JP5827350B2 - トナーバインダーの製造方法 - Google Patents
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Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーを含有するトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、軟化温度が高いため、トナーの定着下限温度を充分に下げることができず、低温定着性がなお不充分な場合があるという課題がある。また、トナーバインダーおよびトナー組成物を生産する際に、特有の不快な臭いがするという課題がある。
すなわち本発明は、ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)を30重量%以上含有するトナーバインダーであって、ポリエステル樹脂(A)の軟化点が100〜160℃、(A)の重量に基づくTHF不溶解分が1〜30重量%、酸価と水酸基価の和が20〜60であり、かつ熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積が40%以下であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積が30%以下であるトナーバインダーの製造方法であって、反応槽で製造後の液状のポリエステル樹脂を水中に取り出す工程、又はポリエステル樹脂をそのガラス転移点以下の温度で脱揮する工程を含むトナーバインダーの製造方法である。
本発明のトナーバインダーの製造方法に用いるポリエステル樹脂(A)は、ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するものであり、2種以上を併用してもよい。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24、好ましくは1〜4:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
これらのうち好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
なお、ポリカルボン酸成分(x)中に、必要により、少量の炭素数7〜14の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)を用いてもよい。
ジオールとしては、芳香族ジオールおよび脂肪族ジオールが挙げられ、芳香族ジオールの具体例としては、2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)、以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数2〜30〕;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテルであり、さらに好ましくはビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル、およびビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテルであり、特に好ましくは、ビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテルである。
これらのうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、炭素数2〜6のアルキレングリコールが好ましく、さらに好ましくは、エチレングルコール、および1,2−プロピレングリコールであり、特に好ましくは、1,2−プロピレングリコールである。
これらのうち好ましくは、ノボラック型樹脂のポリオキシアルキレンエーテルである。
耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、これらポリオール成分(y)中に、ビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテル(オキシプロピレン単位の数2〜30)および1,2−プロピレングリコールを、合計で50モル%以上含有するのが好ましく、55モル%以上含有するのがさらに好ましい。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
<軟化点〔T(1/2)〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔T(1/2)〕とする。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置:東洋精機(株)製 ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件:130℃、70rpmにて30分
上記の炭素数5〜12のアルデヒドとしては、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチル−2−ブテナール、2−ペンテナール、カプロンアルデヒド、2−ヘキセナール、2−メチル−2−ペンテナール、2−エチル−2−ブテナール、エナンタール、2−ヘプテナール、2−メチル−2−ヘキセナール、2,2−ジメチル−3−ペンテナール、2,3−ジメチル−2−ペンテナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナールなどが挙げられる。
プロピオンアルデヒドおよび炭素数5〜12のアルデヒドを上記範囲とする方法としては、例えば、反応槽で製造後の液状のポリエステル樹脂を水中(好ましくは水温が20〜100℃)に取り出す方法、および、ポリエステル樹脂をそのガラス転移点以下の温度で脱揮する方法等が挙げられる。脱揮する方法として具体的には、ポリエステル樹脂を粉砕し粒子化した後、減圧下(例えば0.5〜10kPa)で静置する方法、および窒素などの不活性ガスをブローする方法等が挙げられる。
本発明において、(A)中のフェノールの含有率は昇温型熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析にて行われる。
1.熱分解装置及び条件
装置:パーキン エルマージャパン製 TurboMatrix40
熱分解温度:180℃
熱分解時間:60min
2.GC/MS装置及び条件
装置:島津製作所製 GCMS QP−2010
カラム:ZB−5 (30m×0.25mm×1μm)
オーブン温度:40℃(3min)―2℃/min(70℃)―5℃/min(15 0℃)―10℃/min(300℃)−30min
キャリアーガス:He (圧力100kPa)
インターフェース温度:250℃
注入方式:全量注入
注入口温度:200℃
検出器(MS):島津製作所製 GCMS QP−2010
MS温度:イオン源200℃
スキャン範囲:EI(Electron Ionization):m/z(イオン の質量/電荷) 33−500
3.サンプリング条件
バイアル瓶サイズ:20mlヘッドスペースバイアル
サンプル量:100mg
(A)以外のポリエステル樹脂の上記分析におけるプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は50%以下が好ましく、さらに好ましくは45%以下である。炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は、好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
