JP4364407B2 - 架橋可能なゴム組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、架橋(加硫)可能なゴム組成物およびその用途に関し、さらに詳しくは、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐傷付き性、耐耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱老化性、耐候性、摩耗性、耐寒性などの特性に優れる、架橋可能なゴム組成物およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)などに代表される軟質樹脂は、タイヤなどの成形体などに利用されているが、このような軟質樹脂を、耐候性、耐熱性、耐寒性等が求められる自動車部品等の各種成形体などに使用すると、樹脂が酸化劣化を起こし、物性が低下する傾向があり、耐候性、耐熱性、耐寒性の更なる向上が求められている。
【0003】
このように苛酷な条件下に軟質樹脂成形体を使用すると物性低下が生ずるのは、樹脂の主鎖中の2重結合部分が酸化劣化を起こすためであり、主鎖中の2重結合は極力少なくすることが好ましい。
【0004】
一方、EPTは主鎖に2重結合を含まないため、耐候性、耐熱性に優れるが、シリコーンゴムなどに比べて耐圧縮永久歪み性が劣るという欠点がある。
この欠点を解決する方法としてイオウ加硫からパーオキサイド架橋にするとの方法は効果的であるが、この方法では、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋をする場合、ゴム表面が架橋しない、あるいは崩壊(デグラデイション)を起こし耐傷付き性が著しく劣るという欠点がある。この原因は、パーオキサイドが架橋に関与せず、ゴム表面が酸素と触れることで崩壊が進むためであり、酸素を遮断するスチーム架橋、被鉛架橋などで架橋させればゴム表面の耐傷付き性は改良されるものの、生産コストの面で不利となる。
【0005】
また特開平4−154855号公報には、HAVで熱空気架橋可能なEPDM/SiH/Pt系化合物からなるオレフィン系ゴム組成物が開示されているが、このゴム組成物の耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性は十分に満足するものではなかった。
【0006】
したがって、架橋速度が速く生産性に優れ、熱空気架橋(HAV、UHF)などで架橋することができ、しかも、耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱老化性、耐候性、摩耗性、耐寒性などの特性に優れるゴム組成物の出現が望まれている。
【0007】
そこで、本願発明者らは、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム組成物について鋭意研究し、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)からなるゴム組成物は、架橋速度が速く、生産コストに優れる熱空気架橋(HAV、UHFなど)で架橋することができ、しかも耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱老化性、耐候性、摩耗性および耐寒性などに優れる成形体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
なお、エチレン/1,3-ブタジエン共重合体については、下記▲1▼〜▲5▼に示すような文献が知られている。
▲1▼ 「Journal of Polymer Science:Part B:Polymer Physics,Vol.26,2113-2126(1988)」には、担持型のチーグラー触媒を用いて製造されたエチレン/1,3-ブタジエン共重合体が記載されている。この文献によると、該共重合体には、ブタジエン−ブタジエン結合がありブロック共重合的である。また、該触媒の活性は10kg/gTi以下と低活性である。また、ブタジエンユニットは主にトランス1,4付加体であり、この付加体中の2重結合部位にメチルメタアクリレート(MMA)または無水マレイン酸をグラフトさせて、これらMMAなどのグラフト体を製造している。
【0009】
▲2▼ 「Makromol.Chem.179,2173-2185(1978)」には、バナジウム触媒を用いて製造されたエチレン/1,3-ブタジエン共重合体が記載されている。この文献によると、1,3-ブタジエンの1,2付加体はほとんど含まれておらず、トランス1,4付加体が主であり、しかもこの触媒は、低活性である。
【0010】
▲3▼ 「Polymer Bulletin 31,271-278(1993)」には、チーグラー触媒を用いて製造されたエチレン/プロピレン/1.3-ブタジエン共重合体が記載されている。この文献によると、該共重合体中には、1,3-ブタジエンの1,2付加体、1,4付加体およびプロピレンユニットが存在することが確認されているものの、用いられた触媒の活性は10kg/gTi以下と低活性である。
【0011】
上記▲1▼〜▲3▼に記載の触媒は、いずれも低活性であり、得られた共重合体は、5員環構造および3員環構造を有していない。また、ブタジエンの1,2付加体を、上記▲1▼と▲2▼の文献に記載の共重合体は有していない。
【0012】
▲4▼「Makromol. Chem.192,2591-2601(1991)」には、ビスシクロペンタジエニル型のメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン/1.3-ブタジエン共重合体及びエチレン/プロピレン/1.3-ブタジエン共重合体が記載されている。この文献によると、該共重合体は、1,4付加体および5員環構造は有しているものの、1,2付加体および3員環構造を有していない。また、触媒活性も5kg/mMZrと低い。
【0013】
▲5▼ 国際特許出願公開:WO88/04672(1986年出願:対応する米国特許5191052、1993年3月2日出願、対応する欧州特許EP0275676B1、1994年9月7日出願)には、ビスシクロペンタジエニル型のメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン/1.3-ブタジエン共重合体が記載されている。この公開公報によると、該共重合体は、1,2付加体、1,4付加体、および5員環構造を有しているものの、それらの量比の記載がなく、特に有用な1,2付加体の量が実施例では非常に少なく、また3員環構造には言及されていない。また、この触媒の活性は1kg/mMZrh 以下と非常に低活性である。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱性、耐候性、耐寒性および耐摩耗性などの特性に優れる架橋ゴム成形体を調製できる、架橋可能なゴム組成物、およびその組成物からなる自動車用ウェザーストリップ、ホース、防振ゴム、ベルト、シール材、発泡体、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、家庭用ゴム製品を提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】
本発明に係る第1の架橋可能なゴム組成物は、シート状に成形した後熱空気架橋して得られる架橋ゴムシートを室温のキシレンに48時間浸漬した後の残液の濁度が3ppm以下であり、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ、シート状に成形した後プレス架橋して得られる架橋ゴムシートの150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であることを特徴としている。
【0016】
上記CSは50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、
α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)と
からなるゴム組成物であり、
上記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、
炭素原子数2〜12のα- オレフィンと、下記式(I)で表わされる共役ジエン単量体とを共重合させて得られるランダム共重合体ゴムであって、
(a)該共重合体ゴム(A)中において前記共役ジエン単量体から導かれた1,2付加体(3,4付加体を含む)は、共重合体ゴム(A)中の側鎖に2重結合を形成しており、また 1,4付加体は、共重合体ゴム(A)中の主鎖に2重結合を形成しており、
上記1,2付加体に由来する側鎖の2重結合と1,4付加体に由来する主鎖の2重結合との比(1,2付加体に由来する側鎖の2重結合/1,4付加体に由来する主鎖の2重結合)が10/90〜99/1であり、
(b)共重合体ゴム(A)の主鎖中に、上記側鎖の2重結合から導かれた5員環を有し、
(c)上記各付加体の2重結合と5員環との比(各付加体の合計2重結合/5員環)が20/80〜90/10である
ことを特徴としている。
【0017】
【化2】
【0018】
[式(I)中、R1 は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基である。]
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、
α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)と、
触媒(C)と
からなっていてもよいし、また、
α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)と、
触媒(C)と、
反応抑制剤(D)と
からなっていてもよい。
【0019】
前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の共役ジエン単量体は、1,3-ブタジエンであることが好ましい。
また、前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)のα- オレフィンは、▲1▼エチレン単独であるか、または▲2▼エチレンと炭素原子数3〜12のα- オレフィンとの組み合わせであり、▲2▼の場合はエチレン/炭素原子数3〜12のα- オレフィン(モル比)が、99/1〜40/60の範囲にある。
【0020】
さらに、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の主鎖中に、さらにシクロプロパン環を有することが好ましい。
前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)には、共役ジエン単量体由来の構成単位が合計0.01〜30モル%の量で含まれていることが好ましい。
【0021】
さらに、この共重合体ゴム(A)の沃素価が1〜50g/100gであり、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、ガラス転移温度Tgが25℃以下であることが好ましい。
【0022】
前記触媒(C)としては、白金系触媒が好ましく用いられる。
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、前記SiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)の他に、ポリオレフィン樹脂(E)を含むゴム組成物であって、該組成物が、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(E)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であってもよい。このゴム組成物は、ポリオレフィン樹脂(E)の平均分散粒子径が2μm以下であり、かつ、ポリオレフィン樹脂(E)とα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(E)/(A)]が5/95〜50/50であることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、前記SiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、ポリオレフィン樹脂(E)の他に、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)を含有していてもよい。
【0024】
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、シート状に成形した後熱空気架橋して得られる架橋ゴムシートを室温のキシレンに48時間浸漬した後の残液の濁度が3ppm以下であり、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ、150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であることが好ましい。特に、前記ゴム組成物の160℃での架橋速度(tc(90))が15分以下であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る第1または第2の架橋可能なゴム組成物は、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材;自動車用ウェザーストリップスポンジまたは他の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品;家庭用ゴム製品などの製造の際に好適に用いられる。
