JP5504443B2 - 硬化性組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有し、且つ分散度の小さいビニル系重合体を含有し、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物の製造方法に関する。
分子鎖の末端に(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、及びアミノ基等の官能基を有する重合体は、重合体単独で、あるいは触媒又は開始剤等を使用することにより、架橋を形成し、硬化物となる。このような重合体は、硬化が速く、また、得られる硬化物は、耐熱性及び耐久性に優れていることが知られている。
例えば、末端にヒドロキシル基又はアミノ基を有する重合体は、それらの官能基と反応するイソシアネート系化合物等を硬化剤として用いることにより重合体は架橋され、耐熱性及び耐久性に優れる硬化物を与えることができる
これらの重合体の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル系重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン及びこれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン系重合体、並びにポリアクリレート等のビニル系重合体等の重合体があり、主鎖骨格の特性に応じて様々な用途に用いられている。
これらのうち、特にビニル系重合体から得られる硬化物は、耐候性、耐熱性、耐油性及び透明性に優れ、上記の他の重合体では得られない特性を有している。従って、ビニル系重合体を主鎖骨格とする硬化性重合体を含有する硬化性組成物は、様々な分野で提案がされている。
例えば、下記特許文献1には、ヒドロキシル基含有スルフィドを連鎖移動剤として、分子鎖末端にヒドロキシル基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、ヒドロキシル基を反応させることにより、分子鎖末端にメタアクリロイル基を有するアクリル系重合体が開示されている。
また、下記特許文献2には、遷移金属錯体を触媒として、リビングラジカル重合法を用いて、分子鎖末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体を製造する。そして、得られたビニル系重合体に開始剤等を配合し、光硬化させることにより、ゴム状硬化物が得られることが開示されている。
また、下記特許文献3には、遷移金属錯体を触媒として、リビングラジカル重合法を用いて、分子鎖末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を製造する。そして、得られたビニル系重合体にイソシアネート化合物を配合し、硬化させることにより、ゴム状硬化物が得られることが開示されている。
特開平5−262808号公報 特開2000−72816号公報 特開平11−116617号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、得られる重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、十分に小さいものとはいえない。そして、この重合体を含む組成物を用いて得られる硬化物が有する強度及び弾性等の硬化物特性は、十分満足できるものではない。
また、特許文献2及び3に記載されたリビングラジカル重合法は、遷移金属錯体を触媒として用いる方法であり、得られた重合体には、その遷移金属錯体が残存する場合がある。そして、安全性等の観点から、重合体に残存する遷移金属錯体を取り除く場合には、製造工程が複雑となり、多大な労力及び経済的負担を要する。
また、この遷移金属錯体からなる触媒は、錯体を構成する配位子となる化合物を必要とし、製造工程が煩雑である。
また、特許文献2及び3に開示される重合体から得られる硬化物が有する強度及び弾性等の硬化物特性のバランスは、十分満足できるものではないのが現状である。
また、特許文献2及び3の製造方法では、カルボン酸等の官能基を有する単量体を用いた場合、銅化合物(銅錯体)からなる触媒の活性低下を引き起こす場合がある。従って、特許文献2及び3において、このような官能基を有する単量体単位を有する共重合体は、上記硬化物特性が劣る場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、分散度の小さいビニル系重合体を含有し、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1.(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物の製造方法であって、
上記ビニル系重合体は、炭素、及び酸素から選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子と該中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物からなる触媒と、有機ハロゲン化合物からなる開始剤と、の存在下で、ビニル系単量体をリビングラジカル重合することにより、上記触媒又は上記開始剤に由来するハロゲン原子を末端に有する第1重合体を得た後、該第1重合体を末端変性させて、該第1重合体に含まれた上記ハロゲン原子が、上記官能基に置換された重合体であり、
上記ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0未満であり、
上記第1重合体を形成する上記ビニル系単量体が、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物を含み、上記メタクリル酸エステル化合物及び上記アクリル酸エステル化合物の使用量の割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%であり、
上記触媒が、酸素原子を中心元素とし、該中心元素に結合したハロゲン原子を含む化合物、又は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、該触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、若しくは2つのエステル結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又は、ハロゲンであることを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
2.上記メタクリル酸エステル化合物及び上記アクリル酸エステル化合物の合計使用量が、上記ビニル系単量体を100質量%としたときに、80〜100質量%である上記1.に記載の硬化性組成物の製造方法
3.上記ビニル系重合体の数平均分子量が、3000〜50000である上記1.又は上記2.に記載の硬化性組成物の製造方法
4.上記硬化性組成物が、更に、硬化剤を含有する上記1.乃至3.のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法
本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を含有しているため、強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。また、上記ビニル系重合体は、特定の触媒を用いて得られたビニル系重合体の末端を変性されたものであり、効率的に、上記官能基を高い比率で分子末端に有するビニル系重合体とすることができ、このビニル系重合体を含有する本発明の硬化性組成物は、強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。また、上記ビニル系重合体は、上記の触媒を用いて得られた重合体であるため、触媒由来の遷移金属が残存しない硬化物とすることができる。
また、ビニル系重合体が、(メタ)アクリル系重合体である場合には、より強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
更に、上記第1重合体を形成するビニル系単量体が、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物を含み、メタクリル酸エステル化合物、及びアクリル酸エステル化合物の使用量の割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%、及び0〜50質量%である場合には、強度及び弾性に特に優れる硬化物を与えることができる。
また、硬化剤を含有する場合には、強度及び弾性に優れる硬化物を効率的に得ることができる。
以下、本発明の硬化性組成物の製造方法について詳しく説明する。
本発明の硬化性組成物の製造方法は、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物の製造方法であって、
上記ビニル系重合体は、炭素、及び酸素から選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子と該中心原子に結合したハロゲン原子(以下、「ハロゲン原子(a)」ともいう。)とを含む化合物(以下、「化合物(a)」ともいう。)からなる触媒と、有機ハロゲン化合物からなる開始剤と、の存在下で、ビニル系単量体をリビングラジカル重合することにより、上記触媒又は上記開始剤に由来するハロゲン原子を末端に有する第1重合体を得た後、該第1重合体を末端変性させて、該第1重合体に含まれた上記ハロゲン原子が、上記官能基に置換された重合体であり、
上記ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)(以下、「分散度」ともいう。)が、2.0未満であり、
上記第1重合体を形成する上記ビニル系単量体が、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物を含み、上記メタクリル酸エステル化合物及び上記アクリル酸エステル化合物の使用量の割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%であり、
上記触媒が、酸素原子を中心元素とし、該中心元素に結合したハロゲン原子を含む化合物、又は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、該触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、若しくは2つのエステル結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又は、ハロゲンであることを特徴とする。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの一方又は両方を含む意味に用い、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を含む意味に用いる。
更に、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの一方又は両方を含む意味に用いる。
また、「Ph」とは、フェニル基、又はフェニレン基を意味する。
上記ビニル系重合体は、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有する。このビニル系重合体は、上記触媒の存在下で、ビニル系単量体をリビングラジカル重合により得られた第1重合体に対して、この第1重合体の末端を変性させることにより、上記官能基を分子末端に有する重合体である。
上記ビニル系重合体の製造方法としては、上記ビニル系単量体をリビングラジカル重合して上記第1重合体を得る重合工程(以下、「第1工程」という。)と、その重合工程により得られた第1重合体の分子末端を変性する分子末端変性工程(以下、「第2工程」という。)とを、順次、備える方法が挙げられる。この方法によれば、第1工程において、分散度が、2.0未満の第1重合体が得られ、その後、第2工程において、この分散度を維持しつつ、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を効率的に得ることができる。即ち、上記第1工程及び上記第2工程による製造方法とすることにより、ビニル系重合体の分子末端に、上記官能基を円滑に導入することができ、更に、確実に(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を効率的に得ることができる。
また、本発明の硬化性組成物の製造方法としては、上記触媒が、酸素原子を中心元素とし、該中心元素に結合したハロゲン原子を含む化合物、又は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、該触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、若しくは2つのエステル結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又は、ハロゲンであることを特徴とする。
上記第1工程において、ビニル系単量体を、上記触媒の存在下で、リビングラジカル重合することにより第1重合体を得る。このリビングラジカル重合とは、ラジカル重合反応において連鎖移動反応及び停止反応が実質的に起こらず、単量体の重合反応後も、連鎖成長末端が活性を保持する重合反応をいう。この重合反応では、重合反応終了後でも生成重合体の末端に重合活性を保持しており、単量体を加えると再び重合反応を開始させることができる。
上記触媒は、リン、窒素、炭素、酸素、ゲルマニウム、スズ、及びアンチモンから選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子と、その中心原子に結合したハロゲン原子と、を含む化合物(a)が挙げられるが、本発明においては、炭素、及び酸素から選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子と該中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物である
この「中心原子」とは、触媒を構成する原子のうち、ハロゲン原子と結合して主に触媒作用を奏する原子を意味する。一般的に「触媒」において、使用される「中心金属」との用語と同じ意味であるが、本発明において用いられる、リン、窒素、炭素及び酸素等は一般には金属に分類されないことから、誤解を避けるために、一般的に「触媒」における用語として使用される「中心金属」の代わりに、「中心原子」との用語を用いる。
上記中心原子は、上記化合物(a)に少なくとも1つ有すれば良く、2つ以上有していても構わない。上記化合物(a)が複数の中心原子を有する場合、その中心原子の種類は、同一であっても、異なっていてもよい。
上記触媒としては、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記第1工程における第1重合体の製造に用いる上記触媒としては、上記化合物(a)をそのまま使用することができるが、化合物(a)を形成する化合物(触媒前駆体)を使用することもできる。
上記触媒は、第1重合体を得る重合反応の際に、上記有機ハロゲン化合物からハロゲンを引き抜いて、ラジカルを生成させる。これにより、触媒は、ドーマント種として使用される有機ハロゲン化合物由来の、第1重合体の成長反応を抑制している基をはずして活性種に変換し成長反応をコントロールする。
上記触媒を構成する化合物(a)において、ハロゲン原子は、上記の中心原子に結合している。上記化合物(a)が2個の中心原子を有する場合、それぞれの中心原子に対して少なくとも1個ハロゲン原子が結合しており、中心原子に対して、ハロゲン原子が2個以上結合していてもよい。
中心原子に結合している、このハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の各原子が挙げられる。これらのうち好ましくはヨウ素原子である。このハロゲン原子は、化合物(a)の1分子中に2個以上存在していてもよい。
また、化合物(a)の1分子中に、複数のハロゲン原子が存在する場合、その複数のハロゲン原子は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記触媒における中心原子がリン原子又は窒素原子である触媒(以下、「触媒(p)」ともいう。)を構成する化合物(a)の場合、リン原子又は窒素原子からなる中心原子と、この中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物であれば特に限定されない。例えば、中心原子がリン原子又は窒素原子である化合物(a)としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
(…Z) (1)
上記一般式(1)において、Rはアルキル基、アルキルカルボキシル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリール基、又は置換アリール基であり、Mは中心原子であって、リン原子、又は窒素原子であり、Xはハロゲン原子であり、Zは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、且つMに結合している。nは0〜(4×h)の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1〜(5×h)の整数であり、kは0〜(2×h)の整数であり、hが2以上の場合、R、M及びXは、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合していてもよく、MとZとの結合である「…」は二重結合又は三重結合を示す。
上記一般式(1)におけるnは、0〜(4×h)の整数である。例えば、hが1の場合には、nは0〜4であり、hが2の場合には、nは0〜8である。また、nが2以上の場合、全てのRはそれぞれ異なってもよく、一部同一であってもよく、全て同一であってもよい。
上記一般式(1)におけるMは、触媒(p)の中心原子であり、リン原子、又は窒素原子である。
また、上記一般式(1)におけるhは、1以上の整数であり、好ましく10以下であり、より好ましくは5以下であり、更に好ましく4以下であり、より更に好ましくは3以下であり、特に好ましくは2以下であり、より特に好ましくは1である。
また、hが2以上の整数である場合、複数の原子Mは、同一であっても、異なっていてもよい。好ましくは全て同一の元素である。
また、hが2以上の整数である場合、複数の原子Mは、通常、単結合、二重結合又は三重結合により結合されている。
また、hが2以上の整数である場合、置換基R、及びハロゲン原子Xは、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合してもよい。
また、hが2の場合の具体例としては、後述の2つのリン原子が結合した構造(−P=P−)を有する化合物等が挙げられる。また、hが3以上の場合には、(−P=P−P=P−)を有する化合物等が挙げられる。
また、hが2である場合、2つの原子Mが結合した構造をとることができる。例えば、「−M−M−」、「−M=M−」、「−M≡M−」の構造とすることができる。また、中心原子がリンである場合、上記のとおり、2つのリン原子が結合した構造(−P=P−)とすることができる。
また、hが2である場合、置換基R、及びハロゲン原子Xは、それぞれ独立して、2つの原子Mのいずれに結合してもよい。
また、hが3以上である場合、h個の原子Mは、直鎖状に連結されていてもよく、分岐鎖状に連結されていてもよい。
上記一般(1)におけるXは、ハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子のうち、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、ヨウ素原子がより好ましい。
上記一般式(1)におけるmは、1〜(5×h)の整数であり、好ましくは2〜(5×h)の整数である。例えば、hが1の場合には、mは1〜5であり、hが2の場合には、mは1〜10である。
また、mが2の場合、2つのハロゲン原子Xは、同一であっても、異なっていてもよい。mが3以上の場合、全てのハロゲン原子Xは、それぞれ異なってもよく、一部同一であってもよく、全て同一であってもよい。mが2以上の場合、全てのハロゲン原子Xは、同一であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるZは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、好ましくは、酸素原子である。この原子Zは、原子Mに結合している。この原子Zと原子Mとの結合は、二重結合又は三重結合である。
また、上記一般式(1)におけるkは、0〜(2×h)の整数である。例えば、hが1の場合には、kは0〜2であり、hが2の場合には、kは0〜4である。
上記一般式(1)において、全てのR、X、及びZは、通常、Mに結合している。また、上記一般式(1)において、n、h、m及びkは化学式(1)の原子価が釣り合うように選択される。
M(中心原子)が、リン原子又は窒素原子の場合、mとnとの和(m+n)は、3又は5であることが好ましい。
リン原子を中心原子とする化合物(a)としては、ハロゲン化リン、ハロゲン化ホスフィン、及びハロゲン化亜リン酸誘導体等が挙げられる。
上記ハロゲン化リンとしては、三ヨウ化リン、及び五ヨウ化リン等が挙げられる。
