JP2007064842A - 試料検査装置、試料検査方法及びプログラム - Google Patents

試料検査装置、試料検査方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【目的】 擬似欠陥を低減させる試料検査を行う方法および装置を提供することを目的とする。
【構成】 パターン形成された被検査試料の測定データを取得する光学画像取得部150と、前記被検査試料のパターン形成の基となる第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する展開回路111と、測定データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう比較回路108と、を備え、比較回路108において、さらに、第2の設計パターンに基づいて生成される第2の設計画像データを入力し、前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと測定データとの比較を行なうことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料検査装置、試料検査方法、或いは、かかる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係り、例えば、半導体製造に用いる試料となる物体のパターン欠陥を検査するパターン検査技術に関し、半導体素子や液晶ディスプレイ(LCD)を製作するときに使用されるフォトマスク、ウェハ、あるいは液晶基板などの極めて小さなパターンの欠陥を検査する装置に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができるパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。電子ビーム描画装置については、文献にも記載されている(例えば、特許文献1参照)。或いは、電子ビーム以外にもレーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発が試みられており、文献に開示されている(例えば、特許文献2参照)。
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
一方、マルチメディア化の進展に伴い、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)は、500mm×600mm、またはこれ以上への液晶基板サイズの大型化と、液晶基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等のパターンの微細化が進んでいる。従って、極めて小さいパターン欠陥を広範囲に検査することが要求されるようになってきている。このため、このような大面積LCDのパターン及び大面積LCDを製作する時に用いられるフォトマスクの欠陥を短時間で、効率的に検査する試料検査装置の開発も急務となってきている。
ここで、従来のパターン検査装置では、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行うことが知られている(例えば、特許文献3参照)。
例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die検査」や、マスクパターンを描画する時に使用したCADデータを検査装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンの情報)をベースに設計画像データを生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像データとを比較する「die to database検査」がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
ここで、近年、設計パターンの線幅が細くなり、また光近接効果補正(OPC)用の微細パターンの存在により設計画像データと測定データとなる光学画像データとを一致させることが困難になり本来欠陥と判定してほしくないものを欠陥と判定してしまう(擬似欠陥)ケースが散見されるようになってきた。
これに対しては、設計画像データ(イメージデータ)からOPCパターンを自動的に検出して擬似欠陥を減らす方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−237445号公報 米国特許5386221号公報 特開平8−76359号公報 特許第3413110号公報
欠陥が試料内に出現した場合、ユーザによって欠陥のレビューが行なわれることが一般的である。しかし、上述した光近接効果補正(OPC)用の微細パターン等は、かなり多く(例えば、数万箇所)配置されているため、これら全てが欠陥と判定されてしまうとユーザによって欠陥のレビューを行なうにも作業量的及び時間的に限界を超えてしまう。上述のように擬似欠陥が試料内に多く出現した場合には検査そのものがやり直しとなってしまうといった問題があった。或いは、高価な試料そのものを再製作することになってしまうといった問題があった。
本発明は、上述した問題点を克服し、擬似欠陥を低減させる試料検査を行う方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の試料検査装置は、
パターン形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記被検査試料のパターン形成の基となる第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する設計画像データ生成部と、
前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう比較部と、
を備え、
前記比較部において、さらに、第2の設計パターンに基づいて生成される第2の設計画像データを入力し、前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なうことを特徴とする。
そして、本発明の一態様の試料検査方法は、
パターン形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得工程と、
前記被検査試料のパターン形成の基となる第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する第1の設計画像データ生成工程と、
前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう第1の比較工程と、
第2の設計パターンに基づいて第2の設計画像データを生成する第2の設計画像データ生成工程と、
前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なう第2の比較工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、かかる方法を、コンピュータを実行させるためのプログラムにより構成する場合には、
パターン形成された被検査試料における前記パターン形成の基となる第1の設計パターンの情報と、前記第1の設計パターンとは異なる第2の設計パターンの情報とを記憶装置に記憶する記憶処理と、
前記記憶装置に記憶された第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する第1の設計画像データ生成処理と、
前記被検査試料の光学画像データを入力し、前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう第1の比較処理と、
前記記憶装置に記憶された第2の設計パターンに基づいて第2の設計画像データを生成する第2の設計画像データ生成処理と、
前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なう第2の比較処理と、
を備えればよい。
本発明によれば、第1の設計画像データの代わりに第2の設計画像データを使うことでこれまで擬似欠陥となっていたものを低減させることが可能となり、検査のやり直しを防ぐなど装置の有効利用を可能にすることができる。
実施の形態1.
