JP2013228707A - 電子写真用トナーバインダー及びトナー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)を構成単位として有するポリエステル樹脂(a)と融点が60〜100℃の炭化水素ワックス(b)で構成され軟化点が130〜170℃のポリエステル樹脂組成物(A)、ポリオール成分(xb)とポリカルボン酸成分(yb)を構成単位として有し軟化点が80〜120℃のポリエステル樹脂(B)及びポリオレフィン中でビニルモノマーが重合されたワックス分散用樹脂(C)を含有し、(B)が実質的にビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのみからなる(xb)と芳香族ポリカルボン酸を70モル%以上含有する(yb)とが重縮合されてなり、(A)が(b)が(a)中に特定の平均分散粒径で分散されたもので、(b)の含有量が3〜15重量%のトナーバインダー。
【選択図】 なし
Description
すなわち本発明は、ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)を構成単位として有するポリエステル樹脂(a)と融点が60℃〜100℃である炭化水素ワックス(b)で構成され、軟化点が130℃〜170℃であるポリエステル樹脂組成物(A)、ポリオール成分(xb)とポリカルボン酸成分(yb)を構成単位として有し、軟化点が80℃〜120℃であるポリエステル樹脂(B)、およびポリオレフィン中でビニルモノマーが重合されたワックス分散用樹脂(C)を含有し、ポリエステル樹脂(B)が、実質的にビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのみからなるポリオール成分(xb)と芳香族ポリカルボン酸を70モル%以上含有するポリカルボン酸成分(yb)とが重縮合されてなり、ポリエステル樹脂組成物(A)が、炭化水素ワックス(b)がポリエステル樹脂(a)中に平均分散粒径0.1〜20μmで分散されたものであって、(A)中の(b)の含有量が3〜15重量%である電子写真用トナーバインダー;並びに、上記の電子写真用トナーバインダーと、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、及び流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物;である。
本発明に用いる、ポリエステル樹脂組成物(A)を構成するポリエステル樹脂(a)、及びポリエステル樹脂(B)は、1種以上のポリオール成分(xa)と1種以上のポリカルボン酸成分(ya)、または1種以上のポリオール成分(xb)と1種以上のポリカルボン酸成分(yb)を重縮合して得られる。以下、ポリオール成分(xa)および(xb)をポリオール成分(x)、ポリカルボン酸成分(ya)および(yb)をポリカルボン酸成分(y)と記載する。
ポリオール成分(x)としては、ジオール及び3〜8価又はそれ以上のポリオールが挙げられ、ポリカルボン酸成分(y)としては、ジカルボン酸及び3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
実質的にとは、(xb)の98%以上がビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルであることを指し、100%がビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルであるのが好ましい。
実質的にビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのみからなる(xb)を用いることで、トナーとして用いたときの耐久性や画質安定性が良好となる。
上記および以下において、%はとくに断りの無い限り重量%を意味する。
OH−Ar−X−Ar−OH (1)
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、又は直接結合、Arは、ハロゲンもしくは炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA、2,2’−ジエチルビスフェノールFが挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。これらビスフェノール類に付加するAOとしては、炭素数が2〜4のものが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと記載)、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4、特に2〜3)である。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル以外のポリオール成分(xb)を微量含む場合の(xb)としては、下記のポリエステル樹脂(a)のポリオール成分(xa)と同様のものが挙げられる。
3価〜8価もしくはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3価〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、及びジペンタエリスリトール);糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
3価〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分(y)として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒〔例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕、及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
炭化水素ワックス(b)の融点は、セイコーインスツル(株)製RDC−220を用い、JIS K7122に従って測定し、最大吸熱ピークの極大値の温度を融点とする。
(b)の平均分散粒径は、(b)を含有するポリエステル樹脂組成物(A)を約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率10000倍で(A)の断面を観察し、画像処理装置を用いて画像解析することにより計算することができる。
炭化水素ワックス(b)をポリエステル樹脂(a)中に分散させ、ポリエステル樹脂組成物(A)とする手段に特に制限はないが、炭化水素ワックス(b)が溶融する温度以上であり、さらに、ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)が反応する通常の条件下、例えば、150℃〜280℃の加熱条件下において、炭化水素ワックス(b)を所定量添加してポリエステルの重縮合反応を進めることにより、本発明に用いるポリエステル樹脂組成物(A)を得ることができる。また、炭化水素ワックス(b)を所定量添加する時期は、ポリエステルの重縮合反応の初期であってもよいし、また、その途中でもよいし、重合反応が終了し、樹脂を反応容器から取り出す直前であってもよい。なお、重縮合終了後に炭化水素ワックス(b)を添加する際には、添加した炭化水素ワックス(b)がポリエステル樹脂(a)中に均一に分散するよう、十分に攪拌を行ってから樹脂を取り出す必要がある。
本発明に用いるポリエステル樹脂組成物(A)中の、融点が60℃〜100℃の炭化水素ワックス(b)の含有量は、3〜15%であり、好ましくは4〜14%である。(b)の含有量が3%未満であると、帯電安定性や画質安定性が低下し、15%を越えると耐久性が低下する。
ポリエステル樹脂組成物(A)中の炭化水素ワックス(b)の平均分散粒径を0.1〜20μmに制御することで、(A)を用いたトナー製造工程において、トナー中のワックスが適度に分散し、均一なトナーが得られる。これにより、トナーの耐久性、帯電の安定性が向上する。ポリエステル樹脂組成物(A)中の炭化水素ワックス(b)の平均分散粒径が20μmを超える場合、トナー中のワックスの分散が不十分となり、不均一なトナーが得られ、トナーの耐久性、帯電の安定性が悪化する。
ポリエステル樹脂組成物(A)中の炭化水素ワックス(b)の平均分散粒径は、ポリエステル樹脂組成物(A)を反応槽から取り出す際、60℃以下に冷却するのにかかる時間によって制御することができる。ポリエステル樹脂組成物(A)を60℃以下に冷却するのにかかる時間は、好ましくは30分以内、さらに好ましくは15分以内である。
ポリエステル樹脂組成物(A)を60℃以下に冷却するのにかかる時間が30分を超える場合、(A)中の炭化水素ワックス(b)の平均分散粒径が20μmより大きくなる傾向にある。
ポリエステル樹脂(B)の軟化点〔Tm〕は、好ましくは82℃〜118℃、さらに好ましくは85℃〜115℃である。この範囲であると、トナーの耐久性と低温定着性の両立が良好となる。
<軟化点〔Tm〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
