JP2011215403A - トナー用バインダー樹脂およびトナー組成物 - Google Patents

トナー用バインダー樹脂およびトナー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)に優れたトナー用バインダー樹脂を提供すること。
【解決手段】 ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)からなるハイブリッド樹脂と、非晶性樹脂(C)とを含むトナー用バインダー樹脂であって、ポリエステル樹脂(A)が、少なくともポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、(x)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上と、3価以上のポリカルボン酸(x2)を含有し、(y)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するトナー用バインダー樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明はトナー用バインダー樹脂およびトナー組成物に関する。
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーは、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、保存安定性が要求されている。
互いにトレードオフの関係にある耐ホットオフセット性と低温定着性を両立させるための技術として、結晶性樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との混合物からなるトナー用バインダー用が知られている(特許文献1参照)。しかし、近年、保存安定性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)の要望がますます高まっており、なお不十分であった。
WO2005/111730号パンフレット
本発明の目的は、保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)に優れたトナー用バインダー樹脂およびトナーを提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記2発明である。
(I) ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)からなるハイブリッド樹脂と、非晶性樹脂(C)とを含むトナー用バインダー樹脂であって、ポリエステル樹脂(A)が、少なくともポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、(x)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上と、3価以上のポリカルボン酸(x2)を含有し、(y)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するトナー用バインダー樹脂。
(II) このトナー用バインダー樹脂と着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明により、保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)のいずれにも優れたトナー用バインダー樹脂、およびトナーを提供することが可能となった。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナー用バインダー樹脂は、ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)からなるハイブリッド樹脂と、非晶性樹脂(C)とを含有する。本発明において、ハイブリッド樹脂とは、異なる種類の樹脂が結合した複合樹脂を意味する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、少なくともポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂であって、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立(定着温度幅を広く)させる観点から、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)が合計で80モル%以上と、3価以上のポリカルボン酸(x2)が含有されたポリカルボン酸成分(x)と、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)が80モル%以上含有されたポリオール成分(y)とを構成単位とする。
芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等);およびこれらのエステル形成性誘導体;等から選ばれる2種以上が挙げられる。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸と同じジカルボン酸のエステル形成性誘導体は1種であるとみなす。
これら(x1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=3/7〜7/3であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=3/7〜7/3である。
(x1)以外のポリカルボン酸成分(x)のうち、ジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸)およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
3価以上(好ましくは3〜6価)のポリカルボン酸(x2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸、およびデカントリカルボン酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
ポリカルボン酸成分(x)中の(x1)の量は、80モル%以上であり、好ましくは83〜98モル%、さらに好ましくは85〜95モル%である。
また、(x)中の(x2)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは2〜17モル%、とくに好ましくは5〜15モル%である。
ポリオール成分(y)に用いられる炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)としては、炭素数2〜10のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等);炭素数4〜10のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等);等が挙げられる。
