JP4302243B2 - 架橋可能なゴム組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、架橋(加硫)可能なゴム組成物およびその用途に関し、さらに詳しくは、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱性、耐候性、流動性、加工性に優れる、架橋可能なゴム組成物およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
EPDMなどのエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、一般に、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れており、自動車用工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建築用材、ゴム引き布などに用いられている。
【0003】
従来のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、シリコーンゴムなどに比べて耐圧縮永久歪み性が劣るという欠点がある。
この欠点を解決する方法としてイオウ加硫からパーオキサイド架橋にするとの方法は効果的であるが、この方法では、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋をする場合、ゴム表面が架橋しない、あるいは崩壊(デグラデイション)を起こし耐傷付き性が著しく劣るという欠点がある。この原因は、パーオキサイドが架橋に関与せずゴム表面が酸素と触れることで崩壊が進むためであり、酸素を遮断するスチーム架橋、被鉛架橋などで架橋させればゴム表面の耐傷付き性は改良されるものの、生産コストの面で不利となる。
【0004】
また特開平4−154855号公報には、HAVで熱空気架橋可能なEPDM/SiH/Pt系化合物からなるオレフィン系ゴム組成物が開示されているが、このゴム組成物の耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性は十分に満足するものではなかった。
【0005】
また、特開平7−33924号公報には、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムに、少なくとも1つの反応性基を有するポリシロキサンを添加してなるゴム組成物をパーオキサイド架橋することにより、熱空気架橋が可能で、耐傷付き性に優れたゴムを得ることができることが記載されている。
【0006】
しかしながら、本願発明者らは、この公報に記載されている発明を追試し、その結果、上記ゴム組成物にパーオキサイドを添加することにより架橋効率は高くなってはいるものの、パーオキサイドラジカルがシロキサンの付加反応を起こさせると同時に、ポリマーラジカルを発生させるため、架橋後のゴム製品表面の耐傷付き性は実用に耐えうるものではないことを確認している。
【0007】
ところで、ゴム製品は一般に製品硬度別に配合が設計されており、ある製品硬度を得るためにはコストおよび製品物性の兼ね合いで、カーボンブラック、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が用いられている。ここに列挙した補強材、充填材は、製品硬度を増加させる効果が大なり小なりあるが、いずれもコンパウンド粘度をアップさせるため加工性を損ねてしまう性質を有している。また、上記のような補強剤、充填材は、ゴム製品として重要な物性である伸びをも低下させてしまう性質を有している。
【0008】
このため、ゴム製品硬度をアップさせる効果があり、しかも、コンパウンド粘度を下げることのできる技術の確立が望まれている。
一方、上記特性のほかにも耐摩耗性に優れることが望まれている。耐摩耗性が求められる理由は、たとえば自動車用グラスランやワイパーブレードなどはガラスとの摺動部が摩耗し製品寿命が短くなるからである。
【0009】
したがって、生産コストに優れる熱空気架橋(HAV、UHFなど)で架橋することができ、さらに耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性および耐摩耗性に優れ、しかも流動性に優れるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物の出現が望まれている。
【0010】
そこで、本願発明者らは、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物について鋭意研究し、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)、および必要に応じて触媒(D)、反応抑制剤(E)からなるゴム組成物は、流動性に優れ、生産コストに優れる熱空気架橋(HAV、UHFなど)で架橋でき、しかも耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性および耐摩耗性に優れる成形体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、
非共役ポリエンが下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
ポリオレフィン樹脂(B)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)と
からなるゴム組成物であり、
該ゴム組成物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、
ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径が2μm以下であり、
かつ、ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]が5/95〜50/50であることを特徴としている。
【0012】
【化3】
【0013】
[式中、nは0ないし10の整数であり、
R1 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2 は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
【0014】
【化4】
【0015】
[式中、R3 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である]。
本発明に係る架橋可能なゴム組成物としては、ポリオレフィン樹脂(B)がエチレン単独重合体または結晶性エチレン・α- オレフィン共重合体であるゴム組成物が好ましい。また、次のゴム組成物も好ましい。
【0016】
すなわち、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
炭素原子数3〜8のα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン単独重合体、またはこれらのα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン共重合体であるポリオレフィン樹脂(B)と
を含有してなるゴム組成物であり、
該ゴム組成物は、
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、
ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径が2μm以下であり、
ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]が5/95〜50/50であり、かつ、
該ゴム組成物の硬さ(JIS K 6301で規定されているA硬度=Y)とポリオレフィン樹脂(B)の配合量(X)とが、
Y=(0.5±0.2)X+a
[式中、Xは、ポリオレフィン樹脂(B)の配合量(単位:重量部、成分(A)と(B)との合計量は100重量部)であり、aは、ポリオレフィン樹脂(B)配合による硬度アップ分をこのゴム組成物の硬度から引いた硬度である]の関係を満たす架橋可能なゴム組成物。ポリオレフィン樹脂(B)の分散粒子のアスペクト比が5以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)およびSiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)の他に、必要に応じて触媒(D)、さらには反応抑制剤(E)を含有させることができる。
【0018】
前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が0.5〜50の範囲にあり、
(iii) 135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜10dl/gの範囲にあり、
(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上である。
【0019】
中でも、前記(i)、(ii)、(iii) および(iv)の物性の他に、
(v)GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が2〜200、好ましくは2.5〜150、さらに好ましくは3〜120、特に好ましくは5〜100であり、
(vi)該エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100gに対し、ジクミルパーオキサイド0.01モルを用い、170℃で10分間プレス架橋したときの有効網目鎖密度(ν)が1.5×1020個/c
m3 以上である
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が好ましく、中でも、前記(i)、(ii)、(iii) 、(iv)、(v)および(vi)の物性の他に、
(vii) 100℃でのメルトフローカーブから求めた、ずり応力0.4×106dyn/cm2 を示すときのずり速度γ1 とずり応力2.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ2 との比γ2/γ1 と、前記有効網目鎖密度(ν)との比が、一般式[III]
0.04×10-19 ≦ Log(γ2/γ1)/ν ≦ 0.20×10-19 ・・・[III]
で表わされる関係を満足する
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)がより好ましい。
【0020】
前記(i)〜(vii) の物性を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、たとえば下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒を用い、重合温度30〜60℃、重合圧力4〜12kgf/cm2 、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレン、α- オレフィンおよび前記一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物を共重合することにより得られる。
(H)VO(OR)nX3-n (式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4 (Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム化合物。
(I)R'mAlX'3-m (R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1〜3の整数である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