【0026】
前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)を含有してなる、本発明に係るゴム組成物は、常温での架橋が可能であり、また、反応射出成形(RIM)用に好適に用いられる。さらに、熱可塑性エラストマーの製造の際に用いることができるし、エンジニアリングプラスチックの改質にも用いることができる。
【0027】
本発明に係る自動車用ウェザーストリップ、ホース(自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース)、防振ゴム(自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム)、ベルト(伝動ベルト、搬送用ベルト)、シール材(自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材)、発泡体(自動車用ウェザーストリップスポンジおよび他の発泡体)、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品および家庭用ゴム製品は、本発明に係る第1または第2の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴としている。
【0028】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る架橋可能なゴム組成物およびその用途について具体的に説明する。
【0029】
本発明に係る第1の架橋可能なゴム組成物は、シート状に成形した後熱空気架橋して得られる架橋ゴムシートを室温のキシレンに48時間浸漬した後の残液の濁度が3ppm以下であり、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下である。
【0030】
また、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、ポリオレフィン樹脂(E)、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)を含有してなる。
【0031】
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、シート状に成形した後熱空気架橋して得られる架橋ゴムシートを室温のキシレンに48時間浸漬した後の残液の濁度が3ppm以下であり、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下となるようなゴム組成物、すなわち本発明に係る第1の架橋可能なゴム組成物であることが好ましい。
【0032】
α - オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)(単に、「共重合体ゴム(A)」とも言う)は、少なくとも1種の炭素原子数2〜12のα- オレフィンと、後述する少なくとも1種の共役ジエン単量体とを共重合させて得られるランダム共重合体ゴムである。
【0033】
このようなα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)を調製する際に用いられるα- オレフィンとしては、炭素原子数が2〜12の範囲にあれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
【0034】
このようなα- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプタン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのα- オレフィンは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
特に上記α- オレフィンを1種単独で用いる場合には、炭素原子数2〜5のα- オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。また、上記α- オレフィンを2種以上組み合わせて用いる場合は、エチレンと、他のα- オレフィンとの組み合わせが好ましく、そのモル比(エチレン/炭素原子数3以上のα- オレフィン)は、99/1〜40/60であることが好ましく、得られる共重合体ゴム(A)のガラス転移温度Tgを下げることができる点を考慮すると、そのモル比が90/10〜60/40であることが好ましく、また活性とTgとの関係を考慮すると、さらに該モル比が85/15〜70/30であることが、得られる共重合体をエラストマーとして用いる場合には、より好ましい。
【0036】
共役ジエン単量体としては、下記式(I)で表わされるものが用いられる。
【0037】
【化3】
【0038】
[式(I)中、R1 は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基である。]
このような共役ジエン単量体としては、芳香族系、脂肪族の何れであってもよく、特に限定されない。
【0039】
このような共役ジエン単量体として、具体的には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3- ブタジエン、1-フェニル-2,4- ペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、1,3-ブタジエンが共重合性および架橋効率に優れる点で特に好ましい。
【0040】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、
原料のα- オレフィン由来の構成単位;
共役ジエン由来の1,2付加体(3,4付加体を含む)、1,4付加体の各構成単位;および
主鎖中に形成された5員環(シクロペンタン環)の各構成単位を有している。
【0041】
このようなα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、上記の構成に加えて、シクロプロパン構成単位を有していてもよい。
なお、本明細書中では、1,2付加体と3,4付加体を併せて、単に1,2付加体とも言う。
(a)α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)中においては、上記共役ジエン単量体から導かれた1,2付加体は、共重合体ゴム(A)中の側鎖に2重結合を形成しており、1,4付加体は、共重合体ゴム(A)中の主鎖にシスあるいはトランスの2重結合を形成している。
【0042】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)においては、上記1,2付加体由来の側鎖の2重結合と1,4付加体由来の主鎖の2重結合とは、そのモル比(1,2付加体由来の側鎖の2重結合/1,4付加体由来の主鎖の2重結合)が、10/90〜99/1、好ましくは12/88〜90/10となるような量で存在していることが望ましい。
【0043】
このような量比で共重合体ゴム(A)中に上記2重結合が存在していると、共重合体ゴム(A)の耐候性、耐熱性、架橋効率、耐寒性、変性効率が向上するため望ましい。
(b)本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の主鎖中には、この共重合体ゴム(A)主鎖中の隣接する少なくとも2個の炭素原子を介して形成された5員環(シクロペンタン環)が存在している。
(c)この共重合体ゴム(A)においては、上記各付加体の2重結合と5員環とは、その比(付加体の合計2重結合/5員環)が、20/80〜90/10(モル比)、さらには、得られる共重合体ゴム(A)のガラス転移温度Tgと沃素価とのバランスを考慮すると、30/70〜80/20(モル比)となるような量で存在していることが望ましい。
【0044】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)中に存在する5員環には、シスとトランスの二種がある。
なお、この5員環生成のメカニズムは明らかではないが、α- オレフィンと、1,3-ブタジエンとの共重合体を例に挙げて説明すると、α- オレフィンと共役ジエンとが反応して形成されるオリゴマー鎖あるいはプレポリマー鎖(p)に、1,3-ブタジエンが1,2付加した後、エチレンが付加しさらに分子内環化によりこの5員環が生成するのであろうと考えられる。なお、(Cat)は触媒を表わし、(P)はオリゴマー鎖あるいはプレポリマー鎖を表わす。
【0045】
【化4】
【0046】
シクロプロパン環(3員環)は、上記式に示すように、ブタジエンに代表される共役ジエンがオリゴマー鎖あるいはプレポリマー鎖(P)に1,2付加した後、分子内環化により生成すると推定される。前記5員環や、このシクロプロパン環は、共重合体ゴム(A)の相溶性向上に寄与している。このため、前記5員環シクロプロパン環を有する共重合体ゴム(A)は、SBRなどのスチレン系エラストマーとの相溶性がよい。また、この共重合体ゴム(A)は加工性に優れている。
【0047】
このシクロプロパン環と5員環との生成モル比(シクロプロパン環/5員環)は、0.1/99.9〜50/50であることが好ましく、さらには0.1/99.9〜30/70であることがより好ましい。
【0048】
これら5員環、シクロプロパン環(3員環)の同定および定量は、13C−NMRによって行なうことができる。
より具体的には、エチレン/1,3-ブタジエンの場合には、ヘキサクロロブタジエン溶剤、110℃、100MHzの条件下で日本電子社製NMRで測定することによって、1,4付加体、5員環構造は、Makromol. Chem. 192, 2591-2601(1991)に記載されたケミカルシフトより同定した。
【0049】
また、1,2付加体の同定および定量は、 1H−NMR、13C−NMRおよび 1Hと13Cの2次元NMRにより行なうことができる。
【0050】
【化5】
【0051】
各、ケミカルシフトを下記表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
さらに下記のシクロプロパン環も、上記と同様に13C−NMR、 1H−NMRさらにシクロプロパン環に特有のC−Hのカップリング定数により、同定および定量した。
【0054】
【化6】
【0055】
各、ケミカルシフトを下記表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
なお、各成分の比率および共役ジエンの構造の量比は、13C−NMRおよび/または 1H−NMRの各ピークの面積比より求めた。
本発明においては、上記共重合体ゴム(A)中には、共役ジエン単量体由来の構成単位すなわち1,2付加体、1,4付加体、5員環(シクロペンタン構造)、およびシクロプロパン環(3員環)が合計0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%の量で含まれていることが好ましい。構成単位の残部は、エチレンなどのα- オレフィンから導かれる構成単位である。
【0058】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の沃素価は、通常1〜50、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜40の範囲にあることが望ましい。共重合体ゴム(A)の沃素価が上記範囲内にあると、この共重合体ゴム(A)の架橋速度が速く、得られる架橋物は低温特性に優れる。
【0059】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10.0dl/g、好ましくは1.0〜7.0dl/g、より好ましくは1.0〜5.0dl/gの範囲にあることが望ましい。極限粘度[η]が上記範囲内にある共重合体ゴム(A)を用いると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れる成形体を調製することができる架橋可能なゴム組成物が得られる。
【0060】
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ、示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが、通常25℃以下、好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下の範囲にあることが望ましい。ガラス転移温度Tgが上記範囲内にある共重合体ゴム(A)を用いると、耐寒性、低温特性に優れる成形体を調製することができる架橋可能なゴム組成物が得られる。
【0061】
本発明では、2種以上のα- オレフィンを用いる場合には、それらのα- オレフィンの量比(構成比)、共重合体ゴムの沃素価、極限粘度[η]、およびガラス転移温度Tgのうち、少なくとも1つが前記範囲内にあることが好ましく、2つ以上が前記範囲内にあることがより好ましく、特にα- オレフィンの構成比、沃素価、極限粘度、およびガラス転移温度のすべてが前記範囲内にあることが好ましい。
【0062】
また、GPCにより測定したMw/Mn(ポリスチレン換算)は3.0以下であることが好ましい。さらに、DSCで測定したTm(融点)は110℃以下、好ましくは70℃以下であることがより好ましく、特に40℃以下であることが好ましい。
