JP3588575B2 - マスク設計データ作成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、半導体集積回路や液晶パネル等のデバイス製造に使用されるマスクの欠陥検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの製造にあたっては、所望のLSI設計パターンをデータ化したLSI設計データに基づいてマスク設計データを作成し、そのマスク設計データに基づいてマスクが製造され、さらにリソグラフィ工程においてそのマスクの縮小パターンをウエハ上に忠実に転写することにより当初のLSI設計パターンどおりのLSIを得る。
【0003】
近年、LSIの高集積化が進み、LSIに作りこむ素子サイズが微小化するにつれて、リソグラフィ工程におけるパターン転写の忠実度が問題になり始めている。具体的にはマスクの縮小パターンがウエハ上に忠実に転写される必要があるが、例えば90°のはずのコーナーが丸くなる、ライン端が短くなる、ライン幅が太る/細るなどのパターンの劣化が生じ、LSI設計パターンどおりのパターンがウエハに形成できないというものである。このような現象を光近接効果(Optical Proximity effect)と称する。
【0004】
光近接効果とは、本来は転写時の光学的要因による現象を対象としていたが、現在では、一般的にウェハプロセス全体を通して生ずる上記のような現象を指す。
【0005】
当然のことながら、LSIの製造にあたり、所望のデバイス性能を達成するためには、ウェハ上でLSI設計パターン通りの寸法及び形状のパターンが形成される必要がある。
【0006】
このため、マスクパターンにあらかじめウエハプロセスによるパターンの劣化を見込んだ補正を加える方法、すなわち光近接効果補正(Optical Proximity effect Correction,OPC)が有効であるとして近年盛んに検討されており、種々の手法が提案および実行されている。
【0007】
しかしながら、マスク設計データに対して光近接効果補正を行うと次のような現象が生じる。
【0008】
すなわち、光近接効果補正を施す前のマスク設計データは、パターン大きさ、パターン間距離などについてマスク欠陥検査可能な距離に基づく所定のデザインルールを満たしている。しかしマスク設計データに光近接効果補正を施すことによりパターン大きさ、パターン間距離などが変形され、その結果光近接効果補正後のマスク設計データ(以下、補正後マスク設計データとする。)および得られた実際のマスク上では当初予定していた前記デザインルールを違反する箇所を含む領域が生じることがある。
【0009】
以下に図15を用いて上記現象を具体的に説明する。
【0010】
図15(a)はLSI設計データに基づく設計上のパターンと、実際のウエハ上で得られるパターンを示す。
【0011】
LSI設計データ上では配線151の下に矩形のコンタクトホール(設計)152が形成されるよう設計されている。特に、コンタクトホール(設計)152に着目すると、LSI設計データ上ではデザインルールを遵守しコンタクトホール(設計)152間の間隙154は充分な距離を保っている。このようなLSI設計データに基づき作成されたマスク設計データ及びマスクもデザインルールを満たすことになる。
【0012】
しかしながら実際は、このLSI設計データを用いて作成したマスクデータ及びマスクを使用してウエハにリソグラフィ工程を行うと、光近接効果のためコンタクトホール(実際)153は、所望の形状を得ることが出来ない。したがって、このLSI設計データに基づくマスク設計データに対して光近接効果補正を施し、補正後マスク設計データからマスクを製造しなければならない。
【0013】
図15(b)は図15(a)と同様のLSI設計データに基づく設計上のパターンと、補正後マスク設計データに基づくマスクパターン、及びこの補正後マスク設計データに基づき作成されたマスクを用いて実際にウエハ上で得られるパターンを示す。
【0014】
図15(a)と同様、LSI設計データ上では配線151下に矩形のコンタクトホール(設計)152が形成されるよう設計されている。一方補正後マスク設計データ上においてはコンタクトホール(補正後)155が細長くなっており、コンタクトホール(補正後)155間の間隙156が縮まっている。このマスクを用いてウエハ上にパターンを形成して得た実際のウエハ上のコンタクトホール(実際)157はLSI設計上のコンタクトホール(設計)152に近い形状を有している。
【0015】
しかしながら、補正後マスク設計データ上のコンタクトホール(補正後)155間はその間隔156が狭くなり、マスク欠陥検査可能な距離に基づくデザインルールを違反している、という現象が生じている。
【0016】
このようにマスク設計データに対し光近接効果補正を施すと、マスク欠陥検査可能な距離に基づくデザインルールを違反した箇所を含む領域を有するマスク設計データおよびマスクに変化してしまう現象が生じることがある。このようなマスク設計データ及びマスクに対して従来のマスク欠陥検査を施すと、当該デザインルールを違反した箇所において実際には存在しない欠陥を欠陥として検出(すなわち擬似欠陥を検出)し、その検証に多大な時間を要しマスクの生産性を著しく低下させるという問題点が生じる。
【0017】
すなわちマスク欠陥検査は以下のようにして行われる。図16にマスク欠陥検査フローを示す。マスク欠陥検査は、実際に得られたマスク21の形状を光学センサ回路22にて読み取って得たセンサデータ23と、補正後マスク設計データ24に対し参照データ発生回路25にてシミュレーターを用い光学センサの感度特性を考慮した関数と畳み込み積分を行って作成した参照データ26とを比較回路27で比較し、両パターンの差から欠陥の有無を検出(28)するものである。
【0018】
ところが、光近接効果補正を行った結果、補正後マスク設計データに基づくパターン上の図形が精度よく検査できる所定の距離よりも小さくなってしまったり、図形同士が所定の距離よりも近づいた領域が発生すると、補正後のマスク設計データ24から作成した参照データ26とセンサデータ23との差異が本来期待される値よりも大きくなってしまい、この差異を擬似欠陥として検出してしまう。これは実際のマスク21上で前記領域は光学センサ回路22にて精度良く検出できないため実際のマスク21形状と得られるセンサデータ23が示す形状との間の差異が拡大してしまうこと、及び参照データ発生回路25にて参照データ26を算出する際に、このような差異の拡大を正しくシミュレーションできないことが原因である。
【0019】
したがって、従来、光近接効果補正を施してマスク欠陥検査可能な距離に基づくデザインルールを違反した箇所を含む領域を有する補正後マスク設計データおよびマスクに対してマスク欠陥検査を施す際に、前記のような光近接効果補正に起因する擬似欠陥を排除することのできるマスク欠陥検査方法が求められていた。
【0020】
