれぞれ同じかまたは異なり、水素原子、塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはパーフルオロアルキル基であり、mは2〜20の整数であり、4〜12の整数であることが好ましく、4〜8の整数であることがより好ましい)
で示されるトリアジンのトリオレフィン、一般式(9):
Figure 0005505405
(式中、Xは、水素原子または炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基である)
で示される化合物、一般式(10):
Figure 0005505405
(式中、Xは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはパーフルオロアルキル基であり、mは2〜20の整数であり、4〜12の整数であることが好ましく、4〜8の整数であることがより好ましい)で示されるトリアジンのビスオレフィン、
Figure 0005505405
などがあげられる。
これらの中でも、一般式(1)で示される化合物としては、付加反応による導入の際の含フッ素エラストマーのゲル化を防ぐ観点から、n=2の化合物が好ましい。また、架橋点の耐熱性の点からは、ジアリルイソシアヌレート、N,N’−ジアリル尿素、イソシアヌル酸ジアリルメチルエステルが好ましい。一方、架橋点の凝集による含フッ素エラストマーの粘度上昇を防ぐためには、水素結合を生じない構造、例えば、−C(=O)NH−の構造を有しない化合物が好ましく、ジアリルジメチルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、N,N−ジアリル−2,2,2−トリフルオロアセトアミド、N,N−ジアリル−アセトアミド、イソシアヌル酸ジアリルメチルエステル、
Figure 0005505405
が好ましい。
本発明の製造方法では、一般式(1)で示される化合物を、主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を含む含フッ素エラストマーに付加させることで、一般式(3):
Figure 0005505405
または、一般式(4):
Figure 0005505405
(式中R、X、X、X、Z、nは前記と同様であり、Yはヨウ素原子、臭素原子または水素原子である)
で示される不飽和結合を有する部位へ経済的にかつ簡便に変換することが可能となる。
また、本発明の方法では、含フッ素エラストマーの主鎖末端および/または側鎖末端に特定の構造を介して、不飽和基を有する基を導入することができる。この導入は、一段階の反応で不飽和基を導入できるので、容易に不飽和基を導入することができ、Zの構造を変化させることにより、Zの構造に由来する所望の特性を含フッ素エラストマーに導入することができる。このような含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物を架橋することで、耐熱性が優れ、圧縮永久歪(CS)が小さい成形品を得ることができる。
本発明で用いる含フッ素エラストマーとしては、主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を含む含フッ素エラストマーであれば、とくに限定されるものではない。
主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を導入する方法としては、含フッ素エラストマーの重合時にヨウ素または臭素を有する単量体を共重合する方法や、後述するようなヨウ素移動重合により重合する方法などがあげられる。
含フッ素エラストマーとしては、フッ素ゴム(a)、熱可塑性フッ素ゴム(b)、およびこれらのフッ素ゴムからなるゴム組成物などがあげられるが、これらの中でも、フッ素ゴム(a)が好ましい。
フッ素ゴム(a)としては、非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)があげられる。なお、パーフルオロフッ素ゴムとは、その構成単位のうち、90モル%以上がパーフルオロモノマーからなるものをいう。
非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができるが、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムを用いることが好ましい。
ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとしては、下記一般式(11)で表されるものが好ましい。
−(M)−(M)−(N)− (11)
(式中、構造単位Mはビニリデンフルオライド(m)由来の構造単位であり、構造単位Mは含フッ素エチレン性単量体(m)由来の構造単位であり、構造単位Nは単量体(m)および単量体(m)と共重合可能な単量体(n)由来の繰り返し単位である)
一般式(11)で示されるビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムの中でも、構造単位Mを45〜85モル%、構造単位Mを55〜15モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位Mを50〜80モル%、構造単位Mを50〜20モル%である。構造単位Nは、構造単位Mと構造単位Mの合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体(m)としては、1種または2種以上の単量体が利用でき、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
単量体(n)としては、単量体(m)および単量体(m)と共重合可能なものであれば、いかなるものでもよいが、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
また、単量体(n)としては、架橋部位を与える単量体が好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、一般式(12):
CY =CY−R CHR (12)
(式中、Yは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、Rは、水素原子または−CH、Xは、ヨウ素原子または臭素原子)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(13):
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X (13)
(式中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、Xは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子、ヨウ素原子)で表される単量体、一般式(14):
CH=CH(CFI (14)
(式中、pは1〜10の整数)で表される単量体などがあげられ、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−217936号公報記載のCF=CFOCFCFCHIなどのヨウ素含有単量体、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
このようなビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとして、具体的には、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどが好ましくあげられる。
テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムとしては、下記一般式(15)で表されるものが好ましい。
−(M)−(M)−(N)− (15)