【0063】
[α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の製造]
本発明で用いられるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、少なくとも1種の炭素原子数2〜12のα- オレフィンと、前記式(I)で表わされる少なくとも1種の共役ジエン単量体とを下記に示すメタロセン系触媒の存在下にランダム共重合させて得られる。
【0064】
このようなメタロセン系触媒としては、
下記式(II)または式(III)で表わされる遷移金属錯体(a):
【0065】
【化7】
【0066】
[式(II)、(III)中、Mは、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、
Cp1 およびCp2 は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、
X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、
Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子であり、
ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]と、
下記成分(b)、(c)および(d)のうちから選択される1種以上の化合物と、
からなる少なくとも1つの触媒系が用いられる。
(b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物
(c):有機アルミニウム化合物
(d):アルモキサン
<遷移金属錯体(a)>
まず、本発明で用いられる下記式(II)で表わされる遷移金属錯体(a)について説明する。
【0067】
【化8】
【0068】
式(II)中、Mは、周期率表第4族またはランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、Sm、Ruであって、好ましくはTi、Zr、Hfであり、
Cp1 は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、
X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、
Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子であり、
Zは、炭素、酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは炭素、酸素、ケイ素の何れかであり、Zは置換基を有していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0069】
さらに詳説すると、Cp1 は遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0070】
また、Zは、C、O、B、S、Ge、Si、Snから選ばれる原子であり、Zはアルキル基、アルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0071】
X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
【0072】
このような式(II)で示される化合物としては、具体的には、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジクロリド、
((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)-1,2- エタンジイル)チタンジクロリド、
(ジメチル(フェニルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジクロリド、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジメチル、
(ジメチル(4-メチルフェニルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジクロリド、
(ジメチル(t-ブチルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シリレン)チタンジクロリド、
(テトラメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)ジシリレン)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0073】
本発明では、下記式(III)で示される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0074】
【化9】
【0075】
[式(III)中、Mは、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、
Cp1 およびCp2 はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、
X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、
Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
式(III)中、結合基Zは、特にC、O、B、S、Ge、Si、Snから選ばれる1個の原子であることが好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ基などの置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0076】
Cp1、Cp2は、遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0077】
X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3Ra、但し、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0078】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつ、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメタロセン化合物を例示する。
シクロヘキシリデン- ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
シクロヘキシリデン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス (2,4,7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,6-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(4-フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(1- アントリル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0079】
また、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えたメタロセン化合物を例示することもできる。
上記のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0080】
また、上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体に担持させて用いることもできる。
このような粒子状担体としては、SiO2 、Al2O3 、B2O3 、MgO、ZrO2 、CaO、TiO2 、ZnO 、SnO2 、BaO 、ThOなどの無機担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1- ブテン、ポリ4-メチル-1- ペンテン、スチレン- ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒子状担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0081】
次に、メタロセン系触媒を形成する
(b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性の錯体を形成する化合物、すなわちイオン化イオン性化合物、
(c):有機アルミニウム化合物、および
(d):アルモキサン(アルミニウムオキシ化合物)について説明する。
【0082】
<イオン化イオン性化合物(b)>
イオン化イオン性化合物(b)は、遷移金属錯体成分(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物であり、このようなイオン化イオン性化合物(b)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0083】
ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0084】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。
【0085】
具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0086】
ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0087】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0088】
ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)等の金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0089】
カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7- カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0090】
上記のようなイオン化イオン性化合物(b)は、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)(d)またはイオン化イオン性化合物(b)は、上述した粒子状担体に担持させて用いることもできる。
【0091】
また、触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物(d)またはイオン化イオン性化合物(b)とともに以下のような有機アルミニウム化合物(c)を用いてもよい。
【0092】
<有機アルミニウム化合物(c)>
有機アルミニウム化合物(c)としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば下記一般式で表わされる有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0093】
(R1 )mAl(O(R2 ))nHpXq
(式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、
Xは、ハロゲン原子を示し、
mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である。)
<有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)(d)>
有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0094】
従来公知のアルミノキサン(アルモキサン)は、具体的には、下記一般式で表わされる。
【0095】
【化10】
【0096】
式中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。
mは2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数である。
【0097】
ここで、アルミノキサンは、式(OAl(R1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 は、Rと同様の炭化水素基であり、R1 およびR2 は相異なる基を示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0098】
なお、有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
本発明においては、オレフィン系触媒としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従来より公知の▲1▼固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、▲2▼可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いることもできる。
【0099】
