JP4540874B2 - トナーバインダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナー用のトナーバインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式トナーに用いられるトナーバインダーには、熱ロール温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)と、高い熱ロール温度でもトナーが熱ロールに融着しないこと(耐ホットオフセット性)という相反する性能を満たすことが求められている。
従来、トナーバインダーとしては、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂などが用いられているが、低温定着性に優れることから、架橋ポリエステルが多用されつつある。
ポリエステルの低温定着性と耐ホットオフセット性の向上を狙ったものとして、分子量分布の異なる2種のポリエステルを混合する方法(たとえば特開昭60−214368号公報、特開昭63−225244号公報、特開平4−313760号公報など)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、省エネルギー化の観点から、従来よりいっそうの低温定着性が求められるとともに、複写機等の装置の小型化の観点から、よりいっそうの耐ホットオフセット性が求められ、上記に開示されているものは、従来のポリエステルよりも低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスは改善傾向にはあるものの、類似組成で単に軟化点に差をつけたに過ぎず、近年の要求レベルに対してはまだ十分に満足できるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れたトナーバインダーを開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ポリエステル(A)、およびSP値が(A)とは0.5〜1.0異なるポリエステル(B)からなり、(A)と(B)が下記(I)または(II)を満たすことを特徴とする乾式トナー用トナーバインダーである。
(I) 該(A)、該(B)のいずれもが、ジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸成分と、ジオール成分からなるポリオール成分を重縮合してなるテトラヒドロフラン不溶分を含有しないポリエステルからなり、該(A)の重量平均分子量(MwA)と該(B)の重量平均分子量(MwB)の比(MwA/MwB)が1.5以上である。
(II) 該(A)が、ジカルボン酸成分とジオール成分と3価以上のポリカルボン酸成分および/または3価以上のポリオール成分を重縮合してなるテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有する非線状ポリエステルであり、該(B)が、ジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸成分と、ジオール成分からなるポリオール成分を重縮合してなるTHF不溶分を含有しないポリエステルであり、該(B)の軟化点は該(A)の軟化点よりも低い。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル(A)、およびSP値が(A)とは0.5〜1.0異なるポリエステル(B)から構成されるが、(A)のSP値(SPA)と(B)のSP値(SPB)の差の絶対値|SPA−SPB|が特定の範囲になるよう,(A)と(B)のポリオール成分およびポリカルボン酸成分の組成を調整する。
|SPA−SPB|は通常0.5〜1.0、好ましくは0.5〜0.8、さらに好ましくは0.55〜0.75である。|SPA−SPB|が0.5未満では、低温定着性と耐ホットオフセット性が不十分になる。1.0を越えると、2種のポリエステル(A)と(B)の相分離が著しくなり、耐ホットオフセット性、顔料分散性が悪化するとともに、カラートナーに使用した場合透明性が不十分になる。
SPAは、樹脂の粘弾性及びトナー生産時の粉砕性の観点から通常9.5〜13.5、好ましくは9.9〜13.0さらに好ましくは10.2〜12.3である。
SP値は公知のFedorsの方法によって計算できる。なお本発明においては、ポリエステル分子鎖の末端は相溶性に及ぼす影響が少ないため、末端基(水酸基、カルボキシル基など)は無視して計算した値を用いる。
【0006】
トナーバインダーを構成する2種のポリエステル(A)と(B)の組み合わせとしては、
▲1▼(A)、(B)とも架橋にともなうテトラヒドロフラン不溶分(以下、THF不溶分)を含有しないポリエステルである場合と、
▲2▼(A)がTHF不溶分を含有し(B)がTHF不溶分を含有しないポリエステルである場合と、
▲3▼(A)、(B)ともTHF不溶分を含有するポリエステルである場合が挙げられる。
耐ホットオフセット性の向上の観点からは、架橋にともなうTHF不溶分を含有することが好ましいが、画像の光沢の観点からはTHF不溶分を含有しないことが好ましい。また、低温定着性の観点からは少なくとも一方のポリエステルはTHF不溶分を含有していないことが好ましい。
従って、画像の光沢が必要なカラートナー用には上記▲1▼が好ましく、光沢が必要でない場合(たとえば白黒トナー用)には▲2▼が好ましい。
【0007】
▲1▼の(A)、(B)とも架橋にともなうTHF不溶分を含有しないポリエステルである場合における(A)および(B)としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物などが挙げられる。ポリオール成分としては、ジオール(1)、3価以上のポリオール(2)およびそれらの低級アルカン酸エステル(酢酸エステルなど)などが挙げられる。ポリカルボン酸成分としては、ジカルボン酸(3)、3価以上のポリカルボン酸(4)およびそれらの酸無水物または低級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステルなど)が挙げられる。
【0008】
ジオール(1)としては、炭素数2〜18のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数5〜18の脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなど);炭素数12〜23のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールの炭素数2〜18のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物(平均付加モル数2〜8モル);上記ビスフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物(平均付加モル数2〜8モル)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜18のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、脂環式ジオールであり、さらに好ましいものはビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド付加物、炭素数2〜8のアルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、およびこれらの併用であり、より好ましいものはビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物およびこれらと他のジオールの併用である。
また,(A)と(B)で異なるジオールを含有することが好ましく、以下の組み合わせなどが好ましい。
ア)(A)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物またはこれと少量の他のジオールの併用
(B)ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物またはこれと少量の他のジオールの併用
