JP5569720B2 - 湿気硬化性組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、特許文献2に開示される接着性硬化性組成物から得られる硬化物が有する、強度及び弾性、並びに、耐候性及び耐久性からなる硬化物特性のバランスは、十分満足できるものではないのが現状である。また、特許文献2に開示された製造方法により得られた重合体は、触媒として用いられた銅化合物が残存する場合がある。そして、安全性の観点から、この銅化合物を重合体から取り除く場合には、多大な労力及び経済的負担を要する。また、特許文献2の製造方法では、カルボン酸等の官能基を有する単量体を用いた場合、銅化合物(銅錯体)からなる触媒の活性低下を引き起こす場合がある。従って、特許文献2において、このような官能基を有する単量体単位を有する共重合体は、上記硬化物特性が劣る場合がある。
1.加水分解性シリル基を有し、且つ 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0未満であるビニル系重合体と、無機フィラー、可塑剤、密着性付与剤、溶剤、脱水剤、光安定剤、紫外線吸収剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤及び硬化触媒から選ばれる成分と、を配合して、湿気硬化性組成物を製造する方法であって、
上記ビニル系重合体は、リン、窒素、炭素及び酸素から選ばれる少なくとも1種の中心元素と、該中心元素に結合したハロゲン原子と、を含む化合物からなる触媒の存在下で、リビングラジカル重合により製造され、
リン原子を中心元素とする上記触媒は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
窒素原子を中心元素とする上記触媒は、ヨウ化コハク酸イミド、ヨウ化マレイミド及びヨウ化フタルイミドから選ばれるハロゲン化イミドであり、
炭素原子を中心元素とする上記触媒は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
酸素原子を中心元素とする上記触媒は、酸素原子を有する触媒前駆体(o)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
上記触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、又は2つのエステル結合における2つの二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
上記触媒前駆体(o)は、芳香族環にヒドロキシル基が結合した構造を有する化合物、又はビタミンCであり、
上記触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又はハロゲンであることを特徴とする湿気硬化性組成物の製造方法。
R1 nMhX1 m(…Z)k (1)
[一般式(1)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、芳香族炭化水素環数が1〜3のアリール基、又は芳香族炭化水素環数が1〜3の置換アリール基であり、Mはリン原子であり、X1はハロゲン原子であり、Zは酸素原子であり、且つMに結合している。nは0〜(4×h)の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1〜(5×h)の整数であり、kは0〜(2×h)の整数であり、hが2以上の場合、R1、M及びX1は、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合していてもよく、MとZとの結合である「…」は二重結合又は三重結合を示す。]
2.上記触媒は、リン原子を中心元素とする触媒であり、該触媒は、リン原子を有する触媒前駆体(p)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
上記触媒前駆体(p)は、一般式R1 2PH(=O)で表されるリン化合物(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜10のアルキルカルボニル基)であり、
上記触媒前駆体(b)は、ハロゲン、又は、ハロゲン原子の数が2以下であり、炭素−ハロゲン結合を少なくとも1つ有する有機ハロゲン化合物である上記1.に記載の湿気硬化性組成物の製造方法
また、ビニル系重合体が、(メタ)アクリル系重合体である場合には、より強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
また、ビニル系重合体は、メタクリル酸エステル化合物に由来する構成単位(A)及びアクリル酸エステル化合物に由来する構成単位(B)を含み、該構成単位(A)、及び該構成単位(B)の質量割合が、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%、及び0〜50質量%である場合には、より強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
また、錫化合物からなる硬化触媒を含有する場合には、強度、弾性、耐候性及び耐熱性に優れる硬化物を効率的に得ることができる。
本発明の湿気硬化性組成物の製造方法は、加水分解性シリル基を有し、且つ 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0未満であるビニル系重合体と、無機フィラー、可塑剤、密着性付与剤、溶剤、脱水剤、光安定剤、紫外線吸収剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤及び硬化触媒から選ばれる成分と、を配合して、湿気硬化性組成物を製造する方法であって、
上記ビニル系重合体は、リン、窒素、炭素及び酸素から選ばれる少なくとも1種の中心元素と、該中心元素に結合したハロゲン原子と、を含む化合物からなる触媒の存在下で、リビングラジカル重合により製造され、
リン原子を中心元素とする上記触媒は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
窒素原子を中心元素とする上記触媒は、ヨウ化コハク酸イミド、ヨウ化マレイミド及びヨウ化フタルイミドから選ばれるハロゲン化イミドであり、
炭素原子を中心元素とする上記触媒は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
酸素原子を中心元素とする上記触媒は、酸素原子を有する触媒前駆体(o)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
上記触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、又は2つのエステル結合における2つの二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
上記触媒前駆体(o)は、芳香族環にヒドロキシル基が結合した構造を有する化合物、又はビタミンCであり、
上記触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又はハロゲンであることを特徴とする湿気硬化性組成物の製造方法。
R1 nMhX1 m(…Z)k (1)
[一般式(1)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、芳香族炭化水素環数が1〜3のアリール基、又は芳香族炭化水素環数が1〜3の置換アリール基であり、Mはリン原子であり、X1はハロゲン原子であり、Zは酸素原子であり、且つMに結合している。nは0〜(4×h)の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1〜(5×h)の整数であり、kは0〜(2×h)の整数であり、hが2以上の場合、R1、M及びX1は、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合していてもよく、MとZとの結合である「…」は二重結合又は三重結合を示す。]
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの一方又は両方を含む意味に用い、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を含む意味に用いる。
更に、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの一方又は両方を含む意味に用いる。
また、「Ph」とは、フェニル基、又はフェニレン基を意味する。
上記ビニル系重合体としては、以下の態様が挙げられる。
(1)上記触媒の存在下で、加水分解性シリル基を有さないビニル系単量体をリビングラジカル重合により、第1重合体を製造し、この得られた第1重合体の末端を変性させることにより、加水分解性シリル基を分子末端に有するビニル系重合体(以下、「ビニル系重合体(1)」という。)。
(2)上記触媒の存在下で、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体を含む単量体混合物をリビングラジカル重合により得られた、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(以下、「ビニル系重合体(2)」という。)。
上記態様のビニル系重合体のうち、最終的に得られるビニル系重合体を用いたときに、強度及び弾性に優れる硬化物が得られる点で、上記(1)のビニル系重合体が好ましい。
このビニル系重合体(2)おいても上記ビニル系重合体(1)と同様に、ラジカル重合反応において連鎖移動反応及び停止反応が実質的に起こらず、単量体の重合反応後も、連鎖成長末端が活性を保持する。この重合反応では、重合反応終了後でも生成重合体の末端に重合活性を保持しており、単量体を加えると再び重合反応を開始させることができる。
また、上記第1工程と上記重合体(2)重合工程とを総称して、単に重合工程ともいう。
加水分解性シリル基を末端付近に有するビニル重合体(2)は、例えば、重合体(2)重合工程において、一定量の、加水分解性シリル基を有さないビニル系単量体の重合反応が終了した後、即ち、重合反応の後期の時期に、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体をその反応系に配合することにより製造できる。
