JP2004279842A - 静電荷像現像用トナー、プロセスカートリッジ、定着方法及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともバインダー樹脂と荷電制御剤と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、該着色剤が、波長分散型蛍光X線法においてチタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有する黒色酸化鉄化合物であり、該トナーのCuKα特性X線に対するブラッグ角2θのピークが、ピークA:32.9度±0.3度とピークB:35.5度±0.3度にあり、このX線強度比がスキャンスピード0.5〜4度/分において、ピークA/B=0.3〜2.0の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真等において用いる静電荷像現像用トナー、該トナーを保持したプロセスカートリッジ、該トナーを用いて得られるトナー像の定着方法、及び該トナーを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、米国特許第2297691号明細書、特公昭49−23910号公報、及び特公昭43−24748号公報等に各種の方法が記載されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像を乾式トナーを用いて現像し、紙等にトナー像を転写したのち、加熱、加圧等により定着し、コピーを得るものである。
【0003】
電気的潜像を現像する方式には大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料を微細に分散させた現像剤を用いる液体現像方式とカスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法等のように天然または合成樹脂にカーボンブラック等の着色剤を分散したトナーを用いる乾式現像方式があり、乾式現像方式には一成分現像方式とキャリアを用いる二成分現像方式がある。
【0004】
トナー像を転写紙上に加熱定着する方法としては、大別して接触定着法と非接触定着法があり、前者は加熱ローラ定着、ベルト定着、後者はフラッシュ定着、オーブン(雰囲気)定着が挙げられる。
加熱ローラ定着方式はトナー像と加熱ローラが直接接触するため、極めて熱効率の良い定着方式であり、装置も小型化できるため、広く一般に用いられている。
【0005】
しかしながら、近年省エネルギー化がますます進み、定着を行わない待機時には熱源を切るような場合がある。このような装置では、熱源を入れたら直ちに熱ローラが加熱され、極短時間で所望の温度に達する必要がある。
そのため、このような装置に用いられる定着装置は熱エネルギー効率を高めるため、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みを1.0mm以下とするような試みがなされている(特開2002−82474号公報、特開平9−222750号公報・・・特許文献1、2)。これにより、極短時間で所望の温度まで達することが可能となった。
【0006】
しかし、定着ローラの厚みを1.0mm以下とすることでローラ自身の機械的強度が弱くなり、ローラ間に大きな荷重を加えるとローラが変形するため大きな荷重が加えられなくなった。
このため、このような定着装置に用いられるトナーは従来のトナーとは比較にならないほどの低温定着化が求められている。
【0007】
この問題を解決する技術として、従来よりいくつかの提案がなされている。
例えば、特許第2743476号公報には、ポリエステル樹脂と極性基を有するワックスから成る芯粒子を樹脂被覆し、ポリエステル樹脂とワックスの溶融粘度を規定したロール定着用トナーが、特開平3−122661号公報、特開平4−85550号公報、特公平8−16804号公報には、特定のポリエステル樹脂と離型剤から成り、ポリエステル樹脂の80〜120℃における溶融粘度と溶融粘度と温度のグラフの傾きと特定の離型剤の溶融粘度を規定したフィルム定着用トナーが、特公平8−12459号公報には、特定のポリエステル樹脂と離型剤から成り、ポリエステル樹脂の80〜120℃における溶融粘度と溶融粘度と温度のグラフの傾きと特定の離型剤の溶融粘度を規定したフィルム定着用カプセルトナーが、特公平7−82250号公報には、特定のポリエステル樹脂と有機金属化合物、離型剤を含有し、ポリエステル樹脂の120〜150℃における溶融粘度と溶融粘度と温度のグラフの傾きと特定の離型剤の溶融粘度を規定したフィルム定着用トナーが、特公平7−72809号公報には、110〜130℃で測定された溶融粘度と温度の関係式を規定したスチレン−アクリル樹脂から成るトナーが、また特開平10−246989号公報には、特定の荷電制御剤を含有し、平均粘度勾配を規定したトナーがそれぞれ提案されている。
【0008】
また近年、ますます高画質化が進み、トナー粒径は小さくなる傾向にある。トナー粒径が小さい場合、定着ローラ間で加圧しても、トナー粒子に圧が加わり難いため、定着性が悪くなる事が知られている。特に面圧を低くした定着装置の場合、この傾向が顕著となる。
【0009】
