JP5289931B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、マグネトグラフィー法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー、及びその製造方法に関する。
電子写真技術の発展に伴い、高画質・高速化に対応したトナーの開発が望まれている。例えば、現像機内へのトナーの付着や融着を防止するために、外添剤としてポリテトラフルオロエチレンを外添する技術が開示されている。
特許文献1には、融着や微粉化が起こりにくく、熱定着性も犠牲にせず、層形成量安定性も環境安定性も良く十分な画像濃度が得られ、帯電が良好で白地かぶりがない、高寿命高画質な現像剤として、バインダー樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子並びにフッ素樹脂粒子を含有する負荷電性非磁性一成分静電現像剤が開示されている。
特許文献2には、小粒径、又は、微粉含有量が少なくないにも関わらず、鮮明な画質、及び高い画像濃度が得られる負帯電性静電荷像現像剤として、ポリエステル系結着樹脂と着色剤を主成分とするトナーに、特定の割合でトナーより小さな平均粒径を有するフッ素系樹脂微粉末による表面処理を施す静電荷像現像剤が開示されている。この文献の実施例で具体的に開示されているポリエステルは、ポリエステルの原料として3価の成分が用いられている。
特許文献3には、現像ブレードへの付着物や現像ロールへのトナー融着を生じることなく、より耐久性に優れたトナーとして、特定の第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含有し、外添剤としてポリテトラフルオロエチレンを含有するトナーが開示されている。この文献の実施例で具体的に開示されているポリエステルは、軟化点が120℃以上のものである。

特開平9−329913号公報 特開平6−332231号公報 特開2003−114548号公報
しかしながら、高速連続印刷ではトナーに対するストレスが強く、特許文献1〜3の技術に拠っても、十分に安定した画像を得ることができない。
本発明の課題は、高速連続印刷においても帯電安定性、転写性、低温定着性、及びスメア性に優れたトナー、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 少なくとも、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる、軟化点が90〜115℃のポリエステルを含む、線状ポリエステルからなる結着樹脂を含有するトナーであって、該トナーの個数粒度分布における5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量が15個数%以下であり、かつ、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が4.0体積%以上であり、体積粒度分布における20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が2.0体積%以下であり、平均粒径1μm以下のフッ素系樹脂微粉末を前記結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部含有してなるトナー、
〔2〕 少なくとも、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる、軟化点が90〜115℃のポリエステルを含む、線状ポリエステルからなる結着樹脂に、フッ素系樹脂微粉末を、該結着樹脂100重量部に対して、1.0〜5.0重量部内添する工程を含む、個数粒度分布における5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量が15個数%以下であり、かつ、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が4.0体積%以上であり、体積粒度分布における20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が2.0体積%以下であるトナーの製造方法、ならびに
〔3〕 少なくとも、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる、軟化点が90〜115℃のポリエステルを含む、線状ポリエステルからなる結着樹脂を含有するトナー母粒子に、フッ素系樹脂微粉末を、該結着樹脂100重量部に対して、前記トナー母粒子のガラス転移点の±10℃の範囲内の温度で、0.1〜1.0重量部外添する工程を含む、個数粒度分布における5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量が15個数%以下であり、かつ、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が4.0体積%以上であり、体積粒度分布における20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が2.0体積%以下であるトナーの製造方法
に関する。
本発明のトナーは、高速連続印刷においても帯電安定性、転写性、低温定着性、及びスメア性に優れるという効果を奏する。
本発明のトナーは、特定の結着樹脂と特定のフッ素系樹脂微粉末を含有するものであって、結着樹脂が、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られるポリエステル等の線状ポリエステルからなる点に大きな特徴を有する。なお、本明細書において、「線状ポリエステル」とは、3価以上の多価モノマー、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量が、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、3モル%未満のものをいう。これに対し、非線状ポリエステルとは、3価以上の多価モノマーの含有量が、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、3モル%以上のものをいう。