上記ハロゲン化ホスフィンとしては、具体的には、ヨウ化ジフェニルホスフィン(PhPI)等が挙げられる。
上記ハロゲン化亜リン酸誘導体としては、具体的には、ヨウ化亜リン酸ジエチル〔(CO)P(O)I〕、エチルフェニルホスフィネート〔(CO)PhP(O)I〕、ジフェニルホスフィンオキサイド〔PhP(O)I〕等が挙げられる。
窒素原子を中心原子とする化合物(a)としては、上記一般式(1)において、nは好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2である。hは好ましくは1であり、mは好ましくは1〜3である。kは好ましくは0である。また、nが2以上の場合、複数のRとMとにより環構造を形成してもよい。この場合、複数のRは共にアルキルカルボニル、ビニルカルボニル、又はフェニルカルボニルが好ましい。窒素原子を中心原子とする化合物(a)としては、具体的には、三ヨウ化窒素等のハロゲン化窒素;ヨウ化ジフェニルアミン(PhNI)等のハロゲン化アミン;ヨウ化コハク酸イミド、ヨウ化マレイミド、及びヨウ化フタルイミド等のハロゲン化イミド等が挙げられる。
次に、上記触媒における中心原子が炭素原子である触媒(以下、「触媒(c)」ともいう。)を構成する化合物(a)の場合、炭素からなる中心原子と、この中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物である。この場合、更にハロゲン原子以外の原子又は基を有していてもよい。例えば、中心原子に、任意の有機基又は無機基を結合させることが可能である。
上記有機基としては、アリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、置換ヘテロアリール基、アルケニル基(例えば、ビニル基等)、アルキニル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等)、エステル基(例えば、脂肪族カルボン酸エステル等)、アルキルカルボニル基(例えば、メチルカルボニル基等)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)等が挙げられる。これらのうち好ましくは、アリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、置換ヘテロアリール基、アルケニル基、及びアルキニル基である。また、アリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、及び置換ヘテロアリール基を有する化合物を触媒として用いると、ラジカルの活性がより高くなる傾向にあり、より好ましい。即ち、中心原子に結合する有機基としては、好ましくは、フェニル基、炭素数7〜16のアルキルフェニル基、及び炭素数7〜16のアルキルオキシフェニル基等が挙げられる。
また、上記無機基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
中心原子である炭素原子に結合する、上記有機基および無機基の数は特に限定されないが、好ましくは3以下であり、より好ましくは1である。
また、中心原子が炭素原子である触媒(c)としては、中心原子に、下記ラジカル安定化用置換基が1〜3個結合した化合物が好ましい。
上記ラジカル安定化用置換基としては、電子吸引性置換基、又はこの中心原子と一緒になって共鳴構造を形成する置換基(以下、「共鳴構造を形成する置換基」ともいう)が挙げられる。このラジカル安定化用置換基が2個存在する場合、ラジカル安定化用置換基は互いに連結されて、中心原子と、2個のラジカル安定化用置換基とにより環構造を形成してもよい。
また、ラジカル安定化用置換基が3個存在する場合、3個のラジカル安定化用置換基のうちの2つが互いに連結されて、この2個の連結されたラジカル安定化用置換基と、中心原子とにより環構造を形成してもよく、3個のラジカル安定化用置換基が互いに連結されて、中心原子と、3個の置換基とにより環構造を形成してもよい。
また、上記ラジカル安定化用置換基としては、電子供与性置換基でもよい。この電子供与性置換基が2個存在する場合、電子供与性置換基は互いに連結されて、中心原子と、2個の電子供与性置換基とにより環構造を形成してもよい。
また、電子供与性置換基が3個存在する場合、3個の電子供与性置換基のうちの2つが互いに連結されて、この2個の連結された電子供与性置換基と、中心原子とにより環構造を形成してもよく、3個の電子供与性置換基が互いに連結されて、中心原子と、3個の電子供与性置換基とにより環構造を形成してもよい。
尚、本明細書おいて、上記の電子吸引性置換基、及び電子供与性置換基、並びに中心原子と一緒になって共鳴構造を形成する置換基を総称して、「ラジカル安定化用置換基」ともいう。
上記電子吸引性置換基とは、中心原子の炭素に結合して、中心原子の炭素から電子を吸引する置換基である。この電子吸引性置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。具体的には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。また、ハロゲン原子以外の電子吸引性置換基としては、ハロゲン原子と同程度に中心原子の炭素から電子を吸引する電子吸引性置換基であればよく、例えばカルボニルの酸素(=O)、シアノ基、及びニトロ基等が挙げられる。
上記電子供与性置換基とは、中心原子の炭素に結合して、中心原子の炭素に電子を供与する置換基である。このような置換基としては、例えば、アルコキシ基等が挙げられる。
上記共鳴構造を形成する置換基とは、二重結合又は三重結合を有する置換基であり、その二重結合又は三重結合を構成する原子が中心原子(炭素)に結合する構造を有する。即ち、中心原子、及び二重結合又は三重結合を構成する2個の原子との計3個の原子が、下記式(2a)又は(2b)で表される構造になるように結合し、中心原子が二重結合又は三重結合に隣接した構造となっている。
「C−M=M」(2a)
「C−M≡M」(2b)
上記式(2a)において、M及びMは、二重結合を構成する原子であり、且つMは中心原子に結合する原子である。また、上記式(2b)において、M及びMは、三重結合を構成する原子であり、且つMは中心原子に結合する原子である。このような構造をとることにより、中心原子が炭素ラジカルとなった際に、炭素ラジカルと、二重結合又は三重結合の電子共鳴効果により、その炭素ラジカルが安定化されて、触媒として高い活性を示す。
上記式(2a)におけるMとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素原子、ケイ素原子、リン原子及び窒素原子等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子である。また、Mが4価の原子である場合には、Mは更に1価の基を1個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。Mが5価の原子の場合には、Mは更に2価の基を1個又は1価の基を2個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。
上記式(2a)におけるMとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素原子、ケイ素原子、リン原子、窒素原子及び酸素原子等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子である。また、Mが3価の原子である場合には、Mは更に1価の基を1個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。Mが4価の原子である場合には、Mは更に2価の基を1個又は1価の基を2個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。Mが5価の原子の場合には、Mは更に3価の基を1個、又は、2価の基を1個及び1価の1個、あるいは1価の基を3個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。
上記式(2b)におけるMとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素原子、ケイ素原子及びリン原子等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子である。また、Mが5価の原子である場合には、Mは更に1価の基を1個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。
上記式(2b)におけるMとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素原子、ケイ素原子、リン原子及び窒素原子等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子である。また、Mが4価の原子である場合には、Mは更に1価の基を1個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。Mが5価の原子の場合には、Mは更に2価の基を1個又は1価の基を2個有する。そのような基としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。
上記のうち好ましくは、M及びMが共に炭素原子である。中心原子が2個の炭素原子間の二重結合を有する置換基を有する場合、即ち、M及びMが炭素原子である場合、当該炭素原子間の二重結合は、芳香族性の二重結合であってもよく、エチレン性二重結合であってもよい。例えば、中心原子にアルケニル基、若しくはアルキニル基が結合した構造、又は中心原子にアリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、若しくは置換へテロアリール基が結合した構造が好ましい。また、触媒はラジカル反応(第1工程)の際に重合しないことが好ましいことから、中心原子にアリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、若しくは置換へテロアリール基が結合した構造がより好ましい。また、エチレン性二重結合の場合には、ラジカル重合反応性が低いものが好ましい。
また、中心原子は、上述した二重結合又は三重結合を有する置換基を、2個又は3個有することがより好ましい。即ち、2個又は3個の、二重結合又は三重結合に中心原子が挟まれた構造を有することがより好ましい。
例えば、2つの二重結合に中心原子が挟まれた構造の場合には、下記式(2c)で表される構造になる。
「M=M−C−M=M」(2c)
ここで、上記式(2c)におけるM及びMは上記Mと同様の原子であり、M及びMは上記Mと同様の原子である。このような構造を有する化合物(a)においては、リビングラジカル重合の際に中心原子の炭素原子が安定な炭素ラジカルとなり、触媒として高い活性を示す。
また、共鳴構造を形成する置換基が2個存在する場合、その2個の置換基と中心原子とが全体として1つの共鳴構造を構成することが好ましい。例えば、2個の置換基と中心原子とが全体として芳香族環構造を構成することが好ましい。より具体的な例としては、例えば、ヨードベンゼンは、2位、3位及び4位の炭化水素からなる置換基と、5位、6位の炭化水素からなる置換基が1位の炭素原子に結合しており、そして、4位の炭素と5位の炭素との間で、2個の置換基が連結された構造を有していると考えることができる。そして、その2個の置換基及び中心原子から全体として構成されるベンゼン環が、1つの共鳴構造を構成しており、その共鳴構造により、中心原子におけるラジカルが安定化される。
また、中心原子が炭素原子である触媒(c)としては、下記一般式(2d)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005504443
上記一般式(2d)において、Xはハロゲン原子を示し、R21、R22及びR23は二重結合又は三重結合を有する有機基、あるいはハロゲン原子である。R21、R22及びR23が二重結合又は三重結合を有する有機基である場合、その二重結合又は三重結合を構成する原子のうちの1つが上記式(2d)中の中心原子である炭素原子に結合しており、R21及びR22が互いに連結されてR21、R22及び中心原子により環構造を形成してもよく、R21及びR23が互いに連結されてR21、R23及び中心原子により環構造を形成してもよく、R22及びR23が互いに連結されてR22、R23及び中心原子により環構造を形成してもよく、R21、R22及びR23が互いに連結されてR21、R22及びR23により環構造を形成してもよく、R21及びR22と中心原子の炭素原子とにより脂肪族不飽和環構造を形成してもよく、R21、R22及びR23と中心原子の炭素原子とにより芳香族環構造を形成してもよい。R21、R22及びR23は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記R21、R22及びR23における、二重結合又は三重結合を有する有機基としては、アルケニル基(例えば、ビニル基)、アルキニル基、またはアリール基(例えば、フェニル基)及びヘテロアリール基等が挙げられる。また、アルケニル基又はアルキニル基の場合には、その末端に二重結合または三重結合が存在し、その末端炭素に中心原子の炭素原子が結合する。なお、このような構造が好ましいことは、後述する、中心原子が炭素原子である触媒前駆体でも同様である。
また、炭素を中心原子とする化合物(a)としては、具体的には、ハロゲン化炭素、ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化アリール等が挙げられる。
上記ハロゲン化炭素としては、四ヨウ化炭素(CI)等が挙げられる。
上記ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化アリールとしては、下記式(2e)で表される化合物が挙げられる。
CX (2e)
但し、上記式(2e)において、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rが複数ある場合には、そのRは、同一でも異なっていてもよい。Xはハロゲン原子を示す。また、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、nとmとの和(n+m)は4である。
上記式(2e)で表される、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールとしては、例えば、ヨウ化ジフェニルメタン(PhCI)等が挙げられる。
次に、上記触媒における中心原子が酸素原子である触媒(以下、「触媒(o)」ともいう。)を構成する化合物(a)の場合、酸素原子からなる中心原子と、この中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物であれば特に限定されない。
上記触媒(o)としては、中心原子(酸素原子)が、更に、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子と結合した化合物を用いることができる。また、中心原子(酸素原子)が、ハロゲン原子以外に、更に結合する原子としては、炭素原子が好ましい。
また、中心原子(酸素)が結合する原子は隣接する原子(例えば、炭素原子)との間に二重結合又は三重結合を有することが好ましい。即ち、中心原子の酸素原子が結合する原子は、アルケニル基(例えば、ビニル基)、アルキニル基、又はアリール基(例えば、フェニル基)のいずれかの基の不飽和結合を有する炭素原子であることが好ましい。また、アルケニル基又はアルキニル基の場合には、その末端に二重結合又は三重結合が存在することが好ましく、その末端の炭素原子に中心原子の酸素原子が結合することがより好ましい。尚、このような構造が好ましいことは、後述する、中心原子が酸素原子の場合の触媒前駆体でも同様である。
二重結合又は三重結合を有する炭素原子が、中心原子である酸素原子に結合していると、酸素原子が、酸素ラジカルになった場合に、共鳴安定化により、この酸素ラジカルが安定になり、リビングラジカル重合の触媒として、良好な触媒活性を示すと考えられる。
触媒(o)の中心原子である酸素原子は、更に、任意の有機基又は無機基と結合していてもよい。
上記有機基としては、アリール基(例えば、フェニル基等)、置換アリール基、アルケニル基(例えば、ビニル基等)、アルキニル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、エステル基(例えば、脂肪族カルボン酸エステル等)、アルキルカルボニル基(メチルカルボニル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基)等が挙げられる。これらのうち、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、及びアルキニル基が好ましい。
上記無機基としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びシアノ基等が挙げられる。
中心原子(酸素)に結合する、上記の有機基又は無機基の数は、好ましくは3以下であり、より好ましくは1である。また、上記の有機基又は無機基が複数存在する場合、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
中心原子が酸素原子である場合の触媒としては、下記一般式(3a)で表される化合物を用いることができる。
(OX (3a)
上記一般式(3a)式において、Rは有機基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数を示し、酸素原子(O)は、R及びXの両方に結合している。
上記一般式(3a)における有機基Rは、直鎖又は分岐を有する鎖状構造の有機基でも、環状構造の有機基であってもよく、鎖状構造及び環状構造の両方の構造を有する有機基でも構わない。
上記一般式(3a)における有機基Rとしては、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ、アリール基、及び置換アリール基が挙げられる。これらのうち、好ましくは、アリール基、アルケニル基、及びアルキニル基である。
また、Rが置換アリール基である場合、その置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及びシアノ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基及びシアノ基である。
上記一般式(3a)におけるnは正の整数であり、1であってもよく、2であってもよく、3以上の整数であってもよい。具体的には、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5であり、更に好ましくは1〜3であり、特に好ましくは1〜2である。
また、一般式(3a)において、Xはハロゲン原子である。mは1以上の整数であり、1であってもよく、2であってもよく、3以上の整数であってもよい。具体的には、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5であり、更に好ましくは1〜3であり、特に好ましくは1〜2である。
また、一般式(3a)において、通常、n及びmは、一般式(3a)に示される化学式の全体の原子価が釣り合うように選択される。
酸素原子を中心原子とする触媒(o)としては、上記定義に該当する任意の公知の化合物が使用可能であり、その好ましい具体例としては、ハロゲン化酸素(例えば、ヨウ化酸素)、アルコキシハライドあるいはカルボキシルハライド(ROX、例えば、ヨウ化安息香酸(PhCOOI))、フェノール系化合物中のフェノール性水酸基のH(水素原子)をハロゲンに置換した化合物(例えば、ヨウ化チモール)等が挙げられる。
尚、触媒(o)を構成する化合物(a)としては、好ましくは、ラジカル反応性二重結合を有さないものである。
次に、上記触媒における中心原子がゲルマニウム、スズ又はアンチモンから選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子である触媒(以下、「触媒(g)」ともいう。)を構成する化合物(a)の場合、上記の中心原子と、この中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物である。
上記触媒(g)においては、中心原子が、更に、任意の有機基又は無機基と結合していてもよい。
上記有機基としては、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、エステル基(例えば、脂肪族カルボン酸エステル等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基など)などが挙げられる。これのうち、アリール基又は置換アリール基を有する触媒は、ラジカルの活性がより高くなる傾向にあり、好ましい。
また、上記無機基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
上記有機基及び無機基の数は特に限定されないが、好ましくは、3以下であり、より好ましくは、1である。