本発明では、上記のようなメタロセン触媒の存在下に、(i)α- オレフィンと、(ii)共役ジエン単量体を通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α- オレフィンを溶媒として用いてもよい。共重合は、バッチ法または連続法のいずれの方法でも行なうことができる。
【0100】
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内のメタロセン化合物(遷移金属錯体(a))の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルの量で用いられる。
【0101】
有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、メタロセン化合物中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。
【0102】
イオン化イオン性化合物(b)は、メタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物(b)のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0103】
また、有機アルミニウム化合物(c)が用いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0104】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2 、 好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の条件下に行なわれる。
【0105】
また、反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0106】
(i)α- オレフィン、(ii)共役ジエン単量体は、上述のような特定組成のα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)が得られるような量で重合系に供給される。さらに、共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0107】
上記のようにして(i)α- オレフィン、(ii)共役ジエン単量体を共重合させると、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)が得られる。
【0108】
また、本発明で用いられるα- オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム(A)は、極性モノマーたとえば不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)でグラフト変性されていてもよい。
【0109】
このような不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸などが挙げられる。
【0110】
不飽和カルボンの酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸無水物などが挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
【0111】
不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0112】
上記の不飽和カルボン酸等のグラフト変性剤(グラフトモノマー)は、それぞれ単独または2種以上の組み合わせで使用されるが、何れの場合も前述したグラフト変性前のα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100g当たり、0.1モル以下のグラフト量にするのがよい。
【0113】
上記のようなグラフト量が上記範囲にあるα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)を用いると、耐寒性に優れた架橋ゴム成形体を提供し得る、流動性(成形加工性)に優れたゴム組成物が得られる。
【0114】
グラフト変性したα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、前述した未変性のα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と、不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、ラジカル開始剤の存在下に反応させることにより得ることができる。
【0115】
このグラフト反応は溶液にして行なうこともできるし、溶融状態で行なってもよい。溶融状態でグラフト反応を行なう場合には、押出機の中で連続的に行なうことが最も効率的であり、好ましい。
【0116】
グラフト反応に使用されるラジカル開始剤としては、具体的には、
ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’- ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t- ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
およびこれらの混合物などが挙げられる。中でも、半減期1分を与える温度が130〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましく、特に、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が好ましい。
【0117】
また、不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)以外の極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0118】
SiH基含有化合物(B)
本発明で用いられるSiH基含有化合物(B)は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と反応し、架橋剤として作用する。このSiH基含有化合物(B)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などでも使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいることが必要である。
【0119】
このようなSiH基含有化合物(B)としては、通常、下記の一般組成式
R4 bHcSiO(4-b-c)/2
で表わされる化合物を使用することができる。
【0120】
上記一般組成式において、R4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜 10、特に炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、アルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基たとえばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0121】
また、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
【0122】
このSiH基含有化合物(B)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R4 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2 単位、R4 2SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
【0123】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0124】
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3
[式中のdは2以上の整数である。]
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0125】
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0126】
HOSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)2-Si(CH3)2OH
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0127】
HOSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-
-Si(CH3)2OH
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0128】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0129】
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0130】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-
-Si(CH3)2H
[式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。]
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
【0131】
SiH基含有化合物(B)は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜75重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、さらにより好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。上記範囲内の割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れた架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100重量部を超える割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0132】
また、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の架橋に関与する脂肪族不飽和基に対するSiH基の割合(SiH基/脂肪族不飽和基)は、0.2〜20、さらには0.5〜10、特に0.7〜5であることが好ましい。
【0133】
触媒(C)
本発明で任意成分として用いられる触媒(C)は、付加反応触媒であり、上記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)成分のアルケニル基と、SiH基含有化合物(B)のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はなく、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、中でも、白金系触媒が好ましい。
【0134】
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
【0135】
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなる。
【0136】
上記以外の触媒(C)としては、ルイス酸、コバルトカルボニルなどが挙げられる。
触媒(C)は、Pt金属として、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)および後述するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)に対して、0.1〜100,000重量ppm、好ましくは0.1〜10,000重量ppm、さらに好ましくは1〜5,000重量ppm、特に好ましくは5〜1,000重量ppmの割合で用いられる。
【0137】
上記範囲内の割合で触媒(C)を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100,000重量ppmを超える割合で触媒(C)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0138】
なお、本発明においては、上記触媒(C)を含まないゴム組成物の未架橋ゴム成形体に、光、γ線、電子線等を照射して架橋ゴム成形体を得ることもできる。
反応抑制剤(D)
本発明で触媒(C)とともに任意成分として用いられる反応抑制剤(D)としては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、アミド化合物(たとえばN,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミド等)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0139】
反応抑制剤(D)は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜50重量部、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.0001〜30重量部、より好ましくは0.000
