JP5539257B2 - オレフィン系重合体、該オレフィン系重合体の製造方法、オレフィン系重合体を用いてなる光硬化性組成物、硬化物の製造方法及び硬化物 - Google Patents
オレフィン系重合体、該オレフィン系重合体の製造方法、オレフィン系重合体を用いてなる光硬化性組成物、硬化物の製造方法及び硬化物 Download PDFInfo
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このような場合、最近では光硬化型樹脂が用いられ、例えばエポキシ/(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。 しかしながら、上記のようなエポキシ/(メタ)アクリル樹脂は、吸湿性があり、その水分の影響により物体を劣化させる可能性や、他の物体を汚染する可能性があると考えられる。
従って、光硬化性に優れるオレフィン重合体、その効率的な製造方法、該オレフィン重合体の製造に有用な重合体、およびその製造方法、該オレフィン重合体を用いてなる光硬化性組成物、硬化物の製造方法及び硬化物を見出すことが本発明の課題である。
[1] (a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(c)下記式(8)または(9)で表される繰り返し単位と、
を含み、下記条件(P1−I)〜(P1−IV)を満たすオレフィン系重合体(P1);
−CH2−CHR1− (1)
(式(1)中、R1はメチル基を表す。)
条件(P1−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P1−III):繰り返し単位(a)100モルあたり、下記式(2)で表される構造(c1)の含有量が0.1〜10モル、
−OCO−CR 2 =CH 2 (2)
(式(2)中、R 2 はメチル基を示す。)
条件(P1−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(d)下記式(22)または(23)で表される繰り返し単位と、
を含み、下記条件(P2−I)、(P2−II)、(P2−IV)を満たすオレフィン系重合体(P2);
−CH 2 −CHR 1 − (1)
(式中、R 1 はメチル基を表す。)
条件(P2−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P2−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(e)下記式(14)で表される単量体由来である構造(e1)を含み、下記条件(P3−II)、(P3−IV)を満たすオレフィン系重合体(P3)と、
下記式(15)で表される化合物と、
を反応させる、オレフィン系重合体(P2')の製造方法;
−CH 2 −CHR 1 − (1)
(式(1)中、R 1 はメチル基を表す。)
H−S―A−(OH)n (15)
(式(15)中、Aは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価以上、n+1価以下の炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。)
条件(P3−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P3−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
下記式(24)
X 3 −CO−CR 2 =CH 2 (24)
(式(24)中、X 3 は、ハロゲン原子または水酸基を表す。R 2 は水素原子またはメチル基を表す。)
で表される化合物と、を反応させる、オレフィン系重合体(P1')の製造方法。
[9] [8]に記載の製造方法により得られる、オレフィン系重合体の硬化物。
本発明のオレフィン系重合体(P1)、(P1')の製造方法では、効率よく反応を進めることができる。
本発明の光硬化性重合体組成物は、オレフィン系重合体(P1)または(P1')と、光重合開始剤とを含むため光硬化性が良好で、得られた硬化物は良好な物性を有する。
・ オレフィン系重合体(P1)
・オレフィン系重合体(P1')の製造方法
(1)オレフィン系重合体(P3)
(2)オレフィン系重合体(P3)からオレフィン系重合体(P2')の製造)
・オレフィン系重合体(P2')、オレフィン系重合体(P2)
(3)オレフィン系重合体(P2')からオレフィン系重合体(P1')の製造
・オレフィン系重合体(P1')
以下、本発明に係るオレフィン系重合体(P1)について説明する。
本発明のオレフィン系重合体(P1)は、
(a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
下記式(2)で表される構造(c1)および下記式(3)で表される構造(c2)と、を含んでなる。
式(1)中、R1は炭素数1から20のアルキル基を表す。
−OCO−CR2=CH2 (2)
式(2)中、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
−CH2−Z−CH2− (3)
式(3)中、Zはイオウ原子またはセレン原子を表し、好ましくはイオウ原子である。
条件(P1−I):元素分析により求めたZの量が500ppm〜50,000ppm、好ましくは5000ppm〜15,000ppmである。Zの量がこの範囲であると、例えば光硬化させる場合に、得られた硬化物の物性が優れる傾向にある。理由は定かではないが、Zの量がこの範囲にあると硬化反応がマイルドに進みやすいとも考えられる。
なお、元素分析は酸素フラスコ燃焼法により分解生成したガスを吸収液に吸収させ、これを0.01Nの過塩素酸バリウム水溶液で滴定することにより行うことができる。
条件(P1−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
なお、オレフィン系重合体(P1)において条件(P1−I)〜(P1−IV)の測定値としては、当該オレフィン重合体(P1)自身について測定した値を採用する。
オレフィン系重合体が、オレフィン系重合体(P1)であることの確認は例えば以下のようにして行うことができる。
−O−C(=O)−CR2=CH2構造が存在することは、1H−NMRにより、−O(C=O)に隣接するCR2=CH2の=CH2水素に由来するピークが観測されることから同定することができる。
