JP4672598B2 - トナー用樹脂およびトナー組成物 - Google Patents
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すなわち、本発明は、〔1〕ポリオール成分とポリカルボン酸成分が重縮合されてなり、ポリオール成分が、その30〜100モル%の炭素数2〜6の脂肪族ジオールと、必要によりビスフェノール類の炭素数2〜3のアルキレンオキサイド付加物であり、ポリカルボン酸成分が、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸とからなり、芳香族ポリカルボン酸を60モル%以上含有し、酸価が6mgKOH/g以下かつ水酸基価が10〜65mgKOH/gのポリエステル樹脂(a)と、2価以上の芳香族カルボン酸、並びにその酸無水物および低級アルキル(炭素数1〜4)エステルからなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸(b)が反応されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(a)と(b)の反応時の(a)に由来する水酸基の当量をOHa、(b)に由来するカルボキシル基の当量をCOOHbとするとき、当量比OHa/COOHb=0.55〜1.0であり、ポリエステル樹脂(A)の酸価が13〜50mgKOH/gかつ水酸基価が8mgKOH/g以下であるトナー用樹脂;並びに、〔2〕上記のトナー用樹脂と、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなるトナー組成物;である。上記以外は参考発明である。
本発明のトナー用樹脂は、特定酸価および特定水酸基価を有するポリエステル樹脂(a)と、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、並びにそれらの酸無水物および低級アルキル(炭素数1〜4)エステルからなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸(b)を反応させることで得られるポリエステル樹脂(A)からなる。
なお、ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル樹脂(a)にカルボン酸(b)を反応させて得られるものであるから、(A)を構成するポリオール成分としても、上記のものが好ましい。
炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、およびネオペンチルグリコール等のアルカンジオールなどが挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、およびネオペンチルグリコールであり、さらに好ましくはエチレングリコール、および1,2−プロピレングリコールであり、とくに好ましくは1,2−プロピレングリコールである。
これらの炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外のポリオール成分の中で、好ましくは、炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数6〜36の脂環式ジオール、炭素数6〜36の脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物、ビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜4のAO付加物であり、さらに好ましくビスフェノール類の炭素数2〜3のAO(EOおよび/またはPO)付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜3のAO(EOおよび/またはPO)付加物である。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。
ポリカルボン酸成分のうち、3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、およびスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することもできる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒〔例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、およびチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)とその分子内重縮合物〕、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.2/1〜1/1、とくに好ましくは1.1/1〜1/1である。なお、上記反応比率は、反応中に系外へ除去される成分があるときは、その分を除外した比率である。
ポリエステル樹脂(a)の酸価、水酸基価をこれらの範囲とするには、ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率で調整するのが有効である。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL30R150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点 (Mw 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000 4480000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、トナー用樹脂粒子の分子量の測定は、トナー用ポリエステル樹脂中の任意の粒子1粒を取り出し、これをTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とした。この測定を10粒子について測定した。
また、カルボン酸成分として、酸無水物および、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
芳香族モノカルボン酸としては、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、フェニルプロピオン酸、およびナフトエ酸等)などが挙げられる。
これらの中で、2価以上の芳香族カルボン酸が好ましく、3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸がさらに好ましく、トリメリット酸、および無水トリメリット酸がとくに好ましい。
(A)の酸価は、13〜50であり、好ましくは15〜40である。また水酸基価は、8以下であり、好ましくは6以下である。
酸価が13を下回ると定着の強度が弱まる。また水酸基価が8を超える、あるいは酸価が50を超えると、環境条件の影響を受けやすくなり、安定性が悪化する。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
している。
カルボン酸成分中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量は、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは2〜20モル%である。30モル%以下であると、樹脂の流動性が良好で、トナー化時の低温定着性が向上する。
なお、ポリエステル樹脂(A’)を構成する原料の組成と好ましいもの、(A’)の分子量、並びに酸価、水酸基価、およびTHF不溶解分の好ましい範囲は、ポリエステル樹脂(A)と同様である。
ポリエステル樹脂(B)は、通常、1種以上のポリオール成分と、1種以上のポリカルボン酸成分を重縮合して得られる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステルを用いてもよい。
これらのポリカルボン酸成分のうち好ましいものは、前記ポリエステル樹脂(a)に用いるポリカルボン酸と同様である。
また水酸基価は、60以下が好ましく、50以下がさらに好ましく、5〜45がとくに好ましい。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
他の樹脂のMnは、1000〜100万が好ましい。他の樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃、とくに好ましくは120〜160℃である。
混合温度が低すぎると充分に混合できず、不均一となることがある。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合温度が高すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽などのバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロールなどが挙げられる。これらのうちエクストルーダーおよびコンティニアスニーダーが好ましい。
粉体混合する場合は、通常の混合条件および混合装置で混合することができる。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃である。混合時間は、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5〜60分である。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
実施例および比較例で得られたトナー用ポリエステル樹脂の性質の測定法を次に示す。1.酸価および水酸基価
JIS K0070(1992年版)に規定の方法。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いた。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
2.軟化点の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(以下プロピレングリコールと記載)950部(12.5モル)、テレフタル酸ジメチルエステル922部(4.8モル)、アジピン酸37部(0.25モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が85℃になった時点で取り出した。回収されたプロピレングリコールは521部(6.9モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a1)とする。
ポリエステル樹脂(a1)の酸価は2、水酸基価は57、Mnは2000、Mpは3500であった。
ポリエステル樹脂(A1)の酸価は17、水酸基価は2、Mnは5200、Mpは9400、THF不溶解分は34重量%であった。