また、光近接効果補正を施してもマスク欠陥検査可能な距離に基づくデザインルールを違反した箇所の発生が少ないマスク設計データを作成する方法が求められていた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、LSIなどの設計データに基づくマスク設計データに光近接効果補正を施しても、マスク欠陥検査工程において、光近接効果補正を施すことに起因して生じる擬似欠陥が少ないマスク設計データを作成することができ、マスク欠陥検査工程を簡易化して生産性を向上させると共に、ウエハなどに形成する微細パターンの精度向上に寄与することができるマスク設計データ作成方法を提供することを目的とする。
【0022】
また、マスク欠陥検査工程において、LSIなどの設計データに基づくマスク設計データに光近接効果補正を施すことに起因して生じる擬似欠陥を低減し、マスク欠陥検査工程を簡易化して生産性を向上させると共に、ウエハなどに形成する微細パターンの精度向上に寄与することができるマスク設計データ作成方法を用いたマスク欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
(第1発明)
第1発明は、デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データを得る工程と、前記マスク設計データに対して、試料上に形成されるパターンの忠実度を向上するための補正を施した補正後マスク設計データを得る工程と、前記補正後マスク設計データから前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙あるいは図形の大きさがあらかじめ設定された所定の値より小さくなる箇所を含む領域を抽出する工程と、前記補正後マスク設計データに対し、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げる、または前記図形間の間隙を広げるよう補正した拡大マスク設計データを得る工程とを具備することを特徴とするマスク設計データ作成方法である。
(第1発明の作用)
前記第1発明によれば、光近接効果補正を施した補正後マスク設計データに対し、さらに前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙あるいは各図形の大きさがあらかじめ設定された所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域を抽出し、当該領域については、 実際のマスクとセンサデータとの差異を見込んで、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げる、または図形間の間隙を広げるよう補正した拡大マスク設計データを作成し、前記拡大マスク設計データから実際のマスクを作成する。
【0024】
それにより、マスクの製造にあたりマスクの描画が容易となり、また、この拡大マスク設計データに基づいて作成した参照データ及びマスクについてはマスク欠陥検査を行っても擬似欠陥の検出を減らすことができ、マスク製造のスループットを向上させることが出来る。
(第2発明)
第2発明は、デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データを得る工程と、前記マスク設計データに対し試料上に形成されるパターンの忠実度を向上するための補正を施した補正後マスク設計データを得る工程とを備えるマスク設計データ作成方法において、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙がマスク欠陥検査可能な所定の値より小さくなる箇所が存在することがあらかじめ予測されるとき、前記補正後マスク設計データを得る工程前または途中に、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙があらかじめ設定された所定の値より小さくなると予測される箇所を含む領域を抽出する工程と、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げるよう補正した補正後拡大マスク設計データを得る工程を具備することを特徴とするマスク設計データ作成方法である。
(第2発明の作用)
前記第2発明によれば、デバイス設計データに基づいたマスク設計データに対し、光近接効果補正を施した後、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙がマスク欠陥検査可能な所定の値より小さくなる箇所が存在することがあらかじめ予測されるとき、前記光近接効果補正を行う前あるいは途中に、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙があらかじめ設定された所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域を抽出し、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げるよう補正して拡大マスク設計データを作成し、前記拡大マスク設計データに対して光近接効果補正を完了させて補正後拡大マスク設計データを得、この補正後拡大マスク設計データから実際のマスクを作成する。
【0025】
それにより、マスクの製造にあたりマスクの描画が容易になり、また、この拡大マスク接系データに基づいて作成した参照データ及びマスクにつていはマスク欠陥検査時の擬似欠陥を減らしてマスク製造のスループットを向上させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
第1発明の実施例を示す。
【0028】
まず、以下に示すようにして拡大マスク設計データを作成した。
<拡大マスク設計データの作成>
本実施例における拡大マスク設計データの作成のフローチャートを図7に示す。
【0029】
まず、デバイス設計データを作成した(図示せず)。次に前記デバイス設計データに基づいてマスク設計データを得た(71)。次に前記マスク設計データに対して光近接効果補正を施し、補正後マスク設計データを得た(72)。
【0030】
図8(a)に前記マスク設計データに基づくマスク設計パターン81と補正後マスク設計データに基づくマスク設計パターン82(斜線部)とを重ねて示す。
【0031】
前記マスク設計データに基づくコンタクトホール81の形状にはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。ところが補正後マスク設計データに基づくコンタクトホール82の形状は各図形間の距離は補正により接近し、マスク欠陥検査を問題なく行なえる所定の値S1より小さくなっている。
【0032】
次に前記補正後マスク設計データから前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙あるいは図形の大きさがあらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域を抽出する工程を行う(73)。
【0033】
次に以下に示すように前記補正後マスク設計データに対し、この抽出された領域内の図形間の距離が所定の値S1より小さい箇所につき、図形を連結する、あるいは図形を大きくする、あるいは図形間の間隙を広げるよう補正する処理(拡大補正処理)(74)を行い、拡大マスク設計データ75を得た。
