JP2007199738A - トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物 - Google Patents

トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007199738A
JP2007199738A JP2007110455A JP2007110455A JP2007199738A JP 2007199738 A JP2007199738 A JP 2007199738A JP 2007110455 A JP2007110455 A JP 2007110455A JP 2007110455 A JP2007110455 A JP 2007110455A JP 2007199738 A JP2007199738 A JP 2007199738A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
acid
toner
polyester resin
bisphenol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007110455A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kishiki
博志 岸木
Naoki Takase
直樹 高瀬
Shuji Yamada
修司 山田
Tatsuyoshi Ishii
辰欣 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Chemical Industries Ltd filed Critical Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority to JP2007110455A priority Critical patent/JP2007199738A/ja
Publication of JP2007199738A publication Critical patent/JP2007199738A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 低温定着性、耐ホットオフセット性に優れ、かつ現像性とトナーの流動性の良好なトナーバインダー用樹脂を開発する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂からなるトナーバインダー用樹脂において、示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に存在する吸熱ピークの吸熱量(Q)とガラス転移温度(Tg)から下式(I)により求められるLの値が1〜30であるポリエステル樹脂(C)を25〜100重量%、及び(C)以外のポリエステル樹脂(D)を0〜75重量%含有することを特徴とするトナーバインダー用樹脂。
L=(Q×100)/(100−Tg) (I)
[但し、Qの単位はmJ/mg、Tgの単位は℃]
【選択図】 図1

Description

本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる静電荷像現像用のトナーバインダー用ポリエステル樹脂、及びそれを用いたトナー組成物に関する。
静電荷像現像用トナーに用いられるトナーバインダーには、熱ロール温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)と、高い熱ロール温度でもトナーが熱ロールに融着しないこと(耐ホットオフセット性)という相反する性能を満たすことが求められている。
ポリエステル系トナーバインダー用樹脂の低温定着性と耐ホットオフセット性の向上を狙ったものとして、分子量分布の異なる2種のポリエステルを混合する方法が多数提案されている(たとえば特許文献1)。これらは、分子量分布の異なる2種のポリエステルを、低温定着性を満たすための低粘度ポリエステルと耐ホットオフセット性を満たすための高粘度ポリエステルとして使用している。近年、省エネルギー化の観点から、従来より一層の低温定着性が求められるとともに、複写機等の装置の小型化の観点から、より一層の耐ホットオフセット性が求められている。
特開2001−265056号公報
低温定着性と耐ホットオフセット性のさらなる改良のため、2種のポリエステルの粘度差を更に拡大する手法をとると、2種のポリエステルの混合性が低下し、現像性悪化の原因となる。また、離型剤の使用量を増やすと、トナーの流動性が低下し、トナーの耐久性に悪影響を及ぼす。
本発明者らは、低温定着性、耐ホットオフセット性に優れ、かつ現像性とトナーの流動性の良好なトナーバインダー用樹脂を開発すべく鋭意検討した結果、<1>特定組成の2種のポリエステル樹脂を併用する、及び/又は、<2>DSC曲線における吸熱ピークの吸熱量とガラス転移温度から求められるL値が特定範囲にある樹脂を用いる、ことにより上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記3発明(第2、第3、および第5発明)である。〔第1発明、第4発明、および第3発明のうち第1発明を引用するものは、参考発明である。〕
〔第1発明〕 2種のポリエステル樹脂(A)と(B)からなるトナーバインダー用樹脂において、(A)が架橋ポリエステル樹脂(a)とポリエポキサイド(c)の反応物からなる架橋変性ポリエステル樹脂であり、(B)が線状ポリエステル樹脂(b)と酸無水物(r)の反応物からなる線状酸無水物変性ポリエステル樹脂であることを特徴とするトナーバインダー用樹脂。
〔第2発明〕 ポリエステル樹脂からなるトナーバインダー用樹脂において、示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に存在する吸熱ピークの吸熱量(Q)とガラス転移温度(Tg)から下式(I)により求められるLの値が1〜30であるポリエステル樹脂(C)を25〜100重量%、及び(C)以外のポリエステル樹脂(D)を0〜75重量%含有することを特徴とするトナーバインダー用樹脂。
L=(Q×100)/(100−Tg) (I)
[但し、Qの単位はmJ/mg、Tgの単位は℃]
〔第3発明〕 第1発明又は第2発明のトナーバインダー用樹脂と、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス及びポリオレフィンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の離型剤を含有するトナーバインダー用樹脂組成物。
〔第4発明〕 2種のポリエステル樹脂(A)と(B)からなるトナーバインダー用樹脂、着色剤、並びに、必要により離型剤及び荷電制御剤から選ばれる1種以上、からなるトナー組成物において、トナーバインダー用樹脂が第1発明のポリエステル樹脂であることを特徴とするトナー組成物。
〔第5発明〕 ポリエステル樹脂からなるトナーバインダー用樹脂、着色剤、並びに、必要により離型剤及び荷電制御剤から選ばれる1種以上、からなるトナー組成物において、トナーバインダー用樹脂が第2発明のポリエステル樹脂であることを特徴とするトナー組成物。
本発明のトナーバインダー用樹脂は以下の効果を奏する。
1.現像性に優れる。
2.トナー流動性に優れる
3.低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
4.顔料分散性にも優れる。
以下、本発明を詳述する。
第1発明(参考発明)のトナーバインダー用樹脂は、架橋変性ポリエステル樹脂(A)と線状酸無水物変性ポリエステル樹脂(B)を必須成分として含有するものである。(A)と(B)はそれぞれ2種以上を併用してもよい。(A)と(B)を含有することで、低温定着性と耐ホットオフセット性が向上し、かつ良好な現像性が得られる。
架橋変性ポリエステル樹脂(A)は架橋ポリエステル樹脂(a)とポリエポキサイド(c)の反応物である。架橋ポリエステル樹脂(a)としては、ジカルボン酸(p1)及びジオール(q1)と共に、3価以上のポリカルボン酸(p2)及び/又は3価以上のポリオール(q2)、を反応させて得られる重縮合物が好ましい。また、線状酸無水物変性ポリエステル樹脂(B)はジカルボン酸(p1)とジオール(q1)を反応させて得られる線状ポリエステル樹脂(b)に、更に酸無水物(r)を反応させて得られる。
ジカルボン酸(p1)としては、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、及びダイマー酸等);炭素数4〜50のアルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、及びフマル酸等);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸等);などが挙げられる。
また、これらは2種以上を併用しても何ら問題ない。なお、(p1)としては上述のものの酸無水物又は低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましくは、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用であり、特に好ましくはテレフタル酸である。
ジオール(q1)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びドデカンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド[エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜8のα−オレフィンオキサイド等:以下AOと略記]付加物(付加モル数2〜30);及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールS等)のAO付加物(付加モル数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜30)、炭素数6〜24の脂環式ジオール、及びこれらの併用であり、更に好ましいものは、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜8)、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールの併用である。
3価以上のポリカルボン酸(p2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等);不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
なお、(p2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸、無水トリメリット酸及びピロメリット酸である。
