JP2011013607A - 電子写真トナー用組成物及び電子写真トナー - Google Patents

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浩一 山口
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Abstract

【課題】 定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる電子写真トナー用組成物及び電子写真トナーを提供すること。
【解決手段】 ポリプロピレン(a1)と芳香族ビニルモノマー(a2)とを、水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下で反応させて得られるポリプロピレンワックス(A)と、ガラス転移温度が55〜80℃であるポリエステル樹脂(B)と、着色剤(C)を含有することを特長とする電子写真トナー用組成物、該組成物を含有する電子写真トナー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、あるいは静電印刷法に用いる電子写真トナー及びこれに用いられる電子写真トナー用組成物に関する。
近年における情報化社会の発展に伴い、電子写真、静電記録、静電印刷の各分野においても印刷画像の高品質化、記録の高速化、高密度化、長期保存安定性等の要求が高まり、静電潜像を非印刷媒体上に記録するトナーの特性改善に寄せられる期待は多大なものとなっている。特に、高速印刷に適した二成分現像剤におけるトナーにおいては、キャリアとの摩擦に耐える強度、ヒートロール定着方式における広い温度領域での安定した定着挙動等が重要な特性である。
ヒートロール定着では、転写紙上に静電的に付着したトナー粒子は、加圧、加熱された熱ロール間を通過することにより溶融して転写紙に定着する。ところが、その際にロールの表面温度が低すぎると、トナー粒子層全体が充分に加熱されず、加熱ロールに接触した面のみが軟化して加熱ロールに付着する。転写紙側のトナーは軟化していないため付着力が生じず、結局、転写紙上のトナー層は転写紙に定着することなく、ほとんどが定着ロール側に移行する。これをコールドオフセットと呼んでいる。
逆に、ロール表面の温度が高すぎると、溶融したトナーの粘度が低下する。それに伴い、溶融したトナー層の内部凝集力も急激に低下して加熱ロールへの付着力を下回る。その結果、溶融したトナー層は破断して転写紙、及び定着ロール双方に移行する。これをホットオフセットと呼び加熱ロールの汚染の原因となっている。ヒートロールに付着したトナーは転写紙に再転写して非画像部を汚し、印刷品質の低下をもたらす。
定着性又は耐オフセット性能とは、トナーがある温度においてコールドオフセット、あるいはホットオフセットを生じない能力を有することを意味している。耐オフセット性を改良するために種々の取り組みがなされてきている。
例えば、トナー用のバインダー樹脂には、数多くの設計例が提唱されており、中でも加熱溶融時の粘弾性を維持する目的で、あるいは温度変動に対する粘度変化を抑える目的で、分子量分布の拡大、架橋構造の付与、ゴム弾性材料の適用等の手段が施された技術が検討されてきた。具体的には、例えば、トナー組成物に用いるバインダー樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であって、1分子中に有するエポキシ基の個数が異なる2種以上のエポキシ化合物と、2価以上の多塩基酸、及び酸無水物、及びこれらの低級アルキルエステルから選ばれる1種以上の多塩基酸化合物と、2価以上の多価アルコールとを重合させて得られるポリエステル樹脂が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、トナー用樹脂組成物にワックスを含有させることで耐オフセット性を改良する試みを成されているが、ポリオレフィンに代表されるワックス類は主成分であるバインダー樹脂との相溶性が低く、かつ分散性に乏しいためトナー組成物中の含有量に制限があったり、連続印刷の際の耐久性低下の原因であったりする。その為、バインダー樹脂と相溶性が良好なワックスの開発が試みられており、そのようなワックスを含有する組成物として、例えば、ジ−Tertーブチルペルオキシドの存在下でポリエチレンワックスとスチレン系モノマーとを反応させて得られるポリエチレンワックスを含有する電子写真トナー用組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、前記特許文献1に記載されたポリエステル樹脂を含有する電子写真トナーは耐オフセット性が十分とは言えない。また、特許文献2に開示された電子写真トナー用組成物でもバインダー樹脂中への分散性が不充分であり、耐オフセット性を得るための十分な量をバインダー樹脂中に添加することができない為、耐オフセット性が十分でない。
特開2001−272817 特開昭58−63947
本発明の課題は、定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる電子写真トナー用組成物及び電子写真トナーを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、前記特許文献1中の特定のポリエステルと、前記特許文献2においてポリエチレンワックスとスチレン系モノマーとを、過酸化物の存在下で反応させて得られるポリオレフィンワックスの中でも特定の過酸化物を使用して得られるポリオレフィンワックスとを含有することにより得られる電子写真用トナーは卓越した定着性及び耐オフセット性を示し、かつ、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリプロピレン(a1)と芳香族ビニルモノマー(a2)とを、水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下で反応させて得られるポリプロピレンワックス(A)と、ガラス転移温度が55〜80℃であるポリエステル樹脂(B)と、着色剤(C)を含有することを特長とする電子写真トナー用組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記電子写真トナー用組成物を含有することを特徴とする電子写真トナーを提供するものである。