実施の形態1では、上述した擬似欠陥が多く出現するような事態に備えて、通常使う第1の設計パターンとは別に、第2の設計パターンを予め用意することで擬似欠陥を抑制する形態について説明する。これにより装置の有効利用が可能となる。
図1は、実施の形態1における試料検査装置の構成を示す概念図である。
図1において、マスクやウェハ等の基板を試料として、かかる試料の欠陥を検査する試料検査装置100は、光学画像取得部150と制御系回路160を備えている。光学画像取得部150は、XYθテーブル102、光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106、レーザ測長システム122、オートローダ130、照明光学系170を備えている。制御系回路160では、コンピュータとなる制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較部の一例となる比較回路108、第1の設計画像データ生成部の一例となる展開回路111及び参照回路112、第2の設計画像データ生成部の一例となる展開回路140及び参照回路142、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、プリンタ119に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。図1では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分以外については記載を省略している。試料検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれることは言うまでもない。
図2は、実施の形態1における試料検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図2において、試料検査方法は、光学画像取得工程(S202)、第1の設計パターンデータ記憶工程(S212)と、第1の設計画像データ生成工程の一例となる展開工程(S214)、及びフィルタ処理工程(S216)と、比較工程(S218)と、第2の設計パターンデータ記憶工程(S222)と、第2の設計画像データ生成工程の一例となる展開工程(S224)、及びフィルタ処理工程(S226)と、比較工程(S228)という一連の工程を実施する。
S(ステップ)202において、光学画像取得工程として、光学画像取得部150は、第1の設計パターンデータに基づいて第1の設計パターンデータに含まれる図形データが示す図形が描画された試料となるフォトマスク101における光学画像(測定データ)を取得する。具体的には、光学画像は、以下のように取得される。
被検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上に載置され、フォトマスク101に形成されたパターンには、XYθテーブル102の上方に配置されている適切な光源103によって光が照射される。光源103から照射される光束は、照明光学系170を介して試料となるフォトマスク101を照射する。フォトマスク101の下方には、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105及びセンサ回路106が配置されており、露光用マスクなどの試料となるフォトマスク101を透過した光は拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像し、入射する。拡大光学系104は図示しない自動焦点機構により自動的に焦点調整がなされていてもよい。
図3は、光学画像の取得手順を説明するための図である。
被検査領域は、図3に示すように、Y方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプに仮想的に分割され、更にその分割された各検査ストライプが連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、図3に示されるようなスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第1の検査ストライプにおける画像を取得した後、第2の検査ストライプにおける画像を今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第3の検査ストライプにおける画像を取得する場合には、第2の検査ストライプにおける画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査ストライプにおける画像を取得した方向に移動しながら画像を取得する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間を短縮することができる。
フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、TDI(タイムディレイインテグレータ)センサのようなセンサが設置されている。ステージとなるXYθテーブル102をX軸方向に連続的に移動させることにより、TDIセンサは試料となるフォトマスク101のパターンを撮像する。これらの光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106により高倍率の検査光学系が構成されている。
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101はオートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後に自動的に排出されるものとなっている。
センサ回路106から出力された測定データ(光学画像))は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータとともに比較回路108に送られる。測定データは例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を表現している。
S212において、記憶工程として、フォトマスク101のパターン形成時に用いた第1の設計パターンの情報は、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。
S214において、展開工程として、展開回路111は、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して第1の設計パターンの情報を読み出し、読み出された被検査試料となるフォトマスク101の設計図形データとなる第1の設計パターンを2値ないしは多値のイメージデータ(第1の設計画像データ)に変換して、このイメージデータが参照回路112に送られる。