また、ポリエステル樹脂(A)と(A)以外のポリエステル樹脂の合計含有率は、定着温度幅の広さの観点から、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー(登録商標)、ナウターミキサー(登録商標)、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有率は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、並びにオレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、石油系フィッシャートロプシュワックス(シューマン・サゾール社製パラフリントH1、パラフリントH1N4およびパラフリントC105等)、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(シェルMDS社製FT100等)およびこれらフィッシャートロプシュワックスを分別結晶化等の方法で精製したもの[日本精蝋(株)製MDP−7000およびMDP−7010等]等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタン酸が挙げられる。
[ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと記載)3モル付加物663部(1.6モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルエチレンオキサイド(以下、EOと記載)付加物32部(40ミリモル)、テレフタル酸211部(1.3モル)、フマル酸13部(0.11モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸78部(0.41モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で2時間反応させ、軟化点134℃に到達した時点で25℃の水中に取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−1)とする。
ポリエステル樹脂(A−1)のT(1/2)は134℃、THF不溶解分は20%、酸価は32、水酸基価は12(酸価と水酸基価の和は44)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は30%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は19%、フェノール含有率は12ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール813部(11モル)、ネオペンチルグリコール1部(9.6ミリモル)、テレフタル酸684部(4.1モル)、イソフタル酸1部(6.0ミリモル)、アジピン酸56部(0.38モル)、無水トリメリット酸18部(94ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下にて1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸42部(0.22モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で5時間反応させ、軟化点137℃に到達した時点で25℃の水中に取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−2)とする。
ポリエステル樹脂(A−2)のT(1/2)は138℃、THF不溶解分は16%、酸価は24、水酸基価は2(酸価と水酸基価の和は26)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は32%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は21%、フェノール含有率は0ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−3)の合成]
ビスフェノールAのプロピレンオキサイドPO3モル付加物686部(1.7モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物53部(0.15モル)、ビスフェノールAのEO2モル付加物1部(3.1ミリモル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)のEO5.6モル付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸246部(1.5モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸6部(31ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせた。次いで、無水トリメリット酸73部(0.38モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点131℃に到達した時点で25℃の水中に取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A−3)とする。
ポリエステル樹脂(A−3)のT(1/2)は131℃、THF不溶解分は3%、酸価は23、水酸基価は3(酸価と水酸基価の和は26)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は31%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は20%、フェノール含有率は18ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO3モル付加物587部(1.5モル)、ビスフェノールAのPO2モル付加物164部(0.47モル)、フェノールノボラック樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物1部(1.2ミリモル)、テレフタル酸262部(1.6モル)、テレフタル酸ジメチル1部(5.2ミリモル)、無水マレイン酸1部(10ミリモル)、無水トリメリット酸24部(0.13モル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸21部(0.11モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、減圧乾燥機にて40℃、3kPaで1時間脱揮を実施した。これをポリエステル樹脂(A−4)とする。
ポリエステル樹脂(A−4)のT(1/2)は112℃、THF不溶解分は2%、酸価は14、水酸基価は22(酸価と水酸基価の和は36)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は28%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は22%、フェノール含有率は7ppmであった。
[ポリエステル樹脂(A−5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物329部(0.95モル)、ビスフェノールAのPO3モル付加物429部(1.1モル)、テレフタル酸282部(1.7モル)、フマル酸2部(16ミリモル)および重合触媒としてテトラブトキシチタネート2部を入れた後、230℃でポリエステル化反応をさせ、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部(0.10モル)を仕込み、180℃で1時間保持し、取出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、室温にて
樹脂中に2時間窒素ブローを実施し、脱揮した。これをポリエステル樹脂(A−5)とする。