【0034】
前記拡大補正処理としては、例えば下記の(i)〜(iv)が挙げられ、この(i)〜(iv)を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0035】
(i)前記抽出された領域内の図形間の間隙がS1より小さい箇所に、間隙方向の長さがS1以上のパターンを配置して図形を連結する方法、
(ii)前記抽出された領域内の図形の周囲を0.5×S1以上の所定の値S2だけ太めた連結パターンをつくり、この連結パターンの周囲をS2だけ細めて図形を連結する方法、
(iii)前記抽出された領域内の図形をAとし、Aを0.5×S1以上の所定の値S2だけ太めた連結パターンをつくり、この連結パターンの周囲を次にS2だけ細めたパターンをBとし、Bを0.5×S1より大きい所定の距離S3だけ細めた連結パターンをつくり、この連結パターンの周囲を次にS3だけ太めたパターンをCとし、BからCを減じたパターンをDとし、Dを所定の値S4だけ太めたパターンをEとし、CにEを加えることにより図形を連結する方法、
(iv)前記抽出された領域内の図形の大きさがマスク欠陥検査可能な所定の値W1より小さい箇所が生じたとき、該箇所にW1以上の大きさのパターンを配置して図形の大きさを大きくする方法、
等の方法が挙げられる。
【0036】
前記拡大補正処理についての具体例をパターン図8を用いて説明する。
【0037】
図8は拡大補正処理によるパターン形状の変化を示す図である。
【0038】
まず上記(ii)にしたがって、図8(a)に示す補正後マスク設計データに基づくマスク設計パターン82の各図形の周囲を所定の値S2太めて連結パターンをつくり、つぎにこの連結パターンの周囲をS2細めて図8(b)に示す第一拡大パターン83を得る。このとき、例えばS2は0.5×S1≦S2を満たすような値を取る。ここまでの処理により直鎖状に近接して並んだ図形は問題なく連結されるが、斜めに近接して並んだ図形は図8(b)の右端のように細く架橋される。本架橋部分が描画やマスク欠陥検査に関するデザインルールに違反しなければこの第一拡大パターンに対応する拡大マスク設計データを用いてマスクを製造すればよいが、デザインルールによっては架橋部分がルール違反となるため、さらに(iii)、(iv)にしたがって以下の処理を行う。
【0039】
次に第一拡大パターン83についてその周囲を所定の値S3細めた縮小パターンをつくり、さらにこの縮小パターンの周囲をS3太めて図8(c)に示す第二拡大パターン84を得る。このとき例えばS3は、データ内で許されるパターン太さの下限の半分以上の値を取る。次に第一拡大パターン83から第2拡大パターン84を減じて図8(d)に示すパッチパターン85を得る。最後にパッチパターン85を所定サイズS4だけ太めた拡大パッチパターンを、第2拡大パターン84に加えることにより図8(e)に示すパッチパターン付加済みの第三拡大パターン86を得ることが出来る。このとき例えばS4は、データ内で許されるパターン太さの下限の半分程度の値を取る。
【0040】
このようにして得られた第三拡大パターン86に対応する拡大マスク設計データを得た。
<マスクの作成>
この拡大マスク設計データに基づいてマスクの作成を実施した。図8(f)に、得られた実際のマスクからウエハ上に転写されるパターン87(斜線)と、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターン81(実線)と拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターン86(点線)とを重ねて示す。このように後から付加したパターンの面積が小さいため、実際のマスクからウエハ上に転写されるパターン87に与える影響は少なく、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターン81に近い所望の寸法に解像することができた。
【0041】
このように拡大マスク設計データを用いると図形間の間隙および大きさが所定の距離S1より小さい箇所をデータ上から一掃でき、マスク描画を容易にできる。
【0042】
また、この拡大マスク設計データに基づいて参照データを作成し、一方、この拡大マスク設計データに基づいて作成されたマスクから得られたセンサデータを作成し、前記参照データ及び前記センサデータを比較することによりマスク欠陥検査における擬似欠陥検出を抑制することが出来る。
【0043】
また、例えば、図8(g)と(h)に、図8(a)と(c)の描画用データを示す。拡大マスク設計データを得る工程を行う前には本パターンは9個の描画用図形で構成されているが(g)、この工程を行った後は10個の描画用図形で構成される。このように、拡 大マスク設計データを使用しても描画データ量が爆発する恐れは少ない。また、図8(g)に示す番号1−6の6個の矩形は本処理により図8(h)に示す番号1,2の2個の矩形となるため、マスク描画が容易となる。
【0044】
このように拡大マスク設計パターン86を用いても実際のマスクのパターン87に与える影響は少なく、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターン81に近い所望の寸法に解像することができるが、図8(f)に示すように、実際のマスクのパターン87においてはパターンの一部が連結してしまうため、このようなマスク上で連結部が生じてもデバイス性能に影響がでない箇所についてのみ拡大マスク設計データを使用する必要がある。
【0045】
例えば、次に図8(f)における領域88を90度回転して配線層と重ねて表示した図を図9に示す。図9を参照しながら拡大マスク設計データを使用し連結部が生じたマスクを用いてデバイスを作成してもデバイス性能に不利な影響が無い場合があることを説明する。
【0046】
図9(a)にウエハ上に形成された配線層91と、配線層91に形成されたコンタクトホール94(実線)を示す。さらにこのコンタクトホール94を形成するためにウエハ上に投影された光近接効果補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン92(斜線部)−連結部なし、前記拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターン93(点線)−連結部あり、を示す。
【0047】
ダマシーンプロセスによってパターン92を有するマスク、もしくはパターン93を有するマスクを用いて、ウエハ上に上記コンタクトホール94を形成する工程を示す工程図を図9(b)−(g)に示す。図9(b)−(g)は図9(a)に示す矢印95で示した方向のウエハ上断面図である。
【0048】
図9(b)においてはウエハ上にTEOS(テトラエトキシシランtetraethoxysilane)層96及びアモルファスシリコン層97が形成されておりエッチング処理が施されている。これにレジスト98を塗布し、パターン92−連結部なしをマスクとして露光・現像した結果を図9(c)、パターン93−連結部ありをマスクとして露光・現像した結果を図9(c´)に示す。図9(c)ではコンタクトホールパターン間にレジスト98´が残るが、図9(c´)ではコンタクトホールパターン間にレジストが残らない。