なお、上記及び以下において、ガラス転移温度〔Tg〕はセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
ポリオレフィンとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびフィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、熱減成型ポリオレフィン、特に好ましくは熱減成型ポリエチレン及び熱減成型ポリプロピレンである。
また、キャリアー等へのフィルミング及び離型性の観点から、ポリオレフィンのMnは好ましくは400〜40000、さらに好ましくは1000〜30000、特に好ましくは1500〜20000である。
尚、ポリオレフィンの軟化点はJIS K 2207−1996に規定の方法により測定される。
トナーの現像性の観点から、ポリオレフィンの針入度は、好ましくは5.0以下、さらに好ましくは3.5以下、特に好ましくは1.0以下である。
尚、針入度は、JIS K 2207−1996に規定の方法により測定される。
(d)カルボキシル基またはエステル基含有ビニル系モノマー:
(d−1)炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸:(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;
(d−2)炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体[酸無水物及びモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]:マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの無水物並びにこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;
(d−5)不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル:酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等。
(e−1)炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
(e−2)炭素数2〜12のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;
(e−3)炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば2−ブテン−1,4−ジオール;
(e−4)炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
(f−1)スチレンをはじめとする芳香族ビニル系炭化水素(炭素数8〜20):スチレンのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン;並びにビニルナフタレン。
(f−2)脂肪族ビニル系炭化水素:炭素数2〜20のアルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;
(f−3)脂環式ビニル系炭化水素:モノ及びジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン及びインデン。
(h)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル等。
(i)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン等。
ワックス分散用樹脂(C)のMnは、好ましくは2000〜10000、特に好ましくは2500〜9000である。Mnが2000〜10000の範囲では、トナーの耐久性及び粉砕性が良好である。
パーオキサイド系開始剤の量は、ポリオレフィンとビニルモノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0.2〜10%、さらに好ましくは0.5〜5%である。
(A)、(B)、および(C)から得られるものであれば、(b)が(a)中のみでなく、(b)の一部が他の樹脂中にも分散された電子写真用トナーバインダーも、本発明に含まれる。
本発明の電子写真用トナーバインダー中の、ポリエステル樹脂組成物(A)とポリエステル樹脂(B)とワックス分散用樹脂(C)の重量比〔(A):(B):(C)〕(合計を100とする。)は、低温定着性と耐ホットオフセット性および粉砕性との両立の観点から、好ましくは(20〜89):(10〜70):(1〜10)、さらに好ましくは(25〜84):(15〜65):(1〜9)、特に好ましくは(30〜78):(20〜60):(2〜9)である。
(W−1)には、オレフィンの(共)重合により得られるもの(W−11)、および熱減成型ポリオレフィン(W−12)が含まれる。
酸化は酸素および/またはオゾン等を用いて公知の方法で行うことができ、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
変性は、公知の方法で行うことができ、例えば(W−1)とマレイン酸系モノマーを公知の過酸化物触媒を用いて、溶液法または溶融法のいずれかの方法で反応させることにより行うことができる。
共重合は、公知の触媒を用いて公知の方法等で行うことができる。
ポリオレフィンワックス(W)の融点は、キャリアー等へのフィルミングおよびワックスの観点から、好ましくは110℃〜165℃、さらに好ましくは120℃〜160℃、特に好ましくは140℃〜155℃である。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー(登録商標)、ナウターミキサー(登録商標)、及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有量は、本発明の電子写真用トナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、並びにオレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、石油系フィッシャートロプシュワックス(シューマン・サゾール社製パラフリントH1、パラフリントH1N4およびパラフリントC105等)、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(シェルMDS社製FT100等)およびこれらフィッシャートロプシュワックスを分別結晶化等の方法で精製したもの[日本精蝋(株)製MDP−7000およびMDP−7010等]等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタン酸が挙げられる。
[ポリエステル樹脂組成物(A1)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例に用いる反応槽も同様)中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−5、融点62℃)111部、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕145℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A1)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A1)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは11000、酸価は26、水酸基価は1、THF不溶解分は12%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は3μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物436部(8.1モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物273部(5.4モル)、テレフタル酸205部(8.0モル)、イソフタル酸13部(0.5モル)、アジピン酸34部(1.5モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−9、融点75℃)167部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸104部(3.5モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕162℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A2)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は6分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A2)のTgは58℃、Tmは162℃、Mpは5500、酸価は25、水酸基価は2、THF不溶解分は32%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は5μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物548部(9.