これら(y1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、分子末端に1級水酸基を有する分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
(y1)以外のポリオール成分(y)のうち、ジオールとしては、炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)、以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
(y1)以外のポリオール成分(y)のうち、3〜8価もしくはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリオール成分(y)中の(y1)の量〔重縮合反応中に系外に留去されるものは除く、以下同様。〕は、80モル%以上であり、好ましくは83モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは170〜260℃、とくに好ましくは190〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、構成単位として、前記のポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)に加え、さらにポリイソシアネート(i)、並びにポリアミン(j)及び/又は水を有する、ウレタン基及びウレア基を含有する変性ポリエステル樹脂(A1)であってもよい。
変性ポリエステル樹脂(A1)は、トナーの定着温度幅確保の点で好ましい。
上記ポリイソシアネート(i)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
ポリアミン(j)の例として、脂肪族ジアミン類(C2〜C18)としては、
〔1〕脂肪族ジアミン{C2〜C6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};
〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;
〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{脂環式ジアミン(C4〜C15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、複素環式ジアミン(C4〜C15)〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;
〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど);等が挙げられる。
芳香族ジアミン類(C6〜C20)としては、
〔1〕非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;
〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基〕を有する芳香族ジアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;
〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリンなど〕;
〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミンの−NH2の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなど
の低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
ポリアミン成分としては、これらの他、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
変性ポリエステル樹脂(A1)に含有されるウレタン基・ウレア基の濃度としては、定着温度幅の観点から、(A1)の全重量に対する、(A1)の原料として用いる、ポリイソシアネート(i)、ポリアミン(j)、および(i)と反応する水の合計量〔すなわち、(A1)中の、(i)、(j)、および(i)と反応する水の構成単位の合計含有量:計算値〕が50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜40%、とくに好ましくは0.3〜35%である。上記および以下において、%は特に断りのない場合、重量%を意味する。
導入されるウレタン基・ウレア基のモル比率は、定着温度幅の観点から、ウレタン基/ウレア基=45/55〜95/5が好ましく、さらに好ましくは50/50〜90/10である。
上記モル比率は、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する際に使用した、ポリイソシアネート(i)と、ポリアミン(j)および(i)と反応する水の重量から、(A1)中に含有されるウレタン基(―NHCOO―)のモル数とウレア基(―NHCONH―)のモル数の比を、計算により求めたものである。
変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法としては特に限定されないが、下記3種類の製造法のいずれかを含む方法が好ましい。
製造法〔1〕;ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる水酸基を有するポリエステル樹脂(a)の有機溶剤(S)溶液を、ポリイソシアネート(i)と反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させて変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
製造法〔2〕;ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を液体状でポリイソシアネート(i)と反応させ、さらに未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させて変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
製造法〔3〕;ポリイソシアネート(i)とポリアミン(j)を、[(i)中のイソシアネート基]/[(j)中のアミノ基]=1.5/1〜3/1の当量比で反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物とポリオール成分(y)とを反応させて得られる変性ポリオール(y1)を含むポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)とを重縮合させて、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