【0049】
次に図9(c)および図9(c´)をエッチングした結果をそれぞれ図9(d)および図9(d´)に示す。何れもレジスト層98およびアモルファスシリコン層97をマスクとしてTEOS層96部分がエッチングされる。
【0050】
次に図9(d)および図9(d´)においてレジスト98の剥離を行うと、どちらもウエハ上に図9(e)のパターンが得られる。図9(e)からTEOS層97のエッチングを行い図9(f)の形状を得て、アモルファスシリコン層96剥離およびコンタクトホールへのタングステン99を埋め込み、化学的機械研磨を施して図9(g)に示すパターンが得られる。
【0051】
このように、例えば上記コンタクトホール形成工程において拡大マスク設計パターンを有するマスクを用いることによるウエハ形状への影響はなく、デバイス特性に不利な影響を及ぼさない。
(実施例2)
第1発明の実施例を示す。
【0052】
以下に示すようにして拡大マスク設計データを作成した。
<拡大マスク設計データの作成>
拡大補正処理を以下のように行う以外は実施例1と同様にして拡大マスク設計データを作成した。
【0053】
但し、光近接効果補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターンから抽出された各図形間の間隙があらかじめ設定された所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域が以下のものであるものであった。
【0054】
図10(a)に本実施例で用いた補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターンの一部を示す。前記マスク設計データに基づくマスク設計パターンにはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。一方、補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン101は図形間距離a1、a2、a3で示されるマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離がS1以下となる箇所を含んでいる。ただしa1<a2<a3=S1であるとする。
【0055】
この補正後マスク設計データについて、拡大補正処理を施し拡大マスク設計データを得た。拡大補正処理は図10(b)に示すパターン補正テーブルに示す値を用いて補正した。すなわち、各図形において図形間間隙がa1以下であればa1の1/2、間隙がa1より大きくa2以下であればa2の1/2、a3より大きくa3以下であればa3の1/2の幅だけそれぞれの距離で対向している辺を太らせるよう補正し拡大マスク設計データを得た。この拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターンを図10(c)に記す。太らせた辺を102に示した。
<マスクの作成>
次にこの拡大マスク設計データに基づいてマスクの作成を実施したところ当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができた。
【0056】
このように本実施例では補正後マスク設計データに対し、補正後マスク設計データ上の図形間の間隙がマスク欠陥検査可能な所定の距離S1より小さい箇所を図形間の距離に応じて数段階に分類し、各分類に応じて該当する個所に面した辺をそれぞれ図形間の距離の2分の1以上ずつ太らせる補正を行うことにより図形を連結する処理を行い、拡大マスク設計データを得た。
【0057】
このようにして得られた拡大マスク設計データを用いると図形間の間隙および大きさが所定の距離S1より小さい箇所をデータ上から一掃でき、マスク描画を容易にできる。
【0058】
また、この拡大マスク設計データに基づいて参照データを作成し、一方、この拡大マスク設計データに基づいて作成されたマスクから得られたセンサデータを作成し、前記参照データ及び前記センサデータを比較することによりマスク欠陥検査における擬似欠陥検出を抑制することが出来る。
【0059】
また本実施例の図形を連結するよう補正する処理によれば斜め近接して並んだパターンについても、頂点数やパターンデータ量を増加させずに図形を連結することが出来る。
【0060】
なお、本実施例の如くの拡大マスク設計データを用いると実際のマスクのパターンに与える影響は少なく、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができるが、実際のマスクに形成されるパターンにおいてはパターンの一部が連結してしまうため、マスク上で連結が生じてもデバイス性能に影響がでない箇所についてのみ拡大マスク設計データを使用する必要がある。
(実施例3)
第1発明の実施例を示す。
【0061】
以下に示すようにして拡大マスク設計データを作成した。
<拡大マスク設計データの作成>
拡大補正処理を以下のように行う以外は実施例1と同様にして拡大マスク設計データを作成した。
【0062】
但し、光近接効果補正後マスク設計データに基づく設計パターンはから抽出された各図形間の間隙があらかじめ設定された所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域が以下のものであるものであった。
【0063】
図11(a)に本実施例で用いた補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターンの一部を示す。前記マスク設計データに基づくマスク設計パターンにはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。一方、補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン111は図形間距離a1、a2、a3に示されるマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離がS1以下となる箇所を含んでいる。ただしa1<a2<a3=S1であるとする。
【0064】
この補正後マスク設計データについて、拡大補正処理を施し拡大マスク設計データを得た。拡大補正処理は以下のように行った。まず、図11(c)に示すように、補正後マスク設計データの上の図形111において図形間間隙がS1以下である対向する辺112について、図11(b)に示すパターン補正テーブルに示す値を用いて前記辺を上下左右に太らせた図形113を作る。次に補正後マスク設計パターン図形の111から、前記辺を上下左右に太らせた図形113との重複部分114(斜線部)を引き算した。この結果、図形115に示される拡大マスク設計データを得た。
【0065】
辺を太らせる量は、図11(b)に示すパターン補正テーブルに示す値を用いて、図形間間隙がa1以下であればa3の1/2、間隙がa1より大きくa2以下であれば(a3−a1)の1/2、a2より大きくa3以下であれば(a3−a2)の1/2の大きさとした。
【0066】