【0021】
前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であることが好ましい。
【0022】
前記触媒(D)としては、白金系触媒が好ましく用いられる。
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジまたは他の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;家庭用ゴム製品;土木建築用止水シート;建材シーラントなどの製造の際に好適に用いられる。
【0023】
前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を含有してなる、本発明に係るゴム組成物は、常温での架橋が可能で室温架橋ゴム(RTV)用に好適に用いることができるし、また、反応射出成形(RIM)用に好適に用いられる。また、水架橋ゴムの原料に用いることができる。さらに、熱可塑性エラストマーの製造の際に用いることができるし、熱可塑性樹脂の改質やエンジニアリングプラスチックの改質にも用いることができる。
【0024】
本発明に係る自動車用ウェザーストリップ、ホース(自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース)、防振ゴム(自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム)、ベルト(伝動ベルト、搬送用ベルト)、シール材(自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材)、発泡体(自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジおよび他の発泡体)、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品、OA機器用ロール、工業用ロール、土木建築用止水シートおよび家庭用ゴム製品は、本発明に係る架橋可能なゴム組成物からなることを特徴としている。
【0025】
なお、明細書中の「架橋ゴム成形体」の語は、非発泡体のみを指す場合と、非発泡体と発泡体の両方を指す場合がある。
【0026】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る架橋可能なゴム組成物およびその用途について具体的に説明する。
【0027】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)、および必要に応じて触媒(D)、反応抑制剤(E)から構成されている。
【0028】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物としては、ゴム組成物をシート状に成形した後熱風架橋して得られる架橋ゴムシートが、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、かつ、150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であることが好ましい。
【0029】
エチレン・α - オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0030】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
【0031】
これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物である。
【0032】
【化5】
【0033】
一般式[I]において、nは0ないし10の整数であり、
R1 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R1 の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
【0034】
R2 は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
R2 の炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1 の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0035】
【化6】
【0036】
一般式[II]において、R3 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。
R3 のアルキル基の具体例としては、上記R1 のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
【0037】
上記一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物としては、具体的には、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-2- プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-メチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキセシル)-2- ノルボルネン、5-(5-エチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネンなど挙げられる。このなかでも、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
上記のような諸成分からなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(A)は、以下のような特性を有している。
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、(a)エチレンで導かれる単位と(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィン(以下単にα- オレフィンということがある)から導かれる単位とを、40/60〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20のモル比[(a)/(b)]で含有している。
【0039】
このモル比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
(ii)ヨウ素価
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のヨウ素価は、0.5〜50(g/100g)、好ましくは0.8〜40(g/100g)、さらに好ましくは1〜30(g/100g)、特に好ましくは1.5〜25(g/100g)である。
【0040】
このヨウ素価が上記範囲内にあると、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が50を超えると、コスト的に不利になるので好ましくない。
(iii)極限粘度
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.3〜10dl/g、好ましくは0.5〜8dl/g、さらに好ましくは0.7〜6dl/g、特に好ましくは0.8〜5dl/gであることが望ましい。
【0041】
この極限粘度[η]が上記範囲内にあると、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の動的粘弾性測定器より求めた分岐指数は5以上、好ましくは7以上、さらに好ましくは9以上、特に好ましくは10以上である。この分岐指数の値が5より小さいと、高ずり速度領域での粘度が高くなり、流動性が悪化するため、ロール加工性および押出加工性が悪くなる。
【0042】
中でも、上記(i)〜(iv)の物性の他に、下記(v)、(vi)の物性を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が好ましい。
(v)分子量分布(Mw/Mn)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は、3〜100、好ましくは3.3〜75、さらに好ましくは3.5〜50である。
【0043】
この分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
(vi)有効網目鎖密度(ν)[架橋密度の指標]
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100gに対し、ジクミルパーオキサイド0.01モルを用い、170℃で10分間プレス架橋したときの有効網目鎖密度(ν)が1.5×1020個/cm3 以上、好ましく1.8×1020個/cm3 以上、さらに好ましくは2.0×1020個/cm3 以上である。
【0044】
この有効網目鎖密度(ν)が1.5×1020個/cm3 以上であると、耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
上記(i)〜(vi)の物性の他に、さらに下記(vii) の物性を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が特に好ましい。
(vii)Log(γ2/γ1)/ν
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、100℃でのメルトフローカーブから求めた、ずり応力0.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ1 とずり応力2.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ2 との比γ2/γ1と、前記有効網目鎖密度(ν)との比が、一般式[IV]
0.04×10-19 ≦ Log(γ2/γ1)/ν ≦ 0.20×10-19 ・・・[III]
で表わされる関係を満足している。
【0045】
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、Log(γ2/γ1) と有効網目鎖密度(ν)との比[Log(γ2/γ1)/ν]が0.04×10-19〜0.20×10-19、好ましくは0.042×10-19〜0.19×10-19 、さらに好ましくは0.050×10-19 〜0.18×10-19 である。
【0046】
この比[Log(γ2/γ1)/ν]が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
【0047】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜59℃、重合圧力4〜12kgf/cm2 、特に5〜8kgf/cm2 、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とをランダム共重合することにより得られる。共重合は、炭化水素媒体中で行なうのが好ましい。
(H)VO(OR)nX3-n (式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4 (Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウ
ム化合物。
【0048】
上記可溶性バナジウム化合物(H)は、重合反応系の炭化水素媒体に可溶性の成分であり、具体的には、一般式 VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を代表例として挙げることができる。
【0049】
より具体的には、VOCl3 、VO(OC2H5)Cl2 、
