JP4573928B2 - 架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、架橋(加硫)可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物およびその用途に関し、さらに詳しくは、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも耐圧縮永久歪み性、発泡性、金属汚染性、強度特性、架橋速度などの特性に優れる、架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
EPDMなどのエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、一般に、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れており、自動車や家電製品、建物などのシールスポンジとして使用されている。
【0003】
自動車や家電製品、建物は、様々なパーツを組み合わせて製品となる。このパーツを組み合わせたときに、多かれ少なかれ必ず隙間が生じる。この隙間をシールするためにスポンジ状シール材が用いられている。この場合、シール材は組み込み易く、また、隙間に応じて変形することが必要であるため柔らかいことが求められ、このような要求に応えられるシール材として、高発泡化されたスポンジ材が使用されている。
【0004】
しかしながら、このような高発泡スポンジは、その製造の際に従来より採用されているイオウ加硫では耐圧縮永久歪み性が十分でなく、長期の使用にわたって音、埃、水などからシールすることができない。また、イオウ加硫においては、加硫速度が遅いEPDMには加硫促進効果の高い促進剤を使用するために、成形中に発生するニトロソアミンが人体に悪影響を及ぼすことが知られている。またこれら促進剤はEPDMと相溶性が悪いため、成形後スポンジ表面にブルームし外観を損なったり、接触する相手側の材料を汚染することが多い。
【0005】
この欠点を解決する方法として、イオウ加硫からパーオキサイド架橋にするとの方法は効果的であるが、この方法では、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋をする場合、ゴム表面が架橋しない、あるいは崩壊(デグラデイション)を起こし耐傷付き性が著しく劣るという欠点がある。この原因は、パーオキサイドが架橋に関与せずゴム表面が酸素と触れることで崩壊が進むためであり、酸素を遮断する目的でスチーム架橋、被鉛架橋などで架橋させればゴム表面の耐傷付き性は改良されるものの、生産コストの面で不利となる。
【0006】
特開平4−154855号公報には、HAVで熱空気架橋可能なエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムと、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金触媒とを配合したゴム組成物を用いることによって、熱空気架橋が可能で、しかも耐傷付き性に優れたゴムを得ることができることが記載されている。
【0007】
しかしながら、本願発明者らは、この公報に記載されている発明を追試し、その結果、耐傷付き性、耐圧縮永久歪み性は十分に満足できるものではなかった。
また、特開平7−33924号公報には、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムに、少なくとも1つの反応性基を有するポリシロキサンを添加してなるゴム組成物をパーオキサイド架橋することにより、熱空気架橋が可能で、耐傷付き性に優れたゴムを得ることができることが記載されている。
【0008】
しかしながら、本願発明者らは、この公報に記載されている発明を追試し、その結果、上記ゴム組成物にパーオキサイドを添加することにより架橋効率は高くなってはいるものの、パーオキサイドラジカルがシロキサンの付加反応を起こさせると同時に、ポリマーラジカルを発生させるため、架橋後のゴム製品表面の耐傷付き性は実用に耐えうるものではないことを確認している。
【0009】
そこで、本願発明者らは、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム組成物について鋭意研究し、特定のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤(E)、ポリオレフィン樹脂(F)、発泡助剤(G)からなるゴム組成物は、生産コストに優れる熱空気架橋(HAV、UHFなど)で架橋することができ、しかも耐傷付き性および耐圧縮永久歪み性に優れる架橋ゴム発泡成形体を製造することができること、およびその成形体が高発泡スポンジの用途に好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐圧縮永久歪み性、発泡性、耐汚染性(たとえば金属に対する耐汚染性)、強度特性などの特性に優れる高発泡スポンジ用架橋ゴム発泡成形体を調製することができる、架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物、さらにはその高発泡スポンジ(架橋ゴム発泡成形体)を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、
熱風で架橋可能なゴム組成物であり、
該ゴム組成物をシート状にした後熱風架橋して得られる架橋ゴムシートは、
HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であり、かつ、発泡体の比重が0.01〜0.5の範囲にあり、吸水率が1〜500%の範囲にあり、アスカーC硬度が0.1〜50の範囲にあることを特徴としている。
【0012】
前記ゴム組成物は、非共役ポリエンが下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)とを含有してなり、該ゴム組成物の160℃での架橋速度(tc(90))が15分以下である。
【0013】
【化3】
【0014】
[式中、nは0ないし10の整数であり、
R1 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2 は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
【0015】
【化4】
【0016】
[式中、R3 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。]
前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が60/40〜90/10の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が1〜30の範囲にあり、
(iii) 135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜4dl/gの範囲にあり、
(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上である。
【0017】
本発明に係る高発泡スポンジ用ゴム組成物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)およびSiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)の他に、必要に応じて触媒(C)、さらには反応抑制剤(D)、発泡剤(E)、ポリオレフィン樹脂(F)、発泡助剤(G)を含有させることができる。
【0018】
前記触媒(C)としては、白金系触媒が好ましく用いられる。
本発明に係る高発泡スポンジは、上記の、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物からなることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る高発泡スポンジ用ゴム組成物は、断熱スポンジ、クッションスポンジ、シールスポンジ、難燃スポンジなどの高発泡スポンジの製造の際に好適に用いられる。
【0020】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る架橋(加硫)可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物およびその用途について具体的に説明する。
【0021】
架橋可能なゴム組成物
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、熱風で架橋架橋なゴム組成物であり、このゴム組成物からなる熱風架橋ゴムシートは、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であり、かつ、発泡体の比重が0.01〜0.5の範囲にあり、吸水率が1〜500%の範囲にあり、アスカーC硬度が0.1〜50の範囲にある。
【0022】