<マスクの作成>
この拡大マスク設計データに基づいてマスクの作成を実施したところ当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができた。
【0067】
このように本実施例では補正後マスク設計データに対し、補正後マスク設計データ上の図形間の間隙がマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さい箇所を距離S1以上離れるように図形を削除し図形間の間隙を広げる補正を行うことにより拡大マスク設計データを得た。
【0068】
このようにして得られた拡大マスク設計データを用いると図形間の間隙および大きさが所定の距離S1より小さい箇所をデータ上から一掃でき、マスク描画を容易にできる。
【0069】
また、この拡大マスク設計データに基づいて参照データを作成し、一方、この拡大マスク設計データに基づいて作成されたマスクから得られたセンサデータを作成し、前記参照データ及び前記センサデータを比較することによりマスク欠陥検査における擬似欠陥検出を抑制することが出来る。
【0070】
また本実施例の図形を連結するよう補正する処理によれば斜め近接して並んだパターン についても、頂点数やパターンデータ量を増加させずに図形を連結することが出来る。
(実施例4)
第2発明の実施例を示す。
【0071】
以下のようにして補正後拡大マスク設計データを作成した。
<補正後拡大マスク設計データの作成>
本実施例における補正後拡大マスク設計データの作成のフローチャートを図12に示す。まず、デバイス設計データを作成した(図示せず)。次に前記デバイス設計データに基づいてマスク設計データを得た(121)。
【0072】
図13(a)にこのマスク設計データに基づくマスク設計パターン131を示す。マスク設計パターン131中には光近接効果補正を施すことによりにより各図形間の距離がマスク欠陥検査可能な所定の距離S1より近くなることが予測される距離R1以下の箇所があった。この箇所を図13(a)にはパターン間距離がa1、a2、a3である箇所として示す。ただしa1<a2<a3=R1であるとする。
【0073】
次に前記マスク設計データから、前記マスク設計データに対して光近接効果補正すると仮定するとその補正後に各図形間の距離があらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の距離S1以下になると予測される距離R1以下の箇所を含む領域を抽出した(122)。
【0074】
次に、以下に示すように前記マスク設計データに対し、この抽出された領域内の図形間の距離が所定の値R1より小さい箇所につき、図形を連結するあるいは図形を大きくする、あるいは図形間の間隙を広げるよう補正する処理(拡大補正処理)(123)を行い、拡大マスク設計データを得た。
【0075】
拡大補正処理は前記マスク設計データに対し、図13(b)に示すパターン補正テーブルに示す値を用いて補正した。すなわち、図形間間隔がa1以下であればa1の1/2、スペースがa1より大きくa2以下であればa2の1/2、a3より大きくa3以下であればa3の1/2の幅だけそれぞれの距離で対向している辺を太らせる。この拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターンを図13(c)に記す。太らせた辺を132に示した。
【0076】
次に前記拡大マスク設計データに対して光近接効果補正を施し(124)、補正後拡大マスク設計データを得た(125)。
【0077】
図13(d)に、拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターン133(点線)と補正後拡大マスク設計データに基づくパターン134(斜線部)と重ねて示す。
<マスクの作成>
この補正後拡大マスク設計データに基づいてマスクの作成を実施したところ当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができた。
【0078】
このように本実施例によれば、デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データに対し光近接効果補正により図形間距離あるいは大きさが所定の距離S1より小さくなることが予測される箇所を含む領域には光近接補正前に予め図形を領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げる、または前記図形間の間隙を広げるよう連結する補正(拡大補正処理)を行う。すなわちマスク設計データに対し拡大補正処理した後に光近接補正し、その後図形の付加を行わないため、頂点数・データ量の増加を防ぐ利点に加えて高精度に補正された補正後拡大マスク設計データを入手することが出来る。また斜めに近接して並んだ図形についても、頂点数やパターンデータ量を増加させずに図形をつなげ ることが出来る。
【0079】
また、この補正後拡大マスク設計データに基づいて参照データを作成し、一方、この拡大マスク設計データに基づいて作成されたマスクから得られたセンサデータを作成し、前記参照データ及び前記センサデータを比較することによりマスク欠陥検査における擬似欠陥検出を抑制することが出来る。マスク欠陥検査はもちろん描画も容易にすることができる
【0080】
本実施例ではマスク設計データに対し施した拡大補正処理は、マスク設計データ上の図形間の間隙が所定の距離R1より小さい箇所を図形間の距離に応じて数段階に分類し、各分類に応じて該当する個所に面した辺をそれぞれ図形間の距離の2分の1以上ずつ太らせる補正を行うことにより図形を連結する処理を行い、拡大マスク設計データを得た。
【0081】
前記拡大補正としてはさらに下記の(v)、(vi)が挙げられ、この(v)、(vi)を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0082】
(v)前記抽出された領域内の図形間の間隙がR1より小さい箇所に、間隙方向の長さがR1以上のパターンを配置して図形を連結する方法。
【0083】
(vi)前記抽出された領域内の図形の周囲を0.5×R1以上の所定の値R1だけ太めた連結パターンをつくり、この連結パターンの周囲をR1だけ細めて図形を連結する方法。
【0084】
なお、本実施例の如くの補正後拡大マスク設計パターンを用いると実際のマスクのパターンに与える影響は少なく、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができるが、実際のマスクのパターンにおいてはパターンの一部が連結してしまうため、マスク上で連結が生じてもデバイス性能に影響がでない箇所についてのみ補正後拡大マスク設計データを使用する必要がある。
(実施例5)
第2発明の実施例を示す。
【0085】
以下のようにして補正後拡大マスク設計データを作成した。
<補正後拡大マスク設計データの作成>
本実施例における補正後拡大マスク設計データの作成のフローチャートを図12に示す。まず、デバイス設計データを作成した(図示せず)。次に前記デバイス設計データに基づいてマスク設計データを得た(121)。