イ)(A)ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物またはこれと少量の他のジオールの併用
(B)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物またはこれと少量の他のジオールの併用
ウ)(A)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物と炭素数2〜8のアルキレングリコールの併用
(B)ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物の併用
エ)(A)ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物の併用
(B)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物と炭素数2〜8のアルキレングリコールの併用
オ)(A)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物とビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物の併用
(B)ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物と水素添加ビスフェノールAの併用
3価以上のポリオール(2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド付加物(フェノール性水酸基1個に対する平均付加モル数0.5〜10モル);上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(フェノール性水酸基1個に対する平均付加モル数0.5〜10モル)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0009】
ジカルボン酸(3)としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸など、マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸およびこれらの併用であり、さらに好ましいものは、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、およびこれらと炭素数12〜50の脂肪族ジカルボン酸の併用であり、より好ましいものは、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらと炭素数16〜50のアルケニルコハク酸の併用である。
また(A)と(B)で異なるジカルボン酸を含有するか、またその含有量に差があることが好ましく、以下の組み合わせなどが好ましい。
カ)(A)テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらと少量の他のカルボン酸の併用
(B)マレイン酸、フマル酸またはこれらとテレフタル酸の併用
キ)(A)マレイン酸、フマル酸またはこれらとテレフタル酸の併用
(B)テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらと少量の他のカルボン酸の併用
ク)(A)炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、アジピン酸、またはセバシン酸とテレフタル酸の併用
(B)テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらと少量の他のカルボン酸の併用
ケ)(A)テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらと少量の他のカルボン酸の併用
(B)炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、アジピン酸、またはセバシン酸とテレフタル酸の併用
さらにジオールとして、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物を含有する場合は、芳香族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を使用する場合は、脂肪族ジカルボン酸を含有させることが好ましい。
3価以上(3〜8価またはそれ以上)のポリカルボン酸(4)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、不飽和カルボン酸のビニル重合物(スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/アクリル酸共重合物、α−オレフィン/マレイン酸共重合物、スチレン/フマル酸共重合物など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸である。
【0010】
また、(1)、(2)、(3)、(4)とともにヒドロキシカルボン酸(5)を共重合することもできる。
ヒドロキシカルボン酸(5)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。
また、(A)は高分子量にするために、前記ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物をさらにポリイソシアネート、ポリエポキサイドなどを用いて伸長および/または架橋することもできる。
ポリイソシアネート、ポリエポキサイドを用いることで、高分子量化が容易になり、耐ホットオフセット性の面からは有利であるが、帯電性の観点からはこれらを用いないポリエステルのほうが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリエポキサイドとしては、ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルテーテル化物など);ジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。
【0011】
(A)におけるポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.3/1〜1/1.3、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.1である。
3価以上のポリオール(2)および3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、(2)と(4)のモル数の和が(1)〜(5)のモル数の合計に対して、通常40モル%未満、好ましくは10モル%未満、さらに好ましくは8モル%未満、特に好ましくは5モル%未満である。最も好ましいのは、(2)および(4)を含有していないか、または含有していても、実質的に1または2官能として反応させ、残りの官能基は未反応として残した、実質的に線状のものである。(A)が実質的に線状であることが耐ホットオフセット性と光沢の両立の観点から好ましい。
【0012】
(A)の重量平均分子量(MwA)は、耐ホットオフセット性および光沢の観点から、通常15,000〜400,000、好ましくは、20,000〜200,000、さらに好ましくは22,000〜60,000である。
また、MwAは後述の(B)の重量平均分子量(MwB)に対して、通常1.2倍以上であり、好ましくは1.5〜200倍、さらに好ましくは1.8〜50倍である。
(A)の数平均分子量(MnA)は、耐熱保存性の観点から通常1,400以上、好ましくは、2,000〜100,000、さらに好ましくは3,000〜50,000、特に好ましくは5,000〜30,000である。
また、MnAは後述の(B)の数平均分子量(MnB)に対して、通常1.2倍以上であり、好ましくは1.5〜20倍、さらに好ましくは1.8〜15倍である。
【0013】
(A)のガラス転移点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常30〜80℃であり、好ましくは45〜77℃、さらに好ましくは、50〜73℃である。
(A)の軟化点は、耐ホットオフセット性および光沢の観点から、通常90〜180℃であり、好ましくは110〜160℃、さらに好ましくは、120〜140℃である。
