JP2011227161A - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents

トナーバインダーおよびトナー組成物 Download PDF

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浩 久保田
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Abstract

【課題】 保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)に優れたトナーバインダーの提供。
【解決手段】 ポリカルボン酸成分(a)とジオール成分(b)、ならびに3価以上のポリオール成分(c)および/またはエポキシ化合物(d)を構成単位として有し、(a)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)を合計で80モル%以上、(b)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(b1)を80モル%以上、(c)がノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(c1)をそれぞれ含有し、(d)が特定組成のエポキシ化合物であるポリエステル樹脂(X)と、必要により線形ポリエステル樹脂(Y)とで構成されるポリエステル樹脂(P)を含有し、(X)の150℃における貯蔵弾性率〔G’150〕が20000(dyn/cm2)以上であるトナーバインダー。
【選択図】 なし

Description

本発明はトナーバインダーおよびトナー組成物に関する。
複写機、プリンター等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーは、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、保存安定性が要求されている。
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーからなるトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、近年、保存安定性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)の要望がますます高まっており、なお不十分であった。
特開平12−75549号公報
本発明の目的は、保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)に優れたトナーバインダーおよびトナーを提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記2発明である。
(I) ポリカルボン酸成分(a)とジオール成分(b)、ならびに3価以上のポリオール成分(c)および/またはエポキシ化合物(d)を構成単位として有し、(a)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)を合計で80モル%以上含有し、(b)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(b1)を80モル%以上含有し、(c)がノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(c1)を含有し、(d)がノボラック型エポキシ樹脂、および、エピービス型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物であるポリエステル樹脂(X)と、必要により線形ポリエステル樹脂(Y)とで構成されるポリエステル樹脂(P)を含有し、ポリエステル樹脂(X)の150℃における貯蔵弾性率〔G’150〕が20000(dyn/cm2)以上であるトナーバインダー。
(II) このトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明により、保存安定性、および低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)のいずれにも優れたトナーバインダー、およびトナーを提供することが可能となった。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(X)と、必要により線形ポリエステル樹脂(Y)とで構成されるポリエステル樹脂(P)を含有する。
本発明におけるポリエステル樹脂(X)は、ポリカルボン酸成分(a)とジオール成分(b)、ならびに3価以上のポリオール成分(c)および/またはエポキシ化合物(d)を構成単位として有するポリエステル樹脂である。(X)は、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立(定着温度幅を広く)させる観点から、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)が合計で80モル%以上含有されたポリカルボン酸成分(a)と、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(b1)が80モル%以上含有されたジオール成分(b)、ならびにノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルを含有する3価以上のポリオール成分(c)および/またはノボラック型エポキシ樹脂、および、エピ−ビス型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物(d)を構成単位とする。
芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等);およびこれらのエステル形成性誘導体;等から選ばれる2種以上が挙げられる。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)において、芳香族ジカルボン酸とその同一ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、1種として数える。
これら(a1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=3/7〜7/3であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=3/7〜7/3である。
(a1)以外のポリカルボン酸成分(a)としては、(a1)以外のジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸(a2)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分(a)のうち、(a1)以外のジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸)およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
3価以上(好ましくは3〜6価)のポリカルボン酸(a2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸、およびデカントリカルボン酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
なお、ポリカルボン酸成分(a)中に、必要により、少量の炭素数7〜14の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)を用いてもよい。
ポリカルボン酸成分(a)中の(a1)の量は、80モル%以上であり、好ましくは83モル%以上、さらに好ましくは85〜98モル%である。
