JP4289752B2 - トナーバインダーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナー用のトナーバインダーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式トナーに用いられるトナーバインダーには、熱ロール温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)と、高い熱ロール温度でもトナーが熱ロールに融着しないこと(耐ホットオフセット性)という相反する性能を満たすことが求められている。
従来、トナーバインダーとしては、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂などが用いられているが、低温定着性に優れることから、架橋ポリエステルが多用されつつある。
近年、省エネルギー化の観点から、従来よりいっそうの低温定着性が求められるとともに、複写機等の装置の小型化の観点から、よりいっそうの耐ホットオフセット性が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステルの低温定着性と耐ホットオフセット性の向上を狙ったものとして、分子量分布の異なる2種のポリエステルを混合する方法(たとえば特開昭60−214368号公報、特開昭63−225244号公報、特開平4−313760号公報など)が提案されている。
しかし、これらに開示されているものは、従来のポリエステルよりも低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスは改善傾向にはあるものの、粘度の異なるポリエステルを粉体混合したものであるために、均一性に問題があり、トナーの混練時に顔料の分散が十分にできない問題が生じている。
その結果、顔料分散性を許容範囲内にするためには、2種のポリエステルの粘度差を小さくする必要が生じるために、低温定着性と耐ホットオフセット性に関しても十分に満足できるものではない。
さらに、これらに開示されているものは、熱履歴により分子量分布が変化する問題を内在しており、トナーの混練等の加工時に高温にさらされると性能が変化する問題を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、低温定着性、耐ホットオフセット性、顔料分散性のいずれにも優れ、かつ、トナーの加工時の性能変化の少ないトナーバインダーおよびその製造方法を開発すべく鋭意検討した結果、本発明[1]および[2]に到達した。
[1]ポリエステル(A)からなるトナーバインダーにおいて、該(A)が、異なる重合系で縮合した2種のポリエステル(A1)および(A2)の混合物からなるポリエステルであり、該(A)100重量部に対して下式(1)で求められるw重量部のエチレングリコールを加えて140℃で10時間加熱した後の(A)の数平均分子量の低下率が20%以下であることを特徴とするトナーバインダー。
式(1) w=100×62.07/Mn
[式中Mnは(A)の数平均分子量を表す]
[2]ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを、チタンもしくは鉄のアルコキサイド、またはアセチルアセトナートを縮合触媒として縮合せしめる工程と、該縮合触媒を水およびリン酸誘導体からなる群から選ばれる失活剤と反応せしめる工程からなるポリエステル系トナーバインダーの製造方法で製造されたポリエステル2種以上を、さらに混合する工程を有するトナーバインダーの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明においては、ポリエステル(A)100重量部に対して下式(1)で求められるw重量部のエチレングリコールを加えて140℃で10時間加熱した後の(A)の数平均分子量の低下率は、通常20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。
式(1) w=100×62.07/Mn
[式中Mnは(A)の数平均分子量を表す]
数平均分子量の低下率が大きいことはポリエステル(A)が熱的に不安定なことを表しており、低下率が20%を越えると(A)がトナーの混練時などの加熱時に分子量変化する。その結果、耐ホットオフセット性、低温定着性がトナーの製造条件によって左右される点で好ましくない。
(A)の数平均分子量の低下率は、以下の方法で測定できる。まず、(A)と式(1)で求められた所定量のエチレングリコールを反応容器中に秤量し、窒素雰囲気下に140℃に加温し、10時間反応させる。反応前後の(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定し、その数平均分子量の比率から低下率を算出する。
【0006】
ポリエステル(A)としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物などが挙げられる。ポリオール成分としては、ジオール(1)、3価以上のポリオール(2)およびその低級アルカン酸エステル(酢酸エステルなど)などが挙げられる。ポリカルボン酸成分としては、ジカルボン酸(3)、3価以上のポリカルボン酸(4)およびその酸無水物または低級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステルなど)が挙げられる。
【0007】
ジオール(1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜18のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、脂環式ジオールであり、特に好ましいものはビスフェノール類のプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド付加物、炭素数2〜8のアルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、およびこれらの併用である。