ポリエステル樹脂(A−5)のT(1/2)は104℃、THF不溶解分は1%、酸価は12、水酸基価は28(酸価と水酸基価の和は40)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は30%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は18%、フェノール含有率は3ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RA−1)の合成]
取り出し工程までは製造例1と同様の条件にてポリエステル樹脂を合成し、軟化点134℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−1)とする。
ポリエステル樹脂(RA−1)のT(1/2)は134℃、THF不溶解分は21%、酸価は11、水酸基価は27(酸価と水酸基価の和は38)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は43%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は32%、フェノール含有率は42ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RA−2)の合成]
取り出し工程までは製造例2と同様の条件にてポリエステル樹脂を合成し、軟化点137℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−2)とする。
ポリエステル樹脂(RA−2)のT(1/2)は138℃、THF不溶解分は16%、酸価は25、水酸基価は3(酸価と水酸基価の和は28)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は42%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は23%、フェノール含有率は0ppmであった。
[ポリエステル樹脂(RA−3)の合成]
取り出し工程までは製造例3と同様の条件にてポリエステル樹脂を合成し、軟化点131℃に到達した時点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA−3)とする。
ポリエステル樹脂(RA−3)のT(1/2)は131℃、THF不溶解分は3%、酸価は23、水酸基価は3(酸価と水酸基価の和は26)、熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積は26%であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積は34%、フェノール含有率は55ppmであった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A−1)〜(A−5)、および、比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA−1)〜(RA−3)を、表1の配合比(部)に従い配合し、ポリエステル樹脂(A)からなる本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、ポリオレフィンワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、ラボプラストミルMODEL4M150[東洋精機(株)製]で150℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−4)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−4)を得た。
これらのトナー組成物を下記評価方法で評価した結果を表1に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
上記トナー組成物を用い、市販複写機(AR5030;シャープ製)で現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機(LBPー2160、キヤノン(株)製)の定着機を改造し熱ローラー温度を可変にした定着機を用いてプロセススピード110mm/秒で定着した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度(MFT)とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度(HOT)とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%RHの高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該トナー組成物のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察される。
△:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚複写後の画質に乱れが観察される。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕臭気試験
上記トナー組成物を蓋付ガラス製試験管(φ15mm×150mm)に1.0g入れ、密閉し、210℃にて5分間加熱した。その後、蓋を取り、10人のモニターが臭気を確認した。
◎:1人も臭わないか1人だけ臭うと回答
○:2〜3人が臭うと回答
△:4〜6人が臭うと回答
×:7人以上が臭うと回答
Claims (5)
- ポリカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)を30重量%以上含有するトナーバインダーであって、ポリエステル樹脂(A)の軟化点が100〜160℃、(A)の重量に基づくTHF不溶解分が1〜30重量%、酸価と水酸基価の和が20〜60であり、かつ熱分解温度180℃での熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析において、全ピークの総面積を100%としたときのプロピオンアルデヒドに帰属されるピーク面積が40%以下であり、炭素数5〜12のアルデヒドに帰属されるピークの合計面積が30%以下であるトナーバインダーの製造方法であって、反応槽で製造後の液状のポリエステル樹脂を水中に取り出す工程、またはポリエステル樹脂をそのガラス転移点以下の温度で脱揮する工程を含むトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂をそのガラス転移点以下の温度で脱揮する工程が、ポリエステル樹脂を粉砕し粒子化した後に減圧下で静置する工程、またはポリエステル樹脂を粉砕し粒子化した後に不活性ガスをブローする工程を含む請求項1に記載のトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)が、ポリオール成分(y)中にビスフェノールAのポリオキシプロピレンエーテル(オキシプロピレン単位の数2〜30)および1,2−プロピレングリコールを合計で50モル%以上含有する請求項1または2に記載のトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)が、ポリカルボン酸成分(x)中に芳香族ポリカルボン酸を80モル%以上含有する請求項1〜3のいずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
- ポリエステル樹脂(A)中のフェノールの含有率が(A)の重量に基づいて20ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
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