上記変性ポリエステル樹脂(A1)の製造法〔1〕において、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を得る際の、ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1.01/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。ウレタン基、ウレア基の導入率の観点から、水酸基価は0.1〜100が好ましく、より好ましくは0.2〜90である。
ポリオール成分(y)、ポリカルボン酸成分(x)は前記の成分を特に限定なく用いることができる。必要により、前記のエステル化触媒を用いてもよい。
有機溶剤(S)としてはポリエステル樹脂(a)を溶解可能であれば特に限定はないが、溶剤除去のしやすさより、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、トルエン及びキシレンが好ましい。
水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を有機溶剤(S)に溶解させた溶液中に、ポリイソシアネート(i)を入れて反応させる。反応温度は反応速度とアロファネート化抑制の観点で50〜120℃が好ましく、生産性の観点で反応時間は48時間以下が好ましい。ポリエステル樹脂(a)とポリイソシアネート(i)との反応比率は、水酸基とイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]として、好ましくは1/1.5〜1/3、さらに好ましくは1/1.6〜1/2.7、特に好ましくは1/1.8〜1/2.6である。
次いで(a)と(i)の反応生成物をポリアミン(j)と反応させて、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する。反応温度は反応速度とビューレット化抑制の観点で10〜100℃が好ましく、生産性の観点で反応時間は48時間以下が好ましい。(a)と(i)の反応生成物の未反応イソシアネート基と、ポリアミン(j)のアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は、好ましくは0.5/1〜1.5/1、さらに好ましくは0.7/1
〜1.3/1、特に好ましくは0.75/1〜1.2/1である。
反応後、必要により、有機溶剤(S)を取り除く工程をいれてもよい。有機溶剤(S)を取り除く方法は、一般的な公知の方法が用いられるが、生産性の観点から減圧脱溶剤が好ましい。有機溶剤(S)を取り除く前に、後述する線形ポリエステル樹脂(B)を溶解混合してもよい。
上記製造法〔2〕において、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)としては、製造法〔1〕と同様のものが挙げられる。(a)は、必要により加熱溶融して液体状で、ポリイソシアネート(i)と反応させ、さらにポリアミン(j)と反応させる。
ポリエステル樹脂(a)の水酸基とポリイソシアネート(i)のイソシアネート基の当量比、(a)と(i)の反応生成物の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基の当量比は、製造法〔1〕と同様でよい。反応温度はアロファネート化及びビューレット化の開裂の観点から150〜250℃で反応させることが好ましく、より好ましくは170〜230℃、最も好ましくは180〜220℃である。
ポリエステル樹脂(a)とポリイソシアネート(i)の反応が完了した後、反応生成物の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基とを反応させることが好ましい。(a)と(i)の反応時間は1時間以下が好ましく、より好ましくは30分以下、最も好ましくは20分以下である。(a)と(i)の反応生成物と(j)の反応時間は30分以下が好ましく、より好ましくは20分以下、最も好ましくは15分以下である。
製造法〔2〕は2軸混練機又は2軸混練押出し機を用いて連続的に行うことが好ましい。2軸混練機としてはラボプラストミル(東洋精機社製)等が好ましく、2軸混練押出し機としてはKCニーダー(栗本鐵工所社製)、池貝PCM−30(池貝鉄工株式会社製)等が挙げられる。
上記製造法〔3〕においては、まず、ポリイソシアネート(i)とポリアミン(j)とを反応させる。
反応の際、ウレタン基とウレア基の導入率、及び貯蔵弾性率の観点から、ポリイソシアネート(i)中のイソシアネート基とポリアミン(j)中のアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]が、1.5/1〜3/1である必要があり、好ましくは1.7/1〜2.8
/1、さらに好ましくは1.8/1〜2.5/1である。
上記反応に際し、反応の均一性及び、反応温度管理の観点から有機溶剤(S)、及び/又はポリオール成分(y)中で行っててもよい。反応温度としては、反応速度とビューレット化抑制の観点で10〜100℃が好ましく、生産性の観点で反応時間は48時間以下が好ましい。
次いで、(i)と(j)の反応生成物中の未反応のイソシアネート基と、ポリオール成分(y)の水酸基とを反応させて変性ポリオール(y1)を製造する。水酸基とイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は、反応速度の観点から1/1〜1000/1が好ましい。反応温度は反応速度とアロファネート化抑制の観点で50〜120℃が好ましく、生産性の観点で反応時間は48時間以下が好ましい。
なお、(y)を過剰に用いると、変性ポリオール(y1)と(y1)以外のポリオールを含むポリオール成分(y)が得られる。
さらに、変性ポリオール(y1)を含むポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)とを重縮合させて、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する。重縮合させる条件としては前記の方法で行うことが好ましい。
ポリオール成分(y)中の変性ポリオール(y1)の含有量は、好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1〜80モル%である。
ポリエステル樹脂(A)〔変性ポリエステル樹脂(A1)を含む。以下同様。〕の酸価は、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜60である。酸価が100以下であるとトナー化時の帯電特性が低下しない。
また、(A)の水酸基価は、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜50である。水酸基価が100以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
ポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、2000〜20000が好ましく、さらに好ましくは3000〜10500、とくに好ましくは4000〜9000である。
本発明において、樹脂の分子量〔Mp、および数平均分子量(以下Mnと記載)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、定着性、保存性および耐久性等の観点から、30〜75℃が好ましく、さらに好ましくは40〜72℃、特に好ましくは50〜70℃である。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
(A)のフロー軟化点〔Tm〕は、120〜170℃が好ましく、さらに好ましくは125〜160℃、とくに好ましくは130〜150℃である。この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<フロー軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
本発明のトナー用バインダー樹脂に含有される非晶性樹脂(B)および(C)は、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルポリアミド系樹脂、及びそれらを複合化させたハイブリッド樹脂など特に制限されるものではないが、THF可溶分であることが好ましい。
これらの中でもスチレンアクリル系樹脂は、吸水性が極めて低く、環境安定性に優れているため、本発明において特に好ましく使用できる。スチレンアクリル系樹脂のガラス転移温度は10〜120℃であることが好ましい。ガラス転移温度が10℃以上では十分な保存性が得られ、140℃以下であると十分な低温定着性が得られる。また、スチレンアクリル系樹脂のピークトップ分子量(Mp)は、好ましくは1000〜500000、さらに好ましくは3000〜100000である。Mpが1000以上では十分な樹脂強度が得られ、500000以下であると、低温での十分な定着性が発現される。
本発明において、スチレンアクリル系樹脂とは、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体を表す。スチレンアクリル系樹脂に用いられるスチレン系モノマー、アクリル系モノマーは特に限定されない。好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどのアルキル基の炭素数が0〜18のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジルなどのグリシジル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、上記モノマーと共重合可能なモノマーとしてアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸のモノエステルなどの不飽和カルボン酸もしくはその無水物等を用いてもよい。
これらのうちスチレン系モノマー、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸が好ましく、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸が更に好ましい。
スチレンアクリル系樹脂の重合方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合と溶液重合の組み合わせなど、任意の方法を選択できる。これらの重合法のうち、溶液重合が好ましい。溶液重合では、多くの官能基を導入した樹脂や比較的分子量の小さい樹脂を得やすい。
本発明のトナー用バインダー樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂(A)と、非晶性樹脂(B)および(C)とを溶融混錬させながら、両成分を反応させることで得られる。ポリエステル樹脂(A)と、非晶性樹脂(B)とは、お互いに非相溶であることが好ましい。また、非晶性樹脂(B)は、非晶性樹脂(C)と相溶であることが好ましい。
ここで、相溶とは、2種類の樹脂を各々所定量、溶剤に溶解混合し、脱溶剤した時に分離が観察されない、または分離した島相の大きさが50μm以下となる状態であることを意味する。たとえば、上記2種類の樹脂各50gをキシレン170gに溶解混合し、脱溶剤した時に分離が観察されない、または分離した島相の大きさが50μm以下となる状態となることである。非相溶とは、同様の操作を行った際に分離し、分離した島相の大きさが50μmを越える状態となることを意味する。
ポリエステル樹脂(A)が有する官能基としては、水酸基やカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。また、非晶性樹脂(B)が有する官能基としては、ポリエステル樹脂(A)が有する官能基との反応性を有していればよく、カルボキシル基、水酸基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも、特に末端に水酸基を有するポリエステル樹脂(A)と、カルボキシル基を有する非晶性樹脂(B)間での脱水縮合反応が好ましい。
また、非晶性樹脂(B)と非晶性樹脂(C)とは、分子量、及び官能基を有するモノマー組成が異なる成分であることが好ましい。非晶性樹脂(B)としては、ピークトップ分子量(Mp)が1万以上、官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり5%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、Mpが2万以上、官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり8%以上であり、とくに好ましくは、Mpが2.5〜10万、官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり10〜30%である。非晶性樹脂(C)としては、Mpが12,000以下,官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり8%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、Mpが10,000以下、官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり5%以下であり、とくに好ましくは、Mpが2,000〜8,000、官能基を有するモノマーが仕込み総モノマー当たり0.1〜4%である。