さらに近年ではカーボンブラックに変わる着色剤として、安全性が高く、熱伝導性の良い黒色金属化合物微粉末を用いる試みが提案されている。
例えば、特許第2736680号公報(特許文献3)では平均粒径0.1〜0.5μmのFe2TiO5とFe2O3−FeTiO3固溶体との混合物が、特許第3101782号公報、特許第3108823号公報、特許第3174960号公報ではFeOを25〜30%含有した磁性酸化鉄が、特許第3224774号公報、特許第3261088号公報では残留磁化6emu/g以下のマグネタイトが、特開2000−319021号公報には内部にTi、表面にTiとFeからなる酸化鉄粒子が、特開2002−129063号公報(特許文献4)では飽和磁化0.5〜10emu/g、粒径0.1〜0.4μm、Fe2TiO4で被覆されたルチル型TiO2混合相結晶が、特開2002−189313号公報(特許文献5)では飽和磁化30emu/g以下、誘電損率50以下の金属化合物が、特開2002−196528号公報(特許文献6)では飽和磁化40emu/g以下、含有量20重量部以下の金属化合物が、特開2000−10344号では黒色ヘマタイト粒子に黒色含水酸化鉄粒子粉末(特許文献7)が提案されている。
【0010】
しかしながら、省エネルギー化はますます進み、前記のような薄肉ローラ、低面圧の定着装置を使用した場合、このような従来の技術では充分な定着性を得る事が困難である。
また、カーボンブラックに変わる着色剤としては十分な導電性が得られず、帯電の立ち上がり性、十分な安定性が得られないのが現状である。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−82474号公報
【特許文献2】
特開平9−222750号公報
【特許文献3】
特許第2736680号公報
【特許文献4】
特開2002−129063号公報
【特許文献5】
特開2002−189313号公報
【特許文献6】
特開2002−196528号公報
【特許文献7】
特開2000−10344号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カーボンブラックに変わる新規な黒色着色剤を使用したトナーを提供するものであり、カーボンブラックを含有しなくても十分な導電性が得られ、帯電性能の良好な静電荷像現像用トナーを提供することを目的とするものである。
また本発明は、薄肉、低面圧ローラを用いた、定着装置を用いても、定着性及び耐熱保存性に優れた静電荷像現像用トナー、該トナーを用いたプロセスカートリッジ、及び該トナーを用いて得られたトナー像の、熱エネルギー効率が高く、低温定着性に優れた定着方法、並びに該トナーを用いる画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記(1)〜(9)が提供される。
(1) 少なくともバインダー樹脂と荷電制御剤と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、該着色剤が、波長分散型蛍光X線法においてチタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有する黒色酸化鉄化合物であり、該トナーのCuKα特性X線に対するブラッグ角2θのピークが、ピークA:32.9度±0.3度とピークB:35.5度±0.3度にあり、このX線強度比がスキャンスピード0.5〜4度/分において、ピークA/B=0.3〜2.0の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2) 前記着色剤の飽和磁化σsが0.5〜30emu/gであることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3) 前記黒色酸化鉄化合物の平均一次粒径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の静電荷像現像用トナー。
(4) 前記バインダー樹脂が軟化点が異なる2種類の樹脂(A)及び樹脂(B)からなり、該樹脂(A)と該樹脂(B)の軟化点(Tm)およびガラス転移点(Tg)が下記式を満足することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
Tm(A)>Tm(B)
|Tg(A)−Tg(B)|<10 (℃)
30≦Tm(A)−Tm(B)≦60 (℃)
(5) 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(6) 前記荷電制御剤がジルコニウムと芳香族オキシカルボン酸又はその塩からなるジルコニウム化合物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(7) トナー像を担持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置で、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下であり、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下の定着装置を用い、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて得られるトナー像を定着することを特徴とするトナー像定着方法。