3価以上のポリオール(q2)としては、炭素数3〜36の3価〜8価若しくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等);上記脂肪族多価アルコールのAO付加物(付加モル数2〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等:平均重合度3〜60)のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数3〜36の3〜8価若しくはそれ以上の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30)であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30)である。
また、(p1)、(q1)、(p2)及び(q2)と共に炭素数3〜36のヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシステアリン酸及び硬化ヒマシ油脂肪酸等)を共重合することもできる。
架橋ポリエステル樹脂(a)と反応させるポリエポキサイド(c)としては、ポリグリシジルエーテル〔エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック(平均重合度3〜60)グリシジルエーテル化物など〕;炭素数5〜30のジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。これらの中で好ましくは、ポリグリシジルエーテルであり、更に好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
(c)の1分子当たりのエポキシ基数は、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜4である。
(c)のエポキシ当量は、好ましくは50〜500(g/eq、以下同じ)である。下限は、更に好ましく70、特に好ましくは80であり、上限は、更に好ましく300、特に好ましくは200である。エポキシ基数とエポキシ当量が上記範囲内であると、現像性と定着性が共に良好である。上述の1分子当たりのエポキシ基数及びエポキシ当量の範囲を同時に満たせば更に好ましい。
(a)と(c)を反応させて伸長及び/又は架橋することで、高分子量化が容易になり、耐ホットオフセット性を改良することができる。
また、線状酸無水物変性ポリエステル樹脂(B)に用いる酸無水物(r)としては、炭素数8〜36の芳香族ポリカルボン酸無水物(無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸無水物など);炭素数4〜50の脂肪族ポリカルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸など);などが挙げられる。
これらの中で好ましいものは、炭素数8〜24の芳香族ジカルボン酸無水物であり、更に好ましくは無水トリメリット酸である。
第1発明(参考発明)において、架橋変性ポリエステル樹脂(A)における、ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
3価以上のポリカルボン酸(p2)及び3価以上のポリオール(q2)の比率は、(p2)と(q2)のモル数の和が、(p1)、(p2)、(q1)及び(q2)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、更に好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは3〜20モル%、最も好ましくは5〜15モル%である。
また、3価以上の成分としては(p2)と(q2)の併用が好ましく、とりわけ3価以上の芳香族ポリカルボン酸とノボラック樹脂のAO付加物の併用が耐ホットオフセット性と低温定着性が向上する点で好ましい。
(A)の製造方法としては特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
ジカルボン酸(p1)、ジオール(q1)、及び3価以上のポリオール(q2)を、窒素などの不活性気流下で150〜280℃に加熱し脱水縮合させた後、更に3価以上のポリカルボン酸(p2)を反応させて重縮合物を得る。反応速度を向上させるためにテトラブチルチタネート、ジブチルスズオキサイド、シュウ酸チタニルカリウムなどのエステル化触媒を用いたり、減圧することも有効である。こうして得られた重縮合物〔架橋ポリエステル樹脂(a)〕を、ポリエポキサイド(c)と160〜260℃で反応させて、分子伸長及び/又は架橋反応を行い、架橋変性ポリエステル(A)を得ることができる。(p2)を(p1)、(q1)及び(q2)と同時に反応させて(a)を得てもよい。これらの方法の中では、前者の方法が好ましい。
(c)と反応させる(a)の酸価は、好ましくは1〜60(mgKOH/g:以下の酸価についても同じ)である。下限は更に好ましくは5であり、上限は更に好ましくは50である。酸価が1以上であると、(c)が未反応で残存して樹脂の性能に悪影響を及ぼす恐れがなく、60以下であると樹脂の熱安定性が良好である。
また、(A)を得るのに用いる(c)の量は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、(a)に対して、好ましくは0.01〜10%である。下限は、更に好ましくは0.05%、特に好ましくは0.1%であり、上限は、更に好ましくは5%、特に好ましくは3%である。
上記及び以下において使用量及び含有量に関する%は、特に規定しない限り重量%を示。
(A)は、反応終点が近づいたならば、粘度又は軟化点、酸価などを追跡しながら反応を進め、所定の粘度又は軟化点、酸価に到達した時点で反応装置から取り出し冷却することで得られる。
(A)のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、好ましくは5〜70%である。下限は、更に好ましくは7%、特に好ましくは15%であり、上限は、更に好ましくは50%、特に好ましくは40%、最も好ましくは37%である。上記範囲のTHF不溶分を含有させることは、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
(A)の軟化点は、好ましくは120〜200℃である。下限は、更に好ましくは125℃、特に好ましくは130℃、最も好ましくは135℃であり、上限は、更に好ましくは170℃、特に好ましくは165℃、最も好ましくは160℃である。上記軟化点の範囲では耐ホットオフセット性が良好である。
(A)のTHF可溶分の重量平均分子量〔以下Mwと記載、GPCによる〕は、耐オフセット性の観点から、好ましくは10,000以上、更に好ましくは、15,000以上、特に好ましくは20,000〜2,000,000である。
(A)のガラス転移点(Tg)は、好ましくは45〜80℃である。下限は更に好ましくは50℃であり、上限は更に好ましくは75℃である。Tgが45℃以上である方が耐熱保存性の観点から好ましく、80℃以下である方が低温定着性の観点から好ましい。
(A)の水酸基価は、好ましくは70(mgKOH/g、以下の水酸基価についても同じ)以下、更に好ましくは5〜50、特に好ましくは8〜45である。水酸基価が小さいほうが環境安定性及び帯電量が向上する点で好ましい。
(A)の酸価は、好ましくは0〜40である。下限は、更に好ましくは8、特に好ましくは13、最も好ましくは15であり、上限は、更に好ましくは30、特に好ましくは27である。酸価が小さいほうが環境安定性が向上するが、適度の酸価を有しているほうが帯電の立ち上がりが向上するとともに、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
また、(A)の酸価(AVA)は、(A)中の3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の含有量(WPA%)、3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の平均分子量(MPA)、(A)中の3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の価数の平均(XPA)との関数として、{AVA−[WPA×(XPA−2)×561/MPA]}が、−10〜10となる範囲が好ましく、更に好ましくは−5〜10、特に好ましくは−5〜5となる範囲である。
(A)の具体的な例としては、例えば以下の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのEO5モル付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、エチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させた架橋変性ポリエステル。
(2)ビスフェノールAのPO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/無水ドデセニルコハク酸/無水トリメリット酸重縮合物に、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させた架橋変性ポリエステル。
(3)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのEO5モル付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを反応させた架橋変性ポリエステル。
(4)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、フェノールノボラックグリシジルエーテル化物を反応させた架橋変性ポリエステル。
線状酸無水物変性ポリエステル(B)におけるジオールと全ポリカルボン酸[酸無水物(r)を含む]の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.4/1〜1/1.4である。
酸無水物(r)の比率は、(B)を構成する全ポリカルボン酸単位の合計に対して、好ましくは1〜30モル%である。下限は、更に好ましくは3モル%、特に好ましくは7モル%であり、上限は、更に好ましくは27モル%、特に好ましくは24モル%である。トナーの流動性の観点から1モル%以上が好ましく、低温定着性の観点から30モル%以下が好ましい。
線状酸無水物変性ポリエステル(B)の製造方法としては以下の方法などが挙げられる。
ジカルボン酸(p1)及びジオール(q1)を使用して通常のポリエステル化を行い重縮合物を得た後、これに酸無水物(r)を加え、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは170〜200℃で、常圧又は加圧下で30分から3時間反応させることで、実質的に酸無水物のハーフエステル化を優先的に行い、(B)を得ることができる。
(B)のMw(GPCによる)は、好ましくは20,000以下、更に好ましくは2,000〜15,000、特に好ましくは2,500〜8,000、最も好ましくは3,000〜7,000である。20,000以下が低温定着性の観点から好ましい。
(B)のMnは、好ましくは1,000以上、更に好ましくは、1,300〜10,000、特に好ましくは1,500〜5,000、最も好ましくは1,600〜4,000である。1,000以上が耐熱保存性の観点から好ましい。