カルボン酸成分として芳香族カルボン酸化合物を用いて得られたポリエステルは、芳香環による帯電安定性に優れる点が挙げられる。しかし、紙との親和性が高くなく紙等の記録媒体への浸透が遅かったり、付着しにくかったりするため、特に非接触加熱定着では高い定着エネルギーが必要となり、低温定着性が不十分となり易い。また、前記ポリエステルは、電荷を保持し易いことからトナーのチャージアップ現象を生じ易く、特に高速機の現像器ではトナーの攪拌ストレスが強いためチャージアップ現象がより顕著に現れて、トナーの部材に対する静電付着力が強くなり、転写性が悪化し、画質の劣化を招く。しかしながら、特定の軟化点を有するポリエステルを含む線状ポリエステルからなる結着樹脂と特定粒径のフッ素系樹脂微粉末を併用し、トナーの5μm以下の粒子径を有する粒子(以降、5μm以下の粒子ともいう)、10μm以上の粒子径を有する粒子(以降、10μm以上の粒子ともいう)、及び20μm以上の粒子径を有する粒子(以降、20μm以上の粒子ともいう)の各含有量を調整することにより、詳細な理由は不明なるも、トナーのチャージアップが抑制され帯電安定性と転写性に優れ、定着時には紙等の記録媒体への浸透性や付着性に優れ、特に非接触加熱定着のようにより優れた定着性が求められる定着方式においても、帯電安定性、転写性、低温定着性及びスメア性に優れることを見出した。なお、本明細書において、10μm以上の粒子径を有する粒子には20μm以上の粒子径を有する粒子も含まれるため、10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量より20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が多くなることはない。
トナーは、5μm以下の粒子が多いと紙上の画像層厚が薄くなり定着性が向上するものの、フッ素系樹脂微粉末を外添する場合には、フッ素系樹脂微粉末がトナー粒子表面に付着せず遊離した状態で存在し、帯電の安定性を損なう傾向があり、フッ素系樹脂微粉末を内添する場合には、フッ素系樹脂微粉末を含まないトナーの数が多くなる傾向がある。逆に、積極的にフッ素系樹脂微粉末をトナー粒子表面に付着させる又はフッ素系樹脂微粉末を含むトナーの数を多くする観点から、粗粉は多いことが好ましいが、粗大過ぎる粒子が多いと所望の効果が得られにくい。そこで、本発明のトナーは、個数粒度分布における5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量が15個数%以下、好ましくは12個数%以下、より好ましくは10個数%以下である。また、本発明のトナーは、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が4.0体積%以上、好ましくは4.5体積%以上、より好ましくは5.0体積%以上である。また、本発明のトナーは、体積粒度分布における20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が2.0体積%以下、好ましくは1.0体積%以下、より好ましくは0.3体積%以下である。また、トナーの耐スメア性の観点から、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、さらに好ましくは60体積%以下である。このような粒度分布を有することにより、フッ素系樹脂微粉末がトナーに外添又は内添され、上記効果が顕著に奏されるものとなる。なお、本明細書において、トナーの個数粒度分布及び体積粒度分布は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができ、外添剤で外添される前のトナーについて測定する。また、5μm以下の粒子径を有する粒子の数を減らすには、目標とするトナーの平均粒子径を比較的大きく設定する、分級操作で微粉の除去を積極的に行う等の方法が挙げられる。10μm以上の粒子径を有する粒子の数を増やすには、目標とするトナーの平均粒子径を比較的大きく設定する、分級操作で粗粉を除去しない等の方法が挙げられる。
本発明における結着樹脂は、少なくとも、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分の原料モノマーを縮重合させて得られる、軟化点が90〜115℃のポリエステル(以下、ポリエステルIともいう)を含む、線状ポリエステルからなる。
芳香族カルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。なかでも、イソフタル酸、及びその無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等のイソフタル酸系化合物は、アルコール成分との反応性がよく残存モノマーを大幅に低減することができるため、トナーに大きなストレスがかかる高速の画像形成装置に用いられても、外添剤がトナー中に埋め込まれることがなく、転写性が良好となり、画像濃度も良好であることから好ましい。なお、上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
イソフタル酸系化合物の含有量は、トナーの帯電安定性及び転写性の観点から、芳香族カルボン酸化合物中、50〜100モル%が好ましく、60〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%がさらに好ましく、85〜100モル%がよりさらに好ましい。
アルコール成分には、式(I):
Figure 0005289931
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
これらの中では、トナーの帯電安定性の観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整等の観点から、適宜含有されていてもよい。
なお、本発明における結着樹脂は線状ポリエステルからなるため、上記ポリエステルIの原料モノマーにおける、3価以上の多価モノマー、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量が、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、3モル%未満であり、実質的に含まれないことが好ましい。
芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができるが、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、エステル化触媒、例えば、酸化ジブチル錫の存在下で行うことが好ましい。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部が好ましく、0.10〜0.8重量部がより好ましい。