図4は、展開回路の構成の一例を示す図である。
図4において、展開回路111は、階層構造展開回路202、調停回路204、パターン発生回路206、パターンメモリ208、パターン読み出し回路210を有している。そして、パターン発生回路206とパターンメモリ208とで1つの組となって、複数段配置されている。
ここで、第1と第2の設計パターンに含まれる図形は長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる第1の設計パターンの情報が展開回路111に入力されると、階層構造展開回路202は、図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、パターン発生回路206において、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開する。そして、展開された設計画像データは、パターンメモリ208に一時的に蓄積される。言い換えれば、占有率演算部の一例となるパターン発生回路206では、設計パターンデータを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできた各マス目ごとに設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データをパターンメモリ208に出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとしてパターンメモリ208に出力する。
ここで、効率よく複数のパターン発生回路206で並列処理動作を行なわせるため、調停回路204が、各パターン発生回路206への入力データを配分する。そして、パターン読み出し回路210がパターンメモリ208に記憶された占有率データを読み出す。パターン読み出し回路210では、同一画素内の占有率データが存在すれば、かかる占有率データを加算して読み出す。これにより各画素内の図形占有率(階調値)がわかる。
S216において、フィルタ処理工程として、参照回路112は、送られてきた図形のイメージデータである第1の設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。
図5は、フィルタ処理を説明するための図である。
センサ回路106から得られた光学画像としての測定データは、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである第1の設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにして光学画像と比較する参照画像を作成する。
S218において、比較工程(1)として、比較回路108は、試料となるフォトマスク101から得られる透過画像に基づいてセンサ回路106で生成された被検査パターンの測定データとなる光学画像と、展開回路111と参照回路112で生成した第1の設計画像データとなる参照画像とを取り込み、所定のアルゴリズムに従って比較し、欠陥の有無を判定する。
ここで、このままでは、上述したように擬似欠陥が生じてしまう。本実施の形態1では、図1に示す展開回路140及び参照回路142を用いて第2の設計画像データを生成する。上述したように、近年パターンの微細化に伴い、設計画像データと測定データを擬似欠陥がでない程度に一致させることが難しくなってきている。これは試料全面でパターンを均一に描画することの困難さや、局部的に複雑なパターンが形成されていることによることが大きい。そこで、本実施の形態1では、これまで1つであった設計画像データを2つにして2種類の設計画像データと比較させることで擬似欠陥を抑制することを可能にする比較処理システムを構築した。
図6は、試料検査方法における要部工程のフローチャートに従った回路構成のブロック図である。
図6において、測定データは、上述したように、比較回路108に送られる。そして、第1の設計パターンは、展開回路111及び参照回路112により第1の設計画像データに変換され、比較回路108に送られる。一方、第2の設計パターンは、第1の設計パターンの変換手段とは別個の回路系統となる展開回路140及び参照回路142により第2の設計画像データに変換され、比較回路108に送られる。別個の回路系統となる展開回路140及び参照回路142により第2の設計画像データに変換することで、第1の設計パターンの変換処理と第2の設計パターンの変換処理とを並列処理することができる。
S222において、記憶工程として、第2の設計パターンデータは、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。
S224において、展開工程として、展開回路140は、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して第2の設計パターンの情報を読み出し、読み出された第2の設計パターンを2値ないしは多値のイメージデータ(第2の設計画像データ)に変換して、このイメージデータが参照回路142に送られる。
展開回路140は、図4において説明した展開回路111と同様、階層構造展開回路202、調停回路204、パターン発生回路206、パターンメモリ208、パターン読み出し回路210を有している。そして、パターン発生回路206とパターンメモリ208とで1つの組となって、複数段配置されている。
そして、第2の設計パターンに含まれる図形も、第1の設計パターンに含まれる図形と同様、長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる第2の設計パターンの情報が展開回路140に入力されると、階層構造展開回路202は、図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、パターン発生回路206において、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開する。そして、展開された設計画像データは、パターンメモリ208に一時的に蓄積される。言い換えれば、占有率演算部の一例となるパターン発生回路206では、設計パターンの情報を読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできた各マス目ごとに設計パターンデータにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データをパターンメモリ208に出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとしてパターンメモリ208に出力する。
