JP5698026B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも極めて優れた、ポリエステル系トナーバインダーからなるトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、近年、保存安定性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)の要望がますます高まっており、更なる改良が求められていた。
すなわち本発明は、下記2発明である。
(I) 少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂(P)、並びにアシル基を構成する脂肪酸の炭素数が8〜14であるジアセチルモノアシルグリセロール(Q2)、末端をメチル基またはフェニル基で封鎖した数平均分子量が200〜4000のポリアルキレングリコール(Q3)、および下記一般式(1)で表されるクエン酸エステル(Q5)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(Q)を含有し、ポリエステル樹脂(A)の150℃における貯蔵弾性率が20000dyn/cm2以上であり、150℃におけるdyn/cm2単位で表した貯蔵弾性率をG’150とし、180℃におけるdyn/cm2で表した貯蔵弾性率をG’180とすると、これらが、次の式(1)を満たすトナーバインダー。
G’150/G’180≦15 ・・・式(1)
H2C−COOR1
|
R4O−C−COOR2 (1)
|
H2C−COOR3
[式(1)中、R 1 、R 2 およびR 3 は、それぞれ炭素数5のアルキル基、R4は、Hまたは炭素数1〜8のカルボン酸からCOOH基のOHを除いた残基である]
(II) このトナーバインダーと着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明のトナーバインダーは、特定組成のポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂(P)、および特定組成の可塑剤(Q)を含有する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂であって、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させる(定着温度幅の拡大)観点から、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有するカルボン酸成分(x)と、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)が80モル%以上含有されたポリオール成分(y)とを構成単位とする。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等、好ましくは炭素数1〜4)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)において、芳香族ジカルボン酸とその同一ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、1種として数える。
これら(x1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=3/7〜7/3であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=3/7〜7/3である。
カルボン酸成分(x)のうち、(x1)以外のジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸)およびこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(x)中のポリカルボン酸(x2)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは1〜15モル%、とくに好ましくは2〜12モル%である。
また、(x)中の芳香族モノカルボン酸(x3)の量としては10モル%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜9.5モル%、とくに好ましくは0.5〜9モル%である。
これら(y1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、分子末端に1級水酸基を有する、分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
ポリオール成分(y)のうち、(y1)以外のジオールとしては、炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)。以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
変性ポリエステル樹脂(A1)は、トナーの定着温度幅確保の点で好ましい。
〔1〕脂肪族ジアミン{C2〜C6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};
〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;
〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{脂環式ジアミン(C4〜C15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、複素環式ジアミン(C4〜C15)〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;
〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど);等が挙げられる。
〔1〕非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4′′−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;
〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基〕を有する芳香族ジアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;
〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリンなど〕;
〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミンの−NH2の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
上記モル比率は、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する際に使用した、ポリイソシアネート(i)と、ポリアミン(j)および(i)と反応する水の重量から、(A1)中に含有されるウレタン基(―NHCOO―)のモル数とウレア基(―NHCONH―)のモル数の比を、計算により求めたものである。
製造法〔1〕;カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)の、有機溶剤(S)溶液を、ポリイソシアネート(i)と反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させて変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
製造法〔2〕;カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを重縮合させて得られる、水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を、液体状態で、ポリイソシアネート(i)と反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物をポリアミン(j)と反応させて変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
製造法〔3〕;ポリイソシアネート(i)とポリアミン(j)を、[(i)中のイソシアネート基]/[(j)中のアミノ基]=1.5/1〜3/1の当量比で反応させ、次いで未反応のイソシアネート基を有する反応生成物とポリオール成分(y)とを反応させて得られる変性ポリオール(y1)を含むポリオール成分(y)と、カルボン酸成分(x)とを重縮合させて、変性ポリエステル樹脂(A1)を製造する方法。
ポリオール成分(y)、カルボン酸成分(x)は前記の成分を特に限定なく用いることができる。必要により、前記のエステル化触媒を用いてもよい。
ポリエステル樹脂(a)の水酸基とポリイソシアネート(i)のイソシアネート基の当量比、および、(a)と(i)の反応生成物中の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基の当量比は、製造法〔1〕と同様でよい。反応温度はアロファネート化及びビューレット化の開裂の観点から150〜250℃で反応させることが好ましく、より好ましくは170〜230℃、最も好ましくは180〜220℃である。