尚、触媒(g)の場合には、配位子を配位結合させてなる錯体を重合反応に用いることも可能である。しかし、本発明の触媒は、通常、そのままで重合反応に用いることが可能であり、配位子を加えて錯体を形成する必要がない。従来技術における遷移金属錯体系の触媒においては、一般的に、反応溶液に遷移金属化合物が難溶性であり、適切な配位子を加えて錯体を形成させる必要があったが、本発明においてはそのような必要はない。配位子を用いなければ、材料コストの点でも有利であり、また、触媒の使用重量を減らすことが可能である点でも有利である。また、一般的に配位子に用いられるアミン化合物は、通常、高価であるか、あるいは煩雑な合成が必要である。さらに、アミンの性質を考慮すると、遷移金属のアミン錯体は、生成高分子に吸着されやすいと考えられ、そのため、一層その除去に手間がかかると考えられる。
中心原子が、ゲルマニウム原子、スズ原子又はアンチモン原子である場合の触媒(g)としては、下記一般式(4a)で表される化合物を用いることができる。
MX (4a)
ここで、上記一般式(4a)において、Rはアリール基又は置換アリール基を示し、Mはゲルマニウム原子、スズ原子又はアンチモン原子を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜3の整数であり、mは1〜4の整数である。
中心原子が、ゲルマニウム原子、スズ原子又はアンチモン原子である場合の触媒(g)は、その多くは公知化合物であり、市販品をそのまま用いることが可能である。また、これらの化合物を公知の方法により合成することが可能である。
上記触媒(g)が、ゲルマニウム原子を中心原子とし、そのゲルマニウム原子に有機基R(例えば、アリール基または置換アリール基)が結合した化合物であって、例えば、RGeIである場合、以下のように、有機基Rのヨウ化物RIにヨウ化ゲルマニウムを反応させる方法によって、RGeIを合成することができる。
−I+GeI→RGeI
ヨウ化物RIは、多くの場合、液体であるので、液体の場合は溶媒なしで反応を行うことが可能である。また、必要に応じて、溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンなど)を用いても良い。また、ヨウ化物RIが固体である場合には、溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエンなどを用いることができる。尚、特に触媒を使用しなくてもこの反応は進行する。このような反応の具体例については、例えば、文献Journal of Organometallic Chemistry 56,1−39(1973)などに記載されており、この文献に記載された方法を応用することにより、様々な有機基Rがゲルマニウム原子に結合した化合物を合成することができる。
また、スズ原子が中心原子であり、そのスズ原子に有機基R(例えば、アリール基または置換アリール基)が結合した化合物を用いる場合、例えば、(RSnにSnIを反応させる方法によって、(RSnI(n+m=4、且つn=1、2、または3)を合成することができる。このような反応の具体例については、例えば、文献Angewandte Chemie 75,225−235(1963)などに記載されており、この文献に記載された方法を応用することにより、様々な有機基Rがスズ原子に結合した化合物を合成することができる。
また、アンチモン原子が中心原子であり、そのアンチモン原子に有機基R(例えば、アリール基または置換アリール基)が結合した化合物を用いる場合、例えば、上記ゲルマニウム原子、又はスズ原子の場合と同様の方法によって、合成することができる。
上記触媒におけるアルキル基とは、鎖状又は環状の脂肪族炭化水素から水素原子が1つ失われている1価の基をいう。鎖状のアルキル基である場合、直鎖のアルキル基でも、分岐を有するアルキル基でも構わない。また、環状のアルキル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状のアルキル基が結合した構造でも構わない。このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10であり、より更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記触媒におけるアルキルカルボキシル基とは、上記アルキル基に含まれる水素原子が、カルボキシル基に置換された基をいう。即ち、このアルキルカルボキシル基は、上記アルキル基をR−と表した場合に、RCOO−で表される基をいう。このアルキルカルボキシル基を形成するアルキル基は、鎖状でも環状でも構わない。鎖状のアルキル基である場合、直鎖のアルキル基でも、分岐を有するアルキル基でも構わない。また、環状のアルキル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状のアルキル基が結合した構造でも構わない。このアルキルカルボキシル基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10であり、より更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
上記触媒におけるアルキルカルボニル基とは、上記アルキル基に含まれる水素原子が、カルボニル基に置換された基をいう。即ち、このアルキルカルボニル基は、上記アルキル基をR−と表した場合に、RCO−で表される基をいう。このアルキルカルボニル基を形成するアルキル基は、鎖状でも環状でも構わない。鎖状のアルキル基である場合、直鎖のアルキル基でも、分岐を有するアルキル基でも構わない。また、環状のアルキル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状のアルキル基が結合した構造でも構わない。このアルキルカルボニル基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10であり、より更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
上記触媒におけるハロアルキル基とは、上記アルキル基の水素原子がハロゲン原子で置換された基をいう。このハロアルキル基は、全ての水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよく、一部の水素原子のみが置換されていてもよい。また、このハロアルキル基は、鎖状でも環状でも構わない。鎖状のハロアルキル基である場合、直鎖のハロアルキル基でも、分岐を有するハロアルキル基でも構わない。また、環状のハロアルキル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状のアルキル基、又はハロアルキルが結合した構造でも構わない。また、ハロアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。このハロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10であり、より更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。具体的には、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
上記触媒におけるアルコキシ基とは、上記アルキル基に酸素原子が結合した基をいう。即ち、このアルコキシ基は、上記アルキル基をR−と表した場合に、RO−で表される基をいう。このアルコキシ基を形成するアルキル基は、鎖状でも環状でも構わない。鎖状のアルキル基である場合、直鎖のアルキル基でも、分岐を有するアルキル基でも構わない。また、環状のアルキル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状のアルキル基が結合した構造でも構わない。このアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは1〜10であり、より更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基等が挙げられる。
上記触媒におけるアリール基とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1つ失われている1価の基をいう。アリール基を構成する芳香族炭化水素の環の数は、好ましくは1〜3である。分子内芳香族炭化水素の環が複数存在する場合、それらの複数の環は縮合していてもよく、縮合していなくてもよい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
上記触媒における置換アリール基とは、上記アリールにおける芳香環に置換基が結合している基をいう。この芳香環に結合する置換基としては、例えば、アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基、及びアミノ基等が挙げられる。このアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。このうち、特に好ましいアルキル基はメチル基である。また、アルキルオキシ基を形成するアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。このうち、特に好ましいアルキルオキシを形成するアルキル基は、メチル基である。
また、置換アリール基における置換基の数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2であり、更に好ましくは1である。
また、置換アリールにおける置換基の位置は、任意に選択される。アリールがフェニルである場合(すなわち、置換アリール基が置換フェニル基である場合)、置換基の位置は中心原子に対してオルト、メタ、パラのいずれの位置であってもよい。好ましくは、パラの位置である。
上記触媒における置換ヘテロアリール基とは、ヘテロアリールにおける芳香環に置換基が結合している基をいう。この結合する置換基としては、例えば、アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基、及びアミノ基等が挙げられる。このアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
また、上記アルキルオキシ基におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
また、置換ヘテロアリール基における当該置換基の数は、特に限定されないが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2であり、さらに好ましくは1である。
上記置換ヘテロアリール基における当該置換基の位置は、任意に選択される。
上記触媒におけるアルケニル基とは、二重結合を有する鎖状又は環状の脂肪族炭化水素(アルケン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいう。鎖状のアルケニル基である場合、直鎖のアルケニル基でも、分岐を有するアルケニル基でも構わない。また、環状のアルケニル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状構造が結合した構造でもよい。この場合、二重結合は、環状構造部分に存在してもよく、鎖状構造部分に存在してもよい。
二重結合を1つ有する鎖状アルケンの場合は、一般に「C2k−1−」(ここで、kは2以上の整数である)で表される。二重結合の数は特に限定されず、1個でも、2個以上でもよい。このアルケニル基の構造としては、特に限定されないが、二重結合と単結合とが、交互に繰り返される構造が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
また、上記アルケニル基は、その炭素鎖中の末端の炭素に二重結合を有することが好ましく、より好ましくは、この二重結合を有する末端炭素が中心原子に結合する構造である。即ち、中心原子が酸素原子の場合、その酸素原子と結合する構造(「−O−C=C−」)である。
また、好ましいアルケニル基の構造としては、「−CR31=CR3233」が挙げられる。このR31、R32、R33は水素でも、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル基、アルキルカルボキシル基、ハロアルキル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基及び置換アリール基等)であってもよい。また、R31、R32、R33が全て水素の場合、この基はビニル基である。
上記触媒におけるアルキニル基とは、三重結合を有する鎖状又は環状の脂肪族炭化水素(アルキン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいう。鎖状のアルキニル基である場合、直鎖のアルキニル基でも、分岐を有するアルキニル基でも構わない。また、環状のアルキニル基である場合、環状構造のみから構成さてもよく、環状構造に更に鎖状構造が結合した構造でもよい。この場合、三重結合は、環状構造部分に存在してもよく、鎖状構造部分に存在してもよい。
三重結合を1つ有する鎖状アルキンの場合は、一般に「C2k−3−」(ここで、kは2以上の整数である)で表される。三重結合の数は特に限定されず、1個でも、2個以上でもよい。このアルキニル基の構造としては、特に限定されないが、三重結合と単結合とが、交互に繰り返される構造が好ましい。
アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
また、上記アルキニル基は、その炭素鎖中の末端の炭素に三重結合を有することが好ましく、より好ましくは、この三重結合を有する末端炭素が中心原子に結合する構造である。即ち、中心原子が酸素原子の場合、その酸素原子と結合する構造(「−O−C≡C−」)である。
また、好ましいアルキニル基の構造としては、「−C≡CR34」が挙げられる。このR34は水素でも、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル基、アルキルカルボキシル基、ハロアルキル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基及び置換アリール基等)であってもよい。
上述のように、上記第1工程における第1重合体の製造において用いる、上記触媒としては、上述の化合物(a)をそのまま使用することができる(即ち、触媒を、ビニル系単量体と共に重合容器に投入して、第1重合体を得ることができる)。また、上記化合物(a)を使用することなく、化合物(a)を形成する、1種又は2種以上の化合物(以下、「触媒前駆体」という。)を使用してもよい。
ここで触媒前駆体とは、この触媒前駆体が反応系に存在するときに、重合反応前又は重合反応中に、上記触媒を形成し得る材料である。即ち、触媒前駆体は、反応容器に投入する(第1重合体を重合する)前の状態では、上記触媒に該当しないが、反応容器中(重合中)において、化学変化(化学反応)により、上記触媒を形成し得るものである。この触媒前駆体を用いても第1重合体を効率よく形成することができる。
上記ビニル系単量体をリビングラジカル重合して、第1重合体を得る重合反応の際に、上記触媒から発生する活性化ラジカルと同様の活性化ラジカルを生成できる化合物は、触媒前駆体に該当する。例えば、リンの水素化物は前駆体に該当する。即ち、過酸化物等により、リンの水素化物の水素が引き抜かれれば、リン化合物の活性化ラジカルが発生し、リビングラジカル重合を行うことができる。また、窒素等の水素化も触媒前駆体に該当する。
触媒前駆体としては、中心原子を有する化合物からなる触媒前駆体と、ハロゲン原子を有する化合物からなる触媒前駆体又はハロゲン(ハロゲン単体)と、を組み合わせて使用することができる。これらの触媒前駆体から、触媒が形成される。
従って、第1重合体の製造において、触媒をそのまま使用してもよく、触媒を形成する触媒前駆体を使用してもよい。この場合、第1重合体を得る重合反応を行う工程の前に、この触媒前駆体を化学変化させることが好ましい。この触媒前駆体の化学変化は、第1重合体の重合反応を行う容器等内で行ってもよく、重合反応を行う容器等と別の容器等で行ってもよい。
リン原子を中心原子とする触媒の前駆体となる化合物としては、例えば、次に示される構造〔R PH(=O)〕を有する化合物等が挙げられる。具体的には、(CHCHPH(=O)、(CHCHCHPH(=O)、(CHCH)PhPH(=O)等が挙げられる。
また、亜リン酸ジエチル等も用いることができる。
また、ホスファイトは、ホスホン酸のモノエステルであってもよく、ジエステルであってもよい。
窒素原子を中心とする触媒の前駆体となる化合物としては、例えば、アミン化合物及びイミド化合物が挙げられる。具体的には、アミン化合物としては、ジフェニルアミン(PhNH)等が挙げられる。
イミド化合物としては、コハク酸イミド〔(CH(C=O)NH〕等が挙げられる。
次に、炭素原子を中心原子とする触媒(c)の前駆体となる化合物(以下。「化合物(c)」ともいう。)としては、上記触媒である化合物(a)中の中心原子である炭素原子に結合したハロゲン原子を水素原子に置換した化合物を用いることができる。ハロゲン原子を水素原子に置換すること以外は、上述した触媒(c)についての説明が、基本的には、そのまま触媒前駆体(化合物(c))にもあてはまる。
従って、例えば、化合物(c)としては、中心原子となる炭素原子に、1つまたは2つの水素原子と、2つまたは3つのラジカル安定化用置換基が結合している化合物が好ましく使用できる。ここで、ラジカル安定化用置換基としては、中心原子と一緒になって共鳴構造を形成する置換基が好ましい。中心原子の炭素原子には、水素原子および安定化ラジカル安定化用置換基以外の置換基が1つ結合していてもよいが、水素原子および安定化ラジカル安定化用置換基以外の置換基が中心原子の炭素原子に結合していないことが好ましい。
ただし、上記触媒(c)に関しては、芳香族環に直接ハロゲン原子が結合した化合物を用いることができるが、その化合物のハロゲン原子を水素原子に置換した化合物(即ち、ベンゼン等の芳香族環状炭化水素化合物)は、触媒としての活性が非常に低いため、触媒(c)の触媒前駆体としては好ましくない。
また、上記触媒(c)に関しては、メタンの4ハロゲン化物を用いることができるが、その化合物のハロゲン原子をすべて水素原子に置換した化合物(例えば、メタン)は、気体であるために、触媒(c)の触媒前駆体として使用し難く、活性も低いため好ましくない。
上記触媒(c)の中心原子である炭素原子に結合したハロゲン原子を水素原子に置換した化合物(c)としては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子にC−H基が結合した構造を有する化合物が挙げられる。
触媒(c)の触媒前駆体は、好ましくは、メチレンに2つの芳香族環が結合した構造を有する化合物等が挙げられる。
触媒前駆体(化合物(c))の中心原子となる炭素原子が結合した原子(以下、便宜上、「1位原子」という。)は、好ましくは、炭素原子、窒素原子又はリン原子であり、より好ましくは炭素原子である。1位原子には、当該ヒドロキシル基以外には、炭素原子、及び水素原子から選択される原子のみが結合していることが好ましい。1位原子に隣接する原子(以下、便宜上、「2位原子」という。)は好ましくは、炭素原子である。2位原子には、炭素原子、酸素原子及び水素原子から選択される原子のみが結合していることが好ましい。また、1位原子と2位原子との間に二重結合が存在することが好ましい。好ましくは、2つの2位原子が存在し、そのうちの1つの2位原子と1位原子との間に二重結合が存在する化合物を触媒前駆体として使用することができる。例えば、1位原子が炭素原子であり、2位原子として2つの炭素原子が存在し、そのうちの1つの炭素原子と1位原子の炭素原子との間に二重結合が存在する化合物を触媒前駆体として使用することができる。また、2つ以上の2位原子が存在することが好ましく、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位炭素原子と1位炭素原子との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。例えば、1位原子が炭素原子であり、2つの炭素原子が2位原子として存在し、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位原子と1位原子との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。
従って、触媒(c)の触媒前駆体としては、芳香族環に炭化水素基が結合した構造を有する炭化水素化合物が好ましく、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、置換アリール基、又は置換ヘテロアリール基に炭化水素基が結合した化合物が好ましい。例えば、メチレン基に2つの芳香族置換基が結合した化合物が好ましい。ここで、アリール基としては、フェニル基又はビフェニル基が好ましい。ここで、置換アリール基又は置換ヘテロアリール基中の置換基は、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基等が好ましい。このアルキル基、及びアルコキシル基としては、炭素数10以下のアルキル基、及びアルコキシル基がより好ましい。
炭素原子が中心原子となる触媒前駆体は、好ましくは、ラジカル反応性二重結合を有さない化合物である。即ち、触媒(c)の触媒前駆体としては、芳香族二重結合(例えば、ベンゼン環の二重結合)のように、ラジカルとの反応性が低い二重結合を有していても良い。また、脂肪族二重結合であっても、ラジカルとの反応性が低い二重結合は、触媒前駆体として使用することができる。