(A)の水酸基価は、環境安定性および帯電量の向上の観点から通常2〜70mgKOH/g、好ましくは4〜40mgKOH/g、さらに好ましくは6〜30mgKOH/gである。
(A)の酸価は、環境安定性および帯電の立ち上がりの観点から通常0〜40mgKOH/g、好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは1〜25mgKOH/gである。
【0014】
(B)におけるポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.4である。
3価以上のポリオール(2)の比率は、全ポリオール成分の合計に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。
3価以上のポリカルボン酸(4)およびその無水物の比率は、全ポリカルボン酸の合計に対して、通常30モル%以下、さらに好ましくは3〜30モル%、特に好ましくは5〜15モル%の3価以上のポリカルボン酸を含有させることでガラス転移点が高くなり、耐熱保存性が向上する点で好ましいが、後述の分子量分布が大きくなると低温定着性の観点で不利になるため、3価以上のポリカルボン酸を含有させる場合は、実質的に1または2官能として反応させ、残りの官能基は未反応として残し、実質的に線状のものが好ましい。
【0015】
(B)の重量平均分子量(MwB)は、低温定着性の観点から通常2,000〜20,000、好ましくは、3,000〜18,000、さらに好ましくは4,000〜16,000である。
(B)の数平均分子量(MnB)は、耐熱保存性の観点から通常1,000〜12,000、好ましくは、1,500〜10,000、さらに好ましくは1,800〜6,000である。
(B)の分子量分布(MwB/MnB)は、通常10以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3である。
(B)のガラス転移点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常30〜80℃であり、好ましくは45〜77℃、さらに好ましくは、50〜73℃である。
(B)の軟化点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常80〜130℃であり、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは、85〜110℃である。
また、(B)の軟化点は、(A)の軟化点よりも通常低く、好ましくは10℃以上低く、さらに好ましくは20℃以上低い。(B)の軟化点が(A)よりも低いほうが、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。
(B)の水酸基価は、環境安定性および帯電量の向上の向上の観点から通常2〜70mgKOH/g、好ましくは5〜60mgKOH/g、さらに好ましくは10〜50mgKOH/gである。
(B)の酸価は、環境安定性および帯電の立ち上がりの観点から通常0〜52mgKOH/g、好ましくは1〜48mgKOH/g、さらに好ましくは10〜44mgKOH/gである。
また、(B)の酸価(AVB)は、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(WPB重量%)、3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量(MPB)、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の加重平均(XPB)との関数として、{AVB−[WPB×(XPB−1)×561/MPB]}が、好ましくは−10〜15、さらに好ましくは−6〜12、特に好ましくは−3〜10である。
【0016】
(A)、(B)ともにTHF不溶分を含有しないポリエステルである場合における、(A)の重量%(WA)と(B)の重量%(WB)の比率は、通常50:50〜10:90、好ましくは45:55〜15:85、さらに好ましくは40:60〜20:80、特に好ましくは40:60〜25:75である。
【0017】
本発明において、▲2▼の(A)がTHF不溶分を含有し(B)がTHF不溶分を含有しないポリエステルである場合における(A)および(B)としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物などが挙げられる。ポリオール成分およびポリカルボン酸成分としては、▲1▼の場合と同様なジオール(1)、3価以上のポリオール(2)、ジカルボン酸(3)、3価以上のポリカルボン酸(4)が挙げられ、好ましいものも同様である。
(A)におけるポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.3、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
3価以上のポリオール(2)および3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、(2)と(4)のモル数の和が(1)〜(5)のモル数の合計に対して、通常0.1〜40モル%、好ましくは1〜25モル%、さらに好ましくは3〜20モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。
また、3価以上の成分として(4)を含有しているのが好ましく、(2)と(4)の併用が特に好ましく、とりわけ3価以上の芳香族ポリカルボン酸を含有することが好ましい。(4)の比率は、全ポリカルボン酸の合計に対して、通常0〜50モル%、好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜40モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
(4)とりわけ3価以上の芳香族ポリカルボン酸を含有することで、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
【0018】
(A)のTHF不溶分(TA)は、耐ホットオフセット性の観点から通常5〜80重量%、好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。
(A)の軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から通常120〜220℃であり、好ましくは131〜210℃、さらに好ましくは135〜180℃である。
(A)のTHF可溶分のピークトップ分子量(MpA)は、耐ホットオフセット性および低温定着性の観点から通常4,000〜30,000、好ましくは、5,500〜28,000、さらに好ましくは6,300〜25,000である。
(A)のガラス転移点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常30〜80℃であり、好ましくは45〜77℃、さらに好ましくは、50〜73℃である。
(A)の水酸基価は、環境安定性および帯電量の向上の観点から通常2〜70mgKOH/g、好ましくは4〜50mgKOH/g、さらに好ましくは6〜45mgKOH/gである。
(A)の酸価は、環境安定性、帯電の立ち上がりおよび耐ホットオフセット性の観点から通常0〜50mgKOH/g、好ましくは8〜40mgKOH/g、さらに好ましくは15〜30mgKOH/gである。
また、(A)の酸価(AVA)は、(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(WPA重量%)、3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量(MPA)、(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の加重平均(XPA)との関数として、{AVA−[WPA×(XPA−2)×561/MPA]}が、好ましくは−10〜10、さらに好ましくは−5〜10、特に好ましくは−5〜5である。
【0019】
(B)におけるポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.4である。