構造(c2)を有することについて、まずZの存在を元素分析から確認することができる。ここで1H−NMRによる分析により、例えばZがイオウ原子である場合、Zに隣接するそれぞれの炭素に結合する水素由来のピークが異なる位置に現れる。これにより、−CH2−S−CH2−構造を有することを確認することができる。
好ましい態様の1つは、前記オレフィン系重合体(P1)において、R2が水素原子またはメチル基であることである。R2がメチル基であることは、R2=Meの時のピークが、1H−NMRで1.95ppm(R=Me)付近に表れることで確認することができる。また、13C−NMRで.18.27ppm(R=Me)付近に表れることで確認することもできる。
R2が水素原子であることは、R2=Hの時のピークが、1H−NMRで6.10ppm(R=H)付近に表れることで確認することができる。また、13C−NMRでR=Hが結合している炭素のピークが136.1ppm付近に表れることで確認することもできる。
例えば−CH2−Z−CH2−CH(OCOCR2=CH2)−CH2−OCOCR2=CH2
構造においては、2つの構造(c1)を有する。具体的には、構造(c2)と一方のOCOCR2=CH2基とが1つの水素原子が置換されたメチレン基を介して結合しており、構造(c2)と他方のOCOCR2=CH2基とが、1つの水素原子が置換されたエチレン基を介して結合している。よって全ての(c1)が、「(c1)と(c2)とが単結合、1つ以上の水素原子が置換されていても良いメチレン基、または1つ以上の水素原子が置換されていても良いエチレン基を介して結合する」条件(条件A)を満たしている。本好ましい態様においては、全ての(c1)が条件Aを満たすことがより望ましい。
式(9)の構造を有することは、後述する実施例の方法に準拠して確認することができる。
オレフィン重合体(P1')は、例えば下記の工程(1)〜(3)により製造することができる。
まず、下記繰り返し単位(a)および(b)と、式(10)で表される構造(e1)を有し、条件(P3−II)、(P3−IV)を満たすオレフィン系重合体(P3)を製造する。
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位
−CH2−CHR1− (1)
(式(1)中、R1は炭素数1から20のアルキル基を表す。)
−CR3=CH2 (10)
(式(10)中、R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
条件(P3−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30である。
条件(P3−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
本発明に用いられる非共役ポリエンとして、炭素数5〜20のジエン類を用いることもできる。炭素数5〜20のジエン類としては、特に限定されるものではないが、脂肪族ジエン類、脂環式ジエン類および芳香族ジエン類等が挙げられる。
脂環式ジエン類としては、後述するものを用いることができる。
芳香族ジエン類としては、例えば、p−ジビニルベンゼン等が挙げられる。
非共役ポリエンとして、具体的には、脂環式ジエンである、例えば下記式(12)の化合物を挙げることができる。
本発明においては、下記式の環状ポリエンを好ましく用いることができる。下記環状ポリエンを用いることで、生成する共重合体は、次工程である、H−Z−A−(OH)nで表される化合物との反応性が高くなる。
本発明においては、一般式(12)で表される非共役ポリエンを用いることが好ましく、一般式(14)で表される非共役ポリエンを用いることがより好ましい。このポリエンであると、重合反応性に優れるため製造効率が優れる。さらに、一般式(12)、または(14)において、それぞれR3が水素原子であると、当該(P3)で表されるオレフィン系重合体と、後述する一般式(15) H−Z−A−(OH)nであらわされる化合物との反応に際し、ラジカル開始剤をH−Z−A−(OH)nの当量用いずとも、当量未満、好ましくは触媒量用いるだけでよいため、安価に製造でき、しかも(P3)の主鎖を劣化させる程度が小さくて済む。
またオレフィン系重合体(P3)において、非共役ポリエン/エチレン比(条件(P3−III))は特に制限はないが、後述する(P2)、(P2')、(P1)または(P1')において、光硬化性と取り扱い性とのバランスが良好となる点で0.1/100〜10/100、好ましくは0.5/100〜5/100(モル/モル)であるのが通常である。
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4(Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム化合物。
(I)R'mAlX'3−m
(R'は炭化水素基であり、X'はハロゲン原子であり、mは1〜3である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R1 0.5Al(OR1)0.5などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
工程(1)において得られたオレフィン系重合体(P3)と、下記式(15)で表される化合物とを反応させ、オレフィン系重合体(P2')を製造する。
H−Z―A−(OH)n (15)
式(15)中、Zはイオウ原子またはセレン原子を表す。Aは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価以上n+1価以下の炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。本発明においては、A部の鎖長を調節するなどして、最終的に得られるオレフィン重合体(P1)または(P1')を例えば光架橋反応で硬化させて得られる硬化物の架橋密度を調節することができる。
Aの炭化水素基として具体的には、炭素数が1〜30の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。この場合炭素数の好ましい下限は2である。炭素数の好ましい上限は20、より好ましくは10、さらに好ましくは6、特に好ましくは3である。例えばメチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基などがあげられるがこれに限定されるものではない。
さらに炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基、また炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20の芳香族炭化水素基をあげることもできる。また、環状骨格と鎖状骨格とをあわせ有していてもよく、芳香族骨格と鎖状骨格とをあわせ有していても良く、さらには環状骨格と芳香族骨格とを合わせ有していても良い。
アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;
チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;
ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基;
またはシリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などのケイ素含有基、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、メトキシシリル基、ジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基、トリメチルシロキシ基などを有していてもよい。
本発明においては、A部が炭素と水素と必要に応じて用いられるハロゲン原子のみから構成されていることが好ましく、炭素と水素とのみから構成されていることがより好ましい態様のひとつである。
一般式(15)のうち特に望ましい化合物を例示すると、HS−CH2−OH、HS−CH2−CH2−OH、HS−CH2−CH2−CH2−OH、HS−CH2−CH(OH)−CH2−OH、HS−CH2−CHCl−CH2−OH、HS−CH2−CH(CH3)−CH2−OH、HS−CH2−CH2−CH(CH3)−OH、HS−CH(CH3)−CH2−CH2−OH、HS−CH2−CH(CF3)−CH2−OH、HS−CH2−CH(NH2)−CH2−OH、HS−CH2−CH(NH2)−CH2−OH、HSe−CH2−OH、HSe−CH2−CH2−OH、HSe−CH2−CH2−CH2−OH、HSe−CH2−CH(OH)−CH2−OH、HSe−CH2−CHCl−CH2−OH、HSe−CH2−CH(CH3)−CH2−OH、HSe−CH2−CH(CF3)−CH2−OH、等が挙げられる。
例えば、であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、V−601等のアゾ化合物類、
ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ −3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジ メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル −2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチル パーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
過酸化ベンゾイル等の芳香族パーオキサイド類、カヤレン6(化薬アクゾ株式会社製)、パーヘキサ25B(登録商標、日本油脂株式会社製)
およびこれらの混合物などが挙げられる。
これらラジカル開始剤の中で特に好ましくは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、
過酸化ベンゾイル、カヤレン6(化薬アクゾ株式会社製)、パーヘキサ25B(登録商標、日本油脂株式会社製)などを挙げることができる。
−CR3=CH2 (10)
(式(10)中、R3は水素原子、炭素数1から20のアルキル基を表す。)
これらのラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても構わない。
特にZがイオウ原子である場合は上記(10)の量に対して、概略0.005〜1モル倍、好ましくは0.01〜0.8モル倍で良い。このうちでも特に上記式(10)におけるR3が水素原子である場合には、好ましくは0.03〜0.6モル倍でも反応効率が高い。
オレフィン系重合体(P2')は上述のようにして得られる。
条件(P2'−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30である。
条件(P2'−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g
条件(P2'−1):元素分析により求められるZの含有量が500〜50000ppm、好ましくは5000ppm〜15,000ppm。
オレフィン系重合体(P2')については、条件(P2'−I)及び条件(P2'−IV)は、(P2')自身を測定した値を採用するが、条件(P2'−II)については、原料であるオレフィン系重合体(P3)を測定した値を採用してかまわない。
上記式(16)で表される構造の量を調整することにより、(P2)または(P2')中のZの量を調整することができる。
−CHR3−CH2−Z−CH2−OH (X1)
−CHR3−CH2−Z−CH2−CH2−OH (X2)
または
−CHR3−CH2−Z−CH2−CH(OH)−CH2−OH (X3)
特に(X2)または(X3)の構造を有することが好ましい。
以下、R3,Z,A、n、及びそれらの好ましい範囲については、上述した通りである。
(P2')における前記繰り返し単位(d')としては、以下の式(22)または(23)で表される繰り返し単位が好ましい。
本発明におけるオレフィン系重合体(P2)は、繰り返し単位(a)と、繰り返し単位(b)と、前記式(22)または(23)で表される繰り返し単位(「繰り返し単位(d)」)とを含む。式(22)の構造であることの確認は、後述する実施例のように行うことができ、式(23)の構造であることの確認は上記実施例に準じて行うことができる。
本発明におけるオレフィン系重合体(P2)は、下記条件(P2−I)、(P2−II)、(P2−IV)を満たす。
条件(P2−I):元素分析により求められるZの含有量 500〜50000ppm/重合体(P2)、好ましくは5000ppm〜15,000ppm。
条件(P2−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30である。
。
条件(P2−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
また、以下の条件(P2−III)を満たしても良い。
条件(P2−III):繰り返し単位(a)/繰り返し単位(d)比(モル/モル)=100/0.1〜100/10、好ましくは100/0.5〜100/5である。
工程(2)において得られたオレフィン系重合体(P2')または(P2)を、下記式(24)で表される化合物と反応させ、オレフィン系重合体(P1')を製造する。