他方、炭化水素基から離れた位置にのみ二重結合または三重結合を有する化合物(即ち、1位炭素原子が二重結合または三重結合を有さず、2位炭素原子又はそれ以上に離れた炭素原子が二重結合または三重結合を有する化合物)は、触媒(c)の触媒前駆体としての性能が比較的高くない傾向にある。従って、炭化水素基から離れた位置にのみ二重結合又は三重結合を有する化合物以外の化合物を、触媒(c)の触媒前駆体として選択することが好ましい。
また、好ましくは、炭素原子が中心原子となる触媒前駆体としては、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子に結合した炭化水素基(即ち、Si−CH、N−CH、P−CH)を有する化合物を用いることもできる。
炭素原子が中心原子となる触媒前駆体として、好ましい化合物の構造を以下に例示する。
(2−1)脂肪族二重結合に隣接する炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。特に、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれた炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。例えば、2つの脂肪族二重結合の問に挟まれたメチレンを有する化合物が使用可能である。例えば、下記式(5)で示される構造を有する化合物(1,4−シクロヘキサジエン)が使用可能である。
Figure 0005504443
また、1,4−シクロヘキサジエンに類似した構造を有する化合物として、1,3−シクロヘキサジエンがあるが、1,3−シクロヘキサジエンにおいては、二重結合と二重結合との間に1つのメチレン基が挟まれる構造ではないために、メチレン基の炭素ラジカルの安定化効果が低く、触媒としては適切ではない。
(2−2)芳香族環に隣接する炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。特に、2つ以上の芳香族環の間に挟まれた炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。例えば、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物。例えば、下記式(6)〜(14)で示される構造を有する化合物が使用可能である。
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
Figure 0005504443
(2−3)エステル結合などの二重結合に隣接する炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。特に、2つの二重結合の間に挟まれた炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。例えば、2つの二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物が使用可能である。例えば、下記式(15)で示される構造を有する化合物が使用可能である。
Figure 0005504443
次に、酸素原子を中心原子とする触媒(o)の前駆体となる化合物(以下、「化合物(o)」ともいう。)としては、触媒(o)である化合物(a)中の中心原子である酸素原子に、結合したハロゲン原子を水素原子に置換した化合物を用いることができる。即ち、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子にヒドロキシル基が結合した構造を有する化合物を用いることができる。
上記化合物(o)としては、好ましくは、芳香族環に−OH(ヒドロキシル基)が結合した構造を有するフェノール系化合物、又は脂肪族基の炭素に−OH(ヒドロキシル基)が結合した構造を有する脂肪族アルコール系化合物である。
化合物(o)において、ヒドロキシル基が結合した原子(以下、便宜上「1位原子」という)は、好ましくは、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子であり、これらのうち、より好ましくは、炭素原子である。また、1位原子には、当該ヒドロキシル基以外には、炭素原子及び水素原子から選択される原子のみが結合していることが好ましい。1位原子に隣接する原子(以下、便宜上「2位原子」という)は、好ましくは、炭素原子である。2位原子には、炭素原子、酸素原子及び水素原子から選択される原子のみが結合していることが好ましい。また、1位原子と2位原子との間に二重結合が存在する構造を有することが、より好ましい。好ましくは、2個の2位原子が存在し、そのうちの1個の2位原子と1位原子との間に二重結合が存在する化合物を触媒(o)の触媒前駆体として用いることができる。
例えば、1位原子が炭素原子であり、2位原子として2個の炭素原子が存在し、そのうちの1つの炭素原子と1位原子の炭素原子との間に二重結合が存在する化合物を触媒(o)の触媒前駆体として使用することができる。
また、2個以上の2位原子が存在することが好ましく、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位炭素と1位炭素との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。
例えば、1位原子が炭素原子であり、2個の炭素原子が2位原子として存在し、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位原子と1位原子との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。
従って、触媒(o)の触媒前駆体としては、芳香族環にヒドロキシル基が結合した構造を有する化合物が好ましい。例えば、アリール基又は置換アリール基と、ヒドロキシル基とからなる化合物が挙げられる。好ましくはフェノール系化合物である。ここで、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基等が好ましい。また、置換アリール基の置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基などが好ましい。炭素数が10以下の、アルキル基及びアルコキシル基がより好ましい。
酸素が中心原子である触媒前駆体は、好ましくは、ラジカル反応性二重結合を有さない化合物である。即ち、この触媒(o)の触媒前駆体としては、芳香族二重結合(例えば、ベンゼン環の二重結合)のように、ラジカルとの反応性が低い二重結合を有していても良い。また、脂肪族二重結合であっても、ビタミンC中の二重結合のように、ラジカルとの反応性が低い二重結合は、触媒(o)の触媒前駆体として使用することができる。従って、ビタミンC等は、触媒(o)の触媒前駆体として使用ことができる。一般に、ヒドロキシル基を有する炭素原子による二重結合は、ラジカルとの反応性は無い。例えば、ビニルアルコール(CH=CH−OH)は、ラジカル重合性モノマーではない。ヒドロキシル基を有する炭素原子による三重結合も同様に、ラジカル反応性はなく、そのような化合物は、ラジカル重合性モノマーではなく、酸素が中心原子である触媒前駆体として使用することができる。
他方、ヒドロキシル基から離れた位置にのみ二重結合、又は三重結合を有する化合物(即ち、1位原子の炭素原子が二重結合または三重結合を有さず、2位原子の炭素原子またはそれ以上に離れた炭素原子が二重結合または三重結合を有する化合物)は、触媒前駆体としての性能が比較的高くない傾向にある。従って、ヒドロキシル基から離れた位置にのみ二重結合または三重結合を有する化合物以外の化合物を触媒(o)の触媒前駆体として選択することが好ましい。
また、酸素が中心原子である触媒(o)の触媒前駆体としては、ビタミンE等の酸化防止剤としての性能を有するヒドロキシル基含有化合物を用いることが好ましい。ただし、酸化防止剤に関しては、一般に、ヒドロキシル基の近くに大きい置換基が存在することが重要であると考えられているが、本発明における触媒前駆体については、そのような限定はなく、ヒドロキシル基の近くに大きい置換基が存在する必要はない。例えば、フェノールのように、水酸基以外に置換基を有さない化合物であっても本発明においては触媒前駆体として好適に用いることができる。
また、酸素が中心原子となる触媒前駆体としては、ケイ素、窒素、又はリンに結合したヒドロキシル基(即ち、Si−OH、N−OH、P−OH)を有する化合物を用いることもできる。
触媒前駆体となるハロゲン化合物としては、ハロゲン原子を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、有機ハロゲン化合物、無機ハロゲン化合物等が挙げられる。このうち、有機ハロゲン化合物が好ましい。この有機ハロゲン化合物としては、後述の有機ハロゲン化合物からなる開始剤等が挙げられる。即ち、有機ハロゲン化合物からなる開始剤を触媒前駆体(ハロゲン化合物)としても使用することができる。この場合、中心原子を有する触媒前駆体と、有機ハロゲン化合物からなる開始剤と、を使用することにより、第1重合体が得られる。
また、第1重合工程において、触媒前駆体を使用する場合、ラジカル発生剤を使用することができる。ラジカル発生剤を使用することにより、触媒前駆体から効率的に触媒が得られる。
上記ラジカル発生剤としては、特に限定されない。このラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物系のラジカル発生剤及びアゾ系のラジカル発生剤等が挙げられる。
上記過酸化物系のラジカル発生剤としては、有機過酸化物が好ましい。具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
アゾ系のラジカル発生剤としては、具体的には、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレート)等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、触媒前駆体、ハロゲン化合物及びラジカル発生剤を使用して触媒を形成させる対応としては、以下に例示される。
触媒前駆体として亜リン酸ジエチル(中心原子を有する触媒前駆体)、及びジヨードキシレン(ハロゲン化合物)を使用し、ラジカル発生剤として過酸化ベンゾイルを使用した場合、以下のように触媒が形成される。
過酸化ベンゾイルから、ラジカルが生じ、この過酸化ベンゾイル由来のラジカルは、亜リン酸ジエチルの水素を引き抜き、過酸化ベンゾイル由来のラジカルはカルボン酸になる。また、水素を引き抜かれた亜リン酸ジエチルはリンラジカルとなり、このリンラジカルはジヨードキシレンのヨウ素、あるいは重合中は、重合体末端のヨウ素を引き抜く。従って、触媒としてのヨウ素リン酸ジエチルが形成される。
また、上記ラジカル発生剤は、第1重合体の合成に使用された場合、通常のラジカル開始剤と同様に、重合を進行させる役割も有する。
上記第1工程において用いられる開始剤は、有機ハロゲン化合物であり、炭素原子及びハロゲン原子の結合(以下、「炭素−ハロゲン結合」ともいう。)を、少なくとも1つ有する化合物である。
上記有機ハロゲン化合物を開始剤として用いると、上記触媒の作用により、有機ハロゲン化合物に由来するハロゲン原子(以下、「ハロゲン原子(b)」という。)が、ビニル系単量体が重合して形成される第1重合体の成長鎖の末端に位置することとなる。そして、上記第1工程において、成長鎖の末端におけるハロゲン原子(b)が、触媒のハロゲン原子(a)と交換されながら、ハロゲン原子(a)又は(b)が重合過程の重合体末端を移動し、リビングラジカル重合での反応途中の成長鎖を保護する保護基となる。
有機ハロゲン化合物での有機基において、ハロゲン原子が結合している炭素(以下、「炭素(X)」という。)に結合している水素原子の数は、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0(水素原子を有しない。)が更に好ましい。
また、上記炭素(X)に結合しているハロゲン原子の数は、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が更に好ましい。
また、上記炭素(X)は、炭素原子が結合していることが好ましい。炭素(X)に結合している炭素原子の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3が更に好ましい。
上記ハロゲン原子(b)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲン原子のうち、塩素、臭素及びヨウ素が好ましく、ヨウ素が更に好ましい。
また、有機ハロゲン化合物のハロゲン原子(b)は、触媒のハロゲン原子(a)と同一であっても良く、異なってもよい。ハロゲン原子(b)と、ハロゲン原子(a)とが異種のハロゲン原子であっても、有機ハロゲン化合物と触媒との間で、ハロゲン原子を交換することが可能である。但し、ハロゲン原子(b)と、ハロゲン原子(a)とが同一であれば、有機ハロゲン化合物と触媒との間でのハロゲン原子の交換が良好に行われることから好ましい。これらの有機ハロゲン化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記開始剤が有する炭素−ハロゲン結合は、ビニル系単量体の重合での官能基として作用する。即ち、炭素−ハロゲン結合を2つ以上有する開始剤は多官能の開始剤となり、そのうち炭素−ハロゲン結合を2つ有する開始剤は2官能の開始剤となる。また、炭素−ハロゲン結合を1つ有する開始剤は単官能の開始剤となる。
また、第1重合体の製造において、使用した開始剤が、単官能の開始剤である場合、得られる第1重合体は、片末端のみにハロゲン原子を有する。この場合、ハロゲン原子を備えてないもう一方の末端は、開始剤からハロゲン原子を除いた残部の構造を有する。
また、2官能の開始剤を使用した場合、得られる第1重合体は、両末端にハロゲン原子を有する。
上記2官能の開始剤は、炭素−ハロゲン結合を2つ有する有機ハロゲン化合物である。好ましくは、炭素−ハロゲン結合を有する炭素原子が、異なる炭素原子により構成されている化合物である。例えば、下記一般式(16)〜(25)で表される化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005504443
上記一般式(16)において、R51及びR52は、炭素数1〜5の二価のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3の直鎖の二価のアルキレン基であり、より好ましくは、メチレン基(−CH−)であり、R51及びR52は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(16)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(17)において、R53及びR54は、炭素数1〜5の二価のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3の直鎖の二価のアルキレン基であり、より好ましくは、メチレン基(−CH−)であり、R53及びR54は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(17)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(18)において、R56及びR57は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R56及びR57は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(18)において、R55は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(18)において、R58及びR59は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル基の場合は、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。R58及びR59は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(18)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(19)において、R61及びR62は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R61及びR62は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(19)において、R60は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(19)において、R63及びR64は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル基の場合は、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。R63及びR64は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(19)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(20)において、R65、R66、R67、及びR68は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R65、R66、R67、及びR68は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(20)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(21)において、R70、R71、R72、及びR73は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R70、R71、R72、及びR73は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(21)において、R69は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(21)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(22)において、R76、R77、R78、及びR79は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R76、R77、R78、及びR79は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(22)において、R75は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(22)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(23)において、R80、R81、R82、及びR83は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R80、R81、R82、及びR83は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(23)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(24)において、R84、R85、R86、及びR87は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R84、R85、R86、及びR87は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(24)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 0005504443
上記一般式(25)において、R89、R90、R91、及びR92は、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、このアルキル基は分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。また、このアルキル基は好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R89、R90、R91、及びR92は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(25)において、R88は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(25)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
上記2官能の開始剤としては、具体的には、ジヨードキシレン、ジブロモキシレン、ジクロロキシレン、ジエチル−2,5−ジヨードアジペート、ジエチル−2,5−ジブロモアジペート、ジエチル−2,5−ジクロロアジペート等が挙げられる。
また、上記単官能の開始剤は、炭素−ハロゲン結合を1つ有する有機ハロゲン化合物ある。例えば、下記一般式(26)で表されるCH(CH)(Ph)I、下記一般式(27)で表されるC(CH(CN)I、及び下記式(30c)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005504443
〔但し、上記一般式(26)において、R91は、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R92は、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を示す。〕