VO(OC2H5)2Cl、VO(O−iso-C3H7)Cl2、
VO(O−n-C4H9)Cl2、VO(OC2H5)3、VOBr3、VCl4 、
VOCl3、VO(O−n-C4H9)3、VCl3・2OC6H12OHなどを例示することができる。
(I)R'mAlX'3-m (R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1〜3の整数である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
【0050】
上記有機アルミニウム化合物(I)としては、具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R1 0.5Al(OR1)0.5 などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0051】
本発明において、上記化合物(H)のうち、VOCl3 で表わされる可溶性バナジウム化合物と、上記化合物(I)のうち、Al(OC2H5)2Cl/Al2(OC2H5)3Cl3のブレンド物(ブレンド比は1/5以上)を触媒成分として使用すると、ソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られるので好ましい。
【0052】
また、上記共重合の際に使用する触媒として、いわゆるメタロセン触媒たとえば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒を用いても差し支えない。
【0053】
また、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、極性モノマーたとえば不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)でグラフト変性されていてもよい。
【0054】
このような不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸などが挙げられる。
【0055】
不飽和カルボンの酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸無水物などが挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
【0056】
不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0057】
上記の不飽和カルボン酸等のグラフト変性剤(グラフトモノマー)は、それぞれ単独または2種以上の組み合わせで使用されるが、何れの場合も前述したグラフト変性前のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100g当たり、0.1モル以下のグラフト量にするのがよい。
【0058】
上記のようなグラフト量が上記範囲にあるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐寒性に優れた架橋ゴム成形体を提供し得る、流動性(成形加工性)に優れたゴム組成物が得られる。
【0059】
グラフト変性したエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、前述した未変性のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムと不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、ラジカル開始剤の存在下に反応させることにより得ることができる。
【0060】
このグラフト反応は溶液にして行なうこともできるし、溶融状態で行なってもよい。溶融状態でグラフト反応を行なう場合には、押出機の中で連続的に行なうことが最も効率的であり、好ましい。
【0061】
グラフト反応に使用されるラジカル開始剤としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’- ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t- ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
およびこれらの混合物などが挙げられる。中でも半減期1分を与える温度が130〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましく、特に、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が好ましい。
【0062】
また、不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)以外の極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0063】
ポリオレフィン樹脂(B)
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(B)は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、
高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン単独重合体(ポリエチレン)ないしエチレンと炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンとからなる結晶性エチレン・α- オレフィン共重合体;
プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン;
プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンの結晶性単独重合体ないし共重合体などが挙げられる。
【0064】
これらのポリオレフィン樹脂(B)の融点は250℃以下である。中でもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
なお、本発明に係るゴム組成物中に発泡剤を配合する場合、ポリオレフィン樹脂(B)としては、炭素原子数3〜8のα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン単独重合体または共重合体、好ましくはポリプロピレンは、ビカット軟化点が130℃以上、好ましくは140℃以上であることが望ましい。
【0065】
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とのブレンド比率[(B)/(A)]は、5/95〜50/50、好ましくは10/90〜40/60である。この範囲内でポリオレフィン樹脂(B)を用いれば、ゴム弾性を保つことができる。
【0066】
ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂(B)は、補強剤、充填剤に対し、カーボンブラック並の製品硬度をアップさせる効果を持つとともに、加工温度でのコンパウンドの粘度を下げ、加工性を向上させる効果を持つ配合材として使用される。
【0067】
また、ポリプロピレンについては、その配合量がポリプロピレンとエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)との合計量100重量部に対して50重量部以下であるとき、得られるコンパウンドは、共重合体ゴム(A)相が海となり、ポリプロピレン相が島となる、いわゆる海島構造になる。このポリプロピレンの島相は補強剤の役目を果たすとともに、融点以上の温度では溶融してコンパウンド粘度を下げ、流動性を向上させる効果がある。
【0068】
本発明においては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)を混ぜる方法としては、ゴム混練機として通常使用されるバンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて、ポリオレフィン樹脂(B)の融点以上で混練する方法でも構わないが、ポリオレフィン樹脂(B)の混練不良物が異物となる可能性が高いので、WO97/02316公報に記載の方法[押出機内でエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)を充分に溶融させ、ポリオレフィン樹脂(B)がエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中にミクロ分散するまでブレンドする方法]で行なう方が好ましい。
【0069】
SiH基含有化合物(C)
本発明で用いられるSiH基含有化合物(C)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と反応し、架橋剤として作用する。このSiH基含有化合物(C)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などでも使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいることが必要である。
【0070】
このようなSiH基含有化合物(C)としては、通常、下記の一般組成式
R4 bHcSiO(4-b-c)/2
で表わされる化合物を使用することができる。
【0071】
上記一般組成式において、R4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、前記R1 に例示したアルキル基の他に、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基たとえばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0072】
また、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
【0073】
このSiH基含有化合物(C)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R4 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2 単位、R4 2SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2 またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
【0074】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0075】
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3
[式中のdは2以上の整数である。]
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0076】
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0077】
HOSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)2-Si(CH3)2OH
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0078】
HOSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-
-Si(CH3)2OH
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0079】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0080】