上記のような物性を示す、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤(E)、ポリオレフィン樹脂(F)、発泡助剤(G)を含有しており、160℃での架橋速度(tc(90))が15分以下である。
【0023】
[エチレン・α - オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)]
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0024】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく持ちいられる。
【0025】
これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物である。
【0026】
【化5】
【0027】
一般式[I]において、nは0ないし10の整数であり、
R1 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R1 の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
【0028】
R2 は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
R2 の炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1 の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0029】
【化6】
【0030】
一般式[II]において、R3 は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。
R3 のアルキル基の具体例としては、上記R1 のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
【0031】
上記一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物としては、具体的には、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-2- プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキセシル)-2- ノルボルネン、5-(5-エチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネンなど挙げられる。このなかでも、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
上記ノルボルネン化合物たとえば5-ビニル-2- ノルボルネンの他に、本発明の目的とする物性を損なわない範囲で、以下に示す非共役ポリエンを併用することもできる。
【0033】
このような非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
【0034】
上記のような諸成分からなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(A)は、以下のような特性を有している。
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、(a)エチレンで導かれる単位と(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィン(以下単にα- オレフィンということがある)から導かれる単位とを、60/40〜90/10、好ましくは65/35〜90/10、好ましくは65/35〜85/15、特に好ましくは65/35〜80/20のモル比[(a)/(b)]で含有している。
【0035】
このモル比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
(ii)ヨウ素価
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のヨウ素価は、1〜30(g/100g)、好ましくは1〜25(g/100g)、さらに好ましくは2〜20(g/100g)、特に好ましくは3〜18(g/100g)、最も好ましくは4〜15(g/100g)である。
【0036】
このヨウ素価が上記範囲内にあると、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が30を超えると、コスト的に不利になるので好ましくない。
(iii)極限粘度
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.3〜4dl/g、好ましくは0.3〜3.5dl/g、さらに好ましくは0.3〜3dl/g、特に好ましくは0.3〜2.8dl/gであることが望ましい。
【0037】
この極限粘度[η]が上記範囲内にあると、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、加工性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
(iv)分岐指数
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の動的粘弾性測定器より求めた分岐指数は、5以上である。
【0038】
この分岐指数が上記範囲内にあると、加工性、とりわけ押出性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、上記(i)、(ii)、(iii)および(iv)の物性の他に、下記の(v)〜(vii)の物性を有していることが好ましい。
(v)分子量分布(Mw/Mn)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は、2〜200、好ましくは2.5〜150、さらに好ましくは3〜120、特に好ましくは5〜100であることが望ましい。
【0039】
この分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
(vi)有効網目鎖密度(ν)[架橋密度の指標]
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100gに対し、ジクミルパーオキサイド0.01モルを用い、170℃で10分間プレス架橋したときの有効網目鎖密度(ν)は、1.5×1020個/cm3 以上、好ましく1.8×1020個/cm3 以上、さらに好ましくは2.0×1020個/cm3 以上であることが望ましい。
【0040】
この有効網目鎖密度(ν)が1.5×1020個/cm3 以上であると、耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
(vii)Log(γ2/γ1)/ν
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、100℃でのメルトフローカーブから求めた、ずり応力0.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ1 とずり応力2.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ2 との比γ2/γ1と、前記有効網目鎖密度(ν)との比が、
一般式[III]
0.04×10-19 ≦ Log(γ2/γ1)/ν ≦ 0.20×10-19 ・・・[III]
で表わされる関係を満足していることが好ましい。
【0041】
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、Log(γ2/γ1) と有効網目鎖密度(ν)との比[Log(γ2/γ1)/ν]が0.04×10-19〜0.20×10-19、好ましくは0.042×10-19 〜0.19×10-19 、さらに好ましくは0.050×10-19〜0.18×10-19であることが望ましい。
【0042】
この比[Log(γ2/γ1)/ν]が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を提供できるゴム組成物が得られる。
【0043】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会、発行p.309〜330)もしくは本願出願人の出願に係る特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10―67824号公報、特開平10―110054号公報などに記載されているような従来公知の方法により調製することができる。
【0044】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の製造の際に用いられるオレフィン重合用触媒としては、
バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー触媒、あるいは
元素の周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン触媒が特に好ましく用いられる。
