JP5616915B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーからなるトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、軟化温度が高いため、トナーの定着下限温度を下げることができず、低温定着性が充分ではないという課題がある。また、トナー化時の粘度低下も大きく、生産安定性も低いものであった。
すなわち本発明は、下記3発明である。
(I) ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポ
リエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含有し、(A)の含有する水分量が7
000〜10000ppmであり、(B)の含有する水分量が10000ppm以下であ
るトナーバインダーであって、ポリエステル樹脂(A)のTHF不溶解分が10〜30重量%であり、ポリエステル樹脂(B)のTHF不溶解分が0〜5重量%であるトナーバインダー。
(II) このトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、
および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
(III) ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を重縮合反応させるポ
リエステル樹脂の製造方法であり、(x)と(y)を150〜280℃で、常圧反応させ
た後に減圧反応させ、減圧反応時もしくは反応終了後に水を添加し、含有する水分量が7
000〜10000ppmのポリエステル樹脂(A)であって、THF不溶解分が10〜30重量%である(A)を製造する工程を含むトナーバインダー用ポリエステル樹脂の製造方法。
本発明のトナーバインダーは、ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を含有する。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
これらのうち好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
なお、ポリカルボン酸成分(x)中に、必要により、少量の炭素数7〜14の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)を用いてもよい。
また、(A)と(B)が、ポリカルボン酸成分(x)中に、さらに炭素数4〜8のアルカンジカルボン酸および/またはアルケンジカルボン酸を0.1〜10モル%含有するのが好ましく、好ましくは0.2〜9モル%、さらに好ましくは0.2〜8モル%である。炭素数4〜8のアルケンジカルボン酸の含有量が0.1モル%以上であると、保存安定性がより良好となり、10モル%以下であると、カラートナーに使用した場合に透明性が良好になる。
ジオールとしては、芳香族ジオールおよび脂肪族ジオールが挙げられ、芳香族ジオールの具体例としては、2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)、以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数2〜30〕;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテルであり、さらに好ましくはビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル、ビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテルである。
これらのうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、炭素数2〜6のアルキレングリコールが好ましい。
これらのうち好ましくは、ノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルである。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
<軟化点〔T(1/2)〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔T(1/2)〕とする。
また、(A)の水酸基価は、好ましくは0〜30(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜25である。水酸基価が30以下であると、環境安定性が低下しない。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置:東洋精機(株)製 ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件:130℃、70rpmにて30分
これらの方法の中では、水分調整が容易なことから、水分調整工程を設ける方法(常圧反応後の減圧反応時もしくは反応終了後に水を添加する方法、および重縮合反応終了後に脱水工程を加える方法)であり、さらに好ましくは、常圧反応後の減圧反応時もしくは反応終了後に水を添加する方法であり、とくに好ましくは、安定した物性の水分調整されたポリエステル樹脂(A)が得られることから、常圧反応後の減圧反応時(特に減圧反応末期)に水を添加する方法である。
また、(B)の水酸基価は、好ましくは10〜40、さらに好ましくは15〜35である。水酸基価がこの範囲内であると、環境安定性が低下しない。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと記載)3モル付加物663部(1.6モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルエチレンオキサイド(以下、EOと記載)付加物32部(40ミリモル)、テレフタル酸211部(1.3モル)、無水フマル酸13部(0.11モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸78部(0.41モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で2時間反応させ、イオン交換水0.33部(18ミリモル)をさらに追加し、軟化点134℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のT(1/2)は134℃、THF不溶解分は20%、酸価は32、水酸基価は12、水分量は7300ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール813部(11モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、テレフタル酸684部(4.1モル)、イソフタル酸1部(6.0ミリモル)、アジピン酸56部(0.38モル)、無水トリメリット酸18部(94ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸42部(0.22モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で5時間反応させ、さらに2.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点137℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のT(1/2)は137℃、THF不溶解分は16%、酸価は24、水酸基価は2、水分量は8700ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール349部(5.6モル)、ネオペンチルグリコール251部(2.4モル)、テレフタル酸398部(2.4モル)、イソフタル酸267部(1.6モル)、アジピン酸1部(9.6ミリモル)、安息香酸38部(0.31モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて2時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸60部(0.31モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で5時間反応させ、さらに2.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点145℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のT(1/2)は145℃、THF不溶解分は23%、酸価は15、水酸基価は15、水分量は8300ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール466部(7.5モル)、ネオペンチルグリコール230部(2.2モル)、テレフタル酸371部(2.2モル)、イソフタル酸247部(1.5モル)、アジピン酸1部(9.6ミリモル)、安息香酸40部(0.35モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて2時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸120部(0.62モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で2時間反応させ、イオン交換水0.10部(5.6ミリモル)をさらに追加し、軟化点134℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−4)とする。
ポリエステル樹脂(A−4)のT(1/2)は143℃、THF不溶解分は23%、酸価は33、水酸基価は2、水分量は7200ppmであった。
[ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物329部(0.95モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物429部(1.1モル)、テレフタル酸282部(1.7モル)、フマル酸2部(16ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部(0.10モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−1)とする。