Figure 0005504443
〔但し、上記一般式(27)において、R93は、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R94は、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R95は、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、Xは、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子を示す。〕
また、有機ハロゲン化合物からなる開始剤としては、具体的には、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ブロモメチル、ジブロモメタン、ブロモホルム、ブロモエタン、ジブロモエタン、トリブロモエタン、テトラブロモエタン、ブロモトリクロロメタン、ジクロロジブロモメタン、クロロトリブロモメタン、ヨードトリクロロメタン、ジクロロジヨードメタン、ヨードトリブロモメタン、ジブロモジヨードメタン、ブロモトリヨードメタン、ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨウ化メチル、塩化イソプロピル、塩化t−ブチル、臭化イソプロピル、臭化t−ブチル、トリヨードエタン、ヨウ化エチル、ジヨードプロパン、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化t−ブチル、ブロモジクロロエタン、クロロジブロモエタン、ブロモクロロエタン、ヨードジクロロエタン、クロロジヨードエタン、ジヨードプロパン、クロロヨードプロパン、ヨードジブロモエタン、ブロモヨードプロパン、2−ヨード−2−ポリエチレングリコシルプロパン、2−ヨード−2−アミジノプロパン、2−ヨード−2−シアノブタン、2−ヨード−2一シアノ−4-メチルペンタン、2一ヨード−2−シアノ4−メチル−4−メトキシペンタン、4−ヨード−4−シアノ−ペンタン酸、メチル−2−ヨードイソブチレート、2−ヨード−2−メチルプロパンアミド、2−ヨード−2,4−ジメチルペンタン、2−ヨード−2−シアノブタノール、4−メチルペンタン、シアノ−4−メチルペンタン、2−ヨード−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4−メチルペンタン、2−ヨード−2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4−メチルペンタン、2−ヨード−2−(2−イミダソリン−2−イル)プロパン、2−ヨード−2−(2−(5−メチル−2−イミダソリン−2−イル)プロパン等が挙げられる。これらのハロゲン化物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
第1重合体の製造において、上記開始剤としては、上記の有機ハロゲン化合物をそのまま使用することができる。また、上記開始剤を使用することなく、上記の有機ハロゲン化合物を形成する、1種又は2種以上の化合物(以下、「開始剤前駆体」という。)を使用してもよい。ここで、開始剤前駆体とは、この開始剤前駆体が反応系に存在するときに、反応前又は反応中に、上記開始剤を形成し得る材料である。即ち、開始剤前駆体は、反応容器に投入する(第1重合体を重合する)前の状態では、上記開始剤に該当しないが、反応容器中(重合中)において、化学変化(化学反応)により、上記開始剤を形成し得るものである。この開始剤前駆体を用いても第1重合体を効率よく形成することができる。
上記開始剤前駆体としては、有機ハロゲン化合物を形成するものであれば、特に限定されない。例えば、アゾ系化合物等の有機化合物からなる開始剤前駆体(以下、「開始剤前駆体(a)」という)と、ハロゲン単体からなる開始剤前駆体(以下、「開始剤前駆体(b)」という)とを併用することができる。具体的には、下記式(30)に示されるように、開始剤前駆体(a)としてアゾ系化合物の4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸(30a)、及び開始剤前駆体(b)としてヨウ素(30b)による開始剤前駆体から、開始剤(30c)が形成される。この開始剤(30c)は、上記一般式(27)に含まれる単官能の開始剤である。
Figure 0005504443
上記開始剤前駆体(a)としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記アゾ系化合物としては、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}等が挙げられる。
また、上記有機過酸化物としては、Disuccinic acid peroxide(例えば、(商品名)「パーロイルSA」、日本油脂製)等が挙げられる。
上記開始剤前駆体(b)としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の単体が挙げられる。これらのハロゲン単体のうち、塩素、臭素及びヨウ素が好ましく、ヨウ素が更に好ましい。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記第1重合体を形成する、上記ビニル系単量体は、ラジカル重合性を有するビニル系不飽和化合物であり、このビニル系不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物である(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物、マレイミド系化合物、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、アルケン化合物、不飽和酸無水物、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル系化合物は、不飽和カルボン酸化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物、アミド基含有不飽和化合物、アルコキシル基含有不飽和化合物、シアノ基含有不飽和化合物、ニトリル基含有不飽和化合物等が挙げられるが、本発明では、ビニル系単量体として、少なくともメタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物が用いられる。以下に化合物を例示するが、(メタ)アクリロイル基を有さない不飽和化合物も含む。
上記不飽和カルボン酸化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、α−クロルアクリル酸、桂皮酸、α−クロロアクリル酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルや、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール、o−イソプロペニルフェノール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミノ基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミド基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルコキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シアノ基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ニトリル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩、α−メチルスチレンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)等が挙げられる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニルエステル化合物としては、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルケン化合物としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステルが挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル等としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、その他のビニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体の好ましい使用例は、下記に示される。
上記ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル系化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましく、メタクリル酸エステル化合物が更に好ましい。
(メタ)アクリル系化合物の使用割合としては、第1重合体を形成する上記ビニル系単量体全量を100質量%としたときに、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、第1重合体を形成するビニル系単量体に使用する(メタ)アクリル系化合物の全量を100質量%としたときに、(メタ)アクリル酸エステル化合物の使用割合は、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
更に、第1重合体を形成する上記ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル化合物(メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物)を含、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物の使用量の割合は、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%であり、70〜100質量%及び0〜30質量%が好ましく、90〜100質量%及び0〜10質量%が更に好ましい。上記化合物の使用割合が上記範囲の場合には、強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
第1工程においては、触媒又は触媒前駆体と、開始剤又は開始剤前駆体と、の存在下で、ビニル系単量体からリビングラジカル重合により、触媒(又は触媒前駆体)、又は開始剤(又は開始剤前駆体)由来のハロゲン原子を末端に有する(末端ハロゲンを有する)第1重合体が得られる。また、第1工程では、必要に応じて、更にラジカル発生剤を使用することができる。
また、第1工程において、使用した開始剤及び開始剤前駆体が、2官能の開始剤又は2官能の開始剤を形成する開始剤前駆体である場合、得られる第1重合体は、両末端にハロゲン原子を有する。一方、使用した開始剤及び開始剤前駆体が、単官能の開始剤又は単官能の開始剤を形成する開始剤前駆体である場合、得られる第1重合体は、片末端のみにハロゲン原子を有する。
上記触媒の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.001〜2モルあり、より好ましくは0.005〜1モルあり、更に好ましくは0.01〜0.5モルである。触媒の使用量が、上記範囲内にあると、分散度が小さい第1重合体が効率的に得られる。
また、触媒として、触媒前駆体を使用する場合の使用量は、以下のとおりである。中心原子を有する触媒前駆体の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、更に好ましくは0.02〜0.5モルである。また、ハロゲンを有する触媒前駆体又はハロゲン単体の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜5モル、更に好ましくは0.1〜3モルである。触媒前駆体の使用量が、上記範囲内にあると、分散度が小さい第1重合体が効率的に得られる。
上記開始剤の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜5モル、更に好ましくは0.1〜3モルである。開始剤の使用量が、上記範囲内にあると、分散度が小さい第1重合体が効率的に得られる。
また、開始剤として、開始剤前駆体を使用する場合の使用量は、以下のとおりである。有機化合物からなる開始剤前駆体(a)の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜5モル、更に好ましくは0.1〜3モルである。また、ハロゲン単体からなる開始剤前駆体(b)の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜5モル、更に好ましくは0.1〜3モルである。開始剤前駆体の使用量が、上記範囲内にあると、分散度が小さい第1重合体が効率的に得られる。
更に、ラジカル発生剤を使用する場合、ラジカル発生剤の使用量は、ビニル系単量体全量100モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜5モル、更に好ましくは0.1〜3モルである。ラジカル発生剤の使用量が、上記範囲内にあると、分散度が小さい第1重合体が効率的に得られる。
第1工程におけるリビングラジカル重合は、バッチプロセス、セミバッチプロセス、管式連続重合プロセス、及び連続攪拌槽型プロセス(CSTR)等のどのようなプロセスでも重合を行うことができる。これらの重合プロセスの中では、バッチプロセス、セミバッチブロセス及び管式連続重合プロセスが好ましく、バッチプロセスがより好ましい。また、重合形式は溶媒を用いないバルク重合でも、重合溶媒を用いる溶液重合でも構わない。
リビングラジカル重合が、重合溶媒を用いる溶液重合による場合、この重合溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、重合溶媒の使用量は、ビニル系単量体全量100質量部に対し、好ましくは0〜200質量部であり、より好ましくは0〜100質量部であり、更に好ましくは0〜50質量部である。重合溶媒が200質量部を超えると、重合溶剤に起因する連鎖移動反応が発生し、分子量制御、分子量分布(分散度)制御、及び末端のリビング性等の重合制御が困難になる場合がある。
第1工程における重合温度は、好ましくは30℃〜130℃であり、より好ましくは40℃〜110℃であり、更に好ましくは50℃〜110℃である。重合温度が30℃未満であると、重合速度が著しく遅くなる場合がある。一方、重合温度が110℃より高いと加熱のための設備等にコストがかかる場合がある。
上記第1重合体の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で、3000〜50000が好ましく、6000〜25000がより好ましく、8000〜15000が更に好ましい。数平均分子量が、上記範囲であれば、最終的に得られるビニル系重合体を用いたときに、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物とすることができる。
上記第1重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2.0未満(通常1.05以上)であり、好ましくは1.3〜1.8であり、より好ましくは1.6未満である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、上記範囲であれば、最終的に得られるビニル系重合体を用いたときに、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物とすることができる。
上記第1重合体は、分子末端に上記触媒又は上記開始剤由来のハロゲン原子を備える。上記ハロゲン原子を備える分子末端は、第1重合体の少なくとも一方であればよく、上記ハロゲン原子を第1重合体の両末端に備えることがより好ましい。
次に、第2工程について、説明する。この第2工程は、第1重合体の分子末端にあるハロゲン原子(末端ハロゲン)を後述の末端変性によって、末端ハロゲンを変性させ、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体とする工程である。
第2工程における第1重合体の末端変性方法としては、一般的な化学反応を用いることができる。また、上記ビニル系重合体の末端に官能基を導入する際に用いられる化合物(分子末端変性剤)も特に限定されず、一般的な化合物を用いることができる。
この第2工程においては、例えば、以下の態様(方法)が挙げられる。これらの方法によれば、第1重合体を劣化させずに、効率よく末端変性させることができる。
(1)下記一般式(41)で表される化合物を用いた、(メタ)アクリロイル基の導入。
Figure 0005504443
〔但し、一般式(41)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Mはアルカリ金属イオン、又は4級アンモニウムイオンである。〕
(2)末端ハロゲンの置換の直接置換による、水酸化ナトリウム等の水酸化化合物を用いた、ヒドロキシル基等の導入。
(3)ハロゲン−アミノ置換反応による、アミノエタノール、グリシン、(アミノイソシアネート)、エチレンジアミン及びカダベリン等のアミン化合物を用いた、ヒドロキシル基、カルボン酸基、イソシアネート基及びアミノ基等の導入。
(4)ハロゲン−メルカプト置換反応による、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、メルカプトイソシアネート及びメルカプトアミン等のメルカプト化合物を用いた、ヒドロキシル基、カルボン酸基、イソシアネート基及びアミノ基等の導入。
(5)末端ハロゲンをクロロスルホン酸で置換後、加水分解を行う等による、カルボキシル基等の導入。
(6)ハロゲン−カルボン酸塩置換反応による、コハク酸モノナトリウム塩等を用いた、カルボキシル基等の導入。
上記(1)の方法について説明する。上記一般式(41)で表される化合物において、Mはオキシアニオンの対カチオンである。Mとしては、アルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及び4級アンモニウムイオンが挙げられる。また、4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、及びジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、これらのうち、好ましくはナトリウムイオン、及びカリウムイオンである。このうち、好ましい化合物としては、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記(1)の方法において、第1重合体と上記一般式(41)で表される化合物とを反応させる。そして、第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、上記一般式(41)で表される化合物との置換反応により、第1重合体における末端ハロゲン原子の脱離部に、上記一般式(41)で表される化合物由来の(メタ)アクリロイル基が配されたビニル系重合体が得られる。
上記一般式(41)で表される化合物の使用量は、末端ハロゲン原子に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応は溶媒中で行ってもよく、その場合、使用する溶媒は、特に限定はされないが、この反応は、求核置換反応であるため、極性溶媒を使用することが好ましい。この極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及びアセトニトリル等が挙げられる。
また、この反応における、反応温度は、通常、0〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
上記(2)の方法では、第1重合体と水酸化物とを反応させる。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、水酸化物との置換反応により、水酸化物由来のヒドロキシル基が、第1重合体での末端ハロゲン原子の脱離部に配されたビニル系重合体が得られる。
上記水酸化物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
また、反応は溶媒中で行ってもよく、その場合、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等挙げられる。
また、この反応における、反応温度は、通常、0℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
上記(3)の方法では、第1重合体とアミン化合物とを反応させる。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、アミン化合物とのハロゲン−アミノ置換反応により、アミン化合物由来の官能基が、第1重合体での末端ハロゲン原子の脱離部に配されたビニル系重合体が得られる。
上記アミン化合物としては、例えば、アミノエタノール、グリシン、(アミノイソシアネート)、エチレンジアミン及びカダベリン等が挙げられる。
