JP5439038B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents

トナーバインダーおよびトナー組成物 Download PDF

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Description

本発明は電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナーバインダーおよびトナー組成物に関する。
耐ブロッキング性、特に高温高湿環境下での保存安定性に関する耐ブロッキング性を向上させる目的で、1,2−プロピレングリコールとネオペンチルグリコール等の特定のポリオール成分を用いて得られるポリエステル樹脂からなるトナーバインダーが提案されている(特許文献1等)。
特開2006−154686号公報
しかし、近年、複写機・プリンターのカラー化・高速化・高信頼性・コンパクト・低コスト・環境安定性・省エネに対応した樹脂が要望されており、特に、環境安定性の観点から、さらに帯電特性に優れた樹脂が要望されており、対応が急務である。
本発明の目的は、帯電特性(飽和帯電量、帯電立ち上がり性、帯電安定性)に優れ、かつ、耐ブロッキング性が良好となるトナーバインダーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂(A)であって、ポリオール成分(x)中の80モル%以上が炭素数2〜10の脂肪族ジオールおよび炭素数5〜20の脂環式ジオールから選ばれる1種以上であり、かつ、SP値が10.5〜11.6(cal/cm31/2であるポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とするトナーバインダー;並びにこのトナーバインダーと、着色剤、並びに必要により離型剤、荷電制御剤、および流動剤から選ばれる1種以上のトナー用添加剤からなるトナー組成物;である。
本発明のトナーバインダーを用いることにより、トナーの帯電特性を飛躍的に向上させるとともに、耐ブロッキング性を良好とすることが可能となる。
以下、本発明を詳述する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが重縮合されて得られる。また、必要によりモノオール(x’)および/またはモノカルボン酸(y’)を含有してもよく、これらも(x)あるいは(y)に含める。
ポリオール成分(x)は、炭素数2〜10の脂肪族ジオールおよび炭素数5〜20の脂環式ジオールから選ばれる1種以上を80モル%以上含有する必要があり、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。80モル%未満であると樹脂が着色しやすくなる。
さらに(x)中に、上記の炭素数2〜10の脂肪族ジオール中の炭素数5〜10の分岐のある脂肪族ジオール(x11)と、炭素数5〜20の脂環式ジオール中の炭素数10〜20の脂環式ジオール(x12)から選ばれる1種以上のジオール(x1)を含有するのが好ましく、(x1)の含有量は、好ましくは12モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上、とくにに好ましくは19モル%以上である。ジオール(x1)を12モル%以上含有すると、帯電特性が向上する。
なお、上記の含有量は、ポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール中の含有量を意味し、ポリオール成分(x)のうちで、重縮合反応中に系外に留出されるものは除き、かつ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸のジエステルに由来するポリオールも含めた量である。
ポリオール成分(x)のうちで、重縮合反応中に系外に留出されるものが無い場合は、(A)を構成するポリオール成分中の各ポリオールの含有量(モル%)と(x)中に含有するポリオール成分中の各ポリオールの含有量(モル%)は等しくなる。重縮合反応中に系外に留出されるものがある場合は、そのポリオールについては、(A)を構成するポリオールよりも、留出される分だけ過剰量用いる。留出されるポリオールがエチレングリコールおよび/または1,2−プロピレングリコールの場合は、(x)中に(A)中の量に対して、例えば、120〜200モル%用いる。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、炭素数5〜10の分岐のある脂肪族ジオール(x11)、炭素数2〜4の脂肪族ジオール、および炭素数5〜10の直鎖型脂肪族ジオール挙げられる。
(x11)としては、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチルー1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、および2−nーブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
炭素数2〜4の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、および1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
炭素数5〜10の直鎖型脂肪族ジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等が挙げられる。
炭素数5〜20の脂環式ジオールとしては、炭素数10〜20の脂環式ジオール(x12)、および炭素数5〜9の脂環式ジオールが挙げられる。
(x12)としては、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
炭素数5〜9の脂環式ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる
炭素数5〜10の分岐のある脂肪族ジオール(x11)、および炭素数10〜20の脂環式ジオール(x12)、すなわちジオール(x1)のうち、帯電特性と耐ブロッキング性の両立の観点から、好ましいものは、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチルー1,3−プロパンジオール、2−nーブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオール、水素添加ビスフェノールA、およびこれらの併用である。
また、(x1)以外の炭素数2〜10の脂肪族ジオールおよび炭素数5〜20の脂環式ジオールで好ましいものは、耐ブロッキング性の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびこれらの併用である。
ポリオール成分(x)中には、炭素数2〜10の脂肪族ジオールおよび炭素数5〜20の脂環式ジオールから選ばれる1種以上のジオール以外の他のポリオール(ジオールおよび3価〜8価もしくはそれ以上のポリオール)を含有してもよい。
これらのうち、ジオールとしては、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);前記炭素数5〜20の脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、炭素数4〜10のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびジプロピレングリコールなど)、および、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜10)であり、とくに好ましいものはジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)である。
