JP5491958B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Description
近年、複写機・プリンターのカラー化・高速・高信頼性・コンパクト・低コスト・省エネがますます求められている。特に、環境負荷低減(省エネ)の要求から、トナーのさらなる低温定着性と耐ブロッキング性の両立に対する対応が急務である。
これらトナーの定着性能を向上させる目的で、低温度域、高温度域それぞれに特化した非相溶樹脂をマトリックス相とドメイン相として用いることが従来より知られている。また、その非相溶樹脂を相溶化させる相溶化剤を含有させる方法がスチレン系重合体のようなビニル系樹脂において数多く提案されている(特許文献1)。
本発明の目的は、海島構造{海相(マトリックス相)と島相(ドメイン相)}に、互いに非相溶である各々低温領域、高温領域に優れた定着性能を発揮するポリエステル樹脂を使用することで、定着温度幅の増大と耐ブロッキング性に優れたトナー組成物を提供することにある。
本発明における線形ポリエステル樹脂(A)は、カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されて得られる。カルボン酸成分(x)はポリカルボン酸(x2)および/必要によりモノカルボン酸(x1)から構成されるのが好ましい。
これら(x1)のうち好ましいものは、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸であり、さらに好ましくは、安息香酸、メチル安息香酸、およびP−t−ブチル安息香酸である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸およびピロメリット酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(x211)中のテレフタル酸および/またはその低級アルキルエステルと、イソフタル酸および/またはその低級アルキルエステルのモル比は、樹脂の機械的強度の観点から、好ましくは20:80〜100:0、さらに好ましくは25:75〜80:20である。
ジオール(y1)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
特に、(y)中のビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)の含有量は、機械的強度の観点から、好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、とくに好ましくは100モル%である。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
上記および以下において、%は、特に断りの無い場合は重量%を意味する。
SP値が10.0以上では、定着性(低温側)が良好となりとなり、11.5以下であると環境条件の影響を受けにくくなり、Tgが上昇し、耐ブロッキング性が良好となる。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
本発明における酸価および水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
装置(一例) :東ソー製 HLC−8120
カラム(一例):TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 :40℃
測定溶液 :0.25%のTHF溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :TSK標準ポリスチレン(東ソー製)
分子量=4480000、2890000、1090000、355
000、190000、96400、37900、1810
0、9100、2800、1050、500の計12点
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、トナー用ポリエステル樹脂の分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHF溶媒に溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とした。
なお、軟化点は、次のように測定される値である。
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とする。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
これら(x1)のうち好ましいものは、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸であり、さらに好ましくは、安息香酸、メチル安息香酸、およびP−t−ブチル安息香酸である。
モノカルボン酸(x1)は、保存安定性の観点から、全体のカルボン酸成分(x)に対し、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは2〜20モル%である。
ジカルボン酸(x21)うち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、および/またはそれらの低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル(x211)である。
3〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸(x22)のうち好ましいものは、トリメリット酸およびピロメリット酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(x211)中のテレフタル酸および/またはその低級アルキルエステルと、イソフタル酸および/またはその低級アルキルエステルのモル比は、樹脂の機械的強度の観点から、好ましくは20:80〜100:0、さらに好ましくは25:75〜80:20である。
ジオール(y1)としては、前記のものが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール(y11)、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)およびこれらの併用であり。さらに好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール(特にエチレングリコール)(y11)である。
特に、(y)中のエチレングリコールの含有量は、機械的強度の観点から、好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、とくに好ましくは100モル%である。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
前記第一段階の、ポリオール成分(y)とポリカルボン酸(x2)の少なくとも一部との反応における反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1.01/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
また、(B)の製造に用いる全てのポリオール成分(y)と全てのカルボン酸成分(x)の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
