JP4038705B2 - 非磁性一成分用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法の現像に用いられる非磁性一成分用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法で用いられる粉体トナーは、現像及び転写性能と関係する摩擦帯電及び電気抵抗等の電気的性質と、定着性能及び耐熱性能(貯蔵安定性)と関係する熱的性質と、流動性及び硬度等の粉体としての性質において、その使用条件に応じた適切なレベルが必要とされている。
【0003】
従来より、粉体トナーに用いられている樹脂材料として、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられ、樹脂の詳細な設計は、その用途に応じて種々の提案が為されてきた。
【0004】
特に、ヒートローラ定着用の樹脂には、転写紙への定着性能と耐オフセット性能の向上が要求されている。トナーの定着性能とは、定着ローラ等により加熱溶融され、転写紙への定着で達成され、また、耐オフセット性能は、加熱ローラで溶融されたトナーが、コールドオフセットを生じず、粘性を失った時点でホットオフセットを生じないことである。
【0005】
これらの目的達成として数多くの設計例が提唱されており、中でも加熱溶融時の粘弾性を維持する為、もしくは温度変化に対する粘度変化を抑える為に、分子量分布拡大、架橋構造の付与、ゴム弾性材料適用等の手段が施された技術が検討されていた。例えば、特開平1−267661号公報等には、これらの手段を用いた技術が開示されている。
【0006】
又、電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に各種の方法が記載されているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電潜像を形成させ、次いで、該潜像を現像剤(静電荷現像用トナー)で現像して可視画像とし、必要に応じて、紙などに可視画像を転写した後、加圧、加熱あるいは溶剤蒸気などにより定着し、定着画像を得るものである。
【0007】
又、電子写真法における現像方法として多くの方法が知られているが、大別すると、鉄粉、フェライト、ニッケル、ガラス等の微粒子(20〜500μm)からなるキャリアーとトナーとの混合物を現像剤として用いる二成分現像法と、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分現像法とがある。いずれの方法においても、一般的には、摩擦帯電的にトナーに電荷が注入される。
【0008】
二成分現像法の代表例として、米国特許第2,618,552号明細書記載のカスケード法、米国特許第2,874,063号明細書記載の磁気ブラシ法等がある。これらの方法によると、安定して良好な画像が得られるが、その反面、トナー等によるキャリアー表面の汚染、キャリアーとトナーとの混合比の変動等による摩擦帯電性の変化に伴う画質の劣化等が発生し易く、その防止策として様々な装置面、材料面での工夫が必要となる。
【0009】
又、一成分現像方法は、このような二成分現像方法の問題点を回避するものであり、例えば、米国特許第4,336,318号明細書に、電気絶縁性磁性トナーを用いて現像する方法が記載されている。これらの方法においては、トナー粒子とトナー担持体及びトナー薄層化部材との間に摩擦帯電、又は、トナー粒子同士の摩擦帯電によりトナーに電荷が注入されて、感光体上の静電潜像に静電的に付着する。
【0010】
この現像方法は、キャリアーを使用しないこと、及びキャリアーとトナーとの混合比を制御する装置が不要なことから、前記二成分現像方法の問題点を回避でき、且つ現像装置が小型になるという利点を有する。
【0011】
一方、同方式は金属スリーブ上にトナーの磁気ブラシ層を形成するために、トナー自体に適当な磁気特性を持たせる必要が有り、その為、マグネタイト、フェライト等の磁性材料がトナー構成成分中の必須材料となっている。又、これら性材料の必要含有量は、その現像条件、材料種類で多少異なるが、30〜60重量%が一般的と言える。
【0012】
しかし、一般に電気抵抗が低く、吸湿し易いこうした磁性材料を多く含有することは、トナー自体の電気抵抗低下及び耐湿性低下を招き、その結果として環境の変化に対し安定した現像性能を得ることが難しくなり、種々の使用環境で、画像濃度或いは地汚れレベルの大きな変動を招くこととなる。
【0013】
又、トナー中に含有される結着剤としての樹脂材料の割合が二成分方式トナーと比べて少ないことは定着性能面で設計上不利と言える。さらには、最近、増加しつつあるカラー画像の用途を考えた場合、磁性材料の多くが有色であることから、対応できる色が限定される、或いは鮮明なカラー画質が得にくいといった不具合が生じる。
【0014】
このような磁性トナーを用いた一成分現像方法の問題点を解決するために、トナーに磁気特性を必要としない非磁性一成分現像方法が提案されている。こうした方法として、種々の装置が検討されているが、その多くは、現像スリーブ等に対し静電気力でトナーを付着させ、潜像面へトナーを搬送させ現像せしめるものであり、従来の磁性一成分現像方法とは、用いられるトナーの構成上、磁性材料を必須成分としない点が大きく相違し、前記の磁性材料含有に起因する諸問題回避が期待できるものである。
【0015】
非磁性一成分現像方法としては、トナー用樹脂と着色剤と帯電制御剤とを必須成分として含んでなる電子写真粉体トナーが用いられている。
【0016】
