JP6357503B2 - トナーバインダーおよびトナー - Google Patents
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しかしながら、この方法でも同様に高温でのオフセット現象はある程度防止できても、同時に定着下限温度も上昇するため低温定着が困難となり、また、イソシアネートから誘導されるウレア基やウレタン基の高凝集性により、樹脂の粉砕性が著しく悪くなる。さらに樹脂の均一性が損なわれ耐熱保存性も悪化し、未だ高速化、省エネルギー化の要求には十分に答えられていない。
しかしながら、この方法でも同様に高温でのオフセット現象はある程度防止できても、同時に定着下限温度も上昇するため低温定着が困難となり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には十分に答えられていない。
すなわち本発明は、非線形ポリエステル変性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、非線形ポリエステル変性樹脂(A)が、アルコール成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを構成原料とするポリエステル樹脂(A1)とラジカル反応性基を有する数平均分子量1,000以下の化合物(a)とが架橋した変性樹脂であり、(A)が(A1)中の(z)および(a)由来の炭素−炭素二重結合同士で架橋してなる変性樹脂であり、トナーバインダーが−20℃〜80℃の温度範囲に示差走査熱量測定(DSC)によるチャートでガラス転移温度TgTを示す変曲点を少なくとも1個有することを特徴とするトナーバインダー;およびこのトナーバインダーが着色剤を含有するトナーである。
また、トナーバインダーは、示差走査熱量測定(DSC)により得られるチャートの−20℃〜80℃の温度範囲に、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有する。
以下に、本発明のトナーバインダーを順次、説明する。
また、ポリエステル樹脂は1種類でもよいし、2種類以上のポリエステル樹脂の混合物でもよく、たとえば本発明で規定された非線形ポリエステル変性樹脂(A)と、後述するポリエステル樹脂(A1)を除く、ポリエステル樹脂(B)の組み合わせでもよい。
また、本発明におけるポリエステル樹脂(A1)は、1種類以上のアルコール成分(y)と、1種類以上の不飽和カルボン酸成分(z)を重縮合して得られ、不飽和カルボン酸成分(z)に起因する炭素−炭素二重結合を分子内に有する。
さらに、(A1)は、(y)と(z)以外に、1種類以上の飽和カルボン酸成分(x)を構成原料として併用して重縮合してもよい。
これらモノオールのうち好ましいものは炭素数8〜24のアルカノールであり、さらに好ましくはドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、およびこれらの併用である。
炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);
炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);
上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン及びオキシプロピレン等)以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下、AO単位と略記)の数1〜30〕;
2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルが好ましい。
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、または直接結合を表し;Arは、ハロゲン原子または炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4、特に2〜3)である。
炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール(y31)(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物;
例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトールなど
例えばショ糖及びメチルグルコシドなど
上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30)(y33);
トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)(y34);
ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)(y35)等
が挙げられる。
特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
さらに好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
このような飽和カルボン酸成分(x)としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、等が挙げられる。
保存安定性の観点からさらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの併用である。
特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
また、本発明におけるポリエステル樹脂(A1)の製造法は特に限定はしないが、前述のようにアルコール成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)を構成原料とする。さらにポリエステル樹脂(A1)が非線形である場合は、例えば不飽和カルボン酸成分(z)に加えて、構成原料であるアルコール成分(y)として3価以上のポリオールを用いる場合や、飽和カルボン酸成分(x)として3価以上のカルボン酸またはこの酸無水物もしくは低級アルキルエステルを用いる場合などが挙げられる。非線形であることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。
アルコール成分(y)としては、(A1)のアルコール成分(y)と同様のものが挙げられる。
カルボン酸成分(x)としては、(A1)の飽和カルボン酸成分(x)と同様のものが挙げられる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。
Tgが45℃以下であると低温定着性が良好になり、−35℃以上であると耐熱保存性が良好になる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
上記測定から吸発熱量と温度とのグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
