JP4699065B2 - ポリエステル樹脂の製法、ポリエステル樹脂、及びトナー組成物 - Google Patents
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Description
スズ化合物を用いずにポリエステル樹脂を製造する方法としては、例えば、反応活性に優れ、耐加水分解性が良好で、トナー用結着樹脂の製造に適した触媒とされる特定構造のチタン化合物を触媒として用いる方法が開示されている(特許文献1参照)。
本発明は、スズ化合物以外の触媒を用いる場合でも、効率よくポリエステル樹脂を製造する方法を見出すことを目的とする。
すなわち本発明は、下記(I)、(II)、および(IV)である。なお、(III)は参考発明である。
(I) ポリオール成分とポリカルボン酸成分をチタン含有触媒の存在下に重縮合させるポリエステル樹脂の製法において、ポリオール成分が、10〜100モル%のビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物からなり、ポリカルボン酸成分の少なくとも一部として、ポリカルボン酸の1,2−プロピレングリコールエステルを用い、1,2−プロピレングリコールを脱離させることを特徴とするポリエステル樹脂の製法。
(II) (I)の製法により得られ、数平均分子量が1000〜20000であるポリエステル樹脂。
(III) ポリオール構成単位とポリカルボン酸構成単位からなるポリエステル樹脂であって、ポリオール構成単位中にビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の単位を10〜100モル%含有し、ポリカルボン酸構成単位中に芳香族ポリカルボン酸の単位を60モル%以上含有し、スズの含量が10ppm以下であるポリエステル樹脂。
(IV) (II)のポリエステル樹脂と、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなるトナー組成物。
本発明のポリエステル樹脂の製法においては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分を重縮合させる。
ポリカルボン酸成分中にはポリカルボン酸の1,2−プロピレングリコールエステル(以下、1,2−プロピレングリコールをPGと略記することがある)を必須成分として含有する。
PGエステルを構成するポリカルボン酸のうち、脂肪族(脂環式を含む)ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸、およびセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、およびグルタコン酸等)、などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。
カルボン酸のうち、3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、およびスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
アルコール成分とカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは8/1〜2/1、さらに好ましくは6/1〜2.5/1、とくに好ましくは5/1〜3/1である。
PGエステルとしては、ポリカルボン酸の1個以上のカルボキシル基がPGによりエステル化された構造であればよいが、すべてのカルボキシル基がPGによりエステル化された構造の、PGポリエステルが好ましい。ポリカルボン酸のPGエステル置換率(以下、単に置換率ともいう)は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、とくに好ましくは80%以上である。
置換率を50%以上とすることでエステル化反応時間が短縮される点で好ましい。
置換率は、例えば、1H−NMRから求めることができる。
他のポリカルボン酸としては、PGエステルを構成するポリカルボン酸と同様のものが挙げられる。好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物、あるいはその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜4)であり、さらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、またはその無水物、あるいはその低級エステルおよびこれらの併用であり、とくに好ましくは、フマル酸、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、またはその無水物、あるいはその低級アルキルエステルおよびこれらの併用である。
ポリカルボン酸成分中の、ポリカルボン酸のPGエステルの含有量は50モル%以上が好ましい。さらに好ましくは70モル%以上、とくに好ましくは80モル%以上である。
これらの多価アルコールの中で、好ましくは、炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、炭素数6〜36の脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物、ビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜4のAO付加物であり、さらに好ましくビスフェノール類の炭素数2〜3のAO(EOおよびPO)付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜3のAO(EOおよびPO)付加物である。
また、帯電の環境安定性などのトナー性能の観点から、ポリオール成分中のビスフェノールAのPO付加物の含有量は、10〜100モル%が好ましい。さらに好ましくは60〜100モル%、とくに好ましくは80〜100モル%である。
なお、製造するポリエステル樹脂のポリオール構成単位がPGのみの場合は、ポリカルボン酸のPGエステルのみを用いて、ポリオール成分としては、特に何も用いなくても製造可能であり、この方法も本発明に含まれる。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
アルコール成分とカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
これらの触媒の中では、環境保全の点から、スズ含有触媒以外の触媒が好ましく、チタン含有触媒がさらに好ましい。
触媒の添加量は、反応速度が最大になるように適宜決定することが望ましい。添加量としては、10ppm〜1.9%、好ましくは100ppm〜1.7%である。添加量を10ppm以上とすることで反応速度が大きくなる点で好ましい。
本発明の製法により得られるポリエステル樹脂は、比較的軟化点の高い樹脂が効率的に得られ、樹脂強度が高いため、トナー用バインダー樹脂として好適に用いることができる。
また、トナー用バインダー樹脂として用いる場合の、THF可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、樹脂強度と、低温定着性、および樹脂の粉砕性のバランスの観点から、好ましくは1200〜50000、さらに好ましくは1500〜40000である。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東ソー(株)製)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量: 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、トナー用ポリエステル樹脂粒子の分子量の測定は、トナー用ポリエステル樹脂中の任意の粒子1粒を取り出し、これをTHFに溶解したものを試料溶液とした。この測定を10粒子について測定した。
本発明において、スズの含量は、蛍光X線法により求めたものである。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
THF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
(B)と(C)の重量比は、好ましくは10/90〜80/20、さらに好ましくは20/80〜75/25、とくに好ましくは25/75〜70/30である。
また、同様の理由で、(C)のTHF可溶分のMnが(B)のMnよりも200以上大きいことが好ましく、300以上大きいことがさらに好ましい。