この際トナー用樹脂としては、帯電の安定性と連続印字の際の耐久性を確保する必要があることから、ポリエステル樹脂が使用されている。しかしながら、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ連続印字における耐久性に対する市場での要求は、ますます高くなっており、これら特性を充分に満足する非磁性一成分トナーを得るのは困難であった。
【0017】
また、定着時におけるヒートローラからの剥離性を付与し、オフセットの発生を防止するためにトナー中に離型剤を含有させることが知られている。従来公知の離型剤としては、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスなどが知られている。これらのワックスが離型効果を発揮するためには、ポリエステル樹脂中に微細かつ均一に分散させることが必要である。しかしながら、ワックスは一般にポリエステル樹脂との相溶性が悪く、通常の混練り条件ではポリエステル樹脂中に大きなドメインとして存在することになる。このような状態で粉砕を行うと表面にワックスが大きく露出した状態のトナー粒子やトナー粒子から遊離したワックス粒子が発生する。このようにワックス分散が均一でないトナーを非磁性一成分現像方式の現像機を用いて現像した場合、これらの分散不良トナーがブレードへのトナー固着を促進し、これが原因となって黒スジ画像が発生する等の問題点があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ連続印字した際も安定的に帯電し、良好な画像が得られる耐久性に優れた非磁性一成分トナーを提供するにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、モノエポキシ化合物及び5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなるポリエステル樹脂(a)を、加熱又は重合開始剤の存在下に更に重合せしめてなる常温固体のポリエステル樹脂(A)をトナー用樹脂として含む非磁性一成分用トナーは、定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ連続印字した際も安定的に帯電し、耐久性に優れること、なかでも、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が10以上、好ましくは15〜60、及び/または、分子量10万に相当する位置の相対強度(I10)と分子量1万に相当する位置の相対強度(I01)の比(I10/I01)が0.1〜0.4であるポリエステル樹脂を用いると好ましいこと等を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、1.モノエポキシ化合物及びエポキシ基を5〜15個有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなり、数平均分子量が4200以上であるポリエステル樹脂(a)を、加熱又は重合開始剤の存在下に更に重合せしめてなる常温固体のポリエステル樹脂(A)を含むことを特徴とする非磁性一成分用トナー、及び、
【0021】
2.モノエポキシ化合物及びエポキシ基を5〜15個有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなるポリエステル樹脂(a)を、加熱又は重合開始剤の存在下に更に重合せしめてなる常温固体で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(M w と数平均分子量(M n )の比(M w /M n )が15〜60であるポリエステル樹脂(A)を含むことを特徴とする非磁性一成分用トナーを提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるモノエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0026】
アルキルフェニルグリシジルエーテルとしては、例えばクレジルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル等が挙げられる。アルキルグリシジルエーテルとしては、例えばブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
【0027】
また、アルキルグリシジルエステルとしては、例えば、下記一般式
【0028】
【化1】
【0029】
Figure 0004038705
(但し、Rは炭素原子数1〜25のアルキル基、好ましくは炭素原子数10〜15のアルキル基である。)
で示される化合物が挙げられる。
【0030】
更に、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルとしては、例えば、ブチルフェノール等の低級アルキルフェノールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテルが挙げられ、具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノ(p−t−ブチル)フェニルエーテルのグリシジルエーテル、エチレングリコールモノノニルフェニルエーテルのグリシジルエーテル等がある。
【0031】
α−オレフィンオキサイドとしては、例えばアルファオレフィンオキサイド−168[アデカアーガス化学(株)製品]、アルファオレフィンオキサイド−124[アデカアーガス化学(株)製品]等のオレフィン類をオキシ化した化合物が挙げられる。
【0032】
モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、不飽和脂肪酸のアルコールエステルの不飽和基をエポキシ化した化合物で、例えばエポキシ化オレイン酸ブチルエステル、下記構造式
【0033】