本発明の電子写真トナー用組成物を用いることにより定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる電子写真トナーを提供することができる。
本発明で用いるポリプロピレンワックス(A)はポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを、水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下で反応させて得られる。
ポリプロピレン(a1)は軟化点が80〜180℃のポリプロピレンが、耐オフセット性に優れる電子写真トナーが得られることから好ましく、110〜160℃のポリプロピレンがより好ましい。尚、軟化点はJIS K−2531に準拠し測定されたものである。
また、ポリプロピレン(a1)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)が1、000〜100,000のポリプロピレンが、耐オフセット性に優れる電子写真トナーが得られることから好ましく、2,000〜30,000のポリプロピレンがより好ましい。尚、重量平均分子量は東ソー株式会社製 HLC−8220使用、テトラヒドロフランを溶媒として使用により測定されたものである。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本発明で用いる芳香環を有するビニルモノマー(a2)としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドテシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フエニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等が挙げられる。芳香環を有するビニルモノマー(a2)の中でも反応性の理由からスチレンが好ましい。
本発明で用いる水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)とは、本発明の場合、芳香環を有するビニルモノマー(a2)がポリプロピレンに付加するために、ポリプロピレンポリマー中から水素原子を引き抜き、ラジカルを発生させる能力が高いとされるものである。構造としては芳香族(フェニル基、クミル基)やt―ブチル基を有し、アルコキシラジカルを発生する有機過酸化物が水素引き抜き能が高い。
本発明で用いる水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)としては、例えば、ジt−ブチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、α―クミルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシベンゾエイトなどが挙げられる。水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α―クミルパーオキシネオデカノエイト等のクミル基を有する過酸化物が、ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを反応させる際に良好に反応し、ポリプロピレン(a1)に芳香環を有するビニルモノマー(a2)をグラフトさせやすいこと、得られたポリプロピレンワックス(A)中のポリプロピレン部分とビニル部分との相溶性が良好となることから好ましい。中でもジクミルパーオキサイドが好ましい。
本発明で用いるポリプロピレンワックス(A)は前記ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下で反応させて得られる。具体的には、例えば、温度調節装置を備え、温度計、冷却管、攪拌棒及び窒素導入管を取り付けたガラス製の四ツ口フラスコにポリプロピレン(a1)を入れる。その後昇温し、溶融させる。次に常圧窒素気流下にて芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の混合物を滴下し、滴下後、昇温状態を保持し、前記ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを反応させる。反応後、冷却する。
前記ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを反応させる際の温度としては150℃以上が反応性の理由から好ましく、170〜200℃がより好ましい。
芳香環を有するビニルモノマー(a2)の使用量としては、ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)との合計100重量部に対して、5〜50重量部の場合、ポリエステル樹脂(B)中への分散性が良好なポリオレフィンワックスが得られ、且つ、定着性に優れる電子写真トナーが得られることから好ましく、更には20〜45重量部がより好ましい。
ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)との反応後に、未反応の芳香環を有するビニルモノマー(a2)を減圧などにより除去することがトナーの定着性や耐久性の点から更に好ましい。
本発明で用いるポリプロピレンワックス(A)は、例えば、上記の製造方法で製造することができ、ポリプロピレンワックス(A)は例えば、前記特許文献2に記載されたポリエチレンワックスに比べて芳香環を有するビニルモノマー(a2)のポリプロピレン(a1)へのグラフト性が向上したと推測される。その結果、ポリプロピレンワックス(A)はポリエステル樹脂(B)への分散性が良好であり、離型性やオフセット性など優れた効果を有する電子写真トナーが得られる。
本発明で用いるポリプロピレンワックス(A)の中でも、シクロヘキサンに溶解した時にシクロヘキサンへの不溶分(Y)(重量%)が(Y)>{80−0.7*(a)}「式1」の式を満足するポリプロピレンワックスがより好ましい。このような式を満足することによりポリエステル樹脂(B)への分散性がより良好なポリエステル樹脂となる。尚、「式1」はビニルモノマー(a2)のポリプロピレン(a1)との反応性や、反応後のビニルモノマー(a2)のポリプロピレン(a1)へのグラフト度合いとグラフト物と非グラフト物の相溶性を総合的に見る指標となる。ここで、(a)は(a1)と(a2)との合計に対する(a2)の重量%を意味する。
ポリプロピレンワックス(A)の使用量は、トナー組成物中の0.5〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。また、ポリプロピレンワックス(A)の含有量は、ポリエステル樹脂(B)100重量部に対して0.5から20重量部が好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)はガラス転移温度が55〜80℃である。ポリエステル樹脂(B)は、例えば、多塩基酸と多価アルコールを反応させる事により得られる。
多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物等の二塩基酸;トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物等が挙げられる。尚、前記多塩基酸はこれらの多塩基酸の酸無水物、低級アルキルエステルから選ばれる1種以上の多塩基酸化合物も含む。多塩基酸としては、芳香族の多価カルボン酸が好ましく、芳香族のジカルボン酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸を用いる量は全酸成分の60モル%以上であることが望ましく、より望ましくは70モル%以上である。
前記多価アルコールとしては、例えば、芳香族系多価アルコール、脂肪族系多価アルコール等が挙げられる。前記脂肪族系多価アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオール等のジオールが、また、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
前記芳香族系多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、1,3,5−トリメチロールベンゼン等が挙げられる。
本発明では、2価以上の多価アルコール成分として脂肪族系多価アルコールを用いることが望ましい。脂肪族系多価アルコールを用いることによりポリエステル樹脂のワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良される。また、ポリエステル主鎖が軟質化することにより低温での定着性が改善される。
このケースにおいて前記芳香族ジオールを併用する場合は、全アルコール成分に対する芳香族ジオールの割合を30モル%以下とすることが望ましい。より好ましくは20モル%以下である。
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)は、多塩基酸、多価アルコール、エポキシ基含有化合物とを反応させて得られるポリエステル樹脂が定着性などの理由から好ましい。前記エポキシ基含有化合物としては、例えば、2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ基を有する化合物、5個以上のエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
前記2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、アルコールエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物の具体例としては、例えば、アルコールエーテル型エポキシ化合物の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン720が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520等が挙げられる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の例としては、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンHP−7200、HP−7200H、EXA−7200L等が挙げられる。
前記5個以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