【0045】
また、下記の化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒を用いてエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)を調製すると、沸騰キシレン不溶解分が1%以下のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られるので好ましい。
【0046】
すなわち、キシレン不溶解分が1%以下のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜59℃、重合圧力4〜12kgf/cm2 、特に5〜8kgf/cm2 、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とをランダム共重合することにより得られる。共重合は、炭化水素媒体中で行なうのが好ましい。
(H)VO(OR)nX3-n (式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4 (Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム
化合物。
【0047】
上記可溶性バナジウム化合物(H)は、重合反応系の炭化水素媒体に可溶性の成分であり、具体的には、一般式 VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を代表例として挙げることができる。
【0048】
より具体的には、VOCl3 、VO(OC2H5)Cl2 、
VO(OC2H5)2Cl、VO(O−iso-C3H7)Cl2、
VO(O−n-C4H9)Cl2、VO(OC2H5)3、VOBr3、VCl4 、
VOCl3、VO(O−n-C4H9)3、VCl3・2OC6H12OHなどを例示することができる。
(I)R'mAlX'3-m (R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1〜3の整数である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
【0049】
上記有機アルミニウム化合物(I)としては、具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R1 0.5Al(OR1)0.5 などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0050】
本発明において、上記化合物(H)のうち、VOCl3 で表わされる可溶性バナジウム化合物と、上記化合物(I)のうち、Al(OC2H5)2Cl/Al2 (OC2H5)3Cl3とのブレンド物(ブレンド比は1/5以上)を触媒成分として使用すると、ソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られるので好ましい。
【0051】
また、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、極性モノマーたとえば不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)でグラフト変性されていてもよい。
【0052】
このような不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸などが挙げられる。
【0053】
不飽和カルボンの酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸無水物などが挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
【0054】
不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ(2,2,1) ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0055】
上記の不飽和カルボン酸等のグラフト変性剤(グラフトモノマー)は、それぞれ単独または2種以上の組み合わせで使用されるが、何れの場合も前述したグラフト変性前のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100g当たり、0.1モル以下のグラフト量にするのがよい。
【0056】
上記のようなグラフト量が上記範囲にあるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐寒性に優れた架橋ゴム成形体を提供し得る、流動性(成形加工性)に優れたゴム組成物が得られる。
【0057】
グラフト変性したエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、前述した未変性のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムと不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、ラジカル開始剤の存在下に反応させることにより得ることができる。
【0058】
このグラフト反応は溶液にして行なうこともできるし、溶融状態で行なってもよい。溶融状態でグラフト反応を行なう場合には、押出機の中で連続的に行なうことが最も効率的であり、好ましい。
【0059】
グラフト反応に使用されるラジカル開始剤としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’- ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t- ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
およびこれらの混合物などが挙げられる。中でも半減期1分を与える温度が130〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましく、特に、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t- アミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が好ましい。
【0060】
また、不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)以外の極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0061】
[SiH基含有化合物(B)]
本発明で用いられるSiH基含有化合物(B)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と反応し、架橋剤として作用する。このSiH基含有化合物(B)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などでも使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいることが必要である。
【0062】
このようなSiH基含有化合物(B)としては、通常、下記の一般組成式 R4 bHcSiO(4-b-c)/2
で表わされる化合物を使用することができる。
【0063】
上記一般組成式において、R4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、前記R1 に例示したアルキル基の他に、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基たとえばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0064】
また、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは
1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
【0065】
このSiH基含有化合物(B)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R4 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2 単位、R4 2SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2 またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
【0066】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0067】
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3
[式中のdは2以上の整数である。]
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0068】