1〜20重量部、さらに好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。
【0140】
50重量部以下の割合で反応抑制剤(D)を用いると、架橋スピードが速く、架橋ゴム成形体の生産性に優れたゴム組成物が得られる。50重量部を超える割合で反応抑制剤(D)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0141】
ポリオレフィン樹脂(E)
本発明で任意に用いられるポリオレフィン樹脂(E)は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、
高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン単独重合体(ポリエチレン)ないしエチレンと炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンとからなる結晶性エチレン・α- オレフィン共重合体;
プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン;
プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンの結晶性単独重合体ないし共重合体などが挙げられる。
【0142】
これらのポリオレフィン樹脂(E)の融点は250℃以下である。中でもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
なお、本発明に係るゴム組成物中に発泡剤を配合する場合、ポリオレフィン樹脂(E)としては、炭素原子数3〜8のα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン単独重合体または共重合体、好ましくはポリプロピレンは、ビカット軟化点が130℃以上、好ましくは140℃以上であることが望ましい。
【0143】
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(E)とα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とのブレンド比率[(E)/(A)]は、5/95〜50/50、好ましくは10/90〜40/60である。この範囲内でポリオレフィン樹脂(E)を用いれば、ゴム弾性を保つことができる。
【0144】
ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂(E)は、補強剤、充填剤に対し、カーボンブラック並の製品硬度をアップさせる効果を持つとともに、加工温度でのコンパウンドの粘度を下げ、加工性を向上させる効果を持つ配合材として使用される。
【0145】
また、ポリプロピレンについては、その配合量がポリプロピレンとα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)との合計量100重量部に対して50重量部以下であるとき、得られるコンパウンドは、共重合体ゴム(A)相が海となり、ポリプロピレン相が島となる、いわゆる海島構造になる。このポリプロピレンの島相は補強剤の役目を果たすとともに、融点以上の温度では溶融してコンパウンド粘度を下げ、流動性を向上させる効果がある。
【0146】
本発明においては、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(E)を混ぜる方法としては、ゴム混練機として通常使用されるバンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて、ポリオレフィン樹脂(E)の融点以上で混練する方法でも構わないが、ポリオレフィン樹脂(E)の混練不良物が異物となる可能性が高いので、WO97/02316公報に記載の方法[押出機内でα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(E)を充分に溶融させ、ポリオレフィン樹脂(E)がα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)中にミクロ分散するまでブレンドする方法]で行なう方が好ましい。
【0147】
アルケニル基含有ポリシロキサン(F)
本発明で任意に用いられるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)は、下記平均組成式(1)で示される。
【0148】
R1 nSiO(4-n)/2 ・・・(1)
この式(1)において、R1 は同一または異種の非置換または置換の1価炭化 水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。
【0149】
R1 としては、炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜8の1価炭化水素基 が好適であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などの脂肪族飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが挙げられる。より好ましい基はメチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基である。
【0150】
また、アルケニル基、好ましくは炭素原子数2〜8のアルケニル基、特に好ましくはビニル基を少なくとも2個有していることが必要である。R1 中のアルケ ニル基の含有量は、0.001〜20モル%、特に0.025〜6モル%であることが好ましい。
【0151】
また、上記式(1)で示されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)は、基本的には直鎖状であることが好ましいが、直鎖状、分岐状等の分子構造の異なる1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0152】
上記オルガノポリシロキサン(F)は、平均重合度が100〜20,000、特に3,000〜10,000の範囲内にあることが好ましい。具体的には、
【0153】
【化11】
【0154】
(式中、mは正の整数であり、nは0以上の正数である。)、
【0155】
【化12】
【0156】
(式中、mは正の整数であり、pは2以上の整数であり、Aは−CH3
または−OH基である。)や、これらの主鎖に
【0157】
【化13】
【0158】
を導入したものが例示される。
上記のようなオルガノポリシロキサン(F)は、それ自体公知の方法で合成される。たとえばアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)の合成法の詳細は、特願平10−227778号明細書にシリコーンゴムの合成法として記載されている。
【0159】
本発明においては、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)とのブレンド比率[(A)/(F)]は2/98〜98/2であり、好ましくは3/97〜97/3、さらに好ましくは5/95〜95/5である。この範囲であれば、耐傷付き性および耐圧縮永久歪み性、耐摩耗性に優れ、プレス架橋成形やインジェクション架橋成形した場合には、金型汚染が小さく、強度特性に優れるゴム組成物を提供できる。
【0160】
その他の成分
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、未架橋のままでも用いることができるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0161】
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物中に、意図する架橋物の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤ないし可塑剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0162】
上記ゴム補強剤は、架橋ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどが挙げられる。
【0163】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。また、これらシリカの比表面積(BED法)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜400m2/gである。
【0164】
これらのゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は通常、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0165】
上記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。
これらの無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は通常、α- オレフィン/共役ジエン共重合体(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0166】
上記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ;
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質を挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0167】
これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。
上記老化防止剤としては、たとえばアミン系、ヒンダードフェノール系、またはイオウ系老化防止剤などが挙げられるが、これらの老化防止剤は、上述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
【0168】
本発明で用いられるアミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類などが挙げられる。
ジフェニルアミン類としては、具体的には、p-(p-トルエン・スルホニルアミド)- ジフェニルアミン、4,4'-(α,α- ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'- ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p’- ジオクチル・ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0169】
フェニレンジアミン類としては、具体的には、N,N'- ジフェニル-p-フェニレンジアミン、n- イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2- ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-エチル-3- メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のp- フェニレンジアミン類などが挙げられる。
【0170】
これらの中でも、特に4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミンが好ましい。
これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0171】
本発明で用いられるヒンダードフェノール系老化防止剤としては、具体的には
(1)1,1,3-トリス-(2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフェニル)ブタン、
(2)4,4'- ブチリデンビス- (3-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(3)2,2-チオビス(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(4)7-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)プロピオネート、
(5)テトラキス-[メチレン-3-(3',5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
(6)ペンタエリスリトール- テトラキス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコール- ビス[3-(3-t-ブチル-5- メチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6-ヘキサンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5- トリアジン、
(10)トリス- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)- イソシアヌレート、