そして、効率よく複数のパターン発生回路206で並列処理動作を行なわせるため、調停回路204が、各パターン発生回路206への入力データを配分する。そして、パターン読み出し回路210がパターンメモリ208に記憶された占有率データを読み出す。パターン読み出し回路210では、同一画素内の占有率データが存在すれば、かかる占有率データを加算して読み出す。これにより各画素内の図形占有率(階調値)がわかる。
S226において、フィルタ処理工程として、参照回路142は、送られてきた図形のイメージデータである第2の設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。
図5は、フィルタ処理を説明するための図である。画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである第2の設計画像データにも、図5において説明したように第1の設計画像データと同様、フィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにして光学画像と比較する第2の参照画像を作成する。
S228において、比較工程(2)として、比較回路108は、試料となるフォトマスク101から得られる透過画像に基づいてセンサ回路106で生成された被検査パターンの測定データとなる光学画像と、展開回路140と参照回路142で生成した第2の設計画像データとなる参照画像とを取り込み、所定のアルゴリズムに従って比較し、欠陥の有無を判定する。
ここで、定常的に測定データを2つの設計画像データと比較してもよいし、図2に示すように、第1の設計画像データとの比較で検出した欠陥部分(NG)が生じた場合に第2の設計画像データとの比較をするというのも比較処理にかかる時間を考慮するとより好適である。言い換えれば、比較回路108において、光学画像データとなる測定データと第1の設計画像データとの比較を行なった結果、差異が所定の閾値を超えた場合に、第1の設計画像データの代わりに第2の設計画像データと測定データとの比較を行なう。さらに、検出した欠陥部分(NG)に対してのみ第2の設計画像データとの比較をするというのも比較処理にかかる時間を考慮するとさらに好適である。
ここで、第1の設計画像データとのみ比較検査した場合に、擬似欠陥を生じやすいパターンについて以下に説明する。
図7は、設計パターンの描画状態を説明するための図である。
例えば、第1の設計パターンにおいて図7(a)に示すような四角形状のパターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると図7(b)に示すように角が丸まり、円形に近い形状になってしまう。そして、かかるマスクを用いてウェハ等に露光すると図7(c)に示すように円形に近い形状で露光される。そこで、四角形状のパターンをウェハまで維持させるため近接効果補正(OPC)技術を用いて第1の設計パターンを修正している。
図8は、OPCパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と検査状態とを説明するための図である。
第1の設計パターンにおいて図8(a)に示すような四角形状の基本パターンの4隅にxy方向に凸に出っ張った四角形状のOPCパターンを配置することで、ウェハ等に露光された形状が、図7(a)と同じ図8(c)のような四角形状のパターンにすることができる。かかる図8(a)に示すようなOPCパターン付の四角形状の基本パターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると図8(b)に示すようにOPCパターン部分の大半は描画されずに一部が基本パターンの4隅に残った形状になる。また、かかる形状が測定データにおける図形形状となる。そして、かかるマスクを用いてウェハ等に露光すると図8(c)に示すように四角形状のパターンが露光される。一方、第1の設計パターンから参照画像となる第1の設計画像データを作成すると図8(d)に示すように基本パターンの外周は変形せずに、OPCパターンの角が丸まり、OPCパターンが円形に近い形状になってしまう。そして、図8(b)に示す形状の測定データと図8(d)に示す形状の第1の設計画像データとを比較回路108で比較すると、OPCパターン部分において差異が大きいため、欠陥(NG)と判断されてしまうことになる。しかしながら、OPCパターンは、そもそも欠陥検査において重要な部分ではないため、本来、欠陥として判定されて欲しくない部分である。
図9は、OPCパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。
図9において、図9(a)は図8(a)と同様の図である。図9(b)は図8(b)と同様の図である。図9(c)は図8(c)と同様の図である。図9(a’)は、第2の設計パターンにおける図形形状を示し、第2の設計画像データに変換した場合に図9(d’)に示すように図9(b)と同様の形状となるように基本パターンの4隅に微小OPCパターンが配置された図形に図形形成されている。言い換えれば、光近接効果補正用のパターンが含まれる第1の設計パターンに対して、第1の設計パターンにおける光近接効果補正用のパターンを所定の形状に変形したパターンを含む第2の設計パターンを用意する。そして、所定の形状として、第1の設計パターンにおける前記光近接効果補正用のパターンの形状よりも小さくした形状を用いることを特徴とする。
そして、図8(d)に示す形状の第1の設計画像データの代わりに、かかる図9(a’)に示す第2の設計パターンに基づいて生成される図9(d’)に示す第2の設計画像データ(第2の参照画像)と図9(b)に示す形状の測定データ(光学画像)との比較を行なうことで、上述したような擬似欠陥の発生を低減させることができる。
ここで、図9(a)(図8(a))に示すようなOPCパターンの場合には、試料上に形成されると図9(c)に示すようなOPCパターンが描画されず基本パターンの形状になる場合もあるため、このような微小図形である微小OPCパターンについては図9(a’)に示す第2の設計パターンから削除してしまうというのも実用的な観点から好適である。
図10は、OPCパターンが配置された第1の設計パターンの他の一例を示す図である。
図10では、第1の設計パターンとして、2つの隣接するラインパターンが形成されている。一方の基本パターン(1)は、直線のラインパターンが形成され、他方の基本パターン(2)は、途中で、線幅を変えずに一端外側に膨らんで、また元に戻る軌跡を描いた形状に形成されている。そして、外側に膨らむことで、内側に空間ができ、直線のラインパターンとの間のスペース(距離)が広がった空間部分に直線のラインパターンとの間のスペース(距離)が他の部分と同じになるように基本パターンより細い線幅のアシストパターンとなるOPCパターンが配置されている。