−Si(R)nY3−n (X)
〔上記式(X)中、Rは炭素数が1〜20個のアルキル基を示し、Yは加水分解可能な基を示し、nは0、1または2である。なお、R及びYが複数ある場合は、同じ基であっても異なる基であっても良い。〕
上記式(X)におけるRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基及びオクタデシル基等が挙げられる。
上記式(X)におけるYの具体例としてはアルコキシ基、アミノ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基及びイミノオキシ基等の加水分解性基が挙げられ、その中でもアルコキシ基が好ましい。更に、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基等が挙げられ、特にメトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。
また、上記一般式(X)で示される加水分解性シリル基としては、アルコキシシリル基が好ましい。加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であると、湿気硬化性組成物を保存する場合、保存安定性に優れた湿気硬化性組成物とすることができる。更に、硬化物を得る場合、迅速且つ円滑な湿気硬化性を有する湿気硬化性組成物とすることができる。
この「中心原子」とは、触媒を構成する原子のうち、ハロゲン原子と結合して主に触媒作用を奏する原子を意味する。一般的に「触媒」において、使用される「中心金属」との用語と同じ意味であるが、本発明において用いられる、リン、窒素、炭素及び酸素等は一般には金属に分類されないことから、誤解を避けるために、一般的に「触媒」における用語として使用される「中心金属」の代わりに、「中心原子」との用語を用いる。
上記中心原子は、上記化合物(a)に少なくとも1つ有すれば良く、2つ以上有していても構わない。上記化合物(a)が複数の中心原子を有する場合、その中心原子の種類は、同一であっても、異なっていてもよい。
上記触媒としては、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記第1工程における第1重合体の製造、又は上記重合体(2)重合工程における重合体(2)の製造に用いる上記触媒としては、上記化合物(a)をそのまま使用することができるが、化合物(a)を形成する化合物(触媒前駆体)を使用することもできる。
中心原子に結合している、このハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の各原子が挙げられる。これらのうち好ましくはヨウ素原子である。このハロゲン原子は、化合物(a)の1分子中に2個以上存在していてもよい。
また、化合物(a)の1分子中に、複数のハロゲン原子が存在する場合、その複数のハロゲン原子は同一であってもよく、異なっていてもよい。
R1 nMhX1 m(…Z)k (1)
上記一般式(1)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、芳香族炭化水素環数が1〜3のアリール基、又は芳香族炭化水素環数が1〜3の置換アリール基であり、Mは中心原子であって、リン原子であり、X1はハロゲン原子であり、Zは酸素原子であり、且つMに結合している。nは0〜(4×h)の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1〜(5×h)の整数であり、kは0〜(2×h)の整数であり、hが2以上の場合、R1、M及びX1は、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合していてもよく、MとZとの結合である「…」は二重結合又は三重結合を示す。
また、上記一般式(1)におけるhは、1以上の整数であり、好ましく10以下であり、より好ましくは5以下であり、更に好ましく4以下であり、より更に好ましくは3以下であり、特に好ましくは2以下であり、より特に好ましくは1である。
また、hが2以上の整数である場合、複数の原子Mは、通常、単結合、二重結合又は三重結合により結合されている。
また、hが2以上の整数である場合、置換基R1、及びハロゲン原子Xは、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合してもよい。
また、hが2である場合、2つの原子Mが結合した構造をとることができる。例えば、「−M−M−」、「−M=M−」、「−M≡M−」の構造とすることができる。また、中心原子がリンである場合、上記のとおり、2つのリン原子が結合した構造(−P=P−)とすることができる。
また、hが2である場合、置換基R1、及びハロゲン原子Xは、それぞれ独立して、2つの原子Mのいずれに結合してもよい。
また、hが3以上である場合、h個の原子Mは、直鎖状に連結されていてもよく、分岐鎖状に連結されていてもよい。
また、mが2の場合、2つのハロゲン原子X1は、同一であっても、異なっていてもよい。mが3以上の場合、全てのハロゲン原子X1は、それぞれ異なってもよく、一部同一であってもよく、全て同一であってもよい。mが2以上の場合、全てのハロゲン原子Xは、同一であることが好ましい。
また、上記一般式(1)におけるkは、0〜(2×h)の整数である。例えば、hが1の場合には、kは0〜2であり、hが2の場合には、kは0〜4である。
M(中心原子)が、リン原子又は窒素原子の場合、mとnとの和(m+n)は、3又は5であることが好ましい。
上記ハロゲン化リンとしては、三ヨウ化リン、及び五ヨウ化リン等が挙げられる。
上記ハロゲン化ホスフィンとしては、具体的には、ヨウ化ジフェニルホスフィン(Ph2PI)等が挙げられる。
上記ハロゲン化亜リン酸誘導体としては、具体的には、ヨウ化亜リン酸ジエチル〔(C2H5O)2P(O)I〕、エチルフェニルホスフィネート〔(C2H5O)2PhP(O)I〕、ジフェニルホスフィンオキサイド〔Ph2P(O)I〕等が挙げられる。
また、上記無機基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
上記ラジカル安定化用置換基としては、電子吸引性置換基、又はこの中心原子と一緒になって共鳴構造を形成する置換基(以下、「共鳴構造を形成する置換基」ともいう)が挙げられる。このラジカル安定化用置換基が2個存在する場合、ラジカル安定化用置換基は互いに連結されて、中心原子と、2個のラジカル安定化用置換基とにより環構造を形成してもよい。
また、ラジカル安定化用置換基が3個存在する場合、3個のラジカル安定化用置換基のうちの2つが互いに連結されて、この2個の連結されたラジカル安定化用置換基と、中心原子とにより環構造を形成してもよく、3個のラジカル安定化用置換基が互いに連結されて、中心原子と、3個の置換基とにより環構造を形成してもよい。
また、電子供与性置換基が3個存在する場合、3個の電子供与性置換基のうちの2つが互いに連結されて、この2個の連結された電子供与性置換基と、中心原子とにより環構造を形成してもよく、3個の電子供与性置換基が互いに連結されて、中心原子と、3個の電子供与性置換基とにより環構造を形成してもよい。
尚、本明細書おいて、上記の電子吸引性置換基、及び電子供与性置換基、並びに中心原子と一緒になって共鳴構造を形成する置換基を総称して、「ラジカル安定化用置換基」ともいう。
「C−M1=M2」(2a)
「C−M3≡M4」(2b)
例えば、2つの二重結合に中心原子が挟まれた構造の場合には、下記式(2c)で表される構造になる。
「M6=M5−C−M7=M8」(2c)
ここで、上記式(2c)におけるM5及びM7は上記M1と同様の原子であり、M6及びM8は上記M2と同様の原子である。このような構造を有する化合物(a)においては、リビングラジカル重合の際に中心原子の炭素原子が安定な炭素ラジカルとなり、触媒として高い活性を示す。
上記ハロゲン化炭素としては、四ヨウ化炭素(CI4)等が挙げられる。
上記ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化アリールとしては、下記式(2e)で表される化合物が挙げられる。
R2 nCX2 m (2e)
但し、上記式(2e)において、R2はアルキル基又はアリール基を示し、R2が複数ある場合には、そのR2は、同一でも異なっていてもよい。X2はハロゲン原子を示す。また、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、nとmとの和(n+m)は4である。
上記触媒(o)としては、中心原子(酸素原子)が、更に、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子又はリン原子と結合した化合物を用いることができる。また、中心原子(酸素原子)が、ハロゲン原子以外に、更に結合する原子としては、炭素原子が好ましい。
上記有機基としては、アリール基(例えば、フェニル基等)、置換アリール基、アルケニル基(例えば、ビニル基等)、アルキニル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、エステル基(例えば、脂肪族カルボン酸エステル等)、アルキルカルボニル基(メチルカルボニル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基)等が挙げられる。これらのうち、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、及びアルキニル基が好ましい。
上記無機基としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びシアノ基等が挙げられる。
R3 n(OX3)m (3a)
上記一般式(3a)式において、R3は有機基を示し、X3はハロゲン原子を示し、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数を示し、酸素原子(O)は、R3及びX3の両方に結合している。