(8) 感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、少なくとも前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを保持した現像手段を具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。
(9) 感光体に帯電部材を接触させ、該帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行なう帯電装置を少なくとも具備する画像形成装置により、トナーとして前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の静電荷像現像用トナーの着色剤において、カーボンブラックに変わる新規な黒色酸化物化合物の構造としては、Fe2O3−FeTiO3固溶体を含有する多結晶粒子粉末であり、この粉末は波長分散型蛍光線法においてチタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有する黒色酸化鉄化合物であり、CuKα特性X線に対するブラッグ角2θのピークが、ピークA:32.9度±0.3度とピークB:35.5度±0.3度にあり、このX線強度比がスキャンスピード0.5〜4度/分において、ピークA/B=0.3〜2.0の範囲にあるものが、低磁性であり、黒色度が高く、分散性が良く帯電能力に優れ、カーボンブラックの代用品としてきわめて良好なものである。
【0015】
これらのピークはFe2O3の結晶構造に起因するものであるが、このピークA/B比が0.3〜2.0の範囲であることが重要であり、結晶面がそろって成長していることが好ましい。2.0を超える構造のものは、粒子間の凝集性が強く、トナーにおける分散性が悪いため、トナーの熱伝導性が十分に得られないため定着性が悪化するものであった。0.3未満の構造のものは体積固有抵抗が低く、十分な帯電量が得られない、及び/または帯電の立ち上がり性が不充分である。ピークA/B比が0.3〜2.0の範囲であることによりトナーの低温定着性が良好であり、十分な帯電量が得られ及び帯電の立ち上がり性が速いトナーを得ることができる。
【0016】
本発明の前記特定のX線回折強度を有する黒色酸化鉄化合物を得る方法としては、例えば、粒子表面をチタン化合物で被覆したマグネタイト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末とチタン化合物との混合粉末又は粒子表面をチタン化合物で被覆したヘマタイト粒子粉末を還元して得られた還元粉末のそれぞれを、非酸化性雰囲気下700〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の温度で加熱焼成した後粉砕する方法によって得られるのであるが、実はこのときの焼成後の冷却温度を制御することにより、本発明の前記X線回折強度を有する新規黒色酸化鉄化合物を得ることができた。焼成後の冷却が400℃/hr以下の徐冷の場合は、チタン化合物の被覆が不均一になりやすく、結晶面が不均一となりやすく、また、焼成後の冷却が1500℃/hr以上の急冷の場合はチタン化合物の被覆が脱離しやすくなり、所望のX線回折強度をえることができない。粒子表面をチタン化合物で被覆したマグネタイト粒子粉末を原料として用いる場合には、磁化値が小さい粒子が得られやすく非磁性という点から好ましい方法である。
【0017】
本発明において、黒色酸化物化合物の構造としては、Fe2O3−FeTiO3固溶体を含有する多結晶粒子粉末であることが、黒色でありかつ磁性が弱いという点から好ましい。
マグネタイト粒子粉末、ヘマタイト粒子粉末としては、粒状、球状、針状等いかなる形態の粒子でもよく、また、大きさは好ましくは0.03〜1.5μm程度の粒子を使用することができる。
【0018】
原料粒子のサイズと生成物粒子のサイズは、相関であり、小さいサイズの原料粒子を用いると小さいサイズの生成物粒子が、大きいサイズの原料粒子を用いると大きいサイズの生成物粒子が得られる傾向にある。
【0019】
チタン化合物としては、チタンの含水酸化物、水酸化物、酸化物のいずれをも使用することができる。マグネタイト粒子粉末と混合する場合には水溶性のチタン化合物を用いるのが好ましい。チタン化合物の量は、チタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量の範囲が好ましい。10重量%未満の場合には、得られる黒色顔料粒子粉末の磁化値が大きくなりトナーの現像能力が低下し、画像濃度が低くなる。45重量%を超える場合には非磁性の黒色顔料粒子粉末が得られるが、TiO2の生成量が多くなるためL値(明度)が高くなりトナー着色力が低下する。
【0020】
本発明において、黒色酸化物化合物の波長分散型蛍光X線法によるチタン成分の、Ti原子換算でFe原子に対する比率は、波長分散型蛍光X線装置を使用し、測定して得られたメインピークの比率により求めることができる。
【0021】
本発明の静電荷像現像用トナーにおいて、該黒色酸化鉄化合物の含有量はバインダー樹脂100重量部に対して、通常5〜45重量部、好ましくは10〜30重量部である。