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0081】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-
-Si(CH3)2H
[式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。]
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
【0082】
SiH基含有化合物(C)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜75重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、さらにより好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。上記範囲内の割合でSiH基含有化合物(C)を用いると、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れた架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100重量部を超える割合でSiH基含有化合物(C)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0083】
また、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の架橋に関与する脂肪族不飽和基に対するSiH基の割合(SiH基/脂肪族不飽和基)は、0.2〜20、さらには0.5〜10、特に0.7〜5であることが好ましい。
【0084】
触媒(D)
本発明で任意成分として用いられる触媒(D)は、付加反応触媒であり、上記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)成分のアルケニル基と、SiH基含有化合物(C)のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はなく、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、中でも、白金系触媒が好ましい。
【0085】
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
【0086】
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなる。
【0087】
触媒(D)はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜100,000重量ppm、好ましくは0.1〜10,000重量ppm、さらに好ましくは1〜5,000重量ppmの割合で用いられる。
【0088】
上記範囲内の割合で触媒(D)用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100,000重量ppmを超える割合で触媒(D)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0089】
なお、本発明においては、上記触媒(D)を含まないゴム組成物の未架橋ゴム成形体に、光、γ線、電子線等を照射して架橋ゴム成形体を得ることもできる。
反応抑制剤(E)
本発明で触媒(D)とともに任意成分として用いられる反応抑制剤(E)しては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、アミド化合物(たとえばN,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミド等)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0090】
反応抑制剤(E)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜50重量部、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.0001〜30重量部、より好ましくは0.0001〜20重量部、さらに好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。
【0091】
50重量部以下の割合で反応抑制剤(E)を用いると、架橋スピードが速く、架橋ゴム成形体の生産性に優れたゴム組成物が得られる。50重量部を超える割合で反応抑制剤(E)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0092】
その他の成分
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、未架橋のままでも用いることができるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0093】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物中に、意図する架橋物の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0094】
上記ゴム補強剤は、架橋ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどが挙げられる。
【0095】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。また、これらシリカの比表面積(BED法)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜400m2/gである。
これらのゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0096】
上記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。
これらの無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0097】
上記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ;
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質を挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0098】
これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。
上記老化防止剤としては、たとえばアミン系、ヒンダードフェノール系、またはイオウ系老化防止剤などが挙げられるが、これらの老化防止剤は、上述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
【0099】
本発明で用いられるアミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類などが挙げられる。
ジフェニルアミン類としては、具体的には、p- (p- トルエン・スルホニルアミド)- ジフェニルアミン、4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'- ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p’- ジオクチル・ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0100】
フェニレンジアミン類としては、具体的には、N,N'- ジフェニル-p-フェニレンジアミン、n- イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2- ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-エチル-3- メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のp- フェニレンジアミン類などが挙げられる。
【0101】
これらの中でも、特に4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミンが好ましい。
これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0102】
本発明で用いられるヒンダードフェノール系老化防止剤としては、具体的には
(1)1,1,3-トリス- (2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフェニルブタン、
(2)4,4'- ブチリデンビス- (3-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(3)2,2-チオビス(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(4)7-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)プロピオネート、
(5)テトラキス- [メチレン-3-(3',5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、
(6)ペンタエリスリトール- テトラキス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコール- ビス[3-(3-t-ブチル-5- メチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6-ヘキサンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5- トリアジン、
(10)トリス- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)- イソシアヌレート、
(11)2,2-チオ- ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(12)N,N'- ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシ)- ヒドロシンナアミド、
(13)2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]- o-クレゾール、
(14)3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル- ホスホネート- ジエチルエステル、
(15)テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、
(16)オクタデシル-3- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、
(17)3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1- ジメチルエチル]-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
などを挙げることができる。中でも、特に(5)、(17)のフェノール化合物が好ましい。
【0103】
本発明で用いられるイオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。
具体的には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;
ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤などを挙げることができる。これらの中でも、特に2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)が好ましい。
【0104】
上記の加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0105】
このような加工助剤は、通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0106】
本発明においては、上述した触媒(D)の他に有機過酸化物を使用して、付加架橋とラジカル架橋の両方を行なってもよい。有機過酸化物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の割合で用いられる。有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
【0107】
また、有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0108】
上記の発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;
N,N'- ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'- オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0109】
これらの発泡剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。上記のような割合で発泡剤を用いると、比重0.03〜0.8g/cm3 の発泡体を製造することができるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0110】
また、必要に応じて、発泡剤と併用して、発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。
このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0111】
これらの発泡助剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0112】
また、本発明に係る架橋可能なゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。
このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0113】
ゴム組成物およびその用途
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、上記のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、SiH基含有化合物(C)とからなり、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]は、5/95〜50/50である。この重量ブレンド比が上記のような範囲にあれば、ゴム製品のゴム弾性を保持することができる。
【0114】
ここでいうミクロ分散は、透過型電子顕微鏡で1万倍に拡大した写真から測定できるポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径(測定粒子数40個)が2μm以下であることが望ましい。なお、本発明では、分散している粒子の平均粒子径を平均分散粒子径という。
【0115】
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(B)が炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンの結晶性単独重合体ないし共重合体の場合、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]A とポリオレフィン樹脂(B)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]B との比([η]A/[η]B)が通常1±0.14、好ましくは1±0.12であることが望ましい。この極限粘度の比が上記範囲内にあると、ポリオレフィン樹脂(B)のゴム相中での島の安定性が発揮され、この安定性は、通常の混練工程での熱、流動、剪断力によって全く影響されることはない。この極限粘度の比が1に近づくほど、ポリオレフィン樹脂(B)のゴム相中でのミクロ分散が非常に良好となる。
【0116】
上述したように、本発明に係る架橋可能なゴム組成物のうち、好ましいゴム組成物は、ポリオレフィン樹脂(B)がエチレン単独重合体または結晶性エチレン・α- オレフィン共重合体であるゴム組成物と、下記のゴム組成物である。
【0117】
すなわち、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
炭素原子数3〜8のα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン単独重合体、またはこれらのα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン共重合体であるポリオレフィン樹脂(B)と
を含有してなるゴム組成物であり、
該ゴム組成物は、
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、
ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径が2μm以下であり、
ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]が5/95〜50/50であり、かつ、
該ゴム組成物の硬さ(JIS K 6301で規定されているA硬度=Y)とポリオレフィン樹脂(B)の配合量(X)とが、
Y=(0.5±0.2)X+a
[式中、Xは、ポリオレフィン樹脂(B)の配合量(単位:重量部、成分(A)と(B)との合計量は100重量部)であり、aは、ポリオレフィン樹脂(B)配合による硬度アップ分をこのゴム組成物の硬度から引いた硬度である]の関係を満たす架橋可能なゴム組成物。
【0118】
このゴム組成物において、上記式中のaは、ポリオレフィン樹脂(B)配合による硬度アップ分をそのゴム組成物またはゴム成形体の硬度から引いた硬度であり、たとえばポリオレフィン樹脂(B)をエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中にミクロ分散させたゴムでは、生ゴムすなわちエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の硬度であり、また、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)およびポリオレフィン樹脂(B)の他に、カーボンブラック、オイル、その他の配合剤を含むゴム組成物では、ポリオレフィン樹脂(B)以外のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、カーボンブラック、オイル、その他の配合剤からなるゴム組成物が発現する硬度である。
【0119】
また、ポリオレフィン樹脂(B)の分散粒子のアスペクト比(長径/短径)は、好ましくは5以下、さらに好ましくは3〜1であることが望ましい。このアスペクト比が5以下である場合、ポリオレフィン樹脂(B)粒子のミクロ分散が良好である。
【0120】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジまたは他の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;土木建築用止水シート;家庭用ゴム製品などの製造の際に好適に用いられる。
【0121】
上記自動車用ウェザーストリップとしては、たとえばドアウエザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウナーウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ、ダムウインドシールド、クラスランチャネル、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプ、シールカウルトップなどが挙げられる。
【0122】
上記自動車用ホースとしては、たとえばブレーキホース、ラジエターホース、ヒーターホース、エアークリーナーホースなどが挙げられる。
上記自動車用防振ゴムとしては、たとえばエンジンマウント、液封エンジンマウント、ダンパープーリ、チェーンダンパー、キャブレターマウント、トーショナルダンパー、ストラットマウント、ラバーブッシュ、バンパゴム、ヘルパーゴム、スプリングシート、ショックアブソーバー、空気ばね、ボディマウント、バンパガード、マフラーサポート、ゴムカップリング、センターベアリングサポート、クラッチ用ゴム、デフマウント、サスペンションブッシュ、すべりブッシュ、クッシュンストラットバー、ストッパ、ハンドルダンパー、ラジエターサポーター、マフラーハンガーなどが挙げられる。
【0123】
上記鉄道用防振ゴムとしては、たとえばスラブマット、バラスマット、軌道マットなどが挙げられる。
上記産業機械用防振ゴムとしては、たとえばエキスパンションジョイント、フレキシブルジョイント、ブッシュ、マウントなどが挙げられる。
【0124】
上記伝動ベルトとしては、たとえばVベルト、平ベルト、歯付きベルトなどが挙げられる。
上記搬送用ベルトとしては、たとえば軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルト、Vガイド付き搬送用ベルトなどが挙げられる。
【0125】
上記自動車用カップ・シール材としては、たとえばマスタシリンダーピストンカップ、ホイールシリンダーピストンカップ、等速ジョイントブーツ、ピンブーツ、カストカバー、ピストンシール、パッキン、Oリング、ダイヤフラムなどが挙げられる。
【0126】
上記産業機械用シール材としては、たとえばコンデンサーパッキン、Oリング、パッキンなどが挙げられる。
上記自動車用ウェザーストリップスポンジとしては、たとえばドアーウェザーストリップスポンジ、ボンネットウェザーストリップスポンジ、トランクルームウェザーストリップスポンジ、サンルーフウェザーストリップスポンジ、ベンチレーターウェザーストリップスポンジ、コーナースポンジなどが挙げられる。
【0127】
上記建築用シールスポンジとしては、たとえばガスケット、エアータイト、目地材、戸当たり部のシールスポンジなどが挙げられる。
上記他の発泡体としては、たとえばホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、シンシュレーションパイプなどが挙げられる。
【0128】
上記OA機器用ロールとしては、たとえば帯電ロール、転写ロール、現像ロール、給紙ロールなどが挙げられる。
上記工業用ロールとしては、たとえば製鉄用ロール、製紙用ロール、印刷用電線ロールなどが挙げられる。
【0129】
上記家庭用ゴム製品としては、たとえば雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラッテクス、ゴルフボールなどが挙げられる。
上記土木建築用止水シートのうち建築用止水シートとしては、ル−フィングシ−トなどが挙げられ、また、土木用止水シ−トとしては、貯水池用止水シ−ト、ゴム処理場用止水シ−トなどが挙げられる。
【0130】
