JP3539893B2 - フルカラートナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される静電潜像の現像に用いられるフルカラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
フルカラーのプリンタ、複写機等では、主に負帯電のトナーが用いられているが、近年、特に反転現像装置用として正帯電のトナーが着目されつつある。正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系等の化合物や4級アンモニウム塩が知られているが、前者は有色でフルカラートナーには使用しにくく、後者は帯電能が低いため、単独の使用で十分な帯電量を得るのは困難である。正帯電性荷電制御剤として第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含有したトナーも知られているが(特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報)、実施例で示されているスチレン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体は、フルカラートナーに好ましく用いられるポリエステルとの相溶性が十分でなく、高い透明性が得られない。また、これらポリエステルがカルボン酸基を有することから高い正帯電性を得るのは容易ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた正帯電性を有し、非磁性一成分現像方式に用いた場合であっても、感光体カブリがなく、優れた画像濃度が得られるとともに、耐久性にも優れたフルカラートナーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリエステルを結着樹脂中に50重量%以上含有する結着樹脂と、式(I):
【0005】
【化5】
Figure 0003539893
【0006】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体を60〜97重量%、式(II):
【0007】
【化6】
Figure 0003539893
【0008】
(式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体を1〜33重量%及び式(III):
【0009】
【化7】
Figure 0003539893
【0010】
(式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物を5〜20重量%含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体を前記結着樹脂100重量部に対して0.5〜40重量部含有したフルカラートナーであって、トナーの酸価が10mgKOH/g以下、酸価と水酸基価の和が60mgKOH/g以下である、非磁性一成分現像装置に用いられるフルカラートナーに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、トナーに正帯電性を付与する電荷調整樹脂として、式(I):
【0012】
【化8】
Figure 0003539893
【0013】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体、式(II):
【0014】
【化9】
Figure 0003539893
【0015】
(式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体及び式(III):
【0016】
【化10】
Figure 0003539893
【0017】
(式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物、好ましくは式(III)で表される単量体を含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体が用いられている点に大きな特徴がある。
【0018】
前記第4級アンモニウム塩基含有共重合体は、結着樹脂に含有されているポリエステルとの相溶性に優れているため、カルボン酸基を有するポリエステルと組み合わせた際にも、優れた正帯電性を有するトナーを得ることができる。
【0019】
式(I)で表される単量体としては、R1 が水素原子であるスチレン、式(II)で表される単量体としては、R2 が水素原子、R3 が炭素数1〜4のアルキル基である単量体、好ましくは、R2 が水素原子、R3 がブチル基であるアクリル酸ブチル、式(III)で表される単量体としては、R4 がメチル基、R5 及びR6 がメチル基又はエチル基である単量体、好ましくは、R4 、R5 及びR6 がメチル基であるメタクリル酸ジメチルアミノエチルが、それぞれ望ましい。
【0020】
単量体混合物中の式(I)で表される単量体の含有量は、60〜97重量%、好ましくは70〜90重量%であり、式(II)で表される単量体の含有量は、1〜33重量%、好ましくは5〜20重量%であり、式(III)で表される単量体又はその4級化物の含有量は、2〜35重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0021】
単量体混合物の重合は、例えば、単量体混合物をアゾビスジメチルバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、50〜100℃に加熱することにより、行うことができる。なお、重合法としては溶液重合、懸濁重合及び塊状重合のいずれでもよいが、好ましくは溶液重合である。
【0022】
溶媒としては、トルエン、キシレン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒、及びこれらとメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールとの混合溶媒が挙げられる。
【0023】