(B)のガラス転移点は、好ましくは45〜80℃である。下限は更に好ましくは50であり、上限は更に好ましくは75℃である。Tgが45℃以上である方が耐熱保存性の観点から好ましく、80℃以下である方が低温定着性の観点から好ましい。
(B)の軟化点は、好ましくは80〜120℃であり、下限は、更に好ましくは82℃、特に好ましくは85℃であり、上限は、更に好ましくは115℃、特に好ましくは110℃である。80℃以上が耐熱保存性性の観点から好ましく、120℃以下が低温定着性の観点から好ましい。
(B)の軟化点は、架橋変性ポリエステル(A)の軟化点よりも通常低く、その差は好ましくは10℃〜60℃である。下限は、更に好ましくは25℃、特に好ましくは30℃であり、上限は、更に好ましくは50℃である。(B)の軟化点が(A)よりも低いほうが、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。軟化点の差が60℃以下であるほうが、トナー化時の(A)と(B)の均一化が容易なため良好な現像性が得られるという観点で好ましい。
(B)のTHF不溶分は、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0%である。(B)のTHF不溶分が少ない方が低温定着性向上の点で好ましい。
(B)の水酸基価は、好ましくは70以下、更に好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜45である。水酸基価が70以下であると、環境安定性及び帯電量が向上する点で好ましい。
(B)の酸価は、好ましくは1〜50である。下限は、更に好ましくは3、特に好ましくは10、最も好ましくは15であり、上限は、更に好ましくは45、特に好ましくは40、最も好ましくは37である。酸価が小さいほうが環境安定性が向上するが、適度の酸価を有している方が帯電の立ち上がりが向上する点で好ましい。
また、(B)の酸価(AVB)は、(B)中の3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の含有量(WPB%)、3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の平均分子量(MPB)、(B)中の3価以上のポリカルボン酸又はその無水物の価数の平均(XPB)との関数として、{AVB−[WPB×(XPB−1)×561/MPB]}が、−10〜15となる範囲が好ましく、更に好ましくは−6〜12、特に好ましくは−3〜10となる範囲である。
(B)の具体的な例としては、例えば以下の(5)〜(8)が挙げられる。
(5)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に、無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(6)ビスフェノールAのPO2モル付加物/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸の重縮合物に無水マレイン酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(7)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に、無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
(8)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/テレフタル酸の重縮合物に、無水トリメリット酸を反応させて得られる線状ポリエステル。
架橋変性ポリエステル(A)と線状酸無水物変性ポリエステル(B)の比率は重量基準で、好ましくは80:20〜20:80である。(A)の比率の上限は、更に好ましくは70、特に好ましくは60、最も好ましくは55であり、(A)の比率の下限は、更に好ましくは30、特に好ましくは40である。(A)の比率が80以下であると低温定着性が良好であり、20以上であると耐ホットオフセット性が良好である。
第1発明(参考発明)のトナーバインダー樹脂においては、(A)と(B)のみからなるポリエステル樹脂を用いるのが好ましいが、ポリエステル樹脂中、好ましくは10%以下(特に5%以下)の範囲で、(A)と(B)以外の樹脂〔例えば(a)〕を併用してもよい。
また、(A)、あるいは(A)と(B)の両方〔更に好ましくは(A)のみ〕が、後述する第2発明の樹脂であること、すなわち、示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に存在する吸熱ピークの吸熱量(Q)とガラス転移温度(Tg)から下式(I)により求められるLの値が1〜30である樹脂であることが、低温定着性、耐ホットオフセット性、及びトナーの流動性がさらに向上し好ましい。
L=(Q×100)/(100−Tg) (I)
[但し、Qの単位はmJ/mg、Tgの単位は℃]
本第2発明において、ポリエステル樹脂(C)のL値を求めるのに用いる、示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に見られる吸熱ピークの吸熱量(Q)は、図1において斜線部で示す通り、階段状変化の高温側のベースラインを低温側に延長した直線とDSC曲線とで囲まれた部分の熱量で表される。QとTgから前記の式(I)により求められるLは、(C)の分子の配列状態に関連する物性値であり、低温定着性、耐ホットオフセット性及びトナーの流動性の観点から、Lは好ましくは1〜30である。下限は、更に好ましくは3、特に好ましくは5、最も好ましくは7であり、上限は、更に好ましくは25、特に好ましくは20、最も好ましくは19である。
なお(C)には、前述のポリエポキサイド(c)で変性されたポリエステル樹脂も含まれる。
示差走査熱量計による第1回目の昇温時のDSC曲線は、JIS K7121−1987に規定の方法に準拠して測定される。具体的には、サンプル5.0mgを用いて、30℃から−20℃まで冷却速度毎分90℃で冷却し10分間保った後、120℃まで加熱速度毎分20℃で昇温し、第1回目の昇温時のDSC曲線を得る。
また、ガラス転移温度(Tg)はJIS K7121−1987に規定の補外ガラス転移開始温度(℃)であり、上記第1回目の昇温に引き続き、120℃で10分間保った後、−20℃まで冷却速度毎分90℃で冷却し13分間保った後、120℃まで加熱速度毎分20℃で昇温し、この第2回目の昇温時に測定されるDSC曲線を用いてガラス転移温度を求める。
測定装置としては、セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580等が使用できる。
本第2発明のトナーバインダー用樹脂を構成するポリエステル樹脂(C)としては、ポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物であるポリエステル樹脂(C1)、(C1)の少なくとも一部をポリエポキサイド(c)で変性して得られる変性ポリエステル樹脂(C2)等が挙げられる。
これらの(C)〔(C1)又は(C2)を示す。以下同じ。〕は、2種以上を併用することができ、また(C1)と(C2)を併用することもできる。
ポリカルボン酸としては、前述のジカルボン酸(p1)及び3価以上のポリカルボン酸(p2)が、ポリオールとしては、前述のジオール(q1)及び3価以上のポリオール(q2)が挙げられる。
(C1)としては、(p1)及び(q1)から得られる線状ポリエステル樹脂(C11)、並びに、(p1)及び(q1)と共に、(p2)及び/又は(q2)から得られる架橋ポリエステル樹脂(C12)等が挙げられる。(C1)の中では(C12)が好ましい。
(C11)の具体的な例としては、例えば以下の(9)〜(11)が挙げられる。
(9)ビスフェノールAのPO2モル付加物/テレフタル酸重縮合物。
(10)ビスフェノールAのEO4モル付加物/ビスフェノールAのPO2モル付加物/テレフタル酸重縮合物。
(11)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/テレフタル酸/イソフタル酸/無水マレイン酸重縮合物。
(C12)の具体的な例としては、例えば以下の(12)〜(18)が挙げられる。
(12)ビスフェノールAのEO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/テレフタル酸/無水フタル酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(13)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/テレフタル酸ジメチルエステル/無水トリメリット酸重縮合物。
(14)ビスフェノールAのEO2モル付加物/ビスフェノールAのPO2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(15)ビスフェノールAのEO2モル付加物/ビスフェノールAのPO2モル付加物/テレフタル酸/無水マレイン酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(16)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/テレフタル酸/イソフタル酸/無水マレイン酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(17)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのEO4モル付加物/イソフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(18)ビスフェノールAのEO2モル付加物/ビスフェノールAのPO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物。
(C2)としては、(C11)に(c)を反応させた線状変性ポリエステル樹脂(C21)、(C12)に(c)を反応させた架橋変性ポリエステル樹脂(C22)が挙げられるが、(C22)が好ましい。具体的には、例えば以下の(19)〜(28)が挙げられる。