3価以上のポリオール(2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0008】
ジカルボン酸(3)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸およびこれらの併用であり、さらに好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、およびこれらと炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸の併用であり、特に好ましいものは、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびこれらと少量の炭素数4〜18のアルキレンジカルボン酸の併用である。
3価以上のポリカルボン酸(4)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、不飽和カルボン酸のビニル重合物(スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/アクリル酸共重合物、α−オレフィン/マレイン酸共重合物、スチレン/フマル酸共重合物など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸である。
【0009】
また、(1)、(2)、(3)、(4)とともにヒドロキシカルボン酸(5)を共重合することもできる。
ヒドロキシカルボン酸(5)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。
【0010】
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.3である。
3価以上のポリオール(2)および3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、(2)と(4)のモル数の和が(1)〜(4)のモル数の合計に対して、通常40モル%以下、好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。
【0011】
(A)の数平均分子量は、通常1000〜20000、好ましくは、1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000以上であるほうが耐熱保存性の観点から好ましく、20000以下であるほうが低温定着性の観点から好ましい。
また、分子量2000〜20000にメインピークを有しており、かつメインピークの1.5倍以上の分子量にサブピークもしくはショルダーを有しているか、またはテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有していることが低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点で好ましい。
サブピークとメインピークの分子量比は、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.3〜20倍、特に好ましくは2.5〜10倍である。
THF不溶分を含有している場合のTHF不溶分は、通常2重量%以上、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。
【0012】
上記分子量分布にするために、(A)は異なる重合系で縮合した2種以上のポリエステルの混合物であることが好ましい。すなわち、THF不溶分を含有しない分子量2000〜20000にメインピークを有する低分子量ポリエステル(A1)と、該(A1)の1.5倍以上の分子量にメインピークを有するか、またはTHF不溶分を含有する高分子量ポリエステル(A2)の混合物が好ましい。本発明においては、(A1)と(A2)は粉体混合でもよいが、溶融混合または溶液混合にて均一混合されているほうがトナーの混練時に顔料が均一分散できる点でより好ましい。
【0013】
(A1)、(A2)の構成単量体としては、前記(A)と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。また、(A1)と(A2)の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。
(A1)の数平均分子量は、通常1000〜5000であり、好ましくは、1300〜4000、さらに好ましくは1500〜3500、特に好ましくは2000〜3300である。
(A1)のピーク分子量は、通常2000〜20000であり、好ましくは、3500〜15000、さらに好ましくは4000〜13000、特に好ましくは5000〜10000である。
また、(A1)は、通常架橋に伴うTHF不溶分を含有せず、実質的に線状なことが好ましい。(A1)が線状であることで低温定着性が向上する。
(A2)の分子量は、THF不溶分を含有しない場合は、数平均分子量が、通常5000以上であり、好ましくは、6000〜100000、さらに好ましくは6500〜60000であり、ピーク分子量は、(A1)のピーク分子量に対して、通常1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.3〜20倍、特に好ましくは2.5〜10倍である。
THF不溶分を含有している場合のTHF不溶分は、通常5重量%以上、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは20〜45重量%、特に好ましくは25〜40重量%である。
トナーバインダーをカラー用に用いる場合は、(A2)がTHF不溶分を含有しないほうが定着画像の光沢が高かい観点から好ましく、実質的に線状にすることでより光沢は向上する。
(A2)にTHF不溶分を含有させることは、耐ホットオフセット性を向上させる点で好ましい。
