JP4691466B2 - 電子写真用トナーバインダーおよびトナー - Google Patents

電子写真用トナーバインダーおよびトナー Download PDF

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Description

本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる電子写真用トナーバインダーおよびトナーに関する。
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用現像剤組成物は、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、微粒子とするために適度な衝撃強度などが求められる。この基本的な要求性能を満たすためにビスフェノール類から誘導されるアルコール性化合物を構成単位としたポリエステル樹脂を用いることが知られている(特許文献1,2等)。しかしながら上記方法によるポリエステル樹脂は定着性と耐久性の両立の面で十分でないという問題点を有していた。
特公昭52−3304号公報 特公平7−82255号公報
本発明はポリエステル樹脂を用いた電子写真用トナーバインダーおよびトナーにおいて十分な定着性と耐久性の両立を付与することを目的とする。
本発明者らは、熱定着方式用の電子写真用トナーにおいて、上記特性に優れるポリエステル系トナーバインダーを開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、アルコール成分と酸成分が重縮合されてなるポリエステル樹脂からなる電子写真用トナーバインダーにおいて、該ポリエステル樹脂が、
(1)アルコール成分としてビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル(A)を85モル%以上含有し、(2)(A)中のビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含有量が90重量%以上、かつ1モル以下付加物の含有量が0重量%であり、(3)数平均分子量が1300〜4200であり、(4)ガラス転移点が53℃〜65℃であることを特徴とする電子写真用トナーバインダー;並びに該トナーバインダーを含有する電子写真用トナーである。
本発明のポリエステル樹脂からなる電子写真トナーバインダーを用いた本発明の電子写真用トナーは、定着性と耐久性の両立に優れる。
以下、本発明を詳述する。
本発明の電子写真用トナーバインダーに用いられるポリエステル樹脂としては、アルコール成分と酸成分との重縮合物が挙げられる。
アルコール成分としては、必須成分であるビスフェノール類のポリオキシエチレンエーテル(A)とその他のポリオール、酸成分としてはポリカルボン酸が挙げられる。
ビスフェノール類のポリオキシエチレンエーテル(A)としては、ビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等、及びそれらの炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン等が1〜8個置換したもの(トリクロロビスフェノールA、テトラクロロクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF等のハロゲン置換体;2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA、2,2’−ジエチルビスフェノールF等のアルキル置換体)等]のエチレンオキシド(以下EOと略記する。)付加物(平均付加モル数2〜4)等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。
これらのうち、トナーの定着性および耐久性の両立の観点から、ビスフェノールAのEO2モル付加物が好ましい。
(A)中のビスフェノールAのEO2モル付加物含有量は、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは92重量%以上、より好ましくは93重量%以上、特に好ましくは96重量%以上である。90重量%以上とすることで、ポリエステルトナーバインダーとしたときに、本発明の目的であるトナーの定着性および耐久性の両立が容易に可能となる。
ビスフェノールAのEO2モル付加物の含有量が90重量%以上である(A)は、例えば次の(1)〜(3)のような方法で得ることができる。
(1)ビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル(EOの平均付加モル数が1.1〜1.9)をアルカリ性の水と混合して、5〜40℃にて静置分液し、ビスフェノールAのEO1モル付加物およびビスフェノールAを抽出除去する方法。
(2)ビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル(EOの平均付加モル数が2.1〜3.3)を50〜90℃の温水と混合して、ビスフェノールAのEO3〜5モル付加物を抽出除去する方法。
(3)ビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル(EOの付加モル分布が広いもの)について、(1)および(2)の両方を行う方法。
ポリエステル樹脂のアルコール成分を構成するその他のポリオールとしては、その合計量がアルコール成分の0〜15モル%の範囲で、ジオール(a)、3〜8価又はそれ以上のポリオール(b)及びその低級(炭素数1〜8)アルカン酸エステルが挙げられる。
ジオール(a)としては、水酸基価180〜1900mgKOH/gのジオール類が好ましく、具体的には、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールAなど);及び上記脂環式ジオールのAO付加物;ビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等、及びそれらの炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン等が1〜8個置換したもの(トリクロロビスフェノールA、テトラクロロクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF等のハロゲン置換体;2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA、2,2’−ジエチルビスフェノールF等のアルキル置換体)等]のEOを除くアルキレンオキシド(以下AOと略記する。)付加物;などが挙げられる。これらは2種以上併用して用いることもできる。