3価〜8価もしくはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3価〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、とくに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
モノオール(x’)としては、炭素数1〜30のアルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール等)、炭素数3〜24のアルケノール(アリルアルコール、プロペニルアルコール、オレイルアルコール等)、および炭素数7〜36の芳香族アルコール(ベンジルアルコール等)等が挙げられる。
これらのうち、耐ブロッキング性の観点から、好ましいものは、炭素数7〜36の芳香族アルコール(ベンジルアルコール等)である。
本発明においては、ポリエステル樹脂(A)の原料のポリカルボン酸成分(y)中に、テレフタル酸、イソフタル酸、(無水)フタル酸、および/またはそれらの低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数:1〜4)(y1)を含有するのが好ましい。なお、低級アルキルエステルは、ヒドロキシアルキルエステルを含む意味で用いる。
低級アルキルエステルの具体例としては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸エチレングリコールジエステル、テレフタル酸1,2−プロピレングリコールジエステル等が挙げられる。
これらの中では、反応速度およびコストの点で、テレフタル酸、イソフタル酸、(無水)フタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸エチレングリコールジエステル、テレフタル酸1,2−プロピレングリコールジエステル、およびこれらの2種以上の併用が好ましい。
(y1)は、得られるポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を上げて、トナーの耐ブロッキング性を向上させる効果があるため、ポリカルボン酸成分(y)に対して、70モル%以上含有するのが好ましく、さらに好ましくは75モル%以上、とくに好ましくは80モル%以上である。
ポリカルボン酸成分(y)中には、必要により(y1)以外の1種以上のポリカルボン酸を含有してもよい。ポリカルボン酸としては、(y1)以外のジカルボン酸、および3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
(y1)以外のジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカン二酸および1,18−オクタデカンジカルボン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えばドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸);(y1)以外の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(ナフタレンジカルボン酸等);およびこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット、およびピロメリット酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらのうち好ましいものはトリメリット酸およびピロメリット酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
これらの(y1)以外のポリカルボンの中で、好ましいものは、炭素数4〜22のアルカンジカルボン酸、および3〜6価の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸もしくはその酸無水物から選ばれる1種以上である。
モノカルボン酸(y’)のうち、脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸としては、炭素数1〜30のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モニタン酸、メリシン酸等)、炭素数3〜24のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸等)などが挙げられる。(y’)のうち芳香族モノカルボン酸としては、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、P−t−ブチル安息香酸、フェニルプロピオン酸、およびナフトエ酸等)などが挙げられる。
これら(y’)のうち好ましいものは、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸であり、さらに好ましくは、安息香酸、メチル安息香酸、およびP−t−ブチル安息香酸である。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは170〜260℃、とくに好ましくは190〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
また、脂肪族ジオールの一部、またはポリカルボン酸の低級アルキルエステルに由来する炭素数1〜4のアルコールを系外に留出除去させながら重縮合を行ってもよい。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
ポリエステル樹脂(A)のSP値(ソルビリティー パラメーター)は、通常10.5〜11.6、好ましくは10.8〜11.6である。
SP値が10.5未満では、帯電特性(飽和帯電量)が不十分となり、11.6を越えると環境条件の影響を受けやすくなり、Tgが低下し、耐ブロッキング性が悪化するとともに、帯電特性(飽和帯電量)が悪化する。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、好ましくは0〜60(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜50、とくに好ましくは0〜40である。酸価が100以下であるとトナー化時の帯電特性が低下しない。
また、(A)の水酸基価は、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜70、とくに好ましくは0〜40である。水酸基価が100以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
ポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、2,000〜20,000が好ましく、さらに好ましくは2,500〜15,000、とくに好ましくは3,000〜12,000である。
本発明において、ポリエステル樹脂の分子量〔Mp、Mn、および重量平均分子量(Mw)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
上記および以下において、%は特に断りの無い場合、重量%を意味する。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、定着性、保存性および耐久性等の観点から、45〜75℃が好ましく、さらに好ましくは50〜70℃である。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