上記一般式(3a)における有機基R3としては、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ、アリール基、及び置換アリール基が挙げられる。これらのうち、好ましくは、アリール基、アルケニル基、及びアルキニル基である。
また、R3が置換アリール基である場合、その置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及びシアノ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基及びシアノ基である。
尚、触媒(o)を構成する化合物(a)としては、好ましくは、ラジカル反応性二重結合を有さないものである。
上記触媒(g)においては、中心原子が、更に、任意の有機基又は無機基と結合していてもよい。
上記有機基及び無機基の数は特に限定されないが、好ましくは、3以下であり、より好ましくは、1である。
R4 nMX4 m (4a)
ここで、上記一般式(4a)において、R4はアリール基又は置換アリール基を示し、Mはゲルマニウム原子、スズ原子又はアンチモン原子を示し、X4はハロゲン原子を示し、nは0〜3の整数であり、mは1〜4の整数である。
R4−I+GeI2→R4GeI3
ヨウ化物R4Iは、多くの場合、液体であるので、液体の場合は溶媒なしで反応を行うことが可能である。また、必要に応じて、溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンなど)を用いても良い。また、ヨウ化物R4Iが固体である場合には、溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエンなどを用いることができる。尚、特に触媒を使用しなくてもこの反応は進行する。このような反応の具体例については、例えば、文献Journal of Organometallic Chemistry 56,1−39(1973)などに記載されており、この文献に記載された方法を応用することにより、様々な有機基R4がゲルマニウム原子に結合した化合物を合成することができる。
また、置換アリール基における置換基の数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2であり、更に好ましくは1である。
また、置換アリールにおける置換基の位置は、任意に選択される。アリールがフェニルである場合(すなわち、置換アリール基が置換フェニル基である場合)、置換基の位置は中心原子に対してオルト、メタ、パラのいずれの位置であってもよい。好ましくは、パラの位置である。
また、上記アルキルオキシ基におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
上記置換ヘテロアリール基における当該置換基の位置は、任意に選択される。
二重結合を1つ有する鎖状アルケンの場合は、一般に「CkH2k−1−」(ここで、kは2以上の整数である)で表される。二重結合の数は特に限定されず、1個でも、2個以上でもよい。このアルケニル基の構造としては、特に限定されないが、二重結合と単結合とが、交互に繰り返される構造が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
また、好ましいアルケニル基の構造としては、「−CR31=CR32R33」が挙げられる。このR31、R32、R33は水素でも、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル基、アルキルカルボキシル基、ハロアルキル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基及び置換アリール基等)であってもよい。また、R31、R32、R33が全て水素の場合、この基はビニル基である。
三重結合を1つ有する鎖状アルキンの場合は、一般に「CkH2k−3−」(ここで、kは2以上の整数である)で表される。三重結合の数は特に限定されず、1個でも、2個以上でもよい。このアルキニル基の構造としては、特に限定されないが、三重結合と単結合とが、交互に繰り返される構造が好ましい。
アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
また、好ましいアルキニル基の構造としては、「−C≡CR34」が挙げられる。このR34は水素でも、アルキル基でもよく、その他の置換基(例えば、アルケニル基、アルキルカルボキシル基、ハロアルキル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基及び置換アリール基等)であってもよい。
従って、重合工程において、触媒をそのまま使用してもよく、触媒を形成する触媒前駆体を使用してもよい。この場合、第1重合体又はビニル系重合体(2)を得る重合反応を行う工程の前に、この触媒前駆体を化学変化させることが好ましい。この触媒前駆体の化学変化は、重合工程における重合反応を行う容器等内で行ってもよく、重合反応を行う容器等と別の容器等で行ってもよい。
また、亜リン酸ジエチル等も用いることができる。
また、ホスファイトは、ホスホン酸のモノエステルであってもよく、ジエステルであってもよい。
イミド化合物としては、コハク酸イミド〔(CH2)2(C=O)2NH〕等が挙げられる。
(2−1)脂肪族二重結合に隣接する炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。特に、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれた炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。例えば、2つの脂肪族二重結合の問に挟まれたメチレンを有する化合物が使用可能である。例えば、下記式(5)で示される構造を有する化合物(1,4−シクロヘキサジエン)が使用可能である。
(2−2)芳香族環に隣接する炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。特に、2つ以上の芳香族環の間に挟まれた炭素原子に水素原子が結合した化合物が使用可能である。例えば、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物。例えば、下記式(6)〜(14)で示される構造を有する化合物が使用可能である。
例えば、1位原子が炭素原子であり、2位原子として2個の炭素原子が存在し、そのうちの1つの炭素原子と1位原子の炭素原子との間に二重結合が存在する化合物を触媒(o)の触媒前駆体として使用することができる。
また、2個以上の2位原子が存在することが好ましく、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位炭素と1位炭素との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。
例えば、1位原子が炭素原子であり、2個の炭素原子が2位原子として存在し、1つの2位原子と1位原子との間の二重結合と、もう1つの2位原子と1位原子との間の単結合とが、共役系の一部となっていることが好ましい。
ない。
上記ラジカル発生剤としては、特に限定されない。このラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物系のラジカル発生剤及びアゾ系のラジカル発生剤等が挙げられる。
触媒前駆体として亜リン酸ジエチル(中心原子を有する触媒前駆体)、及びジヨードキシレン(ハロゲン化合物)を使用し、ラジカル発生剤として過酸化ベンゾイルを使用した場合、以下のように触媒が形成される。
過酸化ベンゾイルから、ラジカルが生じ、この過酸化ベンゾイル由来のラジカルは、亜リン酸ジエチルの水素を引き抜き、過酸化ベンゾイル由来のラジカルはカルボン酸になる。また、水素を引き抜かれた亜リン酸ジエチルはリンラジカルとなり、このリンラジカルはジヨードキシレンのヨウ素、あるいは重合中は、重合体末端のヨウ素を引き抜く。従って、触媒としてのヨウ素リン酸ジエチルが形成される。
また、上記ラジカル発生剤は、重合工程に使用された場合、通常のラジカル開始剤と同様に、重合を進行させる役割も有する。
上記有機ハロゲン化合物を開始剤として用いると、上記触媒の作用により、有機ハロゲン化合物に由来するハロゲン原子(以下、「ハロゲン原子(b)」という。)が、ビニル系単量体が重合して形成される第1重合体等の成長鎖の末端に位置することとなる。そして、上記重合工程において、成長鎖の末端におけるハロゲン原子(b)が、触媒のハロゲン原子(a)と交換されながら、ハロゲン原子(a)又は(b)が重合過程の重合体末端を移動し、リビングラジカル重合での反応途中の成長鎖を保護する保護基となる。
また、上記炭素(X)に結合しているハロゲン原子の数は、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が更に好ましい。
また、上記炭素(X)は、炭素原子が結合していることが好ましい。炭素(X)に結合している炭素原子の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3が更に好ましい。
また、有機ハロゲン化合物のハロゲン原子(b)は、触媒のハロゲン原子(a)と同一であっても良く、異なってもよい。ハロゲン原子(b)と、ハロゲン原子(a)とが異種のハロゲン原子であっても、有機ハロゲン化合物と触媒との間で、ハロゲン原子を交換することが可能である。但し、ハロゲン原子(b)と、ハロゲン原子(a)とが同一であれば、有機ハロゲン化合物と触媒との間でのハロゲン原子の交換が良好に行われることから好ましい。これらの有機ハロゲン化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、重合工程において、使用した開始剤が、単官能の開始剤である場合、得られる第1重合体及びビニル系重合体(2)は、片末端のみにハロゲン原子を有する。この場合、ハロゲン原子を備えてないもう一方の末端は、開始剤からハロゲン原子を除いた残部の構造を有する。
また、2官能の開始剤を使用した場合、得られる第1重合体及びビニル系重合体(2)は、両末端にハロゲン原子を有する。