5個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、例えば、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては、例えば大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−770,N−775,N−865等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
前記エポキシ基含有化合物の中でも、1分子中に2から4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1分子中に5個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを含む化合物が定着性能及び耐オフセット性の理由から好ましい。
前記エポキシ化合物は、エポキシ基がカルボキシル基あるいは水酸基と反応することにより2級水酸基が発生し、この水酸基がさらに他のカルボキシル基と反応する。つまり1個のエポキシ基は2価の基として作用する。
このように本発明における2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物は4価以上の架橋剤として機能するのであるが、1分子中に有するエポキシ基の個数が異なる2種以上のエポキシ化合物を用いることにより架橋密度に分布が生じ、結果として低分子領域から高分子領域までの広範囲な部分にポリエステル樹脂の分子が存在することになる。これにより低温での定着性能及び高温での耐オフセット性が向上する。
特に、上記の如く1分子中に2〜4個のエポキシ基を有する化合物と、1分子中に5個以上のエポキシ基を有する化合物とを組み合わせることにより上記の効果は顕著となる。
1分子中に2〜4個のエポキシ基を有する化合物と1分子中に5個以上のエポキシ基を有する化合物から選ばれるエポキシ化合物の使用比率は、(1分子中に2〜4個のエポキシ基を有する化合物)/(1分子中に5個以上のエポキシ基を有する化合物から選ばれるエポキシ化合物)=5/95〜95/5(モル比)が望ましい。より好ましくは(A)/(B)=10/90〜90/10(モル比)である。
1分子中に5個以上のエポキシ基を有する化合物から選ばれるエポキシ化合物の中でも、エポキシ基を5〜15個有する化合物が好ましく、エポキシ基を5〜10個有する化合物が特に好ましい。なお、これらのエポキシ化合物中には、2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が一部混入されていても良いが、この場合は、平均のエポキシ基数が5個以上であることが必要である。
また、本発明においては、更に、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることが望ましい。同時に使用しうるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記アルキルフェニルグリシジルエーテルとしては、例えばフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルキルグリシジルエーテルとしては、例えばブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルである。アルキルグリシジルエステルである。
更に、アルキルフェノール、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルとしては、例えばブチルフェノール等の低級アルキルフェノールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加物のグリシジルエーテルであり、エチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノ(p-t−ブチル)フェニルエーテルのグリシジルエーテル、エチレングリコールモノノニルフェニルエーテルのグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記モノエポキシ脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸のアルコールエステルの不飽和基をエポキシ化した化合物で、例えばエポキシ化オレイン酸ブチルエステル、エポキシ化オレイン酸オクチルエステル等が挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。また、これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。アルキルグリシジルエステルとしては、例えば、ネオデカン酸グリシジルエステル等が挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)は、触媒の存在下で上記の原料成分を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸、テトラブチルチタネート等を適宜使用する事が出来る。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は55℃以上のものが、保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じにくい電子写真トナーが得られることから好ましい。なかでも、Tgが55〜80℃のものが好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂(B)の軟化点としては、凝集現象を生じにくく、保存安定性に優れ、印字が良好で、定着性も良好な電子写真トナーが得られることから、80℃〜200℃が好ましく、更には90℃〜150℃がより好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)の酸価としては、30mgKOH/g以下であることが、耐湿性に優れる電子写真トナーが得られることから好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。