非線形ポリエステル樹脂(C)は、通常前記のジカルボン酸およびジオールと共に、前記の3価以上のポリカルボン酸および/または3価以上の多価アルコールを反応させて得られる。
(C)を得る場合の3価以上のポリカルボン酸と3価以上の多価アルコールの比率は、これらのモル数の和が、全アルコール成分とカルボン酸成分のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは3〜20モル%である。
(C)のTHF不溶解分は、好ましくは5〜70%である。下限は、さらに好ましくは10%、とくに好ましくは15%であり、上限は、さらに好ましくは60%、とくに好ましくは50%である。上記範囲のTHF不溶解分を含有させることは、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
1.酸価および水酸基価
JIS K0070(1992年版)に規定の方法。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いた。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL30R150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
2.軟化点の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
3.PGエステル置換率
下記条件にてプロトン核磁気共鳴スペクトル測定を行い、残存するテレフタル酸ジメチルエステルもしくはテレフタル酸量からPGエステル置換率を算出した。
装置 : 日本電子製XL−300
積算回数 : 64回
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム
内部標準 : テトラメチルシラン
合成したテレフタル酸ジエステル1部に対し、重水素化クロロホルムを30部加え、完全に溶解させたものについてプロトン核磁気共鳴スペクトル測定を行った。
4.スズ含量
蛍光X線法による。
装置:SXF−1200BF(島津製作所製)
[テレフタル酸ジエステルA1の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、PG647部(24.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル688部(10.0モル)及び触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら3時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、メタノール及び過剰量のPGを留去しながら5時間反応させ取り出した。これをテレフタル酸ジエステル(A1)とする。A1の置換率は99.9%であった。
[テレフタル酸ジエステルA2の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、PG1078部(40.0モル)、テレフタル酸589部(10.0モル)及び触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃、0.4〜0.5MPaの加圧下に水を留去しながら3時間反応させた。次いで180℃まで冷却した後、230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、水及び過剰量のPGを留去しながら5時間反応させ取り出した。これをテレフタル酸ジエステル(A2)とする。A2の置換率は97.0%であった。
[テレフタル酸ジエステルA3の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1−オクタノール800部(24.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル497部(10.0モル)及び触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら3時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、メタノール及び過剰量の1−オクタノールを留去しながら5時間反応させ取り出した。これをテレフタル酸ジエステル(A3)とする。A1−3のオクタノールエステル置換率(上記PGエステル置換率に準じて測定)は99.9%であった。
[線形ポリエステルB1の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジエステル(A1)520部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下にPGを留去しながら反応させた。生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が110℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(B1)とする。B1の軟化点に達するまでの所要時間は10時間であった。
線形ポリエステル(B1)のTgは60℃、Mpは12000、Mwは14000、THF不溶解分は0%、スズ含量は10ppm以下であった。
[線形ポリエステルB2の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジエステル(A2)493部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物359部(5.9モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物414部(5.9モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下にPGを留去しながら反応させた。生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が96℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(B2)とする。B2の軟化点に達するまでの所要時間は10時間であった。
線形ポリエステル(B2)のTgは58℃、Mpは7000、Mwは8000、THF不溶解分は0%、スズ含量は10ppm以下であった。
[非線形ポリエステルC2の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジエステル(A1−2)351部(9.0モル)、フマル酸16部(1.0モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物694部(12.5モル)、フェノールノボラックのEO付加物56部(0.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下にPGを留去しながら反応させた。生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が85℃になった時点で180℃まで冷却した。次いで、無水トリメリット酸77部(1.2モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線形ポリエステル(C2)とする。C2の軟化点に達するまでの所要時間は12時間であった。
非線形ポリエステル(C2)のTgは58℃、Mpは6000、THF不溶解分は30%、スズ含量は10ppm以下であった。
[トナー用ポリエステル樹脂の作成]
線形ポリエステル(B2)600部と非線形ポリエステル(C2)400部をコンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化してトナー用ポリエステル樹脂(D2)を得た。
[線形ポリエステルB’3の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸306部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が110℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(B’−3)とする。B’−3の軟化点に達するまでの所要時間は12時間であった。
線形ポリエステル(B’3)のTgは60℃、Mpは12000、Mwは14000、THF不溶解分は0%、スズ含量は1000ppmであった。
[線形ポリエステルB’−4の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸306部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡したが、48時間反応させた時点での軟化点は65℃であり、所望の軟化点(110℃)には到達しなかったため合成を中止した。