また、上記一般式(16)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(17)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(18)において、R55は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(18)において、R58及びR59は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル基の場合は、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。R58及びR59は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(18)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(19)において、R60は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(19)において、R63及びR64は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル基の場合は、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。R63及びR64は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(19)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(20)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(21)において、R69は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(21)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(22)において、R75は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(22)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(23)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(24)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
また、上記一般式(25)において、R88は、炭素数1〜20の二価のアルキレン基であり、分岐を有するものでも、直鎖状のものでも構わない。
また、上記一般式(25)において、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子であり、複数のハロゲン原子は同一であっても、異なっていてもよい。
上記アゾ系化合物としては、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}等が挙げられる。
また、上記有機過酸化物としては、Disuccinic acid peroxide(例えば、「パーロイルSA」、日本油脂製)等が挙げられる。
上記開始剤前駆体(b)としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の単体が挙げられる。これらのハロゲン単体のうち、塩素、臭素及びヨウ素が好ましく、ヨウ素が更に好ましい。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル系化合物は、不飽和カルボン酸化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物、アミド基含有不飽和化合物、アルコキシル基含有不飽和化合物、シアノ基含有不飽和化合物、ニトリル基含有不飽和化合物等が挙げられる。以下に化合物を例示するが、(メタ)アクリロイル基を有さない不飽和化合物も含む。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステルが挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル等としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、その他のビニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル系化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましく、メタクリル酸エステル化合物が更に好ましい。
(メタ)アクリル系化合物の使用割合としては、第1重合体を形成する上記ビニル系単量体全量を100質量%としたときに、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、第1重合体を形成するビニル系単量体に使用する(メタ)アクリル系化合物の全量を100質量%としたときに、(メタ)アクリル酸エステル化合物の使用割合は、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
更に、第1重合体を形成する上記ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物)を含む場合、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物の使用量の割合は、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%が好ましく、70〜100質量%及び0〜30質量%がより好ましく、90〜100質量%及び0〜10質量%が更に好ましい。上記化合物の使用割合が上記範囲の場合には、強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
また、上記の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジメチルシラン及びビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類;(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル及び(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等が挙げられる。この中で、上記のビニル系不飽和化合物との共重合性や、湿気硬化性組成物から得られる硬化物の柔軟性等より、メトキシ基又はエトキシ基を有するビニルシラン又はシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。これら加水分解性シリル基を有する単量体についても、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル系化合物の使用割合としては、他の単量体全量を100質量%としたときに、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、他の単量体として、(メタ)アクリル酸エステル化合物(メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物)を使用する場合、メタクリル酸エステル化合物及びアクリル酸エステル化合物の使用量の割合は、両者の合計を100質量%としたときに、それぞれ50〜100質量%及び0〜50質量%が好ましく、70〜100質量%及び0〜30質量%がより好ましく、90〜100質量%及び0〜10質量%が更に好ましい。上記化合物の使用割合が上記範囲の場合には、強度及び弾性に優れる硬化物を与えることができる。
また、重合溶媒の使用量は、ビニル系単量体全量100質量部に対し、好ましくは0〜200質量部であり、より好ましくは0〜100質量部であり、更に好ましくは0〜50質量部である。重合溶媒が200質量部を超えると、重合溶媒に起因する連鎖移動反応が発生し、分子量制御、分子量分布(分散度)制御、及び末端のリビング性等の重合制御が困難になる場合がある。
また、ビニル系重合体(2)も、第1重合体と同様に分子末端にハロゲン原子(末端ハロゲン)を有する。従って、ビニル系重合体(2)も以下の第2工程に供することにより、加水分解シリル基を分子末端に有するビニル系重合体とすることができる。ビニル系重合体(2)を末端変性させる場合の工程としては、第1重合体を末端変性させる第2工程をそのまま用いることができる。
この第2工程においては、例えば、以下の態様(方法)が挙げられる。これらの方法によれば、第1重合体を劣化させずに、効率よく末端変性させることができる。
(1)下記一般式(41)で表される化合物と第1重合体とを反応させる、ハロゲン−アミノ置換反応のよる加水分解性シリル基の導入。
また、上記(1)の方法は、第1重合体と上記一般式(41)で表される化合物とを反応させる。そして、第1重合体の分子末端のハロゲンと、上記一般式(41)が有するアミノ基との置換反応により、第1重合体における末端ハロゲン部に、上記一般式(41)で表される化合物由来の、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(1)が得られる。
上記一般式(41)で表される化合物の使用量は、末端ハロゲン1当量に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応を行う場合、使用する溶媒は、特に限定はされないが、この反応は、置換反応であるため、極性溶媒を使用することが好ましい。この極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及びアセトニトリル等が挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
また、上記(2)の方法は、第1重合体と上記一般式(42)で表される化合物とを反応させる。第1重合体の分子末端のハロゲン原子と、上記一般式(42)が有するメルカプト基との置換反応により、第1重合体における末端ハロゲン部に、上記一般式(42)で表される化合物由来の、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(1)が得られる。