3価以上のポリオール(2)の比率は、全ポリオール成分の合計に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。
3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、全ポリカルボン酸の合計に対して、通常0〜30モル%、さらに好ましくは3〜30モル%、特に好ましいものは7〜24モル%の3価以上のポリカルボン酸を含有させ、実質的に1または2官能として反応し、残りの官能基は未反応として残っているものである。3価以上のポリカルボン酸特に芳香族ポリカルボン酸を含有させることでガラス転移点が高くなり、耐熱保存性が向上する点で好ましいが、後述の分子量分布が大きくなると低温定着性の観点で不利になるため、3価以上のポリカルボン酸を含有させる場合は、実質的に1または2官能として反応し、残りの官能基は未反応として残すのが好ましい。
【0020】
▲2▼の場合の(B)の重量平均分子量(MwB)は、低温定着性の観点から通常1,000〜20,000、好ましくは、2,000〜15,000、さらに好ましくは2,500〜8,000である。
また、(B)は架橋に伴う分岐のあるものよりも実質的に線状であることが、低温定着性の観点から好ましい。
(B)の数平均分子量(MnB)は、耐熱保存性の観点から通常1,000〜20,000、好ましくは、1,500〜10,000、さらに好ましくは1,800〜6,000である。
(B)のガラス転移点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常30〜80℃であり、好ましくは45〜77℃、さらに好ましくは、50〜73℃である。
(B)の軟化点は、耐熱保存性性および低温定着性の観点から通常80〜130℃であり、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは、85〜115℃である。
また、(B)の軟化点は、(A)の軟化点よりも通常低く、好ましくは10℃以上低く、さらに好ましくは30℃以上低く、特に好ましくは50℃以上低い。
(B)の軟化点が(A)よりも低いほうが、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。
(B)の水酸基価は、環境安定性および帯電量の向上の観点から通常2〜70mgKOH/g、好ましくは5〜60mgKOH/g、さらに好ましくは10〜50mgKOH/gである。
(B)の酸価は、環境安定性および帯電の立ち上がりの向上の観点から通常0〜52mgKOH/g、好ましくは1〜48mgKOH/g、さらに好ましくは10〜44mgKOH/gである。
また、(B)の酸価(AVB)は、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(WPB重量%)、3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量(MPB)、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の加重平均(XPB)との関数として、{AVB−[WPB×(XPB−1)×561/MPB]}が、好ましくは−10〜15、さらに好ましくは−6〜12、特に好ましくは−3〜10である。
【0021】
(A)がTHF不溶分を含有し、(B)がTHF不溶分を含有しないポリエステルである場合における、(A)の重量%(WA)と(B)の重量%(WB)の比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは60:40〜25:75である。
【0022】
本発明のトナーバインダーのうち、▲1▼の(A)、(B)ともにTHF不溶分を含有しないポリエステルの具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
(1)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(2)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(3)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(4)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/アジピン酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/フマル酸重縮合物
(5)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/エチレングリコール/テレフタル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(6)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/エチレングリコールテレフタル酸/アジピン酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(7)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/フマル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸
(8)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/水素添加ビスフェノールA/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
本発明のトナーバインダーのうち、▲2▼の(A)がTHF不溶分を含有し、(B)がTHF不溶分を含有しないポリエステルの具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
(9)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(10)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/水素添加ビスフェノールA/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(11)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/水素添加ビスフェノールA/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(12)(A)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/エチレングリコール/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(13)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/フェノールノボラックのエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(14)(A)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/エチレングリコール/フェノールノボラックのエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
(B)ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/フマル酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物
【0023】
本発明のトナーバインダーの製造方法としては以下の方法などが挙げられる。
ポリエステル(A)および(B)は、定法に従い、ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、窒素などの不活性気流下に150〜280℃に加熱し、脱水縮合することで得られる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧にすることも有効である。
(A)は、反応終点が近づいたならば、粘度または軟化点を追跡しながら反応を進め、所定の粘度または軟化点に到達した時点で反応装置から取り出し冷却することで得られる。
(B)において、3価以上のポリカルボン酸を用いて、実質的に1または2官能として反応し、残りの官能基は未反応として残っているようにする場合は、3価以上のポリカルボン酸として酸無水物を用い、これを加えずに通常のポリエステル化を行った後、3価以上のポリカルボン酸の無水物を150〜200℃で加え、常圧または加圧下で30分〜2時間反応させることで酸無水物のハーフエステル化のみを優先的に行うようにする。
【0024】
(A)と(B)の混合は粉体混合法、溶融混合法のいずれも用いることができるが、溶融混合法がトナーバインダーの均一性が向上し、それに伴い顔料分散性が向上するので好ましい。
粉体混合法はヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー等の混合機を用いて(A)と(B)を0〜80℃で混合することで得られる。
溶融混合における混合装置としては、反応槽などのバッチ混合、連続式混合装置が挙げられる。連続式混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロールなどが挙げられる。
混合温度は通常は80〜180℃、好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは120〜160℃で行う。混合温度が低いと十分に混合できず、不均一となり好ましくなく、混合温度が高いと(A)と(B)のエステル交換反応に伴う平均化が起こり、耐ホットオフセット性、低温定着性が悪化する。
本発明のトナーバインダーの重量平均分子量は、低温定着性の観点から、THF不溶分を含まない場合は通常2,500〜400,000、好ましくは、3,000〜200,000、THF不溶分を含む場合はピークトップ分子量として通常2,000〜30,000、好ましくは3,000〜25,000である。
数平均分子量は、耐熱保存性の観点から通常1,400〜40,000、好ましくは、1,700〜25,000である。
ガラス転移点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常30〜80℃であり、好ましくは45〜77℃、さらに好ましくは50〜73℃である。
軟化点は、耐熱保存性および低温定着性の観点から通常80〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。
水酸基価は、環境安定性および帯電量の向上の観点から通常2〜70mgKOH/g、好ましくは5〜60mgKOH/gである。
酸価は、環境安定性および帯電の立ち上がりの向上の観点から通常0〜50mgKOH/g、好ましくは1〜45mgKOH/gである。
【0025】
本発明のトナーバインダーは、着色剤および必要により離型剤、荷電制御剤などの種々の添加剤等を混合し、乾式トナーとして用いられる。
トナー中の本発明のトナーバインダーの含有量は、着色剤として染料または顔料を使用する場合は、通常60〜98重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常25〜80重量%である。
また、トナー中にポリエステル(A)、(B)以外の他のバインダー樹脂を含有させさせさせることもできる。他のバインダー樹脂としては、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/(メタ)アクリロニトリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリウレタン等公知のトナーバインダー樹脂が挙げられる。
トナー中の他のバインダー樹脂の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
着色剤としては公知の染料、顔料および磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
トナー中の着色剤の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、通常2〜15重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常20〜70重量%である。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックス(カルナバワックス、モンタンワックス、ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
トナー中の離型剤の含有量は通常0〜10重量%であり、好ましくは1〜7重量%である。
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は通常0〜5重量%である。
さらに、流動化剤を使用することもできる。流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
【0026】
乾式トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー成分を乾式ブレンドした後、溶融混練され、その後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、さらに風力分級し、粒径が通常2〜20μmの粒子として得られる。
【0027】
本発明のトナーバインダーを用いた乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
【0028】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【実施例】
【0029】
実施例および比較例で得られたトナーバインダーの性質の測定法を次に示す。
1.酸価および水酸基価
JIS K0070に規定の方法。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いた。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL30R150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
2.ガラス転移点(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
3.分子量
THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定。
GPCによる分子量測定の条件は以下の通りである。
装置 : 東洋曹達(株)製 HLC−802
カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東洋曹達(株)製)
測定温度 : 25℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
溶液注入量: 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
4.テトラヒドロフラン(THF)不溶分
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶分を算出する。
5.軟化点の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/分
【0030】
実施例1
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物719部、テレフタル酸352部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が128℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A1)とする。
ポリエステル(A1)はTHF不溶分を含有しておらず、酸価1、水酸基価6、Tgは71℃、数平均分子量は7800、重量平均分子量は30000であり、実質的に線状であった。(A1)のSP値は11.36である。