SP値が11.5以上では、定着性(高温側)が良好となり、13.0以下であると耐ブロッキング性が良好となる。
また、非線形ポリエステル樹脂(B)の酸価は、好ましくは3〜40、さらに好ましくは10〜38であり、水酸基価は、好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜10である。
これらの中で好ましくは、(A)と(B)以外のポリエステル樹脂である。他の樹脂のMpは、300〜10万が好ましい。
これら(x’1)のうち好ましいものは、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸であり、さらに好ましくは、安息香酸、メチル安息香酸、およびP−t−ブチル安息香酸である。
モノカルボン酸(x’1)は、保存安定性の観点から、全体のカルボン酸成分(x’)に対し、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは2〜20モル%である。
ジカルボン酸(x’21)うち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、および/またはそれらの低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル(x’211)である。
また、(x’211)中のテレフタル酸および/またはその低級アルキルエステルと、イソフタル酸および/またはその低級アルキルエステルのモル比は、樹脂の機械的強度の観点から、好ましくは20:80〜100:0、さらに好ましくは25:75〜80:20である。
ポリオール成分(y’)のうちで、重縮合反応中に系外に留出されるものが無い場合は、(C)を構成するポリオール成分中の各ポリオールの含有量(モル%)と(y’)中に含有するポリオール成分中の各ポリオールの含有量(モル%)は等しくなる。重縮合反応中に系外に留出されるものがある場合は、そのポリオールについては、(C)を構成するポリオールよりも、留出される分だけ過剰量用いる。留出されるポリオールがエチレングリコールおよび/または1,2−プロピレングリコールの場合は、(y’)中に(C)中の量に対して、例えば、120〜200モル%用いる。
また、ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
SP値が10.5以上、12.5以下であると(A)と(B)の相溶性が良好となり、耐ブロッキング性、定着性(低温側)がともに良好となる。
一般的な方法として、例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、重合触媒の存在下、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは180〜270℃、とくに好ましくは200〜260℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。
反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
なお、上記および以下において、混ざり性評価はOLYMPUS製IX71位相差顕微鏡(倒立型リサーチ顕微鏡)または/およびキーエンス製デジタルマイクロスコープ(高解像度ズームレンズ
VH−Z500R/Z500W)を用いて測定される。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[線形ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸230部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下POと記載)付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物)690部、安息香酸120部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸20部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A−1)とする。
(A−1)のMpは5000、Tgは62℃、Tmは98℃、酸価は15、水酸基価は1、SP値は10.9であった。
[線形ポリエステル樹脂(A−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸265部、ビスフェノールAのPO付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:PO2モル付加物)765部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸25部を加え、常圧下で1時間反応させた後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A−2)とする。
(A−2)のMpは3500、Tgは58℃、Tmは95℃、酸価は15、水酸基価は65、SP値は10.9であった。
[非線形ポリエステル樹脂(B−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸388部、イソフタル酸388部、アジピン酸21部、エチレングリコール600部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸17部を加え、常圧下で3時間反応させた(線形ポリエステル(B−1a))。さらに、無水トリメリット酸57部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは280部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−1)とする。
(B−1)のMpは8000、Tgは60℃、Tmは145℃、酸価は26、水酸基価は1、SP値は12.5であった。
[非線形ポリエステル樹脂(B−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸530部、イソフタル酸130部、アジピン酸5部、エチレングリコール650部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸55部を加え、常圧下で3時間反応させた(線形ポリエステル(B−2a))。さらに、無水トリメリット酸85部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは280部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
(B−2)のMpは4500、Tgは60℃、Tmは145℃、酸価は25、水酸基価は10、SP値は12.3であった。
[相溶化剤(C−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール715部、テレフタル酸740部、アジピン酸35部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が88℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは325部であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸50部を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤であるポリエステル樹脂(C−1)とする。