【0086】
図14(a)に前記マスク設計データに基づくマスク設計パターン141と、仮に前記マスク設計データに光近接効果補正を行った場合に得られる補正後マスク設計データに基づくマスク設計パターン142とを重ねて示す。前記マスク設計データに基づくコンタクトホール141の形状にはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。ところが補正後マスク設計データに基づくコンタクトホール142の形状は各図形間の距離は補正により接近し、マスク欠陥検査を問題なく行なえる所定の値S1より小さくなることが予測された。
【0087】
したがって前記マスク設計データから前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙あるいは図形の大きさがあらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さくなると予測される箇所を含む領域を抽出する工程を行なった(122)。
【0088】
次に以下に示すように前記マスク設計データに対し、この抽出された領域内の図形間の 距離が所定の値S1より小さくなると予測される箇所につき、図形を連結するあるいは図形を大きくする、あるいは図形間の間隙を広げるよう補正する処理(拡大補正処理)(123)を行い、拡大マスク設計データを得た。
【0089】
前記拡大補正処理についての具体例をパターン図14を用いて説明する。
【0090】
図14は前記拡大補正処理によるパターン形状の変化を示す図である。
【0091】
まず、図14(a)に示すマスク設計データに基づくマスク設計パターン141の各図形の周囲を所定の値S2太めて連結パターンをつくり、つぎにこの連結パターンの周囲をS2細めて図14(b)に示す第一拡大パターン143を得る。このとき、例えばS2は0.5×S1≦S2を満たすような値を取る。ここまでの処理により直鎖状に近接して並んだ図形は問題なく連結されるが、斜めに近接して並んだ図形は図14(b)の右端の図形のように細く架橋される。本架橋部分が描画や欠陥検査に関するデザインルールに違反しなければこの第一拡大パターンに対応する拡大マスク設計データを用いてマスクを製造すればよいが、デザインルールによっては架橋部分がルール違反となるため、さらに以下の処理を行う。
【0092】
次に図14(c)に示すように第一拡大パターン143からマスク設計パターン141を引き算してパッチパターン144を得る。パッチパターン144について、幅方向または長さ方向が所定の値S3より小さい箇所があれば、該当する小さい方向に所定の値S4だけ太め、図14(d)に示すように補助パターン145を得る。このとき、S3はマスク欠陥検査可能な所定の大きさ、S4はマスク欠陥検査可能な所定の大きさの半分以上の値としても良い。またS3を数段階に分類し、各段階毎にそれぞれ太める値S4を設定しても良い。
【0093】
こうして得た補助パターン145をもとのマスク設計パターン141に加えて拡大マスク設計データを得た。図14(d)にこの拡大マスク設計データに基づく拡大マスク設計パターンを示す。
【0094】
次に前記拡大マスク設計データに対して光近接効果補正124を施し、補正後拡大マスク設計データ125を得た。図14(e)にこの補正後拡大マスク設計パターン146を示す。
<マスクの作成>
この補正後拡大マスク設計データに基づいてマスクの作成を実施したところ当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができた。図14(f)には、補正後拡大マスク設計データに基づくパターン147(点線)、当初のマスク設計パターン141(実線)、実際に得られたマスクを用いてウエハ上に形成されたパターン148(斜線)を併記する。
【0095】
また、例えば、図14(g)に、図14(e)の描画用データを示す。この工程を行った後は15個の描画用図形で構成される。このように、補正後拡大マスク設計データによっても描画データ量が爆発する恐れは少ない。
【0096】
このように本実施例によれば、デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データに対し光近接効果補正により図形間距離あるいは大きさが所定の距離S1より小さくなることが予測される箇所を含む領域には光近接効果補正前に予め図形を領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げる、または前記図形間の間隙を広げるよう連結する補正(拡大補正処理)を行う。すなわちマスク設計データに対し拡大補正処理した後に光近接効果補正し、図形数は補助パターンの分だけ増加するが、パターンの境目に微小な 図形が発生しにくいため、描画および検査を高精度に行なう事が出来る。
【0097】
また、マスク欠陥検査においては、この補正後拡大マスク設計データに基づいて参照データを作成し、一方、この補正後拡大マスク設計データに基づいて作成されたマスクから得られたセンサデータを作成し、前記参照データ及び前記センサデータを比較することによりマスク欠陥検査における擬似欠陥検出を抑制することが出来る。
【0098】
なお、本実施例の如くの補正後拡大マスク設計パターンを用いると実際のマスクのパターンに与える影響は少なく、当初のマスク設計データに基づくマスク設計パターンに近い所望の寸法に解像することができるが、実際のマスクのパターンにおいてはパターンの一部が連結してしまうため、マスク上で連結が生じてもデバイス性能に影響がでない箇所についてのみ補正後拡大マスク設計データを使用する必要がある。
(実施例6)
第3発明の実施例を示す。
【0099】
以下に示すようにしてマスクの作成及びマスク欠陥検査を実施した。
<マスクの作成>
まず、デバイス設計データを作成した。次に前記デバイス設計データに基づいてマスク設計データを得て、前記マスク設計データに対して光近接効果補正を施し、補正後マスク設計データを得た。
【0100】
図1に前記マスク設計データに基づくマスク設計パターン10と補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン11(斜線部)とを重ねて示す。
【0101】
前記マスク設計データに基づくマスク設計パターン10にはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。一方、補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン11にはマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離S1を保っていない箇所を含む領域12が生じている。
【0102】
一方、前記補正後マスク設計データにしたがって実際にマスクを作成した。
<マスク欠陥検査>
次に作成したマスクに対しマスク欠陥検査装置を用いてマスク欠陥検査を施した。マスク欠陥検査のフローチャートを図2に示す。
【0103】