(19)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/無水ドデセニルコハク酸重縮合物に、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(20)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/無水ドデセニルコハク酸重縮合物に、エチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(21)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのEO4付加物/イソフタル酸/無水マレイン酸/無水トリメリット酸重縮合物に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(22)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのEO5モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(23)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/イソフタル酸/無水マレイン酸/無水トリメリット酸重縮合物に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(24)ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、エチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(25)ビスフェノールAのPO2モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/無水ドデセニルコハク酸/無水トリメリット酸重縮合物に、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(26)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/フェノールノボラックのEO5モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、エチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(27)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのPO3モル付加物/フェノールノボラックのPO5モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを反応させて得られる変性ポリエステル。
(28)ビスフェノールAのPO2モル付加物/ビスフェノールAのEO2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物に、フェノールノボラックグリシジルエーテル化物を反応させて得られる変性ポリエステル。
ポリエステル樹脂(C)を得る際のポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
モノクロ複写機等に有用である高い耐ホットオフセット性を得る場合は、(C)としては、(C12)、(C22)及びこれらの混合物、特に(C22)が好ましい。この場合、高弾性であることが好ましいことから、(変性)ポリエステル樹脂としては、(p2)と(q2)を両方用いたものが特に好ましい。(p2)及び(q2)の比率は、(p2)と(q2)のモル数の和が(p1)、(p2)、(q1)、及び(q2)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、更に好ましくは0.5〜25モル%、特に1〜20モル%である。
モノクロ複写機用に好適な(C22)を得る際の(c)の使用量は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、反応に用いる(C12)に対して、好ましくは0.01〜10%である。下限は、更に好ましくは0.05%、特に好ましくは0.1%であり、上限は、更に好ましくは5%、特に好ましくは3%である。また、(c)と反応させる(C12)の酸価は、好ましくは1〜60である。下限は更に好ましくは5であり、上限は更に好ましくは50である。酸価が1以上であると、(c)が未反応で残存して樹脂の性能に悪影響を及ぼす恐れがなく、60以下であると樹脂の熱安定性が良好である。
Tgの調節の容易性及びトナーの帯電性向上の観点から、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2〜30)を全ポリオール中の70モル%以上用いることが好ましく、更に好ましくは75モル%以上、特に80モル%以上である。
耐ホットオフセット性の観点から、(C)の貯蔵弾性率(G’)が6000Paとなる温度(TG)は、好ましくは130〜230℃、更に好ましくは140〜230℃、特に150〜230℃である。
TGは、例えば樹脂をラボプラストミルを用いて130℃、70rpmで30分間溶融混練後のブロックを、動的粘弾性測定装置を用いて、樹脂温度を変化させながら貯蔵弾性率(G’)を測定することで求められる。
〔粘弾性測定条件〕
動的粘弾性測定装置RDS−2(Rheometric Scientific社製)
測定周波数:20Hz、開始温度:90℃、終了温度:200℃、昇温速度:10℃/min、Strain:5%。
低温定着性及び耐熱保存安定性の観点から、(C)の複素粘性率(η*)が1000Pa・sとなる温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜135℃、特に105〜130℃である。
(C)は、THF不溶分を5〜70%含有していることが好ましく、更に好ましくは10〜60%、特に15〜50%である。THF不溶分が5%以上で耐ホットオフセット性が良好になり、70%以下で良好な低温定着性が得られる。
(C)のピークトップ分子量(Mp)は、好ましくは1000〜30000、更に好ましくは1500〜25000、特に1800〜20000である。Mpが1000以上で、耐熱保存安定性及び粉体流動性が良好となり、30000以下でトナーの粉砕性が向上し、生産性が良好となる。
(C)のGPCにより測定されるクロマトグラムにおいて、溶剤ピークを除くピークの全体の面積に対する分子量500以下の領域の面積の比率は、好ましくは7%以下、更に好ましくは5.5%以下、特に好ましくは4%以下、最も好ましくは3%以下である。分子量500以下の領域の面積の比率が7%以下の範囲ではトナーとした時の耐ホットオフセット性及びトナー流動性が良好である。
上記及び下記において(C)のMp、分子量500以下の領域の面積比率、及びMnは、THF可溶分についてGPCを用いて以下の条件で測定される。
装置 : 東ソー製 HLC−8120
カラム : TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF溶液
溶液注入量: 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : ポリスチレン
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。
(C)のTgは、好ましくは40〜90℃、更に好ましくは50〜80℃、特に55〜75℃である。Tgが40℃〜90℃の範囲では耐熱保存安定性と低温定着性が良好である。
ポリエステル樹脂(C12)の製造方法としては、例えば、ジカルボン酸(p1)、ジオール(q1)、3価以上のポリオール(q2)、及び重縮合触媒を160℃〜260℃に加熱し、常圧下若しくは減圧下又はこれらの組み合わせで脱水縮合させた後、更に3価以上のポリカルボン酸(p2)を反応させる方法が挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸(p2)をジカルボン酸(p1)、ジオール(q1)、及び3価以上のポリオール(q2)と同時に反応させることもできる。これらの方法の中では前者の方法が好ましい。
重縮合触媒としては、特に限定されず、シュウ酸チタニルカリウム、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等を用いることができる。
変性ポリエステル樹脂(C2)の製造方法としては、例えばポリエステル樹脂(C1)にポリグリシジルエーテル(c)を加え、160℃〜260℃でポリエステルの分子伸長及び/又は架橋反応を行う方法が挙げられる。
Lの値は、冷却速度を遅くすることにより上昇し、Tgが低くなるように樹脂組成を選択することで、低下させることができるが、Lの値が1〜30の(C)を得る方法としては、例えば、(C2)の場合は上述の(c)との反応終了後、(C2)以外の場合はエステル化の反応終了後、冷却する際にそのTgまで徐冷する(低速で冷却する)方法が挙げられる。
反応温度からTgまでの徐冷時間は、好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上、特に3時間以上である。徐冷時間の上限は特に制限はないが、生産性の観点から15時間以下が好ましい。
尚、反応温度からTgまで急冷(好ましくは20分以内)した後、更に加熱してTgよりも10℃以上高い温度で30分以上保ち、Tgまで30分以上かけて徐冷する方法でも、Lの値を1〜30とすることができるが、前者の方法の方が製造に関わるエネルギーを低減できる点でより好ましい。
本第2発明のトナーバインダー用樹脂においては、(C)と共に(C)以外(のポリエステル樹脂(D)を併用してもよい。(D)としては、(C)と同様の組成であって、Lが1未満又は30を越える樹脂等が挙げられる。
全ポリエステル樹脂中の(C)の含有量は、耐オフセット性、低温定着性及びトナーの流動性の観点から、通常25〜100%である。下限は、好ましくは35%、特に40%であり、上限は、好ましくは80%、更に好ましくは60%である。
(C)と(D)を併用する場合、現像性が良好となることから、(C)としては(C22)〔第1発明(参考発明)に用いる架橋変性ポリエステル樹脂(A)と同様の組成〕が好ましく、(D)としては、第1発明(参考発明)の線状酸無水物変性ポリエステル樹脂(B)のうちLが1未満又は30を越えるもの(特にLが1未満)が好ましい。
本第1及び第2発明(第1発明は参考発明)のトナーバインダー用樹脂は、その特性を著しく損なわない範囲で他のバインダー用樹脂と併用することができる。
他の樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレンの重合体及びスチレンとその他のビニルモノマーとの共重合体等が使用できる。
重合反応には、公知の重合反応触媒等が使用できる。
その他のビニルモノマーとしては、以下の<1>〜<7>のモノマー及びこれらの併用が挙げられる。
<1>カルボキシル基若しくはカルボン酸エステル基含有ビニル系モノマー:
<1>−1)炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸:(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;
<1>−2)炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体[酸無水物及びモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]:マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの無水物並びにこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;
<1>−3)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜24)エステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等;
<1>−4)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,6ヘキサンジオールジアクリレート等;