これらのうち、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物の量は、全アルコール成分に対して、好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、特に好ましくは0.1モル%以下である。ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物の量が10モル%を超えると定着性が十分に発現しなくなることがある。
3〜8価又はそれ以上のポリオール(b)としては、水酸基価150〜1900mgKOH/gのポリオールが好ましく、具体的には、3〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトールなど);上記脂肪族多価アルコールのAO付加物;トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物;及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラックなど)のAO付加物などが挙げられる。これらは2種以上併用して用いることもできる。
ポリエステル樹脂を構成するポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(c)、3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(d)及びその酸無水物又は低級(炭素数1〜4)アルコールエステルが挙げられる。
ジカルボン酸(c)としては、酸価180〜1250mgKOH/gのジカルボン酸が好ましく、具体的には、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデセニルコハク酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸及びフマル酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数6〜21のアルキレンジカルボン酸である。これらは2種以上を併用して用いることもできる。
3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(d)としては、酸価150〜1250mgKOH/gのポリカルボン酸が好ましく、具体的には、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、不飽和カルボン酸のビニル重合体(スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体、スチレン/フマル酸共重合体など)などが挙げられる。これらは2種以上を併用して用いることもできる。
これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸、ピロメリット酸である。
なお、ジカルボン酸(c)又は3価以上のポリカルボン酸(d)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
また、(a)〜(d)の他にもヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシステアリン酸及び硬化ヒマシ油脂肪酸など)を用いることができる。
本発明に用いるポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は通常53〜65℃、好ましくは54〜62℃、さらに好ましくは55〜58℃である。53℃未満ではトナー流動性が十分でない場合があり、65℃を超えると定着性が十分でない場合がある。
これらのTgにするためには上記アルコール成分と酸成分の比率を、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.4/1〜1/1.4とすればよい。
尚、上記及び以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
ポリエステル樹脂中の、全アルコール成分に占める(A)の割合は、通常85モル%以上であり、トナーの保存性と定着性能及び粉砕性のバランスの観点から、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは93モル%以上、特に96モル%以上である。
本発明に用いるポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により得られる数平均分子量(Mn)は、通常1300〜4200、好ましくは1500〜3400、更に好ましくは1800〜3100、特に好ましくは2000〜3000である。4200を超えると本発明の目的とする定着性と耐久性のバランスが従来のものと同等になる場合がある。また1300未満ではトナーの流動性が悪くなり好ましくない。
上記及び下記においてポリエステル樹脂の分子量は、THF可溶分についてGPCを用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー製 HLC−8120
カラム(一例): TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点 (Mw 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000 4480000)
尚、THF可溶分は以下の方法で得られる。
200mlの共栓付きマイヤーフラスコに、試料約0.5gを精秤し、THF50mlを加え、3時間撹拌還流させて冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別する。このろ液をTHF可溶分として使用する。
本発明に用いるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分を通常公知のエステル化触媒[例えはスズ系化合物(ジブチルチンオキシド、ジオクチルスズジラウレートなど)、チタン系化合物(チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタントリエタノールアミネート、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネートなどのチタンアルコキシド等)、アンチモン系化合物(3酸化アンチモンなど)]などの存在下で重縮合させることにより得られる。これらのうち環境負荷の観点から好ましくはチタン系化合物である。反応温度としては、特に制限はないが、好ましくは160℃〜280℃、更に好ましくは175〜270℃、特に好ましくは185〜260℃である。160〜280℃にすることで、適度な反応速度が得られ工業的生産が可能となる。