【化2】
Figure 0004038705
【0034】
で示される化合物、エポキシ化オレイン酸オクチルエステル等が挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物は単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。
【0035】
5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン等であって、エポキシ基を5個以上有する化合物が挙げられ、なかでもエポキシ基を5〜15個有する化合物が好ましく、エポキシ基を5〜10個有する化合物が特に好ましい。なお、これらのポリエポキシ化合物中には、2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物が一部混入されていてよいが、この場合は、平均のエポキシ基数が5個以上であることが必要である。
【0036】
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−660、N−665、N−670、N−680、N−690、N−695等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−740、N−770、N−775、N−775、N−865等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体あるいは共重合体としては、大日本インキ化学工業(株)製ファインディックA−244、A−249、A−261等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、5個以上のエポキシ化合物を含んだ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより望ましい。又、単独で用いても、2種以上を併用しても差し支えない。
【0038】
モノエポキシ化合物の量は、モノエポキシ化合物及び5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなるポリエステル樹脂(a)の総量100重量部に対して、通常0.2〜20重量部となる範囲であり、好ましくは0.5〜5重量部となる範囲である。
【0039】
5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物の量は、上記ポリエステル樹脂(a)の総量100重量部に対して、通常0.2〜30重量部となる範囲であり、好ましくは0.5〜10重量部となる範囲である。
【0040】
ポリエポキシ化合物は、モノエポキシ化合物を併用しないと、低温定着性が不充分である。また、モノエポキシ化合物が0.5重量部より少ないと耐可塑剤性、耐オフセット性が不充分となる傾向があり、30重量部より多いとモノエポキシ化合物を増やしても低温定着性が問題となる傾向がある。
【0041】
不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタール酸、無水テトラヒドロフタール酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いるポリエステル樹脂(a)とは、モノエポキシ化合物及び5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物と二塩基酸とポリオールとを重合して得られるポリエステル樹脂であって、かつ二塩基酸の一部又は全部に不飽和二塩基酸を用いてなるポリエステル樹脂である。
【0043】
上記二塩基酸成分の代表例としては、オルソフタル酸、イソフタール酸、テレフタル酸、無水フタール酸、コハク酸、アジピン酸、修酸、マロン酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0044】
ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いる。
【0045】
さらに、上記ポリエステル樹脂(a)の原料として、無水トリメリット酸、グリセリン、トリメチロールエタン等の三官能化合物や、フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物等の多官能化合物を併用することもできる。
【0046】
本発明で用いるポリエステル樹脂(a)は、既知の重縮合反応法により任意に製造されるものである。例えば、エステル化触媒(ジブチル錫オキサイド、テトラブチルチタネート、パラトルエンスルホン酸等)の存在下やエステル交換触媒(鉛化合物、錫化合物、テトラプロピルチタネート等)の存在下に、ジカルボン酸メチルエステル等の低級アルキルエステル使用のエステル交換反応、常圧脱水反応、減圧、真空脱水反応、溶液重縮合法、固相重縮合反応法等いずれの製造法にて実施しても良い。この時のポリエステル化反応の追跡は、酸価、水酸基価、粘度又は軟化点(環球法)を測定することにより行なうことができる。
【0047】
このようにして得られたポリエステル樹脂(a)は、更に加熱又は重合開始剤の存在下にポリエステル樹脂(a)中の不飽和基の重合反応を進行させて常温固体のポリエステル樹脂(A)とする。加熱による重合の場合は230〜260℃の温度で3〜15時間程度反応を行い、重合開始剤の存在下での重合の場合は130〜230℃の温度で0.5〜10時間程度反応させる。
【0048】
上記重合開始剤としては、例えば、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。重合開始剤の量としては、ポリエステル樹脂(a)100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜2重量部の範囲である。