(A1)、(A2)の溶融粘度は、フローテスターによる溶融粘度が1万poiseとなる温度(Tη)として、(A2)と(A1)の差が大きいほうが低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させるために好ましい。すなわちTηの差は、通常10℃以上、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは70℃である。
具体的なTηとしては、(A1)が、通常60〜130℃、好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは75〜115℃であり、(A2)が、通常110℃以上、好ましくは130〜300℃、さらに好ましくは150〜250℃である。
(A1)と(A2)の重量比は、通常95:5〜20:80、好ましくは90:10〜30:70、さらに好ましくは90:10〜40:60、特に好ましくは85:15〜60:40である。
【0014】
また、(A2)は高分子量にするために、前記ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物をさらにポリイソシアネート、ポリエポキサイドなどを用いて伸長および/または架橋することもできる。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリエポキサイドとしては、ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルテーテル化物など);ジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。
【0015】
(A)の水酸基価は、通常70mgKOH/g以下、好ましくは40mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である。水酸基価が小さいほうが環境安定性および帯電量が向上する点で好ましい。
(A)の酸価は、通常0〜50mgKOH/g、好ましくは5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは8〜30mgKOH/g、特に好ましくは8〜25mgKOH/gである。酸価が小さいほうが環境安定性が向上するが、適度の酸価を有しているほうが帯電の立ち上がりが向上する点で好ましい。
(A)のガラス転移点(Tg)は、通常30〜80℃であり、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは、50〜70℃である。Tgが30℃以上であるほうが耐熱保存性の観点から好ましく、80℃以下であるほうが低温定着性の観点から好ましい。
【0016】
(A)の具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
▲1▼(A1):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸重縮合物
(A2):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/ドデセニルコハク酸/無水トリメリット酸重縮合物
▲2▼(A1):エチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(A2):エチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物/テレフタル酸重縮合物
▲3▼(A1):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水マレイン酸重縮合物
(A2):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/ドデセニルコハク酸重縮合物
▲4▼(A1):エチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(A2):ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物/イソフタル酸重縮合物のジフェニルメタンジイソシアネートによる伸長物
▲5▼(A1):エチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸重縮合物
(A2):エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸重縮合物のイソフォロンジイソシアネートによる伸長物
【0017】
本発明において、ポリエステルの製造過程で使用する縮合触媒(B)としては、(B1)遷移金属触媒、(B2)強酸、(B3)アルカリ、(B4)IVB族、VB族触媒などが挙げられる。
(B1)としては、遷移金属(チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、カドニウム、水銀など)のアルコキサイド(メトキサイド、エトキサイド、ブトキサイドなど)、ジケトンエノレート(アセチルアセトナートなど)およびカルボン酸塩(酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩など)などが挙げられる。
(B2)としては、硫酸、リン酸、ポリリン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
(B3)としては、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水素化ナトリウム、トリアルキルアミン(トリエチルアミンなど)、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド(テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)などが挙げられる。