また、(a)中の(a2)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは17モル%以下、とくに好ましくは2〜15モル%である。
ジオール成分(b)に用いられる炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(b1)としては、炭素数2〜10のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等);炭素数4〜10のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等);等が挙げられる。
これら(b1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、分子末端に1級水酸基を有する分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
(b1)以外のジオール成分(b)としては、炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)、以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ジオール成分(b)中の(b1)の量〔重縮合反応中に系外に留去されるものは除く、以下同様。〕は、80モル%以上であり、好ましくは83モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である。
3価以上のポリオール成分(c)は、ノボラック型樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)(c1)を含有する。ノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルは、通常ノボラック型樹脂のアルキレンオキサイド付加物として得られ、ノボラック型樹脂としては、フェノール類(フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基および/またはハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノール、その混合物などであり、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールが好ましい)とアルデヒド類(ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなど)との重縮合により製造されるもの(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、など)が挙げられる。上記アルキレンオキサイドの具体例としてはエチレンオキサイド(以下、EOと表記)、プロピレンオキサイド(以下、POと表記)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイドなどを挙げることができる。ノボラック型樹脂中のフェノール性水酸基1個に対するアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、通常0.5〜10モル、好ましくは0.7〜5モル、さらに好ましくは0.8〜3モルである。
ノボラック型樹脂以外のポリオール成分(c)としては、炭素数3〜36の3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましくは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコールである。
3価以上のポリオール成分(c)を用いる場合、(c)中のノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(c1)の量は、好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは83モル%以上、とくに好ましくは85モル%以上である。
エポキシ化合物(d)は、ノボラック型エポキシ樹脂、および、エピ−ビス型エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である。ノボラック型エポキシ樹脂、エピ−ビス型エポキシ樹脂の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂との反応により得られた樹脂が挙げられ、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の代表的な商品として、エピコート152、154(油化シェルエポキシ社製)、EPPN−201(日本化薬社製)、エピクロンN−740(大日本インキ化学工業社製)、等として得ることができ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代表的な商品として、エピクロンN−670、N−680(大日本インキ化学工業社製)、EOCN−1020(日本化薬社製)、等として得ることができる。エピ−ビス型エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAまたはビスフェノールFとの反応により得られた樹脂が挙げられ、代表的な商品として、エピコート828、1001、1004(油化シェルエポキシ社製)等として得ることができる。
ポリエステル樹脂(X)の構成単位における、ポリカルボン酸成分(a)、ジオール成分(b)、3価以上のポリオール成分(c)、およびエポキシ化合物(d)の合計量に対する、(c)と(d)の合計含有量は、0.2〜5モル%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜4モル%、特に好ましくは0.4〜3モル%である。
本発明におけるポリエステル樹脂(X)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、ポリカルボン酸成分(a)とジオール成分(b)と必要により3価以上のポリオール成分(c)とを、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは170〜260℃、とくに好ましくは190〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ジオール成分(b)および必要により用いる3価以上のポリオール成分(c)と、ポリカルボン酸成分(a)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
エポキシ化合物(d)を用いる場合、例えば、上記の製造方法で得られたポリエステル樹脂にエポキシ化合物(d)を加え、160〜260℃でポリエステルの分子伸長反応を行う方法が挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(X)の酸価は、好ましくは0〜60(mgKOH/g、以下同じ)さらに好ましくは0〜40である。である。酸価が60以下であるとトナー化時の帯電特性が低下しない。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
ポリエステル樹脂(X)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、2000〜20000が好ましく、さらに好ましくは3000〜15000、とくに好ましくは4000〜13000である。
本発明において、ポリエステル樹脂の分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