[線形ポリエステルB’−5の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジメチルエステル358部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら6時間反応させた。次いで230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡したが、48時間反応させた時点での軟化点は65℃であり、所望の軟化点(110℃)には到達しなかったため合成を中止した。
[線形ポリエステルB’−6の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジエステル(A1−3)719部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に1−オクタノールを留去しながら反応させた。生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡したが48時間反応させた時点での軟化点は65℃であり、所望の軟化点(110℃)には到達しなかったため合成を中止した。
[線形ポリエステルB’−7の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸ジエチレングリコールエステル468部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物353部(5.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物408部(5.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下にエチレングリコールを留去しながら反応させた。生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡したが、48時間反応させた時点での軟化点は65℃であり、所望の軟化点(110℃)には到達しなかったため合成を中止した。
[線形ポリエステルB’−8の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸290部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物359部(5.9モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物414部(5.9モル)及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が96℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル(B’−8)とする。B’−8の軟化点に達するまでの所要時間は10時間であった。
線形ポリエステル(B’−8)のTgは58℃、Mpは7000、Mwは8000、THF不溶解分は0%、スズ含量は1000ppmであった。
[非線形ポリエステルC’−8の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸206部(9.0モル)、フマル酸16部(1.0モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物694部(12.5モル)、フェノールノボラックのEO付加物56部(0.5モル)及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡し、軟化点が85℃になった時点で180℃まで冷却した。次いで、無水トリメリット酸77部(1.2モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線形ポリエステル(C’8)とする。C’−9の軟化点に達するまでの所要時間は12時間であった。
非線形ポリエステル(C’8)のTgは58℃、Mpは6000、THF不溶解分は30%、スズ含量は1000ppmであった。
[トナー用ポリエステル樹脂の作成]
線形ポリエステル(B’8)600部と非線形ポリエステル(C’8)400部をコンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化してトナー用ポリエステル樹脂(D’4)を得た。
[線形ポリエステルB’9の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸290部(10.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物359部(5.9モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物414部(5.9モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡したが、48時間反応させた時点においても軟化点が65℃までしか到達していなかった。所望の軟化点(85℃)に到達しなかったため、合成を中止した。
[非線形ポリエステルC’−9の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸206部(9.0モル)、フマル酸16部(1.0モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物694部(12.5モル)、フェノールノボラックのEO付加物56部(0.5モル)及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を仕込み、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、生成するポリマーの軟化点を測定しながら反応を追跡した。48時間反応させた時点において軟化点が65℃までしか到達していなかった。所望の軟化点(85℃)に到達しなかったため、合成を中止した。
本発明のポリエステル樹脂B1および比較のポリエステル樹脂B’3それぞれ100部に対して、シアニンブルーKRO(山陽色素製)8部、カルナバワックス5部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(1)、および比較用のトナー組成物(2)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表1に示す。
本発明のポリエステル樹脂D2および比較のポリエステル樹脂D’4それぞれ100部に対して、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]1部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(3)、および比較用のトナー組成物(4)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕光沢発現温度(Gross)
上記MFTと同様にして、現像した未定着画像を、市販カラープリンター(LBP2160;キヤノン製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。
Claims (6)
- ポリオール成分とポリカルボン酸成分をチタン含有触媒の存在下に重縮合させるポリエステル樹脂の製法において、ポリオール成分が、10〜100モル%のビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物からなり、ポリカルボン酸成分の少なくとも一部として、ポリカルボン酸の1,2−プロピレングリコールエステルを用い、1,2−プロピレングリコールを脱離させることを特徴とするポリエステル樹脂の製法。
- ポリカルボン酸の1,2−プロピレングリコールエステルを構成するポリカルボン酸が、60モル%以上の芳香族ポリカルボン酸からなる請求項1記載のポリエステル樹脂の製法。
- 請求項1または2記載の製法により得られ、数平均分子量が1000〜20000であるポリエステル樹脂。
- トナーバインダー樹脂用である請求項3記載のポリエステル樹脂。
- 請求項4記載のポリエステル樹脂と、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなるトナー組成物。
- カラートナー用である請求項5記載のトナー組成物。
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