(式中、構造単位Mはテトラフルオロエチレン(m)由来の構造単位であり、構造単位Mはプロピレン(m)由来の構造単位であり、構造単位Nは単量体(m)および単量体(m)と共重合可能な単量体(n)由来の繰り返し単位である)
一般式(15)で示されるテトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムの中でも、構造単位Mを40〜70モル%、構造単位Mを60〜30モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位Mを50〜60モル%、構造単位Mを50〜40モル%含むものである。構造単位Nは、構造単位Mと構造単位Mの合計量に対して、0〜40モル%であることが好ましい。
単量体(n)としては、単量体(m)および単量体(m)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体であることが好ましい。たとえば、ビニリデンフルオライド、エチレンなどがあげられる。
パーフルオロフッ素ゴム(a−2)としては、下記一般式(16)で表されるものが好ましい。
−(M)−(M)−(N)− (16)
(式中、構造単位Mはテトラフルオロエチレン(m)由来の構造単位であり、構造単位Mはパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m)由来の構造単位であり、構造単位Nは単量体(m)および単量体(m)と共重合可能な単量体(n)由来の繰り返し単位である)
一般式(16)で示されるパーフルオロフッ素ゴム(a−2)の中でも、構造単位Mを50〜90モル%、構造単位Mを10〜50モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位Mを50〜80モル%、構造単位Mを20〜50モル%含むものであり、さらに好ましくは構造単位Mを55〜70モル%、構造単位Mを30〜45モル%含むものである。構造単位Nは、構造単位Mと構造単位Mの合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましく、0〜2モル%であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m)としては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
また、単量体(n)としては、単量体(m)および単量体(m)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体が好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、たとえばビニリデンフルオライド、一般式(12)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(13)で表される単量体、一般式(14)で表される単量体などがあげられ、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−217936号公報記載のCF=CFOCFCFCHIなどのヨウ素含有単量体、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
このヨウ素原子、臭素原子により、一般式(1)で示される化合物が付加反応することが可能になる。また、ビニル基、ヨウ素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が、架橋点として機能することができる。
かかるパーフルオロフッ素ゴム(a−2)の具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどがあげられる。
また、フッ素ゴム(a)は数平均分子量1000〜500000のものが好ましく用いられる。
一方、フッ素ゴム(a)は、常温で流動性を有するものであると、複雑な形状の成形品を容易に得ることができ、また、現場施工型の成形が可能となる点で好ましい。上記「常温」とは、0〜50℃を意味する。
具体的には、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)とは、常温における粘度が0.1〜2000Pa・sであることが好ましく、1〜1000Pa・sであることがより好ましい。粘度が、0.1Pa・s未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい傾向があり、2000Pa・sを超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。
さらに、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)は、常温におけるムーニー粘度が5〜100であるものが好ましく、50〜75であることがより好ましい。ムーニー粘度が、5未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい傾向があり、100を超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。前記ムーニー粘度は、JIS K 6300(1994年)に準拠して、ムーニー粘度計MV2000(モンサント社製)を用いて測定して得られる値である。
そして、常温で流動性を有するフッ素ゴム(a)は、数平均分子量が500〜20000であることが好ましく、900〜10000であることがより好ましい。数平均分子量が500未満であると、架橋による3次元網目構造の形成が困難となる傾向があり、20000を超えると、常温で流動性を有しない場合があり、複雑な形状の成形品を得ることが困難になる傾向がある。数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(東ソー(株)製 HLC−8020、ポリスチレン標準)により求めた値である。
以上説明した非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)は、常法により製造することができるが、得られる重合体は分子量分布が狭く、分子量の制御が容易である点、末端にヨウ素原子を導入することができる点から、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重合法が好ましい。たとえば、実質的に無酸素下で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記エチレン性単量体と、要すれば架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、水媒体中での乳化重合、あるいは溶液重合を行なう方法があげられる。使用するヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式(17):
Br (17)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で示される化合物などをあげることができる。このようなヨウ素化合物を用いて得られる含フッ素エラストマーの末端には、ヨウ素原子または臭素原子が導入される。
一般式(17)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨード置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどが好ましい。
本発明で使用するラジカル重合開始剤は、従来から含フッ素エラストマーの重合に使用されているものと同じものであってよい。これらの開始剤には有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)があげられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の約0.05〜2重量%が好ましく、とくに0.2〜1.5重量%が好ましい。