(B4)としては、ジアルキル錫オキサイド(ジブチル錫オキサイドなど)、酸化アンチモンなどが挙げられる。
これら(B)のうち、(B1)、(B2)、(B3)が触媒失活が容易な点で好ましく、さらに(B1)が触媒活性が高い点でより好ましい。これら(B1)の中で、さらに好ましいものはチタン、鉄、亜鉛のアルコキサイド、またはアセチルアセトナート、ないしは酢酸ジルコニウムであり、特に好ましいものは、鉄および亜鉛のアセチルアセトナートである。
(B)の添加量はポリエステルに対して、通常0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
0.01重量%未満では反応速度が遅くなり、3重量%を越えると失活が困難になるとともに、帯電量が悪化する。
【0018】
失活剤(C)は、縮合触媒(B)の種類によって好適なものが選択される。(B)として(B1)または(B3)を用いる場合の(C)としては、水、リン酸誘導体[リン酸、ポリリン酸、リン酸モノおよび/またはジエステル(リン酸モノステアリル、リン酸ジステアリルなど)など]、(次)亜リン酸誘導体(次亜リン酸、亜リン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、水およびリン酸誘導体であり、さらに好ましいものは、水、リン酸およびリン酸モノおよび/またはジエステルであり、特に好ましいものは、水である。
触媒として(B2)を用いる場合は、(B3)と同様のアルカリが(C)として挙げられ、触媒として(B3)を用いる場合は、(B1)と同様の強酸が(C)として挙げられる。
(C)の添加量は、水の場合は、(B)に対して、通常0.1当量以上、好ましくは0.5〜500当量、さらに好ましくは0.8〜100当量、特に好ましくは0.9〜30当量である。なお、縮合に伴い水が生成する場合は、この生成水が失活剤(C)としても機能するため、縮合反応完結後に触媒活性を有している(B)に対して前記の量の水を加えればよい。
水以外の場合の(C)の添加量は、(B)に対して、通常0.1〜10当量、好ましくは0.3〜5当量、さらに好ましくは0.5〜3当量である。
【0019】
本発明において縮合触媒(B)は失活剤(C)によって、実質的に触媒能のない失活された状態(D)になる。
(B)として(B1)を用いた場合の(D)としては、遷移金属の酸化物、水酸化物および強酸塩が挙げられ、好ましいのは遷移金属の酸化物、水酸化物およびリン酸誘導体塩であり、特に好ましいのは遷移金属の酸化物および水酸化物である。
実質的に触媒能のない失活された状態(D)とは、通常の加熱条件下でエステル化およびエステル交換反応が触媒活性がある状態と比較して充分遅いことである。これによって、ポリエステル(A)は熱的に安定になり、(A)が1種のポリエステルの場合のみならず、2種以上のポリエステルの混合物からなる場合においても、トナーの混練時等の熱履歴で性能が変化しにくくなる。
ポリエステルの熱的安定性は、前述のエチレングリコールと加熱した前後の数平均分子量の低下率から求められる。
【0020】
本発明のトナーバインダーの製造方法としては以下の方法などが挙げられる。
ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを、縮合触媒(B)の存在下、150〜280℃に加熱し、水または低級アルコールを溜去することにより縮合する。反応末期には反応速度を向上させるために減圧にするほうが好ましい。減圧度は、通常50mmHg以下、好ましくは30mmHg以下である。
縮合触媒(B)として水により失活しやすいもの(たとえばテトラアルコキシチタネート、ジケトン鉄エノレートなど)を用いる場合は、エステル交換反応により縮合するほうが好ましい。すなわち、酸成分としてポリカルボン酸の低級アルコールエステルを用いるか、ポリカルボン酸を溜去可能なアルコールのエステルにした後、ポリオール成分と(B)を加えて縮合する。たとえばポリカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、溜去可能なアルコールとしてエチレングリコールを用いる場合は、まず、テレフタル酸と2倍量のエチレングリコールを常圧または加圧下に150〜210℃に加熱脱水し、ビスヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次いで、これにポリオール成分と(B)を加えて、減圧下に150〜280℃に加熱し、エチレングリコールを溜去し縮合する。
縮合反応終了後、次いで失活剤(C)を加えて、縮合触媒を失活せしめる。失活の反応温度は、通常100〜280℃、反応時間は10分〜5時間である。失活剤(C)として水を用い、反応温度が100℃以上の場合は、加圧にするほうが好ましい。圧力は通常0〜10kg/cm2である。
【0021】
(A)として、異なる分子量分布を持つポリエステル2種以上を混合する場合は、上記方法で各々ポリエステルを得、次いで混合する。混合方法としては、粉体混合法、溶融混合法、溶液混合法を用いることができる。粉体混合はミキサーなどを用いた公知の方法が適用できる。
溶融混合法では、連続式、バッチ式のいずれの方法も適用できる。連続式では、ニーダー、エクストルーダー等の公知の混練機を用いて、80〜250℃で混合することで得られる。混合時間は混練機の種類によって適宜選択されるが、通常1〜30分である。バッチ式では、各構成ポリエステルを混合槽中に入れ、100〜200℃に加熱溶融し、1〜10時間撹拌し混合することで得られる。
溶液混合法では、構成ポリエステルを溶剤に溶解し混合後、用いた溶剤を常圧および減圧溜去することで得られる。溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど);ハロゲン系溶剤(ジクロロエタンなど);およびアミド系溶剤(ジメチルホルムアミドなど)などが使用できる。溶解温度、溶剤を溜去する温度は用いた溶剤の種類によって適宜選択されるが、通常80〜180℃である。
【0022】