【0049】
上記の方法により得られるポリエステル樹脂(A)は、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が10以上、及び/または、GPCで測定したポリスチレンの分子量10万に相当する位置の相対強度(I10)と分子量1万に相当する位置の相対強度(I01)の比(I10/I01)が0.1〜0.4の樹脂であり、なかでも比(Mw/Mn)が15〜60の樹脂や、比(Mw/Mn)が10以上、好ましくは15〜60で、かつ比(I10/I01)が0.1〜0.4である樹脂が最も好ましい。
【0050】
重合させる前のポリエステル樹脂(a)の数平均分子量に特に制限はないが、好ましくは4200以上、特に好ましくは4200〜10000である。4200未満であると重合により、重量平均分子量と数平均分子量の比を15以上にするのがかなり難しい。
【0051】
本発明において重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、ポリスチレンの分子量に相当する位置の相対強度(I10、I01)の値は、以下の測定条件によって測定されたものである。
Figure 0004038705
【0052】
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、その特性維持するためには、軟化点(環球法)が90〜200℃であることが好ましく、120〜180℃であることが特に好ましい。軟化点が90℃以下の場合は夏期等気温の高い場合トナーの凝集現象を生じ複写のトラブルが発生しやすく、200℃を越える場合は低温定着性が悪くなる傾向がある。
【0053】
本発明の非磁性一成分用トナーは、ポリエステル樹脂(A)と着色剤と帯電制御剤とを必須成分として含んでなるものである。
【0054】
本発明で用いられる着色剤としては、非磁性の種々の有機顔料、無機顔料があり、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエローメチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、ランプブラック、ローズベンガラ、キナクリドンレッド、ウオッチングレッド、ピグメントレッド122等を挙げることができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0055】
本発明の非磁性一成分用トナーにおいて、ポリエステル樹脂(A)と着色剤との重量割合は特に制限されないが、通常ポリエステル樹脂(A)100重量部当たり、着色剤1〜60重量部、好ましくは3〜30重量部である。
【0056】
本発明で用いられる帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、トリメチルエタン系染料、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料等公知慣用の電荷制御剤が挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
ポリエステル樹脂(A)と帯電制御剤との重量割合は特に制限されるものではないが、好ましくはポリエステル樹脂(A)100重量部当たり、帯電制御剤0.5〜3重量部用いることが望ましい。
【0058】
本発明の非磁性一成分用トナーを得るに当たっては、その製造の任意の工程において、帯電制御剤、離型剤、流動性向上剤等の各種助剤を加えることができる。流動性向上剤は、トナー表面に付着させるのが有効である。
【0059】
更に、ヒートローラ定着用途では、トナーのヒートローラ付着汚れ(オフセット)によるトラブル防止を目的として、離型剤を使用することができる。そのような離型剤として、種々のワックス類が挙げられる。例えば、モンタン酸エステルワックスの如き天然ワックス、高圧法ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス等が使用できる。
【0060】
好適なワックス類としては、例えば、ビスコール660P、ビスコール550P、TP−32[三洋化成工業(株)製]、ミツイハイワックスNP505等がある。
【0061】
又、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)に対して、本発明の効果を失わない範囲で、従来公知の樹脂、例えばスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等を適量配合することができる。その配合量は該ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、通常1〜30重量部程度である。
【0062】
本発明のトナーは、公知慣用の任意の製造方法に依って得ることができるが、例えばポリエステル樹脂(A)と着色剤とをポリエステル樹脂(A)の融点(軟化点)以上で溶融混練りした後、粉砕、分級することにより得ることができる。勿論、これ以外の方法で製造してもよい。
【0063】
本発明のトナー粉体は、このままでも電子写真用粉体トナーとして使用することができるが、シリカを外添することにより、より粉体流動性を向上させることができ実用上好適である。
【0064】
非磁性トナーを用いる一成分現像方法としては、現像剤を担時した現像スリーブを静電潜像を有する感光体ドラムと接触させて現像する、接触型の非磁性一成分現像方法がある。
【0065】
本発明で得られたトナーは、現像スリーブとそれに圧接された帯電部材との間にトナーを通過せしめ、トナーを摩擦帯電させることにより、感光体の表面に形成された静電潜像を現像するような接触型の非磁性一成分現像法に特に有効に使用することができる。