(11)2,2-チオ- ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(12)N,N'- ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシ)- ヒドロシンナアミド、
(13)2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]- o-クレゾール、
(14)3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル- ホスホネート- ジエチルエステル、
(15)テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、
(16)オクタデシル-3- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、
(17)3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1- ジメチルエチル]-2,4-8,10-テトラオキサスピロ [5,5]ウンデカン
などを挙げることができる。中でも、特に(5)、(17)のフェノール化合物が好ましい。
【0172】
本発明で用いられるイオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。
具体的には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;
ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤などを挙げることができる。これらの中でも、特に2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)が好ましい。
【0173】
上記の加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0174】
このような加工助剤は、通常、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0175】
本発明においては、上述した触媒(C)の他に有機過酸化物を使用して、付加架橋とラジカル架橋の両方を行なってもよい。有機過酸化物は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の割合で用いられる。有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
【0176】
また、有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0177】
上記の発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;
N,N'- ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'- オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0178】
これらの発泡剤は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。上記のような割合で発泡剤を用いると、見かけ比重0.03〜0.8g/cm3 の発泡体を製造することができるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0179】
また、必要に応じて、発泡剤と併用して、発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。
このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0180】
これらの発泡助剤は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)100重量部、またはα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)との合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0181】
また、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。
このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0182】
さらに従来公知のエチレン・α- オレフィン系共重合体ゴムを用いることもでき、たとえばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)以外のエチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体(たとえばEPDMなど)を用いることができる。
【0183】
ゴム組成物およびその用途
本発明に係る第1または第2の架橋可能なゴム組成物は、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジまたは他の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;家庭用ゴム製品などの製造の際に好適に用いられる。
【0184】
上記自動車用ウェザーストリップとしては、たとえばドアウエザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウナーウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ、ダムウインドシールド、クラスランチャネル、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプ、シールカウルトップなどが挙げられる。
【0185】
上記自動車用ホースとしては、たとえばブレーキホース、ラジエターホース、ヒーターホース、エアークリーナーホースなどが挙げられる。
上記自動車用防振ゴムとしては、たとえばエンジンマウント、液封エンジンマウント、ダンパープーリ、チェーンダンパー、キャブレターマウント、トーショナルダンパー、ストラットマウント、ラバーブッシュ、バンパゴム、ヘルパーゴム、スプリングシート、ショックアブソーバー、空気ばね、ボディマウント、バンパガード、マフラーサポート、ゴムカップリング、センターベアリングサポート、クラッチ用ゴム、デフマウント、サスペンションブッシュ、すべりブッシュ、クッシュンストラットバー、ストッパ、ハンドルダンパー、ラジエターサポーター、マフラーハンガーなどが挙げられる。
【0186】
上記鉄道用防振ゴムとしては、たとえばスラブマット、バラスマット、軌道マットなどが挙げられる。
上記産業機械用防振ゴムとしては、たとえばエキスパンションジョイント、フレキシブルジョイント、ブッシュ、マウントなどが挙げられる。
【0187】
上記伝動ベルトとしては、たとえばVベルト、平ベルト、歯付きベルトなどが挙げられる。
上記搬送用ベルトとしては、たとえば軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルト、Vガイド付き搬送用ベルトなどが挙げられる。
【0188】
上記自動車用カップ・シール材としては、たとえばマスタシリンダーピストンカップ、ホイールシリンダーピストンカップ、等速ジョイントブーツ、ピンブーツ、ダストカバー、ピストンシール、パッキン、Oリング、ダイヤフラムなどが挙げられる。
【0189】
上記産業機械用シール材としては、たとえばコンデンサーパッキン、Oリング、パッキンなどが挙げられる。
上記自動車用ウェザーストリップスポンジとしては、たとえばドアーウェザーストリップスポンジ、ボンネットウェザーストリップスポンジ、トランクルームウェザーストリップスポンジ、サンルーフウェザーストリップスポンジ、ベンチレーターウェザーストリップスポンジ、コーナースポンジなどが挙げられる。
【0190】
上記建築用シールスポンジとしては、たとえばガスケット、エアータイト、目地材、戸当たり部のシールスポンジなどが挙げられる。
上記他の発泡体としては、たとえばホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、インシュレーションパイプなどが挙げられる。
【0191】
上記OA機器用ロールとしては、たとえば帯電ロール、転写ロール、現像ロール、給紙ロールなどが挙げられる。
上記工業用ロールとしては、たとえば製鉄用ロール、製紙用ロール、印刷用電線ロールなどが挙げられる。
【0192】
上記家庭用ゴム製品としては、たとえば雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラテックス製品、ゴルフボールなどが挙げられる。
また、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、常温での架橋が可能であり、また、反応射出成形(RIM)用に好適に用いられる。さらに、熱可塑性エラストマーの製造の際に用いることができるし、エンジニアリングプラスチックの改質にも用いることができる。
【0193】
本発明に係る自動車用ウェザーストリップ、ホース(自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース)、防振ゴム(自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム)、ベルト(伝動ベルト、搬送用ベルト)、シール材(自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材)、発泡体(自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジおよび他の発泡体)、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品、OA機器用ロール、工業用ロールおよび家庭用ゴム製品は、前述した、本発明に係る第1または第2の架橋可能なゴム組成物からなる。
【0194】
ゴム組成物およびその架橋ゴム成形体の調製
上述したように、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、未架橋のままでも用いることもできるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0195】
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物から架橋物を製造するには、通常一般のゴムを加硫(架橋)するときと同様に、未架橋の配合ゴムを一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に架橋を行なえばよい。
【0196】
架橋方法としては、架橋剤(SiH基含有化合物(B))を使用して加熱する方法、または光、γ線、電子線照射による方法のどちらを採用してもよい。
まず、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製される。
【0197】
すなわち、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、および必要に応じてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)、ポリオレフィン樹脂(E)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤を好ましくは80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、SiH基含有化合物(B)、必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤、発泡助剤を追加混合し、好ましくはロール温度80℃以下で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0198】
本発明においては、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)および/またはアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)と、ゴム補強剤、無機充填剤等とは高温で混練りすることができるが、SiH基含有化合物(B)と触媒(C)とは同時に高温で混練りすると、架橋(スコーチ)してしまうことがあるため、SiH基含有化合物(B)と触媒(C)とを同時に添加する場合は、80℃以下で混練りすることが好ましい。SiH基含有化合物(B)と触媒(C)のうち、一方の成分を添加する場合は80℃を超える高温でも混練りすることができる。なお、混練りによる発熱に対して、冷却水を使用することも場合によっては好ましい。
【0199】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)、SiH基含有化合物(B)、ポリオレフィン樹脂(E)、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などとともに、老化防止剤、着色剤、分散剤、難燃剤、発泡剤などを同時に混練してもよい。
【0200】