また、本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、常温での架橋が可能であり、また、反応射出成形(RIM)用に好適に用いられる。水架橋ゴムの原料として好適に用いられる。さらに、熱可塑性エラストマーの製造の際に用いることができるし、熱可塑性樹脂やエンジニアリングプラスチックの改質にも用いることができる。
【0131】
本発明に係る自動車用ウェザーストリップ、ホース(自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース)、防振ゴム(自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム)、ベルト(伝動ベルト、搬送用ベルト)、シール材(自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材)、発泡体(自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジおよび他の発泡体)、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品、OA機器用ロール、工業用ロール、土木建築用止水シートおよび家庭用ゴム製品は、前述した、本発明に係る架橋可能なゴム組成物からなる。
【0132】
ゴム組成物およびその架橋ゴム成形体の調製
上述したように、本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、未架橋のままでも用いることもできるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0133】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物から架橋物を製造するには、通常一般のゴムを加硫(架橋)するときと同様に、未架橋の配合ゴムを一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に架橋を行なえばよい。
【0134】
架橋方法としては、架橋剤(SiH基含有化合物(C))を使用して加熱する方法、または光、γ線、電子線照射による方法のどちらを採用してもよい。
まず、本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製される。
【0135】
すなわち、本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類、好ましくは押出機により、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、および必要に応じてゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤を好ましくは80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、SiH基含有化合物(C)、および必要に応じて触媒(D)、反応抑制剤(E)、発泡剤、発泡助剤を追加混合し、ロール温度80℃以下で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0136】
本発明においては、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)およびポリオレフィン樹脂(B)と、ゴム補強剤、無機充填剤等とは高温で混練りすることができるが、SiH基含有化合物(C)と触媒(D)とは同時に高温で混練りすると、架橋(スコーチ)してしまうことがあるため、SiH基含有化合物(C)と触媒(D)とを同時に添加する場合は、80℃以下で混練りすることが好ましい。SiH基含有化合物(C)と触媒(D)のうち、一方の成分を添加する場合は80℃を超える高温でも混練りすることができる。なお、混練りによる発熱に対して、冷却水を使用することも場合によっては好ましい。
【0137】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)およびポリオレフィン樹脂(B)と、SiH基含有化合物(C)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などとともに、老化防止剤、着色剤、分散剤、難燃剤、発泡剤などを同時に混練してもよい。この場合、ポリオレフィン樹脂(B)の融点以上の温度で混練することが必要である。
【0138】
上記のようにして調製された、本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成型物を加硫槽内に導入し、架橋することができる。120〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、あるいは前記した方法により光、γ線、電子線を照射することにより架橋物が得られる。この架橋の段階は金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0139】
【発明の効果】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物は、架橋速度が速く、架橋ゴム成形体の生産性に優れ、HAV、UHFなどの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐圧縮永久歪み性、強度特性、耐熱性、耐候性、流動性などの特性に優れる架橋ゴム成形体(発泡体も含む)を提供することができる。
【0140】
本発明に係る架橋可能なゴム組成物から得られる架橋ゴム成形体は、上記のような効果を有するので、自動車用ウェザーストリップ;自動車用ホース、送水用ホース、ガス用ホース等のホース;自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム等の防振ゴム;伝動ベルト、搬送用ベルト等のベルト;自動車用カップ・シール材、産業機械用シール材等のシール材;自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジ、その他ホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、シンシュレーションパイプ等の発泡体;被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品;OA機器用ロール、工業用ロール;建築用止水シート、土木用止水シート;雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラッテクス、ゴルフボール等の家庭用品;プラスチック改質用、熱可塑性エラストマー用、水架橋ゴム用、熱可塑性樹脂改質剤、エンジニアリングプラスチック改質用などの用途に広く用いられる。
【0141】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0142】
なお、実施例、比較例で用いた共重合体ゴムの組成、ヨウ素価、極限粘度[η]、分子量分布(Mw/Mn)、γ2/γ1、有効網目鎖密度(ν)、γ2/γ1と有効網目鎖密度(架橋密度の指標)との関係、分岐指数は、次のような方法で測定ないし求めた。
(1)共重合体ゴムの組成
共重合体ゴムの組成は13C−NMR法で測定した。
(2)共重合体ゴムのヨウ素価
共重合体ゴムのヨウ素価は、滴定法により求めた。
(3)極限粘度[η]
共重合体ゴムの極限粘度[η]は、135゜Cデカリン中で測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
共重合体ゴムの分子量分布は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わした。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
(5)γ2/γ1
共重合体ゴムの100℃でのメルトフローカーブを求め、ずり応力0.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ1 とずり応力2.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ2 との比(γ2/γ1)を求めた。
【0143】
L/D=60mm/3mm
(6)有効網目鎖密度(ν)
JIS K 6258(1993年)に従い、トルエンに37℃×72時間浸漬させ、Flory-Rehnerの式より有効網目鎖密度を算出した。
【0144】
【数1】
【0145】
υR :膨潤した加硫ゴム中における膨潤した純ゴムの容積(純ゴム容積+吸収した溶剤の容積)に対する純ゴムの容積分率
μ :ゴム−溶剤間の相互作用定数=0.49
V0 :溶剤の分子容
ν(個/cm3) :有効網目鎖濃度。純ゴム1cm3 中の有効網目鎖の数。
【0146】
サンプルの作製:共重合体ゴム100gに対し、ジクミルパーオキサイド0.01モルを添加し、混練温度50℃で8インチロールオープンロールを用いて、日本ゴム協会標準規格(SRIS)に記載の方法により混練を行ない、得られた混練物を170℃で10分間プレス架橋してサンプルを作製した。
(7)γ2/γ1 と有効網目鎖密度(架橋密度の指標)との関係Log(γ2 /γ1 )/νを計算により求めた。
(8) 分岐指数
長鎖分岐を有しないEPR(分子量の異なる4サンプル)について動的粘弾性試験機を用いて複素粘性率η* の周波数分散を測定した。
【0147】
0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1L *(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2L *(8rad/sec)を横軸にプロットし、基準ラインを作成し、そのラインの延長線上にあるη2L * =1×103/Pa・sのときのη1L0 *を測定した。
【0148】
次に、対象サンプルについても同様に、0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1B *(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2B *(8rad/sec)を横軸にプロットする。このプロットは基準ラインよりも大きな値となり、長鎖分岐が多いほど基準ラインよりも大きく離れていく。
【0149】
次に、このプロットの上を通るように基準ラインを平行移動させ、複素粘性率η2 *=1×103/Pa・sとの交点η1B0 *を測定した。
上記のようにして測定したη1L0 *およびη1B0 *の値を下式に適用し、分岐指数を算出した。
【0150】
分岐指数=(logη1L0 * − logη1B0 *)×10
上記測定条件は、次の通りである。
・基準サンプル:4種類のEPR
三井化学(株)製、タフマーP−0280、P−0480、P−0680、P−0880(商品名)
・動的粘弾性試験機(RDS):Rheometrics社
・サンプル:2mmシートを直径25mmの円状に打ち抜いて使用。
・温度 :190゜C
・歪み率 :1%
・周波数依存:0.001〜500rad/sec
【0151】
【製造例1】
[エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の製造]
攪拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2- ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを3.7kg、プロピレンを8.0kg、5-ビニル-2- ノルボルネンを480gの速度で、また、水素を50Nリットル、触媒としてVOCl3 を48ミリモル、Al(Et)2Clを240ミリモル、Al(Et)1.5 Cl1.5 を48ミリモルの速度で連続的に供給した。
【0152】