かくして得られるポリエステルIは、トナーの低温定着性及び耐スメア性の観点から、軟化点が90〜115℃、好ましくは95〜115℃、より好ましくは100〜110℃である。また、ガラス転移点は、トナーの保存性の観点から、50〜85℃が好ましく、55〜80℃がより好ましく、60〜70℃がさらに好ましい。酸価は、帯電安定性の観点から、1〜60mgKOH/gが好ましく、3〜30mgKOH/gがより好ましく、4〜20mgKOH/gがより好ましい。なお、本明細書において、軟化点、ガラス転移点、及び酸価は、後述の実施例の記載に従って測定することができる。ポリエステルの軟化点やガラス転移点は、例えば原料モノマー組成や反応時間等により調整することができ、例えば、反応時間を長くすると軟化点が高くなり短くすると低くなる傾向がある。ガラス転移点は、例えば、原料モノマー中の芳香族化合物の量を増加することによって、ガラス転移点が高くなる傾向がある。酸価は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分の比率により調整することができ、カルボン酸成分を多くすれば酸価が大きくなる傾向がある。
本発明における線状ポリエステルには、上記の原料モノマーを縮重合させて得られ、かつ、軟化点が90〜115℃であるポリエステルであれば、単独で又は2種以上組み合わせて含有されていてもよく、本発明の効果が損なわれない程度であれば、上記原料モノマーを用いた上記範囲外の軟化点を有するポリエステルが含有されていてもよい。よって、本発明における線状ポリエステルが複数のポリエステルからなる場合は、軟化点及びガラス転移点は、それらの加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
また、本発明における線状ポリエステルには、トナーの定着性や帯電性の調整の観点から、芳香族カルボン酸化合物以外のカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られるポリエステル(以下、ポリエステルIIともいう)が含有されていてもよい。
芳香族カルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分としては、上記と同様のアルコール成分が挙げられ、特に限定はない。
また、ポリエステルIIも線状ポリエステルであることから、原料モノマーにおける、3価以上の多価モノマー、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、3モル%未満であり、実質的に含まれないことが好ましい。
芳香族カルボン酸化合物以外のカルボン酸成分とアルコール成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、要すれば、エステル化触媒の存在下で、180〜250℃の温度で行うことができる。
ポリエステルIIの軟化点は、好ましくは90〜115℃、より好ましくは95〜110℃である。また、ガラス転移点は、トナーの保存性の観点から、50〜85℃が好ましく、55〜80℃がより好ましい。酸価は、5〜60mgKOH/gが好ましく、10〜30mgKOH/gがより好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
線状ポリエステルにおける、ポリエステルIの含有量は、30〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、トナーの帯電安定性と転写性の観点から、60〜80重量%がさらに好ましい。
線状ポリエステルにおける、ポリエステルIIの含有量は、0〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、20〜40重量%がさらに好ましい。
ポリエステルIとポリエステルIIの重量比(ポリエステルI/ポリエステルII)は、トナーの定着性と帯電性の観点から、100/0〜30/70が好ましく、90/10〜50/50がより好ましく、80/20〜60/40がさらに好ましい。
ポリエステルIを含み、場合によりポリエステルII及び/又はその他の樹脂を含む結着樹脂全体の軟化点は、トナーの低温定着性及び耐スメア性の観点から、好ましくは90〜115℃、より好ましくは95〜110℃、さらに好ましくは100〜110℃である。この結着樹脂全体の軟化点は、結着樹脂を構成する樹脂の軟化点の加重平均値で計算する。
本発明のトナーは、上記結着樹脂100重量部に対して、平均粒径1μm以下のフッ素系樹脂微粉末を0.1〜5.0重量部、好ましくは0.2〜4.5重量部含有する。
フッ素系樹脂微粉末の平均粒径は、定着性、感光体等へのフィルミング防止及び遊離防止の観点から、1μm以下であり、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは200〜800nm、さらに好ましくは250〜600nmである。本明細書において、フッ素系樹脂微粉末の平均粒径は、電子顕微鏡写真から測定した粒子径を数平均して算出したものである。
フッ素系樹脂微粉末としては、ポリテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニリデンフルオロライド、フルオロエチレン等が挙げられるが、これらのなかでも、融点が高く、摩擦係数の低い、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンとしては、乳化重合により製造された球形に近い形状のものが好ましい。このような形状を有するポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、「ルブロン L2」(ダイキン工業社製、平均粒径300nm)、「ルブロン L5」(ダイキン工業社製、平均粒径200nm)、「KTL-500F」(喜多村社製、平均粒径300nm)等が挙げられる。