図11は、図10に示すOPCパターンが配置された第1の設計パターンデータに基づく測定データの形状を示す図である。
図11に示すように、図10に示すOPCパターンが配置された第1の設計パターンにおける図形パターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると図11に示すOPCパターン画像のようにOPCパターンが小さくなってしまう。一方、第1の設計パターンから変換される第1の設計画像データでは、OPCパターンの4隅が丸くなる程度でそれほど小さくはならない。よって、このまま第1の設計パターンから変換される第1の設計画像データと図11に示す測定データとを比較すると欠陥(NG)と判定されてしまうことがある。
以上のように、かかるOPCパターンは図10に示すようにその試料で主として使われているパターンよりもパターン線幅がかなり狭かったり短かったりする。しかも実際にこの設計パターンから描画されている試料上のパターンは図11に示すように、正確にできていないことも多い。これを他のパターンと同様の比較閾値で検査してしまうと、検査装置はこれを欠陥と認識してしまうことがある。
そこで、第2の設計画像データが図11に示す測定データと同様な図形形状となる第2の設計パターンを用意して、第1の設計画像データの代わりに比較することで、かかる擬似欠陥を低減させることができる。言い換えれば、光近接効果補正用のパターンが含まれる第1の設計パターンに対して、第1の設計パターンにおける光近接効果補正用のパターンを所定の形状に変形したパターンを含む第2の設計パターンを用意する。そして、所定の形状として、図11に示す測定データと同様な図形形状となる第1の設計パターンにおける前記光近接効果補正用のパターンの形状よりも小さくした形状を用いることを特徴とする。
ここで、図10に示すようなこのようなOPCパターンは設計パターンデータを生成するときに、自動生成することが多くなってきている。そのため、このOPCパターンを発生させるときに、図11に示すような検査装置にかける段階で生成できているべき形状と大きさに変換したパターンを第2の設計パターンとして別に用意しておくことは、擬似欠陥を減らす意味で大きい。
図12は、OPCパターン付きの第1の設計パターンに対応する第2の設計パターンの作成手法の一例を示す図である。
図12(a)と図12(b)に示すような凸に出っ張った幅の異なるOPCパターンが所定の幅のラインパターンに形成されていた場合、一律な寸法R2を削除した図形パターン(斜線部を削除したパターン)を第2の設計パターンとしてもよい。ここでは、説明のため凸に出っ張ったOPCパターンの幅を図12(a)と図12(b)とで大きく変えているが、実際には半導体装置の世代ごとにそれほど大きく変わることは少ないため、一律な寸法R2を削除するように形成しても好適である。或いは、以下のように第2の設計パターンを作成してもよい。
図13は、OPCパターン付きの第1の設計パターンに対応する第2の設計パターンの作成手法の他の一例を示す図である。
図13(a)と図13(b)に示すような凸に出っ張った幅の異なるOPCパターンが所定の幅のラインパターンに形成されていた場合、OPCパターンの大きさに応じてOPCパターンを削除した図形パターン(斜線部を削除したパターン)を第2の設計パターンとしてもよい。
以上のように、第2の設計パターンを用意して、第2の設計パターンから作成される第2の設計画像データを用いて、もともとの第1の設計パターンから作成される第1の設計画像データと共に、測定データを2つの設計画像データと比較することにより擬似欠陥を低減することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、OPCパターンの場合について説明したが、擬似欠陥が発生し得るのはこれに限るものではない。他の例として、実施の形態2では、リサイズされたパターンを検査する場合について説明する。装置構成及び試料検査方法の各工程は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図14は、リサイズされた設計パターンの描画状態を説明するための図である。
OPCパターンだけに限らず、試料上には、大きさの異なるパターンが数多く存在する。試料を製造するプロセスにもよるが比較的小さいパターンはより小さくなってしまうことがよくある。そこで線幅のリサイズ量を2通り用意して2種類の設計データとすることも実用的である。例えば、第1の設計パターンにおいて図14(a)に示すような線幅の大きいラインパターンに挟まれた線幅の小さいラインパターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると図14(b)に示すようにより線幅が小さくなってしまう。そこで、図14(b)に示す線幅の小さいラインパターンを所望する場合には、図14(a)に示すように線幅を大きくリサイズするように予め第1の設計パターンを修正している。一方、第1の設計パターンから参照画像となる第1の設計画像データを作成すると図14(c)に示すように線幅の小さいラインパターンにおける線幅が図14(b)に示す線幅ほど小さくはならない。そして、図14(b)に示す形状の測定データと図14(c)に示す形状の第1の設計画像データとを比較回路108で比較すると、リサイズされた線幅の小さいラインパターン部分において差異が大きいため、欠陥(NG)と判断されてしまうことになる。しかしながら、リサイズされた線幅の小さいラインパターンのリサイズ寸法分は、本来、欠陥として判定されて欲しくない部分である。
図15は、リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。
図15において、図15(a)は図14(a)と同様の図である。図15(b)は図14(b)と同様の図である。図15(a’)は、第2の設計パターンにおける図形形状を示し、第2の設計画像データに変換した場合に図15(c’)に示すように図15(b)と同様の形状となるように線幅の小さいラインパターンのリサイズ寸法分を設けていない図形に図形形成されている。言い換えれば、所定の線幅にリサイズされたパターンが含まれる第1の設計パターンに対して、第1の設計パターンにおけるリサイズされたパターンとは異なる線幅にリサイズされたパターンを含む第2の設計パターンを用意する。そして、図14(c)に示す形状の第1の設計画像データの代わりに、かかる図15(a’)に示す第2の設計パターンに基づいて生成される図15(c’)に示す第2の設計画像データ(第2の参照画像)と図15(b)に示す形状の測定データ(光学画像)との比較を行なうことで、上述したような擬似欠陥の発生を低減させることができる。
実施の形態3.