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0069】
HOSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)2-Si(CH3)2OH
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0070】
HOSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-
-Si(CH3)2OH
[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0071】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0072】
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H
[式中のeは1以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0073】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-
-Si(CH3)2H
[式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。]
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
【0074】
SiH基含有化合物(B)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜75重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、さらにより好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。上記範囲内の割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れた架橋ゴム成形体(スポンジ)を形成できるゴム組成物が得られる。100重量部を超える割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0075】
[触媒(C)]
本発明で任意成分として用いられる触媒(C)は、付加反応触媒であり、上記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)成分のアルケニル基と、SiH基含有化合物(B)のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はなく、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、中でも、白金系触媒が好ましい。
【0076】
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
【0077】
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなる。
【0078】
上記以外の触媒(C)としては、ルイス酸、コバルトカルボニルなどが挙げられる。
触媒(C)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)に対して、0.1〜100,000重量ppm、好ましくは0.1〜10,000重量ppm、さらに好ましくは1〜5,000重量ppm、特に好ましくは5〜1,000重量ppmの割合で用いられる。
【0079】
上記範囲内の割合で触媒(C)を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる架橋ゴム成形体(スポンジ)を形成できるゴム組成物が得られる。100,000重量ppmを超える割合で触媒(C)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0080】
なお、本発明においては、上記触媒(C)を含まないゴム組成物の未架橋ゴム成形体に、光、γ線、電子線等を照射して架橋ゴム成形体(スポンジ)を得ることもできる。
【0081】
[反応抑制剤(D)]
本発明で触媒(C)とともに任意成分として用いられる反応抑制剤(D)としては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、アミド化合物(たとえばN,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミドなど)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0082】
反応抑制剤(D)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜50重量部、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.0001〜30重量部、より好ましくは0.0001〜20重量部、さらに好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。
【0083】
50重量部以下の割合で反応抑制剤(D)を用いると、架橋スピードが速く、架橋ゴム成形体(スポンジ)の生産性に優れたゴム組成物が得られる。50重量部を超える割合で反応抑制剤(D)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0084】
[発泡剤(E)]
本発明で任意成分として用いられる発泡剤(E)としては、具体的には、下記の発泡剤を例示することができるが、発泡剤を使用しなくてもSiH基含有化合物の配合量を調整することにより発泡させることもできる。これは、配合剤、たとえばカーボンブラックやシリカなどの表面に存在するOH基とSiH基が脱水素反応を起こすことを利用したものである。このため、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の架橋に関与する脂肪族不飽和基に対するSiH基の割合をSiH基/脂肪族不飽和基(モル比)で1以上である必要がある。好ましくは1.5以上20以下である。
【0085】
このSiH基/脂肪族不飽和基(モル比)をこのような範囲内に調整すると、架橋に関与しない余剰なSiH基含有化合物(B)が脱水素反応を起こすため発泡体が得られる。したがって、発泡体を調製する場合には、カーボンブラック、シリカあるいはステアリン酸などのOH基の存在が必須となる。
【0086】
発泡倍率、吸水率などを調整するためには、上記反応を利用するよりも、下記の発泡剤および発泡助剤を使用した方が良く、目的とする発泡体を得やすい。
発泡剤(E)としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;
N,N'- ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'- オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0087】
また、発泡剤としてプラスチック微小中空体を使用することができる。かかるプラスチック微小中空体は熱により膨張することを特徴としている。この微小中空体の外殻となるプラスチックとしては、ゴム組成物の硬化温度に合わせて軟化温度が適当な範囲内にあるものを選択すればよい。
【0088】
このようなプラスチックとしては、具体的には、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等の重合体およびこれらの共重合体;
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどが挙げられる。
【0089】
また、プラスチック微小中空体内部には、膨張率を大きくするために、揮発性の溶剤、ガス等の揮発性物質を内包させたものが好ましい。このような揮発性物質としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素が例示される。
【0090】
また、プラスチック微小中空体は、粒度が通常1〜50μmの範囲にあるものが使用され、その形状は通常球状であるが、特にこれらに限定されない。
これらの発泡剤(A)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部の割合で用いられる。上記のような割合で発泡剤(E)を用いると、比重0.01〜0.5の発泡体(高発泡スポンジ)を製造することができるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0091】
[ポリオレフィン樹脂(F)]
本発明においては、必要に応じて、ポリオレフィン樹脂(F)を使用してもよい。ポリオレフィン樹脂(F)は、架橋・発泡させるときに溶融する融点を持つ樹脂を選択することが好ましい。このポリオレフィン樹脂(F)は、架橋・発泡する際に溶融しコンパウンド粘度を低下させる効果を持つため、発泡性が向上する、発泡状態が安定するなどの長所を持つ。