なお、本発明において、式(III)で表される単量体を用いる場合は、このようにして得られる共重合体を、さらに4級化剤で第4級化させることにより、前記第4級アンモニウム塩基含有共重合体を得ることができる。4級化剤としては、p−トルエンスルホン酸メチル、ジメチル硫酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸メチル、塩化メチル、ヨウ化メチル、塩化ベンジル等が挙げられ、これらの中では、安定した高い帯電性が得られるp−トルエンスルホン酸メチルが好ましい。4級化剤の使用量は、式(III)で表される単量体1モルに対して、0.8〜1.0モルが好ましい。かかる共重合体の第4級化は、例えば、共重合体と4級化剤とを、溶媒中、60〜90℃に加熱することにより、行うことができる。
【0024】
また、式(III)で表される単量体の4級化物を用いる場合は、式(III)で表される単量体を前記と同様の4級化剤を用いて4級化させたものを用いることができる。その他に、例えば、式(III)で表される単量体の4級化物として塩化メチル等のアルキルハライドで処理して得られる第4級アンモニウムハライドを用い、得られる共重合体をp−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸等の酸で処理して対イオン交換を行い、目的の第4級アンモニウム塩基含有共重合体とすることもできる。
【0025】
このようにして得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体の重量平均分子量は、保存安定性の観点から、5,000以上、樹脂との相溶性の観点から、100,000以下が好ましく、より好ましくは10,000〜50,000である。
【0026】
第4級アンモニウム塩基含有共重合体の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、適度な帯電量を得る観点から、0.5〜40重量部であり、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは10〜25重量部である。
【0027】
本発明に用いられる結着樹脂は、ポリエステルを含有する。ポリエステルの含有量は、着色剤の分散性、定着性及び帯電性の観点から、結着樹脂中、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。なお、ポリエステル以外に使用可能な樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
【0028】
ポリエステルの原料モノマーとしては、特に制限がなく、公知の多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分が用いられる。
【0029】
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。さらにはトナーの耐久性を向上させる点から、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物がアルコール成分中に5モル%以上、好ましくは50モル%以上使用されていることが望ましい。
【0030】
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
【0031】
ポリエステルは、例えば、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0032】
ポリエステルの酸価は1〜10mgKOH/g、水酸基価は20〜60mgKOH/g、軟化点は90〜140℃、ガラス転移点は50〜70℃であることが、それぞれ好ましい。
【0033】
本発明のトナーには、正帯電性荷電制御剤が適宜含有されていてもよいが、本発明では、着色剤の発色性に影響を与えない点から、式(IV):
【0034】
【化11】
Figure 0003539893
【0035】
(式中、R7 〜R10は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の低級アルキル基又は炭素数10〜20の長鎖アルキル基、長鎖アルケニル基もしくはアリール基、Yはアニオンを示す)で表される4級アンモニウム塩が好ましく、式(IV)において、R7 〜R10の少なくとも2個が低級アルキル基又はベンジル基である化合物がさらに好ましい。市販品としては、通常、正帯電性の荷電制御剤として用いられる「ボントロンP−51」、「ボントロンP−52」(以上、オリエント化学工業社製)、「TP−415」、「TP−302」(保土谷化学工業社製)、「COPY CHARGE PSY」(クラリアント社製)等が挙げられる。4級アンモニウム塩の含有量は通常、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜4重量部がより好ましい。
【0036】
式(IV)において、アニオンとしては、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシナフタレンスルホン酸イオン等の芳香族スルホン酸イオン、モリブテン酸クロル等の無機アニオン等が挙げられる。
【0037】
さらに、本発明のトナーには、着色剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、離型剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
【0038】
着色剤としては、従来のフルカラートナーに用いられている染料、顔料等を使用することができ、例えば、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ピグメントレッド17、ピグメントレッド57:1、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、カーミン6B、ピグメントイエロー17、ジスアゾエロー等が挙げられる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、2〜25重量部が好ましい。
【0039】