まず、補正後マスク設計データ入力手段(図示せず)により参照データ発生回路25に補正後マスク設計データ24を入力し、前記補正後マスク設計データ24から参照データ発生回路25にて後述の如くマスク欠陥検査用の参照データ26を得る参照データ形成工程を行った。
【0104】
一方、作成したマスク21に対しては、光学センサ回路22にてマスクの形状を実測しマスクのセンサデータ23を得るセンサデータ形成工程を行った。最後にセンサデータ23と参照データ26とを比較回路27にて比較することにより欠陥抽出28を行った。
【0105】
用いたマスク欠陥検査装置は、上記の作用を有する光学センサ回路22、マスク設計データ入力手段、参照データ発生回路25、比較回路27及び抽出された欠陥の出力手段を少なくとも備えるものである。
【0106】
参照データ発生回路25において補正後マスク設計データ24から参照データ26を得る参照データ形成工程についてさらに詳細に説明する。
【0107】
図3に参照データ形成工程のフローチャートを示す。まず前記補正後マスク設計データが入力され(31)、各図形間の間隙または各図形の大きさがあらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域を抽出する(32)。前記抽出された領域以外の領域に対しては、通常のシミュレーターを用いてマスクパターンシミュレーションを行い、光学センサの感度特性を考慮した関数と畳み込み積分を行って参照データを得る(33)。
【0108】
前記抽出された領域に対しては、まずそのパターンの配置が参照データ発生用のルールテーブルに載っているか否かの判定を行う(34)。この参照データ発生用のルールテーブルはパターンの配置をインデックスにして既存の参照データを検索できるものである。ルールテーブルに載っているものに対してはルールテーブルを参照して既存の参照データを発生させる(35)。ルールテーブルに載っていないものについては、前記通常のシミュレーターに比べて高精度のマスクパターンシミュレーションを行い参照データを発生させる(36)。得られたマスクパターンシミュレーション結果を前記ルールテーブルに追加記録しておく(37)。
【0109】
このような作業行って補正後マスク設計データから参照データ38を得た。
【0110】
このようにマスク欠陥検査を行うことによりマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離S1を保っていない箇所を含む領域については、その他の領域に比べて高精度のシミュレーションが施されるためセンサデータとの差異が非常に少ない参照データを作成できる。そのため当該領域において擬似欠陥を検出する問題を回避し、マスク欠陥検査工程の負担を軽減することができる。
【0111】
参照データ形成工程としては、上記の方法以外に補正後マスク設計データに対して順次通常のシミュレーターを用いて参照データを得、各図形間の間隙または各図形の大きさがあらかじめ設定された所定の値S1より小さくなる領域に行き当たるたびに高精度のマスクパターンシミュレーションを行い、参照データを得るものであっても良い。このときパターン配置と求めた高精度シミュレーション結果はルールテーブルとして蓄積し、同じ配置に行き当たるたびにルールテーブルから高精度なシミュレーション結果を参照することができるようにすることが望ましい。
【0112】
前記抽出された領域に対する高精度のマスクパターンシミュレーションとしては、抽出された領域以外に対するシミュレーションに比べて細かい間隙を高精度に記述する手法を用いる。具体的には例えば参照データの作成のための画素の大きさを1/2、1/4などとより細かくする手法、マスク描画シミュレーター及び光学シミュレーターを併用する手法などが挙げられる。
【0113】
なお、本発明のマスク欠陥検査方法における参照データの形成工程はマスク欠陥検査装置内でリアルタイムに行っても良いし、またはオフラインで行っても良い。
(実施例7)
第4発明の実施例を示す。
【0114】
実施例6と同様にして<マスクの作成>を行い、さらに以下に示す参照データ形成工程を行う以外は実施例1と同様にして<マスク欠陥検査>を行った。
【0115】
図4に参照データ形成工程のフローチャートを示す。
【0116】
まず前記補正後マスク設計データが入力され(41)、各図形間の間隙または各図形の大きさがあらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さくなる箇所を 含む領域を抽出する(42)。前記抽出された領域以外の領域に対しては、通常のシミュレーターを用いてマスクパターンシミュレーションを行い光学センサの感度特性を考慮した関数と畳み込み積分を行って参照データを得る(43)。
【0117】
一方、前記抽出された領域に対しては、参照データを作成しない(44)。
【0118】
以上のような作業を行うことにより補正後マスク設計データから参照データ45を得た。
【0119】
このようにマスク欠陥検査を行うことによりマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離S1を保っていない箇所を含む領域を除外した領域についてのみマスク欠陥検査を行なう。そのため当該領域において擬似欠陥を検出する問題を回避し、マスク欠陥検査工程の負担を軽減することができる。
【0120】
なお、本発明のマスク欠陥検査方法における参照データの形成工程はマスク欠陥検査装置内でリアルタイムに行っても良いし、またはオフラインで行っても良い。
(実施例8)
第5発明の実施例を示す。
【0121】
以下に示すようにしてマスクの作成及びマスク欠陥検査を実施した。
<マスクの作成>
まず、デバイス設計データを作成した。次に前記デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データを得て、前記マスク設計データに対して光近接効果補正を施し、補正後マスク設計データを得た。
【0122】
図5(a)に補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターンの一部を示す。
【0123】
前記マスク設計データに基づくマスク設計パターンにはマスク欠陥検査時に擬似欠陥となるようなデザインルールに違反する領域は存在しなかった。一方、補正後マスク設計データに基づく補正後マスク設計パターン51には図形間距離a1、a2、a3に示すマスク欠陥検査可能な所定の図形間距離がS1以下となる箇所を含んでいる。
【0124】
一方、前記補正後マスク設計データに基づいて実際にマスクを作成した。
<マスク欠陥検査>
次に作成したマスクに対しマスク欠陥検査装置を用いてマスク欠陥検査を施した。マスク欠陥検査のフローチャートを図2に示す。
【0125】
まず、補正後マスク設計データ入力手段(図示せず)により参照データ発生回路25に補正後マスク設計データ24を入力し、前記補正後マスク設計データ24からは参照データ発生回路25にて後述の如くマスク欠陥検査用の参照データ26を得る参照データ形成工程を行った。
【0126】
一方、作成したマスク21に対しては、光学センサ回路22にてマスクの形状を実測しマスクのセンサデータ23を得るセンサデータ形成工程を行った。最後にセンサデータ23と参照データ26とを比較回路27にて比較することにより欠陥抽出28を行った。