ポリエステル樹脂(a)とポリイソシアネート(i)の反応が完了した後、反応生成物の未反応イソシアネート基とポリアミン(j)のアミノ基とを反応させることが好ましい。(a)と(i)の反応時間は1時間以下が好ましく、より好ましくは30分以下、最も好ましくは20分以下である。(a)と(i)との反応生成物と(j)との反応時間は30分以下が好ましく、より好ましくは20分以下、最も好ましくは15分以下である。
反応の際、ウレタン基とウレア基の導入率、及び貯蔵弾性率の観点から、ポリイソシアネート(i)中のイソシアネート基とポリアミン(j)中のアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]が、1.5/1〜3/1であることが好ましく、より好ましくは1.7/1
〜2.8/1、さらに好ましくは1.8/1〜2.5/1である。
なお、(y)を過剰に用いると、変性ポリオール(y1)と(y1)以外のポリオールを含むポリオール成分(y)が得られる。
ポリオール成分(y)中の変性ポリオール(y1)の含有量は、好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1〜80モル%である。
酸価は、変性ポリエステル樹脂(A1)の場合、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜60である。(A1)以外のポリエステル樹脂(A)の場合、帯電量の観点から、さらに好ましくは4〜80、とくに好ましくは10〜60である。
また、(A)の水酸基価〔OHV〕は、好ましくは0〜100、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜50である。水酸基価が100以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上で最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<軟化点〔Tm〕>
工化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
なお、ポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂(P)も同様の貯蔵弾性率(G’)を有することが好ましい。
G’150/G’180≦15 ・・・式(1)
G’150/G’180≦14 ・・・式(1’)
0.1≦G’150/G’180≦13 ・・・式(1”)
G’150、G’180が式(1)を満たすと、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
ポリエステル樹脂(A)の貯蔵弾性率(G’)を調整するには、例えば、G’150/G’180を小さくする場合、ポリエステル樹脂(A)のTmを上げる、3価以上の構成成分の比率を上げ架橋点の数を増やす、分子量を大きくする、またはTgを高くする、等で達成できる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは3/1〜1/3、さらに好ましくは2.5/1〜1/2.5、とくに好ましくは2/1〜1/2である。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
(Q1):ポリエチレングリコールと脂肪族もしくは芳香族カルボン酸とのエステル
(Q2):アシル基を構成する脂肪酸の炭素数が8〜14であるジアセチルモノアシルグリセロール
(Q3):末端をメチル基またはフェニル基で封鎖したMnが200〜4000のポリアルキレングリコール
(Q4):炭素数2〜4のグリコールおよび/または前記グリコールのダイマーと芳香族モノカルボン酸とのジエステル
(Q5):下記一般式(1)で表されるクエン酸エステル
H2C−COOR1
|
R4O−C−COOR2 (1)
|
H2C−COOR3
[式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ炭素数5のアルキル基、R4は、Hまたは炭素数1〜8のカルボン酸からCOOH基のOHを除いた残基である]
また、(Q1)のMnは、好ましくは200〜2500、さらに好ましくは300〜2000である。
ポリアルキレングリコールのMnが200未満であるとブリードアウト抑制性に劣り、4000を越えると、ポリエステル樹脂(P)との相溶性が低下する。
また、グリコールのダイマーは、上記炭素数2〜4のグリコールの2量体の少なくとも1種であり、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール等が挙げられる。これらの中でも相溶性の点でジプロピレングリコールが好ましい。
アルキル基R1、R2およびR3は、それぞれ炭素数5のアルキル基であり、それぞれが同じであっても、異なっていてもよい。炭素数5のアルキル基としては、少なくとも炭素数4の最も長い炭素鎖を有するものが好ましく、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、および3−メチルブチル基等が挙げられる。これらの中で好ましくは、R1、R2 およびR3の全てのアルキル基の60モル%以上がn−ペンチル基である。
これらの方法の中では、(Q)をトナーバインダー中に均一分散させるのが容易であることから、好ましくは(A)および/または(B)の合成時に(Q)を混合する方法であり、さらに好ましくは(B)の合成時に(Q)を混合する方法である。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸460部、イソフタル酸307部、エチレングリコール573部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは245部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のTgは60℃、Tmは140℃、Mpは6000、AVは27、OHVは1、THF不溶解分は3%、比重は1.25、G’150は33000dyn/cm2、G’150/G’180は13であった。
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸440部、イソフタル酸235部、アジピン酸7部、安息香酸30部、エチレングリコール554部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103部(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは219部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のTgは56℃、Tmは138℃、Mpは4900、AVは35、OHVは28、THF不溶解分は5%、比重は1.24、G’150は50000dyn/cm2、G’150/G’180は10であった。
[ポリエステル樹脂(a−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部、イソフタル酸307部、1,2−プロピレングリコール695部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収された1,2−プロピレングリコールは216部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−1)とする。
ポリエステル樹脂(a−1)のTgは60℃、Mnは1700、OHVは79、AVは50であった。
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−1)200部、テトラヒドロフラン800部を入れ80℃まで加熱し、(a−1)を溶解した。窒素気流下でイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載。)を60部加え24時間反応させた。さらにイソホロンジアミン(以下、IPDAと記載。)を23部加え、3時間攪拌した後、200℃まで加熱しながら5〜20mmHgの減圧下でテトラヒドロフランを10時間かけて留去し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは7600、AVは45、OHVは2、THF不溶解分は5%、比重は1.28、G’150は28000dyn/cm2、G’150/G’180は5であった。(a−1)の水酸基とIPDIのイソシアネート基の当量比[OH]/[NCO]は1/1.9、(a−1)とIPDIの反応物の未反応イソシアネート基とIPDAのアミノ基の当量比[NCO]/[NH2]は1/1、ポリエステル樹脂(A−3)中の、ポリイソシアネートとポリアミンの構成単位の合計含有量は20.9%、ウレタン基/ウレア基のモル比は1.2/1であった。
[可塑剤(Q−1)含有線形ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部、イソフタル酸307部、エチレングリコール573部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル(Mn600)(Q−1)200部、無水トリメリット酸32部を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは200部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−1)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
