JP3880357B2 - トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた正帯電性を有し、非磁性一成分現像方式に用いた場合であっても、感光体カブリがなく、優れた画像濃度が得られるとともに、耐久性にも優れたトナーとして、電荷調整樹脂である第4級アンモニウム塩基含有共重合体と疎水性シリカを含有した正帯電性フルカラートナー(特開2000−338724号公報)や、電荷制御剤としてニグロシン染料を用い、ポリテトラフルオロエチレンが外添された正帯電性トナー(特開平9−127727号公報)が報告されている。
【0003】
しかしながら、前者では、現像ロールへのトナー融着が、後者では現像ブレードへの付着物が、それぞれ生じやすいことから、より耐久性に優れた非磁性一成分現像用の正帯電性トナーが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非磁性一成分現像方式においても、現像ブレードへの付着物や現像ロールへのトナー融着を生じることなく、より耐久性に優れたトナーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤及び外添剤を含有してなる非磁性一成分現像用の正帯電性トナーであって、前記結着樹脂が酸価が3〜10mgKOH/gのポリエステルを含有してなり、前記電荷調整樹脂として式(I):
【0006】
【化4】
Figure 0003880357
【0007】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体を60〜97重量%、式(II):
【0008】
【化5】
Figure 0003880357
【0009】
(式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体を1〜33重量%及び式(III):
【0010】
【化6】
Figure 0003880357
【0011】
(式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物を2〜35重量%含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られた第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含有してなり、外添剤としてポリテトラフルオロエチレンからなる負帯電性有機微粒子と無機微粒子を含有してなり、該負帯電性有機微粒子と無機微粒子による被覆率が70〜90%であるトナーに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤及び外添剤を含有してなる正帯電性トナーにおいて、正帯電性の電荷調整樹脂と、外添剤として負帯電性有機微粒子が併用されている点に1つの特徴を有する。
【0013】
本発明では、正帯電性の特定電荷調整樹脂と負帯電性の有機微粒子との相互作用により、遊離負帯電性有機微粒子が減少して現像ブレードへの付着が、さらにトナー表面への負帯電性有機微粒子の効率的付着により現像ロールへのトナー融着が防止され、長期にわたって安定した良好な画像が得られる。このような効果が得られる詳細は不明なるも、特定の電荷調整樹脂と結着樹脂との相溶性及び電荷調整樹脂の樹脂としての特性から、トナーの製造の際に、電荷調整樹脂と結着樹脂との界面で破砕しやすく、トナー表面の正帯電性電荷調整樹脂に負帯電性の有機微粒子が効率よく付着するためと推定される。
【0014】
本発明において結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン及びそれらの複合物等が挙げられるが、これらの中では、本発明の効果が発揮されやすい点から、ポリエステルが好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。
【0015】
ポリエステルは、公知のアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
【0016】
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチログリコールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられ、これは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0019】
ポリエステルの酸価は、本発明のトナーを正帯電性トナーとして用いるために、1〜15mgKOH/gが好ましく、3〜10mgKOH/gがより好ましい。また、水酸基価は20〜80mgKOH/gが好ましく、軟化点は100〜160℃、ガラス転移点は50〜70℃であることが、それぞれ好ましい。
【0020】
本発明では、トナーに正帯電性を付与する電荷調整樹脂として、式(I):
【0021】
【化7】
Figure 0003880357
【0022】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体、式(II):
【0023】
【化8】
Figure 0003880357
【0024】
(式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体及び式(III):
【0025】
【化9】
Figure 0003880357
【0026】
(式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物、好ましくは式(III)で表される単量体を含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体が用いられる。
【0027】
前記第4級アンモニウム塩基含有共重合体は、高い正帯電性を有しており、結着樹脂として、負帯電性を有するポリエステルが含有されている場合であっても、優れた正帯電性を有するトナーを得ることができる。
【0028】
式(I)で表される単量体としては、R1 が水素原子であるスチレン、式(II)で表される単量体としては、R2 が水素原子、R3 が炭素数1〜4のアルキル基である単量体、好ましくは、R2 が水素原子、R3 がブチル基であるアクリル酸ブチル、式(III)で表される単量体としては、R4 がメチル基、R5 及びR6 がメチル基又はエチル基である単量体、好ましくは、R4 、R5 及びR6 がメチル基であるメタクリル酸ジメチルアミノエチルが、それぞれ望ましい。