X3−CO−CR2=CH2 (24)
式(24)中、X3は、ハロゲン原子または水酸基を表す。R2は前記の通りである。
オレフィン系重合体(P2')と、式(24)で表される化合物との反応は、例えば以下のようにして行われる。
[2]酸触媒の存在下、水酸基を有するオレフィン系重合体(P2')を式(24)の化合物と反応させる方法。
この際、副生するかもしれないアクリル酸ハライドの重合体や、それが水と反応したアクリル酸重合体は、極性の有機溶媒等で比較的容易に除去でき、"純度"の高いオレフィン重合体(P1')を製造するのに有利である。
得られたオレフィン系重合体(P1')は、好ましくは、オレフィン系重合体(P1)と同様に、条件(P1'−I):元素分析により求めたZの量が500ppm〜50,000ppm/重合体(P1')、好ましくは5000ppm〜15,000ppmを満たすことが望ましい。
また(P1')は、条件(P1'−II):繰り返し単位(a)/繰り返し単位(b)比(モル/モル)が80/20−20/80、好ましくは30/70〜70/30である、を満たすことが好ましい。
前記条件(P1'−I)(P1'−II)、(P1'−IV)のうち少なくとも1つを満たすことが好ましい態様の1つであり、これらのうち2つ以上を満たすことがより好ましく、特に(P1'−II)と(P1'−IV)とを同時に満たすことがより好ましく、これに加えてさらに(P1'−I)を満たすことがより好ましい。
なお、オレフィン系重合体(P1')における条件(P1'−I)、(P1'−IV)は、重合体(P1')自体を測定する必要があるが、条件(P1'−II)'については、原料である(P2')の値を採用してかまわない。
オレフィン系重合体(P1)は、オレフィン系重合体(P1')の製造方法と同様の方法で製造することができる。すなわち前記したオレフィン系重合体(P2')と、式(24)で表される化合物とを適宜選択して、目的の構造のものを製造することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記のようにして得られたオレフィン系重合体(P1)と光重合開始剤とを含み、必要に応じて有機溶剤、増感剤、他の光硬化性物質等を含む。
オレフィン系重合体(P1)100質量部に対し、光重合開始剤の添加量は、光重合性を有する限り特に制限はないが、例えば0.5〜10質量部である。また必要に応じて用いられる有機溶剤の量は特に制限はないが、用いる場合オレフィン系重合体(P1)100質量部に対し、0〜50質量部である。また必要に応じて用いられる増感剤の量は特に制限はないが、用いる場合オレフィン系重合体(P1)100質量部に対し、0.1〜10質量部である。また必要に応じて用いられる他の光硬化性物質の量は特に制限はないが、用いる場合オレフィン系重合体(P1)100質量部に対し、0.5〜400質量部である。また、オレフィン系重合体(P1')を用いる際は、本段落の記載においてオレフィン系重合体(P1)をオレフィン系重合体(P1')と読み替えるものとする。
光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことにより、活性エネルギー線照射により迅速に硬化する。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾ エイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル −1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエ チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロ パノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオ キサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1 種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。
増感剤としては、特に制限はなく、例えば新版高分子辞典(高分子学会偏、朝倉書店発行、2001年3月20日発行にかかる初版第6刷)368ページ、「光増感剤」の項に記載されたような働きをするもの等を制限なく用いることができるが、好ましい増感剤として例えば4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等を挙げることができる。
光増感剤を用いれば、用いる光の量を低減することができるので、オレフィン重合体骨格の劣化への影響を更に低減することが期待される。
他の光硬化性物質とは、光重合開始剤により、重合して硬化する物質である。この光硬化性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル類、芳香族ビニル化合物類、カルボキシル基含有ビニル化合物等が挙げられる。(メタ)アクリル類とは、分子中に少なくとも一つ以上(メタ)アクリロイル基を有する化合物で、例えば、(メタ)アクリル酸、トリデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンラエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。芳香族ビニル化合物類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルピリジン、3−ビニルチオフェン、2−ビニルナフタレン等が挙げられる。カルボキシル基含有ビニル化合物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、無水マレインサン等が挙げられる。その他、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、さらには、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の紫外線硬化型樹脂等が挙げられる。これら光硬化性物質は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
また、本発明の比較硬化性樹脂組成物はオレフィン重合体骨格を有するため、吸湿性や汚染性が低い特徴を有する。