<1>−5)不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル:酢酸ビニル及び酪酸ビニル等。
<2>ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
<2>−1)炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
<2>−2)炭素数2〜12のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;
<2>−3)炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば2−ブテン−1,4−ジオール;
<2>−4)炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
<3>ビニル系炭化水素:
<3>−1)スチレン以外の芳香族ビニル系炭化水素(炭素数8〜20):スチレンのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン;並びにビニルナフタレン。
<3>−2)脂肪族ビニル系炭化水素:炭素数2〜20のアルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;
<3>−3)脂環式ビニル系炭化水素:モノ及びジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン及びインデン。
<4>エポキシ基含有ビニル系モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート等。
<5>ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル等。
<6>イソシアネート基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリロイルイソシアネート等。
<7>アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、クロチルアミン及びビニルイミダゾール等。
エポキシ樹脂としては、ポリエポキサイド(c)と(p1)及び/若しくは(p2)又はこれらの酸無水物との硬化物、並びに(c)と(q1)及び/又は(q2)との重付加物等が使用できる。
重付加反応及び硬化反応には、公知の触媒等が使用できる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと水酸基含有化合物[例えば(p1)と(q1)の重縮合により得られるポリエステルジオール、炭素数6〜12のカプロラクトン(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)の開環重合体及びこれらの併用]との重付加物等が使用できる。
重付加反応には、公知の重付加反応触媒等が使用できる。
ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート[例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び粗製MDI];炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート[例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネート];炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート[例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)];炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート[例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)];及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等);並びにこれらの2種以上の混合物等が用いられる。
他の樹脂のMwは、好ましくは1000〜200万である。
トナーバインダー用樹脂における他の樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂と他の樹脂の合計重量を基準として、好ましくは0〜40%、更に好ましくは0〜30%、特に好ましくは0〜20%である。
本第3発明のトナーバインダー用樹脂組成物は、本第1又は第2発明(第1発明は参考発明)のトナーバインダー用樹脂と、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス及びポリオレフィンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の離型剤とから構成される。
カルナウバワックスとしては天然カルナウバワックス及び脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスが挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては石油系フィッシャートロプシュワックス(シューマン・サゾール社製パラフリントH1、パラフリントH1N4及びパラフリントC105等)、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(シェルMDS社製FT100等)及びこれらフィッシャートロプシュワックスを分別結晶化等の方法で精製したもの[日本精蝋(株)製MDP−7000及びMDP−7010等]等が挙げられる。
パラフィンワックスとしては、石油ワックス系のパラフィンワックス[日本精蝋(株)製パラフィンワックスHNP−5、HNP−9及びHNP−11等]等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしてはポリエチレンワックス[三洋化成工業(株)製サンワックス171P及びサンワックスLEL400P等]、ポリプロピレンワックス[三洋化成工業(株)製ビスコール550P及びビスコール660P等]等が挙げられる。
これらの内、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス及びこれらの併用が好ましく、特にカルナウバワックス、石油系フィッシャートロプシュワックス及びこれらの併用が好ましい。
離型剤の含有量は、トナーバインダー用樹脂組成物の重量を基準として、好ましくは0.01〜20%、更に好ましくは0.1%〜15%、特に0.5〜10%である。離型剤の含有量が0.01〜20%の範囲ではトナーとした場合の耐ホットオフセット性が良好である。
第1発明(参考発明)の(A)と(B)、あるいは本第2発明で(D)を用いる場合の(C)と(D)の混合〔(C)を2種以上用いる場合も含む。〕、更にこれらの樹脂と他の樹脂及び/又は離型剤との混合は、予め粉体混合又は溶融混合してもよいし、トナー化時に混合してもよい。トナー化時に他の成分と混合するか、又は(A)と(B)〔又は(C)と(D)〕のみ予め粉体混合する方が、(A)と(B)〔又は(C)と(D)〕のエステル交換反応が防止され、トナーの定着性が向上する点で好ましい。ただし、(A)と(B)〔又は(C)と(D)〕の軟化点の差が50℃以上の場合、トナー粒子内において不均一になりやすいため、予め溶融混合する方が好ましい。
また、(A)と(B)〔又は(C)と(D)〕を混合する際に離型剤などの他の成分も同時に混合することもできる。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは80〜180℃、更に好ましくは100〜170℃、特に好ましくは120〜160℃である。混合温度が80℃以上であると、充分に混合され、不均一とならず、180℃以下であると、(A)と(B)〔又は(C)と(D)〕のエステル交換反応に伴う平均化が起こる恐れがなく、耐ホットオフセット性、低温定着性が向上し、好ましい。
溶融混合する場合の混合時間は、好ましくは10秒〜30分、更に好ましくは20秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分である。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合時間が30分以下であると、エステル交換反応による平均化等が起こる恐れがなく、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できる。
溶融混合する場合、混合後の冷却の際に、混合温度から混合樹脂のうち最もTgの高い樹脂のTgまで30分以上かけて徐冷することが好ましい。
混合温度からTgまでの徐冷時間は、更に好ましくは1時間以上、特に3時間以上である。徐冷時間の上限は特に制限はないが、生産性の観点から15時間以下が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。これらのうちエクストルーダー及びコンティニアスニーダーが好ましく、コンティニアスニーダーが特に好ましい。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10〜60℃である。混合時間は、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5〜60分である。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
本第1及び第2発明(第1発明は参考発明)のトナーバインダー用樹脂は、着色剤及び必要により離型剤、荷電制御剤などの種々の添加剤等を混合し、静電荷像現像用の本発明のトナー組成物として用いられる。
着色剤としては公知の染料、顔料及び磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
トナー中の着色剤の含有量は、染料又は顔料を使用する場合は、好ましくは2〜15%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは20〜70%である。
離型剤としては、前述のものが挙げられ、使用に際しては、前述の離型剤と同じでも異なっていてもよい。
トナー中の離型剤の量は、好ましくは0〜10%であり、更に好ましくは1〜7%である。
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は通常0〜5%である。
更に、流動化剤を使用することもできる。流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、更に風力分級し、粒径が通常2〜20μmの粒子として得られる。
本第4および第5発明(第4発明は参考発明)のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
トナーバインダーはフルカラー用、モノクロ用で各々異なる物性が求められており、ポリエステル樹脂の設計も異なる。