(A)としてポリイソシアネート等で伸長および/または架橋反応させたポリエステルを用いる場合、伸長・架橋反応させた後、上記混合を行ってもよいが、伸長・架橋前のポリエステルを混合した後、伸長・架橋反応させることもできる。伸長・架橋反応は、反応槽中または押し出し機中で50〜180℃にて、ポリエステルにポリイソシアネートを反応させることで得られる。反応させる際に、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネートに対して不活性なものが挙げられる。
【0023】
本発明のトナーバインダーは、着色剤および必要により離型剤、荷電制御剤などの種々の添加剤等を混合し、乾式トナーとして用いられる。
着色剤としては公知の染料、顔料および磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
トナー中の着色剤の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、通常2〜15重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常20〜70重量%である。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックス(カルナバワックス、モンタンワックス、ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
トナー中の離型剤の含有量は通常0〜10重量%であり、好ましくは1〜7重量%である。
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は通常0〜5重量%である。
さらに、流動化剤を使用することもできる。流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
【0024】
乾式トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー成分を乾式ブレンドした後、溶融混練され、その後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、さらに風力分級し、粒径が通常2〜20μmの粒子として得られる。
【0025】
本発明のトナーバインダーを用いた乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
【0026】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0027】
【実施例】
実施例および比較例で得られたトナーバインダーの性質の測定法を次に示す。
1.酸価および水酸基価
JIS K0070に規定の方法。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いた。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL30R150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
2.ガラス転移点(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
3.分子量
THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定。
GPCによる分子量測定の条件は以下の通りである。
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東洋曹達製)
測定温度 : 25℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量: 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
4.テトラヒドロフラン(THF)不溶分
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶分を算出する。
5.溶融粘度が1万poiseになる温度(Tη)の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その溶融粘度が1万poiseになる温度を測定した。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 10kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 5℃/min.
【0028】
実施例1
[BHTの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸1660部およびエチレングリコール1240部を入れ、1.5kg/cm2に加圧して230℃で生成する水を溜去しながら5時間反応し、テレフタル酸エチレングリコールエステル(BHT)を得た。
[低分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、上記BHT460部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物761部および縮合触媒である鉄アセチルアセトナート1.5部を入れ、230℃で10〜15mmHgの減圧下にエチレングリコールを溜去しながら、8時間反応した。
次いで、これに無水トリメリット酸57.9部を加えて常圧下、180℃で45分間反応させた。
得られた縮合物に180℃、2kg/cm2の加圧下に、失活剤として水2部を加え1時間反応させて、ポリエステル(1-1)を得た。
ポリエステル(1-1)の数平均分子量は2700、ピークトップ分子量は6200、Tηは101℃であった。