本発明に係るオレフィン系重合体を含む樹脂組成物は、隙間に充填したり、物体と物体の間に塗り込んだり、物体にコーティングしたり、物体をポッティングしたり、また、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機、RIM(反応射出)成形、LIM(液状射出)成形などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、その後、光照射することで架橋反応が進行し目的とする硬化物を得ることができる。また、硬化反応を促進するために加温してもよい。
上記した、本発明に係るオレフィン重合体を含む組成物は、電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャー用途において好適に用いられる。
上記接着剤は、たとえばブラウン管ウェッジ、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために好適に用いられる。
上記輸送機の用途としては、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途がある。
船舶の用途としては、たとえば配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材; 電線もしくはガラス用の接着剤などが挙げられる。
上記の医療の用途としては、たとえば医薬用ゴム栓、シリンジガスケット、減圧血管用ゴム栓などが挙げられる。
以下、参考形態の例を付記する。
<1>
(a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
下記式(2)で表される構造(c1)および下記式(3)で表される構造(c2)と、
を含み、下記条件(P1−I)〜(P1−IV)を満たすオレフィン系重合体(P1);
−CH 2 −CHR 1 − (1)
(式(1)中、R 1 は炭素数1から20のアルキル基を表す。)
−OCO−CR 2 =CH 2 (2)
(式(2)中、R 2 は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
−CH 2 −Z−CH 2 − (3)
(式(3)中、Zはイオウ原子またはセレン原子を表す。)、
条件(P1−I):元素分析により求めたZの量が500ppm〜50,000ppm、
条件(P1−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P1−III):繰り返し単位(a)100モルあたり、構造(c1)の含有量が0.1〜10モル、
条件(P1−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
<2>
式(2)で表される構造(c1)におけるR 2 が水素原子またはメチル基である<1>に記載のオレフィン系重合体(P1)。
<3>
構造(c1)と構造(c2)とが、単結合、1つ以上の水素原子が置換されていても良いメチレン基、または1つ以上の水素原子が置換されていても良いエチレン基を介して結合している<1>または<2>に記載のオレフィン系重合体(P1)。
<4>
下記式(8)または(9)で表される繰り返し単位(c)を有する、<1>乃至<3>のいずれかに記載のオレフィン系重合体(P1);
(a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(d)下記式(22)または(23)で表される繰り返し単位と、
を含み、下記条件(P2−I)、(P2−II)、(P2−IV)を満たすオレフィン系重合体(P2);
−CH 2 −CHR 1 − (1)
(式中、R 1 は炭素数1から20のアルキル基を表す。)
条件(P2−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P2−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
<6>
(a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
下記式(10)で表される構造(e1)を含み、下記条件(P3−II)、(P3−IV)を満たすオレフィン系重合体(P3)と、
下記式(15)で表される化合物と、
を反応させる、オレフィン系重合体(P2')の製造方法;
−CH 2 −CHR 1 − (1)
(式(1)中、R 1 は炭素数1から20のアルキル基を表す。)
−CR 3 =CH 2 (10)
(式(10)中、R 3 は水素原子、炭素数1から20のアルキル基を表す。)
H−Z―A−(OH)n (15)
(式(15)中、Zはイオウ原子またはセレン原子を表す。Aは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価以上、n+1価以下の炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。)
条件(P3−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P3−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。
<7>
(P3)における構造(e1)が、下記式(14)で表される単量体由来である<6>に記載のオレフィン系重合体(P2')の製造方法;
<8>
<6>または<7>に記載の製造方法で得られたオレフィン系重合体(P2')。
<9>
<8>に記載のオレフィン系重合体(P2')と、
下記式(24)
X 3 −CO−CR 2 =CH 2 (24)
(式(24)中、X 3 は、ハロゲン原子または水酸基を表す。R 2 は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
で表される化合物と、を反応させる、オレフィン系重合体(P1')の製造方法。
<10>
<9>に記載の製造方法で得られたオレフィン系重合体(P1')。
<11>
<1>乃至<4>及び<10>のいずれかに記載のオレフィン系重合体(P1)または(P1')と、光重合開始剤とを含む光硬化性樹脂組成物。
<12>
<11>に記載の光硬化性樹脂組成物に光照射する工程を含む、オレフィン系重合体の硬化物の製造方法。
<13>
<12>に記載の製造方法により得られる、オレフィン系重合体の硬化物。
なお、分析装置は以下の装置および条件で測定した。
(i)GPC
Shodex社製 GPC System−21を用いて、以下の条件で測定を行った。
カラム :Shodex GPC K−G + K−806L +K−806L
溶離液 :クロロホルム
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折計
流速 :1mL/min.