(A)のフロー軟化点〔Tm〕は、90〜150℃が好ましく、さらに好ましくは95〜150℃、とくに好ましくは100〜150℃である。この範囲であると、この範囲では耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<フロー軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
本発明のトナーバインダー中には、その特性を損なわない範囲で、トナーバインダーとして通常用いられる他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、Mnが1000〜100万の(A)以外のポリエステル樹脂、スチレン系重合体、スチレンーアクリル系共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、ポリオレフィン樹脂にビニル樹脂がグラフトした構造を有する樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。他の樹脂は(A)とブレンドしてもよいし、一部反応させてもよい。他の樹脂の含有量は、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
本発明のトナー組成物は、バインダー樹脂となる本発明のトナーバインダーと、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フロー軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
本発明のトナー組成物の組成比は、トナー重量に基づき、本発明のトナーバインダーが、好ましくは30〜97%、さらに好ましくは40〜95%、とくに好ましくは45〜92%;着色剤が、好ましくは0.05〜60%、さらに好ましくは0.1〜55%、とくに好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜10%;荷電制御剤が、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜10%、とくに好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%、とくに好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、さらに好ましくは4〜58%、とくに好ましくは5〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は特に断りの無い場合、重量部を示す。
実施例1
[ポリエステル樹脂(A1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール155部(0.53モル部)、ネオペンチルグリコール339部(0.85モル部)、テレフタル酸643部(0.95モル部)、アジピン酸30部(0.05モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは74部(0.25モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1)とする。
(A1)のTgは56℃、Tmは107℃、Mpは10500、酸価は7、SP値は11.3であった。
なお、( )内のモル部は相対的なモル比を意味する(以下同様)。
実施例2
[ポリエステル樹脂(A2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール258部(0.85モル部)、ネオペンチルグリコール221部(0.53モル部)、テレフタル酸642部(0.91モル部)、アジピン酸56部(0.09モル部)、安息香酸40部(0.08モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは78部(0.25モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2)とする。
(A2)のTgは56℃、Tmは107℃、Mpは11000、酸価は10、SP値は11.4であった。
実施例3
[ポリエステル樹脂(A3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール370部(1.12モル部)、ネオペンチルグリコール92部(0.21モル部)、テレフタル酸654部(0.89モル部)、アジピン酸71部(0.11モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは82部(0.25モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A3)とする。
(A3)のTgは55℃、Tmは106℃、Mpは10800、酸価は10、SP値は11.6であった。
実施例4
[ポリエステル樹脂(A4)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール227部(0.85モル部)、2−nーブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオール300部(0.53モル部)、テレフタル酸621部(1.00モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは66部(0.24モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A4)とする。
(A4)のTgは55℃、Tmは107℃、Mpは10900、酸価は7、SP値は11.1であった。
実施例5
[ポリエステル樹脂(A5)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、エチレングリコール384部(2.30モル部)、水素添加ビスフェノールA372部(0.58モル部)、テレフタル酸271部(0.53モル部)、イソフタル酸180部(0.35モル部)、アジピン酸54部(0.12モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収されたエチレングリコールは259部(1.55モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A5)とする。
(A5)のTgは56℃、Tmは111℃、Mpは5000、酸価は9、SP値は11.4であった。
実施例6
[ポリエステル樹脂(A6)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール238部(1.10モル部)、水素添加ビスフェノールA301部(0.44モル部)、テレフタル酸416部(0.80モル部)、アジピン酸91部(0.20モル部)、P−t−ブチル安息香酸51部(0.09モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは66部(0.31モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸85部(0.14モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A6)とする。
(A6)のTgは59℃、Tmは130℃、Mpは6000、酸価は40、SP値は11.3であった。
実施例7