ピークトップ分子量が2,000〜12,000であると、低温定着性とホットオフセット性が好ましくなる。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるようにポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
揮発性の観点から、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテルが好ましい。
揮発性および反応性の観点から、1−オクテンー3−オール、1−フェニルアリルアルコールが好ましい。
揮発性および反応性の観点から、イソプロペニルベンジルエーテル、1,3−ジイソプロペニルベンゼンが好ましい。
揮発性および反応性の観点から、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、2,5−ノルボルナジエンが好ましい。
さらに、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤が特に好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤が、特に好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量が、0.1重量%以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、50重量%以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
また、不飽和二重結合を有するカルボン酸原料とアルコール原料の両者を併用する場合には、両者の合計が10〜100モル%であることが好ましい。不飽和二重結合の含有量が10モル%以上の場合に、トナーの耐ホットオフセット性が良好になる傾向にあり、また、架橋反応が有効に起こる傾向にある。
ポリエステル樹脂(A1)の酸価、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
THF不溶解分が50重量%以上であると、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が良好となる。
非線形ポリエステル変性樹脂(A)のTHF不溶解分を調整する際には、例えば不飽和カルボン酸成分(z)の導入量を調整する、ピークトップ分子量を調整する、ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との重量比を調整するなどすることが挙げられる。
トナーバインダー0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。室温まで冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を、10kPa以下の減圧下で、80℃で3時間、THFを除去して乾燥する。乾燥して得られた樹脂をトナーバインダー中のTHFに対する不溶解分とした。
次に、上記グラスフィルターにてろ別した溶解液を、10kPa以下の減圧下で、80℃で3時間減圧し、THFを完全に除去する。ここで得られた樹脂分をトナーバインダー中のTHFに対する溶解分とした。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A)のTHF不溶解分の含有率も同様の操作で行う。なお、ポリエステル樹脂(B)を併用する場合、ポリエステル樹脂(A1)のみをラジカル重合して非線形ポリエステル変性樹脂(A)を合成し、THF不溶解分の含有率を計算する。
G’x150≧10,000 (1)
G’x150が10,000以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
好ましくはG’x150/G’x180が9以下であり、さらに好ましくは0.1〜8である。
G’x150、G’x180が10以下であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
好ましくは左辺のG’x150/G’ y150が1,000以上であり、さらに好ましくは2,000以上である。
G’x150、G’y150が500以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性も良好となる。
G’’x150/G’x150≧ 0.1 (4)
G’’x150/G’x150が0.1以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性や光沢性も良好となる。
G’’y120/G’y120≦ 15 (5)
G’’x120/G’x120が0.1以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性や光沢性も良好となる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:100℃
昇温終了:200℃
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :8mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:40℃
昇温終了:130℃
より好ましくはTmxが150以上245以下であり、さらに好ましくはが160以上240以下であり、とくに好ましくは165以上238以下であり、最も好ましくは170以上235以下である。
Tmxが140以上250以下であると、高温領域でも実用範囲において粘度が高く維持され、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
より好ましくは左辺のTmx−Tmyが70以上であり、さらに好ましくは80以上であり、特に好ましくは90以上であり、最も好ましくは100以上である。
Tmx−Tmyが55以上であると、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないで、さらに低温領域では低粘度化しやすくなると考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となり、低温定着性も良好となる。
トナーバインダー中のTHF溶解分のフローテスターによる軟化点Tmyを調整するには、例えば、Tmx−Tmyを大きくする場合(Tmyをを小さくする場合)、ポリエステル樹脂(B)のTmを下げる、分子量を小さくする、またはTgを低くする、等で達成できる。
<軟化点〔Tm〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
この目的で併用するポリエステル樹脂(B)としては、不飽和カルボン酸成分(z)を含まない樹脂である。
また、ポリエステル樹脂(B)としては、THF不溶解分を実質的に含まないものあれば、どのようなポリエステル樹脂でもよい。THF不溶解分を含まなければ微量の架橋点を有していても構わないし、分子末端を飽和ポリカルボン酸(3価以上のものでもよい)の無水物で変性したものであってもよい。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量をTHF不溶解分の重量とし、試料の重量からTHF不溶解分の重量を引いた重量をTHF溶解分の重量とし、THF不溶解分とTHF溶解分の重量比を算出する。