本発明で使用するモノマー混合ガスは、カルブ(G.H.Kalb)ら、アドヴァンシーズ・イン・ケミストリー・シリーズ(Advances in Chemistry Series.),129,13(1973)に記載されるように、爆発性を有するので、重合装置には着火源となるスパークなどが発生しないように工夫する必要がある。
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.5〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.8MPa以上であることが好ましい。
前記一般式(17)で表される化合物の添加量としては、含フッ素エラストマーの分子量を調整するために適宜変化させれば良いが、得られる含フッ素エラストマーの全重量の0.0001〜15重量%であればよい。
さらに、本発明においては、前述のようなフッ素ゴムからなる組成物を用いることもできる。
主鎖末端および/または側鎖末端にヨウ素または臭素を含む含フッ素エラストマーに一般式(1)で示される化合物を付加させる方法としては、とくに限定されるものではなく、含フッ素エラストマー、一般式(1)で示される化合物、溶媒などの種類により適宜最適な条件を選択すればよいが、50〜250℃、0.1〜20時間、反応させることが好ましい。
一般式(1)で示される化合物の添加量としては、含フッ素エラストマーのヨウ素または臭素の含有量に対して、1.2〜20倍モル量であることが好ましく、2〜10倍モル量であることがより好ましい。一般式(1)で示される化合物の添加量が、1.2倍モル量未満であると一般式(1)で示される化合物の導入が不充分となる傾向があり、20倍モル量をこえると一般式(1)で示される化合物の導入にかかるコストが増加するだけでメリットはない。
また、付加反応に用いる溶媒としては、副反応を抑制することができる点から、ラジカル連鎖を起こしにくい構造をもつ溶媒が好ましく、反応速度を上げるために、ゴムを溶解させるものがより好ましい。
ラジカル連鎖を起こしにくい構造をもつ溶媒としては、ラジカル反応で引き抜かれやすい水素原子を持たない構造を有するものが好ましい。
具体的には、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点からアルコール類が好ましく、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、ニトリル類、ケトン類、エステル類、エーテル類、フロン溶媒が好ましく、ニトリル類、フロン溶媒がより好ましい。
アルコール類としては、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数15以下のアルコールが好ましく、炭素数7以下のアルコールがより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、フェノールなどがあげられ、これらの中でも、ゴムの溶解性の点から、メタノールが好ましい。
ニトリル類としては、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数8以下のものがより好ましい。具体的には、アセトニトリル、シアン化エチル、ブチロニトリル、シアン化ブチル、ベンゾニトリルなどがあげられる。これらの中でもアセトニトリルがゴムの溶解性が高く好ましい。
ケトン類は、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数6以下のものがより好ましい。具体的には、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどがあげられる。
エステル類は、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数6以下のものがより好ましい。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなどがあげられる。
エーテル類は、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数6以下のものがより好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、テトラグライムなどがあげられる。
フロン溶媒としては、ゴムの溶解性、ラジカルに対する安定性の点から、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数6以下のものがより好ましい。具体的には、CFCFCHCl、CClFCFCHClFとの混合物(旭硝子(株)製、アサヒクリンAK−225)やCHCFCl(ダイキン工業(株)製、HCFC−141b)があげられる。
溶媒の添加量としては、特に限定されるものではないが、含フッ素エラストマー100重量部に対して、500〜5000重量部であることが好ましい。
また、本発明においては、主鎖末端および/または側鎖末端に一般式(3)または(4)で示される部位を有する含フッ素エラストマーに酸化剤を作用させて、一般式(3)または一般式(4)で示される部位を−COOHを含む構造に変換する工程を含むこともできる。
酸化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、例えば、日本化学会編 第5版 実験化学講座17巻 2004 丸善(株)に記載される任意の酸化剤を使用することができる。具体的には、次亜塩素酸塩、クロム酸、マンガン化合物、4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、銅化合物、パラジウム化合物、鉄化合物、バナジウム化合物、金属酸化物、酸素、オゾンなどが好ましく、クロム酸、過マンガン酸塩、活性化ニ酸化マンガン、マンガン(III)塩、4酸化オスミウム、4酸化ルテニウムがより好ましい。
酸化剤の添加量としては、含フッ素エラストマーの一般式(3)または(4)で示される部位の含有量の1〜50倍モル量であることが好ましく、2〜50倍モル量であることがより好ましく、−COOHへの変換効率が高い点から、5〜20倍モル量であることがさらに好ましい。1倍モル量未満であると、酸化反応が充分に進行しない傾向があり、50倍モル量をこえると、酸化剤のコストがあがるだけでメリットがない。
反応条件としては、含フッ素エラストマー、酸化剤、溶媒などの種類により適宜最適な条件を選択すればよいが、室温〜100℃、1〜20時間、反応させることが好ましい。
また、本発明においては、主鎖末端および/または側鎖末端に前記一般式(3)または(4)で示される部位を有する含フッ素エラストマーに下記一般式(5):
Figure 0005505405
(式中、Rは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基、Xは同じかまたは異なり、加水分解性基、bは1〜3の整数)
で示されるオルガノハイドロジェンシランと触媒の存在下に反応させ、前記一般式(3)または(4)で示される部位を、一般式(6):
−SiR 3−b (6)
で示される加水分解性シリル基を有する構造に変換する工程を含むこともできる。なお、このようにして得られる含フッ素エラストマーのうち、主鎖末端に一般式(6)で示される部位を有するビニリデンフルオライド系フッ素ゴムは新規物質である。