上記一般式(42)で表される化合物の使用量は、末端ハロゲン1当量に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応を行う場合、使用する溶媒は、特に限定はされないが、この反応は、置換反応であるため、極性溶媒を使用することが好ましい。この極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及びアセトニトリル等が挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されないが、通常、0〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。
また、上記(3)の方法は、第1重合体と上記一般式(43)で表される化合物とを反応させる。
但し、(3)の方法においては、第1重合体が、第1工程において、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有する単官能の開始剤を用いて得られた重合体である。具体的には、開始剤前駆体(a)として、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有するアゾ系開始剤を用い、開始剤前駆体(b)として、ヨウ素を用いて得られた重合体等である。このカルボキシル基又はヒドロキシル基を有するアゾ系開始剤としては、例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2‘−アゾビス−{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド等が挙げられる。
従って、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有する単官能の開始剤を用いて得られた第1重合体は、分子末端の一方に、開始剤由来のカルボキシル基又はヒドロキシル基を有する。
そして、その第1重合体が末端に有するカルボキシル基又はヒドロキシル基と、上記一般式(43)で表される化合物が有するカルボキシル基又はヒドロキシル基反応可能な官能基とが反応し、上記一般式(43)で表される化合物由来の、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(1)が得られる。
上記一般式(43)で表される化合物の使用量は、第1重合体が有するカルボキシル基及びヒドロキシル基1当量に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応を行う場合、使用する溶媒は、特に限定はされない。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及びアセトニトリル等が挙げられる。
また、この反応における、反応温度は限定されない。通常、反応温度は80℃〜200℃であることが好ましく、100℃〜170℃がより好ましく、110℃〜150℃が更に好ましい。反応温度が200℃を越えると末端のニトロオキサイドがはずれ、バックバイティング反応やベータ開裂がおき、低分子量成分が増え、得られる硬化物の強度及び弾性が低下する場合がある。また、80℃より低いと反応が遅く、生産効率を著しく悪くする。
上記反応触媒の添加量は、末端にカルボキシル基もしくはヒドロキシル基を有する第1重合体の質量を100質量%とした場合に、0.1〜2質量%が好ましく、0.2〜1質量%がより好ましく、0.3〜0.5質量%が更に好ましい。触媒量が0.1質量%より少ないと、触媒効果が小さく生産性を向上できない場合がある。一方、触媒量が2質量%を越えると、反応触媒が湿気硬化性組成物の沈殿物となる場合がある。
この脱溶工程としては、特に限定されないが、一般的に行われている脱溶方法(脱溶プロセス)を用いることがでる。例えば、流下式蒸発機、薄膜蒸発機及び押出機式乾燥機等を使用する方法が挙げられる。
脱溶の温度条件は、好ましくは250℃以下(通常、10℃以上)であり、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは100℃以下である。250℃以下であれば、ビニル系重合体が有する加水分解性シリル基が、ビニル系重合体から解離せず、且つビニル系重合体の分解が生じ難い。一方、250℃を超える場合には、ビニル系重合体が有する加水分解性シリル基が解離する場合があり、また、ビニル系重合体が一部分解し低分子量物が生成される場合がある。また、着色も発生する場合がある。
上記ビニル系単量体として、(メタ)アクリル系化合物を用いた場合、本発明により得られるビニル系重合体は、この(メタ)アクリル系化合物に由来する単位を主鎖に含む重合体((メタ)アクリル系重合体)である。本発明においては、ビニル系重合体は、この(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
上記ビニル系重合体が有する加水分解性シリル基は、湿気架橋反応性を有する。この架橋反応性は、ビニル系重合体が有する加水分解性シリル基及び湿気(水)が反応して開始される架橋反応に由来する性質である。
また、ビニル系重合体(2)は、加水分解性シリル基を含有する不飽和化合物を用いて得られた重合体であり、このビニル系重合体(2)は、分子鎖中にビニル系単量体由来の加水分解性シリル基を有する重合体である。更に、このビニル系重合体(2)が、末端変性された場合、分子末端にも加水分解性シリル基を有する重合体となる。
末端変性されない場合のビニル系重合体が有する加水分解性シリル基の平均数は、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.4〜4.0であり、更に好ましくは1.8〜3.5である。
また、末端変性された(末端変性後の)ビニル系重合体(2)が有する加水分解性シリル基の平均数は、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.4〜4.0であり、更に好ましくは1.8〜3.5である。
尚、加水分解性シリル基の平均数(個数f(Si))は、以下のように計算される。
平均数(個数f(Si))=上記ビニル系重合体中の加水分解性シリル基(アルコキシシリル基)の濃度[mol/kg]/(1000/数平均分子量)
平均数(個数f(Si))が、1.0個より小さいと、硬化物は架橋密度が小さいくなり、破断強度が弱くなる場合がある。一方、10.0個より大きいと、架橋密度が高くなり、脆くて伸びない硬化物となる場合がある。
この加水分解性シリル基を有する重合体としては、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体、及び、一般のラジカル重合よって合成された、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体が挙げられる。
また、加水分解性シリル基を有する重合体を使用する場合の使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、0.1〜10質量部が特に好ましい。
無機フィラーを用いることにより強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー及び活性亜鉛華等の使用が好ましい。この場合の無機フィラーの使用量は、ビニル重合体100質量部に対して0.1〜250質量部が好ましく、80〜180質量部がより好ましい。
また、低強度で伸びが大きい硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛及びシラスバルーン等の使用が好ましい。この場合の無機フィラーの使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して、0.1〜200質量部が好ましく、80〜150質量部がより好ましい。これら無機フィラーは1種類で使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
また、上記可塑剤としては、市販品を用いることができる。この市販品としては、東亞合成社製の、(商品名)「ARUFON(登録商標、以下同様) UP1000」、(商品名)「ARUFON UP1010」、(商品名)「ARUFON UP1020」、(商品名)「ARUFON UP1060」、(商品名)「ARUFON UP1080」、(商品名)「ARUFON UP1110」、(商品名)「ARUFON UH2000」、及び(商品名)「ARUFON UH2130」等が挙げられる。
また、上記可塑剤を使用する場合の使用量は、ビニル系重合体100質量部に対して0.1〜400質量部が好ましく、0.1〜200質量部がより好ましく、0.1〜100質量部が特に好ましい。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及び蓚酸アニリド系化合物等が挙げられる。
上記チクソ性付与剤としては、アマイドワックス系、及びシリカ系等のチクソ性付与剤が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
上記老化防止剤としては、上記光安定剤、上記紫外線吸収剤、及び上記酸化防止剤等の混合物が挙げられる。
また、本発明におけるビニル系重合体を含有しない硬化促進組成物と、硬化触媒等を含有しない湿気硬化性組成物と、を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
尚、上記硬化促進組成物としては、上記硬化触媒、上記充填材、及び上記可塑剤等の成分を配合した組成物とすることができる。
これらのうち、取り扱いが容易あり、使用(施工)時のミスの発生が少ない1成分型がより好ましい。
また、合成例、実施例及び比較例における「Mn」は、数平均分子量を意味し、「Mw」は、重量平均分子量を意味し、Mw/Mnは分散度を意味する。この「Mn」及び「Mw」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で算出された値である。
また、実施例及び比較例でのビニル系重合体における、加水分解性シリル基であるアルコキシシリル基の数(平均数)は、1H−NMRスペクトルにより測定した積分値から、下記式により算出した平均数である。