【0127】
用いたマスク欠陥検査装置は、少なくとも上記作用を有する、光学センサ回路22、マスク設計データ入力手段、参照データ発生回路25、比較回路27及び抽出された欠陥の出力手段を少なくとも備えるものである。
【0128】
参照データ発生回路25において補正後マスク設計データ24から参照データ26を得る参照データ形成工程についてさらに詳細に説明する。
【0129】
図6に参照データ形成工程のフローチャートを示す。まず前記補正後マスク設計データが入力され(61)、各図形間の間隙または各図形の大きさがあらかじめ設定されたマスク欠陥検査可能な所定の値S1より小さくなる箇所を含む領域を抽出する(62)。前記抽出された領域以外の領域に対しては、通常のシミュレーターを用いてマスクパターンシミュレーションを行い、光学センサの感度特性を考慮した関数と畳み込み積分を行って参照データを得る(63)。
【0130】
前記抽出された領域に対しては、例えば近接する辺同士の間にマスク描画できる最小サイズW1近傍若しくはそれ以下の大きさの微小な補助パターンを配置するよう補正した補助パターン付加データを作成する(64)。
【0131】
図5(b)に補正後マスク設計データに補助パターンを付加した補助パターン付加データに基づく補助パターン付加パターンを示す。補正後マスク設計パターン51に対し補助パターン52が付加されている。補助パターン52はパターン間距離(a1,a2,a3)や対向する辺の長さに応じてパターンの形や大きさを変えても良い。
【0132】
このような補助パターンを配置した補助パターン付加データに対して通常のシミュレーターを用いてマスクパターンシミュレーションを行い、光学センサの感度特性を考慮した関数と畳み込み積分を行って参照データを得る(65)。
【0133】
このような作業を行って補正後マスク設計データから参照データ66を得た。
【0134】
補助パターンを配置しない補正後マスク設計データから参照パターンを作成した場合、参照パターンとセンサパターンとのパターンの差異が大きくなり擬似欠陥を発生してしまうこととなるが、本実施例では、補正後マスク設計データ補助パターンを付加した補助パターン付加データから参照パターンを作成しているため、補助パターン未配置の実際のマスクから得たセンサパターンを比較すれば、両者は同じ図形と判断され、擬似欠陥を発生せずに検査を続行する事が出来る。
【0135】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明のマスク設計データ作成方法は、LSIなどの設計データに基づくマスク設計データに光近接効果補正を施しても、マスク欠陥検査工程において、光近接効果補正を施すことに起因して生じる擬似欠陥が少ないないマスク設計データを作成することができ、マスク欠陥検査工程を簡易化して生産性を向上させると共に、ウエハなどに形成する微細パターンの精度向上に寄与することができる。
【0136】
また、本発明のマスク設計データ作成方法を用いたマスク欠陥検査方法は、マスク欠陥検査工程において、LSIなどの設計データに基づくマスク設計データに光近接効果補正を施すことに起因して生じる擬似欠陥を低減し、マスク欠陥検査工程を簡易化して生産性を向上させると共に、ウエハなどに形成する微細パターンの精度向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図2】実施例に係るマスク欠陥検査のフローチャート。
【図3】実施例に係る参照データ形成工程のフローチャート。
【図4】実施例に係る参照データ形成工程のフローチャート。
【図5】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図6】実施例に係る参照データ形成工程のフローチャート。
【図7】実施例に係る拡大マスク設計データの作成のフローチャート。
【図8】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図9】コンタクトホール形成工程を示す工程断面図。
【図10】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図11】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図12】実施例に係る補正後拡大マスク設計データの作成のフローチャート。
【図13】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図14】実施例に係るマスク設計データに基づくマスク設計パターンを示す平面図。
【図15】LSI設計データに基づく設計上のパターンと、実際のウエハ上で得られるパターンを示す平面図。
【図16】マスク欠陥検査のフローチャート。
【符号の説明】
10…マスク設計パターン
11…補正後マスク設計パターン
12…マスク欠陥検査可能な所定の図形間距離S1を保っていない箇所を含む領域
21…マスク
22…光学センサ回路
23…センサデータ
24…補正後マスク設計データ
25…参照データ発生回路
26…参照データ
27…比較回路
28…欠陥抽出

Claims (2)

  1. デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データを得る工程と、前記マスク設計データに対して、試料上に形成されるパターンの忠実度を向上するための補正を施した補正後マスク設計データを得る工程と、前記補正後マスク設計データから前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙あるいは図形の大きさがマスク欠陥検査可能なあらかじめ設定された所定の値より小さくなる箇所を含む領域を抽出する工程と、前記補正後マスク設計データに対し、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げる、または前記図形間の間隙を広げるよう補正した拡大マスク設計データを得る工程とを具備することを特徴とするマスク設計データ作成方法。
  2. デバイス設計データに基づいて得られたマスク設計データを得る工程と、前記マスク設計データに対し試料上に形成されるパターンの忠実度を向上するための補正を施した補正後マスク設計データを得る工程とを備えるマスク設計データ作成方法において、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙がマスク欠陥検査可能な所定の値より小さくなる箇所が存在することがあらかじめ予測されるとき、前記補正後マスク設計データを得る工程前または途中に、前記補正後マスク設計データ上の各図形間の間隙がマスク欠陥検査可能なあらかじめ設定された所定の値より小さくなると予測される箇所を含む領域を抽出する工程と、前記抽出された領域内の図形を連結する、または前記図形の大きさを広げるよう補正した補正後拡大マスク設計データを得る工程を具備することを特徴とするマスク設計データ作成方法。
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