可塑剤(Q−1)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−1)のTgは59℃、Mpは5000、OHVは77、AVは29であった。
[可塑剤(Q−2)含有線形ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部、イソフタル酸307部、エチレングリコール573部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、グリセリンジアセトモノカプリレート(Q−2)200部、無水トリメリット酸32部を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは200部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−2)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−2)を得た。
可塑剤(Q−2)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−2)のTgは59℃、Mpは5000、OHVは77、AVは29であった。
[可塑剤(Q−3)含有線形ポリエステル樹脂(B−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸412部、イソフタル酸412部、エチレングリコール800部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールおよび結合水は318部であった。その後、180℃に冷却し、末端をメチル基で封鎖したポリエチレングリコール500部(Mn500)(Q−3)、無水トリメリット酸21部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−3)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−3)を得た。
可塑剤(Q−3)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−3)のTgは52℃、Mpは7100、OHVは36、AVは20であった。
[可塑剤(Q−4)含有線形ポリエステル樹脂(B−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部、イソフタル酸307部、エチレングリコール573部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、プロピレングリコールジ安息香酸エステル(Q−4)20部、無水トリメリット酸32部を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは200部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−4)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−4)を得た。
可塑剤(Q−4)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−4)のTgは59℃、Mpは5000、OHVは77、AVは29であった。
[可塑剤(Q−5)含有線形ポリエステル樹脂(B−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸412部、イソフタル酸412部、エチレングリコール800部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールおよび結合水は318部であった。その後、180℃に冷却し、アセチル−トリ−n−ペンチルシトレート(Q−5)50部、無水トリメリット酸21部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−5)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−5)を得た。
可塑剤(Q−5)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−5)のTgは52℃、Mpは7100、OHVは36、AVは20であった。
[可塑剤(Q−1)含有線形ポリエステル樹脂(B−6)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸230部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物819.8部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、AVが2以下になった時点で、180まで冷却後、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル(Q−1)600部、無水トリメリット酸68.3部を仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−1)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−6)を得た。
可塑剤(Q−1)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−6)のTgは58℃、Mpは4000、OHVは73、AVは38であった。
[可塑剤(Q−2)含有線形ポリエステル樹脂(B−7)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸230部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物819.8部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、AVが2以下になった時点で、180まで冷却後、グリセリンジアセトモノカプリレート(Q−2)600部、無水トリメリット酸683部を仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−2)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−7)を得た。
可塑剤(Q−2)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−7)のTgは58℃、Mpは4000、OHVは73、AVは38であった。
[可塑剤(Q−3)含有線形ポリエステル樹脂(B−8)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸219部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物214部、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物400部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させAVが2以下になった時点で180℃に冷却し、末端をメチル基で封鎖したポリエチレングリコール500部(Mn500)(Q−3)、無水トリメリット酸59部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−3)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−8)を得た。
可塑剤(Q−3)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−8)のTgは55℃、Mpは4800、OHVは42、AVは41であった。
[可塑剤(Q−4)含有線形ポリエステル樹脂(B−9)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸219部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物214部、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物400部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させAVが2以下になった時点で180℃に冷却し、プロピレングリコールジ安息香酸エステル(Q−4)500部、無水トリメリット酸59部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−4)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−9)を得た。
可塑剤(Q−4)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−9)のTgは55℃、Mpは4800、OHVは42、AVは41であった。
