JP2013105074A - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含有し、(A)の軟化点が120〜180℃、重量平均分子量が100000〜300000、140℃における損失正接〔tanδ(140)〕と190℃における損失正接〔tanδ(190)〕が下記式(1)を満たし、(B)の軟化点が90℃以上120℃未満、重量平均分子量が20000〜40000、100℃における損失正接〔tanδ(100)〕と140℃における損失正接〔tanδ(140)〕が下記式(2)を満たすトナーバインダー。
1.0≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦5.0 ・・・式(1)
3.0≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦15.0・・・式(2)
【選択図】 なし
Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーからなるトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、軟化温度が高いため、トナーの定着下限温度を下げることができず、低温定着性が充分ではないという課題がある。また、溶融粘度が高いため、トナーを記録媒体上に定着して得られる画像の光沢性が充分ではないという課題がある。
すなわち本発明は、下記2発明である。
(I) ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含有し、ポリエステル樹脂(A)の軟化点が120〜150℃、重量平均分子量が100000〜300000、140℃における損失正接〔tanδ(140)〕と190℃における損失正接〔tanδ(190)〕が下記式(1)を満たし、ポリエステル樹脂(B)の軟化点が90℃以上120℃未満、重量平均分子量が20000〜40000、100℃における損失正接〔tanδ(100)〕と140℃における損失正接〔tanδ(140)〕が下記式(2)を満たすトナーバインダー。
1.0≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦5.0 ・・・式(1)
3.0≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦15.0・・・式(2)
(II) このトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明のトナーバインダーは、ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を含有する。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
これらのうち好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
なお、ポリカルボン酸成分(x)中に、必要により、少量の炭素数7〜14の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)を用いてもよい。
また、(A)と(B)の少なくとも一方、好ましくは両方が、ポリカルボン酸成分(x)中に、さらに炭素数4〜8のアルカンジカルボン酸および/またはアルケンジカルボン酸を0.1〜10モル%含有するのが好ましく、好ましくは0.2〜9モル%、さらに好ましくは0.3〜8モル%である。炭素数4〜8のアルケンジカルボン酸の含有量が0.1モル%以上であると、保存安定性がより良好となり、10モル%以下であると、カラートナーに使用した場合に透明性が良好になる。
ジオールとしては、芳香族ジオールおよび脂肪族ジオールが挙げられ、芳香族ジオールとしては、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルが挙げられる。具体例としては、2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)、以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数2〜30〕;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテルであり、さらに好ましくはビスフェノールAのポリエチレンエーテル、ビスフェノールAのポリプロピレンエーテルである。
これらのうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、分子末端に1級水酸基を有する分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
これらのうち好ましくは、ノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルである。
これらを含有する場合、(y)中のビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルの含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは91〜99.95モル%である。
ビスフェノール類のポリオキシプロピレンエーテルの含有量は、粉砕性の観点から、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは72〜99.95モル%である。
また、ノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルの含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは0.02〜10モル%、さらに好ましくは0.05〜8モル%である。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
<軟化点〔T(1/2)〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔T(1/2)〕とする。
装置(一例) :東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例):TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
1.0≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦5.0・・・式(1)
1.2≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦4.8・・・式(1’)
1.3≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦4.5・・・式(1”)
上記式(1)は、トナーとして用いた際に耐オフセット性に優れるものは、一般に光沢性が劣る傾向にあることが知られているが、(A)のtanδ(190)とtanδ(140)の比が、耐オフセット性と光沢性のバランスに重要な因子であることを見いだし、多数の実験により、最適な範囲を求めたものである。
(A)の損失正接〔tanδ〕を調整するには、例えば、〔tanδ(190)〕 / 〔tanδ(140)〕を小さくする場合、ポリエステル樹脂(A)の軟化点〔T(1/2)〕を上げる、3価以上の構成成分の比率を上げ架橋点の数を増やす、分子量を大きくする等で達成できる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
また、(A)の水酸基価は、好ましくは0〜10(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜9である。水酸基価が10以下であると、環境安定性に優れる。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置:東洋精機(株)製 ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件:130℃、70rpmにて30分
3.0≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦15.0・・・式(2)
3.2≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦14.8・・・式(2’)
3.5≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦14.5・・・式(2”)
上記式(2)は、一般にトナーとして用いた際に耐オフセット性に優れるものは、低温定着性や光沢性が劣る傾向にあることが知られているが、(B)のtanδ(140)とtanδ(100)の比が、耐オフセット性と低温定着性および光沢性とのバランスに重要な因子であることを見いだし、多数の実験により、最適な範囲を求めたものである。
(B)の損失正接〔tanδ〕を調整するには、例えば、〔tanδ(140)〕 / 〔tanδ(100)〕を小さくする場合、ポリエステル樹脂(B)の軟化点〔T(1/2)〕を上げる、3価以上の構成成分の比率を上げ架橋点の数を増やす、分子量を大きくする等で達成できる。