また、ポリエステル樹脂(B)は線形であっても非線形であってもよいが、低温定着性と耐熱保存性の観点から線形が好ましい。
具体的には、アルコール成分(y)と、飽和カルボン酸(x)を組み合わせて縮合したポリエステル樹脂である。
また、ポリエステル樹脂(B)はTHF不溶解分を含まなければ微量の架橋点を有していても構わないし、分子末端をポリカルボン酸(3価以上のものでもよい)の無水物の無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等で変性したものであってもよい。
トナーバインダーは非線形ポリエステル変性樹脂(A)を含有していれば特に限定されず、たとえば非線形ポリエステル変性樹脂(A)のほかに、1種類以上のポリエステル樹脂や添加剤を混合する場合、あるいはポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)を混合する場合、混合方法は通常行われる公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合、溶剤混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
また、溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
荷電制御剤はトナー重量に基づき、0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤はトナー重量に基づき、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の合計量はトナー重量に基づき、3〜70重量%、好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物755部(95.7モル%)、トリメチロールプロパン14部(4.3モル%)、テレフタル酸112部(32.0モル%)、アジピン酸106部(34.7モル%)、フマル酸81部(33.3モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.6部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(A1−1)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A1−2)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A1−3)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A1−4)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A1’−1)を得た。
ポリエステル樹脂(A1’−1)は不飽和カルボン酸成分(z)を含有しないため、本発明のポリエステル樹脂(A1)には該当しない。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A1’−2)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物678部(100モル%)、テレフタル酸280部(72.8モル%)、安息香酸77部(27.2モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.6部、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸34部を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。この(B−1)は不飽和カルボン酸成分(z)を含まない。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール710部(100モル%)、テレフタル酸775部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.6部、220℃で窒素気流下に、生成する水と過剰のプロピレングリコールを留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。なお回収されたプロピレングリコールは325部であった。
ポリエステル樹脂(A1−1)30部とポリエステル樹脂(B−1)70部を二軸混練器(栗本鉄工所製, S5KRCニーダー)に10kg/時で供給し、同時にジエチレングリコールジビニルエーテル(a−1)1.0部およびラジカル反応開始剤としてパーブチルD(c−1)1.0部を0.10kg/時で供給して170℃で15分間混練押出して架橋反応を行った。得られたものを冷却し、トナーバインダー(C−1)を得た。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A−1)のTHF不溶解分は70重量%であった。
表2に示した重量部数のポリエステル樹脂(A1−2)とポリエステル樹脂(B−2)と、ジエチレングリコールジビニルエーテル(a−1)およびパーブチルP(c−2)を仕込み、実施例1と同様に架橋反応を行い、トナーバインダー(C−2)を得た。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A−2)のTHF不溶解分は90重量%であった。
表2に示した重量部数のポリエステル樹脂(A1−3)とポリエステル樹脂(B−1)と、ジエチレングリコールジビニルエーテル(a−1)およびパーブチルZ(c−4)を仕込み、実施例1と同様に架橋反応を行い、トナーバインダー(C−3)を得た。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A−3)のTHF不溶解分は75重量%であった。
表2に示した重量部数のポリエステル樹脂(A1−4)とポリエステル樹脂(B−1)と、2−エチルヘキシルビニルエーテル(a−2)およびパーブチルI(c−5)を仕込み、実施例1と同様に架橋反応を行い、トナーバインダー(C−4)を得た。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A−4)のTHF不溶解分は25重量%であった。
表2に示した重量部数のポリエステル樹脂(A1’−1)とポリエステル樹脂(B−1)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(a−1)、パーブチルD(c−1)をそれぞれ仕込み、実施例1と同様に架橋反応を行いトナーバインダー(C’−1)を得た。
ポリエステル樹脂(A1’−1)は、架橋反応しなかったため、非線形ポリエステル変性樹脂(A)は得られなかった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に示した(A1’−2)70部を140℃に昇温溶解し、スチレン21.9部、ブチルアクリレート6.2部、マレイン酸モノブチル1.9部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(c−3)を混合したものを滴下ロートから8時間かけて滴下した。140℃で4時間熟成反応し、非線形ポリエステル変性樹脂(A’−2)を得た。(A’−2)をそのまま使用し、トナーバインダー(C’−2)とした。ラジカル反応開始剤(c−3)は使用しているが、ラジカル反応性基を有するMn1,000以下の化合物は使用していない。