【0029】
単量体混合物中の式(I)で表される単量体の含有量は、60〜97重量%、好ましくは70〜90重量%であり、式(II)で表される単量体の含有量は、1〜33重量%、好ましくは5〜20重量%であり、式(III)で表される単量体又はその4級化物の含有量は、2〜35重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0030】
単量体混合物の重合は、例えば、単量体混合物をアゾビスジメチルバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、50〜100℃に加熱することにより、行うことができる。なお、重合法としては溶液重合、懸濁重合及び塊状重合のいずれでもよいが、好ましくは溶液重合である。
【0031】
溶媒としては、トルエン、キシレン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒、及びこれらとメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールとの混合溶媒が挙げられる。
【0032】
なお、本発明において、式(III)で表される単量体を用いる場合は、このようにして得られる共重合体を、さらに4級化剤で第4級化させることにより、前記第4級アンモニウム塩基含有共重合体を得ることができる。4級化剤としては、p−トルエンスルホン酸メチル、ジメチル硫酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸メチル、塩化メチル、ヨウ化メチル、塩化ベンジル等が挙げられ、これらの中では、安定した高い帯電性が得られるp−トルエンスルホン酸メチルが好ましい。4級化剤の使用量は、式(III)で表される単量体1モルに対して、0.8〜1.0モルが好ましい。かかる共重合体の第4級化は、例えば、共重合体と4級化剤とを、溶媒中、60〜90℃に加熱することにより、行うことができる。
【0033】
また、式(III)で表される単量体の4級化物を用いる場合は、式(III)で表される単量体を前記と同様の4級化剤を用いて4級化させたものを用いることができる。その他に、例えば、式(III)で表される単量体の4級化物として塩化メチル等のアルキルハライドで処理して得られる第4級アンモニウムハライドを用い、得られる共重合体をp−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸等の酸で処理して対イオン交換を行い、目的の第4級アンモニウム塩基含有共重合体とすることもできる。
【0034】
このようにして得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体の重量平均分子量は、保存安定性の観点から、5,000以上、樹脂との相溶性の観点から、100,000以下が好ましく、より好ましくは10,000〜50,000である。
【0035】
第4級アンモニウム塩基含有共重合体の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、適度な帯電量を得るために、好ましくは0.5〜40重量部、より好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。
【0036】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明において、トナーは黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0037】
さらに、本発明のトナーには、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0038】
本発明において、外添剤として含有されている負帯電性有機微粒子とは、二成分ブローオフ測定法により負帯電性を示す有機微粒子であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)等の含フッ素樹脂、スルホン酸基等の陰イオン性官能基を生成する陰イオン性の開始剤を用いて得られる、メタクリル酸メチル重合体、スチレン重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられるが、これらの中では、高い帯電性及び低摩擦性の点から、含フッ素樹脂が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0039】
有機微粒子の数平均粒径は、特定電荷調整樹脂との相互作用を高め、トナー融着等を減少させるために、0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。ここで、有機微粒子の数平均粒径とは、電子顕微鏡写真から測定した1次粒子の粒子径を数平均して算出したものである。
【0040】
本発明において好適なPTFEとしては、乳化重合により製造された球形に近い形状を有する粒子が好ましい。このような市販品としては、「KTL−500F」(喜多村社製、数平均粒径0.3μm)、「ルブロンL2」(ダイキン工業社製、数平均粒径0.3μm)、「ルブロンL5」(ダイキン工業社製、数平均粒径0.2μm)、「フルオン ルブリカントL170J」(旭アイシーアイフロロポリマーズ社製、数平均粒径0.1μm)、「フルオン ルブリカントL172J」(旭アイシーアイフロロポリマーズ社製、数平均粒径0.1μm)、「MP−1100」(三井・デュポンフロロケミカル社製、数平均粒径0.2μm)、「MP−1200」(三井・デュポンフロロケミカル社製、数平均粒径0.3μm)、「TLP−10F−1」(三井・デュポンフロロケミカル社製、数平均粒径0.2μm)等が挙げられる。
【0041】
負帯電性有機微粒子の含有量は、外添剤による処理前のトナー(以下、未処理トナーという)100重量部に対して、好ましくは0.01〜2.5重量部、より好ましくは0.05〜1.0重量部特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0042】