また、(B)の水酸基価は、好ましくは10〜40、さらに好ましくは12〜30である。水酸基価が10以上、または40以下であると、トナーとして用いた時の帯電特性に優れる。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと記載)3モル付加物686部(1.7モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物53部(0.15モル)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと記載)2モル付加物1部(3.1ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸246部(1.5モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸6部(31ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸73部(0.38モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点131℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のT(1/2)は131℃、〔Mw〕は150000、酸価は23、水酸基価は3、tanδ(190)は5.0、tanδ(140)は2.3、、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は2.2であった。
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物733部(1.9モル)、エチレングリコール11部(0.18モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸292部(1.8モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸10部(52ミリモル)および重合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸15部(78ミリモル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点125℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のT(1/2)は125℃、〔Mw〕は230000、酸価は22、水酸基価は0、tanδ(190)は7.2、tanδ(140)は1.7、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は4.2であった。
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物686部(1.7モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物34部(42ミリモル)、テレフタル酸232部(1.4モル)、無水フマル酸14部(0.12モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸82部(0.44モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点141℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のT(1/2)は141℃、〔Mw〕は130000、酸価は23、水酸基価は1、tanδ(190)は2.1、tanδ(140)は1.6、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は1.3であった。
[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物73部(0.21モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物667部(1.7モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸191部(1.2モル)、イソフタル酸56部(0.35モル)、無水トリメリット酸24部(0.12モル)、コハク酸4部(34ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸68部(0.35モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点130℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−4)とする。
ポリエステル樹脂(A−4)のT(1/2)は130℃、〔Mw〕は180000、酸価は24、水酸基価は1、tanδ(190)は5.0、tanδ(140)は1.4、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は3.6であった。
[ポリエステル樹脂(A−5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物746部(1.9モル)、エチレンングリコール1部(16ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸268部(1.8モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水トリメリット酸11部(56ミリモル)および重合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸35部(0.18モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点127℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−5)とする。
ポリエステル樹脂(A−5)のT(1/2)は126℃、〔Mw〕は210000、酸価は13、水酸基価は3、tanδ(190)は6.0、tanδ(140)は1.3、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は4.6であった。
[ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物587部(1.5モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物164部(0.47モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸262部(1.6モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸24部(0.13モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸21部(0.11モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−1)とする。
ポリエステル樹脂(B−1)のT(1/2)は112℃、〔Mw〕は31000、酸価は14、水酸基価は22、tanδ(140)は14.6、tanδ(100)は1.9、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は7.7であった。
[ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物586部(1.5モル)、ビスフェノールAのPO5モル付加物161部(0.32モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸236部(1.4モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸15部(78ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸36部(0.19モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
ポリエステル樹脂(B−2)のT(1/2)は103℃、〔Mw〕は22000、酸価は21、水酸基価は15、tanδ(140)は22.2、tanδ(100)は2.1、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は10.6であった。
[ポリエステル樹脂(B−3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物102部(0.30モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物600部(1.8モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸269部(1.6モル)、フマル酸20部(0.16モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れ、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸51部(0.27モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−3)とする。
ポリエステル樹脂(B−3)のT(1/2)は115℃、〔Mw〕は32000、酸価は28、水酸基価は14、tanδ(140)は8.3、tanδ(100)は2.0、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は4.2であった。
[ポリエステル樹脂(B−4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物29部(87ミリモル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物683部(1.7モル)、エチレングリコール9部(0.15モル)フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸264部(1.6モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、アジピン酸1部(6.8ミリモル)、無水トリメリット酸19部(99ミリモル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れ、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−4)とする。