アルコキシシリル基数f(Si)=(アルコキシシリル基由来の積分値)/〔(単量体由来の積分値)/(重合度)〕
合成例1〔第1重合体Aの合成〕
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器(1リットルの褐色セパラブルフラスコ)に、ビニル系単量体としてメタクリル酸ラウリル(以下「LMA」ともいう。)314部及びアクリル酸ブチル(以下「BA」ともいう。)46部と、ジヨードキシレン3.7部と、亜リン酸ジエチル0.18部と、過酸化ベンゾイル(以下「BPO」ともいう。)1.2部と、オルト酢酸メチル(以下「MOA」ともいう。)154部と、を仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、75%であり、BAの重合率を測定したところ、70%であった。次いで、末端変換剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下「APTES」ともいう。)を5.5部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Aを得た。得られた重合体AのGPC測定を行ったところ、Mw37000、Mn22000、Mw/Mn1.7であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、235000mPa・sであった。また、重合体Aの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Aの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体AのMw、Mn、Mw/Mn、粘度及び官能基数を表1に示す。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
また、上記過酸化ベンゾイルは、ラジカル発生剤として使用した。この過酸化ベンゾイル由来のラジカルは、亜リン酸ジエチルの水素原子を引き抜き、水素原子が引き抜かれた亜リン酸ジエチルは、リンラジカルになる。そして、このリンラジカルは、ジヨードキシレン及び重合中の分子末端のヨウ素原子を引き抜く。そして、ヨウ素リン酸ジエチルからなる触媒が形成される。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA312部及びBA45部と、ジヨードキシレン6.3部と、亜リン酸ジエチル0.30部と、ラジカル発生剤としてBPO2.1部と、溶媒としてMOA135部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、77%であり、BAの重合率を測定したところ、69%であった。次いで、末端変換剤としてAPTESを9.3部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Bを得た。得られた重合体BのGPC測定を行ったところ、Mw27000、Mn16300、Mw/Mn1.7であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、165000mPa・sであった。また、重合体Bの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.8であった。また、重合体Bの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体BのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA315部及びBA46部と、ヨウ素1.3部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」ともいう)1.7部及び亜リン酸ジエチル0.18部と、溶媒としてMOA136部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が80℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、LMAの重合率を測定したところ、72%であり、BAの重合率を測定したところ、60%であった。次いで、末端変換剤としてAPTESを2.7部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Cを得た。得られた重合体CのGPC測定を行ったところ、Mw25000、Mn13300、Mw/Mn1.9であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、223000mPa・sであった。また、重合体Cの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は0.9であった。また、重合体Cの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体CのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、ヨウ素は、触媒前駆体及び開始剤前駆体として使用した。AIBNは、開始剤前駆体として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA313部及びBA46部と、ヨウ素1.3部、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸(以下「ACVA」ともいう。)2.8部及び亜リン酸ジエチル0.09部と、溶媒としてMOA136部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が80℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、LMAの重合率を測定したところ、77%であり、BAの重合率を測定したところ、69%であった。次いで、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下「GPTS」ともいう)2.9部、テトラブチルアンモニウムブロマイド(以下「TBAB」ともいう)2.0部、及びAPTES2.7部を加え、更に、4時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のGPTS及びAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Dを得た。得られた重合体DのGPC測定を行ったところ、Mw38900、Mn22100、Mw/Mn1.8であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、253000mPa・sであった。また、重合体Dの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Dの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体DのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、ヨウ素は、触媒前駆体及び開始剤前駆体として使用した。ACVAは、開始剤前駆体として使用した。亜リン酸ジエチルは触媒前駆体として使用した。
また、得られた第1重合体Dは、下記式(50)に示されるように、一方の末端にハロゲン原子を有し、他方の末端に開始剤由来の構造(カルボキシル基)を有する。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA314部及びBA46部と、N−ヨードコハク酸イミド(以下、「NIS」ともいう。)0.03部と、ジヨードキシレン3.7部と、溶媒としてMOA135部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、76%であり、BAの重合率を測定したところ、71%であった。次いで、末端変換剤としてAPTESを5.5部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Eを得た。得られた重合体EのGPC測定を行ったところ、Mw38500、Mn23000、Mw/Mn1.67であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、223000mPa・sであった。また、重合体Eの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Eの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体EのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、NISは、触媒として使用した。ジヨードキシレンは、開始剤前駆体として使用した。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA314部及びBA46部と、ジヨードキシレン3.7部と、ビタミンE1.1部と、ラジカル発生剤としてBPO1.2部と、溶媒としてMOA135部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、74%であり、BAの重合率を測定したところ、70%であった。次いで、末端変換剤としてAPTESを5.5部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Fを得た。得られた重合体FのGPC測定を行ったところ、Mw35000、Mn24000、Mw/Mn1.46であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、203000mPa・sであった。また、重合体Fの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Fの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体FのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。ビタミンEは、触媒前駆体として使用した。