本発明用いる着色剤(C)としては、例えば、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、等のカーボンブラックが挙げられる。
青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.PigmentBlue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等が挙げられる。
赤系の着色剤としては、例えば、キナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 57:1等が挙げられる。
黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、イソインドリノン系のC.I.Pigment Yellow 110、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180等が挙げられる。
着色剤(C)の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して1質量部から20質量部の範囲内である。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の電子写真トナー用組成物にはポリプロピレンワックス(A)以外のワックスも本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。ポリプロピレンワックス(A)以外のワックスとしては、例えば、ポリプロピレンワックス(A)以外のポリオレフィン系ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、高級アルコールワックス及び/またはフィッシャートロプシュワックスを主成分とするワックス、アミド系ワックス、天然ワックス等が挙げられる。中でも、高級脂肪酸エステルワックス、高級アルコールワックス、フィッシャートロプシュワックスを主成分とするワックスを用いることが望ましい。
ポリプロピレンワックス(A)を用いることにより上記ワックスを併用した場合、ポリエステル樹脂(B)中における上記ワックスの分散性が良好となる。また、離型性、摺動性も良好となる。高級脂肪酸エステルワックス、高級アルコールワックス及び/またはフィッシャートロプシュワックスを主成分とするワックスをポリプロピレンワックス(A)と併用することにより、良好な耐ホットオフセット性、定着強度が得られる。
また、ヒートロール定着時におけるオフセット現象を防止する離型剤としての働きの他に、多数枚、長時間の印刷においても、例えば二成分現像方式の現像剤用トナーとして用いた場合には、キャリア表面に付着することなく、トナーに安定した帯電を与え、飛散トナーの発生等が無く高品位かつ高精細な画像の印刷を可能とする。
高級脂肪酸エステルワックス、高級アルコールワックスを主成分とするワックスとしては、カルナウバワックス、モンタン系エステルワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス、ラノリンワックス、パラフィンあるいはオレフィン等の酸化反応により得られる高級アルコールワックスであることが好ましい。
ポリプロピレンワックス(A)と上記ワックスを併用する場合、併用するワックス類の使用量としては、本発明で用いるポリプロピレンワックス(A)の使用量(質量)の0.5倍から3倍が好ましい。0.5倍以下では併用効果が十分ではなく、3倍を超える場合は併用するワックスの分散性が不足するためである。
本発明においては、構造、種類等特に限定されることなく従来公知の帯電制御剤を用いることが出来るが、感光体の帯電極性、現像方法等を考慮して、例えば、以下に例示した正帯電性帯電制御剤、あるいは負帯電性帯電制御剤の中から選択して用いることが望ましい。
本発明の電子写真トナー用組成物には正帯電性電荷制御剤を含有することができる。正帯電性電荷制御剤は電子写真トナーに正帯電性を付与する化合物であれば特に限定されるものではないが、トリフェニルメタン系染料、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基及び/又はアミノ基を含有する樹脂等を好ましく例示できる。
前記正帯電性電荷制御剤の含有量はポリエステル樹脂(B)100質量部当たり0.3〜10質量部が好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。
また、本発明の電子写真トナー用組成物には金属石鹸、ステアリン酸亜鉛等の滑剤や酸化セリウム、炭化ケイ素等の研磨剤も含有することができる。
尚、着色剤(C)の一部もしくは全部を磁性粉に置き換えた場合には本発明の電子写真用トナー組成物を用いて磁性一成分現像用トナーを得る事もできる。磁性粉としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属、もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物の粉末が挙げられる。これらの磁性粉は、必要に応じて有機珪素あるいはチタン化合物等により疎水化処理したものも好適に用いられる。磁性粉の含有量はトナー質量に対して15〜70質量%が良い。