本発明のトナーは、混練粉砕法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法により製造することができる。一般的な方法としては、例えば、結着樹脂、電荷調整樹脂、着色剤、荷電制御剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法が挙げられる。さらに、トナーの表面には、必要に応じて流動性向上剤等を添加してもよい。このようにして得られるトナーの重量平均粒子径は、5〜15μmが好ましい。
【0040】
本発明のトナーの酸価は、安定した正帯電性トナーを得るため、10mgKOH/g以下、好ましくは0.01〜5mgKOH/gであり、酸価と水酸基価の和は、定着性及び耐久性の観点から、60mgKOH/g以下、好ましくは5〜40mgKOH/gである。
【0041】
本発明のフルカラートナーは、キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することもできるが、トナー自身が優れた正帯電性を有することから、例えば、現像ロールと、該現像ロール上に形成されるトナー層の厚さを均一に規制しつつ摩擦帯電により電荷を付与するブレードとを有する非磁性一成分現像装置に、特に好適に用いることができる。
【0042】
【実施例】
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0043】
〔酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0044】
樹脂製造例1
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2.2モル付加物12250g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2.0モル付加物21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gの混合物を窒素雰囲気下、230℃で攪拌しつつ、ASTM E28−67により測定した軟化点が121℃に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。樹脂Aのガラス転移点は66℃、酸価は3.4mgKOH/g、水酸基価は23.4mgKOH/gであった。
【0045】
樹脂製造例2
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2.2モル付加物24500g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2.0モル付加物9750g、テレフタル酸8300g、トリメリット酸4800g、アルケニルコハク酸6700g及び酸化ジブチル錫15gの混合物を用い、樹脂製造例1と同様にして樹脂Bを得た。樹脂Bのガラス転移点は61℃、酸価は32.1mgKOH/g、水酸基価は34.0mgKOH/gであった。
【0046】
電荷調整樹脂の製造例1
メタノール250g、トルエン200g、スチレン500g、アクリル酸ブチル40g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を、窒素雰囲気下、70℃で10時間重合させ、得られた反応溶液を冷却し、トルエン150g、エタノール100g、p−トルエンスルホン酸メチル71.0gを添加し、70℃で5時間攪拌して4級化を行った。反応溶液を100℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去した後、ジェットミルで粉砕し、電荷調整樹脂A(重量平均分子量:14000)を得た。
【0047】
電荷調整樹脂の製造例2
メタノール300g、トルエン100g、スチレン540g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を用い、電荷調整樹脂の製造例1と同様にして、電荷調整樹脂B(重量平均分子量:3500)を得た。
【0048】
実施例1
樹脂A 75.5重量部
電荷調整樹脂A 20.0重量部
荷電制御剤 1.0重量部
「ボントロンP−51」(オリエント化学工業社製)
ピグメント・ブルー15:3 3.5重量部
【0049】
上記原料をヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二軸押出機により溶融混練し、衝突版式粉砕機「ディスパージョンセパレーター」(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて、粉砕、分級を行い、重量平均粒子径8.5μm、変動係数25.1%の粉体を得た。
【0050】
得られた粉体100重量部に疎水性シリカ「R−972」0.5重量部を添加した。10リットル容のヘンシェルミキサーで2500r/min、120秒間攪拌し、シアントナーを得た。得られたシアントナーの酸価は3.5mgKOH/g、水酸基価は22.8mgKOH/gであった。
【0051】
実施例2
樹脂Aの使用量を76.5重量部に変更し、「ボントロンP−51」を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.6μm、変動係数25.5%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、シアントナーを得た。得られたシアントナーの酸価は3.2mgKOH/g、水酸基価は24.7mgKOH/gであった。
【0052】
実施例3
樹脂Aの使用量を74.5重量部に変更し、ピグメント・ブルー15:3の代わりに、ピグメント・レッド57:1 4.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.5μm、変動係数25.6%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、マゼンタトナーを得た。得られたマゼンタトナーの酸価は3.4mgKOH/g、水酸基価は23.3mgKOH/gであった。
【0053】
実施例4
樹脂Aの使用量を76.0重量部に変更し、ピグメント・ブルー15:3の代わりに、ピグメント・イエロー17 3.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.5μm、変動係数25.7%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、イエロートナーを得た。得られたイエロートナーの酸価は3.4mgKOH/g、水酸基価は23.3mgKOH/gであった。