本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂とともに、ポリエステル樹脂の特性を損なわない範囲で他の樹脂も含有させることができる。
他の樹脂としては、スチレン系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体及びスチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの付加縮合物の硬化物等)、ウレタン樹脂(ジオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。これら他の樹脂の含有量は、トナーバインダーの重量を基準として、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%である。
本発明の電子写真用トナーは、本発明のトナーバインダー及び着色剤からなり、必要により離型剤、荷電制御剤及び流動化剤など種々の添加剤等を含有させることができる。
着色剤としては公知の染料、顔料及び磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
着色剤の使用量は、染料又は顔料を使用する場合は、トナーバインダーの重量に基づいて通常0.5〜15重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常20〜150重量%である。
離型剤としては、軟化点50〜170℃のワックス類が用いられる。ワックス類としては、ポリオレフィン樹脂類[ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン(炭素数3〜8)共重合体、フィッシャートロプシュワックス、ポリメチレンなど]、パラフィン類(n−パラフィン、イソパラフィンなど)、エステルワックス類(カルナウバワックス、モンタンワックス、ライスワックス等)、炭素数30以上の脂肪族アルコール、炭素数30以上の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。離型剤の量は、トナーバインダーの重量に基づいて、通常0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
荷電制御剤の使用量はトナーバインダーの重量に基づいて、通常0〜5重量%である。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末及び炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができ、使用量はトナーバインダーの重量に基づいて、通常0〜5重量%である。
トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー構成成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、更に風力分級し、体積平均粒径D50が通常2〜20μmの粒子として得られる。
本発明の電子写真用トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリアー粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
トナーの評価は以下の試験方法により行った。
製造例1
撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブ中で、ビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業製ニューポールBPE−20:EO2モル付加物約82重量%)を5倍量の温水で3回洗浄し、精製物(A−1)を得た。(A−1)のビスフェノールAのEO付加物分布は、1モル以下0重量%、2モル96.2重量%、3モル3.7重量%、4モル以上0.1重量%であった。
製造例2
製造例1と同様の装置を用い、ビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業製ニューポールBPE−20:EO2モル付加物約82重量%)を10倍量の温水で1回洗浄し、精製物(A−2)を得た。(A−2)のビスフェノールAのEO付加物分布は、1モル以下0重量%、2モル92.0重量%、3モル7.9重量%、4モル以上0.1重量%であった。
トナーバインダー製造例−1
冷却管、攪拌機および窒素導入管のついた反応槽中に、製造例−1で得た精製物(A−1)412.5g、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをAX−1とする。AX−1のガラス転移点は57℃、数平均分子量は3000であった。なお、ガラス転移点はおよび数平均分子量の測定は前記の方法による(以下同様)。
トナーバインダー製造例−2
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、(A−1)422.0g、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをAX−2とする。AX−2のガラス転移点は55℃,数平均分子量は2400であった。
トナーバインダー製造例−3
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、(A−1)422.0g、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が8になった時点で内容物を取り出した。これをAX−3とする。AX−3のガラス転移点は54℃,数平均分子量は1800であった。
トナーバインダー製造例−4
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、(A−2)415.5g、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをAX−4とする。AX−4のガラス転移点は55℃,数平均分子量は2900であった。
トナーバインダー製造例−5
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、(A−1)384g、ビスフエノールAのPO付加物(三洋化成工業製ニューポールBP−2P)31g(ビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテルの比率93モル%に相当)、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをAX−5とする。AX−5のガラス転移点は58℃,数平均分子量は3000であった。