[高分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、BHT547部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物648部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物70部および縮合触媒として鉄アセチルアセトナート1.5部を入れ、230℃で1〜5mmHgの減圧下にエチレングリコールを溜去しながら反応させた。Tηが175℃になった時点で、2kg/cm2に加圧し、失活剤として水2部を加え1時間反応させて、ポリエステル(1-2)を得た。
ポリエステル(1-2)の数平均分子量は7700、ピークトップ分子量は26000であった。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(1-1)700部とポリエステル(1-2)300部を撹拌機の付いた反応槽中に入れ、常圧下140℃で3時間撹拌し、溶融混合して本発明のトナーバインダー(1)を得た。
トナーバインダー(1)の数平均分子量は3300、重量平均分子量は18000、ピークトップ分子量は6600と25000であり、ガラス転移点(Tg)61℃、酸価19、水酸基価30であった。
トナーバインダー(1)100部にエチレングリコール1.9部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は3200であり、低下率は3%であった。
【0029】
比較例1
[低分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸301部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物761部および縮合触媒であるジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃、常圧で8時間、次いで10〜15mmHgの減圧下に生成水を溜去しながら酸価が2になるまで反応した。次いで、これに無水トリメリット酸57.9部を加えて常圧下、180℃で45分間反応させて、ポリエステル(C1-1)を得た。
ポリエステル(C1-1)の数平均分子量は2600、ピークトップ分子量は6300、Tηは102℃であった。
[高分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸357部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物648部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物70部、および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃、常圧で10時間、次いで10〜15mmHgの減圧下に生成水を溜去しながら反応した。Tηが175℃になった時点で取り出し、ポリエステル(C1-2)を得た。
ポリエステル(C1-2)の数平均分子量は7600、ピークトップ分子量は27000であった。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(C1-1)700部とポリエステル(C1-2)300部を実施例1と同様に溶融混合して比較トナーバインダー(C1)を得た。
比較トナーバインダー(C1)の数平均分子量は3400、重量平均分子量は、11000ピークトップ分子量は7400に1つのみであり、Tg60℃、酸価20、水酸基価30であった。
比較トナーバインダー(C1)100部にエチレングリコール1.8部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は1700であり、低下率は50%であった。
【0030】
比較例2
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(C1-1)700部とポリエステル(C1-2)300部の粉砕物を粉体混合して比較トナーバインダー(C2)を得た。
比較トナーバインダー(C2)の数平均分子量は3300、重量平均分子量は、19000ピークトップ分子量は6600と26000であり、Tg62℃、酸価18、水酸基価31であった。
比較トナーバインダー(C2)100部にエチレングリコール1.9部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は2000であり、低下率は40%であった。
【0031】
評価例1および比較評価例1、2
本発明のトナーバインダー(1)、比較トナーバインダー(C1)または(C2)100部およびシアニンブルーKRO(山陽色素(株)製)4部を下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し粒径d50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナー(1)、比較トナー(C1)および(C2)を得た。
評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
トナーNo GLOSS HOT 顔料分散性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
トナー(1) 150℃ 210℃ ○
比較トナー(C1) 150℃ 170℃ ○
比較トナー(C2) 150℃ 195℃ ×
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0033】
[評価方法]
▲1▼光沢発現温度(GLOSS)
市販カラープリンター(LBP2030;キヤノン製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。
▲2▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記GLOSSと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
▲3▼顔料分散性