5重量部未満の場合、トナーの着色力が不十分となり、トナーが赤味を帯びた色になる。また、定着温度が充分に低下しない。45重量部を越える場合は、トナーの比重が大きくなりすぎて、現像能力が低下する。
【0022】
本発明においては、着色剤の飽和磁化σsは0.5〜30emu/gであることが好ましい。
着色剤の飽和磁化が30emu/gを越える場合、磁気スリーブ、磁気ブラシなどの磁石を内蔵したトナー担時体との保持力が強くなり、感光体への現像性が悪化する。0.5emu/g未満の場合は、トナー担時体との保持力が弱くなり、トナー飛散、地汚れが悪化する。
着色剤の飽和磁化の測定は、理研電子(株)製の磁化測定装置BHU−60を用い、内径7mmφ、高さ10mmのセルに充填した着色剤に、磁界を10kOeまで掃引した際の履歴曲線から飽和磁化を求める。
【0023】
本発明では、トナー中に含有する黒色酸化鉄化合物の平均一次粒径は0.05〜2.0μmが好ましく、トナー中での分散性の観点から0.1〜0.5μm範囲にあることが特に好ましい。
黒色酸化鉄化合物の平均1次粒子径は、日立透過型電子顕微鏡H−9000による電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示す。
【0024】
上記方法において、必要により、加熱焼成前にあらかじめ周知の焼結防止剤で原料粒子を被覆しておいてもよい。この場合には、加熱焼成時における粒子及び粒子相互間の焼結を防止することが出来、分散性に優れた黒色顔料粒子粉末を得ることができる。本発明の目的とする黒色顔料粒子粉末の諸特性を損なわない焼結防止剤としては、Al、Ti、Si、Zr及びPから選ばれた元素の1種又は2種以上からなる化合物を用いることができる。焼結防止剤の量はFe及びTiに対して通常0.1〜15.0原子%である。十分な焼結防止効果を得る為には0.1原子%以上であることが好ましく、15.0原子%を超える場合には、生成する黒色顔料粒子粉末中にマグネタイトが混在し、非磁性の黒色酸化鉄化合物を得ることが困難となる。
【0025】
更に黒色度を高めるため、黒色染顔料、青色染顔料をメカノミル(岡田精工社製)又はメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて黒色顔料粒子表面に固定させることが好ましい。
黒色染顔料としては鉄黒、アニリンブラック、グラファイト、フラーレン等が、青色染顔料としてはコバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0026】
本発明のトナーにおけるバインダー樹脂の特徴に関しては、軟化点の異なる2種類の樹脂(A)と樹脂(B)を使用し、これら樹脂(A)と樹脂(B)の軟化点(Tm)およびガラス転移点(Tg)が下記式を満足することこれまで以上の省エネルギー化を達成することができる。
Tm(A)>Tm(B)
|Tg(A)−Tg(B)|<10(℃)
30≦Tm(A)−Tm(B)≦60(℃)
【0027】
従来のカーボンブラックを使用したトナーでは軟化点の異なる2種類の樹脂を使用すると、樹脂が柔らかいこととポリマー自身の相溶性が良いために、樹脂が割れにくくなり生産性の悪化を招き、また耐熱保存性も不十分であった。しかし、本発明の黒色酸化鉄化合物を使用したトナーは、樹脂との割れ界面が発生するため、良好な粉砕性が得られる。さらに、黒色酸化鉄化合物はカーボンブラックと比較し、熱伝導性が早いため、定着性が良好となり、かつ、本発明のX線回折での強度比が特定の範囲内にあるものはトナーにおける分散性が良好であるため、フィラー効果が発現しやすく、トナーの硬度が高くなり、耐熱保存性と耐ホットオフセット性に有利となる。さらに、混練工程において、黒色酸化鉄化合物が樹脂に対してハザードを与えるため、樹脂間や離型剤などの他材料との分散性を高める役割を果たし、分散性の良好となり、かぶりに改善効果が認められた。
【0028】
Tg(A)−Tg(B)の絶対値は10℃未満が好ましく、該値が10℃以上の場合はトナー混練時に相溶性が悪くなり、低温定着性とホットオフセット性の両立が困難であった。より好ましくは7℃以下である。
また、Tm(A)−Tm(B)を30℃〜60℃とすることで低温定着性とホットオフセット性が両立でき、十分な定着可能温度領域を保つことが出来る。より好ましくは、35〜55℃である。さらにこれらの樹脂がポリエステル樹脂であることによりさらなる低温定着性が得られる。
【0029】
バインダー樹脂の軟化温度(Tm)は高化式フローテスター(島津製作所製)を用いてJIS K72101に記載された方法に準拠して行なう。具体的には、1cm3の試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより20Kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化温度(Tm)とする。
【0030】
バインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は島津製作所製示差走査熱量計DSC−60を用いて、10℃/分で室温から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/分で室温まで冷却した後、昇温速度10℃/分で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインとガラス転移点以上のベースラインの高さhが1/2に相当する曲線をガラス転移点(Tg)とする。
【0031】
また、トナー体積平均粒径が4〜7.5μmであり、かつ5μm以下の粒子が60〜80個数%の粒度分布を持った場合が好ましく、細線再現性に優れている。
体積平均粒径が4μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
一方、体積平均粒径が7.5μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
また、5μm以下の粒子が60個数%未満だと、細線の再現性が悪化する。
一方、5μm以下の粒子が80%を越えると、微粉が多すぎて、現像スリーブ固着が悪化する。
【0032】
本発明のトナーにおいては、極性を制御するために、荷電制御剤を配合する。この場合の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物などが挙げられるが、その中でもジルコニウムと芳香族オキシカルボン酸又はその塩からなるジルコニウム化合物が好ましい。これは、ジルコニウムと芳香族オキシカルボン酸又はその塩からなるジルコニウム化合物が高い帯電量付与と帯電の立ち上がり性が良好であるだけではなく、ジルコニウムと本発明の黒色酸化鉄化合物が金属架橋類似の相互作用を形成し、フィラー効果が得られ、トナーの耐熱保存性が向上するという効果が得られるためである。
【0033】
本発明のトナーに用いられるバインダー樹脂としては、従来より公知の樹脂が全て使用される。例えば、ポリスチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられるが、前記したように定着特性を良好とするためには、特にポリエステル樹脂を用いる事が好ましい。
【0034】
ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得られる。使用されるアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1、4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2、4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は58〜75℃が好ましい。
【0035】
以上の樹脂は単独使用も可能であるが二種類以上併用しても良い。
また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0036】
本発明では、定着時の離型性を向上させるためトナーにワックス成分も使用可能である。例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のようなポリオレフィンワックスや、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナウバワックス等の天然ワックスが使用可能である。
ワックス成分の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
【0037】
上記トナーには必要に応じてその他、添加剤を添加する事も可能である。添加剤としては、シリカ、酸化アルミニウム類、酸化チタン類を例示することができる。高流動性を付与する事を主目的とする場合には疎水化処理シリカあるいはルチル型微粒子酸化チタンでその平均一次粒径が好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.005〜0.1μmの範囲ものから適宜選択でき、特に有機シラン表面処理シリカあるいはチタニアが好ましく、通常0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜2重量%の割合で使用される。
【0038】
本発明のトナーは、一成分系乾式トナー、またはキャリアと混合し二成分系乾式トナーとして使用することができる。
本発明のトナーを二成分系乾式トナーとして使用する場合に混合して使用するキャリアとしては、ガラス、鉄、フェライト、ニッケル、ジルコン、シリカ等を主成分とする、粒径30〜1000μm程度の粉末、または、該粉末を芯材としてスチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等をコーティングしたものから適宜選択して使用可能である。
【0039】
(トナーの製造方法)
本発明におけるトナーの製造方法は、少なくともバインダー樹脂、主帯電制御剤および黒色酸化鉄化合物を含むトナー成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を戻して再利用する製造方法も含まれる。
ここで言う製品となる粒子以外の粉末(副製品)とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程や溶融混練する工程で原料と好ましくは副製品1に対しその他原材料99から副製品50に対し、その他原材料50の重量比率で混合するのが好ましい。