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物301部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物481部、テレフタル酸152部、フマル酸106部、ハイドロキノン2部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで180℃にて、100mmHgの減圧下に反応させ、酸価が8になった時点で無水トリメリット酸27部を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出した。これをポリエステル(B1)とする。
ポリエステル(B1)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点85℃、酸価23、水酸基価50、Tgは55℃、数平均分子量は2000、重量平均分子量は5000であり、実質的に線状であった。(B1)のSP値は10.73である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A1)300部とポリエステル(B1)700部を2軸押出機にて、ジャケット温度150℃、滞留時間1分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、本発明のトナーバインダー(1)を得た。
トナーバインダー(1)の酸価16、水酸基価37、Tgは60℃、数平均分子量は2600、重量平均分子量は12500であった。
(A1)と(B1)のSP値差は0.63である。
【0031】
比較例1
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物752部、テレフタル酸283部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸27部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出した。これをポリエステル(CB1)とする。
ポリエステル(CB1)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点86℃、酸価16、水酸基価61、Tgは55℃、数平均分子量は2100、重量平均分子量は5100であり、実質的に線状であった。(CB1)のSP値は11.26である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A1)300部とポリエステル(CB1)700部をコンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕して比較トナーバインダー(C1)を得た。
トナーバインダー(C1)の酸価12、水酸基価44、Tgは60℃、数平均分子量は2600、重量平均分子量は12500であった。
(A1)と(CB1)のSP値差は0.10である。
【0032】
実施例2
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物399部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物181部、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート186部、テレフタル酸324部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら12時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が120℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A2)とする。
ポリエステル(A2)はTHF不溶分を含有しておらず、酸価6、水酸基価9、Tgは60℃、数平均分子量は7100、重量平均分子量は27000であり、実質的に線状であった。(A2)のSP値は11.41である。
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物209部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物542部、テレフタル酸294部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで180℃にて、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で無水トリメリット酸35部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出した。これをポリエステル(B2)とする。
ポリエステル(B2)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点108℃、酸価23、水酸基価10、Tgは68℃、数平均分子量は4200、重量平均分子量は15200であり、実質的に線状であった。(B2)のSP値は10.77である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A2)400部とポリエステル(B2)600部を2軸押出機にて、ジャケット温度150℃、滞留時間1分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕して本発明のトナーバインダー(2)を得た。
トナーバインダー(2)の酸価16、水酸基価10、Tgは65℃、数平均分子量は4900、重量平均分子量は20000であった。
(A2)と(B2)のSP値差は0.64である。
【0033】
実施例3
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物649部、無水ドデセニルコハク酸248部、テレフタル酸153部、ハイドロキノン2部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら16時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が122℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A3)とする。
ポリエステル(A3)はTHF不溶分を含有しておらず、酸価5、水酸基価10、Tgは61℃、数平均分子量は6700、重量平均分子量は31000であり、実質的に線状であった。(A3)のSP値は10.40である。
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物236部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物515部、テレフタル酸281部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸26部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出した。これをポリエステル(B3)とする。
ポリエステル(B3)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点92℃、酸価16、水酸基価57、Tgは61℃、数平均分子量は2200、重量平均分子量は5700であり、実質的に線状であった。(B3)のSP値は11.15である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A3)400部とポリエステル(B3)600部をヘンシェルミキサーにて、5分間粉体混合して本発明のトナーバインダー(3)を得た。
トナーバインダー(3)の酸価12、水酸基価38、Tgは61℃、数平均分子量は3000、重量平均分子量は16000であった。
(A3)と(B3)のSP値差は0.75である。
【0034】
比較例2
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物652部、エチレングリコール41部、テレフタル酸331部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、200℃で加圧下に生成する水を留去しながら6時間反応後、230℃に昇温し、常圧窒素気流下に10時間反応した。次いで、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸50部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出した。これをポリエステル(CB2)とする。