トナーをスライドグラス上に溶融成形しフィルム状にした。光学顕微鏡にて、このフィルム状のトナーを倍率400倍で観察し、顔料凝集物の有無を目視判定した。
判定基準 ○:凝集物なし
△:わずかに凝集物あり
×:凝集物が多数あり
【0034】
実施例2
[低分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ジメチルテレフタレート194部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物244部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、および縮合触媒であるテトラブトキシチタネート0.6部を入れ、220℃、常圧で8時間、次いで10〜15mmHgの減圧下に5時間メタノールを溜去しながら反応した。
次いで、これに無水トリメリット酸46.8部を加えて常圧下、180℃で45分間反応させた。
得られた縮合物に180℃、2kg/cm2の加圧下に、失活剤として水1部を加え1時間反応させて、ポリエステル(2-1)を得た。
ポリエステル(2-1)の数平均分子量は1900、ピークトップ分子量は4200、Tηは102℃であった。
[高分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ジメチルテレフタレート97部、ジメチルイソフタレート97部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物434部、フェノールノボラックのエチレンオキサイド付加物29.7部および縮合触媒であるテトラブトキシチタネート0.9部を入れ、220℃、常圧で8時間、次いで10〜15mmHgの減圧下に5時間メタノールを溜去しながら反応した。
次いで、無水トリメリット酸55.9部を加え、220℃、常圧で反応し、メルトインデックス(150℃、10kg荷重)が0.5になった時点で、失活剤としてステアリルアシッドホスフェート(アデカスタブAX−71旭電化工業(株)製)3.6部を加え1時間反応させて、ポリエステル(1-2)を得た。
ポリエステル(2-2)の数平均分子量は4200、ピークトップ分子量は7400、THF不溶分は42%であった。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(2-1)600部とポリエステル(2-2)400部をニーダーにて180℃、滞留時間10分の条件で溶融混合して本発明のトナーバインダー(2)を得た。
トナーバインダー(2)の数平均分子量は2800、ピークトップ分子量は4900、THF不溶分は17%であり、Tg64℃、酸価37、水酸基価31であった。
トナーバインダー(2)100部にエチレングリコール2.2部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は2600であり、低下率は7%であった。
【0035】
比較例3
[低分子ポリエステルの合成]
水による失活を行わない以外は実施例2と同様に反応し、ポリエステル(C3-1)を得た。
ポリエステル(2-1)の数平均分子量は1900、ピークトップ分子量は4200、Tηは103℃であった。
[高分子ポリエステルの合成]
ステアリルアシッドホスフェートによる失活を行わない以外は実施例2と同様に反応し、ポリエステル(C3-2)を得た。
ポリエステル(C3-2)の数平均分子量は4300、ピークトップ分子量は7400、THF不溶分は43%であった。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(C3-1)600部とポリエステル(C3-2)400部を実施例2と同様に溶融混合して、比較トナーバインダー(C3)を得た。
比較トナーバインダー(C3)の数平均分子量は3100、ピークトップ分子量は5300、THF不溶分は3%であり、Tg61℃、酸価36、水酸基価32であった。
比較トナーバインダー(C3)100部にエチレングリコール2部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は1800であり、低下率は42%であった。
【0036】
比較例4
ポリエステル(C3-1)600部とポリエステル(C3-2)400部の粉砕物を粉体混合して比較トナーバインダー(C4)を得た。
比較トナーバインダー(C4)の数平均分子量は2700、ピークトップ分子量は4800、THF不溶分は18%であり、Tg64℃、酸価37、水酸基価31であった。
比較トナーバインダー(C4)100部にエチレングリコール2.3部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は1500であり、低下率は44%であった。
【0037】
実施例3
[高分子ポリエステルの合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、BHT547部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物648部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物70部および縮合触媒として鉄アセチルアセトナート1.5部を入れ、230℃で1〜5mmHgの減圧下にエチレングリコールを溜去しながら反応させた。Tηが190℃になった時点で、2kg/cm2に加圧し、失活剤として水2部を加え1時間反応させた。
次いで、上記重縮合物1000部をジメチルホルムアミド(DMF)2500部に溶解した。80℃にて減圧にして水分を溜去した後、ジフェニルメタンジイソシアネート24.5部を加え、80℃で5時間伸長反応させて、ポリエステル(3-2)を得た。
ポリエステル(3-2)の数平均分子量は32000、ピークトップ分子量は190000であった。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(2-1)800部と上記ポリエステル(3-2)のDMF溶液700部をDMF500部に80℃で溶解した。この溶液をメタノール/水(3/1)混合溶剤に加え、ポリマー分を沈殿させた後、ろ別、減圧乾燥し、本発明のトナーバインダー(3)を得た。