本発明の電子写真トナーは、特定の製造方法によらず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、例えば本発明の電子写真トナー用組成物と帯電制御剤等の添加剤とを、ポリエステル樹脂(B)の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。
具体的には例えば、上記の本発明の電子写真トナー用組成物と帯電制御剤とを、2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、バインダ樹脂であるポリエステル樹脂中に、着色剤等が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180℃で30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級する。
電子写真トナー母体を構成する粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。
本発明における電子写真トナー用組成物を二成分現像剤として用いるには、これまで述べてきた実施形態によるトナー組成物と磁性キャリアを混合することにより得ることができる。磁性キャリアの表面は樹脂により被覆されたものであることが望ましい。表面を樹脂で被覆することにより現像剤の帯電が安定する。
本発明の電子写真トナー用組成物と共に用いられるキャリアは通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉キャリア、マグネタイトキャリア、フェライトキャリアが使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトキャリアが好適に用いられる。キャリアの形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜500μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜80μmが好ましい。
また、これらのキャリアを樹脂で被覆したコーティングキャリアも好適に使用でき、被覆樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。これらの中でも、特にシリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。つまり本発明では、磁性キャリアが、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであることが好ましい。
着色樹脂粒子を含むトナーと、磁性キャリアとの質量割合は特に制限されるものではないが、通常キャリア100質量部当たり、トナー0.5〜10質量部である。
本発明によるトナー組成物は非磁性一成分現像剤としても用いることが出きる。非磁性一成分現像法としては、トナー担持体によって搬送される非磁性トナーを、層厚規制部材により摩擦帯電するとともにその層厚を規制して、トナー担持体上に薄層化し、静電潜像坦持体に接触または非接触に対向させて静電潜像の現像を行う非磁性一成分現像法が挙げられる。
本発明で得られる電子写真トナー用組成物は、現像スリーブとそれに圧接された帯電部材との間にトナーを通過せしめ、トナーを摩擦帯電させることにより、感光体の表面に形成された静電潜像を現像するような接触型の非磁性一成分現像法に特に有効に使用することが出来る。
本発明の電子写真トナー用組成物は、公知慣用の方法で被記録媒体上に現像され定着されるが、定着方式としては、ヒートロール定着方式を採用するのが好ましい。ヒートロールとしては、トナーを溶融定着しうる温度に加熱できる円筒体の表面を、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の離型性と耐熱性を兼備するコーティング樹脂で被覆したものが用いられる。ヒートロール定着方式では、上記した様なヒートロールを少なくとも一つ有する適当な圧力にて押圧された二つのロール間を被印刷媒体が通過することによりトナーの定着が行われる。
本発明の電子写真トナー用組成物の格別顕著な技術的効果は、より高速で現像及びヒートロール定着が行われる現像定着装置において発揮される。より高速の現像定着装置においては現像装置内部での現像剤の攪拌速度が非常に高速となり、例えば二成分現像剤においてはトナーとキャリアとの間に相当なシェアが生じる。同様に、非磁性一成分現像方法に用いた場合においても現像スリーブとそれに圧接された帯電部材との間をトナーが通過する際には相当なシェアが発生する。また、現像後の被印刷媒体がより短時間で定着装置を通過することになることから、強固なトナーの定着画像を得るために定着ロール間の押圧をより強く設定する必要が生じる。その際にトナーは短時間で溶融して定着可能な粘度になり、なおかつ適度な弾性を維持してオフセット現象の発生を防がねばならない。さらに、印刷速度の高速化により被印刷媒体上に定着したトナー画像はトナー画像同志、あるいはマシン内部の搬送部材と擦れ、その際の摩擦に耐えねばならない。本発明による電子写真トナー用組成物は十分な力学的強度、弾性、耐摩耗性、熱的特性を保有しているところから、以上のような条件下での使用、つまり、より高速で現像定着が行われる装置に最適である。さらに本トナー組成物においては、着色剤に磁性粉を用いることにより、磁性一成分現像方法による現像方式の装置にも好適に使用することができ、良好な磁性一成分用現像剤として用いることができる。
本発明の電子写真用トナーを用いて得られる電子写真トナーのヒートロール定着の速度は、特に制限されないが、例えば二成分現像剤用トナーとして用いた場合、200〜20m/分、好ましくは180〜30m/分である。この範囲であると、本発明の電子写真トナーと従来のそれとの優位差は、より顕著に発現する。上記した好ましい定着速度は、A4版枚葉紙への印字速度に換算すれば、600〜100枚/分に相当する。