また、反応は溶媒中で行ってもよく、その場合、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等挙げられる。
また、この反応における、反応温度は、通常、0℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
上記(4)の方法では、第1重合体とメルカプト化合物とを反応させる。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、メルカプト化合物とのハロゲン−メルカプト置換反応により、メルカプト化合物由来の官能基を、第1重合体での末端ハロゲン原子の脱離部に配されたビニル系重合体が得られる。
上記メルカプト化合物としては、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、メルカプトイソシアネート及びメルカプトアミン等が挙げられる。
また、反応は溶媒中で行ってもよく、その場合、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
上記(5)の方法では、第1重合体とクロロスルホン酸とを反応させ、更に加水分解を行う。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、クロロスルホン酸との置換反応後、加水分解により、カルボキシル基を、第1重合体での末端ハロゲン原子の脱離部に配されたビニル系重合体が得られる
クロロスルホン酸との置換反応としては、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
加水分解反応は、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
上記(6)の方法では、第1重合体とカルボン酸化合物とを反応させる。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、カルボン酸化合物とのハロゲン−カルボン酸塩置換反応により、カルボン酸化合物由来のカルボキシル基を、第1重合体での末端ハロゲン原子の脱離部に配されたビニル系重合体が得られる。
上記カルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸モノナトリウム塩が挙げられる。
また、反応は溶媒中で行ってもよく、その場合、使用する溶媒は、特に限定はされない。溶媒としては、極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及びアセトニトリル等が挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
尚、上記のように上記(2)〜(6)の方法により、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基及びアミノ基から選ばれる官能基を、末端に有するビニル系重合体が得られる。これらの官能基を有するビニル系重合体を用いて、末端に(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体を得ることができる。即ち、末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基及びアミノ基等の官能基を有するビニル系重合体と、該官能基と、反応可能な官能基を有するビニル系不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(a)」ともいう。)と、を反応させることにより、(メタ)アクリロイル基を末端に備えるビニル系重合体とすることができる。これらの官能基と反応可能な官能基を有する不飽和化合物(a)は、特に限定されないが、具体的には、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、又はイソシアネート基を有するビニル系不飽和化合物が挙げられる。
上記のカルボキシル基を有する不飽和化合物(a)としては、例えば、下記一般式(42)で示される化合物が挙げられる。この化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005504443
〔但し、一般式(42)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはあってもなくてもよく、Rを有する場合は、−C(O)−O−、−OC(O)−、−NH−、又は−C−であり、Rは、−R−O−(Rは炭素数2〜4のアルキレン基)、−R10−C(O)−O−(R10は炭素数1〜8のアルキレン基)、−R11−O−C(O)−R12−(R11は炭素数1〜8のアルキレン基、R12は炭素数1〜8のアルキレン基)、−C−、又は−CH=CH−であり、nは0〜4である。〕
上記一般式(42)に示されるカルボキシル基を有する不飽和化合物(a)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、及び4−カルボキシルスチレン等が挙げられる。
上記のグリシジル基を有する不飽和化合物(a)としては、例えば、下記一般式(43)で示される化合物が挙げられる。この化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005504443
〔但し、一般式(43)において、R13は水素原子又はメチル基であり、R14はあってもなくてもよく、R14を有する場合は、−C(O)−O−、−OC(O)−、−NH−、又は−C−であり、R15は−R16−O−(R16は炭素数2〜4のアルキレン基)、−R17−C(O)−O−(R17は炭素数1〜8のアルキレン基)、−R18−O−C(O)−R19−(R18は炭素数1〜8のアルキレン基、R19は炭素数1〜8のアルキレン基)、−C−、又は−CH=CH−であり、nは0〜4である。〕
上記一般式(43)に示されるグリシジル基を有する不飽和化合物(a)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。
上記のヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a)としては、例えば、下記一般式(44)で示される化合物が挙げられる。この化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005504443
〔但し、一般式(44)において、R20は水素原子又はメチル基であり、R21はあってもなくてもよく、R21を有する場合は、−C(O)−O−、−OC(O)−、−NH−、又は−C−であり、R22は−R23−O−(R23は炭素数2〜4のアルキレン基)、−R24−C(O)−O−(R24は炭素数1〜8のアルキレン基)、−R25−O−C(O)−R26−(R25は炭素数1〜8のアルキレン基、R26は炭素数1〜8のアルキレン基)、−C−又は−CH=CH−であり、nは0〜4である。〕
上記一般式(44)に示されるヒドロキシル基を有する不飽和化合物(a)としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ、ジ又はモノ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジ又はモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のイソシアネート基を有する不飽和化合物(a)としては、下記一般式(45)で示される化合物が挙げられる。この化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005504443
〔但し、一般式(45)において、R27は水素原子又はメチル基であり、R28はあってもなくてもよく、R28を有する場合は、−C(O)−O−、−OC(O)−、−NH−、又は−C−であり、R29は−R30−O−(R30は炭素数2〜4のアルキレン基)、−R31−C(O)−O−(R31は炭素数1〜8のアルキレン基)、−R32−O−C(O)−R33−(R32は炭素数1〜8のアルキレン基、R33は炭素数1〜8のアルキレン基)、−C−、又は−CH=CH−であり、nは0〜4である。〕
上記一般式(45)に示されるイソシアネート基を有する不飽和化合物(a)としては、具体的には、2−エチルイソシアネート(メタ)アクリレート、イソシアネート(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基及びアミノ基から選ばれる官能基を末端に有するビニル系重合体と、上記不飽和化合物(a)とを反応させて、(メタ)アクリロイル基を末端に有するビニル系重合体とする場合の、上記不飽和化合物(a)の使用量は、上記官能基を末端に有するビニル系重合体1モルに対して、通常、0.8〜4モルである。また、上記官能基末端1当量に対して、通常、1〜2当量である。不飽和化合物(a)が0.8モルより少ない場合は、末端に(メタ)アクリロイル基が導入されていないビニル系重合体が存在し、硬化不良の原因となる場合がある。また、4モルより多い場合は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が多く残ってしまい、保存安定性が悪くなる場合がある。
ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基及びアミノ基から選ばれる官能基を有するビニル系重合体における該官能基の種類と、上記不飽和化合物(a)の種類との、適合性は特に限定されない。例えば、以下の組み合わせとすることができ、これらの組み合わせであれば、反応が円滑に行われる。
(1)上記ビニル系重合体が有する官能基がヒドロキシル基の場合、使用する不飽和化合物(a)は、イソシアネート基を有する不飽和化合物が好ましい。
(2)上記ビニル系重合体が有する官能基がカルボキシル基の場合、グリシジル基、カルボキシル基、又はアミノ基を有する不飽和化合物が好ましい。
(3)上記ビニル系重合体が有する官能基がイソシアネート基の場合、ヒドロキシル基を有する不飽和化合物が好ましい。
(4)上記ビニル系重合体が有する官能基がアミノ基の場合、グリシジル基、カルボキシル基、又はイソシアネート基を有する不飽和化合物が好ましい。
また、上記第1工程において、使用した開始剤及び開始剤前駆体が、単官能の開始剤又は単官能の開始剤を形成する開始剤前駆体である場合、得られる第1重合体は、片末端のみにハロゲン原子を有する。この場合、ハロゲン原子を備えてないもう一方の末端は、開始剤由来の構造を有する。
この場合、第1重合体の末端が開始剤由来の、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基又はアミノ基である場合、上記と同様に、開始剤由来の構造を有する末端を、(メタ)アクリロイル基を有する末端に変性することができる。
本発明に係る、上記官能基を有するビニル系重合体の製造方法としては、上記第1工程及び第2工程に加え、更に、第2工程の後、残揮発分を取り除く脱溶工程(第3工程)を備えることができる。
この脱溶工程としては、特に限定されないが、一般的に行われている脱溶方法(脱溶プロセス)を用いることができる。例えば、流下式蒸発機、薄膜蒸発機及び押出機式乾燥機等を使用する方法が挙げられる。
脱溶の温度条件は、好ましくは250℃以下(通常、10℃以上)であり、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは100℃以下である。250℃以下であれば、ビニル系重合体が末端に有する上記官能基が、ビニル系重合体から解離せず、且つビニル系重合体の分解が生じ難い。一方、250℃を超える場合には、ビニル系重合体が末端に有する上記官能基が解離する場合があり、また、ビニル系重合体が一部分解し低分子量物が生成される場合がある。また、着色も発生する場合がある。
ビニル系単量体として、(メタ)アクリル系化合物を用いた場合、本発明により得られるビニル系重合体は、この(メタ)アクリル系化合物に由来する単位を主鎖に含む重合体((メタ)アクリル系重合体)である。本発明では、この(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
本発明におけるビニル系重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)で、3000〜50000が好ましく、より好ましいのは6000〜25000であり、8000〜15000が更に好ましい。Mnが3000より低いと硬化物の架橋密度が高くなりすぎ、硬化物の伸びが著しく小さくなる場合がある。また、Mnが50000より高いと粘度が非常に高くなり、作業性が著しく悪くなる場合がある。
また、ビニル系重合体の分散度は、2.0未満(通常1.05以上)であり、好ましくは1.3〜1.8であり、より好ましくは1.6未満である。分散度が、上記範囲であれば、強度及び弾性に優れる硬化物を得ることができる。
本発明におけるビニル系重合体は、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有する。このビニル系重合体は、分子末端の少なくとも一方に上記官能基を有し、好ましくは両末端に
上記官能基を有する。
また、第1重合体の形成において、(メタ)アクリル酸エステル化合物等の官能基を有しないビニル系単量体を使用した場合、得られた第1重合体は、官能基を有しない重合体である。この場合、末端変性後のビニル系重合体が有する官能基の平均数(個数f)は、好ましくは1〜2であり、より好ましくは1.4以上であり、更に好ましくは1.5以上であり、特に好ましくは1.8以上である。
また、第1重合体の形成において、上述の官能基を有するビニル系単量体(ヒドロキシル基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物等)を使用した場合、得られた第1重合体は、分子鎖中にビニル系単量体由来の官能基を有する重合体である。更に、この第1重合体が、末端変性された場合、分子末端にも官能基を有する重合体となる。この場合、分子鎖中の官能基と分子末端の官能基の種類が同じである場合、末端変性後のビニル系重合体が有する官能基の平均数は、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.4〜4.0であり、更に好ましくは1.8〜3.5である。尚、官能基の平均数(個数f)は、以下のように計算される。
平均数(個数f)=上記ビニル系重合体中の上記官能基の濃度[mol/kg]/(1000/数平均分子量)
平均数(個数f)が、1.0個より小さいと、硬化物は架橋密度が小さいくなり、破断強度が弱くなる場合がある。一方、10.0個より大きいと、架橋密度が高くなり、脆くて伸びない硬化物となる場合がある。
本発明の製造方法により得られる硬化性組成物は、上記官能基を分子末端に有するビニル系重合体を含有する。硬化性組成物は、上記ビニル系重合体を全量としてもよく、一部に含有するものでもよい。硬化性組成物におけるビニル系重合体の含有量は、硬化性組成物全量を100質量%とした場合、好ましくは10〜100質量%であり、より好ましくは20〜90質量%であり、更に好ましくは30〜80質量%である。ビニル系重合体の含有量がこの範囲であれば、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物とすることができる。
本発明の製造方法により得られる硬化性組成物は、本発明の目的が達成される限り、上記ビニル系重合体に加えて、更に重合性の単量体及び/又はオリゴマーを含有することができる。この重合性の単量体及び/又はオリゴマーとしては、迅速な硬化性が得られる観点から、ラジカル重合性の基を有する単量体及び/又はオリゴマー、あるいは、アニオン重合性の基を有する単量体及び/又はオリゴマーが挙げられる。
上記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、及び塩化ビニル基等が挙げられる。これらの中でも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、及びビニルケトン基等が挙げられる。これらの中でも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合性の単量体としては、例えば、(メタ)アクリレート系化合物、環状アクリレート、スチレン系化合物、アクリロニトリル、ビニルエステル系化合物、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系化合物、共役ジエン系化合物、ビニルケトン系化合物、ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系化合物、多官能化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、イソボロニルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。ビニルエステル系化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。アクリルアミド系化合物としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。共役ジエン系化合物としては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。ビニルケトン系化合物としては、メチルビニルケトン等が挙げられる。ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系化合物としては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記多官能化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記オリゴマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、カルボキシル基変性エポキシアクリレート系樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ヒドロキシル基末端水添ポリイソプレン、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ヒドロキシル基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;前記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂;ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ(メタ)アクリルアクリレート系樹脂(重合性の反応基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂)等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
これらの重合性の単量体及び/又はオリゴマーのうち、(メタ)アクリロイル系基を有する単量体及び/又はオリゴマーがより好ましい。
また、上記オリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。
更に、表面硬化性の向上、及び作業性向上のための粘度低減を図るために、重合性単量体を用いる場合には、分子量が1000以下であることが好ましい。分子量が1000以下であれば、ビニル系重合体との相溶性が良好である。
重合性単量体及び/又はオリゴマーを配合させる場合、その使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜100質量部であることがより好ましく、10〜50質量部であることが特に好ましい。使用量が上記範囲内であれば、硬化性組成物の粘度が低くなり、作業性に優れる。更に、強度及び弾性に優れる硬化物を与える硬化性組成物とすることができる。
本発明の製造方法により得られる硬化性組成物は、本発明の目的が達成される限り、更に、他の成分を含有できる。他の成分としては、無機機フィラー(補強剤、充填剤)、可塑剤、密着性付与剤、溶剤、硬化性調整剤、物性調整剤、貯蔵安定性改良剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、本発明におけるビニル系重合体は、耐久性に優れた重合体であるので、老化防止剤は必ずしも必要ではないが、一般的な酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜用いることができる。
上記無機フィラーは、補強剤又は充填剤として使用される。この無機フィラーは、特に限定されないが、例えば、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸及びカーボンブラック等の補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華及びシラスバルーン等充填材;石綿、ガラス繊維及びフィラメント等繊維状充填材が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
無機フィラーを用いることにより強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー及び活性亜鉛華等の使用が好ましい。この場合の無機フィラーの使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜250質量部が好ましく、80〜180質量部がより好ましい。