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物67部(1.0モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物108部(2.0モル)、テレフタル酸234部(8.5モル)、イソフタル酸14部(0.5モル)、アジピン酸24部(1.0モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−51、融点77℃)57部、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で3時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸72部(2.25モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕135℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A3)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は10分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A3)のTgは68℃、Tmは135℃、Mpは16500、酸価は13、水酸基価は1、THF不溶解分は5%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は2μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)、及び炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−9、融点75℃)111部を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕146℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A4)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A4)のTgは60℃、Tmは146℃、Mpは11200、酸価は25、水酸基価は1、THF不溶解分は13%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は4μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−51、融点77℃)111部、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で5時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕145℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A5)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は25分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A5)のTgは59℃、Tmは145℃、Mpは10800、酸価は26、水酸基価は2、THF不溶解分は12%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は12μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A6)の合成]
反応槽中に、1.2−プロピレングリコール(以下、単にプロピレングリコールと記載する)671部(20.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル711部(8.3モル)、イソフタル酸73部(1.0モル)、アジピン酸45部(0.7モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−11、融点68℃)91部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら5時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは312部(9.3モル)であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸72部(0.85モル)を加え、常圧密閉下1時間反応後、210℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕155℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A6)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は8分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A6)のTgは65℃、Tmは155℃、Mpは9500、酸価は35、水酸基価は10、THF不溶解分は22%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は4μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A7)の合成]
反応槽中に、エチレングリコール744部(25.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル792部(8.5モル)、フマル酸56部(1.0モル)、アジピン酸35部(0.5モル)、無水トリメリット酸69部(0.75モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−5、融点62℃)125部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら5時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するエチレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕140℃で取り出した。回収されたエチレングリコールは405部(1.4モル)であった。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A7)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は12分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A7)のTgは55℃、Tmは140℃、Mpは7500、酸価は20、水酸基価は40、THF不溶解分は18%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は8μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(A8)の合成]
反応槽中に、プロピレングリコール542部(20.0モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物124部(1.0モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物117部(1.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル575部(8.3モル)、イソフタル酸59部(1.0モル)、アジピン酸37部(0.7モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−11、融点68℃)91部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら9時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら6時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは302部(11.1モル)であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸58部(0.85モル)を加え、常圧密閉下1時間反応後、210℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕153℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(A8)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は9分であった。