本発明における被記録媒体としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、普通紙、樹脂コート紙等の紙類、PETフィルム、OHPシート等の合成樹脂フィルムやシート等が挙げられる。
本発明によれば、より広範囲な温度領域において良好な定着特性、耐オフセット性を有する電子写真トナーを得ることができる。また、同時に十分な力学的強度を有するため現像装置内でのキャリアとの摩擦、あるいは現像スリーブとそれに圧接された帯電部材との間のシェアに耐え、高濃度の高品位画像の連続印刷が可能となる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下において、組成表内の数値は「質量部」を表わす。
参考例1〔ポリプロピレンワックス(A)の合成〕
温度調節装置を備え、温度計、冷却管、攪拌棒及び窒素導入管を取り付けたガラス製3Lの四ツ口フラスコにビスコール660P(三洋化成製ポリプロピレン 軟化点135℃)を1000g入れ、190℃に昇温し、溶融させた。常圧窒素気流下にてスチレン540g、ジクミルパーオキサイド11gの混合物を3時間かけて滴下し、滴下後190℃にて1時間保持した。その後、2時間減圧蒸留したのち冷却し取り出した。白色固体のポリプロピレンワックス(A1)を得た。得られたポリプロピレンワックス(A1)で、シクロヘキサン不溶分は70%であった。
参考例2〔比較対照用ポリプロピレンワックス(A´)の合成〕
ジクミルパーオキサイドの代わりに1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1―カルボニトリル〔V−40和光純薬工業(株)製〕を用いた以外は参考例1と同様の方法で比較対照用ポリプロピレンワックス(A´)を調製した。ポリプロピレンワックス(A’)の軟化点は134℃、シクロヘキサン不溶分は45%であった。
参考例3〔ポリエステル樹脂(B)の合成〕
テレフタル酸375g、エピクロンN−695 5g、エピクロン830 5g、カージュラE10P 5g、ネオペンチルグリコール 125g、エチレングリコール 77g、ジブチルスズオキサイド 3gを、ガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱ヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、所定の軟化点に達した時反応を終了し、ポリエステル樹脂(B1)を調製した。
得られたポリエステル樹脂(B1)は、淡黄色の固体であり、酸価10、DSC測定法によるガラス転移温度62℃、軟化点が149℃であった。
参考例4(同上)
テレフタル酸380g、トリメチロールプロパン21g、ネオペンチルグリコール125g、エチレングリコール72g及びジブチルスズオキサイド3gを、ガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱ヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、所定の軟化点に達した時反応を終了し、ポリエステル樹脂(B2)を調製した。ポリエステル樹脂(B2)は、淡黄色の固体であり、酸価11、DSC測定法によるガラス転移温度63℃、軟化点が148℃であった。
参考例3で用いたエピクロンN−695はDIC(株)製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。エピクロンN−695は1分子中に有するエポキシ基の数に分布があり、1分子中に有するエポキシ基の数が2個以上であり、平均が5個以上である。エポキシ当量は220(g/eq)である。エピクロン830はDIC(株)製のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。エポキシ当量173(g/eq)である。カージュラE10Pはヘキソンスペシャリティーケミカルズ製のネオデカン酸グリシジルエステルである。エポキシ当量は250(g/eq)である。
実施例1
ポリプロピレンワックス(A1)3部、ポリエステル樹脂(B1)92部、モーガルL(カーボンブラック キャボット・スペシャルティー・ケミカルズ・インク製)3部及びLR−147〔荷電制御剤 日本カーリット(株)〕2部をヘンシェルミキサー(三井鉱山製分散混合機)を使用し混合した後、2軸混練機にて溶融混練し、混練物(電子写真トナー用組成物)を得た。混練物を室温まで冷却後、平均粒径9ミクロンとなるように粉砕・分級をしてトナー原体を作成した。このトナー原体100部に対して、疎水性シリカR972〔日本アエロジル(株)製〕1部、疎水性シリカRX−50〔日本アエロジル(株)製〕1部を混合した後、篩がけを行い、電子写真トナー(1)を得た。
電子写真トナー(1)の定着開始温度、ホットオフセット開始温度、カブリ、耐摩耗性、現像耐久性について、下記に示す条件にて評価した。評価結果を表2に示す。
<低温定着開始温度の評価>
熱ロールの設定温度を100℃から140℃まで変化させ、A−4紙サイズのベタ印刷を行った。ベタ印刷部分に堅牢度試験を行い試験前後の画像濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定し、その試験前の値に対する剥離後の濃度値の比率を%で表示した場合に、その値が80%以上となる温度を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性の良好な電子写真用トナーである。尚、堅牢度試験は学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて行った。