(C−1)のTgは61℃、Tmは101℃、Mpは4500、酸価は29、水酸基価は30、SP値は11.8であった。
[相溶化剤(C−2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレンリコール700部、テレフタル酸685部、アジピン酸65部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が99℃になった時点で冷却した。回収された1,2−プロピレングリコールは315部であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸35部を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤であるポリエステル樹脂(C−2)とする。
(C−2)のTgは63℃、Tmは115℃、Mpは9500、酸価は15、水酸基価は40、SP値は11.7であった。
[相溶化剤(C−3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、水素添加ビスフェノールA710部、テレフタル酸235部、アジピン酸140部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤であるポリエステル樹脂(C−3)とする。
(C−3)のTgは65℃、Tmは100℃、Mpは6500、酸価は1、水酸基価は35、SP値は11.0であった。
[比較用相溶化剤(RC−1)]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸585部、イソフタル酸250部、アジピン酸5部、エチレングリコール625部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで除々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を除去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が98℃になった時点で冷却した。回収されたエチレングリコールは300部であった。次いで、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸17部を加え、密閉下2時間反応後、220℃、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを相溶化剤であるポリエステル樹脂(RC−1)とする。
(RC−1)のTgは58℃、Tmは103℃、Mpは7700、酸価は12、水酸基価は26、SP値は12.4であった。
製造例1〜7、比較製造例1で得られた、線形ポリエステル樹脂(A−1、A−2)と非線形ポリエステル樹脂(B−1、B−2)、相溶化剤(C−1、C−2、C−3)、比較の相溶化剤(RC−1)を、表2の割合でプラストミルに入れ、140℃で10分間撹拌して溶融混合し、本発明のトナーバインダー(a−1)〜(a−12)、および比較のトナーバインダー(a’−1)〜(a’−3)を得た。各トナーバインダー100部に対して、シアニンブルーKRO(山陽色素製)8部、カルナバワックス5部を加え。下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−12)、および比較のトナー組成物(T’−1)〜(T’−3)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
なお、最低定着温度(MFT)とホットオフセット発生温度(HOT)に関しては、定着温度幅(HOTとMFTの差)が広いことが重要である。
〔3〕耐ブロッキング性
トナー組成物をそれぞれポリエチレン製の瓶に入れ、45℃の恒温水槽に8時間保持した後、42メッシュのふるいに移し、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターを用いて、振動強度5で10秒間振とうし、ふるいの上に残ったトナーの重量%を測定し、下記基準で判定し、保存安定性を評価した。
残存トナー重量%
◎ : 0%以上15%未満
○ : 15%以上25%未満
△ : 25%以上30%未満
× : 30%以上
〔4〕混ざり性評価
位相差顕微鏡あるいはデジタルマイクロスコープ(光学顕微鏡)を用いる。
400〜5000倍において、島相のドメイン径を測定する。
Claims (7)
- カルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)とが重縮合されてなり、互いに非相溶である線形ポリエステル樹脂(A)および非線形ポリエステル樹脂(B)、並びに、カルボン酸成分(x’)と炭素数2〜20の単一の脂肪族ポリオールまたは脂環式ポリオールであるポリオール成分(y’)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂であって、SP値[(cal/cm3)1/2]が(A)と(B)の間に位置する相溶化剤(C)を含有し、非線形ポリエステル樹脂(B)を構成するカルボン酸成分(x)が、モノカルボン酸(x1)およびポリカルボン酸(x2)であり、相溶化剤(C)のガラス転移温度が45〜70℃である電子写真用トナーバインダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)を構成するカルボン酸成分(x)が、ポリカルボン酸(x2)および/必要によりモノカルボン酸(x1)である請求項1記載のトナーバンダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分(y)の85〜100モル%が芳香族ポリオールであり、非線形ポリエステル樹脂(B)を構成するポリオール成分(y)の85〜100モル%が炭素数2〜12のアルキレングリコール(y11)である請求項1又は2記載のトナーバンダー。
- 相溶化剤(C)のSP値が10.5〜12.5(cal/cm3)1/2である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバンダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)と非線形ポリエステル樹脂(B)と相溶化剤(C)の重量比が、(10〜85):(10〜80):(0.1〜15)である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバンダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)が海相、非線形ポリエステル樹脂(B)が島相である海島構造を取り、島相の径が5μm以下である請求項1〜5のいずれか記載のトナーバンダー。
- 請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダーと着色剤と、必要により離型剤、荷電制御剤、磁性粉および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤とを含有するトナー組成物。
Priority Applications (1)
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