ポリエステル樹脂(B−1)のT(1/2)は104℃、THF不溶解分は1%、酸価は12、水酸基価は28、水分量は6100ppmであった。
[ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物407部(1.2モル)、ビスフェノールAのEO2モル付加物313部(0.96モル)、テレフタル酸286部(1.7モル)、無水マレイン酸2部(19ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
ポリエステル樹脂(B−2)のT(1/2)は111℃、THF不溶解分は0%、酸価は31、水酸基価は30、水分量は7400ppmであった。
[ポリエステル樹脂(B−3)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール473部(7.6モル)、ネオペンチルグリコール142部(1.4モル)、テレフタル酸377部(2.3モル)、イソフタル酸377部(2.3モル)、アジピン酸1部(9.7ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて2時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸56部(0.29モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−3)とする。
ポリエステル樹脂(B−3)のT(1/2)は110℃、THF不溶解分は0%、酸価は32、水酸基価は20、水分量は8900ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RA−1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物204部(0.59モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物523部(1.3モル)、フェノールノボラック(平均重合度約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸227部(1.4モル)、フマル酸16部(0.14モル)および縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸82部(0.43モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点147℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−1)とする。
ポリエステル樹脂(RA−1)のT(1/2)は142℃、THF不溶解分は15%、酸価は34、水酸基価は8、水分量は5200ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RA−2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物663部(1.6モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物32部(40ミリモル)、テレフタル酸211部(1.3モル)、無水フマル酸13部(0.11モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸78部(0.41モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で2時間反応させ、イオン交換水3部(0.19モル)をさらに追加し、軟化点127℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−2)とする。
ポリエステル樹脂(RA−2)のT(1/2)は127℃、THF不溶解分は25%、酸価は35、水酸基価は20、水分量は10700ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RB−1)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール600部(9.7モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、テレフタル酸481部(2.9モル)、イソフタル酸321部(1.9モル)、アジピン酸1部(9.6ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて2時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸57部(0.30モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB−1)とする。
ポリエステル樹脂(RB−1)のT(1/2)は110℃、THF不溶解分0%、酸価は33、水酸基価は22、水分量は12000ppmであった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A−1)〜(A−4)、(B−1)〜(B−3)、および比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA−1)、(RA−2)および(RB−1)を、表1の配合比(部)に従い配合し、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)からなる本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、ポリオレフィンワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、ラボプラストミルMODEL4M150[東洋精機(株)製]で150℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−5)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−4)を得た。
これらのトナー組成物を下記評価方法で評価した結果を表1に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
上記トナー組成物を用い、市販複写機(AR5030;シャープ製)で現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機(LBPー2160、キヤノン(株)製)の定着機を改造し熱ローラー温度を可変にした定着機を用いてプロセススピード110mm/秒で定着した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度(MFT)とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度(HOT)とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該トナー組成物のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察される。
△:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚複写後の画質に乱れが観察される。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕トナー化時の生産安定性
上記トナー組成物を製造する際、式(1)で表されるトルク変化量から以下のように判断した。
トルク変化量=(混練開始10分後のトルク)/(混練開始直後のトルク)・・式(1)
判定基準
◎:0.90以上
○:0.80以上0.90未満
△:0.70以上0.80未満
×:0.70未満
Claims (9)
- ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含有し、(A)の含有する水分量が7000〜10000ppmであり、(B)の含有する水分量が10000ppm以下であるトナーバインダーであって、ポリエステル樹脂(A)のTHF不溶解分が10〜30重量%であり、ポリエステル樹脂(B)のTHF不溶解分が0〜5重量%であるトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が、ポリカルボン酸成分(x)中に芳香族ポリカルボン酸を90モル%以上含有する請求項1記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)が、ポリカルボン酸成分(x)中に炭素数4〜8のアルカンジカルボン酸および/またはアルケンジカルボン酸を0.1〜10モル%含有する請求項1または2記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)の軟化点が120℃以上150℃以下、酸価が10〜40、水酸基価が0〜30である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(B)の軟化点が90℃以上120℃未満、酸価が5〜50、水酸基価が10〜40である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)が、重縮合ポリエステル樹脂が水分調整されて得られたものである請求項1〜5いずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量比[(A)/(B)]が、(10〜90)/(90〜10)である請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜7のいずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
- ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を重縮合反応させるポリエステル樹脂の製造方法であり、(x)と(y)を150〜280℃で、常圧反応させた後に減圧反応させ、減圧反応時もしくは反応終了後に水を添加し、含有する水分量が7000〜10000ppmのポリエステル樹脂(A)であって、THF不溶解分が10〜30重量%である(A)を製造する工程を含むトナーバインダー用ポリエステル樹脂の製造方法。
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