<ホットオフセット開始温度の評価方法>
熱ロールの設定温度を180℃から230℃まで変化させたときに、A−4紙サイズのベタ印刷部分が再び同じ用紙にオフセットし、目視で確認できる最低の温度で表示した。この温度が高いほど耐オフセット性が良好であることを示す。
尚、定着開始温度、ホットオフセット開始温度の評価は、次のようなヒートローラー定着機条件で行った。
ロール材質:上;ポリテトラフルオロエチレン、下;HTVシリコーン
ロール形状径:50mm(上ロール及び下ロール)
上ロール荷重:7Kg
長さ:370mm
上/下ロールニップ幅ニップ幅:4mm
紙送り速度 : 280mm/sec
<カブリの評価方法>
定着開始温度の評価と同様な方法で180℃にて定着させて印字画質の鮮明性として評価した。具体的にはマクベス濃度計を使用し、印字物の白地部濃度から未プリント白紙濃度の差を評価の基準とした。
<耐摩耗性の評価方法>
定着開始温度の評価と同様な方法で180℃にて定着させて定着画像の擦り定着強度試験残存比率を求めることで耐摩耗性の指標とした。耐摩耗性としては、擦り定着強度試験残存比率90%以上を○、90%未満から80%を△、80%未満を×とした。
<現像耐久性の評価方法>
市販のプリンターのカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに、電子写真トナー(1)を充填し、10時間の連続印字を行い、現像スリーブ上のトナー層が均一であり、なんら欠陥の発生が無い状態を○と判定し、スジ等の不均一部分が一部発生した場合を△と、スジ等の不均一部分が発生した場合を×とした。
実施例2〜4及び比較例1〜2
第1表に示す配合割合とする以外は実施例1と同様にして電子写真トナー(2)〜(4)及び比較対照用電子写真トナー(1´)〜(2´)を調製した。実施例1と同様にして評価を行い、評価結果を第2表に示す。
Figure 2011013607
第1表の脚注
ビスコール550P:ポリプロピレン系ワックス(三洋化成製)。
カルナウバワックス:精製カルナウバワックスNO.1(セラリカNODA(株)製)
Figure 2011013607
第2表から明らかな通り、本発明による電子写真トナーは、低温定着性、連続印刷など耐久性及び耐オフセット性が優れていた。

Claims (12)

  1. ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを、水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下で反応させて得られるポリプロピレンワックス(A)と、ガラス転移温度が55〜80℃であるポリエステル樹脂(B)と、着色剤(C)を含有することを特長とする電子写真トナー用組成物。
  2. 前記ポリプロピレンワックス(A)が、ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)とを、水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)の存在下、150℃以上で反応させて得られる請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  3. 前記水素引き抜き能を有する過酸化物(a3)が、クミル基を有する過酸化物である請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  4. 前記ポリプロピレン(a1)の重量平均分子量が2,000〜30,000のポリプロピレンで、前記芳香族ビニルモノマー(a2)がスチレンである請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  5. ポリプロピレンワックス(A)が、芳香環を有するビニルモノマー(a2)を、ポリプロピレン(a1)と芳香環を有するビニルモノマー(a2)との合計100重量部に対して、5〜50重量部用いて得られたものである請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  6. 前記ポリエステル樹脂(B)が多塩基酸、多価アルコール及びエポキシ基含有化合物を反応させて得られるポリエステル樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  7. 前記エポキシ基含有化合物が1分子中に2から4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1分子中に5個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを含む化合物である請求項6記載の電子写真トナー用組成物。
  8. 前記ポリエステル樹脂(B)の軟化点が90〜150℃である請求項1記載の電子写真トナー用組成物。
  9. ポリプロピレンワックス(A)の含有量がポリエステル樹脂(B)100重量部に対して0.5から20重量部である請求項1〜9のいずれか1項記載の電子写真トナー用組成物。
  10. 更に磁性粉キャリアを含有する請求項1〜10のいずれか1項記載の電子写真トナー用組成物。
  11. 更に高級脂肪酸エステルワックス、高級アルコールワックス、前記ポリプロピレンワックス(A)以外のポリオレフィンワックスからなる群から選ばれる1種以上のワックスを含有する請求項1〜11のいずれか1項記載の電子写真トナー用組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載の電子写真トナー用組成物を含有することを特徴とする電子写真トナー。
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