【0066】
【実施例】
以下に、製造例、比較製造例、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、これらの例に限定されるものではない。又、文中特に断らない限り重量基準であるものとする。
【0067】
製造例1
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1140g、テレフタル酸349g、フマール酸105g、カージュラE(シェルジャパン製品:アルキルグリシジルエステル)17g、エピクロンN−695(大日本インキ化学工業製品:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)28g、ジブチル錫オキサイド7.0gを、ガラス製2リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素気流下にて徐々に昇温し、245℃で8時間反応させてポリエステル(a)を得た。このポリエステル樹脂(a)の酸価は10で、数平均分子量は4400であった。
【0068】
更に、このポリエステル樹脂(a)を170℃に降温し、ジターシャリーブチルパーオキサイド8.0gを添加して45分間撹拌後、温度を230℃に昇温し、2時間撹拌して、更に重合せしめて、トナー用ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂(A)は、常温固体で、酸価6、DSC測定法ガラス転移温度(Tg)67℃、軟化点(環球法)150℃であった。又、分子量分布を測定した結果、Mw=189000、Mn=4750、Mw/Mn=39.8、I10/I01=0.35であった。
【0069】
製造例2〜5
製造例1に準じた方法で第1表(1−1)〜(2−2)に示した配合により、ポリエステル樹脂(A)を製造した。得られたポリエステル樹脂(A)は、常温固体であり、その軟化点、Tg、Mw、Mn、Mw/Mn、I10/I01を第1表(1−2)、第1表(1−2)に示す。
【0070】
【表1】
第1表(1−1)
Figure 0004038705
【0071】
【表2】
第1表(1−2)
Figure 0004038705
【0072】
【表3】
Figure 0004038705
【0073】
【表4】
Figure 0004038705
【0074】
表中の略号は次のとおりである。
BPA−PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物
BPA−EO:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
TMP:トリメチロールプロパン
TPA:テレフタル酸
DMT:テレフタル酸ジメチル
IPA:イソフタル酸
TMA:無水トリメリット酸
カージュラE:シェルジャパン(株)製のアルキルグリシジルエステル
BGE:ブチルグリシジルエーテル
N−660:大日本インキ化学工業(株)製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
N−695:大日本インキ化学工業(株)製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
N−770:大日本インキ化学工業(株)製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂
A−244:大日本インキ化学工業(株)製のエポキシ基を有するビニル化合物の共重合体
A−249:大日本インキ化学工業(株)製のエポキシ基を有するビニル化合物の共重合体
【0075】
比較製造例1
フマール酸の代わりに同モルの無水フタール酸を使用した以外は、製造例1と全く同様にしてポリエステル樹脂(A′)を製造した。得られた樹脂(A′)は、常温固体で、酸価10、ガラス転移温度(Tg)64℃、軟化点133℃で、Mw=45900、Mn=4500、Mw/Mn=10.2、I10/I01=0.08であった。
【0076】
比較製造例2
カージュラEとN−695を使用せずに、製造例1と全く同様にしてポリエステル樹脂(A′)を製造した。得られた樹脂(A′)は、常温固体で、酸価9、ガラス転移温度(Tg)66℃、軟化点144℃で、Mw=206700、Mn=4600、Mw/Mn=44.9、I10/I01=0.32であった。
【0077】
実施例1
製造例1により得られたポリエステル樹脂(A)92部、カーボンブラックMA−11(三菱化学製品)5部、ボントロンS34(オリエント化学製 帯電制御剤)1部、ビスコール550P(三洋化成製 ポリプロピレンワックス)2部をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得られた混練物を粉砕、分級したトナー粉末A100部とシリカR972(日本アエロジル製)3部をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、トナーAを得た。
【0078】
得られたトナーAについて、定着開始温度、耐オフセット性、現像耐久性について評価した。評価結果を第2表に示す。
【0079】
定着開始温度、耐オフセット性については、次のようなヒートローラ定着機条件を用いて行った。ヒートローラ(上)はテフロン製、下ローラはHTVシリコン製で、荷重は7Kg/350mm、ニップ幅は4mm、紙通し速度は280mm/secで定着テストを行った。
【0080】
定着強度は、次式で計算される画像濃度残存比率で判定した。画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