一般式(5)および(6)中のRは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基であるが、非置換の1価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等があげられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基があげられ、さらに代表的なものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素原子数1〜3の低級アルキル基;ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基である。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の炭素原子数3〜8のシクロアルキル基があげられ、さらに代表的なものとしてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数5〜6のシクロアルキル基である。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の炭素原子数6〜15のアリール基があげられ、さらに代表的なものとしてはフェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素原子数6〜8のアリール基である。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等の炭素原子数7〜10のアラルキル基があげられ、さらに代表的なものとしてはベンジル基、フェニルエチル基等の炭素原子数7〜8のアラルキル基である。
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基があげられ、さらに代表的なものとしてはビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜4のアルケニル基である。
また、置換の1価炭化水素基としては、前記の非置換の1価炭化水素基の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基であり、代表的なものは、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数1〜8のハロゲン置換アルキル基があげられ、さらに代表的なものとしては3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数3〜8のハロゲン置換アルキル基である。
一般式(5)および(6)中のXは同じかまたは異なり、加水分解性基であるが、加水分解性基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;下記一般式(18)〜(23)で示される基などあげられる。
Figure 0005505405
(式中、RおよびRはそれぞれ水素原子または置換または非置換の1価炭化水素基である)
前記、置換または非置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、代表的なものとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等の炭素原子数が1〜4のアルキル基;シクロヘキシル基等の炭素原子数が3〜6のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基、代表的なものとしてはビニル基、イソプロペニル基等の炭素原子数が2〜4のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;あるいはこれらの基の水素原子が部分的にアルコキシ基などで置換された基、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシ置換アルキル基などがあげられる。
一般式(5)および(6)中のbは1〜3の整数である。
また、前記触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の白金族金属系触媒、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照)、白金黒もしくはパラジウムなどをアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)等をあげることができる。これらのうち、コンプレックス系のものは、アルコール系、ケトン系、エーテル系等の有機溶剤に溶解して使用するのが好ましい。触媒の使用量は、所謂触媒量でよい。
また、本発明においては、主鎖末端および/または側鎖末端に一般式(3)または(4)で示される部位を有する含フッ素エラストマーに、分子中に二つ以上の−SiH基を有する有機ケイ素化合物を触媒の存在下で反応させて、付加反応(ヒドロシリル化反応)させることにより、主鎖末端および/または側鎖末端の一般式(3)または(4)で示される部位を−Si−H基を有する構造に変換する工程を含むこともできる。
前記一分子中に二つ以上の−SiH基を有する有機ケイ素化合物は、下記式(24)および(25):
Figure 0005505405
(式中、R、R、Rは同一又は異種の1価の有機基または水素原子であり、bは1〜3の整数であり、c、dは0〜3の整数である。ただし、c+d≠0である。)
で示されるものがあげられ、具体的には、
Figure 0005505405
などをあげることができる。
前記の一分子中に二つ以上の−SiH基を有する有機ケイ素化合物を触媒の存在下で付加反応させる場合、−SiH基を有する有機ケイ素化合物を過剰量で用いることが好ましい。
上記付加反応は、付加反応触媒の存在下に行われるが、この付加反応触媒としては、前記の加水分解性シリル基に変換する工程に用いられる触媒と同様に、公知のものを用いることができる。
また、本発明は、下記一般式(7)で示される含フッ素エラストマーに関する。
Figure 0005505405
式中、Mはテトラフルオロエチレンおよび/またはビニリデンフルオライドからなる重合体であり、前記した含フッ素エラストマーであれば好適に用いることができる。
Bは一般式(3):
Figure 0005505405
または、一般式(4):
Figure 0005505405
で示される部位である。
、X、X、X、Z、Y、nは前記と同様であり、aは1以上の整数であり、2以上の整数であることが好ましい。
また、含フッ素エラストマーの数平均分子量は、500〜500000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましい。数平均分子量が、500未満では末端を用いた硬化反応を行った場合に架橋密度が上がり過ぎる傾向があり、500000をこえると含フッ素エラストマーの粘度が高すぎて架橋剤との混合が困難となる傾向がある。
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、主鎖末端および/または側鎖末端に、一般式(3)または(4)で示される部位を有する含フッ素エラストマーと架橋反応可能な化合物を含むことが、充分に架橋された硬化体を得る点から好ましい。
架橋反応可能な化合物としては、含フッ素エラストマーと反応しうる官能基を分子中に複数有する多官能化合物が好ましくあげられる。多官能化合物としては、架橋を充分に行う点から、1分子あたりの官能基の保有数が少なくとも2以上、必要に応じて3以上である多官能化合物を用いることが好ましい。
また、硬化性組成物が充分に架橋するためには、前記含フッ素エラストマーが有する架橋部位に応じた多官能化合物を用いることが好ましい。以下、該多官能化合物の具体例をあげるが、該多官能化合物は1種または2種以上を用いてもよい。
架橋性部位が不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基である場合、多官能化合物としては、−SiH基を有する化合物、多官能不飽和化合物が好ましくあげられる。
上記−SiH基を有する化合物としては、通常、一般式(26):
10 SiO(4−b−c)/2 (26)
(式中、R10は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素数1〜10、とくに1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基である)で示される化合物があげられる。このような1価炭化水素基としては、たとえば、トリフルオロプロピル基などのハロゲンで置換されたアルキル基、アルキル基、フェニル基などがあげられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、とくにメチル基、フェニル基が好ましい。