【0092】
このようなポリオレフィン樹脂(F)としては、具体的には、
高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン単独重合体(ポリエチレン)ないしエチレンと炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンとからなる結晶性エチレン・α- オレフィン共重合体;
プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン;
プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα- オレフィンの結晶性単独重合体ないし共重合体などが挙げられる。
【0093】
これらのポリオレフィン樹脂(F)の融点は250℃以下である。中でもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリエチレンが好ましい。
なお、本発明に係るゴム組成物中に発泡剤(E)を配合する場合、ポリオレフィン樹脂(F)としては、炭素原子数3〜8のα- オレフィンからなる結晶性α- オレフィン単独重合体または共重合体、好ましくはポリプロピレンは、ビカット軟化点が130℃以上、好ましくは140℃以上であることが望ましい。
【0094】
本発明においては、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(F)とのブレンド比率[(A)/(F)]は、5/95〜50/50、好ましくは10/90〜40/60である。この範囲内でポリオレフィン樹脂(F)を用いれば、ゴム弾性を保つことができる。
【0095】
[発泡助剤(G)]
本発明においては、必要に応じて、発泡剤(E)とともに発泡助剤(G)を使用してもよい。発泡助剤(G)は、発泡剤(E)の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。
【0096】
このような発泡助剤(G)としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
これらの発泡助剤(G)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0097】
[その他の成分]
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、未架橋発泡成形体のままでも用いることができるが、架橋発泡成形体として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0098】
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物中に、意図する架橋物の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0099】
上記ゴム補強剤は、架橋(加硫)ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどが挙げられる。
【0100】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。
また、これらシリカの比表面積(BED法)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜400m2/gである。
【0101】
これらのゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0102】
上記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。
これらの無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0103】
上記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ;
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質を挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0104】
これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。
上記老化防止剤としては、たとえばアミン系、ヒンダードフェノール系、またはイオウ系老化防止剤などが挙げられるが、これらの老化防止剤は、上述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
【0105】
本発明で用いられるアミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類などが挙げられる。
ジフェニルアミン類としては、具体的には、p-(p-トルエン・スルホニルアミド)- ジフェニルアミン、4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'- ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p'- ジオクチル・ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0106】
フェニレンジアミン類としては、具体的には、N,N'- ジフェニル-p-フェニレンジアミン、n- イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2- ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-エチル-3- メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のp- フェニレンジアミン類などが挙げられる。
【0107】
これらの中でも、特に4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミンが好ましい。
これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0108】
本発明で用いられるヒンダードフェノール系老化防止剤としては、具体的には
(1)1,1,3-トリス- (2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフェニルブタン、
(2)4,4'- ブチリデンビス- (3-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(3)2,2-チオビス(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、
(4)7-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)プロピオネート、
(5)テトラキス- [メチレン-3-(3',5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、
(6)ペンタエリスリトール- テトラキス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコール- ビス[3-(3-t-ブチル-5- メチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6-ヘキサンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5- トリアジン、
(10)トリス- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)- イソシアヌレート、
(11)2,2-チオ- ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(12)N,N'- ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシ)- ヒドロシンナアミド、
(13)2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]- o-クレゾール、
(14)3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル- ホスホネート- ジエチルエステル、
(15)テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、
(16)オクタデシル-3- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、
(17)3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1- ジメチルエチル]-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