本発明においては、フッ素系樹脂微粉末は、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母粒子が外添剤で被覆されているトナーにおいて、該フッ素系樹脂微粉末を内添し前記トナー母粒子が該フッ素系樹脂微粉末を含有するトナー(態様1)、及び前記外添剤が該フッ素系樹脂微粉末を含有するトナー(態様2)のいずれの態様で用いられてもよく、また、フッ素系樹脂微粉末を含有するトナー母粒子に、さらにフッ素系樹脂微粉末を添加して得られるトナー、即ち、態様1と態様2のトナーを組み合わせた態様においても用いることができる。
態様1のトナーでは、トナー母粒子におけるフッ素系樹脂微粉末の含有量が、定着性向上の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜5.0重量部が好ましく、2.0〜5.0重量部がより好ましく、2.5〜4.5重量部がさらに好ましい。
態様2のトナーにおけるフッ素系樹脂微粉末の含有量は、感光体へのフィルミング防止及び定着性向上の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましく、0.2〜0.5重量部がさらに好ましい。
また、本発明のトナーは、上記結着樹脂及びフッ素系樹脂微粉末以外に、さらに離型剤を含有することが好ましい。離型剤は、一般的に、ポリエステルと相溶化することによりトナー強度を低減させて、外添剤の埋め込みやフィルミングの問題を生じやすいが、本発明においては、結着樹脂として、芳香族カルボン酸化合物を用いて得られる、剛直な構造を有するポリエステルを含有するため、トナーのスベリ性を向上することが可能となる。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらの中でも、エステル系ワックスが好ましく、カルナウバワックスがより好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよいが、本発明においては、結着樹脂が90〜115℃の軟化点を有するポリエステルを含有することから、トナーの耐スメア性の観点から、融点が好ましくは80〜90℃、より好ましくは80〜85℃の離型剤を用いることが好ましい。なお、本明細書において、離型剤の融点は、後述の実施例の方法に従って測定することができる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1.0〜10重量部が好ましく、1.5〜7重量部がより好ましく、1.5〜4重量部がさらに好ましい。
またさらに、本発明のトナーは、上記以外に、着色剤、荷電制御剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を、適宜含有してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が用いることができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。正帯電性荷電制御剤としては、二グロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
従って、本発明のトナーは、結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び得られた混練物を粉砕する工程を含む方法により製造することが好ましい。フッ素系樹脂微粉末を内添する場合は、トナー原料を溶融混練する工程で内添することが好ましい。フッ素系樹脂微粉末を外添する場合は、混練物を粉砕する工程の後、さらには粉砕物を分級する工程の後に、外添剤を外添処理する工程において外添することが好ましい。
トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。結着樹脂及びフッ素系樹脂微粉末を内添する場合にはフッ素系樹脂微粉末、さらに必要に応じて用いられる着色剤、離型剤、荷電制御剤等のトナー原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することが好ましい。
溶融混練後、得られた混練物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、粉砕工程に供する。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
粉砕工程後、適宜、分級工程、篩工程等を行って、トナーの粒径を調整することが好ましい。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。粉砕工程、さらには分級工程において、トナーの粒度分布を調整することにより、本発明に係るトナーの個数粒度分布及び体積粒度分布を満たすことができる。
以上の工程によりトナーが得られるが、さらに得られたトナー表面に、フッ素系樹脂微粉末や疎水性シリカ等の無機微粒子の外添剤を外添処理する工程を行ってもよい。
外添処理は、公知の方法に従って行うことができ、例えば、トナー母粒子(以下、外添処理されるトナーともいう)と外添剤とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌可能な混合機を用いて混合することによって行うことができるが、フッ素系樹脂微粉末を外添する場合には、トナーからのフッ素系微粒子の遊離防止の観点から、前記外添処理されるトナーのガラス転移点の好ましくは±10℃の範囲内、より好ましくは±5℃の範囲内の温度で外添処理を行うことが好ましい。外添処理の温度は、混合機中の被混合物の温度のことであり、前記混合機に付属のジャケット等の温度調整手段で調整することができる。
外添剤の含有量は、外添処理されるトナー100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜3.0重量部がより好ましい。
外添剤中のフッ素系樹脂微粉末の含有量は、感光体へのフィルミング防止及び定着性向上の観点から、10〜60重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。
態様1における外添剤と内添するフッ素系樹脂微粉末の重量比(フッ素系樹脂微粉末/外添剤)は、感光体へのフィルミング防止及び定着性向上の観点から、1/2〜5/1が好ましく、1/1〜3/1がより好ましい。
本発明のトナーは、前記粒度分布を有するが、体積中位粒径(D50)は、画質及び帯電性の観点から、6.0〜12.0μmが好ましく、7.0〜11.0μmがより好ましく、7.0〜9.0μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、低印字率の長期耐刷においても良好な画像を維持し、定着性に優れた効果を奏することから、非接触加熱定着用トナーとして好適に用いることができる。また、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