本発明に用いるポリエステル樹脂(X)のガラス転移温度(Tg)は、定着性、保存性および耐久性等の観点から、30〜75℃が好ましく、さらに好ましくは40〜72℃、特に好ましくは50〜70℃である。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
(X)のフロー軟化点〔Tm〕は、120〜170℃が好ましく、さらに好ましくは125〜160℃、とくに好ましくは130〜155℃である。この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<フロー軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
本発明に用いる、ポリエステル樹脂(X)は、トナー化時の耐ホットオフセット性の観点から、150℃における貯蔵弾性率〔G’150〕が20000(dyn/cm2)以上であることが好ましい。〔G’150〕はさらに好ましくは、24000〜100000(dyn/cm2)である。
ポリエステル樹脂(X)の貯蔵弾性率〔G’150〕を調整するには、例えば、〔G’150〕を大きくする場合、ポリエステル樹脂(X)のTmを上げる、分子量を大きくする、またはTgを高くする等で達成できる。
本発明において、ポリエステル樹脂の貯蔵弾性率(G’)は、下記粘弾性測定装置を用いて測定される。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
本発明のトナーバインダーに含有されるポリエステル樹脂(P)は、ポリエステル樹脂(X)と共に、必要により線形ポリエステル樹脂(Y)を含有してもよい。(Y)は、(X)以外のポリエステル樹脂であり、前記ポリカルボン酸成分(a)(好ましくはジカルボン酸)と前記ジオール成分(b)とを重縮合させることにより得られるが、さらに、分子末端をポリカルボン酸成分(a)中の酸無水物等で変性したものであってもよい。これらの中では、分子末端をトリメリット酸、フタル酸、マレイン酸、またはコハク酸の無水物で変性したものが好ましい。
ジオール成分(b)とポリカルボン酸成分(a)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは3/1〜1/3、さらに好ましくは2.5/1〜1/2.5、とくに好ましくは2/1〜1/2である。
線形ポリエステル樹脂(Y)を構成するジオール成分(b)は、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)および/または炭素数2〜36のアルキレングリコールを含有するのが好ましい。さらに好ましいものは、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2および/または3、AO単位の数2〜8)、および炭素数2〜12のアルキレングリコール(とくにエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール)である。
線形ポリエステル樹脂(Y)の酸価は、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜80、とくに好ましくは2〜60である。酸価が1以上であるとトナー化時の低温定着性が良好であり、100以下であるとトナー化時の帯電特性が低下しない。
また、(Y)の水酸基価は、好ましくは10〜125、さらに好ましくは20〜100である。水酸基価が125以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
線形ポリエステル樹脂(Y)のMpは、好ましくは1000〜15000、さらに好ましくは1500〜12000である。Mpが1000以上であると定着に必要な樹脂強度が発現し、15000以下であるとトナー化時の低温定着性が良好である。
(Y)のガラス転移温度〔Tg〕は、好ましくは45℃〜75℃であり、さらに好ましくは50℃〜70℃である。Tgが75℃以下であるとトナー化時の低温定着性が向上する。またTgが45℃以上であるとトナー化時の耐ブロッキング性が良好である。
(Y)のフロー軟化点〔Tm〕は、70〜120℃が好ましく、さらに好ましくは75〜110℃、特に好ましくは80〜100℃である。この範囲では耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。
線形ポリエステル樹脂(Y)中のTHF不溶解分は、トナー化時の低温定着性の点から、5重量%以下が好ましい。さらに好ましくは4重量%以下、とくに好ましくは3重量%以下である。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
本発明のトナーバインダー中のポリエステル樹脂(P)を構成する、ポリエステル樹脂(X)と必要により用いる線形ポリエステル樹脂(Y)の、(X)と(Y)の合計を100としたときの重量比〔(X)/(Y)〕は、トナー化時の耐ホットオフセット性と低温定着性のバランスの点から、好ましくは10/90〜100/0であり、さらに好ましくは15/85〜90/10、とくに好ましくは20/80〜80/20である。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(P)以外に、その特性を損なわない範囲で、トナーバインダーとして通常用いられる他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、Mpが1000〜100万のスチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂にビニル樹脂がグラフトした構造を有する樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。他の樹脂は、(X)および(Y)とブレンドしてもよいし、一部反応させてもよい。他の樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
本発明のトナーバインダーにおいて、ポリエステル樹脂(X)と線形ポリエステル樹脂(Y)等、2種以上の樹脂を用いる場合のそれらの混合方法は特に限定されず、通常行われる公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
本発明のトナー組成物は、本発明のトナーバインダーと、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フロー軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナー組成物の組成比は、トナー重量に基づき(本項の%は重量%である。)、本発明のトナーバインダーが、好ましくは30〜97%、さらに好ましくは40〜95%、とくに好ましくは45〜92%;着色剤が、好ましくは0.05〜60%、さらに好ましくは0.1〜55%、とくに好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜10%;荷電制御剤が、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜10%、とくに好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%、とくに好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、さらに好ましくは4〜58%、とくに好ましくは5〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる
以下実施例、比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、%は重量%、モルはモル部を示す。
製造例1