上記のようにして調製された、本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成型物を加硫槽内に導入し、架橋することができる。120〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、あるいは光、γ線、電子線を照射することにより架橋物が得られる。この架橋の段階は金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0201】
【発明の効果】
本発明に係る第1の架橋可能なゴム組成物は、HAV、UHFなどの熱空気架橋が可能で耐金型汚染性に優れ、しかも、耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性などの特性に優れる架橋ゴム成形体を提供することができる。
【0202】
本発明に係る第2の架橋可能なゴム組成物は、架橋速度が速く、架橋ゴム成形体の生産性に優れ、HAV、UHFなどの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱性、耐候性、耐寒性および耐摩耗性などの特性に優れる架橋ゴム成形体を提供することができる。
【0203】
本発明に係る第1または第2架橋可能なゴム組成物またはその架橋ゴム成形体は、上記のような効果を有するので、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース等のホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム等の防振ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト等のベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材等のシール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジ、その他ホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、インシュレーションパイプ等の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラテックス製品、ゴルフボール等の家庭用品;プラスチック改質用、熱可塑性エラストマー用、エンジニアリングプラスチック改質用などの用途に広く用いられる。
【0204】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)ゴム特性
ゴム特性は下記の試験方法で評価する。すなわち、強度特性は引張強さ(TB)により、耐摩耗性はランボーンの方法により、湿潤路面での制動性能(ウエットスキッド)はスペクトロメーターによる0℃でのtanδにより、また転がり抵抗についてはスペクトロメーターによる50℃でのtanδにより評価する。
(2)ゴムの融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)
DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点(Tm)とする。
【0205】
融点(Tm)の測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで、10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0206】
なお、DSC測定時の吸熱ピークから、単位重さ当たりの融解熱量を求め、これをポリエチレンの結晶の融解熱量70cal/gで除して求めることにより、結晶化度(%)を求めることができる。
(3)ゴムの極限粘度[η]
ゴムの極限粘度[η]は、135℃、デカリン中で測定した。
(4)ゴムの分子量分布(Mw/Mn)
ゴムの分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。
【0207】
【製造例1】
(触媒の予備活性化)
窒素置換を十分に行なったガラス容器に、公知の方法で合成した(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン5.5mgを秤量し、トリイソブチルアルミニウム(以下TIBAと略す)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子が0.75ミリモルとなるように0.75ml加え、23℃で15分間超音波照射を行ない触媒溶液を調製した。
(共重合体ゴムの調製)
減圧乾燥および窒素置換してある2Lのオートクレーブに、常温でトルエン288mlと先に調製した触媒溶液を0.075ml加え、続いて攪拌下にエチレンを供給して6kg/cm2 Gまで加圧した後脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、エチレン常圧下で、1,3-ブタジエンを10g相当分気体で挿入し、昇温を開始し50℃に到達させた。その後系内をエチレンで6kg/cm2 Gとなるように加圧し、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.002mM/ml)を1.5ml加え、エチレンと1,3-ブタジエンとの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対して(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタンが0.005ミリモル/L、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.01ミリモル/Lであった。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を6kg/cm2 Gに保持した。5分後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより停止させた。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0208】
以上のようにして得られたエチレン・1,3-ブタジエン共重合体ゴム(α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A―1))の収量は14gであった。このゴムの135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕は、4.0dl/g、ガラス転移温度Tgは−38℃、沃素価は40g/100g、エチレン含量は91モル%、5員環構造は6.8モル%、3員環構造は0.1モル%、1,2付加構造は0.6モル%、1,4付加構造は1.5モル%、活性は112kg/ミリモルZr・hrであった。
【0209】
【製造例2】
製造例1において、プロピレンを5500ml(25℃、1気圧)追加し、1,3-ブタジエンを4gに、反応温度を20℃に変えた以外は、製造例1と同様な操作を行なった。
【0210】
得られたエチレン・プロピレン・1,3-ブタジエン共重合体ゴム(α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A―2))の収量は1.7gであった。このゴムの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.7dl/g、ガラス転移温度Tgは−45℃、沃素価は18.1g/100g、エチレン含量は67.5モル%、プロピレン含量は24.9モル%、5環構造は5.0モル%、シクロプロパン環構造は0.1モル%、1,2付加構造は0.5モル%、1,4付加構造は2.0モル%、活性は13kg/ミリモルZr・hrであった。
【0211】
【実施例1】
まず、製造例1で得られたα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A―1)100重量部を、6インチロ−ル(前ロールの表面温度70℃、後ロールの表面温度70℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、カーボンブラック[旭カ−ボン(株)製、商品名 旭#60G]60重量部、軟化剤[出光興産(株)製、商品名 ダイアナプロセスオイル PW−380]10重量部を加え、混練手順はJIS K6395(1997)に準じて混練した。
【0212】
次いで、6インチロ−ル温度(前ロールおよび後ロールの表面温度)を50℃に下げ、SiH基含有化合物(B)としてC6H5-Si(OSi(CH3)2H)3で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを4.3重量部、触媒(C)として2%塩化白金酸イソプロピルアルコール(IPA)溶液を0.1重量部、反応抑制剤(D)としてエチニルシクロヘキサノールを0.1重量部加え、混練手順はJIS K6395(1997)に準じて混練した。
【0213】
その後、シート状に分出し、50トンプレス成形機を用いて40℃で6分間加圧し、厚み2mmの未架橋シートを調製した。この未架橋シートを200℃雰囲気のHAV(ホットエアー加硫槽)に10分間放置し、無圧で厚み2mmの架橋シート(1)を作製した。
【0214】
上記のようにして得られた未架橋シートについて、金型汚染性試験、架橋速度試験および流動性試験を下記の方法に従って行なった。これらの結果を表3に示す。
(1)金型汚染性試験
未架橋シートを用いて、縦型射出成型機(松田製作所製VI−75P)を用いて、ストローク:7.7mm、最大型締力:75トン、架橋温度160℃、架橋時間100秒で金型表面に汚染が発生するまでのショット数を測定した。このショット数を耐金型汚染性の指標とした。
(2)架橋速度試験
未架橋シートの架橋速度を下記の条件で測定した。
【0215】
架橋度測定機[アルファテクノロジー アクイジッションInc.製、商品名RHEOMETER MDR2000]を用いて、架橋時間tc(90)をJISK6300(1994)に準拠して測定した。測定温度は160℃であった。
(3)流動性試験
未架橋シートの流動性を下記の条件で測定した。
【0216】
架橋度測定機[アルファテクノロジー アクイジッションInc.製、商品名RHEOMETER MDR2000]を用いて、最低トルクS‘MINをJIS K6300(1994)に準拠して測定した。測定温度は160℃であった。
【0217】
また、上記架橋シート(1)について、濁度試験および耐傷付き性試験を下記の方法に従って行なった。これらの結果を表3に示す。
(4)濁度試験
上記架橋シート(1)(厚さ2mm)から2cm×2cm角のシートを打ち抜き、同シートを室温のキシレン10g中に48時間浸漬した後、その残液の濁度を測定した。測定装置は、日本精密光学(株)製のSEP−PT−501(商品名)を用い、積分球式光電光度法で測定を行なった。測定セルは光路長10mmのものを、光源には特殊タングステン電球を用いた。
【0218】
濁度標準液として、JIS−K0101、9.1(1)(d)規定のカオリン標準液[100度(カオリン)]を用い、これと等しい散乱光強度のときの濁度を100ppmとした。
(5)耐傷付き性試験
HAV(ホットエアー加硫槽)より取り出した直後の架橋シート(1)表面をHBの鉛筆でひっかき、その傷付き状態を肉眼で観察し、耐傷付き性の評価を4段階で行なった。
【0219】
<耐傷付き性の4段階評価>
A:表面に傷が全く付かないもの
B:表面にわずかに傷が付くもの
C:傷が付くもの
D:傷が著しく激しいもの
次に、上記のようにシート状に分出しした未架橋シートを150トンプレス成形機を用いて、JIS K6395(1997)に準じて架橋シート(2)を作製した。なお、プレス架橋条件は160℃、圧力150kg/cm2 で10分間プレス架橋した。
【0220】
得られた架橋シート(2)について、引張試験、耐熱老化性試験および圧縮永久歪み試験を下記の方法に従って行なった。
(6)引張試験
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行ない、架橋シートの破断時の強度TB と伸びEB を測定した。
(7)耐熱老化性試験
JIS K6257に従って、耐熱老化性試験を行なった。すなわち、架橋シートを150℃のオーブン中に72時間入れて老化させた後、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行ない、架橋シートの破断時の伸びと強度を測定し、引張強さ保持率AR(TB)と、伸び保持率AR(EB)を算出した。
(8)圧縮永久歪み試験
JIS K6250に従い、作製した架橋シートを積層し、JIS K6262に準拠して圧縮永久歪み試験を行なった。この試験条件は150℃×22hrsである。
【0221】
【実施例2】
実施例1において、実施例1で用いたα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−1)の代わりに、製造例2で得られたα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0222】
【実施例3】