注入量 :0.2mL
Mw,Mnはポリスチレン換算として求めた。
(ii)1H−NMR、13C−NMR
日本電子社製JNM−GSX270型または日本電子社製EX400型用いて、本文中に記載の方法で測定した。
日本分光社製FT/IR−6100を用いて測定した。
(iv)FD−質量分析
日本電子社製JMS−SX102Aを用いて分析した。
(v)極限粘度[η]
離合社製、自動動粘度測定装置(VMR−053−UPC)を用いて、以下の方法で測定した。
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。さらにデカリン溶媒5mlを追加後、ηspを測定する操作を2回繰り返し、合計4つの濃度でのηspを用いて濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
測定機器、Brookfield社製DV−II+Proを用いて、温度100℃で測定を行った。
(vii)元素分析
試料20mgを専用カプセルに秤取り、酸素フラスコ燃焼法により試料を分解した。
燃焼時に分解生成するガスを吸収液に吸収させ、これを0.01Nの過塩素酸バリウム水溶液
で滴定した。測定数はn=2で行い、平均値を分析結果とした。
攪拌羽根を供えた容積100Lのステンレス製重合器(攪拌回転数250rpm)を用い,重合器側部より液相へ,ヘキサンを60L/h,エチレンを2.8kg/h,プロピレンを11.5kg/h,5−ビニル−2−ノルボルネンを550g/h,水素を70L/h,触媒としてVOCl3を90mmol/h,Al(Et)3Clを443mmol/L,Al(Et)1.5Cl1.5を127mmol/hの速度で連続的に供給し,重合温度40℃,重合圧力7.1kgf/cm2条件にてエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体を均一な溶液状態で得た。その後,重合器下部から連続的に重合溶液を抜き出し,少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ,スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離した後,55℃で48時間真空乾燥処理を行った。乾燥して得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体の物性は,条件(P3−II):エチレン/プロピレン=63.4/36.6(モル/モル),条件(P3−III):ジエン/エチレン比=3.1/96.9=3.2/100(モル/モル),条件(P3−IV):[η]=0.12dl/g,粘度490mPa・sであった。エチレン/プロピレン比、ジエン/エチレン比は以下の(viii)記載の方法に従った。
GPC:Mw=13,500、Mn=3,770、Mw/Mn=3.58
1H-NMR δ(CDCl3):0.80−0.90(m),1.00−2.00(m),2.40−2.53(m), 4.80−5.06(m),5.66−5.98(m)
IR(cm−1):2913,1637,1463,1377,1304,1155,994,907,722
1H−NMRにおいて、0.3〜0.9ppm付近に観測されるピーク(A)を全てプロピレンに由来する側鎖のメチルに基づくピークとみなす*。また、主鎖の炭素に結合したプロトンに基づくピーク(B)が0.9〜3.0ppm付近に観測される。更に、VNBに由来する−CH=CH2基の−CH=由来のプロトンに基づくピーク(C)が5.5〜6.0ppm付近に観測される。これらの積分値を用い、以下の(1)〜(3)式から求めた各値の比率により求めた。
*:主鎖末端のメチル基由来のピークが、0.3〜0.9ppmに若干量存在する場合があるが、このようにみなす。
E(エチレン)=(B−A−C×9)/4 ・・・(1)
P(プロピレン)=A/3 ・・・(2)
VNB(ビニルノルボルネン)=C ・・・(3)
E/P/VNBの比(mol)=(1)/(2)/(3)
1000ml4つ口セパラブルフラスコに合成例1で重合した重合体(P3)172g、トルエン100g、メルカプトエタノール25g(0.320mol)を仕込み、内温が90℃に達するまで昇温した。その温度でカヤレン6−70(化薬アグゾ社製)3.0g(オレフィン系重合体(P3)の二重結合1モルに対し0.06モル)を投入し7時間反応させた後、その温度で温水100gを添加して油層を洗浄した後、静置、水層分離した。この温水洗浄処理を3回繰り返した後、常圧、および減圧(100mmHg)にて溶媒を溜去して、60℃で24時間真空乾燥をして、下記式で表される繰り返し単位を有する、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体にメルカプトエタノールが付加した重合体169.5gが得られた。条件(P2−IV):[η]=0.13dl/g,粘度610mPa・sであった。また(ix)で後述する方法で求めた、条件(P2−II):繰り返し単位(a)/繰り返し単位(b)の比(モル/モル)は59.1/40.9、 条件(P2−III):繰り返し単位(a)/構造(d)の比(モル/モル)は98.0/2.0=100/2.04であった。このオレフィン系重合体p2は、オレフィン系重合体(P3)の、ビニルノルボルネンに由来するビニル基を有する構成単位が、(x)で後述する方法で求める転化率100%で下記式(30)で表される構造に転化したものであることを確認した。
GPC:Mw=13,200、Mn=3,900、Mw/Mn=3.38