ポリエステル樹脂(B1)の酸価は21、水酸基価は37、Mnは2000、Mpは4200、THF不溶解分は0重量%であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例1で得たポリエステル樹脂(a1)500部、無水トリメリット酸50部(0.26モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=0.65であった。これをポリエステル樹脂(A2)とする。
ポリエステル樹脂(A2)の酸価は27、水酸基価は1、Mnは4500、Mpは8000、THF不溶解分は20重量%であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール950部(12.5モル)、ビスフェノールA・EO2モル付加物158部(0.5モル)、テレフタル酸ジメチルエステル824.5部(4.3モル)、アジピン酸109.5部(0.75モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が85℃になった時点で取り出した。回収されたプロピレングリコールは577.6部(7.6モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a2)とする。
ポリエステル樹脂(a2)の酸価は1、水酸基価は34は、Mnは3000、Mpは6100であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂(a2)500部、無水トリメリット酸30部(0.16モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が170℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=0.65であった。これをポリエステル樹脂(A3)とする。
ポリエステル樹脂(A3)の酸価は18、水酸基価は2、Mnは5000、Mpは8700、THF不溶解分は28重量%であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた加圧可能な反応槽中に、プロピレングリコール1064部(14.0モル)、テレフタル酸498部(3.0モル)、アジピン酸29部(0.2モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換してから、150℃まで昇温した後、系内を窒素にて0.3MPaに加圧した。230℃で生成する水とプロピレングリコールを留去しながら8時間反応させた後に、系内の圧力を常圧に戻した。次いで230℃で、5〜20mmHgの減圧下で生成する水とプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が90℃になった時点で取り出した。回収されたプロピレングリコールは798部(10.5モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a3)とする。
ポリエステル樹脂(a3)の酸価は1、水酸基価は45、Mnは2200、Mpは4800であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂(a3)500部、無水トリメリット酸40部(0.21モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が170℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=0.64であった。これをポリエステル樹脂(A4)とする。
ポリエステル樹脂(A4)の酸価は25、水酸基価は2、Mnは5200、Mpは8900、THF不溶解分は24重量%であった。
実施例2記載のポリエステル樹脂(A2)を本発明のトナー用樹脂(5)とした。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例1記載のポリエステル樹脂(a1)500部、無水トリメリット酸70部(0.36モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させたが、軟化点は110℃以上にはならなかったので取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=0.46であった。これをポリエステル樹脂(C1)とする。
ポリエステル樹脂(C1)の酸価は55、水酸基価は1、Mnは2800、Mpは3500、THF不溶解分は0重量%であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例1記載のポリエステル樹脂(a1)500部、無水トリメリット酸30部(0.16モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が180℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=1.08であった。これをポリエステル樹脂(C2)とする。
ポリエステル樹脂(C2)の酸価は4、水酸基価は4、Mnは4400、Mpは7500、THF不溶解分は41重量%であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた加圧可能な反応槽中に、プロピレングリコール1292部(17.0モル)、テレフタル酸714部(4.3モル)、アジピン酸44部(0.3モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換してから、150℃まで昇温した後、系内を窒素にて0.3MPaに加圧した。230℃で生成する水とプロピレングリコールを留去しながら4時間反応させた後に、系内の圧力を常圧に戻した。次いで230℃で、5〜20mmHgの減圧下で生成する水とプロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が80℃になった時点で取り出した。回収されたプロピレングリコールは876部(11.5モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a’1)とする。
ポリエステル樹脂(a’1)の酸価は1、水酸基価は93、Mnは1200、Mpは2500であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂(a’1)500部、無水トリメリット酸70部(0.36モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が145℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時のOHa/COOHb=0.75であった。これをポリエステル樹脂(C3)とする。
ポリエステル樹脂(C3)の酸価は33、水酸基価は9、Mnは2300、Mpは4100、THF不溶解分は49重量%であった。
本発明のトナー用樹脂(1)〜(5)および比較のトナー用樹脂(6)〜(8)それぞれ100部に対して、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]1部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T5)、および比較用のトナー組成物(T6)〜(T8)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表1に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後
の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
△:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚複写後の画質に乱れが観察される
。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
〔4〕粉砕性
二軸混練機で混練、冷却したトナー粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕時間:10分
これを分級せずに、体積平均粒径をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、粉砕性のテストとした。本測定法では、体積平均粒径が12μm以下であると、粉砕性が良好であると言える。
Claims (5)
- ポリオール成分とポリカルボン酸成分が重縮合されてなり、ポリオール成分が、その30〜100モル%の炭素数2〜6の脂肪族ジオールと、必要によりビスフェノール類の炭素数2〜3のアルキレンオキサイド付加物であり、ポリカルボン酸成分が、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸とからなり、芳香族ポリカルボン酸を60モル%以上含有し、酸価が6mgKOH/g以下かつ水酸基価が10〜65mgKOH/gのポリエステル樹脂(a)と、2価以上の芳香族カルボン酸、並びにその酸無水物および低級アルキル(炭素数1〜4)エステルからなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸(b)が反応されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(a)と(b)の反応時の(a)に由来する水酸基の当量をOHa、(b)に由来するカルボキシル基の当量をCOOHbとするとき、当量比OHa/COOHb=0.55〜1.0であり、ポリエステル樹脂(A)の酸価が13〜50mgKOH/gかつ水酸基価が8mgKOH/g以下であるトナー用樹脂。
- ポリエステル樹脂(A)のTHF不溶解分が1〜50重量%である請求項1記載のトナー用樹脂。
- ポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分中の炭素数2〜6の脂肪族ジオールが、1,2−プロピレングリコールである請求項1または2記載のトナー用樹脂。
- ポリエステル樹脂(A)と共に、THF不溶解分を含まない(A)以外のポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜3のいずれか記載のトナー用樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか記載のトナー用樹脂と、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤からなるトナー組成物。
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