実施の形態3において、装置構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、試料検査方法の各工程については、以下に説明する箇所を除いて実施の形態1と同様であるため、同様な箇所については説明を省略する。
図16は、リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第1と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。
第1の設計パターンにおいて図16(a)に示すような線幅の大きいラインパターンに挟まれた線幅の小さいラインパターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると図16(b)に示すようにより線幅が小さくなってしまう。そして、図16(a)に示す第1の設計パターンから参照画像となる第1の設計画像データを作成すると図16(c)に示すように線幅の小さいラインパターンにおける線幅が図16(b)に示す線幅ほど小さくはならない。言い換えると、図16(a)に示す第1の設計パターンは、図16(c)に示す第1の設計画像データに変換した場合に線幅の大きいラインパターンに合うように線幅の大きいラインパターンを基準にして形成されていると言うこともできる。そこで、実施の形態3では、図16(a’)に示すように第2の設計パターンを第2の設計画像データに変換した場合に図16(c’)に示すように線幅の小さいラインパターンに合うように各ラインパターンを一律にリサイズして線幅の小さいラインパターンを基準にして形成しておく。そして、図16(b)に示す形状の測定データと図16(c)に示す形状の第1の設計画像データとを比較回路108で比較すると、線幅の大きいラインパターンでは、検査OKとなり、線幅の小さいラインパターンでは、差異が大きいため、欠陥(NG)と判断される。一方、図16(b)に示す形状の測定データと図16(c’)に示す形状の第2の設計画像データとを比較回路108で比較すると、線幅の大きいラインパターンでは、差異が大きいため、欠陥(NG)となり、線幅の小さいラインパターンでは、検査OKと判断される。そして、どちらか一方で検査OKであれば欠陥ではないと判定することで擬似欠陥を低減するようにしても好適である。
実施の形態4.
実施の形態4では、リサイズパターンの場合について、他の検査手法を説明する。実施の形態4において、装置構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、試料検査方法の各工程については、以下に説明する箇所を除いて実施の形態1と同様であるため、同様な箇所については説明を省略する。
線幅に関して言えば、太すぎれば隣接パターンと接続してしまうし、細すぎれば断線の恐れが生じてくる。その中間に本来の所望するパターンがあるとすれば、許容可能な上限下限(逆でも可)を規定する。そして、第1の設計パターンは標準的な線幅のものを用意し、第2、第3の設計パターンとしてそれぞれ第2、第3の設計画像データに変換された場合に許容可能な上限下限(逆でも可)になるように図形を形成する。第1の設計パターンデータから変換された第1の設計画像データとの比較で欠陥候補となったものに関しては、上限下限パターンとなる第2、第3の設計画像データとの比較処理で、各画素値がこの範囲内に入っていれば欠陥候補からはずすと現実のニーズにあった検査が可能となる。
図17は、リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いて描画された試料の測定データを第2と第3の設計パターンから作成される第2と第3の設計画像データを用いて検査する検査手法を説明するための図である。
図17(a)に示すように第1の設計パターンにおける線幅の大きいラインパターンに挟まれた線幅の小さいラインパターンが、描画装置により試料となるマスクに描画されると線幅が小さくなり、線幅Lとなったとする。かかる場合に、図17(b)に示すように第2の設計画像データにおける線幅の大きいラインパターンに挟まれた線幅の小さいラインパターンが比較回路108において比較する場合に許容可能な線幅寸法の上限値Lmaxとなるように第2の設計パターンを用意する。さらに、図17(c)に示すように第3の設計画像データにおける線幅の大きいラインパターンに挟まれた線幅の小さいラインパターンが比較回路108において比較する場合に許容可能な線幅寸法の下限値Lminとなるように第3の設計パターンを用意する。そして、第1の設計パターンから変換された第1の設計画像データとの比較で欠陥候補となったものに関しては、上限下限パターンとなる第2、第3の設計画像データとの比較処理で、各画素値がこの範囲内に入っていれば欠陥候補から外すことにより擬似欠陥を低減することができる。
上述した各実施の形態では2種類の設計データを取り扱ってきたが、実施の形態4のように、第1の設計画像データの代わりに第2の設計画像データだけではなく、第3の設計パターンやそれ以上の種類の第3以降の設計パターンに基づいて生成される第3以降の設計画像データを使って光学画像データとなる測定データとの比較検査を行なうことも好適である。ただこれを扱う際に装置が肥大化してしまったり検査時間が制約を受けたりすることも考慮するとより好ましい。
実施の形態5.
実施の形態5において、装置構成及び試料検査方法の各工程は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図18は、図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の一例を示す図である。
図19は、図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の他の一例を示す図である。
試料検査装置100に入力される設計パターンの情報は、もともと試料を設計する段階で作られた図形パターンから何らかのデータ変換により装置入力フォーマットに変換されたものを入力するのが一般的である。図18に示すように変換する際の精度を高くしようとして分割する図形数を多くすればデータ量が大きくなったり、変換時間がかかったりするし、図19に示すように変換する際の精度を犠牲にして分割する図形数を少なくすると測定データと比較検査する際の参照画像データの精度劣化による擬似欠陥を発生させてしまう危険性がある。そこで、被検査試料が要求する精度に近いもので運用することになるのだが、やはり局部的に精度不足となり、擬似欠陥となってしまう場合も生じ得る。そこで、そのような場合に対応するため、第2の設計パターンとして第1の設計パターンよりも変換精度が高いものを用意しておけば擬似欠陥を減らし、装置の有効利用が可能となる。例えば、第1の設計パターンとして、図19に示すような分割数のデータとした場合、第2の設計パターンとして、図18に示すように、図19に示す図形数よりも分割する図形数を多くしたデータとすればよい。
実施の形態6.