[可塑剤(Q−5)含有線形ポリエステル樹脂(B−10)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸230部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物819.8部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、AVが2以下になった時点で、180まで冷却後、アセチル−トリ−n−ペンチルシトレート(Q−5)700部、無水トリメリット酸68.3部を仕込み、180℃で1時間保持した後取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q−5)を含有する線形ポリエステル樹脂(B−10)を得た。
可塑剤(Q−5)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(B−10)のTgは58℃、Mpは4000、OHVは73、AVは38であった。
[比較用ポリエステル樹脂(RA−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物457部、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のプロピレンオキサイド6モル付加物9部、テレフタル酸166部、フマル酸93部、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、AVが2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸41部を加え、常圧密閉下2時間反応後、さらに230℃、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、Tmが132℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−1)とする。
ポリエステル樹脂(RA−1)のTgは58℃、Tmは135℃、Mpは11300、AVは20、OHVは5、THF不溶解分は6%、比重は1.24であった。
[比較用ポリエステル樹脂(RA−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸470部、フタル酸311部、エチレングリコール599部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸83部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは235部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−2)とする。
ポリエステル樹脂(RA−2)のTgは59℃、Tmは142℃、Mpは8400、AVは1、OHVは19、THF不溶解分は2%、比重は1.23であった。
[線形ポリエステル樹脂(RB−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸412部、イソフタル酸412部、エチレングリコール800部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールおよび結合水は318部であった。その後、180℃に冷却し、無水トリメリット酸71部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(RB−1)とする。
線形ポリエステル樹脂(RB−1)のTgは56℃、Mpは7200、OHVは36、AVは39であった。
[線形ポリエステル樹脂(RB−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸219部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物214部、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物400部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させAVが2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸59部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(RB−2)とする。
線形ポリエステル樹脂(RB−2)のTgは55℃、Mpは4800、OHVは42、AVは41であった。
[可塑剤(Q’−1)含有線形ポリエステル樹脂(RB−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸219部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物214部、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物400部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させAVが2以下になった時点で180℃に冷却し、ステアリンオレイル酸アミド(Q’−1)500部、無水トリメリット酸59部を加え、常圧密閉下2時間反応後、得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、可塑剤(Q’−1)を含有する線形ポリエステル樹脂(RB−3)を得た。
可塑剤(Q’−1)を除いて別途合成した上記線形ポリエステル樹脂(RB−3)のTgは55℃、Mpは4800、OHVは42、AVは41であった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A−1)〜(A−3)、および(B−1)〜(B−10)、および比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA−1)〜(RA−2)、および(RB−1)〜(RB−3)を表1の配合比(部)〔ただし、(B)および(RB−3)は、可塑剤(Q)または(Q’)を含んだ量〕に従い配合し、ポリエステル樹脂(P)と可塑剤(Q)からなる本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、カルナバワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−17)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−5)を得た。
可塑剤(Q)を除いて別途作成したポリエステル樹脂(P)のTgとMp、および下記評価方法で各トナー組成物を評価した評価結果を表2に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
Claims (7)
- 少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有するポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)とで構成されるポリエステル樹脂(P)、並びにアシル基を構成する脂肪酸の炭素数が8〜14であるジアセチルモノアシルグリセロール(Q2)、末端をメチル基またはフェニル基で封鎖した数平均分子量が200〜4000のポリアルキレングリコール(Q3)、および下記一般式(1)で表されるクエン酸エステル(Q5)から選ばれる少なくとも1種の可塑剤(Q)を含有し、ポリエステル樹脂(A)の150℃における貯蔵弾性率が20000dyn/cm2以上であり、150℃におけるdyn/cm2単位で表した貯蔵弾性率をG’150とし、180℃におけるdyn/cm2で表した貯蔵弾性率をG’180とすると、これらが、次の式(1)を満たすトナーバインダー。
G’150/G’180≦15 ・・・式(1)
H2C−COOR1
|
R4O−C−COOR2 (1)
|
H2C−COOR3
[式(1)中、R 1 、R 2 およびR 3 は、それぞれ炭素数5のアルキル基、R4は、Hまたは炭素数1〜8のカルボン酸からCOOH基のOHを除いた残基である]
- 可塑剤(Q)の含有量が1〜60重量%である請求項1記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)の重量比〔(A)/(B)〕が10/90〜99/1である請求項1または2のいずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸(x1)が、下記(1)〜(3)から選ばれる2種以上である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体 - ポリエステル樹脂(A)が、さらにポリイソシアネート(i)並びにポリアミン(j)および/又は水を合成原料として用いた構成単位を有する、ウレタン基およびウレア基を含有する変性ポリエステル樹脂(A1)である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
- 変性ポリエステル樹脂(A1)の合成において、原料として用いるポリイソシアネート(i)、ポリアミン(j)、および水の合計含有量が変性ポリエステル樹脂(A1)の重量に対して55重量%以下である請求項5記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダーと着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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