更に、反応を促進するために、官能基を多く有する低分子化合物、オリゴマー、ポリマー等を反応促進剤として添加してもよい。本発明のトナー用バインダー樹脂は、好ましくは、ポリエステル樹脂(A)、非晶性樹脂(B)、及び非晶性樹脂(C)が混在する状態で、加熱・混錬することで製造される。ポリエステル樹脂(A)は、官能基を有するモノマー含量の違いに依存して、非晶性樹脂(B)と優先して反応する。この反応性の違いにより、非晶性樹脂成分間に相分離が誘起され、非晶性樹脂(C)に対してポリエステル樹脂(A)及び非晶性樹脂(B)が分離し、結果的に、ポリエステル樹脂(A)を一成分とするネットワーク構造を創ることができる。
なお、本発明のトナー用バインダー樹脂中に、少量の、ポリエステル樹脂(A)、非晶性樹脂(B)、およびポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(C)とのハイブリッド樹脂の1種以上が含まれていても差し支えない。
本発明のトナー用バインダー樹脂中における各樹脂の分散状態は、透過型電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡で観察することができる。
本発明のトナー用バインダー樹脂を製造するためには、ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)および(C)間の相溶性を精度良く制御する必要がないため、幅広い樹脂選択性、モノマー選択性を可能とする。
本発明のトナー用バインダー樹脂を、ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)との反応によって形成させる場合の反応条件は、反応させる官能基の組み合わせにより異なる。例えば末端に水酸基を有するポリエステル樹脂(A)と、カルボキシル基を有するスチレンアクリル系樹脂とを反応させる場合には、両成分を150〜250℃の温度で1〜50時間、溶融混錬することによって製造される。
また、ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)との反応は、溶媒を用いて溶解、均一分散させた後に、溶剤を除去して反応を開始させることが好ましい。反応前に溶剤を使用することで、均一に反応を進行させることができる。ここで使用する溶剤としては、特に制限はなく、好ましくは、キシレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、THFである。
本発明のトナー用バインダー樹脂中の、ポリエステル樹脂(A)/非晶性樹脂(B)/非晶性樹脂(C)の重量比(合計を100とする。)は、高温での定着性とトナー特性の安定性の観点から、(10〜30)/(15〜30)/(50〜65)が好ましく、(15〜25)/(20〜25)/(55〜60)がより好ましい。
本発明のトナー組成物は、本発明のトナー用バインダー樹脂と、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナー用バインダー樹脂100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フロー軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナー組成物の組成比は、トナー重量に基づき、本発明のトナー用バインダー樹脂が、好ましくは30〜97%、さらに好ましくは40〜95%、とくに好ましくは45〜92%;着色剤が、好ましくは0.05〜60%、さらに好ましくは0.1〜55%、とくに好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜10%;荷電制御剤が、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜10%、とくに好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%、とくに好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、さらに好ましくは4〜58%、とくに好ましくは5〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリアー粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、エチレングリコール573部(9.2モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは245部(4.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のTgは60℃、Tmは140℃、Mpは6000、酸価は27、水酸基価は1、THF不溶解分は3%であった。
製造例2
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸463部(2.8モル)、フタル酸308部(1.9モル)、エチレングリコール576部(9.3モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは227部(3.7モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のTgは58℃、Tmは142℃、Mpは7000、酸価は26、水酸基価は0.1、THF不溶解分は2%であった。
製造例3
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
反応槽中に、イソフタル酸461部(2.8モル)、フタル酸308部(1.9モル)、エチレングリコール575部(9.3モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは224部(3.6モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のTgは57℃、Tmは138℃、Mpは6700、酸価は28、水酸基価は1、THF不溶解分は1%であった。
製造例4
[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸310部(1.9モル)、イソフタル酸465部(2.8モル)、アジピン酸36部(0.25モル)、エチレングリコール610部(9.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは262部(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−4)とする。
ポリエステル樹脂(A−4)のTgは60℃、Tmは150℃、Mpは10500、酸価は10、水酸基価は0、THF不溶解分は1%であった。
製造例5