一般式(26)において、bは、0≦b<3であることが好ましく、0.6<b<2.2であることがより好ましく、1.5≦b≦2であることがさらに好ましく、cは、0<c≦3であることが好ましく、0.002≦c<2であることがより好ましく、0.01≦c≦1であることがさらに好ましい。また、b+cは、0<b+c≦3であることが好ましく、1.5<b+c≦2.7であることがより好ましい。
上記−SiH基を有する化合物は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、より好ましくは2〜300個、さらに好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R10 (H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR10 SiO1/2 単位、R10 SiO2/2 単位、R10(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR10SiO3/2単位を含むシリコーン樹脂などをあげることができる。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば一般式(27)で表される化合物、一般式(27)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、dは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、一般式(28)で表される化合物、一般式(28)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下記式で表される化合物、下記式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば一般式(29)で表される化合物、一般式(29)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば一般式(30)で表される化合物、一般式(30)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば一般式(31)で表される化合物、一般式(31)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば一般式(32)で表される化合物、一般式(32)においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などで置換した化合物などがあげられる。
Figure 0005505405
(式中、gおよびhは、それぞれ、1以上の整数を表す。)
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/もしくはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るトリオルガノシリル基またはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸などの触媒の存在下、−10〜40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。上記トリオルガノシリル基を含む化合物としては、たとえばヘキサメチルジシロキサンなどがあげられ、上記ジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物としては、たとえば1,3−ジハイドロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどがあげられる。
上記Si−H基を有する化合物は、本発明の含フッ素エラストマーとの相溶性、分散性および架橋後の均一性を考慮すると、また、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロオキシアルキル基、1価のパーフルオロアルキル基、2価のパーフルオロオキシアルキレン基または2価のパーフルオロアルキレン基を有し、かつ、2個以上、好ましくは3個以上のSi−H基を有するものが好ましい。このパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基、パーフルオロアルキレン基としては、特に下記一般式で表されるものをあげることができる。
1価のパーフルオロアルキル基としては、一般式(33):
2k+1− (33)
(式中、kは、1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)であり、
2価のパーフルオロアルキレン基としては、一般式(34):
−C2k− (34)
(式中、kは1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)であり、
1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、一般式(35)または(36):
Figure 0005505405
(式中、nは、1〜5の整数を表す。)
2価のパーフルオロオキシアルキレン基としては、一般式(37):
Figure 0005505405
(式中、mは、1〜50の整数を表し、nは、1〜50の整数を表す。m+nは、2〜1
00を満足する。)、または一般式(38):
−(CFO)−(CFCFO)−CF− (38)
(式中、mおよびnは、それぞれ、1〜50の整数を表す。)
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基またはパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とをつなぐ2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基、これらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合などを介在させた基などであってよく、たとえば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHOCH−、−CHCHCH−NH−CO−、−CHCHCH−N(Ph)−CO−(式中、Phは、フェニル基を表す。)、−CHCHCH−N(CH)−CO−、−CHCHCH−O−CO−などの炭素数2〜12のものがあげられる。
また、上記−SiH基を有する化合物における1価または2価の含フッ素置換基、すなわち、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基またはパーフルオロオキシアルキレン基を含有する1価の有機基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基;これらの基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基などで置換された、たとえばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基などの炭素数1〜20の非置換または置換の炭化水素基があげられる。
上記−SiH基を有する化合物としては、環状、鎖状、三次元網状またはそれらの組み合わせの何れでもよい。上記1分子中に2個以上の−SiH基を有する化合物のケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2〜60、好ましくは3〜60、より好ましくは3〜30である。