1H-NMR δ(CDCl3):0.70−0.92(m),0.92−2.00(m),2.40−2.53(m),
2.73(t),3.65−3.77(m)
IR(cm−1):2924,1463,1377,1215,1155,1062,761,722
また、13CNMRでは、47.5〜48.5ppm付近にノルボルネン骨格の4位に由来するピークが出ることからノルボルネン骨格を有するとわかり、これと上記記載より、上記構造であることが同定できた。
条件(P2−III):繰り返し単位(a)/繰り返し単位(d)のモル比
1H−NMRにおいて、0.3〜0.9ppm付近に観測されるピーク(A)を全てプロピレンに由来する側鎖のメチルに基づくピークとみなす*。また、主鎖の炭素に結合したプロトンに基づくピーク(B)が0.9〜2.4ppm付近に観測される。この領域には、さらにノルボルネン骨格に結合した水素原子由来のピークが重なる。一方、未反応のVNBに由来する−CH=CH2基の−CH=由来のプロトンに基づくピーク(C)が5.5〜6.0ppm付近に観測される。そして、VNBに付加したH−S−CH2−CH2−OHのOHに隣接する炭素に結合した2つの水素原子に由来するピーク(J)が3.64〜3.77ppmに観測される。これらの積分値を用い、以下の(11)および(12)式から求めた各値の比率により求めた。
*主鎖末端のメチル基由来のピークが、0.3〜0.9ppmに若干量存在する場合があるが、このようにみなす。
繰り返し単位(a)(エチレン)=(B−A−C×9−J×11/2)/4 ・・・(11)
繰り返し単位(b)(プロピレン)=A/3
構造(d)=J/2 ・・・(12)
繰り返し単位(a)/繰り返し単位(d)の比(mol)=(11)/(12)
繰り返し単位(a)/繰り返し単位(b)の比(mol)=59.1/40.9
繰り返し単位(a)/構造(d)の比(mol)=98.0/2.0=100/2.04
1H-NMRにより、原料の(P3)の末端のビニル基(−CH=CH2)の=CH2の2つの水素原子由来のピーク(この積分値をHaとする)、4.66−4.95ppmに表れる。このP3に、例えば、2−メルカプトエタノールを反応させた場合、原料のP3の積分比は減少し、代わりに生成物(p2)のOH基の隣のメチレン基の2つの水素原子に由来するピーク(この積分値をHbとする)が3.64−3.77ppmに表れる。
上述したビニル基への2−メルカプトエタノールの反応率は下記(式1)で計算することができる。
(式1) Hb/(Ha+Hb)×100
本実施例における反応率は100%であった。
1000ml4つ口セパラブルフラスコに実施例1で得られた重合体p2を170g(ヒドロキシル基100mmol)、トルエン200gにトリエチルアミン20g(191mmol)を仕込んだ。氷冷下で攪拌しながら塩化メタクリロイル20g(191mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、攪拌しながら室温にして2時間反応させた後、50℃に昇温し、温水100gにて油層を洗浄をした。その後、減圧下でトルエンなどの揮発分を溜去し、さらに60℃で24時間真空乾燥をして、下記式で表される繰り返し単位を有する、メタクリロイル基を有する共重合体p1を165.5gを得た。後述する方法(xi)により求めた条件(P1−II):繰り返し単位(a)/繰り返し単位(b)の比(モル/モル)=59.5/40.5であり、条件(P1−III)繰り返し単位(a)/構造(c1)の比(mol)=100/1.83であった。さらにこのオレフィン系重合体p1は、オレフィン系重合体(p2)のOH基が、(xii)で後述する方法で求める転化率99%で下記式(31)で表される構造に転化したものであることを確認した。
また条件(P1−IV):[η]=0.14dl/g,粘度770mPa・sであった。
GPC:Mw=13,300、Mn=4,270、Mw/Mn=3.12
1H-NMR δ(CDCl3):0.88(m),1.25−1.62(m),1.95(s),2.46−2.58(m),2.78(t),4.29(t),5.57(s),6.12(s)
IR(cm−1):2924,1723,1639,1463,1377,1319,1294,1157,1037,1012,939,813,722
(xi) −O(C=O)−C(CH3)=CH2
1H−NMRにより、−O(C=O)の隣接するC(CH3)=CH2の=CH2水素に由来するピークが5.57ppmおよび6.12ppm付近に見られることから確認できた。
(xii) −CH2−S−
硫黄原子に隣接する炭素に結合する水素由来のピークは1H-NMRにおいて、概ね2.46〜2.58ppmに現れることから、かかる構造を確認することができた。
Sとアクリロイル基の酸素原子とが、2個の炭素原子で隔てられている場合(S−C−C−O構造を有する場合)、Sに隣接するアクリロイル基側の炭素に結合する水素由来のピークは1H−NMRにより、概ね2.78ppmに現れることから、かかる構造(c2)を有することを確認することができた。
1H−NMRにおいて、0.3〜0.9ppm付近に観測されるピーク(A)を全てプロピレンに由来する側鎖のメチルに基づくピークとみなす*。また、主鎖の炭素に結合したプロトンに基づくピーク(B)が0.9〜2.4ppm付近に観測される。更に、未反応のVNBに由来する−CH=CH2基の−CH=由来のプロトンに基づくピーク(C)が5.5〜6.0ppm付近に観測される。そして、VNBに付加したメタクリロイル基の二重結合の炭素に結合したプロトン(1H分)に基づくピーク(G)が6.12ppmに、メタクリロイル基のメチル基に基づくピーク(H)が1.95ppmに観測される。