本発明では、流動性の観点から、外添剤として、さらに無機微粒子が含有されているのが好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
【0043】
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2 が好ましい。
【0044】
シリカの平均粒径は、5〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
【0045】
シリカの含有量は、未処理トナー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0046】
負帯電性有機微粒子と無機微粒子によるトナーの被覆率は、トナー表面に直接かかる負荷を低減するために、50%以上が好ましく、60〜100%がより好ましく、70〜90%が特に好ましい。ここで、被覆率は、トナー表面積に対する、外添剤の投影面積が占める割合をいう。
【0047】
本発明のトナーは、結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤等を含有した未処理トナーと外添剤とを混合して得られる。
【0048】
未処理トナーは、粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、さらにジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して得られる。未処理トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
【0049】
未処理トナーと外添剤との混合は、トナー粒子の表面に外添剤が付着する方法であれば特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、マイクロスピードミキサー、スーパーミキサーによる混合等の公知の方法が挙げられる。
【0050】
本発明のトナーの酸価は、帯電安定性の観点から、1〜15mgKOH/gが好ましく、3〜10mgKOH/gがより好ましい。
【0051】
帯電性に優れた本発明のトナーは、非磁性一成分現像用の正帯電性トナーとして好適に用いられる。さらに、現像ロール上のトナーにかかる負荷を低減することができるため、感光体と現像ロールの回転方向が同一方向であり、接触部では逆方向への動きとなるアゲンスト現像方式の電子写真装置にも好適に用いることができる。アゲンスト現像方式の電子写真装置にも好適に用いることができる。
【0052】
【実施例】
〔酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0053】
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0054】
樹脂製造例1
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル)10845g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させ、樹脂Aを得た。樹脂Aのガラス転移点は63℃、酸価は8.2mgKOH/gであった。
【0055】
樹脂製造例2
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル)9440g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させ、樹脂Bを得た。樹脂Bのガラス転移点は61℃、酸価は13.1mgKOH/gであった。
【0056】
電荷調整樹脂の製造例1
メタノール250g、トルエン200g、スチレン500g、アクリル酸ブチル40g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を、窒素雰囲気下、70℃で10時間重合させ、得られた反応溶液を冷却し、トルエン150g、エタノール100g、p−トルエンスルホン酸メチル71.0gを添加し、70℃で5時間攪拌して4級化を行った。反応溶液を100℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去した後、ジェットミルで粉砕し、電荷調整樹脂A(重量平均分子量:14000)を得た。
【0057】
電荷調整樹脂の製造例2
メタノール300g、トルエン100g、スチレン540g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を用い、電荷調整樹脂の製造例1と同様にして、電荷調整樹脂B(重量平均分子量:3500)を得た。
【0058】
実施例1
樹脂A 100重量部
電荷調整樹脂A 10重量部
カーボンブラック 4重量部
「REGAL−330R」(キャボット社製)
荷電制御剤(ニグロシン系染料) 4重量部
「ボントロンN−04」(オリエント化学工業社製)
低分子量ポリプロピレンワックス 2重量部
「ハイワックスNP−055」(三井石油化学社製)
【0059】
上記原料をヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二軸押出機により溶融混練し、衝突板式粉砕機による粉砕、分級機「ディスパージョンセパレーター」(日本ニューマチック工業(株)製)による分級を経て、体積平均粒径9.5μm、変動係数22.3%の未処理トナーを得た。
【0060】
得られた未処理トナー100重量部に、外添剤として、PTFE粒子「KTL−500F」(喜多村社製、数平均粒径:0.3μm、帯電量:−27μC/g)0.3重量部と疎水性シリカ「TS−720」(ワッカーケミカル社製、平均粒径:12nm)0.55重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナーを得た。得られたトナーの酸価は8.1mgKOH/g、外添剤によるトナーの被覆率は74%であった。
【0061】
実施例2(参考例)
外添剤として、PTFE粒子の代わりに、メタクリル酸メチル−スチレン共重合微粒子「NK−32」(日本ペイント社製、数平均粒径:80nm、帯電量:−5μC/g)0.3重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。外添剤によるトナーの被覆率は83%であった。