ポリエステル樹脂組成物(A8)のTgは63℃、Tmは153℃、Mpは9200、酸価は24、水酸基価は10、THF不溶解分は20%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は5μmであった。
[ポリエステル樹脂(B1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物460部(8.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物312部(5.0モル)、テレフタル酸237部(9.2モル)、アジピン酸18部(0.8モル)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸26部(0.9モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B1)とする。
ポリエステル樹脂(B1)のTgは54℃、Tmは88℃、Mpは4600、酸価は15、水酸基価は56、THF不溶解分は0%、分子量500以下の成分の含有量は7.0%であった。
[ポリエステル樹脂(B2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物423部(6.8モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物180部(2.5モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物146部(2.5モル)、テレフタル酸267部(9.0モル)、フマル酸21部(1.0モル)、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸26部(0.7モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B2)とする。
ポリエステル樹脂(B2)のTgは61℃、Tmは112℃、Mpは6800、酸価は15、水酸基価は30、THF不溶解分は0%、分子量500以下の成分の含有量は3.0%であった。
[ポリエステル樹脂(B3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物620部(11.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物125部(2.0モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物41部(0.8モル)、テレフタル酸244部(9.5モル)、アジピン酸11部(0.5モル)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら6時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸12部(0.4モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B3)とする。
ポリエステル樹脂(B3)のTgは56℃、Tmは86℃、Mpは4100、酸価は7、水酸基価は70、THF不溶解分は0%、分子量500以下の成分の含有量は8.5%であった。
[ワックス分散用樹脂(C1)の合成]
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽(以下の製造例に用いるオートクレーブ反応槽も同様)中に、キシレン300部、ビスコール660P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点145℃)165部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン670部、アクリロニトリル90部、アクリル酸ブチル65部、アクリル酸10部、ジ−t−ブチルパーオキサイド30部、及びキシレン120部の混合溶液を175℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C1)を得た。
ワックス分散用樹脂(C1)のTgは59℃、Mnは2800であった。
[ワックス分散用樹脂(C2)の合成]
オートクレーブ反応槽中に、キシレン300部、ビスコール550P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点152℃)140部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン640部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル105部、アクリル酸15部、ジ−t−ブチルパーオキサイド24部、及びキシレン120部の混合溶液を175℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C2)を得た。
ワックス分散用樹脂(C2)のTgは58℃、Mnは4100であった。
[ワックス分散用樹脂(C3)の合成]
オートクレーブ反応槽中に、キシレン300部、ビスコール660P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点145℃)100部、サンワックス171P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点107℃)65部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン670部、アクリロニトリル90部、アクリル酸ブチル65部、アクリル酸10部、ジ−t−ブチルパーオキサイド30部、及びキシレン120部の混合溶液を175℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C3)を得た。
ワックス分散用樹脂(C3)のTgは59℃、Mnは2900であった。
[ワックス分散用樹脂(C4)の合成]
オートクレーブ反応槽中に、キシレン300部、ビスコール550P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点152℃)80部、サンワックス171P(三洋化成工業製 熱減成型ポリオレフィンワックス、軟化点107℃)60部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン640部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル105部、アクリル酸15部、ジ−t−ブチルパーオキサイド24部、及びキシレン120部の混合溶液を175℃で3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C4)を得た。
ワックス分散用樹脂(C4)のTgは58℃、Mnは4200であった。
[ポリエステル樹脂組成物(RA1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−5、融点62℃)20部、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕145℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(RA1)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂組成物(RA1)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは11000、酸価は27、水酸基価は2、THF不溶解分は14%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は2μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(RA2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−5、融点62℃)220部、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕142℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(RA2)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂組成物(RA2)のTgは60℃、Tmは142℃、Mpは11000、酸価は24、水酸基価は1、THF不溶解分は10%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は16μmであった。
[ポリエステル樹脂組成物(RA3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−51、融点77℃)111部、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕147℃で取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(RA3)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は45分であった。