また、低強度で伸びが大きい硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛及びシラスバルーン等の使用が好ましい。この場合の無機フィラーの使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して、0.1〜200質量部が好ましく、80〜150質量部がより好ましい。これら無機フィラーは1種類で使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
上記可塑剤は、特に限定されないが、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;ポリエリレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはこれらのヒドロキシル基を変換したポリエーテル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油、重量平均分子量(Mw)1000〜7000のTg−10℃以下のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、可塑剤を使用する場合の使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜400質量部が好ましく、0.1〜200質量部がより好ましく、0.1〜100質量部が特に好ましい。
上記密着性付与剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、メチルシラン類等のシラン化合物が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、密着性付与剤を使用する場合の使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましく、0.1〜30質量部が特に好ましい。
上記溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、溶剤は重合体の製造時に用いてもよい。また、溶剤を使用する場合の使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜400質量部が好ましく、0.1〜200質量部がより好ましく、0.1〜100質量部が特に好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる硬化性組成物は、更に、硬化剤を含有する組成物とすることができる。そして、この硬化性組成物は、硬化処理(活性エネルギー照射、及び加熱等)に供することにより硬化物とすることができる。上記硬化剤は、硬化処理が施された場合に、硬化性組成物に硬化性を発現させる効果を果たすものである。この硬化剤としては、硬化方法(硬化処理)、及びビニル系重合体の末端等に有する官能基の種類により適宜選択される。
本発明の製造方法により得られる硬化性組成物に含有されるビニル系重合体が、末端等に(メタ)アクリロイル基を有するビニル系共重合体である場合、通常、紫外線、可視光線及び電子線等の活性エネルギー線の照射又は熱により硬化させることが好ましい。従って、この硬化性組成物に用いる(配合される)硬化剤としては、それぞれの硬化方法により適切な化合物が、選択される。
例えば、活性エネルギー線により硬化させる硬化性組成物とする場合には、硬化剤として光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は特に限定されないが、光ラジカル開始剤及び光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチルペンチルホソフィンオキサイド、カンファーキノン等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、アミン類等の増感剤と組み合わせることもできる。
上記の光重合開始剤の添加量は、ビニル系重合体100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましい。より好ましくは0.1〜30質量部であり、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
光重合開始剤を含む硬化性組成物を硬化させる場合、活性エネルギー線源は、特に限定されない。例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線が挙げられる。これらのうちから、硬化性組成物に含有される光重合開始剤の性質等に応じて適宜選択することができる。
また、熱により硬化させる場合には、熱重合開始剤を含有することが好ましい。熱重合開始剤は、特に限定されない。例えば、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸物、及びレドックス開始剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレート)等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記過硫酸物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
また、レドックス(酸化還元)開始剤としては、上記過硫酸物開始剤とメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系との組み合わせ、例えば過酸化ベンゾイル及びジメチルアニリンに基づく系;有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系との組み合わせ、例えばクメンヒドロパーオキシド及びコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、他の熱重合開始剤としては、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコール等が挙げられる。これらの熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤の添加量は、ビニル系重合体100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましい。より好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
熱重合開始剤を含む硬化性組成物を硬化させる場合、熱により硬化させる場合の熱硬化条件は、特に限定されない。温度としては、使用する熱重合開始剤、重合体及び添加される化合物等の種類により選択されるが、50℃〜250℃が好ましく、70℃〜200℃がより好ましい。硬化時間は、使用する熱重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により選択されるが、通常、1分〜24時間である。
本発明の硬化性組成物に含有されるビニル系重合体が、末端等にヒドロキシル基を有するビニル系共重合体である場合、ヒドロキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることができる。このような硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または、低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用することにより、硬化性組成物は均一に硬化することができる。また、これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれの硬化剤に応じた適切な硬化触媒を使用することができる。
本発明の硬化性組成物に含有されるビニル系重合体が、末端にアミノ基を有するビニル系共重合体である場合、アミノ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることができる。硬化剤の具体例としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物が挙げられる。これらの硬化剤を使用することにより、硬化性組成物は均一に硬化することができる。また、これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用することができる。
本発明の硬化性組成物に含有されるビニル系重合体が、末端等にヒドロキシル基もしくはアミノ基を有するビニル系共重合体である場合、熱硬化等の条件は特に限定されない。例えば、温度は、使用する硬化剤(重合開始剤)、重合体及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常、50℃〜250℃が好ましく、70℃〜200℃がより好ましい。硬化時間は、使用する硬化剤、単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1分〜24時間である。
また、本発明の硬化性組成物は、比較的高温下でも貯蔵安定性に優れることから、硬化性組成物をより低い粘度で扱うことが可能となり、高温での液状射出成形等に好適に用いることができる。また、本発明の硬化性組成物を流動させる際には、30℃以上80℃未満の温度で行うのが好ましく、40℃以上70℃未満の温度で流動させることがより好ましい。
尚、本発明の硬化性組成物は、30℃以上80℃未満の温度で流動させることができる。更に30℃以上で流動させながら硬化反応を行うこともできる。即ち、本発明の硬化性組成物を、射出成形(RIM、LIM等)用樹脂組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性組成物を用いて成形体とする場合、その成形方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランフファー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成形、熱成形等が挙げられる。特に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという観点から射出成形によるものが好ましい。
本発明の硬化性組成物の製造方法は、特に限定されない。具体的には、上記ビニル系重合体、及び、必要により使用される他の添加物(重合性の単量体及び/又はオリゴマー、他の成分、硬化剤)等を、攪拌装置及び遊星式攪拌装置等を用いて、適宜混合することにより製造することができる。
本発明の硬化性組成物の用途としては、特に限定されない。例えば、接着剤、シーリング材、コーティング材及びポッティング材等として使用することができる。具体的には、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、注型材料、人工大理石、各種成形材料、及び網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジン及びサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。スポーツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
本発明のシーリング材組成物は、本発明の硬化性組成物を含有する組成物である。このシーリング材組成物は、上記硬化性組成物を全量としてもよく、一部に含有するものでもよい。シーリング材組成物における硬化性組成物の含有量は、シーリング材組成物全量を100質量%とした場合、好ましくは1〜100質量%である。
また、本発明のシーリング材組成物は、硬化性組成物に加え、更に必要に応じて、その他の添加剤を配合することができる。
このシーリング材組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、硬化性組成物及びその添加剤等を配合し、混合することにより得られる。尚、各成分の配合順序は特に限定されるものではない。
本発明の接着剤組成物は、本発明の硬化性組成物を含有する組成物である。この接着剤組成物は、上記硬化性組成物を全量としてもよく、一部に含有するものでもよい。接着剤組成物における硬化性組成物の含有量は、接着剤組成物全量を100質量%とした場合、好ましくは1〜100質量%である。
また、本発明の接着剤組成物は、硬化性組成物に加え、更に必要に応じて、その他の添加剤を配合することができる。
この接着剤組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、硬化性組成物及びその添加剤等を配合し、混合することにより得られる。尚、各成分の配合順序は特に限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の硬化性組成物を含有する組成物である。この粘着剤組成物は、上記硬化性組成物を全量としてもよく、一部に含有するものでもよい。粘着剤組成物における硬化性組成物の含有量は、粘着剤組成物全量を100質量%とした場合、好ましくは1〜100質量%である。
また、本発明の粘着剤組成物は、硬化性組成物に加え、更に必要に応じて、その他の添加剤を配合することができる。
この粘着剤組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、硬化性組成物及びその添加剤等を配合し、混合することにより得られる。尚、各成分の配合順序は特に限定されるものではない。
以下に本発明の実例を比較例と共に説明するが、本発明の範囲をこれらの実例に限定するものでないことは言うまでもない。なお、以下において「部」は特に断らない限り質量基準である。また、実験例8及び9が実施例であり、その他の実験例は参考例である。
尚、合成例、実例及び比較例における「Mn」は、数平均分子量を意味し、「Mw」は、重量平均分子量を意味し、Mw/Mnは分散度を意味する。この「Mn」及び「Mw」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で算出された値である。
また、実例及び比較例での重合体における、アクリロイル基数、ヒドロキシル基数及びアミノ基数等の官能基数は、H−NMRスペクトルにより測定した積分値から、下記式により算出した平均数である。
官能基数(平均数)=(官能基由来の積分値)/〔(単量体由来の積分値)/(重合度)〕
1.第1重合体の製造
合成例1〔第1重合体Aの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器(1リットルの褐色セパラブルフラスコ)に、ビニル系単量体としてメタクリル酸ラウリル(以下、「LMA」ともいう。)306部及びアクリル酸ブチル(以下、「BA」ともいう。)51部と、ジヨードキシレン7.2部と、亜リン酸ジエチル0.35部と、過酸化ベンゾイル(以下、「BPO」ともいう。)2.4部と、溶媒としてアニソール132部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応系の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、70%であり、BAの重合率を測定したところ、80%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Aを得た。得られた第1重合体AのGPC測定を行ったところ、Mw18630、Mn13500、Mw/Mn1.38であった。また、第1重合体Aの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体AのMw、Mn、Mw/Mnを表1に示す。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
また、上記過酸化ベンゾイルは、ラジカル発生剤として使用した。この過酸化ベンゾイル由来のラジカルは、亜リン酸ジエチルの水素原子を引き抜き、水素原子が引き抜かれた亜リン酸ジエチルは、リンラジカルになる。そして、このリンラジカルは、ジヨードキシレン及び重合中の分子末端のヨウ素原子を引き抜く。そして、ヨウ素リン酸ジエチルからなる触媒が形成される。
合成例2〔第1重合体Bの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA306部及びBA46部と、ジヨードキシレン10.8部と、亜リン酸ジエチル0.52部と、ラジカル発生剤としてBPO3.6部と、溶媒としてアニソール132部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、72%であり、BAの重合率を測定したところ、85%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Bを得た。得られた第1重合体BのGPC測定を行ったところ、Mw12600、Mn9000、Mw/Mn1.40であった。また、第1重合体Bの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体BのMw、Mn、Mw/Mnを表1に併記する。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
合成例3〔第1重合体Cの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA306部及びBA51部と、ヨウ素2.6部、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸(以下、「ACVA」ともいう。)5.6部及び亜リン酸ジエチル0.34部と、溶媒としてアニソール134部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が80℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、LMAの重合率を測定したところ、72%であり、BAの重合率を測定したところ、85%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Cを得た。得られた第1重合体CのGPC測定を行ったところ、Mw21130、Mn15200、Mw/Mn1.39であった。また、第1重合体Cの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体CのMw、Mn、Mw/Mnを表1に併記する。
尚、ヨウ素は、触媒前駆体及び開始剤前駆体として使用した。ACVAは、開始剤前駆体として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
また、得られた第1重合体Cは、下記式(50)に示されるように、一方の末端にハロゲン原子を有し、他方の末端に開始剤由来の構造(カルボキシル基)を有する。
Figure 0005504443
但し、上記式(11)において、Rは、−C、又は−C1225を示す。
合成例4〔第1重合体Dの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA311部及びBA43部と、N−ヨードコハク酸イミド(以下、「NIS」ともいう。)0.314部と、ヨウ素2.8部と、ACVA6.2部と、溶媒としてアニソール149部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が80℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から5時間後、LMAの重合率を測定したところ、76%であり、BAの重合率を測定したところ、80%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Dを得た。得られた第1重合体DのGPC測定を行ったところ、Mw20300、Mn14000、Mw/Mn1.45であった。また、第1重合体Dの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体DのMw、Mn、Mw/Mnを表1に併記する。
尚、NISは、触媒として使用した。ACVAは、開始剤前駆体として使用した。ヨウ素は開始剤前駆体として使用した。
また、得られた第1重合体Dは、上記式(50)に示される。
合成例5〔第1重合体Eの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA305部及びBA51部と、ジヨードキシレン7.2部と、ビタミンE2.2部と、ラジカル発生剤としてBPO2.4部と、溶媒としてアニソール132部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、71%であり、BAの重合率を測定したところ、81%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Eを得た。得られた第1重合体EのGPC測定を行ったところ、Mw20660、Mn13800、Mw/Mn1.49であった。また、第1重合体Eの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体EのMw、Mn、Mw/Mnを表1に併記する。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。ビタミンEは、触媒前駆体として使用した。