【0040】
少なくともバインダー樹脂、主帯電制御剤および黒色酸化鉄化合物、副製品を含むトナー成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
【0041】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
【0042】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0043】
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中で分級し、もって所定の粒径、例えば平均粒径が5〜20μmのトナーを製造する。
また、現像剤を調製する際には、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナーにさらに先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【0044】
以下に測定方法について記載する。
本発明における波長分散型蛍光X線法の測定には、波長分散型蛍光X線装置を用い、測定を行う。その際の蛍光X線の条件は下記のとおりである。
電圧:50kv、電流:50mA、Rh管、真空条件下
本発明のX線回折の測定には、例えば日立製作所製RINT1100を用い、CuKα線を用い次の条件により測定する。
X線管球:Cu、管電圧:50KV、管電流:30Ma、スキャンスピード:2度/分
【0045】
本発明に用いられる定着装置の例は図1に示されるものである。1は定着ローラ、2は加圧ローラをそれぞれ表している。定着ローラ1はアルミニウム、鉄、ステンレス又は真鍮のような、高熱伝導体から構成された金属シリンダー3の表面にRTV(常温にて加硫ゴムの総称)、シリコンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層4が被覆されている。定着ローラ1の内部には、加熱ランプ5が配置されている。加圧ローラ2の金属シリンダー6は定着ローラ1と同じ材質が用いられる場合が多く、その表面にはPFA、PTFAなどのオフセット防止層7が被覆されている。また、必ずしも必要ではないが、加圧ローラ2の内部には加熱ランプ8が配置されている。
【0046】
定着ローラと加圧ローラは図示してはいないが、両端のバネにより圧接され回転する。
この定着ローラ1と加圧ローラ2の間にトナー像Tの付着支持体S(紙などの転写紙)を通過させ定着を行う。
本発明に用いられる定着装置は、定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とすることにより、定着ローラの温度立ち上がり特性を改善したものであり、極めて短時間で所望の温度まで立ち上げることができる。
好ましい金属シリンダーの厚みは、用いる材料の強度、熱伝導率により異なるが0.2〜0.7mmが好ましい。
【0047】
また、定着ローラと加圧ローラ間に加える荷重(面圧)は1.5×105Pa以下であることが好ましい。面圧はローラ両端に加えられる荷重をローラ接触面積で割った値である。
ローラ接触面積は、定着可能温度まで加熱したローラ間にOHP用紙のような、加熱により表面性の大きく変化するシートを通過させ、途中で停止し数10秒間保持した後排出し、表面性の変化した箇所の面積を求める。
ローラー面圧は高い方がトナー像の定着には有利であるが、前記定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とした定着装置では、ローラの歪みを招くため大荷重は加えられず、その荷重は1.5×105Pa以下が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0×105Paである。
【0048】
図2に本発明の静電荷像現像用トナーを有するプロセスカートリッジを具備する画像形成装置の概略構成を示す。図2において1はプロセスカートリッジ全体を示し、2は感光体、3は帯電手段、4は現像手段、5はクリーニング手段を示す。
本発明においては、上述の感光体2、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段5等の構成要素のうち、少なくとも現像手段4を含む複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
【0049】
本発明で用いる画像形成装置は、感光体が所定の周速度で回転駆動される。感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光を受け、こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0050】
上記画像形成装置において、像定着手段は、前記した特定の厚み(1.0mm以下)の定着ローラと、該定着ローラと加圧ローラ間との特定面圧(1.5×105Pa以下)の定着装置のものが好ましい。