二成分現像剤として用いる場合には、特定のフッ素系樹脂微粉末、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンは、ポリフッ化ビニリデン等の他のフッ素樹脂と比べて融点が高く、キャリアに移行したものが融着せず、帯電量の低下が防止できるだけでなく、理由の詳細は不明なるも、ポリテトラフルオロエチレンがシリカの遊離やシリカのキャリアへの移行を緩和し、トナーの帯電性や現像剤の流動性の低下を防止するものと推定される。
キャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが用いられるのが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト及びマンガンフェライトが好ましい。
キャリアの表面は、スペント防止の観点から樹脂で被覆されていてもよい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができるが、樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、単に粉体で混合する方法等、特に限定されない。
トナーとキャリアとを混合して得られる二成分現像剤において、トナーの含有量は、キャリア100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、2〜8重量部がより好ましい。
二成分現像剤は、トナーが連続的に攪拌される二成分現像方法においても、低印字率の長期耐刷においても、優れた画像品質を維持することができることから、感光体へのフィルミング防止等の耐久性が要求される、有機感光体を有する現像装置や、線速が370mm/sec以上の高速の現像装置を用いた画像形成方法にも好適に用いることができる。
また、二成分現像剤は、接触定着方式、非接触定着方式のいずれの定着方式にも用いることができるが、より高い定着性が要求されるオーブン定着、フラッシュ定着、ベルトニップ方式の定着機等の非接触加熱定着方式の画像形成装置に用いることにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出する温度を軟化点とする。
〔樹脂及びトナーのガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、降温速度10℃/minで0℃まで冷却した試料を、昇温速度10℃/minで測定を開始する。ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間の最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔フッ素系樹脂微粉末の平均粒径〕
平均粒径とは、個数平均粒径のことである。
個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡にて撮影倍率5000〜50000倍の適切な倍率で、粒径(長径と短径の平均値)を100個の粒子について測定し、それらの平均値を樹脂微粉末の平均粒径とする。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量(個数%)、10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量(体積%)、20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量(体積%)、体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から、5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量(個数%)、10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量(体積%)、20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量(体積%)、及び体積中位粒径(D50、μm)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂A、C、D〕
表1に示す原料モノマーと、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5g〔アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.50重量部(樹脂A及びC)、0.49重量部(樹脂D)〕を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて、樹脂A、C、Dを得た。イソフタル酸系化合物の含有量は、芳香族カルボン酸化合物中、樹脂Aが100モル%、樹脂C及びDが0モル%である。なお、本発明において反応率とは、反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2〔樹脂B〕
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.54重量部)、及び重合禁止剤(ハイドロキノン)2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて、樹脂Bを得た。イソフタル酸系化合物の含有量は、芳香族カルボン酸化合物中、0モル%である。
樹脂製造例3〔樹脂E〕
表1に示す原料モノマーと、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.50重量部)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、その後、185℃まで冷却し、表1に示す無水トリメリット酸を入れ、210℃まで段階昇温により反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Eを得た。
Figure 0005289931
実施例1〜5、8及び比較例5〜7(実施例1〜5、8は参考例である)