合成例6〔第1重合体Fの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA306部及びBA51部と、ジヨードキシレン7.2部及び1,4−シクロヘキサジエン0.08部と、ラジカル発生剤としてBPO2.4部、溶媒としてアニソール132部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、72%であり、BAの重合率を測定したところ、75%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、第1重合体Fを得た。得られた第1重合体FのGPC測定を行ったところ、Mw21300、Mn14200、Mw/Mn1.50であった。また、第1重合体Fの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに第1重合体FのMw、Mn、Mw/Mnを表1に併記する。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。1,4−シクロヘキサジエンは、触媒前駆体として使用した。
Figure 0005504443
2.ビニル系重合体の製造
合成例7〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Gの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例1により得られた第1重合体A50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸カリウム3.2部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Gを得た。得られたビニル系重合体Gのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.8であった。また、ビニル系重合体GのGPC測定を行ったところ、Mw18630、Mn13500、Mw/Mn1.38であった。また、ビニル系重合体Gの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Gの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に示す。
合成例8〔分子末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体Hの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例1により得られた第1重合体A50部を酢酸エチル50部に溶解させ、得られた溶液にアミノエタノール1.8部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、未反応のアミノエタノールを除去した。次いで、反応生成物を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、ビニル系重合体Hを得た。得られたビニル系重合体Hのヒドロキシル基数の測定を行なったところ、平均数1.9であった。また、ビニル系重合体HのGPC測定を行ったところ、Mw18630、Mn13500、Mw/Mn1.38であった。また、ビニル系重合体Hの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Hの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例9〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Iの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成8により得られたビニル系重合体H5部を酢酸エチル5部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸エチルイソシアネート(以下「AOI」ともいう)0.13質量部、及びトリエチルアミン0.1質量部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、未反応のAOIを除去した。次いで、反応生成物を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、ビニル系重合体Iを得た。得られたビニル系重合体Iのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.8であった。また、ビニル系重合体IのGPC測定を行ったところ、Mw18630、Mn13500、Mw/Mn1.38であった。また、ビニル系重合体Iの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Iの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例10〔分子末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体Jの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例1により得られた第1重合体A50部を酢酸エチル50部に溶解させ、得られた溶液にエチレンジアミン4.4部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、未反応のエチレンジアミンを除去した。次いで、反応生成物を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、ビニル系重合体Jを得た。得られた重合体Hのアミノ基数の測定を行なったところ、平均数1.6であった。また、ビニル系重合体JのGPC測定を行ったところ、Mw18630、Mn13500、Mw/Mn1.38であった。また、ビニル系重合体Jの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Jの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例11〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Kの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例2により得られた第1重合体B50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸カリウム4.9部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Kを得た。得られたビニル系重合体Kのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.9であった。また、ビニル系重合体KのGPC測定を行ったところ、Mw12600、Mn9000、Mw/Mn1.40であった。また、ビニル系重合体Kの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Kの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例12〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Lの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例3により得られた重合体C50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸−4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル(以下「4HBAGE」ともいう)0.8部、テトラブチルアンモニウムブロマイド(以下「TBAB」ともいう)1.5部、及びアクリル酸カリウム1.4部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Lを得た。得られたビニル系重合体Lのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.7であった。また、ビニル系重合体LのGPC測定を行ったところ、Mw21130、Mn15200、Mw/Mn1.39であった。また、ビニル系重合体Lの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Lの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
尚、ビニル系重合体Lの合成においては、第1重合体Cは、その製造に用いたACVAに由来するカルボキシル基を開始末端(α末端)に有する。従って、そのカルボキシル基を上記4HBAGEのグリシジル基と反応させ、その末端をアクリロイル基とした。上記TBABはカルボキシル基とグリシジル基とを反応させるための触媒として使用した。また、もう一方のヨウ素原子を有する末端(ω末端)は、アクリル酸カリウムと反応させ、アクリロイル基とした。
合成例13〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Mの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例4により得られた重合体D50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液に4HBAGE0.9部、TBAB1.5部、アクリル酸カリウム1.6部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Mを得た。得られたビニル系重合体Mのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.7であった。また、ビニル系重合体MのGPC測定を行ったところ、Mw20300、Mn14000、Mw/Mn1.45であった。また、ビニル系重合体Mの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Mの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
尚、ビニル系重合体Mの合成においては、第1重合体Dは、その製造に用いたACVAに由来するカルボキシル基を開始末端(α末端)に有する。従って、そのカルボキシル基を上記4HBAGEのグリシジル基と反応させ、その末端をアクリロイル基とした。上記TBABはカルボキシル基とグリシジル基とを反応させるための触媒として使用した。また、もう一方のヨウ素原子を有する末端(ω末端)は、アクリル酸カリウムと反応させ、アクリロイル基とした。
合成例14〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Nの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例5により得られた重合体E50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸カリウム3.2部を加えた。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Nを得た。得られたビニル系重合体Nのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.9であった。また、ビニル系重合体NのGPC測定を行ったところ、Mw20660、Mn13800、Mw/Mn1.49であった。また、ビニル系重合体Nの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Nの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例15〔分子末端にアクリロイル基を有するビニル系重合体Oの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器において、上記合成例6により得られた重合体F50部をN,N−ジメチルアセトアミド50部に溶解させ、得られた溶液にアクリル酸カリウム3.1部を加えた混合液を仕込んだ。その後、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、3時間反応を行った。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるよう調整した。反応終了後、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した。次いで、減圧乾燥により得られた残渣にトルエンを加え、不溶分をろ過により除去した。得られた濾液を再び減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、トルエンを留去し、ビニル系重合体Oを得た。得られたビニル系重合体Oのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数1.9であった。また、ビニル系重合体OのGPC測定を行ったところ、Mw21300、Mn14200、Mw/Mn1.50であった。また、ビニル系重合体Oの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Oの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
合成例16〔アクリロイル基を有するビニル系重合体Pの合成〕
オイルジャケットを備えた耐圧式攪拌槽型ガラス反応器において、ビニル系単量体としてアクリル酸ブチル(以下「BA」ともいう。)341部と、下記式(51)に示されるリビングラジカル重合開始剤17.0部と、溶媒として酢酸ブチル341部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を112℃℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が112℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から2時間後、BAの重合率を測定したところ、70%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、重合体PBA(ポリアクリル酸ブチル)を得た。得られた重合体PBAのGPC測定を行ったところ、Mw8600、Mn6230、Mw/Mn1.38であった。
次いで、オイルジャケットを備えた耐圧式攪拌槽型ガラス反応器において、上記により得られた重合体PBA215部、メタクリル酸(以下「MAA」ともいう。)6部、及び酢酸ブチル221部を仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を112℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始し、反応液の温度が112℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、BAの重合率を測定したところ、96%であり、MAAの重合率を測定したところ、98%であった。次いで、反応液温度を85℃まで冷却した後、得られた反応液に4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(以下「4HBAGE」ともいう。)23部、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(以下「TBAB」ともいう。)9部を加え、85℃のまま8時間反応させた。反応後、4HBAGEの反応率を測定したところ、97%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、温度80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、重合体Pを得た。得られた重合体Pのアクリロイル基数の測定を行なったところ、平均数2.6であった。また、得られた重合体PのGPC測定を行ったところ、Mw13150、Mn7460、Mw/Mn1.76であった。また、ビニル系重合体Pの合成に使用した第1重合体、分子末端変性剤(分子末端変性方法)、並びにビニル系重合体Pの官能基種類、官能基数、Mw、Mn、Mw/Mnを表2に併記する。
Figure 0005504443
Figure 0005504443
3.硬化性組成物の製造及び評価
(1)硬化性組成物及び硬化物の製造
上記により得られたビニル系重合体G〜Pと、下記の硬化剤(a)〜(d)とを用いて、表3に示す配合により硬化性組成物を調製した。また、重合体G〜Pの各配合量は、それぞれ100部とした。
そして、硬化性組成物を型枠に充填し、大気中、温度150℃で5分間静置することにより硬化させ、2mm厚のゴム状の硬化物を得た。
硬化性組成物に使用した硬化剤は、以下のとおりである。
硬化剤(a):イソボロニルアクリレート
硬化剤(b):ベンゾイルパーオキサイド(商品名「ナイパーBW」、日本油脂社製)
硬化剤(c):3官能イソシアネート化合物(商品名「B−45」、一方社油脂社製)
硬化剤(d):ジブチルスズジアセチルアセトネート(商品名「U−220」、日東化成社製)
(2)硬化物の評価
(2−1)ゲル分率
上記により得られた硬化物について、ゲル分率の測定を行なった。ゲル分率(%)は、硬化物をトルエンに浸漬(25℃、3日間)し、硬化物の未硬化部分を抽出し、その浸漬前後の質量である、硬化物の未硬化部分抽出前の質量、及び硬化物の未硬化部分抽出後の硬化物の質量を測定し、それらの質量比を下記式により算出した。
ゲル分率(%)=〔(硬化物の未硬化部分抽出後の硬化物の質量)/(硬化物の未硬化部分抽出前の質量)〕×100
(2−2)破断強度及び伸び
上記により得られた各硬化物について、JIS K 7113に準拠し下記条件にて引張試験行い、各硬化物の破断強度(MPa)及び伸び(%)を測定した。
装置;島津製作所製(オートグラフ、型式「AGS−J」)
試験片;2号ダンベル形状(長さ70mm、幅10mm、厚さ2mm)
つかみ具間距離;40mm
引張速度;200mm/分
温度;23℃
相対湿度;55%
Figure 0005504443
表3の結果より、所定の触媒を使用して、リビングラジカル重合により得られた重合体を含有する実例1〜9の硬化性組成物は、得られる硬化物の破断強度が1.10MPa以上であり、強度に優れる硬化物を与える硬化性組成物であることが分かる。また、実例1〜9の硬化性組成物は、得られる硬化物の伸びが260%以上であり、伸びにも優れる硬化物を与える硬化性組成物であることが分かる。
一方、通常のラジカル重合により得られた重合体を含有する比較例1の硬化性組成物は、得られる硬化物の破断強度が0.81MPaと低い値であり、得られる硬化物の破断強度が、実例1〜9に比べ劣ることが分かる。更に、得られる硬化物の伸びも170%と低い値であり、得られる硬化物の破断強度も劣ることが分かる。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を分子末端に有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物の製造方法であって、
    上記ビニル系重合体は、炭素、及び酸素から選ばれる少なくとも1種の元素からなる中心原子と該中心原子に結合したハロゲン原子とを含む化合物からなる触媒と、有機ハロゲン化合物からなる開始剤と、の存在下で、ビニル系単量体をリビングラジカル重合することにより、上記触媒又は上記開始剤に由来するハロゲン原子を末端に有する第1重合体を得た後、該第1重合体を末端変性させて、該第1重合体に含まれた上記ハロゲン原子が、上記官能基に置換された重合体であり、
    上記ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0未満であり、
    上記第1重合体を形成する上記ビニル系単量体が、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物を含み、上記メタクリル酸エステル化合物及び上記アクリル酸エステル化合物の使用量の割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%であり、
    上記触媒が、酸素原子を中心元素とし、該中心元素に結合したハロゲン原子を含む化合物、又は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、該触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、若しくは2つのエステル結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
    触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又は、ハロゲンであることを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
  2. 上記メタクリル酸エステル化合物及び上記アクリル酸エステル化合物の合計使用量が、上記ビニル系単量体を100質量%としたときに、80〜100質量%である請求項1に記載の硬化性組成物の製造方法
  3. 上記ビニル系重合体の数平均分子量が、3000〜50000である請求項1又は2に記載の硬化性組成物の製造方法
  4. 上記硬化性組成物が、更に、硬化剤を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法
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