ポリエステル樹脂(B−4)のT(1/2)は114℃、〔Mw〕は30000、酸価は30、水酸基価は11、tanδ(140)は23.5、tanδ(100)は4.6、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は5.1であった。
[ポリエステル樹脂(B−5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物118部(0.34モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物639部(1.6モル)、エチレングリコール1部(20ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸257部(1.5モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水トリメリット酸16部(85ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸24部(0.12モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−5)とする。
ポリエステル樹脂(B−5)のT(1/2)は103℃、〔Mw〕は23000、酸価は14、水酸基価は23、tanδ(140)は45.2、tanδ(100)は4.8、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は9.4であった。
[ポリエステル樹脂(RA−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物236部(0.69モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物540部(1.3モル)、フェノールノボラック(平均重合度約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸120部(0.72モル)、フマル酸73部(0.63モル)および縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸87部(0.45モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−1)とする。
ポリエステル樹脂(RA−1)のT(1/2)は161℃、〔Mw〕は110000、酸価は29、水酸基価は9、tanδ(190)は0.96、tanδ(140)は1.1、〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕は0.9であった。
[ポリエステル樹脂(RB−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物261部(0.75モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物470部(1.2モル)、エチレングリコール25部(0.40モル)、フェノールノボラック(平均重合度約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸275部(1.7モル)、イソフタル酸69部(0.42モル)、無水フタル酸1部(8.6ミリモル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れ、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(89ミリモル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB−1)とする。
ポリエステル樹脂(RB−1)のT(1/2)は軟化点111℃、〔Mw〕は22000、酸価は10、水酸基価は22、tanδ(140)は40.2、tanδ(100)は2.4、〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕は16.8であった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−5)、および比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA−1)および(RB−1)を、表1の配合比(部)に従い配合し、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)からなる本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、ポリオレフィンワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−6)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−3)を得た。
これらのトナー組成物を下記評価方法で評価した結果を表1に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
上記トナー組成物を用い、市販複写機(AR5030;シャープ製)で現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機(LBPー2160、キヤノン(株)製)の定着機を改造し熱ローラー温度を可変にした定着機を用いてプロセススピード110mm/秒で定着した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度(MFT)とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度(HOT)とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該トナー組成物のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察される。
△:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚複写後の画質に乱れが観察される。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕トナーの光沢性
上記トナー組成物を用い、市販複写機(AR−505:シャープ製)でJ紙(富士ゼロックス製)に現像した未定着画像(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)を160℃、400mm/secで定着させた。
該画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
評価基準
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
Claims (7)
- ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含有し、ポリエステル樹脂(A)の軟化点が120〜180℃、重量平均分子量が100000〜300000、140℃における損失正接〔tanδ(140)〕と190℃における損失正接〔tanδ(190)〕が下記式(1)を満たし、ポリエステル樹脂(B)の軟化点が90℃以上120℃未満、重量平均分子量が20000〜40000、100℃における損失正接〔tanδ(100)〕と140℃における損失正接〔tanδ(140)〕が下記式(2)を満たすトナーバインダー。
1.0≦〔tanδ(190)〕/〔tanδ(140)〕≦5.0 ・・・式(1)
3.0≦〔tanδ(140)〕/〔tanδ(100)〕≦15.0・・・式(2) - ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が、ポリカルボン酸成分(x)中に芳香族ポリカルボン酸を90モル%以上、ポリオール成分(y)中にビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルを90モル%以上含有する請求項1記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が、ポリオール成分(y)中にビスフェノール類のポリオキシプロピレンエーテルを70モル%以上含有する請求項1または2記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)および/またはポリエステル樹脂(B)が、ポリカルボン酸成分(x)中にさらに炭素数4〜8のアルカンジカルボン酸および/またはアルケンジカルボン酸を0.1〜10モル%含有する請求項2または3記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が、ポリオール成分(y)中にさらにノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルを0.02〜10モル%含有する請求項2〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量比[(A)/(B)]が、(10〜90)/(90〜10)である請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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