また帯電手段は、感光体に帯電部材を接触させ、該帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行う帯電装置のものが好ましい。帯電手段としてこのような帯電装置を用いることにより、現像剤に均一に電圧を印加することができるため、かぶりのない画像を得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下具体的実施例によって本発明を説明するが本発明はこれにより限定されない。
【0052】
(黒色酸化鉄化合物の製造例)
(1)黒色酸化鉄化合物1〜4の製造例:粒状マグネタイト粒子表面をチタン水酸化物で被覆したマグネタイト粒子粉末を窒素雰囲気下にて表1記載の焼成温度、焼成時間にて焼成し、冷却後、ボールミルにて粉砕して黒色酸化鉄化合物を得た。
(2)黒色酸化鉄化合物5〜8の製造例:粒状ヘマタイト粒子粉末とチタン酸化物との混合粉末を窒素雰囲気下にて表1記載の焼成温度、焼成時間にて焼成し、冷却後、ボールミルにて粉砕して黒色酸化鉄化合物を得た。
(3)黒色酸化鉄化合物9〜13の製造例:粒状ヘマタイト粒子表面をチタン水酸化物で被覆したヘマタイト粒子粉末を還元して得られた還元粉末に、窒素雰囲気下にて表1記載の焼成温度、焼成時間にて焼成し、冷却、ボールミルにて粉砕後、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)にて600℃で青色染顔料(無金属フタロシアニンブルー)を黒色顔料粒子粒子表面に固定させた。
【0053】
各黒色酸化鉄化合物の製造条件、物性を下記表1に示す。
【表1】
【0054】
実施例1
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて混練し、粉砕、分級し、5μmの重量平均粒径とした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ微粉末(R−972:クライアントジャパン製)0.5重量部を混合しトナーを得た。
本トナーと平均粒径50μのフェライト粒子にシリコーン樹脂コートしたキャリアで4.0重量%トナー濃度で混合し、現像剤を作成した。
【0055】
▲1▼ 定着性の評価方法
図1に示される構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をimagio MF6550((株)リコー製)に装着し、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得た。
定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とした。
定着率(%)=(テープ引き剥がし後の画像濃度/テープ付着前の画像濃度)×100
【0056】
▲2▼ 耐熱保存性の評価方法
50ccのガラス容器にトナーを充填し、60℃の恒温槽に4時間放置した。このトナーを室温に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)にて針入度を測定した。この値が大きいほど耐熱保存性が優れている。
【0057】
▲3▼ 画像評価方法
リコーimagio420にて常温常湿環境(18〜27℃、30〜70%)にて初期画像と50000枚複写画像をとった後、画像評価としてかぶりと画像濃度を評価した。
・かぶりは以下の基準で総合的に判断した。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
画像濃度はマクベス濃度計にて測定した。画像濃度が大きいほうが着色力は大きい。
【0058】
▲4▼ X線回折の測定
日立製作所製RINT1100を用い、CuKα線。
X線管球:Cu、管電圧:50KV、管電流:30Ma、スキャンスピード:2度/分
【0059】
[黒色酸化鉄の物性測定方法]
▲5▼ 平均1次粒子径
日立透過型電子顕微鏡H−9000による電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
【0060】
▲6▼ 磁気特性
磁磁気特性の測定には、理研電子(株)製の磁化測定装置BHU−60を用い、内径7mmφ、高さ10mmのセルに充填したトナーに、磁界を10kOeまで掃引した際の履歴曲線から、飽和磁化、残留磁化及び保磁力をそれぞれ求めた。
評価結果を表4に示す。
【0061】
実施例2〜6
実施例1において、黒色酸化鉄化合物として以下表2記載の化合物を使用した以外は実施例1と同じ処方にてトナーを作成した。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例7
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて混練し、粉砕、分級し、5μmの重量平均粒径とした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ微粉末(R−972:クライアントジャパン製)1重量部を混合しトナーを得た。
尚、上記トナー処方において、n−BMAはn−ブチルメタクリレートを、2EHAは2−エチルヘキシルアクリレートを示す。
【0064】
実施例8
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて混練し、粉砕、分級し、6μmの重量平均粒径とした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ微粉末(R−972:クライアントジャパン製)0.7重量部を混合しトナーを得た。