【0062】
実施例3(参考例)
疎水性シリカの使用量を、0.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。外添剤によるトナーの被覆率は54%であった。
【0063】
実施例4(参考例)
樹脂Aの代わりに樹脂B100重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒径9.6μm、変動係数24.3%の未処理トナーを得、さらに外添剤と混合してトナーを得た。得られたトナーの酸価は12.8mgKOH/g、外添剤のトナーに対する被覆率は75%であった。
【0064】
比較例1
電荷調整樹脂Aの代わりに電荷調整樹脂B10重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒径9.6μm、変動係数24.3%の未処理トナーを得、さらに外添剤と混合してトナーを得た。得られたトナーの酸価は8.1mgKOH/g、外添剤のトナーに対する被覆率は75%であった。
【0065】
比較例2
電荷調整樹脂Aを使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの酸価は8.1mgKOH/g、外添剤によるトナーの被覆率は75%であった。
【0066】
比較例3
PTFE粒子を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの酸価は8.1mgKOH/g、外添剤によるトナーの被覆率は73%であった。
【0067】
比較例4
電荷調整樹脂A及びPTFE粒子を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの酸価は8.1mgKOH/g、外添剤によるトナーの被覆率は73%であった。
【0068】
試験例1
反転現像による非磁性一成分現像装置「HL−1040」(ブラザー工業社製)にトナーを実装し、印字率5%で10000枚の耐久印刷を行った後、現像ブレード上の付着物を目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0069】
〔評価基準〕
◎:付着物は認められず、実使用上特に良好である。
○:僅かに付着物があるが、画像上にスジの発生は認められず、実使用上問題はない。
△:僅かに付着物があり、画像上にも僅かにスジが認められ、実使用上問題となる可能性がある。
×:付着物があり、画像上にスジが発生するため、実使用は不可である。
【0070】
試験例2
試験例1と同様の装置を用いて、10000枚の耐久印刷を行った後、現像ロール上の融着を目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0071】
〔評価基準〕
◎:融着は認められず、実使用上特に良好である。
○:僅かに融着が認められるが、画像上特に問題はなく、実使用上問題はない。
×:融着があり、画像上にムラが発生するため、実使用は不可である。
【0072】
【表1】
Figure 0003880357
【0073】
以上の結果より、実施例1〜4のトナーは、現像ブレードの付着物や現像ロールへのトナー融着を生じることなく、連続して優れた画像が得られることが分かる。これに対し、式(II)で表される単量体を用いずに得られた電荷調整樹脂を含有した比較例1のトナー及び電荷調整樹脂を用いずに得られた比較例2のトナーは、トナーへのPTFE粒子の付着力が弱いために、いずれも現像ロールへのトナー融着が生じている。比較例1のトナーにおいて、PTFE粒子の付着力が弱まるのは、電荷調整樹脂のトナー中の分散ドメイン径が大きくなるためと推定される。また、PTFE粒子を用いずに得られた比較例3のトナーは、トナー表面の電荷調整樹脂が現像ブレードに付着し、電荷調整樹脂及びPTFE粒子のいずれも用いなかった比較例4では、現像ブレードに付着物が生じ、現像ロールへのトナー融着も生じている。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、非磁性一成分現像方式においても、現像ブレードへの付着物や現像ロールへのトナー融着を生じることなく、より耐久性に優れた正帯電性トナーを提供することができる。

Claims (3)

  1. 結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤及び外添剤を含有してなる非磁性一成分現像用の正帯電性トナーであって、前記結着樹脂が酸価が3〜10mgKOH/gのポリエステルを含有してなり、前記電荷調整樹脂として式(I):
    Figure 0003880357
    (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体を60〜97重量%、式(II):
    Figure 0003880357
    (式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体を1〜33重量%及び式(III):
    Figure 0003880357
    (式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物を2〜35重量%含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られた第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含有してなり、外添剤としてポリテトラフルオロエチレンからなる負帯電性有機微粒子と無機微粒子を含有してなり、該負帯電性有機微粒子と無機微粒子による被覆率が70〜90%であるトナー。
  2. 第4級アンモニウム塩基含有共重合体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して0.5〜40重量部であり、負帯電性有機微粒子の含有量が外添剤による処理前のトナー100重量部に対して0.01〜2.5重量部である請求項1記載のトナー。
  3. 感光体と現像ロールの回転方向が同一方向であるアゲンスト現像方式の電子写真装置に用いられる請求項1又は2記載のトナー。
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