などを挙げることができる。中でも、特に(5)、(17)のフェノール化合物が好ましい。
【0109】
本発明で用いられるイオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。
具体的には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;
ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤などを挙げることができる。これらの中でも、特に2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)が好ましい。
【0110】
上記の加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0111】
このような加工助剤は、通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0112】
本発明においては、上述した触媒(C)の他に有機過酸化物を使用して、付加架橋とラジカル架橋の両方を行なってもよい。有機過酸化物は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の割合で用いられる。有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
【0113】
また、有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0114】
また、本発明に係る架橋可能なゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。
このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0115】
さらに従来公知のエチレン・α- オレフィン系共重合体ゴムを用いることもでき、たとえばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)以外のエチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体(たとえばEPDMなど)を用いることができる。
【0116】
高発泡スポンジ
本発明に係る高発泡スポンジは、前述した、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物からなる。本明細書において、「高発泡スポンジ」の「高発泡」とは、発泡体の比重が0.01〜0.5の範囲内にあることをいう。
【0117】
本発明に係る高発泡スポンジ用ゴム組成物は、未架橋のまま用いることもできるが、架橋ゴム発泡成形体(スポンジ)として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0118】
上記高発泡スポンジとしては、従来公知の自動車用シールスポンジ、家電用シールスポンジ、土木建築用シールスポンジ、自動車用断熱スポンジ、家電用断熱スポンジ、土木建築用断熱スポンジ、自動車用クッションスポンジ、家電用クッションスポンジ、土木建築用クッションスポンジ、自動車用難燃スポンジ、家電用難燃スポンジ、土木建築用難燃スポンジ、自動車用プロテクトスポンジ、家電用プロテクトスポンジ、土木建築用プロテクトスポンジなどが挙げられる。
【0119】
ゴム組成物およびその架橋ゴム発泡成形体の調製
上述したように、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、未架橋のままでも用いることもできるが、架橋ゴム発泡成形体として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0120】
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物から架橋物を製造するには、通常一般のゴムを加硫(架橋)・発泡するときと同様に、未架橋・未発泡の配合ゴムを一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に架橋・発泡を行なえばよい。
【0121】
また、液状の未架橋・未発泡ゴムを意図する形状に流しこみ室温で架橋・発泡させてもよい。
架橋・発泡方法としては、架橋剤(SiH基含有化合物(B))を使用して加熱する方法、または光、γ線、電子線照射による方法のどちらを採用してもよい。
【0122】
まず、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製される。
すなわち、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、および必要に応じてゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤を80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、SiH基含有化合物(B)および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤(E)、ポリオレフィン樹脂(F)、発泡助剤(G)、加硫促進剤、架橋助剤などを追加混合し、ロール温度20〜80℃で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0123】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基含有化合物(B)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などとともに、老化防止剤、着色剤、分散剤、難燃剤、発泡剤(E)、ポリオレフィン樹脂(F)、発泡助剤(G)などを同時に混練してもよい。
【0124】
上記のようにして調製された、本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成型物を加硫槽内に導入し、架橋・発泡することができる。100〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、あるいは前記した方法により光、γ線、電子線を照射することにより架橋スポンジが得られる。また、常温で架橋することもできる。
【0125】
この架橋・発泡の段階は金型を用いてもよいし、また、金型を用いないで架橋・発泡を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋・発泡の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0126】
また、分子量の低いエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)を用いる場合には液体状態にあるため、液体の状態でSiH化合物を混合し、必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤(E)、発泡助剤(G)を混合し、意図する形状の金型に流し室温で架橋・発泡させることができる。
【0127】
【発明の効果】
本発明に係る架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物は、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐圧縮永久歪み性、発泡性、耐汚染性、強度特性、架橋速度などの特性に優れる高発泡スポンジ用架橋ゴム発泡成形体を提供することができる。
【0128】
本発明に係る高発泡スポンジは、上記のような効果を有する架橋ゴム発泡成形体からなるので、自動車用シールスポンジ、家電用シールスポンジ、土木建築用シールスポンジ、自動車用断熱スポンジ、家電用断熱スポンジ、土木建築用断熱スポンジ、自動車用クッションスポンジ、家電用クッションスポンジ、土木建築用クッションスポンジ、自動車用難燃スポンジ、家電用難燃スポンジ、土木建築用難燃スポンジ、自動車用プロテクトスポンジ、家電用プロテクトスポンジ、土木建築用プロテクトスポンジの用途に広く用いられる。
【0129】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0130】
なお、実施例、比較例で用いた共重合体ゴムの組成、ヨウ素価、極限粘度[η]、分子量分布(Mw/Mn)、γ2/γ1、有効網目鎖密度(ν)、γ2/γ1と有効網目鎖密度(架橋密度の指標)との関係、分岐指数は、次のような方法で測定ないし計算により求めた。
(1)共重合体ゴムの組成
共重合体ゴムの組成は13C−NMR法で測定した。
(2)共重合体ゴムのヨウ素価
共重合体ゴムのヨウ素価は、滴定法により求めた。
(3)極限粘度[η]
共重合体ゴムの極限粘度[η]は、135゜Cデカリン中で測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
共重合体ゴムの分子量分布は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わした。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