[ポリエステル樹脂(A−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸440部(2.7モル)、イソフタル酸235部(1.4モル)、アジピン酸7部(0.05モル)、エチレングリコール554部(8.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103部(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは219部(3.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−5)とする。
ポリエステル樹脂(A−5)のTgは56℃、Tmは135℃、Mpは4800、酸価は37、水酸基価は50、THF不溶解分は5%であった。
製造例6
[線形ポリエステル樹脂(a−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、1,2−プロピレングリコール695部(9.1モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収された1,2−プロピレングリコールは216部(2.8モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(a−1)とする。
製造例7
[線形ポリエステル樹脂(a−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、エチレングリコール573部(9.2モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは200部(3.2モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(a−2)とする。
製造例8
[ポリエステル樹脂(A−6)の合成]
反応槽中に、先述した製造例6で得られた線形ポリエステル樹脂(a−1)200部(0.07モル)、テトラヒドロフラン800部を入れ80℃まで加熱し、(a−1)を溶解した。窒素気流下でイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載。)を60部(0.27モル)加え24時間反応させた。さらにイソホロンジアミン(以下、IPDAと記載。)を23部(0.13モル)加え、3時間攪拌した後、200℃まで加熱しながら5〜20mmHgの減圧下でテトラヒドロフランを10時間かけて留去し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−6)とする。
ポリエステル樹脂(A−6)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは7600、酸価は45、水酸基価は2、THF不溶解分は5%であった。(a−1)の水酸基とIPDIのイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は1/1.9、(a−1)とIPDIの反応物の未反応イソシアネート基とIPDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は1/1、ポリエステル樹脂(A−6)中の、ポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は20.9%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1.2/1であった。
製造例9
[ポリエステル樹脂(A−7)の合成]
反応槽中に、先述した製造例7で得られた線形ポリエステル樹脂(a−2)200部(0.07モル)、テトラヒドロフラン800部を入れ80℃まで加熱し、(a−2)を溶解した。窒素気流下でIPDIを60部(0.27モル)加え24時間反応させた。さらにIPDAを23部(0.13モル)加え、3時間攪拌した後、200℃まで加熱しながら5〜20mmHgの減圧下でテトラヒドロフランを10時間かけて留去し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−7)とする。
ポリエステル樹脂(A−7)のTgは59℃、Tmは140℃、Mpは7300、酸価は45、水酸基価は1、THF不溶解分は4%であった。(a−2)の水酸基とIPDIのイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は1/1.89、(a−2)とIPDIの反応物の未反応イソシアネート基とIPDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は0.95/1、ポリエステル樹脂(A−7)中のポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は29.3%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1/1であった。
製造例10
[ポリエステル樹脂(A−8)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール473部(7.6モル)入れ、窒素気流下でIPDIを50部(0.22モル)、テトラヒドロフラン80部を加え、均一化した。滴下ロートにエチレングリコール100部(1.6モル)、IPDAを20部(0.12モル)加え、均一化した。前記の反応層に滴下ロートを取り付け、60分かけて滴下し、20℃で30分均一化し、IPDIとIPDAを反応させた。その後、反応層の温度を80℃まで上げ、4時間攪拌し、IPDIとIPDAの反応生成物のイソシアネート基とエチレングリコールの水酸基を反応させ、エチレングリコール(9.1モル)と変性ポリオール(0.12モル)の混合物を得た。次いで、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、無水トリメリット酸52部(0.27モル)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に3時間反応させ、取り出した。回収されたエチレングリコールは220部(3.5モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−8)とする。
ポリエステル樹脂(A−8)のTgは58℃、Tmは135℃、Mpは7000、酸価は1、水酸基価は25、THF不溶解分は6%であった。IPDIのイソシアネート基とIPDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は1.91/1、エチレングリコールの水酸基とIPDIとIPDAの反応物のイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は429/1、ポリエステル樹脂(A−8)中のポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は19.7%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1/1であった。
製造例11