上記−SiH基を有する化合物としては、たとえば下記の化合物があげられる。下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を表す。なお、これらの化合物は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0005505405
(式中、mは、1〜20、平均10の整数を表し、nは、1〜10、平均6の整数を表す。)
Figure 0005505405
Figure 0005505405
Figure 0005505405
(式中、Sは、
Figure 0005505405
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜6
0、平均2〜50を満足する。)
Figure 0005505405
(式中、Sは、
Figure 0005505405
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表す。n+mは、2〜6
0、平均2〜50を満足する。)
Figure 0005505405
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 0005505405
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
Figure 0005505405
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
また、架橋部位が、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基である含フッ素エラストマーと上記Si−H基を有する化合物からなる硬化性組成物の場合、ヒドロシリル化反応の反応性の点から、ヒドロシリル化反応触媒を加えることが好ましい。
ヒドロシリル化反応触媒としては、含フッ素エラストマーと1分子中に2個以上のSi−H基を有する化合物との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に限定されず、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物などの8族金属系触媒)をあげることができ、なかでも、比較的入手しやすい点で、白金系触媒が好ましい。
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などがあげられる。より具体的には、白金の単体(白金黒);塩化白金酸;塩化白金酸とエチレンなどのオレフィンとの錯体;塩化白金酸とアルコールまたはビニルシロキサンとの錯体;シリカ、アルミナ、カーボンなどの担体上に担持された白金などがあげられる。
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸などからなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸などからなり、たとえば、RhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、RhCl(C、Ru(CO)12、IrCl(CO)(PPh、Pd(PPh(Phは、フェニル基を表す。)などがあげられる。
上記ヒドロシリル化反応触媒としては、また、ルイス酸、コバルトカルボニルなどであってもよい。
また、反応抑制剤を用いることが好ましい。反応抑制剤としては、たとえば、ベンゾトリアゾール;アクリロニトリル;N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−p−フタル酸ジアミドなどのアミド化合物;イオウ;リン;窒素;アミン化合物;イオウ化合物;リン化合物;スズ;スズ化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン;ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などがあげられる。
上記反応抑制剤としては、また、たとえば、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノールなどのアセチレンアルコール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、米国特許第3,445,420号明細書において配合物(4)として例示される化合物、特公昭54−3774号公報において成分(ニ)として例示される化合物などのアセチレン化合物などであってもよい。
また、架橋部位が−COOH基の場合(例えば、先述のように一般式(3)または(4)で示される部位を−COOHを含む構造に変換させた場合)、多官能性化合物としては、ポリアミノフェノール化合物、ポリアミノチオフェノール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリエポキシ化合物などが好ましくあげられる。
ポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミンなどのポリアミン;ポリアミン塩とグアニジン誘導体の併用などがあげられる。
ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどがあげられる。ポリイソシアナート化合物は、プレポリマーや架橋温度を選択することができるブロック型であってもよい。
ポリエポキシ化合物としては、ノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型などがあげられる。ポリエポキシ化合物は、プレポリマーであってもよい。
また、架橋部位が、不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素数2〜10の炭化水素基の場合、不飽和結合がヒドロシリル化反応により3次元網目構造に寄与することができる点から、多官能性化合物としては、特に2個以上のSi−H基を有する化合物であることが好ましい。
ポリアミノフェノール化合物、ポリアミノチオフェノール化合物、ポリアミン化合物としては、一般式(39):
Figure 0005505405
(式中、X10は−OH、−SH、−NH、−NHR11であり、R11は炭素数1〜10の炭化水素基、nは2〜5の整数である)で示される化合物があげられる。
そして、主鎖末端および/または即鎖末端に−SiR 3−b (Rは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基、Xは同じかまたは異なり、加水分解性基、bは1〜3の整数)で示される加水分解性シリル基で示される部位を有する、架橋性部位が加水分解性シリル基である場合、2つ以上の加水分解性シリル基が大気中の水により脱水縮合して架橋が進行するため、必ずしも架橋剤は必要でないが、必要に応じ、有機スズエステル、有機チタン酸エステル、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等の縮合触媒、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロペノキシシラン、ビニルトリブタノキシムシラン、メチルトリアセトキシシラン等の保存安定剤、特開平9−137027号公報に記載の1分子中にカルボニル基を少なくとも1個有する有機化合物(例えばアセトン)および1分子中に第1級アミノ基を少なくとも1個有する化合物(例えばエチルアミン)の組み合わせ、1分子中にカルボニル基を少なくとも1個有する有機化合物(例えばアセトン)および1分子中にプロトンを少なくとも1個有し、その水中における酸解離定数(pka)が2以下である化合物(例えばマレイン酸)の組み合わせ等の深部硬化性改良剤を添加することが好ましい。