以上に述べたような条件で共重合反応を行なうと、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネン・ランダム共重合体ゴム(A−1)が均一な溶液状態で得られた。
【0153】
その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行なった。
【0154】
上記のようにして得られたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネン・ランダム共重合体ゴム(A−1)の物性を表1に示す。
【0155】
【製造例2〜3】
製造例1において、重合条件を表1の通りに変えることにより、異なる性状のエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−2)、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエンランダム共重合体ゴム(A−3)を得た。得られた共重合体ゴム(A−2)、(A−3)の物性を表1に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
【実施例1】
まず、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)とポリエチレン(B−1)[三井化学(株)製、商品名 ウルトゼックス20200J]を重量比率[(B−1)/(A−1)]が20/100になるように押出機のスクリュー回転数と、計量器からのポリエチレン(B−1)供給量をコントロールすることにより2軸混練押出機によって調整し、ブレンド物(I)を得た。
【0158】
得られたブレンド物(I)中におけるポリエチレン(B−1)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、下記の要領で調整したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.01μm以下であった。
【0159】
<サンプルの調製>
上記ブレンド物(I)のペレットをトリーミングし、ミクロトームで0.1μm以下の薄膜板を作製し、この薄膜片をルテニウム酸で染色した。次いで、この薄膜片にカーボンを蒸着して電子顕微鏡用サンプルを得た。
【0160】
また、上記のようにして得られたブレンド物(I)120重量部と、カーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名 旭#60G]80重量部、軟化剤[出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルTMPW−380]35重量部、ステアリン酸1重量部および亜鉛華1号5重量部とを、容積1.7リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製、BB−2形ミキサー]で混練した。
【0161】
混練方法は、まずブレンド物(I)を30秒素練りし、次いで、カーボンブラック、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華1号を入れ2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに1分間混練し、約110℃で排出し、ゴムコンパウンド(1)を得た。この混練は充填率70%で行なった。
【0162】
次に、このゴムコンパウンド(1)241重量部を8インチロ−ル(前ロールの表面温度40℃、後ロールの表面温度30℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、C6H5-Si(OSi(CH3)2H)3で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3重量部、反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.2重量部、塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液0.3重量部を添加、10分間混合し、得られたゴムコンパウンド(2)から、140℃で10分間圧縮成形を行なって厚さ2mmのシートを成形した。
【0163】
また、上記熱硬化前の架橋剤入りゴムコンパウンド(2)から8インチロ−ル(前ロールの表面温度40℃、後ロールの表面温度30℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)にて2mm厚のシートを成形した後、50トンプレス成形機を用いて40℃で6分間加圧し、厚み2mmの未架橋シートを調製した、この未架橋シートを200℃雰囲気のHAV(ホットエアー加硫槽)に5分間放置し、無圧で架橋シートを作製した。
【0164】
得られた架橋シートについて引張試験、耐熱老化性試験、耐傷付き性試験、圧縮永久歪み試験および流動性試験を下記の方法に従って行なった。
(1)引張試験
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行ない、架橋シートの破断時の強度TB と伸びEB を測定した。
(2)耐熱老化性試験
JIS K6257に従って、耐熱老化性試験を行なった。すなわち、架橋シートを150℃のオーブン中に72時間入れて老化させた後、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行ない、架橋シートの破断時の伸びと強度を測定し、引張強さ保持率AR(TB)と、伸び保持率AR(EB)を算出した。
(3)耐傷付き性試験
HAV(ホットエアー加硫槽)より取り出した直後の架橋シート表面をHBの鉛筆でひっかき、その傷付き状態を肉眼で観察し、耐傷付き性の評価を4段階で行なった。
<耐傷付き性の4段階評価>
A:表面に傷が全く付かないもの
B:表面にわずかに傷が付くもの
C:傷が付くもの
D:傷が著しく激しいもの
(4)圧縮永久歪み試験
JIS K6250に従い、作製した架橋シートを積層し、JIS K6262に従い、圧縮永久歪み試験を行なった。この試験条件は150℃×22hrsである。
(5)流動性試験
架橋度測定機[アルファテクノロジー アクイジッションInc.製、商品名RHEOMETER MDR2000]を用いて、最低トルクS‘MINを測定した。測定温度は140℃である。
【0165】
これらの結果を表2に示す。
【0166】
【実施例2】
実施例1において、ポリエチレン(B−1)20重量部の代わりに、ポリプロピレン(B−2)[(株)グランドポリマー製、商品名 F337D]20重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0167】
結果を表2に示す。
なお、得られたブレンド物(II)中におけるポリプロピレン(B−2)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、上記要領で調製したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.5μm、アスペクト比は1.7であった。
【0168】
結果を表2に示す。
【0169】
【比較例1】
実施例2において、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の代わりに、表1に示すエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−2)を用いた以外は、実施例2と同様に行なった。
【0170】
結果を表2に示す。
なお、得られたブレンド物(III)中におけるポリプロピレン(B−2)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、上記要領で調製したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.6μm、アスペクト比は1.6であった。
【0171】
【比較例2】
実施例1において、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の代わりに、表1に示すエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエンランダム共重合体ゴム(A−3)を用い、ポリエチレン(B−1)の代わりに、ポリプロピレン(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0172】
結果を表2に示す。
なお、得られたブレンド物(IV)中におけるポリプロピレン(B−2)の平均分散粒径を、電子顕微鏡[商品名 H−8100(200KV)、(株)日立製作所製]を用いて、上記要領で調製したサンプルについて測定したところ、平均分散粒径は0.5μm、アスペクト比は1.8であった。
【0173】
【比較例3】
実施例1において、ポリエチレン(B−1)を用いず、カーボンブラック[旭カーボン(株)、商品名 旭#50G]の配合量を100重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0174】
結果を表2に示す。
【0175】
【比較例4】
実施例2において、実施例2で用いた架橋剤(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)、触媒(塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液)および反応抑制剤(エチニルシクロヘキサノール)の代わりに、イオウ1.5重量部、2-メルカトベンゾチアゾール[三新化学工業(株)製、商品名 サンセラーM]0.5重量部およびテトラメチルチウラムジスルファイド[三新化学工業(株)製、商品名 サンセラーTT]1.0重量部を用いた以外は、実施例2と同様に行なった。
【0176】
結果を表2に示す。
【0177】
【比較例5】
実施例2において、実施例2で用いた架橋剤(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)、触媒(塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液)および反応抑制剤(エチニルシクロヘキサノール)の代わりに、ジクミルパーオキサイド[三井化学(株)製、商品名 三井DCP40C]3.5重量部を用い、かつ、亜鉛華1号とステアリン酸を用いなかった以外は、実施例2と同様に行なった。
【0178】
結果を表2に示す。
【0179】
【表2】
【0180】
表2より明らかなように、ポリエチレンが配合されている実施例1およびポリプロピレンが配合されている実施例2は、ポリエチレン等のポリオレフィンが配合されていない比較例3に比べて、S’が小さく、粘度が下がっており、流動性が良好である。
Claims (56)
- 非共役ポリエンが下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)、および反応抑制剤(E)を含有してなるゴム組成物であり、該ゴム組成物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径が2μm以下であり、かつ、ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]が5/95〜50/50であることを特徴とする成形した後に架橋をするための架橋可能なゴム組成物;
- 前記末端ビニル基含有ノルボルネン化合物が、5−ビニル−2−ノルボルネンであることを特徴とする請求項1に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(B)がエチレン単独重合体または結晶性エチレン・α-オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の架橋可能なゴム組成物。
- エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、炭素原子数3〜8のα-オレフィンからなる結晶性α-オレフィン単独重合体、またはこれらのα-オレフィンからなる結晶性α-オレフィン共重合体であるポリオレフィン樹脂(B)とを含有してなるゴム組成物であり、該ゴム組成物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を溶融状態でミクロ分散させたブレンド物であり、ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒子径が2μm以下であり、ポリオレフィン樹脂(B)とエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重 合体ゴム(A)とのブレンド重量比[(B)/(A)]が5/95〜50/50であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(B)の分散粒子のアスペクト比が5以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(C)、および反応抑制剤(E)の他に、触媒(D)を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記触媒(D)が白金系触媒であることを特徴とする請求項6に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が、(i)ヨウ素価が0.5〜50の範囲にあり、(ii)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜10dl/gの範囲にあり、(iii)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ウェザーストリップの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記自動車用ウェザーストリップが、ドアウエザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウナーウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ、ダムウインドシールド、クラスランチャネル、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプまたはシールカウルトップであることを特徴とする請求項9に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ホース、送水用ホースまたはガス用ホースの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記自動車用ホースが、ブレーキホース、ラジエターホース、ヒーターホースまたはエアークリーナーホースであることを特徴とする請求項11に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴムまたは建築用免震ゴムの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記自動車用防振ゴムが、エンジンマウント、液封エンジンマウント、ダンパープーリ、チェーンダンパー、キャブレターマウント、トーショナルダンパー、ストラットマウント、ラバーブッシュ、バンパゴム、ヘルパーゴム、スプリングシート、ショックアブソーバー、空気ばね、ボディマウント、バンパガード、マフラーサポート、ゴムカップリング、センターベアリングサポート、クラッチ用ゴム、デフマウント、サスペンションブッシュ、すべりブッシュ、クッシュンストラットバー、ストッパ、ハンドルダンパー、ラジエターサポーターまたはマフラーハンガーであることを特徴とする請求項13に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記鉄道用防振ゴムが、スラブマット、バラスマットまたは軌道マットであることを特徴とする請求項13に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記産業機械用防振ゴムが、エキスパンションジョイント、フレキシブルジョイント、ブッシュ、またはマウントであることを特徴とする請求項13に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 伝動ベルトまたは搬送用ベルトの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記伝動ベルトが、Vベルト、平ベルトまたは歯付きベルトであることを特徴とする請求項17に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記搬送用ベルトが、軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルトまたはVガイド付き搬送用ベルトであることを特徴とする請求項17に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用カップ・シール材または産業機械用シール材の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記自動車用カップ・シール材が、マスタシリンダーピストンカップ、ホイールシリンダーピストンカップ、等速ジョイントブーツ、ピンブーツ、カストカバー、ピストンシール、パッキン、Oリングまたはダイヤフラムであることを特徴とする請求項20に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記産業機械用シール材が、コンデンサーパッキン、Oリングまたはパッキンであることを特徴とする請求項20に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 自動車用ウェザーストリップスポンジ、建築用シールスポンジまたは他の発泡体の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記自動車用ウェザーストリップスポンジが、ドアーウェザーストリップスポンジ、ボンネットウェザーストリップスポンジ、トランクルームウェザーストリップスポンジ、サンルーフウェザーストリップスポンジ、ベンチレーターウェザーストリップスポンジまたはコーナースポンジであることを特徴とする請求項23に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記建築用シールスポンジが、ガスケット、エアータイト、目地材または戸当たり部のシールスポンジであることを特徴とする請求項23に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記他の発泡体が、ホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジまたはシンシュレーションパイプであることを特徴とする請求項23に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品または半導電ゴム部品の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- OA機器用ロールまたは工業用ロールの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記OA機器用ロールが、帯電ロール、転写ロール、現像ロールまたは給紙ロールであることを特徴とする請求項28に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記工業用ロールが、製鉄用ロール、製紙用ロールまたは印刷用電線ロールであることを特徴とする請求項28に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 土木建築用止水シ−トの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 家庭用ゴム製品の製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 前記家庭用ゴム製品が、雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラッテクスまたはゴルフボールであることを特徴とする請求項32に記載の架橋可能なゴム組成物。
- 反応射出成形(RIM)用に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 熱可塑性エラストマーの製造の際に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- エンジニアリングプラスチックの改質に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするホース。
- 前記ホースが、自動車用ホース、送水用ホースまたはガス用ホースであることを特徴とする請求項38に記載のホース。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする防振ゴム。
- 前記防振ゴムが、自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業機械用防振ゴムまたは建築用免震ゴムであることを特徴とする請求項40に記載の防振ゴム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするベルト。
- 前記ベルトが、伝動ベルトまたは搬送用ベルトであることを特徴とする請求項42に記載のベルト。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするシール材。
- 前記シール材が、自動車用カップ・シール材または産業機械用シール材であることを特徴とする請求項44に記載のシール材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする発泡体。
- 前記発泡体が、自動車用ウェザーストリップスポンジまたは建築用シールスポンジであることを特徴とする請求項46に記載の発泡体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなる被覆材で被覆されていることを特徴とする被覆電線。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする電線ジョイント。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする電気絶縁部品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする半導電ゴム部品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とするOA機器用ロール。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする工業用ロール。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする土木建築用止水シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋可能なゴム組成物からなることを特徴とする家庭用ゴム製品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を所定形状に成形する工程を有する成形体の製造方法。
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