[ポリエステル樹脂(A−9)の合成]
S−1型KCニーダー(栗本鐵工社製)に定量フィーダーを設置し、200℃に温度コントロールした。別の容器に後述する製造例7で得られた線形ポリエステル樹脂(a−2)200部(0.07モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと記載。)を47部(0.28モル)加えヘンシルミキサーで均一混合し、定量フィーダーへ入れた。定量フィーダーを調整し、滞留時間が10分になるように反応させた。得られた反応物を室温まで冷却し、粉砕粒子化した。得られた粉体247部(0.07モル)に1,6−ヘキサメチレンジアミン(以下、HDAと記載。)を16部(0.14モル)加えヘンシルミキサーで均一混合し、再び定量フィーダーへ入れた。定量フィーダーを調整し、滞留時間が15分になるように反応させた。得られた反応物を室温まで冷却し、粉砕粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−9)とする。
ポリエステル樹脂(A−9)のTgは58℃、Tmは145℃、Mpは7800、酸価は43、水酸基価は2、THF不溶解分は5%であった。(a−2)の水酸基とHDIのイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は1/2.6、(a−2)とHDIの反応物の未反応イソシアネート基とHDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は0
.75/1、ポリエステル樹脂(A−9)中のポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は24%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1/1であった。
製造例12
[ポリエステル樹脂(A−10)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール473部(7.6モル)入れ、窒素気流下でHDIを38部(0.23モル)、テトラヒドロフラン40部を加え、均一化した。滴下ロートにエチレングリコール100部(1.6モル)、HDAを14部(0.12モル)加え、均一化した。前記の反応層に滴下ロートを取り付け、60分かけて滴下し、20℃で30分均一化し、HDIとHDAを反応させた。その後、反応層の温度を80℃まで上げ、4時間攪拌し、HDIとHDAの反応生成物のイソシアネート基とエチレングリコールの水酸基を反応させ、エチレングリコール(9.3モル)と変性ポリオール(0.12モル)の混合物を得た。次いで、テレフタル酸307部(1.8モル)、イソフタル酸460部(2.8モル)、無水トリメリット酸52部(0.27モル)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に3時間反応させ、取り出した。回収されたエチレングリコールは223部(3.6モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−10)とする。
ポリエステル樹脂(A−10)のTgは57℃、Tmは143℃、Mpは7600、酸価は0、水酸基価は23、THF不溶解分は5%であった。HDIのイソシアネート基とHDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は1.91/1、エチレングリコールの水酸基とHDIとHDAの反応物のイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は429/1、ポリエステル樹脂(A−10)中のポリイソシアネートポリアミンの構成単位の合計含有量は19.9%、ウレタン基/ウレア基のモル比は0.96/1であった。
製造例13
[非晶性樹脂(B−1)の合成]
窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、キシレンを1000部相当加え、キシレン還流温度(約138℃)まで昇温して、スチレン786部(7.6モル)、アクリル酸ブチル114部(1.1モル)、メタクリル酸100部(1.2モル)、および反応開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド4部を5時間かけて反応フラスコ内に滴下させた。さらに1時間そのまま反応を継続し、その後、98℃に降温してt-ブチルパーオキシオクトエート2.5gを加えて2時間反応を行った。得られた重合液は、195℃に昇温して1時間、8.0kPa以下の減圧下で溶剤を除去した。これを非晶性樹脂(B−1)とする。
非晶性樹脂(B−1)のTgは93℃、Mpは46000であった。
製造例14
[非晶性樹脂(B−2)の合成]
窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、キシレンを1000部相当加え、キシレン還流温度(約138℃)まで昇温して、スチレン700部(6.7モル)、アクリル酸ブチル100部(1.0モル)、メタクリル酸200部(2.3モル)、および反応開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド20部を5時間かけて反応フラスコ内に滴下させた。さらに1時間そのまま反応を継続し、その後、98℃に降温してt-ブチルパーオキシオクトエート2.5gを加えて2時間反応を行った。得られた重合液は、195℃に昇温して1時間、8.0kPa以下の減圧下で溶剤を除去した。これを非晶性樹脂(B−2)とする。
非晶性樹脂(B−2)のTgは95℃、Mpは28000であった。
製造例15
[非晶性樹脂(C−1)の合成]
窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、キシレンを1000部相当加え、キシレン還流温度(約138℃)まで昇温して、スチレン876部(8.4モル)、アクリル酸ブチル104部(1.0モル)、メタクリル酸20部(0.2モル)、および反応開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド100部を5時間かけて反応フラスコ内に滴下させた。さらに1時間そのまま反応を継続し、その後、98℃に降温してt-ブチルパーオキシオクトエート2.5gを加えて2時間反応を行った。得られた重合液は、195℃に昇温して1時間、8.0kPa以下の減圧下で溶剤を除去した。これを非晶性樹脂(C−1)とする。
非晶性樹脂(C−1)のTgは60℃、Mpは5000であった。
製造例16
[非晶性樹脂(C−2)の合成]
窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、キシレンを1000部相当加え、キシレン還流温度(約138℃)まで昇温して、スチレン840部(8.1モル)、アクリル酸ブチル120部(1.2モル)、メタクリル酸40部(0.5モル)、および反応開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド100部を5時間かけて反応フラスコ内に滴下させた。さらに1時間そのまま反応を継続し、その後、98℃に降温してt-ブチルパーオキシオクトエート2.5gを加えて2時間反応を行った。得られた重合液は、195℃に昇温して1時間、8.0kPa以下の減圧下で溶剤を除去した。これを非晶性樹脂(C−2)とする。
非晶性樹脂(C−2)のTgは64℃、Mpは5000であった。
比較製造例1
[結晶性樹脂(RA−1)の合成]
1,4−ブタンジオール230部(2.6モル)、オクタデカンジオン酸770部(3.5モル)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した1リットル容の四つ口フラスコに入れ、150℃で1時間反応させた。次に、モノマー総量に対して0.16重量%のチタンラクテート(松本製薬工業(株)製、TC−310)を加え、200℃まで緩やかに昇温して5〜10時間反応させた。さらに8.0kPa以下の減圧下で約1時間反応させ、酸価が2以下となることで反応を完結させた。得られた結晶性樹脂を(RA−1)とした。
結晶性樹脂(RA−1)の融解ピーク温度は88℃、Mpは11000であった。
比較製造例2
[結晶性樹脂(RA−2)の合成]
1,6−ヘキサンジオール187部(1.6モル)、セバシン酸813部(4.0モル)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器を装備した1リットル容の四つ口フラスコに入れ、150℃で1時間反応させた。次に、モノマー総量に対して0.16重量%のチタンラクテート(松本製薬工業(株)製、TC−310)を加え、200℃まで緩やかに昇温して5〜10時間反応させた。さらに8.0kPa以下の減圧下で約1時間反応させ、酸価が2以下となることで反応を完結させた。得られた結晶性樹脂を(RA−2)とした。
結晶性樹脂(RA−2)の融解ピーク温度は67℃、Mpは7800であった。
[混錬反応]
窒素導入管、攪拌器を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、表1に従い原樹脂(A−1〜10、RA−1〜2)、非晶性樹脂(B−1〜2)と非晶性樹脂(C−1〜2)を入れ、酢酸エチル250部相当、ジメチルホルムアミド6.25部相当を加え、約80℃で攪拌し、均一に溶解・分散させた。次いで190℃まで昇温し、8.0kPa以下の減圧下で1時間、脱溶剤を行い、そのままの温度で軟化点が150℃以上となるまで混錬反応を行った。得られた樹脂を樹脂(M−1〜10、RM−1〜4)とした。
Figure 2011215403
<実施例1〜10>、<比較例1〜4>
表1に示す樹脂(M−1〜10、RM−1〜4)に、それぞれにカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]1部、カルナバワックス5部をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]で十分に混合した後、2軸混錬機(池貝機械製、PCM−30型)にて設定温度110℃、滞留時間60秒で溶融混錬させ、冷却、粗粉砕した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−10)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−4)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
Figure 2011215403
[評価方法]
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
本発明のトナー組成物およびトナー用バインダー樹脂は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)、耐ブロッキング性に優れる、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーおよびトナーバインダーとして有用である。

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂(A)と非晶性樹脂(B)からなるハイブリッド樹脂と、非晶性樹脂(C)とを含むトナー用バインダー樹脂であって、ポリエステル樹脂(A)が、少なくともポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、(x)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上と、3価以上のポリカルボン酸(x2)を含有し、(y)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するトナー用バインダー樹脂。
  2. ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸(x1)が、下記(1)〜(3)から選ばれる2種以上である請求項1記載のトナー用バインダー樹脂。
    (1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
    (2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
    (3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
  3. ポリエステル樹脂(A)が、さらにポリイソシアネート(i)並びにポリアミン(j)及び/又は水を構成単位として有する、ウレタン基およびウレア基を含有する変性ポリエステル樹脂(A1)である請求項1または2記載のトナー用バインダー樹脂。
  4. 変性ポリエステル樹脂(A1)中の、ポリイソシアネート(i)、ポリアミン(j)、および(i)と反応する水の構成単位の合計含有量が(A1)の重量に対して50重量%以下である請求項3記載のトナー用バインダー樹脂。
  5. ポリエステル樹脂(A)が非晶性樹脂(B)と非相溶であり、非晶性樹脂(B)が非晶性樹脂(C)と相溶である請求項1〜4のいずれか記載のトナー用バインダー樹脂。
  6. ポリエステル樹脂(A)、非晶性樹脂(B)、および非晶性樹脂(C)の重量比が、(A)/(B)/(C)=(10〜30)/(15〜30)/(50〜65)である請求項1〜5のいずれか記載のトナー用バインダー樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載のトナー用バインダー樹脂、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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