ポリエステル(CB2)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点91℃、酸価29、水酸基価64、Tgは61℃、数平均分子量は2100、重量平均分子量は5600であり、実質的に線状であった。(CB2)のSP値は11.44である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A3)400部とポリエステル(CB2)600部をヘンシェルミキサーにて、5分間粉体混合して比較トナーバインダー(C2)を得た。
比較トナーバインダー(C2)の酸価19、水酸基価42、Tgは61℃、数平均分子量は2900、重量平均分子量は15500であった。
(A3)と(CB2)のSP値差は1.04である。
【0035】
評価例1〜3および比較評価例1、2
本発明のトナーバインダー(1)〜(3)または比較トナーバインダー(C1)、(C2)100部にサゾールワックス3部およびシアニンブルーKRO(山陽色素(株)製)4部を加え、下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し粒径d50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナー(1)〜(3)および比較トナー(C1)、(C2)を得た。
評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004540874
【0037】
[評価方法]
▲1▼光沢発現温度(GLOSS)
市販カラープリンター(LBP2160;キヤノン製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。
▲2▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記GLOSSと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
▲3▼顔料分散性
トナーをスライドグラス上に溶融成形しフィルム状にした。光学顕微鏡にて、このフィルム状のトナーを倍率400倍で観察し、顔料凝集物の有無を目視判定した。
判定基準 ○:凝集物なし
△:わずかに凝集物あり
×:凝集物が多数あり
【0038】
実施例4
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物235部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物530部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキサイド5モル付加物11部、テレフタル酸120部、フマル酸73部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸87部を加え、常圧下に1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が165℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A4)とする。
ポリエステル(A4)のTHF不溶分は47%、酸価20、水酸基価21、Tgは60℃、THF可溶分のピークトップ分子量は6,800であった。
(A4)のSP値は10.55である。
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物173部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物553部、テレフタル酸251部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却した。これに無水トリメリット酸73部を加え、180℃常圧密閉下で2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(B4)とする。
ポリエステル(B4)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点99℃、酸価41、水酸基価45、Tgは68℃、数平均分子量は2,000、重量平均分子量は4,900であり、実質的に線状であった。(B4)のSP値は11.14である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A4)500部とポリエステル(B4)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して本発明のトナーバインダー(4)を得た。
(A4)と(B4)のSP値差は0.59である。
【0039】
実施例5
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物632部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキサイド5モル付加物27部、テレフタル酸70部、無水ドデセニルコハク酸227部、ハイドロキノン2部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸81部を加え、常圧下に1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が165℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A5)とする。
ポリエステル(A5)のTHF不溶分は47%、酸価17、水酸基価21、Tgは59℃、THF可溶分のピークトップ分子量は6,600であった。
(A5)のSP値は10.51である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A5)500部とポリエステル(B4)500部を、コンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間1分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、本発明のトナーバインダー(5)を得た。
(A5)と(B4)のSP値差は0.63である。
【0040】
実施例6
[ポリエステル(A)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物692部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキサイド5モル付加物30部、テレフタル酸245部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド30部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら6時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸66部を加え、常圧下に反応させ軟化点が157℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A6)とする。
ポリエステル(A6)のTHF不溶分は42%、酸価24、水酸基価23、Tgは67℃、THF可溶分のピークトップ分子量は6,300であった。
(A6)のSP値は11.46である。
[ポリエステル(B)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物371部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物395部、テレフタル酸175部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で200℃に冷却した。これにフマル酸87部を加え、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで180℃にて、100mmHgの減圧下に反応させ、酸価が3になった時点で、無水トリメリット酸32部を加え、180℃常圧密閉下で1時間反応後取り出した。これをポリエステル(B6)とする。