即ち、フルカラー用には高光沢画像が求められるため、低粘性のバインダーとする必要があるが、モノクロ用は光沢は特に必要なくホットオフセット性が重視されるため高弾性のバインダーとする必要がある。本第1及び第2発明(第1発明は参考発明)のトナーバインダー用樹脂は、特にモノクロ複写機用として用いるのに好適である。
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。なお、実施例1〜3は参考例である。
実施例及び比較例で得られたトナーバインダー用樹脂の性質の測定法を次に示す。
1.酸価及び水酸基価
JIS K 0070−1992に規定の方法
2.ガラス転移点(Tg)
前述のJIS K7121−1987に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
3.分子量
前述のGPCによる(C)の測定法の通り
4.テトラヒドロフラン(THF)不溶分
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、 セライト#545を担持させたグラスフィルターにて不溶分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶分を算出する。
5.軟化点の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kgf/cm2
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
実施例1
[架橋変性ポリエステル樹脂(A)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物228部、ビスフェノールAのPO3モル付加物526部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物16部、テレフタル酸119部、フマル酸74部、及び縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸86部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ軟化点が120℃になった時点(酸価は30であった。)で、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量170)20部を加え、軟化点が150℃となった時点で取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(A1)とする。
ポリエステル(A1)は、軟化点は150℃、酸価は22、水酸基価は29、Tgは60℃、Mnは2900、Mwは21000、THF不溶分は31%であった。
[線状酸無水物変性ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物174部、ビスフェノールAのPO2モル付加物555部、テレフタル酸252部、及び縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸74部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(B1)とする。
ポリエステル(B1)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点は100℃、酸価は37、水酸基価は34、Tgは63℃、Mnは1900、Mwは5000であり、実質的に線状であった。
[トナーバインダー用樹脂の合成]
ポリエステル(A1)500部とポリエステル(B1)500部を、コンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して参考発明のトナーバインダー用樹脂(T1)を得た。
実施例2
[架橋変性ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物431部、ビスフェノールAのPO3モル付加物326部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物16部、テレフタル酸111部、フマル酸85部、及び縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸81部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ軟化点が120℃となった時点(酸価は29であった。)で、エチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量87)20部を加え、軟化点が150℃となった時点で取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(A2)とする。
ポリエステル(A2)は、軟化点は150℃、酸価18、水酸基価36、Tgは64℃、Mnは3700、Mwは68000、THF不溶分は30%であった。
[線状酸無水物変性ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物170部、ビスフェノールAのPO2モル付加物203部、ビスフェノールAのPO3モル付加物393部、テレフタル酸265部、及び縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸47部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(B2)とする。
ポリエステル(B2)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点94℃、酸価28、水酸基価39、Tgは56℃、Mnは1700、Mwは5400であり、実質的に線状であった。
[トナーバインダー用樹脂の合成]
ポリエステル(A2)500部とポリエステル(B2)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して、参考発明のトナーバインダー用樹脂(T2)を得た。
実施例3
ポリエステル(A1)500部とポリエステル(B2)500部を実施例2と同様に粉体混合して、参考発明のトナーバインダー用樹脂(T3)を得た。
比較例1
[架橋ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物431部、ビスフェノールAのPO3モル付加物326部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物16部、テレフタル酸111部、フマル酸85部、無水トリメリット酸81部、及び縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が150℃となった時点で取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(RA1)とする。
ポリエステル(RA1)は、軟化点は150℃、酸価24、水酸基価36、Tgは65℃、Mnは4100、Mwは61000、THF不溶分は29%であった。
[トナーバインダー用樹脂の合成]
ポリエステル(RA1)500部とポリエステル(B1)500部を実施例1と同様に溶融混合し、溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して比較用のトナーバインダー用樹脂(RT1)を得た。
比較例2
[線状ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物431部、ビスフェノールAのPO3モル付加物326部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物16部、テレフタル酸111部、フマル酸85部、及び縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2部を入れ、220℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させ取り出し、室温まで20分間で冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(RB1)とする。
ポリエステル(RB1)は、軟化点は81℃、酸価は1、水酸基価は41、Tgは35℃、Mnは1500、Mwは4000であった。
[トナーバインダー用樹脂の合成]
ポリエステル(A2)500部とポリエステル(RB1)500部を、実施例1と同様に溶融混合し、溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して比較用のトナーバインダー用樹脂(RT2)を得た。
実施例4
[架橋変性ポリエステル(C22)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物555部、ビスフェノールAのPO3モル付加物20部、ビスフェノールAのEO2モル付加物130部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物10部、テレフタル酸265部、無水トリメリット酸10部、及び重縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下で生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸50部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ、軟化点が105℃になった時点(酸価は28であった。)で、ビスフェノールAジグリシジルエーテル20部を加え、軟化点が135℃となった時点で取り出し、100℃まで3時間、更に75℃まで2時間かけて徐冷した後室温まで放冷して架橋変性ポリエステル(C22−1)を得た。
(C22−1)の軟化点は145℃、酸価は16、水酸基価は18、Tgは72℃、Mnは1800、Mpは6050、THF不溶分は37%、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は3.2mJ/mg、Lの値は11.4であり、これを本発明のトナーバインダー用樹脂(T4)として使用した。
実施例5
[架橋ポリエステル(C12)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物152部、ビスフェノールAのPO3モル付加物350部、ビスフェノールAのEO2モル付加物40部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のPO5モル付加物120部、テレフタル酸220部、テレフタル酸ジメチルエステル30部、及び重縮合触媒としてジオクチルスズオキサイド2.0部を入れ、230℃で窒素気流下で生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸65部を加え、常圧下で1時間反応させた後20〜40mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が135℃になった時点で取り出し、100℃まで2時間、更に60℃まで2時間かけて徐冷した後室温まで放冷した。これを粉砕し架橋ポリエステル(C12−1)を得た。