また、架橋性部位が−SiH基を有する構造である場合(例えば、先述のように一般式(3)または(4)で示される部位を−SiHを含む構造に変換させた場合)、には、多官能不飽和化合物を用いることが好ましい。その際、前記の加水分解性シリル基に変換する工程に用いられる触媒または有機過酸化物を併用することが好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーの架橋部位と架橋反応可能な化合物の添加量は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、0.5〜20重量部であることがより好ましい。0.05重量部未満であると、充分に架橋を行うことができない傾向があり、30重量部を超えると、添加量に見合った程度にしか架橋反応が進行しない傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、反応を促進するため、受酸剤を予め添加することも可能である。受酸剤としては、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉛等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;合成ハイドロタルサイト等を用いることができる。受酸剤の使用量は、含フッ素エラストマー100重量部に対し1〜30重量部であることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、加工助剤としての機能も期待できる点から、先述した本発明の製造方法により得られる含フッ素エラストマーに含まれないその他の含フッ素エラストマーを含んでいてもよい。
そして、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、老化防止剤、オゾン劣化剤、紫外線吸収剤などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよく、各成分を、通常のエラストマー用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。このほか、密閉式混合機を用いる方法やエマルジョン混合から共凝析する方法によっても調製することができる。このようにして得られた硬化性組成物は常法に従って架橋、成形される。すなわち、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形または溶剤に溶かしてディップ成形、コーティング等により成形される。
架橋条件は、成形方法や成形品の形状により異なるが、おおむね、100℃〜300℃で数秒〜5時間の範囲である。また、架橋物の物性を安定化させるために二次架橋を行ってもよい。二次架橋条件としては、150℃〜300℃で30分〜48時間程度である。
また、本発明の製造方法により得られた含フッ素エラストマーが低分子量であり、常温で流動性を有する場合、プラネタリーミキサーや卓上のミキサーで混合すればよい。この時、混合効率を上げるため、温度を50℃以上に加温してもよい。さらに、硬化性組成物は50℃以上の温度で3時間以上反応させておくことが好ましい。
常温で流動性を有する硬化性組成物は、通常、200℃以下の温度でホットメルトガン等の押出しガンによる加工、LIMS(Liquid Injection Molding System)成形機による射出成形や押出し成形、室温〜200℃で型に流し込んで行う成形等を行うことができる。
硬化性組成物を架橋させる方法としては、架橋部位の種類によっては、上記以外の方法を用いることができる。
本発明の成形品は、以下に示す分野で好適に用いることができる。
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング、コーティングとしてまたはウェットエッチング槽のライニング、コーティングとして用いることができる。さらに、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等として用いられる。
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およびホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
航空機分野、ロケット分野および船舶分野では、ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステルシール、燃料供給用ホース、ガスケットおよびO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
プラント等の化学品分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)、耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野および塗装設備等の塗装分野では、ロール等があげられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロールおよび塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。さらに、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用いることができる。
またチューブを分析・理化学機分野に用いることができる。
食品プラント機器分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
原子力プラント機器分野では、パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ等があげられる。
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等があげられ、鉄板加工ロール等に用いることができる。
一般工業分野では、パッキング、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール等に用いられる。
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、たとえば、自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケット、複写機・プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング剤、電気・電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等のオーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、CRTウェッジおよびネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地シール等があげられる。
本発明の硬化用組成物は、クリーン性を活かし、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシーリング材等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
本発明の硬化用組成物は、耐薬品性、ガス低透過性、難燃性等の特性を活かし、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
参考例1
(含フッ素エラストマーの重合)
磁力誘導攪拌装置を有する内容積3.0リットルの重合槽に、純水1.47L、10重量%のパーフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液30gを供給した。系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧状態にした後、内温を80℃にし、HFPを内圧が0.73MPaまで、さらにVdFを1.5MPaまで仕込んだ。攪拌下に、過硫酸アンモニウム塩(APS)0.114gを水8.1gに溶解し仕込み、重合を開始した。重合圧力を1.5MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、VdF/HFP混合モノマー(78/22(モル%))の連続的に供給し、重合終了までに、300gのモノマーを槽内に供給した。途中、VdF/HFP混合モノマーを7g供給した時点で、オクタフルオロ−1,4−ジヨードブタン22.7g、重合開始後、3時間、6時間でそれぞれ、APS0.114gを水8.1gに溶解させた水溶液を追加で仕込んだ。反応時間は10時間1分であった。得られた乳濁液の重量は1851g、ポリマー濃度が17.7重量%であった。