オイルジャケットを備えた容積1リットルの加圧式攪拌槽型反応器に、ビニル系単量体としてLMA314部及びBA46部と、ジヨードキシレン3.7部及び1,4−シクロヘキサジエン0.04部と、ラジカル発生剤としてBPO1.2部、溶媒としてMOA135部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から3時間後、LMAの重合率を測定したところ、74%であり、BAの重合率を測定したところ、70%であった。次いで、末端変換剤としてAPTESを5.5部加え、更に、1時間反応させた。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液から、過剰のAPTESを精製除去した後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Gを得た。得られた重合体GのGPC測定を行ったところ、Mw37000、Mn23800、Mw/Mn1.6であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、254000mPa・sであった。また、重合体Gの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Gの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体GのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表1に示す。
尚、ジヨードキシレンは、触媒前駆体及び開始剤として使用した。1,4−シクロヘキサジエンは、触媒前駆体として使用した。
オイルジャケットを備えた耐圧式攪拌槽型ガラス反応器において、ビニル系単量体としてBA360部と、下記式(51)に示されるリビングラジカル重合開始剤(以下、「SG1−MAA」ともいう。)9.0部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6.1部と、テトラブチルアンモニウムブロマイド(以下、「TBAB」ともいう)1.8部と、溶媒として酢酸ブチル108部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を120℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が120℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、BAの重合率を測定したところ、88%であった。次いで、反応液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」ともいう)6.5部を添加し、120℃のまま4時間反応させた。この時点で、BAの重合率を測定したところ95%であった。また、MTMSの重合率を測定したところ98%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を減圧度0.3kPa、温度90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、重合体Hを得た。得られた重合体HのGPC測定を行ったところ、Mw39900、Mn14800、Mw/Mn2.7であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、354000mPa・sであった。リビングラジカル重合開始剤(下記式(51))のカルボキシル基の反応率は97%であった。また、重合体Hの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Hの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体HのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表2に示す。
オイルジャケットを備えた耐圧式攪拌槽型ガラス反応器において、ビニル系単量体としてBA339部と、下記式(52)に示されるリビングラジカル重合開始剤(以下、「DBTTC」ともいう。)5.1部と、重合開始剤としてアゾビスイソバレロニトリル(以下、「AIVN」ともいう)0.3部と、溶媒として酢酸ブチル147部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を70℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始した。その際に、反応液の温度が70℃に保たれるようジャケット温度を調整した。重合開始から6時間後、BAの重合率を測定したところ、88%であった。次いで、反応液にMTMS8.7部を添加し、70℃のまま4時間反応させた。この時点で、BAの重合率を測定したところ95%であった。また、MTMSの重合率を測定したところ98%であった。次いで、反応系を冷却した後、得られた反応液を抜き出した。そして、反応液を減圧度0.3kPa、温度90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、重合体Iを得た。得られた重合体IのGPC測定を行ったところ、Mw38000、Mn18800、Mw/Mn2.0であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、374000mPa・sであった。リビングラジカル重合開始剤(下記式(52))のカルボキシル基の反応率は97%であった。また、重合体Iの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Iの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体IのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表2に示す。
温度制御可能なウォーターバスに攪拌機、温度計、送液ポンプ、窒素導入管及びコンデンサーを備えた2リッター4つ口フラスコ(反応器)において、ビニル系単量体としてBA48.8部と、MTMS1.3部と、重合開始剤としてAIVN0.5部と、溶媒としてMOA350部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始し、引き続き、BA438.8部、MTMS11.3部、AIVN5部及びMOA150部からなる混合液を4時間にわたりフラスコへ連続供給し、反応器内の反応温度が80℃に一定に保てるように外温度を制御した。同温度で送液終了後、AIVN0.5部を反応液に更に添加し1時間反応(熟成)させ、次いで、反応系を冷却した。1時間の熟成及び冷却後、BAの重合率を測定したところ、96.8%であり、MTMSの重合率を測定したところ、反応率96.3%であった。その後、溶媒と残存モノマー等の揮発成分を除去するために、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Jを得た。得られた重合体JのGPC測定を行ったところ、Mw99600、Mn25100、Mw/Mn4.0であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、609000mPa・sであった。また、重合体Jの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は2.5であった。また、重合体Jの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体JのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表2に示す。
温度制御可能なウォーターバスに攪拌機、温度計、送液ポンプ、窒素導入管及びコンデンサーを備えた2リッター4つ口フラスコ(反応器)において、ビニル系単量体としてBA48.8部と、MTMS1.3部と、重合開始剤としてAIVN0.65部と、溶媒としてMOA350部とを仕込んだ。その後、反応器内を、窒素ガスを用いたバブリングにより、十分に脱気した。次いで、内温を80℃とし、反応系を撹拌しながら、重合を開始し、引き続き、BA438.8部、MTMS11.3部、AIVN6.5部及びMOA150部からなる混合液を4時間にわたりフラスコへ連続供給し、反応器内の反応温度が80℃に一定に保てるように外温度を制御した。同温度で送液終了後、AIVN0.65部を反応液に更に添加し1時間反応(熟成)させ、次いで、反応系を冷却した。1時間の熟成及び冷却後、BAの重合率を測定したところ、96.8%であり、MTMSの重合率を測定したところ、反応率96.3%であった。その後、溶媒と残存モノマー等の揮発成分を除去するために、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけて蒸発機で減圧乾燥し、重合体Kを得た。得られた重合体KのGPC測定を行ったところ、Mw76000、Mn19600、Mw/Mn3.9であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、500000mPa・sであった。また、重合体Kの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。また、重合体Kの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体KのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表2に示す。