また、非線形ポリエステル変性樹脂(A1’−2)のTHF不溶解分は10重量%であった。
ポリエステル樹脂成分(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
表3に記載した原料の配合部数で、実施例4と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−2)、(T−3)を得た。
表3に記載した原料の配合で、実施例4と同様にトナーを製造し、トナー(T’−1)、(T’−2)を得た。
以下に、得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度の測定方法と評価方法を判定基準を含めて説明する。
トナーを紙面上に0.85mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/秒、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
この評価条件では、一般には120℃以下が必要とされる。
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。
光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この評価条件では、通常好ましい範囲は10以上である。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。この評価条件では、通常好ましい範囲は180℃以上である。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
○:33以上
△:25以上33未満
×:25未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
○: 10μm未満
△: 10μm以上12μm未満
×: 12μm以上
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはH以上が必要とされる。
○: H以上
△: B〜F
×: 2B以下
一方、不飽和カルボン酸成分(z)を含有しない比較例3、化合物(a)ではなくスチレン/ブチルアクリレート/マレイン酸モノブチル共重合オリゴマーで架橋した比較例4のトナーは、いくつかの性能項目が不良であった。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として好適である。
Claims (11)
- 非線形ポリエステル変性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、非線形ポリエステル変性樹脂(A)が、アルコール成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを構成原料とするポリエステル樹脂(A1)とラジカル反応性基を有する数平均分子量1,000以下の化合物(a)とが架橋した変性樹脂であり、
(A)が(A1)中の(z)および(a)由来の炭素−炭素二重結合同士で架橋してなる変性樹脂であり、
トナーバインダーが−20℃〜80℃の温度範囲に示差走査熱量測定(DSC)によるチャートでガラス転移温度TgTを示す変曲点を少なくとも1個有し、
下記の関係式(1)〜(3)を満足することを特徴とするトナーバインダー。
G’ x150 ≧ 10,000 (1)
G’ x150 /G’ x180 ≦ 10 (2)
G’ x150 /G’ y150 ≧ 500 (3)
[但し、関係式中、G’ x150 は、トナーバインダー中のテトラヒドロフラン(THF)に対する不溶解分の150℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を、G’ x180 はTHFに対する不溶解分の180℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を、G’ y150 は、トナーバインダー中のTHFに対する溶解分の150℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を表す。] - ポリエステル樹脂(A1)のガラス転移温度TgA1が−35〜45℃である請求項1に記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A1)のピークトップ分子量Mpが2,000〜12,000である請求項1または2に記載のトナーバインダー。
- 非線形ポリエステル変性樹脂(A)のTHF不溶解分が(A)の重量に基づいて50重量%以上である請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダー。
- さらにポリエステル樹脂(A1)を除く、ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との重量比(A1)/(B)が5/95〜50/50である請求項5に記載のトナーバインダー。
- 下記の関係式(4)と関係式(5)を満足する請求項1〜6いずれかに記載のトナーバインダー。
G’’x150/G’x150≧ 0.1 (4)
G’’y120/G’y120≦ 15 (5)
[但し、関係式中、G’’x150は、トナーバインダー中のTHFに対する不溶解分の150℃における損失弾性率(単位Pa)を表し、G’’y120は、トナーバインダー中のTHFに対する溶解分の120℃における損失弾性率(単位Pa)を表し、G’x150は、トナーバインダー中のTHFに対する不溶解分の150℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を表し、G’y120は、トナーバインダー中のTHFに対する溶解分の120℃における貯蔵弾性率(単位Pa)を表す。] - 下記の関係式(6)と関係式(7)を満足する請求項1〜7いずれかに記載のトナーバインダー。
140 ≦Tmx≦ 250 (6)
Tmx−Tmy≧ 55 (7)
[但し、関係式中、Tmxは、トナーバインダーのTHF不溶解分のフローテスターによる軟化点(℃)を、TmyはトナーバインダーのTHF溶解分のフローテスターによる軟化点(℃)を表す。] - 化合物(a)のラジカル反応性基がビニル基である請求項1〜8いずれかに記載のトナーバインダー。
- トナーバインダー中のTHF不溶解分とTHF溶解分との重量比が5/95〜50/50である請求項1〜9いずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜10いずれかに記載のトナーバインダーと着色剤とを含有するトナー。
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