画像濃度残存比率=堅牢度試験後画像濃度/同左試験前画像濃度
【0081】
ここで、堅牢度試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて測定した。
【0082】
定着強度としては、残存比率80%以上で実用上問題ないレベルとし、その最低温度を定着開始温度とした。
【0083】
トナーの現像耐久性については、市販のプリンターのカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに、得られたトナーAを充填し、10時間の連続印字を行い、現像スリーブ上のトナー層が均一であり、なんら欠陥の発生が無い状態を○と判定し、スジ等の不均一部分が発生した場合を×と判定した。
【0084】
実施例2〜5
製造例1で得たポリエステル樹脂の代わりに、製造例2〜5で得たポリエステル樹脂をそれぞれ用いた以外は同様にしてトナーB、C、D、Eを得た。次いで、これらのトナーをそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、定着開始温度、耐オフセット性、現像耐久性について評価した。評価結果を第2表に示す。
【0085】
比較例1〜2
製造例1で得たポリエステル樹脂(A)の代わりに、比較製造例1〜2で得たポリエステル樹脂(A′)をそれぞれ用いた以外は同様にしてトナー1、2を得た。次いで、これらのトナーをそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、定着開始温度、耐オフセット性、現像耐久性について評価した。評価結果を第2表に示す。
【0086】
【表5】
Figure 0004038705
【0087】
【発明の効果】
第2表から明らかなように本発明の非磁性一成分現像用トナーは、定着性、耐オフセット性、現像耐久性に優れる。

Claims (9)

  1. モノエポキシ化合物及びエポキシ基を5〜15個有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなり、数平均分子量が4200以上であるポリエステル樹脂(a)を、加熱又は重合開始剤の存在下に更に重合せしめてなる常温固体のポリエステル樹脂(A)を含むことを特徴とする非磁性一成分用トナー。
  2. ポリエステル樹脂(a)の数平均分子量が、4200〜10000である請求項1記載の非磁性一成分用トナー。
  3. ポリエステル樹脂(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が10以上、及び/または、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレンの分子量10万に相当する位置の相対強度(I10)と分子量1万に相当する位置の相対強度(I01)の比(I10/I01)が0.1〜0.4である請求項1又は2記載の非磁性一成分用トナー。
  4. ポリエステル樹脂(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が10以上で、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレンの分子量10万に相当する位置の相対強度(I10)と分子量1万に相当する位置の相対強度(I01)の比(I10/I01)が0.1〜0.4である請求項1または2記載の非磁性一成分用トナー。
  5. ポリエステル樹脂(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw) と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が15〜60である請求項3又は4記載の非磁性一成分用トナー。
  6. モノエポキシ化合物及びエポキシ基を5〜15個有するポリエポキシ化合物と不飽和二塩基酸を原料として含んでなるポリエステル樹脂(a)を、加熱又は重合開始剤の存在下に更に重合せしめてなる常温固体で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(M w と数平均分子量(M n )の比(M w /M n )が15〜60であるポリエステル樹脂(A)を含むことを特徴とする非磁性一成分用トナー。
  7. ポリエステル樹脂(a)の数平均分子量が、4200〜10000である請求項6記載の非磁性一成分用トナー。
  8. ポリエステル樹脂(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(M w と数平均分子量(M n )の比(M w /M n )が10以上、及び/または、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレンの分子量10万に相当する位置の相対強度(I 10 )と分子量1万に相当する位置の相対強度(I 01 )の比(I 10 /I 01 )が0.1〜0.4である請求項6記載の非磁性一成分用トナー。
  9. ポリエステル樹脂(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(M w と数平均分子量(M n )の比(M w /M n )が10以上で、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレンの分子量10万に相当する位置の相対強度(I 10 )と分子量1万に相当する位置の相対強度(I 01 )の比(I 10 /I 01 )が0.1〜0.4である請求項6記載の非磁性一成分用トナー。
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