オイルジャケットを備えた耐圧式攪拌槽型ガラス反応器において、オイルジャケット温度を200℃に保った。次いで、ビニル系単量体としてBA97部と、MTMS3.0部と、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(以下、「DTBP」ともいう)0.2部と、溶媒としてイソプロパノール(以下、「IPA」ともいう)10部とからなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。次いで、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器内の混合液質量が580部の一定量となるように、重合物を反応器出口から連続的に抜き出した。その際の反応器内温は、180℃となるように、ジャケット温度を185℃に調整した。さらに抜き出した反応物(重合物)を、減圧度20kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機により、連続的に揮発成分を分離し、揮発成分をほとんど含まない重合体を回収した。単量体混合物の供給開始後、反応器内部の温度が安定してから、更に36分経過後を、平衡状態に達したと状態と判断し、この36分経過後を薄膜蒸発後の樹脂の回収開始点とし、回収開始点から180分間、原料の供給を継続した結果、約7000部の重合体Lを得た。得られた重合体LのGPC測定を行ったところ、Mw13000、Mn4200、Mw/Mn3.1であった。また、E型粘度(25℃)の測定を行ったところ、55000mPa・sであった。また、重合体Lの高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は0.5であった。また、重合体Lの合成に使用したビニル系単量体、開始剤(開始剤前駆体)、触媒(触媒前駆体)、並びに重合体LのMw、Mn、Mw/Mn、E型粘度(25℃)及び官能基数を表2に示す。
(1)湿気硬化性組成物の製造
上記により得られた重合体A〜Lと、下記のアクリル系可塑剤、炭酸カルシウム、老化防止剤、アミノシラン、ビニルシラン、硬化触媒及び変性シリコーンとを用いて、表3及び表4に示す配合により湿気硬化性組成物を調製した。
(a)アクリル系可塑剤:商品名「ARUFON UP−1000」(Mw2900、Mn1600)、東亞合成社製
(b)炭酸カルシウム:軽炭(商品名「白艶華CCR」、白石カルシウム社製)と重炭(商品名「スーパーSS」、丸尾カルシウム社製)との混合物。配合割合(軽炭:重炭)は、質量基準で、50:50とした。
(c)老化防止剤:液状紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の混合物(商品名「チヌビンB75」、チバスペシャリティー社製)
(d)密着性付与剤:アミノシラン、1級及び2級アミノ基を含有するアミノシラン(商品名「A−1120」、日本ユニカー社製)
(e)ビニルシラン:ビニルトリメトキシシラン(商品名「A−171」、日本ユニカー社製)
(f)硬化触媒:ジブチル錫ジアセチルアセトナート
(g)変成シリコーン:シリル基含有ポリアルキレンオキサイド(オキシアルキレン重合体)(商品名「エクセスターESS2420」、旭硝子社製)
(2−1)破断強度及び破断伸び
上記の湿気硬化性組成物を型枠に充填し、23℃、50%RHで6日間、次いで50℃、飽和水蒸気雰囲気下で1日間養生し、厚さ2mmのシート(硬化物)を作製した。
そして、上記シート(硬化物)について、厚さ引張り試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、下記条件下で、引張り試験機(東洋精機製、テンシロン200)により、破断強度[Ts(MPa)]、及び破断伸び[EI(%)]を測定した。評価結果を表5及び表6に示す。
試験片;2号ダンベル形状(長さ40mm、幅10mm、厚さ2mm)
つかみ具間距離;40mm
引張速度;5cm/分
温度;23℃
相対湿度;50%
上記の湿気硬化性組成物を、アルミ基板上に、厚さ2mmで塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して、厚さ2mmのシート(硬化物)を作製した。
そして、上記シート(硬化物)について、メタリングウェザーメーター(商品名「DAIPLA METAL WEATHER KU−R5NCI−A」、ダイプラ・ウィンテス社製)により、促進耐候性試験を行なった。
耐候性の評価は、試験開始から150時間毎に、シートを目視により観察し、シート表面のクラックの有無(発生)を判定し、下記の基準により評価した。評価結果を表5及び表6に併記する。
〇:クラックは発生せず、変化なし。
△:微小なクラックが発生した。
×:クラックが発生した。
上記の湿気硬化性組成物を、アルミ基板上に、ヘラを用いて厚さ2mmで塗布し、塗膜を形成した際の作業性について、下記の基準により評価をした。評価結果を表5及び表6に併記する。
〇:ヘラで容易に塗布でき、得られた塗膜表面が平滑であり、作業性が良好。
△:ヘラで容易に塗布できるが、得られた塗膜表面が平滑でなく、作業性が悪い。
×:ヘラで容易に塗布できなく、得られた塗膜表面も平滑でなく、作業性が非常に悪いと評価した。
上記の湿気硬化性組成物を型枠に充填し、23℃、50%RHで6日間、次いで50℃、飽和水蒸気雰囲気下で1日間養生し、厚さ2mmのシート(硬化物)を作製した。そして、そのシート(硬化物)を用いて、長さ20mm、幅20mm、厚さ2mm)の試験片を作製した。この試験片を150℃のオーブンに入れ、24時間後に取り出し、試験片の表面状態を目視により観察し、下記評価基準により評価した。評価結果を表5及び表6に併記する。
○:表面状態は変化なし。
×:表面状態は、クラックが発生し、表面状態が変化していた。
上記の湿気硬化性組成物を型枠に充填し、23℃、50%RHで6日間、次いで50℃、飽和水蒸気雰囲気下で1日間養生し、厚さ2mmのシート(硬化物)を作製した。そして、そのシート(硬化物)を用いて、長さ20mm、幅20mm、厚さ2mm)の試験片を作製した。この試験片を23℃、50%RH条件下に30日間放置した後、触手により、液状分のブリードが発生していないか確認し、ブリード性を下記評価基準により評価した。評価結果を表5及び表6に併記する。
○:ブリード無し。
×:ブリード有り。
尚、本発明でのビニル系重合体において、末端変性させることにより分子末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体は、円滑に加水分解性シリル基を分子末端に導入されており、ほぼ確実に加水分解性シリル基を分子末端に有する重合体である。それにより、このビニル系重合体を含有する本発明の湿気硬化性組成物は、破断強度、破断伸び、耐候性、作業性、耐熱性及びブリード性のいずれにおいても優れる硬化物を得ることができる。
一方、本発明における触媒を使用せずに、リビングラジカル重合により得られたビニル系重合体を含有する湿気硬化性組成物から得られる硬化物において、比較例1では、耐候性、作業性、耐熱性及びブリード性については問題なかったが、破断伸び、及び破断強度と破断伸びとのバランスが劣ることが分かる。また、比較例2では、耐候性も良くなかった。
また、通常のラジカル重合により得られたビニル系重合体を含有する、比較例3〜7の湿気硬化性組成物から得られる硬化物は耐候性が劣り、更に、作業性、耐熱性及びブリード性の劣るものあった。
Claims (2)
- 加水分解性シリル基を有し、且つ 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0未満であるビニル系重合体と、無機フィラー、可塑剤、密着性付与剤、溶剤、脱水剤、光安定剤、紫外線吸収剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤及び硬化触媒から選ばれる成分と、を配合して、湿気硬化性組成物を製造する方法であって、
上記ビニル系重合体は、リン、窒素、炭素及び酸素から選ばれる少なくとも1種の中心元素と、該中心元素に結合したハロゲン原子と、を含む化合物からなる触媒の存在下で、リビングラジカル重合により製造され、
リン原子を中心元素とする上記触媒は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
窒素原子を中心元素とする上記触媒は、ヨウ化コハク酸イミド、ヨウ化マレイミド及びヨウ化フタルイミドから選ばれるハロゲン化イミドであり、
炭素原子を中心元素とする上記触媒は、炭素原子を有する触媒前駆体(c)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
酸素原子を中心元素とする上記触媒は、酸素原子を有する触媒前駆体(o)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
上記触媒前駆体(c)は、2つの脂肪族二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物、2つの芳香族環の間に挟まれたメチレンを有する化合物、又は2つのエステル結合における2つの二重結合の間に挟まれたメチレンを有する化合物であり、
上記触媒前駆体(o)は、芳香族環にヒドロキシル基が結合した構造を有する化合物、又はビタミンCであり、
上記触媒前駆体(b)は、ハロゲン原子を有する化合物、又はハロゲンであることを特徴とする湿気硬化性組成物の製造方法。
R1 nMhX1 m(…Z)k (1)
[一般式(1)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、芳香族炭化水素環数が1〜3のアリール基、又は芳香族炭化水素環数が1〜3の置換アリール基であり、Mはリン原子であり、X1はハロゲン原子であり、Zは酸素原子であり、且つMに結合している。nは0〜(4×h)の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1〜(5×h)の整数であり、kは0〜(2×h)の整数であり、hが2以上の場合、R1、M及びX1は、それぞれ独立して、複数の原子Mのいずれに結合していてもよく、MとZとの結合である「…」は二重結合又は三重結合を示す。] - 上記触媒は、リン原子を中心元素とする触媒であり、該触媒は、リン原子を有する触媒前駆体(p)と、ハロゲン原子を有する触媒前駆体(b)と、から得られ、
上記触媒前駆体(p)は、一般式R1 2PH(=O)で表されるリン化合物(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜10のアルキルカルボニル基)であり、
上記触媒前駆体(b)は、ハロゲン、又は、ハロゲン原子の数が2以下であり、炭素−ハロゲン結合を少なくとも1つ有する有機ハロゲン化合物である請求項1に記載の湿気硬化性組成物の製造方法。
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