【0054】
比較例1
樹脂Aの使用量を95.5重量部に変更し、電荷調整樹脂Aを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.4μm、変動係数26.5%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、シアントナーを得た。得られたシアントナーの酸価は3.0mgKOH/g、水酸基価は24.1mgKOH/gであった。
【0055】
比較例2
樹脂Aの代わりに、樹脂B75.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.3μm、変動係数24.2%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、シアントナーを得た。得られたシアントナーの酸価は33.5mgKOH/g、水酸基価は32.8mgKOH/gであった。
【0056】
比較例3
電荷調整樹脂Aの代わりに、電荷調整樹脂B20.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重量平均粒子径8.5μm、変動係数25.1%の粉体を得た後、疎水性シリカと混合して、シアントナーを得た。得られたシアントナーの酸価は3.6mgKOH/g、水酸基価は23.4mgKOH/gであった。
【0057】
試験例1
反転現像による非磁性一成分現像装置「HL−730」(ブラザー工業社製)から定着部分を除去して改造した装置にトナーを実装し、ベタの未定着画像を得た。感光体上のカブリをメンディングテープで採取し、ブランクの白色度との差を、ΔYとして求め、感光体カブリの程度を以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0058】
〔評価基準〕
◎:ΔYが2.0未満であり、実使用上特に良好である。
○:ΔYが2.0以上、4.5未満であり、実使用上問題はない。
×:ΔYが4.5以上であり、実使用不可である。
【0059】
試験例2
試験例1で得られた未定着画像を、「フェーザー560」(テクトロニクス社製)から取り出した定着器を用いて定着させ、定着画像の反射濃度を「Macbeth RD918」(マクベス社製)により測定し、画像濃度を以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0060】
〔評価基準〕
◎:反射濃度が1.4以上であり、実使用上特に良好である。
○:反射濃度が1.25以上、1.4未満であり、実使用上問題はない。
×:反射濃度が1.25未満であり、実使用不可である。
【0061】
試験例3
反転現像による非磁性一成分現像装置「HL−730」(ブラザー工業社製)にトナーを実装し、印字率5%で5000枚の耐久印刷を行った。その直後の画質を目視により観察し、以下の評価基準に従って耐久性を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
〔評価基準〕
◎:実使用上特に良好である。
○:実使用上問題はない。
×:実使用不可である。
【0063】
なお、実施例1のシアントナー、実施例3のマゼンタトナー、実施例4のイエロートナーを用いて、同様にフルカラー画像を得たところ、いずれのトナーに関しても色再現性に問題のない、優れた画像が得られることが、目視により確認された。
【0064】
【表1】
Figure 0003539893
【0065】
以上の結果から、比較例1〜3のトナーを用いた場合と比較して、実施例1〜4のトナーでは、画像濃度、感光体カブリ及び耐久性のいずれについても、優れた結果が得られていることが分かる。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、優れた正帯電性を有し、非磁性一成分現像方式に用いた場合であっても、感光体カブリがなく、優れた画像濃度が得られるとともに、耐久性にも優れたフルカラートナーを提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. ポリエステルを結着樹脂中に50重量%以上含有する結着樹脂と、式(I):
    Figure 0003539893
    (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す)で表される単量体を60〜97重量%、式(II):
    Figure 0003539893
    (式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表される単量体を1〜33重量%及び式(III):
    Figure 0003539893
    (式中、R4 は水素原子又はメチル基、R5 及びR6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される単量体又はその4級化物を5〜20重量%含有する単量体混合物の重合工程を含む工程により得られる第4級アンモニウム塩基含有共重合体を前記結着樹脂100重量部に対して0.5〜40重量部含有したフルカラートナーであって、トナーの酸価が10mgKOH/g以下、酸価と水酸基価の和が60mgKOH/g以下である、非磁性一成分現像装置に用いられるフルカラートナー。
  2. 第4級アンモニウム塩基含有共重合体の重量平均分子量が5,000〜100,000である請求項1記載のフルカラートナー。
  3. さらに、式(IV):
    Figure 0003539893
    (式中、R7 〜R10は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の低級アルキル基又は炭素数10〜20の長鎖アルキル基、長鎖アルケニル基もしくはアリール基、Yはアニオンを示す)で表される4級アンモニウム塩を、結着樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部含有してなる請求項1又は2記載のフルカラートナー。
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