[ポリエステル樹脂(A7)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、水素添加ビスフェノールA637部(1.18モル部)、無水フタル酸232部(0.70モル部)、アジピン酸98部(0.30モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になったところで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.04モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A7)とする。
(A7)のTgは74℃、Tmは121℃、Mpは3000、酸価は10、SP値は10.8であった。
比較例1
[ポリエステル樹脂(RA1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール714部(2.00モル部)、テレフタル酸679部(0.87モル部)、アジピン酸89部(0.13モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは338部(0.95モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸29部(0.03モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA1)とする。
(RA1)のTgは64℃、Tmは115℃、Mpは9500、酸価は14、SP値は11.7であった。
比較例2
[ポリエステル樹脂(RA2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、エチレングリコール375部(1.37モル部)、ネオペンチルグリコール97部(0.21部)、テレフタル酸771部(1.00モル部)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収されたエチレングリコールは128部(0.47モル部)であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部(0.02モル部)を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA2)とする。
(RA2)のTgは63℃、Tmは115℃、Mpは9300、酸価は12、SP値は12.1であった。
以下の表1に、実施例1〜7で得られたポリエステル樹脂(A1)〜(A7)、および比較例1〜2で得られたポリエステル樹脂(RA1)〜(RA2)の分析値をまとめた。
Figure 0005439038
実施例8〜14、および比較例3〜4
ポリエステル樹脂(A1)〜(A7)からなる本発明のトナーバインダー、およびポリエステル樹脂(RA1)〜(RA2)からなる比較のトナーバインダーそれぞれ100部に対して、シアニンブルーKRO(山陽色素製)8部、カルナバワックス5部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T7)、および比較のトナー組成物(RT1)〜(RT2)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
Figure 0005439038
[評価方法]
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕耐ブロッキング性
トナー組成物をそれぞれポリエチレン製の瓶に入れ、45℃の高温水槽に8時間保持した後、42メッシュのふるいに移し、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターを用いて、振動強度5で10秒間振とうし、ふるいの上に残ったトナーの重量%を測定し、下記基準で判定し、耐ブロッキング性を評価した。
(判定) 残存トナー重量%
◎: 0%以上15%未満
○:15%以上25%未満
△:25%以上30%未満
×:30%以上
判定が○以上のものが耐ブロッキング性良好と判断される。
〔飽和帯電量、帯電立ち上がり性、帯電安定性〕
トナーバインダー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×1,3,5,10,20および60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。摩擦時間10分の帯電量をもって飽和帯電量とした。また、摩擦時間1分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量を計算し、帯電の立ち上がり性とした。さらに、摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量を計算し、帯電安定性とした。
〔4〕飽和帯電量の評価基準
◎:飽和帯電量の絶対値が25μC/g以上
○:飽和帯電量の絶対値が20μC/g以上、25μC/g未満
△:飽和帯電量の絶対値が15μC/g以上、20μC/g未満
×:飽和帯電量の絶対値が15μC/g未満
〔5〕帯電の立ち上がり性の評価基準
◎:0.7以上
○:0.6以上、0.7未満
△:0.5以上、0.6未満
×:0.5未満
〔6〕帯電安定性の評価基準
◎:0.8以上
○:0.7以上、0.8未満
△:0.6以上、0.7未満
×:0.6未満
以上の通り、本発明のトナーバインダーを用いた本発明のトナー組成物(実施例8〜14)は、比較例のトナー組成物(比較例3〜4)と比べて、帯電特性においていずれも著しく良好な結果が得られた。
本発明のトナーバインダーは、帯電特性、耐ブロッキング性に優れるので、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナーとして有用である。

Claims (6)

  1. ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂(A)であって、ポリオール成分(x)中の80モル%以上が炭素数2〜10の脂肪族ジオールおよび炭素数5〜20の脂環式ジオールから選ばれる1種以上のジオ−ルであり、かつ、SP値が10.8〜11.6(cal/cm31/2であるポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とするトナーバインダー。
  2. ポリエステル樹脂(A)のポリオール成分(x)として、炭素数5〜10の分岐のある脂肪族ジオール(x11)および炭素数10〜20の脂環式ジオール(x12)から選ばれる1種以上のジオール(x1)を12モル%以上含有する請求項1記載のトナーバインダー。
  3. ポリエステル樹脂(A)のポリカルボン酸成分(y)として、テレフタル酸、イソフタル酸、(無水)フタル酸、および/またはそれらの低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数:1〜4)もしくはヒドロキシアルキルエステル(アルキル基の炭素数:1〜4)を70モル%以上含有する請求項1または2記載のトナーバインダー。
  4. ポリカルボン酸成分(y)中に、さらに、炭素数4〜22のアルカンジカルボン酸、および/または、3〜6価の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸もしくはその酸無水物を含有する請求項3記載のトナーバインダー。
  5. ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度〔Tg〕が45〜75(℃)であり、かつ酸価が0〜60(mgKOH/g)である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダーと、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上のトナー用添加剤からなるトナー組成物。
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