実施の形態6において、装置構成及び試料検査方法の各工程は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図20は、斜めの辺が存在する図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の一例を示す図である。
斜めのパターンも従来45度のものが主流であったが、それ以外の角度のものを使う試料も出てきている。このようなパターンは上述の設計パターンにおける誤差を生みやすいので、この部分にも第2の設計パターンを利用することで擬似欠陥を減らし、装置の有効利用が可能となる。
図21は、斜めの辺が存在する図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の他の一例を示す図である。
図20では、図面上、上下に分割していたが、図21では、分割幅を同じにして左右に分割することで45度以外の角度の斜めのパターンでは、誤差量を変えることができる。よって、誤差量の小さい分割手法を第2の設計パターンとして用意することで擬似欠陥を減らすことができる。言い換えれば、同じ図形パターンについて、第1の設計パターンデータとは異なる定義手法を用いて定義されたパターンを含む第2の設計パターンデータを用意することで、擬似欠陥を減らすことができる。
実施の形態7.
実施の形態7において、装置構成及び試料検査方法の各工程は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図22は、セルがアレイ配置される第1の設計パターンの一例を示す図である。
図22では、図形が集合した1つのグループを形成するセルが、x方向にピッチPxで3列、y方向にピッチPyで100列配置される場合を示している。このようなアレイ配置では、配列数が多くなるほど測定データと第1の設計画像データとの間で配置位置にずれが生じやすい。そのため検査した場合に擬似欠陥となってしまう場合がある。そこで、この場合にも第2の設計パターンを利用することで擬似欠陥を減らし、装置の有効利用が可能となる。
図23は、セルがアレイ配置される第2の設計パターンの一例を示す図である。
図23では、図形が集合した1つのグループを形成するセルが、x方向にピッチPxで3列、y方向にピッチPyで10列のアレイ配置を10回配置する場合を示している。繰り返し配置数を分割して1回あたりの列数を減らすことで、測定データと第2の設計画像データとの間での配置位置ずれを低減することができる。その結果、擬似欠陥を低減することができる。ここでは、一例として、10分割しているがこれに限るものでないことは言うまでもない。
実施の形態8.
実施の形態8において、装置構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、試料検査方法の各工程は、以下に説明する箇所を除いて実施の形態1と同様であるため、同様な箇所の説明を省略する。
第2の設計画像データの生成過程であるが、常に第2の設計画像データを生成して比較回路108に入力しておくと検査時間の安定化を図ることができるが、試料全面に渡り、第2の設計画像データが必要であることはまれである。そこで、装置の肥大化を防ぐため、図2のフローチャート図において、第1の設計パターンとの比較で欠陥候補が出現した部分に対して、第2の設計画像データを生成するというのも実用的である。言い換えれば、第2の設計画像データは、S218の比較工程(1)において比較回路108にて、測定データと第1の設計画像データとの比較を行なった結果、差異が所定の閾値を超えた場合に生成されるようにしても好適である。そして、S228の比較工程(2)において比較回路108にて、測定データと第2の設計画像データとの比較を行なえばよい。
以上のように、第2の設計画像データを使うことでこれまで擬似欠陥となっていたものを低減させることが可能となり、検査のやり直しを防ぐなど装置の有効利用が可能になる。
図24は、別の光学画像取得手法を説明するための図である。
図1の構成では、スキャン幅Wの画素数(例えば2048画素)を同時に入射するフォトダイオードアレイ105を用いているが、これに限るものではなく、図24に示すように、XYθテーブル102をX方向に定速度で送りながら、レーザ干渉計で一定ピッチの移動を検出した毎にY方向に図示していないレーザスキャン光学装置でレーザビームをY方向に走査し、透過光を検出して所定の大きさのエリア毎に二次元画像を取得する手法を用いても構わない。
以上の説明において、「〜回路」或いは「〜工程」と記載したものは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。例えば、演算制御部を構成するテーブル制御回路114、展開回路111、展開回路140、参照回路112、参照回路142、比較回路108等は、電気的回路で構成されていても良いし、制御計算機110によって処理することのできるソフトウェアとして実現してもよい。また電気的回路とソフトウェアの組み合わせで実現しても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、各実施の形態では、透過光を用いているが、反射光あるいは、透過光と反射光を同時に用いてもよい。また、各実施の形態では、第2の設計パターンデータの展開用に第1の設計パターンデータの展開用の展開回路111及び参照回路112とは別系統の展開回路140及び参照回路142を備えているが、これに限るものではなく、検査時間を延ばしても構わなければ第1の設計パターンデータの展開用の展開回路111及び参照回路112を流用しても構わない。すなわち、第2の設計画像データは、第1の設計画像データを生成する設計画像データ生成部の一例となる展開回路111及び参照回路112を流用して生成されても構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての試料検査装置或いは試料検査方法は、本発明の範囲に包含される。
実施の形態1における試料検査装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における試料検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。 光学画像の取得手順を説明するための図である。 展開回路の構成の一例を示す図である。 フィルタ処理を説明するための図である。 試料検査方法における要部工程のフローチャートに従った回路構成のブロック図である。 設計パターンの描画状態を説明するための図である。 OPCパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と検査状態とを説明するための図である。 OPCパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。 OPCパターンが配置された第1の設計パターンの他の一例を示す図である。 図10に示すOPCパターンが配置された第1の設計パターンに基づく測定データの形状を示す図である。 OPCパターン付きの第1の設計パターンに対応する第2の設計パターンの作成手法の一例を示す図である。 OPCパターン付きの第1の設計パターンに対応する第2の設計パターンの作成手法の他の一例を示す図である。 リサイズされた設計パターンの描画状態を説明するための図である。 リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。 リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いた場合の描画状態と第1と第2の設計パターンを用いた場合の検査状態とを説明するための図である。 リサイズパターンが配置された第1の設計パターンを用いて描画された試料の測定データを第2と第3の設計パターンから作成される第2と第3の設計画像データを用いて検査する検査手法を説明するための図である。 図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の一例を示す図である。 図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の他の一例を示す図である。 斜めの辺が存在する図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の一例を示す図である。 斜めの辺が存在する図形パターンを装置入力フォーマットに変換する場合の他の一例を示す図である。 セルがアレイ配置される第1の設計パターンの一例を示す図である。 セルがアレイ配置される第2の設計パターンの一例を示す図である。 別の光学画像取得手法を説明するための図である。
符号の説明
100 試料検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111,140 展開回路
112,142 参照回路
115 磁気テープ装置
150 光学画像取得部

Claims (13)

  1. パターン形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
    前記被検査試料のパターン形成の基となる第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する設計画像データ生成部と、
    前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう比較部と、
    を備え、
    前記比較部において、さらに、第2の設計パターンに基づいて生成される第2の設計画像データを入力し、前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なうことを特徴とする試料検査装置。
  2. 前記比較部において、前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なった結果、差異が所定の閾値を超えた場合に、前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なうことを特徴とする請求項1記載の試料検査装置。
  3. 前記試料検査装置は、前記設計画像データ生成部を第1の設計画像データ生成部とした場合に前記第1の設計画像データ生成部とは別に、さらに、前記第2の設計画像データを生成する第2の設計画像データ生成部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の試料検査装置。
  4. 前記第2の設計画像データは、前記設計画像データ生成部を流用して生成されることを特徴とする請求項1又は2記載の試料検査装置。
  5. 前記第1の設計パターンには、光近接効果補正用のパターンが含まれ、
    前記第2の設計パターンは、前記第1の設計パターンにおける前記光近接効果補正用のパターンを所定の形状に変形したパターンを含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の試料検査装置。
  6. 前記第1の設計パターンには、所定の線幅のパターンと前記所定の線幅以下の光近接効果補正用のパターンが含まれ、
    前記第2の設計パターンは、前記第1の設計パターンにおける前記所定の線幅以下の光近接効果補正用のパターンを所定の形状に変形したパターンを含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の試料検査装置。
  7. 前記第1の設計パターンには、所定の線幅にリサイズされたパターンが含まれ、
    前記第2の設計パターンは、前記第1の設計パターンにおけるリサイズされたパターンとは異なる線幅にリサイズされたパターンを含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の試料検査装置。
  8. 前記第1と第2の設計パターンの寸法として、前記比較部において比較する場合に許容される上限と下限とを示す寸法を用いることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の試料検査装置。
  9. 前記第2の設計パターンは、同じ図形パターンについて、前記第1の設計パターンとは異なる定義手法を用いて定義されたパターンを含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の試料検査装置。
  10. 前記第2の設計画像データは、前記比較部において、前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なった結果、差異が所定の閾値を超えた場合に生成されることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の試料検査装置。
  11. 前記比較部において、さらに、前記第1の設計画像データの代わりに第3以降の設計パターンに基づいて生成される第3以降の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なうことを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の試料検査装置。
  12. パターン形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得工程と、
    前記被検査試料のパターン形成の基となる第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する第1の設計画像データ生成工程と、
    前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう第1の比較工程と、
    第2の設計パターンに基づいて第2の設計画像データを生成する第2の設計画像データ生成工程と、
    前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なう第2の比較工程と、
    を備えたことを特徴とする試料検査方法。
  13. パターン形成された被検査試料における前記パターン形成の基となる第1の設計パターンの情報と、前記第1の設計パターンとは異なる第2の設計パターンの情報とを記憶装置に記憶する記憶処理と、
    前記記憶装置に記憶された第1の設計パターンに基づいて第1の設計画像データを生成する第1の設計画像データ生成処理と、
    前記被検査試料の光学画像データを入力し、前記光学画像データと前記第1の設計画像データとの比較を行なう第1の比較処理と、
    前記記憶装置に記憶された第2の設計パターンに基づいて第2の設計画像データを生成する第2の設計画像データ生成処理と、
    前記第1の設計画像データの代わりに前記第2の設計画像データと前記光学画像データとの比較を行なう第2の比較処理と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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