[ポリエステル樹脂(X−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸480部(2.9モル)、イソフタル酸320部(1.9モル)、エチレングリコール600部(9.7モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、1,6−ヘキサンジオール1部(8.5ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.5)のPO5.5モル付加物60部(74ミリモル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸53部(0.28モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、さらにエピコート154(油化シェルエポキシ製)8部(2.3ミリモル)を加えた後、減圧下反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは283部(4.6モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(X−1)とする。
ポリエステル樹脂(X−1)のTgは63℃、Tmは151℃、Mpは9400、酸価は14、〔G’150〕は82900(dyn/cm2)であった。
製造例2
[ポリエステル樹脂(X−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸410部(2.4モル)、イソフタル酸410部(2.4モル)、エチレングリコール610部(9.8モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、1,6−ヘキサンジオール1部(8.5ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.5)のPO5.5モル付加物60部(74ミリモル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸36部(0.18モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、さらにEOCN−1020(日本化薬社製)7部(7.2ミリモル)を加えた後、減圧下反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは330部(5.3モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(X−2)とする。
ポリエステル樹脂(X−2)のTgは58℃、Tmは154℃、Mpは7100、酸価は6、〔G’150〕は32700(dyn/cm2)であった。
製造例3
[ポリエステル樹脂(X−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸400部(2.4モル)、イソフタル酸400部(2.4モル)、アジピン酸11部(75ミリモル)、エチレングリコール590部(9.5モル)、ネオペンチルグリコール75部(0.72モル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸48部(0.25モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、さらにエピコート828(油化シェル社製)15部(39ミリモル)を加えた後、減圧下反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは318部(5.1モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(X−3)とする。
ポリエステル樹脂(X−3)のTgは62℃、Tmは151℃、Mpは7700、酸価は9、〔G’150〕は72300(dyn/cm2)であった。
製造例4
[ポリエステル樹脂(X−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸370部(2.2モル)、イソフタル酸370部(2.2モル)、アジピン酸1部(6.8ミリモル)、エチレングリコール590部(9.5モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.5)のPO5.5モル付加物80部(99ミリモル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸34部(0.18モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは286部(4.6モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(X−4)とする。
ポリエステル樹脂(X−4)のTgは63℃、Tmは141℃、Mpは12500、酸価は1、〔G’150〕は24700(dyn/cm2)であった。
[ポリエステル樹脂(X−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸407部(2.4モル)、イソフタル酸407部(2.4モル)、安息香酸15部(0.12モル)、エチレングリコール608部(9.8モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、1,6−ヘキサンジオール1部(8.5ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.5)のPO5.5モル付加物80部(99ミリモル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。次いで、エピコート828(油化シェル社製)25部(66ミリモル)を加えた後、減圧下反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは290部(4.7モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(X−5)とする。
ポリエステル樹脂(X−5)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは9000、酸価は3、〔G’150〕は41900(dyn/cm2)であった。
製造例6
[線形ポリエステル樹脂(Y−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸299部(1.8モル)、ビスフェノールAのEO2モル付加物766部(2.4モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、所定の粘度になった時点で、取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(Y−1)とする。
線形ポリエステル樹脂(Y−1)のTgは62℃、Tmは94℃、Mpは3500、酸価は2であった。
製造例7
[線形ポリエステル樹脂(Y−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸230部(1.4モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物820部(2.4モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸128部(0.67モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(Y−2)とする。
線形ポリエステル樹脂(Y−2)のTgは61℃、Tmは93℃、Mpは2000、酸価は58であった。
比較製造例1