トナーバインダー比較製造例−1
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、ビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業製ニューポールBPE−20:EO2モル付加物約82重量%)366.2g,テレフタル酸166g、ジブチルスズオキシド1gを仕込み、230℃に昇温し、、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをBX−1とする。BX−1のガラス転移点は51℃,数平均分子量は3800であった。
トナーバインダー比較製造例−2
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、ビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業製ニューポールBP−2P)487.0g,テレフタル酸166g、ジブチルスズオキシド1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをBX−2とする。BX−2のガラス転移点は、55℃,数平均分子量は2000であった。
トナーバインダー比較製造例−3
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、ビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業製ニューポールBP−2P)226.2g,ビスフェノールAのPO付加物(三洋化成工業製ニューポールBP−3P)180.9g,テレフタル酸166g、ジブチルスズオキシド1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをBX−3とする。BX−3のガラス転移点は、69℃,数平均分子量は4500であった。
トナーバインダー比較製造例−4
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、(A−1)330g、ビスフエノールAのPO付加物(三洋化成工業製ニューポールBP−2P)90g(ビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテルの比率80モル%に相当)、テレフタル酸166g、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1gを仕込み、230℃に昇温し、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が1になった時点で内容物を取り出した。これをBX−4とする。BX−4のガラス転移点は58℃,数平均分子量は2800であった。
トナーバインダー比較製造例−5
トナーバインダー製造例−1と同様の装置を用い、ビスフェノールAのEO付加物(三洋化成工業製ニューポールBPE−20:EO2モル付加物約82重量%)366.2g、テレフタル酸166g、ジブチルスズオキシド1gを仕込み、230℃に昇温し、、生成水を除去しながら反応を進めた。反応後半は系内を徐々に減圧し反応を進め、酸価が14になった時点で内容物を取り出した。これをBX−5とする。BX−5のガラス転移点は46℃,数平均分子量は1250であった。
本発明のトナーバインダー(AX−1)〜(AX−5)または比較トナーバインダー(BX−1)〜(BX−5)のいずれか100部、カルナバワックス5部およびシアニンブルーKRO(山陽色素(株)製)4部を、下記の方法で各々トナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し、粒径d50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナー(AT−1)〜(AT−5)および比較トナー(BT−1)〜(BT−4)を得た。なお(BX−5)を用いたトナー化では、超音速ジェット粉砕機ラボジェットの装置内に粉砕物が堆積し、トナーを得ることができなかった。
[評価方法]
〔1〕定着性:最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕耐熱保存性
評価用トナー2gを30mlのスクリュー管に充填し、ふたをした後50℃で12時間静置した。スクリュー管を逆さにし、トナー凝集物を目視確認した。
判定基準
凝集物なし ・・・○
一部凝集 ・・・△
すべて凝集 ・・・×
〔3〕耐久性
評価用トナーを市販のプリンタLP−1400(エプソン製)用のカートリッジに充填し、同機を用いべた画像を1000枚連続印刷し、1000枚後の画像を目視で判定した。
判定基準
スジ・ムラなし ・・・○
わずかにスジ・ムラがある ・・・△
スジ・ムラがある ・・・×
評価結果を表1に示す。
Figure 0004691466
本発明のトナーバインダー、およびそれを含有する本発明のトナーは、定着性と耐久性が共に優れるため、電子写真用トナーとして有用である。

Claims (3)

  1. アルコール成分と酸成分が重縮合されてなるポリエステル樹脂からなる電子写真用トナーバインダーにおいて、該ポリエステル樹脂が、
    (1)アルコール成分としてビスフェノールAのポリオキシエチレンエーテル(A)を85モル%以上含有し、
    (2)(A)中のビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物の含有量が90重量%以上、かつ1モル以下付加物の含有量が0重量%であり、
    (3)数平均分子量が1300〜4200であり、
    (4)ガラス転移点が53℃〜65℃
    であることを特徴とする電子写真用トナーバインダー。
  2. アルコール成分中のビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物の含有量が10モル%以下である請求項1記載の電子写真用トナーバインダー。
  3. 請求項1または2記載の電子写真用トナーバインダーを含有することを特徴とする電子写真用トナー。
JP2006098899A 2005-03-31 2006-03-31 電子写真用トナーバインダーおよびトナー Active JP4691466B2 (ja)

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