架橋ポリエステル(C12−1)の軟化点は143℃、酸価は27、水酸基価は16、Tgは57℃、Mnは1550、Mpは4050、THF不溶分は37%、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は5.2mJ/mg、Lの値は12.1であり、これを本発明のトナーバインダー用樹脂(T5)として使用した。
実施例6
[線状ポリエステル(C11)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物400部、ビスフェノールAのPO3モル付加物280部、テレフタル酸115部、イソフタル酸120部、無水マレイン酸15部、及び重縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、220℃で窒素気流下で生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸25部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、100℃まで2時間、更に60℃まで2時間かけて徐冷した後室温まで放冷した。これを粉砕し線状ポリエステル(C11−1)を得た。
(C11−1)は、THF不溶分を含有しておらず、軟化点は95℃、酸価は17、水酸基価は33、Tgは60℃、Mnは2120、Mpは5500、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は3.5mJ/mg、Lの値は8.8であった。
[架橋変性ポリエステル(C22)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物300部、ビスフェノールAのPO2モル付加物82部、ビスフェノールAのPO3モル付加物310部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のPO5モル付加物65部、イソフタル酸55部、テレフタル酸165部、無水マレイン酸25部、及び重縮合触媒としてジブチルスズオキサイド2.0部を入れ、230℃で窒素気流下で生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、次いで無水トリメリット酸68部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ軟化点が115℃になった時点(酸価は30であった。)で、ビスフェノールAジグリシジルエーテル25部を加えて引き続き反応させ、軟化点が135℃になった時点で取り出し、100℃まで2時間、更に60℃まで2時間かけて徐冷した後室温まで放冷した。これを粉砕し架橋変性ポリエステル(C22−2)を得た。
(C22−2)の軟化点は142℃、酸価は13、水酸基価は32、Tgは57℃、Mnは3070、Mpは5950、THF不溶分は34%、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は4.2mJ/mg及びLの値は9.8であった。
[トナーバインダー用樹脂の配合]
(C11−1)500部、(C22−2)500部を粉体混合し、本発明のトナーバインダー用樹脂(T6)を得た。
実施例7
実施例2において、ポリエステル(A2)に代えて、(A2)の合成法において、エチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量20部を15部に代え、その添加後135℃となった時点で取り出し、100℃まで2時間、更に60℃まで2時間かけて徐冷した後室温まで放冷し、それを粉砕して得られた架橋変性ポリエステル(C22−3)を用いる以外は、実施例2と同様にして本発明のトナーバインダー用樹脂(T7)を得た。なお、ポリエステル(C22−3)の軟化点は144℃、酸価は19、水酸基価は35、Tgは64℃、Mnは3800、Mpは6120、THF不溶分は35%、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は6.7mJ/mg及びLの値は18.6であった。また、(B2)のDSC測定で求めた吸熱量(Q)は0.2mJ/mg、及びLの値は0.5であった。
比較例3
実施例5と同様に反応させて、軟化点が145℃になった時点でベルト成型機で取り出しを行い5分間で30℃まで急冷した。これを粉砕し比較用架橋ポリエステル(RC−1)を得た。
(RC−1)の軟化点は144℃、酸価は28、水酸基価は18、Tgは58℃、Mnは1650、Mpは4150、THF不溶分は25%、DSC測定で求めた吸熱量(Q)は0.1mJ/mg、Lの値は0.2であり、これを比較用のトナーバインダー用樹脂(RT3)として使用した。
〔評価例1〕
本発明のトナーバインダー用樹脂(T4)〜(T7)、参考発明のトナーバインダー用樹脂(T1)〜(T3)、及び比較用のトナーバインダー用樹脂(RT1)〜(RT3)それぞれについて、トナーバインダー用樹脂100部、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]7部、ビスコール550P[三洋化成工業(株)製]2部、荷電制御剤T−77(保土谷化学製)1部を下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル(株)製]0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T4)〜(T7)、参考発明のトナー(T1)〜(T3)、及び比較用トナー(RT1)〜(RT3)を得た。
以下の評価方法により(T1)〜(T7)、及び(RT1)〜(RT3)を評価した結果を表1に示す。
<1>最低定着温度(MFT)−1
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
<2>ホットオフセット発生温度(HOT)−1
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
<3>顔料分散性−1
トナーの誘電正接(tanδ)を測定し、これを顔料分散性の指標とした。
判定基準 ○:tanδ:10以下
△:tanδ:10〜30
×:tanδ:30以上
誘電正接測定条件
装置 : 安藤電気(株)製 TR−1100型誘電体損測定装置
電極 : 安藤電気(株)製 SE−43型 粉体電極
測定周波数:1kHz
<4>トナー流動性−1
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーの静かさ密度を測定し、トナー流動性を下記基準で判定した。△以上が実用範囲である。
静かさ密度 36g/100ml以上 :トナー流動性 ◎
33〜36 : ○
30〜33 : △
27〜30 : △×
27未満 : ×
<5>現像性−1
上記MFTと同様に定着させたベタ画像の任意の5カ所の画像濃度を、マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定し、その平均値について下記基準で判定した。
現像性 画像濃度 1.40以上 :現像性 ◎
1.30〜1.40: ○
1.00〜1.30: △
1.00未満 : ×
〔評価例2〕
本発明のトナーバインダー用樹脂(T4)〜(T7)、参考発明のトナーバインダー用樹脂(T1)〜(T3)、及び比較用のトナーバインダー用樹脂(RT1)〜(RT3)それぞれについて、トナーバインダー100部、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8部、フィッシャートロプシュワックス(パラフリントH1)5部、荷電制御剤T−77(保土谷化学製)1部をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が9μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル(株)製]0.3部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T4)〜(T7)、参考発明のトナー(T1)〜(T3)、及び比較用トナー(RT1)〜(RT3)を得た。
以下の評価方法により(T1)〜(T7)、及び(RT1)〜(RT3)を評価した結果を表2に示す。
[評価方法]
<1>最低定着温度(MFT)−2
トナー30部とフェライトキャリア(F−150;パウダーテック社製)800部を均一混合し、評価用の二成分現像剤とした。該現像剤を用い市販複写機(AR5030;シャープ製)で現像した未定着画像を、市販複写機(SF8400A;シャープ製)の定着ユニットを改造し熱ローラー温度を可変にした定着機でプロセススピード145mm/secで定着した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
<2>ホットオフセット発生温度(HOT)−2
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
<3>顔料分散性−2
評価例1と同様の測定方法、判定基準による。
<4>トナー流動性−2
評価例1と同様の測定方法、判定基準による。
<5>現像性−2
評価例1と同様の測定方法、判定基準による。
評価結果を示す表1及び表2中、第1発明(参考発明)に係わる実施例はT1〜T3、比較例はRT1〜RT2であり、第2発明に係わる実施例はT4〜T7、比較例はRT3である。なおT6及びT7は、第1発明(参考発明)の実施例も兼ねる。
Figure 2007199738
Figure 2007199738
表1及び表2から、本発明のトナーバインダー用樹脂を使用したトナーは、優れた現像性、トナー流動性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を有することが分かる。
本発明のトナーバインダー用樹脂は以下の効果を奏する。
1.現像性に優れる。
2.トナー流動性に優れる
3.低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
4.顔料分散性にも優れる。
ポリエステル樹脂の第1回目の昇温時のDSC曲線の模式図(ガラス転移による変化部分)である。
符号の説明
1 吸熱ピーク
2 高温側のベースラインを低温側に延長した直線
3 吸熱量(Q)

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂からなるトナーバインダー用樹脂において、示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に存在する吸熱ピークの吸熱量(Q)とガラス転移温度(Tg)から下式(I)により求められるLの値が1〜30であるポリエステル樹脂(C)を25〜100重量%、及び(C)以外のポリエステル樹脂(D)を0〜75重量%含有することを特徴とするトナーバインダー用樹脂。
    L=(Q×100)/(100−Tg) (I)
    [但し、Qの単位はmJ/mg、Tgの単位は℃]
  2. (C)が、ポリオールとポリカルボン酸と必要によりポリエポキサイド(c)を反応させた後、反応終了時の温度からTgまで30分以上の時間をかけて徐冷して得られるポリエステル樹脂である請求の範囲第1項記載の樹脂。