表2に示す種類と量の結着樹脂、表2に示す種類のワックス 2重量部、荷電制御剤「T-77」(保土谷化学社製)2重量部、カーボンブラック「NIPEX60」(デグサ社製)6重量部、及びフッ素系樹脂微粉末「KTL500F」(喜多村社製 平均粒径300nm)3重量部をヘンシェルミキサーにて60秒間混合した。得られた混合物を二軸押出機により溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物をエアージェット方式の粉砕機により微粉砕後、所望の粒度分布を有するように分級して、負帯電性のトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部と、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製 平均粒径16nm)0.5重量部と疎水性シリカ「NAX50」(日本アエロジル社製 平均粒径40nm)1.0重量部とをヘンシェルミキサーで3分間混合して(ジャケット温度25℃)、実施例1〜5、8及び比較例5〜7のトナーを得た。
実施例6及び比較例2〜4(実施例6は参考例である)
フッ素系微粒子微粉末3重量部を内添する代わりに、疎水性シリカ「R972」0.5重量部、及び疎水性シリカ「NAX50」1.0重量部と一緒に、フッ素系樹脂微粉末「KTL500F」0.4重量部〔外添剤中の含有量21重量%〕を外添する(ジャケット温度25℃)以外は、実施例1と同様にして実施例6及び比較例2〜4のトナーを得た。フッ素系樹脂微粉末の外添の際の温度は、トナーのガラス転移点よりも、実施例6及び比較例2は35℃、比較例3は40℃、比較例4は38℃、それぞれ低い温度である。
実施例7
実施例6において、フッ素系樹脂微粉末と疎水性シリカとを一緒に外添する際、ヘンシェルミキサーのジャケット温度が60℃になるよう温水を流して混合した以外は、実施例6と同様にして、実施例7のトナーを得た。フッ素系樹脂微粉末の外添の際の温度は、トナーのガラス転移点と同じ温度である。
比較例1
フッ素系樹脂微粉末を内添にも外添にも使用しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
得られたトナー6重量部と、フェライトキャリア(体積平均粒径:60μm、飽和磁化:68Am2/kg)94重量部とを混合し、二成分現像剤を得た。
得られた二成分現像剤を、複写機「AR-505」(シャープ社製)に実装し、トナー量が0.6mg/cm2になるように調整した後、定着前の段階で画像を取り出し、未定着画像を得た。定着試験に用いた紙はシャープ社製の厚紙「CopyBond SF-70NA」(75g/m2)である。さらに、非接触定着方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)用の定着機を改造した外部定着機を使用し、紙上の温度を90℃から150℃へと順次上昇させて定着画像を得た。各温度で定着させた画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離し、剥離前後の画像濃度を測定した。テープ剥離後/テープ貼付前が最初に90%を越える紙上の温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性が良好であることを示す。結果を表2に示す。
試験例2〔帯電安定性、転写性〕
試験例1と同様にして得られた二成分現像剤を非接触現像方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)に実装し、印字率9%、線速1000mm/secで2時間耐刷した。その後、現像剤を現像ユニットからサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置q/m-meter(Epping社製)にて帯電量を測定し、それをq/m-1とした。その後、印字率0.15%で3時間(計5時間)耐刷し、プリンターを緊急停止させ、再度同様にして帯電量を測定してq/m-2とし、5時間耐刷後の帯電量(q/m-2)と2時間耐刷後の帯電量(q/m-1)との差(2時間後の帯電量−5時間後の帯電量、Δq/m)を計算した。Δq/mが小さいほど帯電安定性が良好であり、耐久性が高いことを示す。また同時に、感光体上のトナー量(To)と紙上のトナー量(Tp)を計量し、Tp/To×100で求められた値を転写効率として転写性を評価した。この数値が大きいほど転写効率が高く、転写性が良好であることを示す。結果を表2に示す。
試験例3〔耐スメア性〕
試験例1と同様にして得られた二成分現像剤を、非磁性二成分現像方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)に実装し、印字率9%、線速1000mm/secで印刷した印刷物を得た。得られた印刷物に、縦×横×高さ=3cm×3cm×6.5cm、重さ500gのステンレス製の重りをのせて、速度0.5m/sで印字上を往復させた。1往復を1回として最大で25回往復し、黒い帯状のトナーの付着物が非印字部に現れなかった最大の回数を求めた。この回数が大きいほど耐スメア性が良好であることを示す。結果を表2に示す。
Figure 0005289931
比較例1〜7のトナーと対比して、実施例1〜8のトナーは帯電安定性、転写性、低温定着性、及びスメア性に優れることがわかる。
本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (1)

  1. 少なくとも、芳香族カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる、軟化点が90〜115℃のポリエステルを含む、線状ポリエステルからなる結着樹脂を含有するトナー母粒子に、フッ素系樹脂微粉末を、該結着樹脂100重量部に対して、前記トナー母粒子のガラス転移点の±10℃の範囲内の温度で、0.1〜1.0重量部外添する工程を含む、個数粒度分布における5μm以下の粒子径を有する粒子の含有量が15個数%以下であり、かつ、体積粒度分布における10μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が4.0体積%以上であり、体積粒度分布における20μm以上の粒子径を有する粒子の含有量が2.0体積%以下であるトナーの製造方法。
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