実施例1において、実施例1で用いたα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−1)100重量部の代わりに、製造例2で得られたα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−2)70重量部およびアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)として平均重合度8000のジメチルビニルポリシロキサン[両末端がジメチルビニルシリル基で封入されたビニル基含量が0.11モル%のポリシロキサン;商品名 SH871U、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製]30重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0223】
【実施例4】
まず、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−2)とポリエチレン(E−1)[三井化学(株)製、商品名 ウルトゼックス20200J]を重量比率[(E−1)/(A−2)]が14/70になるように押出機のスクリュー回転数と、計量器からのポリエチレン(E−1)供給量をコントロールすることにより2軸混練押出機によって調整し、ブレンド物(I)を得た。
【0224】
得られたブレンド物(I)中におけるポリエチレン(E−1)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、下記の要領で調製したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.01μm以下であった。
<サンプルの調製>
ブレンド物(I)のペレットをトリーミングし、ミクロトームで0.1μm以下の薄膜板を作製し、この薄膜片をルテニウム酸で染色した。次いで、この薄膜片にカーボンを蒸着して電子顕微鏡用サンプルを得た。
【0225】
また、実施例3において、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−2)70重量部の代わりに上記ブレンド物(I)84重量部を用いた以外は、実施例3と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0226】
【実施例5】
実施例4において、ポリエチレン(E−1)の代わりに、ポリプロピレン(E−2)[(株)グランドポリマー製、商品名 F337D]を用いた以外は、実施例4と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0227】
なお、得られたブレンド物(II)中におけるポリプロピレン(E−2)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、上記した要領で調製したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.6μm、アスペクト比は1.6であった。
【0228】
【比較例1】
実施例1において、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−1)の代わりに、下記に示すエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム[商品名:三井EPT1045、三井化学(株)製](A−3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0229】
【比較例2】
実施例1において、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A−1)の代わりに、下記に示すエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム[商品名:三井EPT3045 三井化学製](A−4)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0230】
【比較例3】
実施例2において、C6H5-Si(OSi(CH3)2H)3で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン4.3重量部および2%塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液0.1重量部の代わりに、イオウ1.5重量部、2-メルカトベンゾチアゾール[三新化学工業(株)製、商品名 サンセラーM]0.5重量部、テトラメチルチウラムジスルファイド[三新化学工業(株)製、商品名 サンセラーTT]1.0重量部、亜鉛華5重量部、およびステアリン酸1重量部を用いた以外は、実施例2と同様に行なった。結果を表3に示す。なお、表3では、組成物の組成成分である亜鉛華およびステアリン酸を省略した。
【0231】
【比較例4】
実施例2において、C6H5-Si(OSi(CH3)2H)3で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン4.3重量部および2%塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液0.1重量部の代わりに、ジクミルパーオキサイド40%濃度品を3.5重量部用いた以外は、実施例2と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0232】
【表3】
Claims (33)
- α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)と、
下記一般組成式で表されるSiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、
R 4 b H c SiO (4-b-c)/2
[上記一般式中、R 4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10の置換または非置換の1価炭化水素基であり、bは、0≦b<3、cは、0<c≦3であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3である]、および
白金系触媒からなる触媒(C)
とからなるゴム組成物であり、
上記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)は、
炭素原子数2〜12のα- オレフィンと、下記式(I)で表わされる共役ジエン単量体とを共重合させて得られるランダム共重合体ゴムであって、
(a)該共重合体ゴム(A)中において前記共役ジエン単量体から導かれた1,2付加体(3,4付加体を含む)は、共重合体ゴム(A)中の側鎖に2重結合を形成しており、また 1,4付加体は、共重合体ゴム(A)中の主鎖に2重結合を形成しており、上記1,2付加体に由来する側鎖の2重結合と1,4付加体に由来する主鎖の2重結合との比(1,2付加体に由来する側鎖の2重結合/1,4付加体に由来する主鎖の2重結合)が10/90〜99/1であり、
(b)共重合体ゴム(A)の主鎖中に、上記側鎖の2重結合から導かれた5員環を有し、
(c)上記各付加体の2重結合と5員環との比(各付加体の合計2重結合/5員環)が20/80〜90/10である
ことを特徴とする架橋可能なゴム組成物;
- 前記ゴム組成物が、さらに、エチニル基含有アルコールからなる反応抑制剤(D)を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の共役ジエン単量体が1,3-ブタジエンであることを特徴とする請求項1または2に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)のα- オレフィンが、(1)エチレン単独であるか、または(2)エチレンと炭素原子数3〜12のα- オレフィンとの組み合わせであり、(2)の場合はエチレン/炭素原子数3〜12のα- オレフィン(モル比)が、99/1〜40/60であること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の主鎖中に、さらにシクロプロパン環を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)には、共役ジエン単量体由来の構成単位が合計0.01〜30モル%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)の沃素価が、1〜50g/100gであり、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.01〜10dl/gの範囲にあり、ガラス転移温度Tgが25℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、さらにポリエチレンおよびポリプロピレンから選ばれるポリオレフィン樹脂(E)を含むゴム組成物であって、
該ゴム組成物は、α- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(E)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、ポリオレフィン樹脂(E)の平均分散粒子径が2μm以下であり、かつ、ポリオレフィン樹脂(E)とα- オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(E)/(A)]が5/95〜50/50であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。 - 前記ゴム組成物が、さらに、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(F)を含有してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物が、当該ゴム組成物をシート状に成形した後熱空気架橋して得られる架橋ゴムシートを室温のキシレンに48時間浸漬した後の残液の濁度が3ppm以下であり、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ、シート状に成形した後プレス架橋して得られる架橋ゴムシートの150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下の物性を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記ゴム組成物の160℃での架橋速度(tc(90))が15分以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ウェザーストリップの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ホース、送水用ホースまたはガス用ホースの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴムまたは建築用免震ゴムの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 伝動ベルトまたは搬送用ベルトの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用カップ・シール材または産業機械用シール材の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ウェザーストリップスポンジまたは他の発泡体の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 被覆電線、電線ジョイントまたは電気絶縁部品の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 家庭用ゴム製品の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 常温での架橋が可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 反応射出成形(RIM)用に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 熱可塑性エラストマーの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- エンジニアリングプラスチックの改質に用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするホース。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする防振ゴム。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするベルト。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするシール材。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする発泡体。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなる被覆材で被覆されていることを特徴とする被覆電線。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする電線ジョイント。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする電気絶縁部品。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする家庭用ゴム製品。
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