  3. (C)が、ジカルボン酸及びジオールと共に、3価以上のポリカルボン酸及び/若しくは3価以上のポリオール、から構成される架橋ポリエステル樹脂(C12)、並びに/又は、(C12)にポリエポキサイド(c)を反応させた架橋変性ポリエステル樹脂(C22)である請求の範囲第1または2項記載の樹脂。
  4. (D)が線状酸無水物変性ポリエステル樹脂である請求の範囲第1〜3項のいずれか記載の樹脂。
  5. (C)のテトラヒドロフラン不溶分が5〜70重量%である請求の範囲第1〜4項のいずれか記載の樹脂。
  6. (C)と(D)が粉体混合されてなる請求の範囲第1〜5項のいずれか記載の樹脂。
  7. モノクロ複写機用である請求の範囲第1〜6項のいずれか記載の樹脂。
  8. 請求の範囲第1〜7項のいずれか記載のトナーバインダー用樹脂と、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス及びポリオレフィンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の離型剤を含有するトナーバインダー用樹脂組成物。
  9. ポリエステル樹脂からなるトナーバインダー用樹脂、着色剤、並びに、必要により離型剤及び荷電制御剤から選ばれる1種以上、からなるトナー組成物において、トナーバインダー用樹脂が、ポリエステル樹脂(C)25〜100重量%と(C)以外のポリエステル樹脂(D)0〜75重量%からなり、(C)の示差走査熱量計により測定される第1回目の昇温時のDSC曲線におけるガラス転移による階段状変化の高温側に存在する吸熱ピークの吸熱量(Q)とガラス転移温度(Tg)から下式(I)により求められるLの値が1〜30であることを特徴とするトナー組成物。
    L=(Q×100)/(100−Tg) (I)
    [但し、Qの単位はmJ/mg、Tgの単位は℃]
JP2007110455A 2001-12-14 2007-04-19 トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物 Pending JP2007199738A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007110455A JP2007199738A (ja) 2001-12-14 2007-04-19 トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001382390 2001-12-14
JP2002146572 2002-05-21
JP2007110455A JP2007199738A (ja) 2001-12-14 2007-04-19 トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003553344A Division JP3999743B2 (ja) 2001-12-14 2002-12-16 トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007199738A true JP2007199738A (ja) 2007-08-09

Family

ID=38454352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007110455A Pending JP2007199738A (ja) 2001-12-14 2007-04-19 トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007199738A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009115854A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーおよびトナー
JP2010156747A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Ricoh Co Ltd 現像剤の製造方法、現像剤及び画像形成方法
JP2011227161A (ja) * 2010-04-16 2011-11-10 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーおよびトナー組成物
JP2012083714A (ja) * 2010-09-15 2012-04-26 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2012150466A (ja) * 2010-12-28 2012-08-09 Canon Inc トナー
JP2015194755A (ja) * 2014-03-27 2015-11-05 三洋化成工業株式会社 トナーバインダーの製造方法
CN111240165A (zh) * 2014-05-09 2020-06-05 三洋化成工业株式会社 色调剂粘结剂和色调剂

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0749587A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Konica Corp ポリエステル樹脂および静電像現像用トナー
JP2000029245A (ja) * 1998-07-10 2000-01-28 Sanyo Chem Ind Ltd 静電荷像現像用トナーバインダー
JP2001117273A (ja) * 1999-10-21 2001-04-27 Fuji Xerox Co Ltd トナー及びその製造方法、現像剤、並びに画像形成方法
JP2001305787A (ja) * 2000-02-17 2001-11-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd ポリエステル系トナー
JP2001312093A (ja) * 2000-05-01 2001-11-09 Toshiba Tec Corp 現像剤、画像形成装置及び画像形成方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0749587A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Konica Corp ポリエステル樹脂および静電像現像用トナー
JP2000029245A (ja) * 1998-07-10 2000-01-28 Sanyo Chem Ind Ltd 静電荷像現像用トナーバインダー
JP2001117273A (ja) * 1999-10-21 2001-04-27 Fuji Xerox Co Ltd トナー及びその製造方法、現像剤、並びに画像形成方法
JP2001305787A (ja) * 2000-02-17 2001-11-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd ポリエステル系トナー
JP2001312093A (ja) * 2000-05-01 2001-11-09 Toshiba Tec Corp 現像剤、画像形成装置及び画像形成方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009115854A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーおよびトナー
JP2010156747A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Ricoh Co Ltd 現像剤の製造方法、現像剤及び画像形成方法
JP2011227161A (ja) * 2010-04-16 2011-11-10 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーおよびトナー組成物
JP2012083714A (ja) * 2010-09-15 2012-04-26 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2012150466A (ja) * 2010-12-28 2012-08-09 Canon Inc トナー
JP2015194755A (ja) * 2014-03-27 2015-11-05 三洋化成工業株式会社 トナーバインダーの製造方法
CN111240165A (zh) * 2014-05-09 2020-06-05 三洋化成工业株式会社 色调剂粘结剂和色调剂

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4199241B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー
JP4436339B2 (ja) トナーおよびトナーバインダー
JP3999743B2 (ja) トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物
JP5138630B2 (ja) トナー用ポリエステル樹脂及びトナー組成物
JP2007199738A (ja) トナーバインダー用樹脂及びトナー組成物
JP6862591B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー
WO2001069325A1 (fr) Liant pour poudre imprimante et procede de fabrication
JP2019207400A (ja) トナーバインダー
JP3916970B2 (ja) 電子写真用トナーバインダー、トナー用樹脂組成物および乾式トナー
JP6491354B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー
JP3602462B2 (ja) トナーバインダーおよびその製造方法
JP4878357B2 (ja) トナー用結着樹脂およびトナー組成物
JP3708401B2 (ja) トナーバインダー
JP4289752B2 (ja) トナーバインダーおよびその製造方法
JP6875928B2 (ja) トナーバインダー及びトナー
JP6783670B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー
JP2001356527A (ja) トナーバインダー
JP2002202634A (ja) トナーバインダー
JP6227571B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー組成物
JP2011175257A (ja) トナーバインダーの製造方法
JPH11153885A (ja) 電子写真用トナーバインダー
JP5260086B2 (ja) 顔料分散マスターバッチ用樹脂
JP6773728B2 (ja) トナーバインダー及びトナー
JP2009020225A (ja) 電子写真用トナーバインダーおよびトナー
JP4297845B2 (ja) トナーバインダーおよびトナー

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101012