(5)γ2/γ1
共重合体ゴムの100℃でのメルトフローカーブを求め、ずり応力0.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ1 とずり応力2.4×106 dyn/cm2 を示すときのずり速度γ2 との比(γ2/γ1)を求めた。
【0131】
L/D=60mm/3mm
(6)有効網目鎖密度(ν)
JIS K 6258(1993年)に従い、トルエンに37℃×72時間浸漬させ、Flory-Rehnerの式より有効網目鎖密度を算出した。
【0132】
【数1】
【0133】
υR :膨潤した加硫ゴム中における膨潤した純ゴムの容積(純ゴム容積+吸収した溶剤の容積)に対する純ゴムの容積分率
μ :ゴム−溶剤間の相互作用定数=0.49
V0 :溶剤の分子容
ν(個/cm3) :有効網目鎖濃度。純ゴム1cm3 中の有効網目鎖の数。
【0134】
サンプルの作製:共重合体ゴム100gに対し、ジクミルパーオキサイド 0.01モルを添加し、混練温度50℃で8インチロールオープンロールを用いて、日本ゴム協会標準規格(SRIS)に記載の方法により混練を行ない、得られた混練物を170℃で10分間プレス加硫してサンプルを作製した。
(7)γ2/γ1と有効網目鎖密度(架橋密度の指標)との関係
Log(γ2/γ1)/νを計算により求めた。
(8)分岐指数
長鎖分岐を有しないEPR(分子量の異なる4サンプル)について動的粘弾性試験機を用いて複素粘性率η* の周波数分散を測定した。
【0135】
0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1L *(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2L *(8rad/sec)を横軸にプロットし、基準ラインを作成し、そのラインの延長線上にあるη2L * =1×103/Pa・sのときのη1L0 *を測定した。
【0136】
次に、対象サンプルについても同様に、0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1B *(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2B *(8rad/sec)を横軸にプロットする。このプロットは基準ラインよりも大きな値となり、長鎖分岐が多いほど基準ラインよりも大きく離れていく。
【0137】
次に、このプロットの上を通るように基準ラインを平行移動させ、複素粘性率η2 *=1×103/Pa・sとの交点η1B0 *を測定した。
上記のようにして測定したη1L0 *およびη1B0 *の値を下式に適用し、分岐指数を算出した。
【0138】
分岐指数=(logη1L0 * − logη1B0 *)×10
上記測定条件は、次の通りである。
・基準サンプル:4種類のEPR
三井化学(株)製、タフマーP−0280、P−0480、P−0680、P−0880(商品名)
・動的粘弾性試験機(RDS):Rheometrics社
・サンプル:2mmシートを直径25mmの円状に打ち抜いて使用。
・温度 :190゜C
・歪み率 :1%
・周波数依存:0.001〜500rad/sec
【0139】
【製造例1】
[エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の製造]
撹拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(撹拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2- ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを3.7kg、プロピレンを8.0kg、5-ビニル-2- ノルボルネンを480gの速度で、また、水素を50リットル、触媒としてVOCl3 を48ミリモル、Al(Et)2Clを240ミリモル、Al(Et)1.5 Cl1.5 を48ミリモルの速度で連続的に供給した。
【0140】
以上に述べたような条件で共重合反応を行なうと、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)が均一な溶液状態で得られた。
【0141】
その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行なった。
【0142】
上記のようにして得られたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の物性を表1に示す。
【0143】
【製造例2〜4】
製造例1において、重合条件を表1の通りに変えることにより、異なる性状のエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合ゴム(A−2)、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−3)、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエンランダム共重合体ゴム(A−4)を得た。得られた共重合体ゴム(A−2)、(A−3)、(A−4)の物性を表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【実施例1】
まず、表1に示すエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)100重量部、シリカ[デグサジャパン(株)製、商品名 ウルトラジル360]50重量部、タルク[日本ミストロン(株)製、商品名]ミストロンベーパータルク]50重量部、軟化剤[出光興産(株)製、商品名 ダイアナプロセスオイルTMPW−380]70重量部、亜鉛華1号5重量部およびステアリン酸1重量部を容量1.7リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
【0146】
混練方法は、まずエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)を30秒素練りし、次いで、亜鉛華1号、ステアリン酸、シリカ、タルク、軟化剤を入れ、2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約120℃で排出し、ゴム配合物(I−1)を得た。この混練は充填率70%で行なった。
【0147】
次に、この配合物(I−1)276重量部を、8インチロ−ル(前ロールの表面温度30℃、後ロールの表面温度30℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、発泡剤としてプラスチック微小中空発泡体[松本油脂製薬(株)製、商品名 マイクロパールF−30VSD]30重量部、C6H5−Si(OSi(CH3)2H)3 で示されるSiH基含有化合物(架橋剤)4重量部、反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.4重量部を加え10分間混練したのちに、触媒として塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液0.4重量部を加えて5分間混練した後、混練物をシート状に分出した。
【0148】
次に、この未架橋・未発泡ゴム配合物を、円状ダイス(径10mm)を装着した50mm押出機[(株)三葉製作所製:L/D=16]を用いてダイス温度60℃、シリンダー温度40℃の条件で押出して成形した。この成形体を160℃雰囲気のHAV(熱風加硫槽)に15分間架橋・発泡させスポンジゴムを得た。
【0149】
また、上記熱硬化前の架橋剤入り混練物について架橋速度の目安として「tc(90)」を、JSRキュラストメーター3型[日本合成ゴム(株)製]を用いて、160℃の条件で測定した。架橋(加硫)曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHの差をME(=MH−ML)とし、90%MEに達する時間をtc(90)」とした。
【0150】
得られた架橋スポンジについて耐傷付き性試験、比重測定、吸水率測定、アスカーC硬度試験、耐板金汚染試験および圧縮永久歪み試験を下記の方法に従って行なった。
(1)耐傷付き性試験
HAV(ホットエアー加硫槽)より取り出した直後の架橋シート表面をHBの鉛筆でひっかき、その傷付き状態を肉眼で観察し、耐傷付き性の評価を4段階で行なった。
<耐傷付き性の4段階評価>
A:表面に傷が全く付かないもの
B:表面にわずかに傷が付くもの
C:傷が付くもの
D:傷が著しく激しいもの
(2)比重測定
熱空気架橋したチューブ状のスポンジゴムから20mm×20mmの試験片を打ち抜き、表面の汚れをアルコールで拭き取った。この試験片を25℃雰囲気下で自動比重計[(株)東洋精機製作所製:M−1型]を用いて、空気中と純水中の質量差から比重測定を行ない、スポンジゴムの比重を算出した。
(3)吸水率