この乳濁液を硫酸アルミ水溶液で凝析した後、温水により洗浄し、粘稠な含フッ素エラストマーを得た。得られた含フッ素エラストマーの共重合組成比は19F−NMRで測定によりVdF/HFP=77.5/22.5(モル%)であった。GPCでの分析によるポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量 10760、数平均分子量 8600であった。また、重アセトン溶媒での、H−NMRの分析において、末端構造−CFCHIに由来する3.97、3.91、3.85、3.78ppmのピークが観察された。このピークの強度と含フッ素エラストマーの主鎖−CH2−に由来するピーク(2.7〜3.4ppm)の強度の比率は1:34であった。
実施例1
参考例1で得られた含フッ素エラストマー23.3gをアセトニトリル120gに溶解させた溶液と、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)(商品名:パーヘキサ25B 日本油脂(株)製)0.974g、イソシアヌル酸ジアリル 7.01g(含フッ素エラストマーのヨウ素含有量に対して5倍モル量)を磁力誘導攪拌装置を有する内容積0.3リットルのSUS製耐圧オートクレーブに入れ、−30℃で系内を窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスで0.1MPaに加圧した。
撹拌下、内温を150℃で6時間、加熱した。一旦室温まで、冷却し、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)0.451gを追加で投入した。その後、さらに内温150℃で6時間加熱させ、反応を終了した。
反応液中の含フッ素エラストマーを精製するために、得られた反応溶液を濃縮し、少量のアセトンに再溶解させ、濃塩酸に滴下し、含フッ素エラストマーを再沈殿させた。得られた含フッ素エラストマーは水洗し、減圧下、120℃で加熱乾燥させた。
乾燥後の含フッ素エラストマーは、重アセトン溶媒でのH−NMRの分析からイソシアヌル酸ジアリルに由来するアリル基が含フッ素エラストマーに導入されていることが確認された。アリル基由来のピークは、5.8〜6.0ppm(1H)5.1〜5.3ppm(2H)4.3〜4.5ppm(2H)であり、含フッ素エラストマーの主鎖−CH−に由来するピークは、2.7〜3.4ppm(74H)である。
また、GPCでの分析によるポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量 13650、数平均分子量 9080であったが、ジアリルイソシアヌレートやジアリルイソシアヌレートのオリゴマー由来のピークは観察されなかった。
実施例2
参考例1で得られた含フッ素エラストマー25.6gをアセトニトリル120gに溶解させた溶液と、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)(商品名:パーヘキサ25B 日本油脂(株)製)1.07g、ジアリルジメチルシラン5.17g(含フッ素エラストマーのヨウ素含有量に対して5倍モル量)を磁力誘導攪拌装置を有する内容積0.3リットルのSUS製耐圧オートクレーブに入れ、−30℃で系内を窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスで0.1MPaに加圧した。撹拌下、内温を150℃にして、6時間加熱し、反応を終了した。
反応液中の含フッ素エラストマーを精製するため、得られた反応溶液を濃縮し、少量のアセトンに再溶解させ、ヘキサンに滴下し、含フッ素エラストマーを再沈殿させた。得られた含フッ素エラストマーは、真空下90℃で加熱乾燥させた。
乾燥後の含フッ素エラストマーは重アセトン溶媒でのH−NMRの分析からジアリルジメチルシランに由来するアリル基が導入されていることが確認された。アリル基由来のピークは、5.7〜6.0ppm(1H)5.0〜5.2ppm(2H)であり、含フッ素エラストマーの主鎖−CH−に由来するピークは、2.7〜3.4ppm(67H)である。
また、GPCでの分析によるポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量 13640、数平均分子量 9920であったが、ジアリルジメチルシランやジアリルジメチルシランのオリゴマー由来のピークは観察されなかった。
実施例3
実施例1で得られた含フッ素エラストマーを0.115gと、架橋剤としてジメチル−メチルハイドロジェンポリシロキサン(25−30%メチルハイドロシロキサン)−(ジメチルシロキサン)共重合体(商品名:HMS−301、アヅマックス(株)社 GELEST,INC.製 分子量1900−2000)0.0195gをアセトン1.0gに溶解した後、白金の濃度が0.06%の白金触媒のトルエン溶液 0.011g(オーエムジープレシャスメタルズ・ジャパン(株)社製 Pt−VTSC−12.0VTSをトルエンで200倍に希釈した溶液)を添加して室温下で混合した溶液を作製した。この溶液をガラス製シャーレ上50℃で加熱し、溶媒のアセトンを蒸発させた後、さらに100℃で1時間、加熱したところ、粘性はないが、弾性のあるシート状の硬化体が得られた。
さらにこの硬化体は、アセトンに不溶であったため、硬化反応が進行したと考えられる。
実施例4
実施例1で得られた含フッ素エラストマー10gを還流冷却管の付いた4つ口フラスコ中、禁水条件下で無水テトラヒドロフラン100gに溶解させ、撹拌しながら該フラスコ内容物の温度が80℃になるようにオイルバスにて加熱した。次に、フラスコ内に塩化白金酸のイソプロピルアルコール2%溶液1.0gを添加し、次いで滴下ロートからトリメトキシシラン0.4gを滴下して反応を行った。滴下終了後、80℃で5時間加熱還流を続けた後、テトラヒドロフランと未反応のトリメトキシシランを減圧下、加熱により除去した。得られたポリマーのH−NMR分析では、実施例1の含フッ素エラストマーのアリル基由来のピークは認められず、トリメトキシシリル基由来のピークが3.5ppm付近に認められたので、含フッ素エラストマーに加水分解シリル基が導入されたと考えられる。
実施例5
実施例4で得られた含フッ素エラストマー0.1gをアセトン1gに溶解し、ガラス板上に塗布した。アセトンを風乾により除去した後、100℃で5時間加熱した後、室温で24時間放置し、ガラス板上を観察したところ、粘着性はないが、弾性のある塗膜が形成され、この塗膜は、アセトンに浸漬しても溶解しなかったので、加水分解シリル基により硬化反応が進行したと考えられる。

Claims (4)

  1. 主鎖末端に、一般式(6):
    −SiR 3−b (6)
    (式中、Rは同じかまたは異なり、置換または非置換の1価の炭化水素基、Xは同じかまたは異なり、加水分解性基、bは1〜3の整数)
    で示される加水分解性シリル基と下記
    Figure 0005505405
    から選択される少なくとも1種の構造とを有する部位を含むビニリデンフルオライド系フッ素ゴムからなる含フッ素エラストマー。
  2. 数平均分子量が500〜500000である請求項1記載の含フッ素エラストマー。
  3. 請求項1または2記載の含フッ素エラストマーからなる硬化性組成物。
  4. 請求項3記載の硬化性組成物を架橋して得られる成形品。
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