ポリエステル(B6)はTHF不溶分を含有しておらず、軟化点93℃、酸価18、水酸基価45、Tgは61℃、数平均分子量は2,400、重量平均分子量は6,200であり、実質的に線状であった。
(B6)のSP値は10.84である。
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A6)500部とポリエステル(B6)500部を、コンティニアスニーダーにて、ジャケット温度150℃、滞留時間1分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、本発明のトナーバインダー(6)を得た。
(A6)と(B6)のSP値差は0.62である。
【0041】
比較例3
[トナーバインダーの合成]
ポリエステル(A6)500部とポリエステル(B4)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して比較トナーバインダー(C3)を得た。
(A6)と(B4)のSP値差は0.32である。
【0042】
評価例4〜6および比較評価例3
本発明のトナーバインダー(4)〜(6)または比較トナーバインダー(C3)100部に対して、カーボンブラックMA−100(三菱化学(株)製)8部、低分子量ポリプロピレン(ビスコール550P三洋化成工業(株)製)4部、荷電制御剤T−77(保土谷化学(製))1部を加え、下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し粒径d50が9μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.3部をサンプルミルにて混合して、トナー(4)〜(6)および比較トナー(C3)を得た。
評価結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0004540874
【0044】
[評価方法]
▲1▼最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
▲2▼ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
【0045】
【発明の効果】
本発明のトナーバインダーは以下の効果を奏する。
1.低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
2.顔料分散性に優れ、帯電特性に優れる。

Claims (14)

  1. ポリエステル(A)、およびSP値が(A)とは0.5〜1.0異なるポリエステル(B)からなり、(A)と(B)が下記(I)または(II)を満たすことを特徴とする乾式トナー用トナーバインダー。
    (I) 該(A)、該(B)のいずれもが、ジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸成分と、ジオール成分からなるポリオール成分を重縮合してなるテトラヒドロフラン不溶分を含有しないポリエステルからなり、該(A)の重量平均分子量(MwA)と該(B)の重量平均分子量(MwB)の比(MwA/MwB)が1.5以上である。
    (II) 該(A)が、ジカルボン酸成分とジオール成分と3価以上のポリカルボン酸成分および/または3価以上のポリオール成分を重縮合してなるテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有する非線状ポリエステルであり、該(B)が、ジカルボン酸成分からなるポリカルボン酸成分と、ジオール成分からなるポリオール成分を重縮合してなるTHF不溶分を含有しないポリエステルであり、該(B)の軟化点は該(A)の軟化点よりも低い。
  2. (I)の場合において、該(A)が実質的に線状のポリエステルであり、かつ(MwA)が15,000〜400,000である請求項1記載のトナーバインダー。
  3. (I)の場合において、該(B)が、ポリカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分とともに3価以上の芳香族ポリカルボン酸成分を含有しており、ポリカルボン酸成分中の3価以上の芳香族ポリカルボン成分の含有量が3〜30モル%であり、かつ該(B)の分子量分布(MwB/MnB)が4以下である請求項1または2記載のトナーバインダー。
  4. (I)の場合において、該(A)が、ジオール成分中にビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、ジカルボン酸成分中に芳香族ジカルボン酸を含有するポリエステルであり、該(B)が、ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を含有し、ジカルボン酸成分中に脂肪族ジカルボン酸を含有するポリエステルである請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
  5. (I)の場合において、該(A)と該(B)の重量比が、50:50〜10:90である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
  6. (I)の場合において、カラートナー用に用いられる請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダー。
  7. (II)の場合において、該(A)のTHF不溶分が、5〜80重量%である請求項1記載のトナーバインダー。
  8. (II)の場合において、該(A)の軟化点が、120〜220℃である請求項1または7記載のトナーバインダー。
  9. (II)の場合において、該(A)の酸価が、8〜30である請求項1、7、および8のいずれか記載のトナーバインダー。
  10. (II)の場合において、該(B)の重量平均分子量(MwB)が、1,000〜20,000である請求項1、および7〜9のいずれか記載のトナーバインダー。
  11. (II)の場合において、該(B)が、ポリカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分とともに3価以上の芳香族ポリカルボン酸成分を含有しており、ポリカルボン酸成分中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸成分の含有量が3〜30モル%である請求項1、および7〜10のいずれか記載のトナーバインダー。
  12. (II)の場合において、該(A)が、ジオール成分中にビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物を含有し、ジカルボン酸成分中に芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有するポリエステルであり、該(B)が、ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、ジカルボン酸成分中に脂肪族ジカルボン酸を含有するポリエステルである請求項1、および7〜11のいずれか記載のトナーバインダー。
  13. (II)の場合において、該(A)が、ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、ジカルボン酸成分中に脂肪族ジカルボン酸を含有するポリエステルであり、該(B)が、ジオール成分中にビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物を含有し、ジカルボン酸成分中に芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有するポリエステルである請求項1、および7〜12のいずれか記載のトナーバインダー。
  14. (II)の場合において、該(A)と該(B)の重量比が、20:80〜80:20である請求項1、および7〜13のいずれか記載のトナーバインダー。
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