*主鎖末端のメチル基由来のピークが、0.3〜0.9ppmに若干量存在する場合があるが、このようにみなす。
繰り返し単位(a)(エチレン)=(B−A−C×9−G×(11+3))/4 ・・・(6)
繰り返し単位(b)(プロピレン)=A/3
構造(c1)=G ・・・(7)
繰り返し単位(a)/構造(c1)の比(mol)=(6)/(7)
上記式で計算した値は、以下のとおりである。
繰り返し単位(a)/繰り返し単位(b)の比(mol)=59.5/40.5
繰り返し単位(a)/構造(c1)の比(mol)=100/1.83
例えば、2−メルカプトエタノールが付加した重合体である、実施例1で得られた重合体p2をメタクリロイル化した場合、1H−NMRにより、実施例1で得られた重合体のOH基の隣のメチレン基の2つの水素原子に由来するピーク(この積分値をHcとする)が3.64−3.77ppm付近に表れる。また、実施例2における生成物p1の、−OCOC(CH3)=CH2基に隣接するメチレン基の2つの水素原子に由来するピーク(この積分値をHdとする)が4.20−4.37ppm付近に表れる。その結果、実施例1の共重合体から実施例2で得た共重合体への転化率は99%であった。
上述したOH基へのメタクリロイル化の反応率は、下記(式2)で計算することができる。
(式2) Hd/(Hc+Hd)×100
(評価方法)
上記で得られた光硬化性樹脂組成物を以下に示す方法で試験を行った。その結果を表1に示す。
上記、光硬化樹脂組成物をPP基材にバーコーターNo30で塗工し室温で10分間乾燥後、さらにエアオーブン(60℃)で1分間乾燥させた。100W/cmの高圧水銀灯を3灯有する紫外線照射装置で照射距離10cm、ライン速度10m/minで2回紫外線を照射した。これで得られた試験片を以降の試験に供試した。
密着性試験を碁盤目試験(JIS K5600−5−6)によって評価した。
<硬度>
鉛筆試験(JIS K5600−5−4)によって評価した。
テーパー磨耗試験法(JIS K5600−5−9)によりCS−10F磨耗輪で荷重250g、50回回転で外観の変化を調べた。外観の良好なものを◎、塗膜に傷が僅かに入ったものを○、塗膜に傷が入り白くなったものを△、塗膜に傷が入り完全に金属様が失われたものを×とした。
Claims (9)
- (a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(c)下記式(8)または(9)で表される繰り返し単位と、
を含み、下記条件(P1−I)〜(P1−IV)を満たすオレフィン系重合体(P1);
−CH2−CHR1− (1)
(式(1)中、R1はメチル基を表す。)
条件(P1−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P1−III):繰り返し単位(a)100モルあたり、下記式(2)で表される構造(c1)の含有量が0.1〜10モル、
−OCO−CR 2 =CH 2 (2)
(式(2)中、R 2 はメチル基を示す。)
条件(P1−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。 - (a)エチレンから誘導される繰り返し単位と、
(b)下記式(1)で表される繰り返し単位と、
(e)下記式(14)で表される単量体由来である構造(e1)を含み、下記条件(P3−II)、(P3−IV)を満たすオレフィン系重合体(P3)と、
下記式(15)で表される化合物と、
を反応させる、オレフィン系重合体(P2')の製造方法;
−CH2−CHR1− (1)
(式(1)中、R1はメチル基を表す。)
H−S―A−(OH)n (15)
(式(15)中、Aは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価以上、n+1価以下の炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。)
条件(P3−II):繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)のモル比((a)/(b))が、20/80〜80/20、
条件(P3−IV):デカリン中135℃で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜1.0dl/g。 - 請求項3に記載の製造方法で得られたオレフィン系重合体(P2')。
- 請求項4に記載のオレフィン系重合体(P2')と、
下記式(24)
X3−CO−CR2=CH2 (24)
(式(24)中、X3は、ハロゲン原子または水酸基を表す。R2は水素原子またはメチル基を表す。)
で表される化合物と、を反応させる、オレフィン系重合体(P1')の製造方法。 - 請求項5に記載の製造方法で得られたオレフィン系重合体(P1')。
- 請求項1または6に記載のオレフィン系重合体(P1)または(P1')と、光重合開始剤とを含む光硬化性樹脂組成物。
- 請求項7に記載の光硬化性樹脂組成物に光照射する工程を含む、オレフィン系重合体の硬化物の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法により得られる、オレフィン系重合体の硬化物。
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