[ポリエステル樹脂(RX−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸210部(1.3モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物66部(1.3モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物340部(0.84モル)、ビスフェノールAのEO2モル付加物95部(0.30モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約4.4)のPO4.5モル付加物45部(56ミリモル)、およびジブチルチンオキサイド2部を入れて220℃でポリエステル化反応をさせた。さらにエピコート154(油化シェルエポキシ社製)8部(2.3ミリモル)を加えた後、さらに減圧下で反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RX−1)とする。
ポリエステル樹脂(RX−1)のTgは56℃、Tmは138℃、Mpは5600、酸価は3、〔G’150〕は27300(dyn/cm2)であった。
比較製造例2
[ポリエステル樹脂(RX−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸205部(1.2モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物190部(0.54モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物60部(0.15モル)、ビスフェノールAのEO2モル付加物250部(0.79モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.5)のPO5.5モル付加物60部(74ミリモル)、およびジブチルチンオキサイド2部を入れて220℃でポリエステル化反応をさせた。さらにEOCN−1020(日本化薬社製)7部(7.2ミリモル)を加えた後、さらに減圧下で反応を進め、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RX−2)とする。
ポリエステル樹脂(RX−2)のTgは65℃、Tmは151℃、Mpは10400、酸価は4、〔G’150〕は41400(dyn/cm2)であった。
比較製造例3
[ポリエステル樹脂(RX−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸412部(2.5モル)、イソフタル酸412部(2.5モル)、エチレングリコール608部(9.8モル)、および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸36部(0.19モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点に到達した時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは302部(4.9モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RX−3)とする。
ポリエステル樹脂(RX−3)のTgは58℃、Tmは147℃、Mpは7800、酸価は5、〔G’150〕は27600(dyn/cm2)であった。
<実施例1〜6>、<比較例1〜3>
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(X−1)〜(X−5)、(Y−1)〜(Y−2)、および比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RX−1)〜(RX−3)を表1の配合比(部)に従い配合し、ポリエステル樹脂(P)からなる本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、カルナバワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−6)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−3)を得た。
これらのトナー組成物を下記評価方法で評価した結果を表1に示す。
Figure 2011227161
[評価方法]
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
本発明のトナー組成物およびトナーバインダーは、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)、耐ブロッキング性に優れる、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーおよびトナーバインダーとして有用である。

Claims (7)

  1. ポリカルボン酸成分(a)とジオール成分(b)、ならびに3価以上のポリオール成分(c)および/またはエポキシ化合物(d)を構成単位として有し、(a)が芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(a1)を合計で80モル%以上含有し、(b)が炭素数2〜10の脂肪族ジオール(b1)を80モル%以上含有し、(c)がノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(c1)を含有し、(d)がノボラック型エポキシ樹脂、および、エピービス型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物であるポリエステル樹脂(X)と、必要により線形ポリエステル樹脂(Y)とで構成されるポリエステル樹脂(P)を含有し、ポリエステル樹脂(X)の150℃における貯蔵弾性率〔G’150〕が20000(dyn/cm2)以上であるトナーバインダー。
  2. ポリエステル樹脂(X)を構成するジカルボン酸(a1)が、下記(1)〜(3)から選ばれる2種以上である請求項1記載のトナーバインダー。
    (1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
    (2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
    (3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
  3. ポリエステル樹脂(X)のTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が2000〜20000である請求項1または2記載のトナーバインダー。
  4. ポリエステル樹脂(X)のガラス転移温度(Tg)が30〜75℃であり、軟化点が120〜170℃である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
  5. 線形ポリエステル樹脂(Y)のTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が1000〜15000である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
  6. ポリエステル樹脂(X)と線形ポリエステル樹脂(Y)の合計を100とした時の(X)と(Y)の重量比[(X)/(Y)]が、(10〜100)/(90〜0)である請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダー。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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