ポリエステル樹脂組成物(RA3)のTgは60℃、Tmは147℃、Mpは11000、酸価は26、水酸基価は2、THF不溶解分は15%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は50μmであった。
[ポリエステル樹脂(RA4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物408部(7.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314部(5.0モル)、テレフタル酸228部(8.8モル)、アジピン酸27部(1.2モル)、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で5時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸84部(2.8モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で反応させ、軟化点〔Tm〕146℃で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA4)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂(RA4)のTgは60℃、Tmは146℃、Mpは10800、酸価は27、水酸基価は2、THF不溶解分は15%であった。
[ポリエステル樹脂組成物(RB1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物460部(8.5モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物312部(5.0モル)、テレフタル酸237部(9.2モル)、アジピン酸18部(0.8モル)、炭化水素ワックス(日本精蝋製、HNP−51、融点77℃)111部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸26部(0.9モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂組成物を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂組成物(RB1)とする。取り出しの際、樹脂を60℃以下まで冷却するのに要した時間は7分であった。
ポリエステル樹脂組成物(RB1)のTgは53℃、Tmは86℃、Mpは4600、酸価は14、水酸基価は54、THF不溶解分は0%、分子量500以下の成分の含有量は6.5%、炭化水素ワックスの平均分散粒径は5μmであった。
[ポリエステル樹脂(RB2)の合成]
反応槽中に、プロピレングリコール697部(20.0モル)、テレフタル酸ジメチルエステル845部(9.5モル)、アジピン酸34部(0.5モル)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で2時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは312部(9.0モル)であった。その後、175℃まで冷却し、無水トリメリット酸21部(0.2モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB2)とする。
ポリエステル樹脂(RB2)のTgは56℃、Tmは92℃、Mpは5300、酸価は12、水酸基価は48、THF不溶解分は0%、分子量500以下の成分の含有量は3.0%であった。
製造例で得られたポリエステル樹脂組成物(A1)〜(A8)、(B1)〜(B3)、(C1)〜(C4)及び比較製造例で得られたポリエステル樹脂組成物(RA1)〜(RA4)、(RB1)〜(RB2)を、表1の配合比(部)に従い、本発明の電子写真用トナーバインダー及び比較の電子写真用トナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、カルナバワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−8)、及び比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−5)を得た。
前記方法で測定した上記トナー組成物のTg、Tmと、下記評価方法で、最低定着温度(MFT)、ホットオフセット発生温度(HOT)、耐久性、帯電安定性、及び連続複写時の画質安定性を評価した評価結果を表2に示す。表中の定着幅は、定着幅(℃)=HOT(℃)−MFT(℃)で算出され、値が大きければ大きいほど、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスが良いことを意味する。
〔1〕最低定着温度(MFT)
上記のトナー組成物を用いて、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕耐久性
トナー組成物を市販のプリンターLP−1400(エプソン製)用のカートリッジに充填し、同機を用いべた画像を1000枚連続印刷し、1000枚後の画像を目視で判定した。
評価基準
○:スジ・ムラなし
△:わずかにスジ・ムラがある
×:スジ・ムラがある
〔4〕帯電安定性
トナー組成物0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10及び60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
評価基準
◎:0.8以上
○:0.7以上、0.8未満
△:0.6以上、0.7未満
×:0.6未満
〔5〕画質安定性
トナー組成物30gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、f−150)800gを均一に混合し2成分現像剤とした。この現像剤を用いて、市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機[LBP−2160、キヤノン(株)製]の定着ユニットを用いて、プロセススピード80mm/secで定着した。
評価基準
◎:8000枚連続複写後も画像良好のもの
○:8000枚連続複写後、画質低下(白地汚れ)がややみられるもの
△:8000枚連続複写後、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が明らかにみられるもの
×:複写初期から画像不良のもの
Claims (5)
- ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)を構成単位として有するポリエステル樹脂(a)と融点が60℃〜100℃である炭化水素ワックス(b)で構成され、軟化点が130℃〜170℃であるポリエステル樹脂組成物(A)、ポリオール成分(xb)とポリカルボン酸成分(yb)を構成単位として有し、軟化点が80℃〜120℃であるポリエステル樹脂(B)、およびポリオレフィン中でビニルモノマーが重合されたワックス分散用樹脂(C)を含有し、ポリエステル樹脂(B)が、実質的にビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのみからなるポリオール成分(xb)と芳香族ポリカルボン酸を70モル%以上含有するポリカルボン酸成分(yb)とが重縮合されてなり、ポリエステル樹脂組成物(A)が、炭化水素ワックス(b)がポリエステル樹脂(a)中に平均分散粒径0.1〜20μmで分散されたものであって、(A)中の(b)の含有量が3〜15重量%である電子写真用トナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(a)を構成するポリオール成分(xa)が、エチレングリコール、プロピレングリコール及びビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜3)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物である請求項1記載の電子写真用トナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(B)中の分子量500以下の成分の含有量が2.0〜10.0重量%である請求項1又は2記載の電子写真用トナーバインダー。
- ポリエステル樹脂組成物(A)、ポリエステル樹脂(B)、およびワックス分散用樹脂(C)の重量比が次の関係を満たす請求項1〜3のいずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
(A):(B):(C)=(20〜89):(10〜70):(1〜10) - 請求項1〜4いずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、及び流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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