トナーバインダー(3)の数平均分子量は2700、ピークトップ分子量は 4100と19000であり、Tg65℃、酸価30、水酸基価38であった。
トナーバインダー(3)100部にエチレングリコール2.3部を加え、常圧下140℃で10時間撹拌した後の数平均分子量は2600であり、低下率は4%であった。
【0038】
評価例2、3および比較評価例3、4
本発明のトナーバインダー(2)、(3)および比較トナーバインダー(C3)(C4)100部に対して、カーボンブラックMA−100(三菱化学(株)製)8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤T−77(保土谷化学(製))1部を加え評価例1と同様にトナー化し、粒径d50が9μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.3部をサンプルミルにて混合して、トナー(2)、(3)比較トナー(C3)、(C4)を得た。
評価結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
トナーNo MFT HOT 顔料分散性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
トナー(2) 130℃ 220℃ ○
比較トナー(C3) 130℃ 160℃ ○
比較トナー(C4) 130℃ 200℃ ×
トナー(3) 125℃ 210℃ ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0040】
[評価方法]
▲1▼最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
▲2▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
▲3▼顔料分散性
トナーの誘電正接(tanδ)を測定し、これを顔料分散性の指標とした。
判定基準 ○:tanδ:10以下
△:tanδ:10〜30
×:tanδ:30以上
誘電正接測定条件
装置 : 安藤電気(株)製 TR−1100型誘電体損測定装置
電極 : 安藤電気(株)製 SE−43型 粉体電極
測定周波数:1kHz
【0041】
【発明の効果】
本発明のトナーバインダーは以下の効果を奏する。
1.低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
2.顔料分散性に優れ、帯電特性に優れる。
3.トナーの加工条件による性能変化が少ない。

Claims (10)

  1. ポリエステル(A)からなるトナーバインダーにおいて、該(A)が、異なる重合系で縮合した2種のポリエステル(A1)および(A2)の混合物からなるポリエステルであり、該(A)100重量部に対して下式(1)で求められるw重量部のエチレングリコールを加えて140℃で10時間加熱した後の(A)の数平均分子量の低下率が20%以下であることを特徴とするトナーバインダー。
    式(1) w=100×62.07/Mn
    [式中Mnは(A)の数平均分子量を表す]
  2. 該(A)が、(A)の製造過程で使用した縮合触媒(B)を失活剤(C)により、実質的に触媒能のない失活された状態(D)にせしめたポリエステルである請求項1記載のトナーバインダー。
  3. 該(B)が、遷移金属のアルコキサイドおよびジケトンエノレートからなる群から選ばれる縮合触媒である請求項2記載のトナーバインダー。
  4. 該(B)が、チタンもしくは鉄のアルコキサイド、またはアセチルアセトナートである請求項3記載のトナーバインダー。
  5. 該(C)が、水およびリン酸誘導体からなる群から選ばれる失活剤である請求項2〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
  6. 該(D)が、遷移金属の酸化物および/または水酸化物である請求項2〜5のいずれか記載のトナーバインダー。
  7. 該(A)がゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、分子量2000〜20000にメインピークを有しており、かつメインピークの1.5倍以上の分子量にサブピークもしくはショルダーを有するか、またはテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有するポリエステルである請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー。
  8. 該(A1)、該(A2)のいずれもがTHF不溶分を含有せず、かつ、該(A1)のGPCにおけるピーク分子量(Mp1)が2000〜20000であり、該(A2)のピーク分子量(Mp2)が該(Mp1)の1.5倍以上である請求項1〜7のいずれか記載のトナーバインダー。
  9. 該(A1)がTHF不溶分を含有せず、かつGPCにおけるピーク分子量(Mp1)が2000〜20000であり、該(A2)がTHF不溶分を5重量%以上含有するポリエステルである請求項1〜7のいずれか記載のトナーバインダー。
  10. ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを、チタンもしくは鉄のアルコキサイド、またはアセチルアセトナートを縮合触媒として縮合せしめる工程と、該縮合触媒を水およびリン酸誘導体からなる群から選ばれる失活剤と反応せしめる工程からなるポリエステル系トナーバインダーの製造方法で製造されたポリエステル2種以上を、さらに混合する工程を有するトナーバインダーの製造方法。
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