熱空気架橋したチューブ状のスポンジゴムから20mm×20mmの試験片を打ち抜き、水面下50mmの位置で125mmHgまで減圧し、3分間保持した。続いて、その試験片を大気中に戻して3分経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の計算式から吸水率を算出した。
【0151】
吸水率(%)=[(W2 ―W1 )/W1 ]×100
W1:浸漬前の試験片重量(g)
W2:浸漬後の試験片重量(g)
(4)アスカーC硬度試験
アスカーC硬度は、JIS S 6050に従って測定した。
(5)耐板金汚染試験
JIS K6267に従い、比較試料と被汚染材との色差(△E* ab)を測定した。
<試験条件>
温度:70℃
時間:24時間
板金:0.9mm金属板に白色のアクリルエナメルを焼き付け塗装したもの を使用。
(6)圧縮永久歪み試験
JIS K6262(1993)に従い、圧縮永久歪み試験を行なった。この試験条件は150℃×22hrsである。
【0152】
これらの結果を表2に示す。
【0153】
【実施例2】
実施例1において、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の代わりに、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0154】
結果を表2に示す。
【0155】
【実施例3】
実施例1において、実施例1で用いたウルトラジル360(商品名)50重量部およびマイクロパールF−30VSD(商品名)30重量部の代わりに、カーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名 旭#60G]50重量部、OBSH系発泡剤[永和化成工業(株)製、商品名 ネオセルボン1000SW]40重量部、尿素系発泡助剤[永和化成工業(株)製、商品名 セルペースト101P]5重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は122℃であった。
【0156】
結果を表2に示す。
【0157】
【比較例1】
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の代わりに、表1に示すエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合ゴム(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は124℃であった。
【0158】
結果を表2に示す。
【0159】
【比較例2】
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の代わりに、表1に示すエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエンランダム共重合ゴム(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は122℃であった。
【0160】
結果を表2に示す。
【0161】
【比較例3】
比較例1において、C6H5−Si(OSi(CH3)2H)3 で示されるSiH基含有化合物4重量部、エチニルシクロヘキサノール0.4重量部および塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液0.4重量部の代わりに、イオウ1.5重量部、2-メルカトベンゾチアゾール[三新化学工業(株)製、商品名サンセラーM]1重量部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛[三新化学工業(株)製、商品名 サンセラーBZ]1.0重量部、ジメチルジチオカルバミン酸[三新化学(株)製、商品名 サンセラーPZ]1重量部を用いた以外は、比較例1と同様に行なった。
【0162】
結果を表2に示す。
【0163】
【比較例4】
比較例3において、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−3)の代わりに、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)を用いた以外は、比較例3と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は132℃であった。
【0164】
結果を表2に示す。
【0165】
【比較例5】
実施例1において、C6H5−Si(OSi(CH3)2H)3 で示されるSiH基含有化合物4重量部、エチニルシクロヘキサノール0.4重量部および塩化白金酸濃度2重量%のイソプロピルアルコール溶液0.4重量部の代わりに、ジクミルパーオキサイド[三井化学(株)製、商品名 三井DCP]1.3重量部を加えた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0166】
【表2】
Claims (10)
- 非共役ポリエンが下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)を0.1〜100重量部および発泡剤(E)を1〜50重量部とを含有してなる、熱風で架橋可能なゴム組成物であり、該ゴム組成物をシート状にした後熱風架橋して得られる架橋ゴムシートは、HBの鉛筆による鉛筆硬度試験で表面に傷が全く付かず、150℃で22時間熱処理後の圧縮永久歪み(CS)が70%以下であり、かつ、発泡体の比重が0.01〜0.5の範囲にあり、吸水率が1〜500%の範囲にあり、アスカーC硬度が0.1〜50の範囲にあることを特徴とする架橋可能な高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、160℃での架橋速度(tc(90))が15分以下であることを特
徴とする請求項1に記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。 - 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が60/40〜90/10の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が1〜30の範囲にあり、
(iii)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜4dl/gの範囲
にあり、
(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上である
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。 - 前記ゴム組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)および発泡剤(E)の他に、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、触媒(C)を0.1〜100,000重量ppm含有してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、発泡剤(E)および触媒(C)の他に、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、反応抑制剤(D)を0.0001〜50重量部含有してなることを特徴とする請求項4に記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、触媒(C)、反応抑制剤(D)および発泡剤(E)の他に、ポリオレフィン樹脂(F)を、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(F)とのブレンド比率[(A)/(F)]が、5/95〜50/50の範囲で含有してなることを特徴とする請求項5に記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 前記ゴム組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物(B)、触媒(C)、反応抑制剤(D)、発泡剤(E)およびポリオレフィン樹脂(F)の他に、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、発泡助剤(G)を0.1〜15重量部含有してなることを特徴とする請求項6に記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 前記触媒(C)が白金系触媒であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の高発泡スポンジ用ゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする高発泡スポンジ。
- 前記高発泡スポンジが、断熱スポンジ、クッションスポンジ、シールスポンジまたは難燃スポンジであることを特徴とする請求項9に記載の高発泡スポンジ。
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