【0065】
実施例9
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて混練し、粉砕、分級し、5.5μmの重量平均粒径とした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ微粉末(R−972:クライアントジャパン製)1重量部を混合しトナーを得た。
【0066】
比較例1〜4
(トナー処方)
実施例9において、黒色酸化鉄化合物を以下表3記載の化合物を使用した以外は実施例9と同じ処方にてトナーを作成した。
【0067】
【表3】
【0068】
実施例2〜9及び比較例1〜4のトナーを用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示す。
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明は、定着性、耐熱保存性、かぶり、画像濃度のいずれにも優れた静電荷像現像用トナーを提供することができる。
また本発明は、上記静電荷像現像用トナーを用いて得られるトナー像の、熱エネルギー効率が高く、低温定着性に優れた定着方法を提供することができる。
さらに、本発明は、上記静電荷像現像用トナーを用いたプロセスカートリッジ、及び該トナーを用いる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる定着装置の1例を示す図である。
【図2】本発明のプロセスカートリッジを装着した画像形成装置の概略図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 金属シリンダー
4 オフセット防止層
5 加熱ランプ
6 金属シリンダー
7 オフセット防止層
8 加熱ランプ
T トナー像
S 付着支持体
Claims (9)
- 少なくともバインダー樹脂と荷電制御剤と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、該着色剤が、波長分散型蛍光X線法においてチタン成分をTi原子換算でFe原子に対して10〜45重量%含有する黒色酸化鉄化合物であり、該トナーのCuKα特性X線に対するブラッグ角2θのピークが、ピークA:32.9度±0.3度とピークB:35.5度±0.3度にあり、このX線強度比がスキャンスピード0.5〜4度/分において、ピークA/B=0.3〜2.0の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記着色剤の飽和磁化σsが0.5〜30emu/gであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記黒色酸化鉄化合物の平均一次粒径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記バインダー樹脂が軟化点が異なる2種類の樹脂(A)及び樹脂(B)からなり、該樹脂(A)と該樹脂(B)の軟化点(Tm)およびガラス転移点(Tg)が下記式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
Tm(A)>Tm(B)
|Tg(A)−Tg(B)|<10 (℃)
30≦Tm(A)−Tm(B)≦60 (℃) - 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記荷電制御剤がジルコニウムと芳香族オキシカルボン酸又はその塩からなるジルコニウム化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- トナー像を担持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置で、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下であり、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下の定着装置を用い、請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いて得られるトナー像を定着することを特徴とするトナー像定着方法。
- 感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、少なくとも請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを保持した現像手段を具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 感光体に帯電部材を接触させ、該帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行なう帯電装置を少なくとも具備する画像形成装置により、トナーとして請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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