JP6826576B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真システムの発展に伴い、複写機やレーザープリンター等の電子写真装置の需要は急速に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。
電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して画像を得る方法や装置が知られている。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーはまず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内の温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
更に、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
また、最近では用いられる転写材として、表面凹凸の大きい再生紙や、表面が平滑なコート紙など多くの種類の紙が用いられる。これらの転写材の表面性に対応するために、ソフトローラーやベルトローラーなどのニップ幅の広い定着器が好ましく用いられている。しかし、ニップ幅を広くすると、トナーと定着ローラーとの接触面積が増え、定着ローラーに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象が発生するため、耐オフセット性が要求されるのが前提である。
高温オフセット現象を防止するために高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合する方法が一般的であり、これにより全体の分子量分布を広げ耐オフセット性と低温定着性を両立させることができる。しかし、極端に溶融粘度が異なる樹脂同士を混合する場合には、樹脂同士の均一な分散が得られず、十分な低温定着性と耐オフセット性を得ることが出来なかった。
特許文献1及び2には、過酸化物によるラジカル重合反応を用いて不飽和二重結合を架橋させることで、上記混合性を改良し、低温定着性とホットオフセット性を改良する技術が開示されている。しかしながら、離型剤や顔料の分散は十分とは言えず、粒子間のばらつきや粒子表面への遊離の離型剤や顔料に起因するマイクロオフセットが発生する問題がある。さらに、特許文献3には、顔料と離型剤と樹脂と重合開始剤を同時に混合する方法が提案されているが、離型剤や顔料の分散は十分とは言えない。一方で、特許文献4には、分散剤を用いて離型剤の分散性を改善させることでホットオフセット性を改良させる方法が提案されているが、未だ不十分である。
以上、述べたように、低温定着性と耐ホットオフセット性とに優れ、さらに耐マイクロオフセット性、光沢性、耐熱保存性及び帯電安定性に優れたトナーバインダー及びトナーは、これまでなかった。
国際公開第2007/034813号 特開2017−45036号公報 特開平8−152743号公報 特開2011−13548号公報
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性とに優れ、さらに耐マイクロオフセット性、光沢性、耐熱保存性及び帯電安定性に優れたトナーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(B)の重量を基準として0.02ミリモル/g未満であるポリエステル樹脂(B)、着色剤び離型剤を事前に粉体混合する工程と、前記混合して得られたものと前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で溶融混合する工程を含み、前記(A1)と前記(B)の120℃での粘度が以下の式(1)を満たすトナーの製造方法である。
0.1≦ηA1/ηB≦125 (1)
[ηA1は120℃でのポリエステル樹脂(A1)の粘度ηPa・s、ηBは120℃でのポリエステル樹脂(B)の粘度ηPa・sである。]
本発明の製造方法により得られるトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性とに優れ、さらに耐マイクロオフセット性、光沢性、耐熱保存性及び帯電安定性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を示して、本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーの製造方法は、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(B)の重量を基準として0.02ミリモル/g未満であるポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤を事前に粉体混合する工程と、前記混合して得られたものと前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で溶融混合する工程を含み、前記(A1)と前記(B)の120℃での粘度が以下の式(1)を満たすトナーの製造方法であることを特徴とする。
0.1≦ηA1/ηB≦125 (1)
[ηA1は120℃でのポリエステル樹脂(A1)の粘度ηPa・s、ηBは120℃でのポリエステル樹脂(B)の粘度ηPa・sである。]
以下に、本発明のトナーの製造方法を順次、説明する。
本発明により製造されるトナーは、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)を必須成分として製造される。
ポリエステル樹脂(A1)は、アルコール成分とカルボン酸成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であり、炭素−炭素二重結合を0.02〜2.00ミリモル/g有していればどのようなアルコール成分とカルボン酸成分を用いてもよい。また、本発明の炭素−炭素二重結合には芳香環及び複素環の結合は含まれない。
ポリエステル樹脂(A1)が、炭素−炭素二重結合を有するものとするためには、炭素−炭素二重結合を有するアルコール成分及び/又はカルボン酸成分として、不飽和カルボン酸成分(z)及び/又は不飽和アルコール成分(w)を用いる方法等が挙げられる。また、上記方法において、上記必須成分以外に、炭素−炭素二重結合を有さない成分を用いることができ、炭素−炭素二重結合を有さない成分としては、飽和アルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)等が挙げられる。
これらの成分のうち、ポリエステル樹脂(A1)の構成成分としては、(A1)が炭素−炭素二重結合を有する観点から、不飽和カルボン酸成分(z)及び/又は不飽和アルコール成分(w)を用いることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A1)は炭素−炭素二重結合を0.02〜2.00ミリモル/g有していればよく、これらの各成分を、それぞれ1種類ずつ用いて重縮合したものでもよく、各成分として複数種類を併用して重縮合したものでもよい。
なお、本明細書において、不飽和カルボン酸成分(z)であるか、飽和カルボン酸成分(y)であるかの判断に、芳香環及び複素環の結合は考慮しない。すなわち、芳香環部分及び複素環部分以外が不飽和カルボン酸である化合物は、不飽和カルボン酸成分(z)と判断し、芳香環部分及び複素環部分以外が飽和カルボン酸である化合物は、飽和カルボン酸成分(y)と判断する。
同様に、不飽和アルコール成分(w)であるか、飽和アルコール成分(x)であるかの判断に芳香環及び複素環の結合は考慮しない。すなわち、芳香環部分及び複素環部分以外が不飽和アルコールである化合物は、不飽和アルコール成分(w)と判断し、芳香環部分及び複素環部分以外が飽和アルコールである化合物は、飽和アルコール成分(x)と判断する。
不飽和カルボン酸成分(z)としては、不飽和モノカルボン酸(z1)、不飽和ジカルボン酸(z2)、不飽和ポリカルボン酸(z3)及びこれらの酸の無水物や低級アルキルエステル等が挙げられる。不飽和カルボン酸成分(z)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和モノカルボン酸(z1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノカルボン酸等が挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、4−ペンテン酸、2−エチル−2−ブテン酸、10−ウンデセン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸及びネルボン酸等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸(z2)としては、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸等が挙げられ、具体的には、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等が挙げられる。
不飽和ポリカルボン酸(z3)としては、炭素数6〜50の3価以上のアルケンポリカルボン酸(具体的には、アコニット酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸及び4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸等のアルケントリカルボン酸、1−ペンテン−1,1,4,4−テトラカルボン酸、4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸及び3−ヘキセン−1,1,6,6−テトラカルボン酸等のアルケンテトラカルボン酸等)が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸成分(z)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸及びフマル酸である。
より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
不飽和アルコール成分(w)としては、不飽和モノオール(w1)及び不飽和ジオール(w2)等が挙げられる。不飽和アルコール成分(w)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和モノオール(w1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノオール等が挙げられ、好ましい例としては2−プロペン−1−オール、オレイルアルコール及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
不飽和ジオール(w2)としては、炭素数2〜30の不飽和ジオールが挙げられ、好ましい例としてはリシノレイルアルコールが挙げられる。
飽和アルコール成分(x)としては、飽和モノオール(x1)、飽和ジオール(x2)及び3価以上の飽和ポリオール(x3)等が挙げられる。飽和アルコール成分(x)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
飽和モノオール(x1)としては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキルアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等)等が挙げられる。
これら飽和モノオールのうち好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキルアルコールであり、より好ましくはドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びこれらの併用である。
飽和ジオール(x2)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(好ましくは炭素数2〜12のアルキレングリコールであり、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)、上記脂環式ジオールの(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(好ましくは平均付加モル数1〜30)、芳香族ジオール[単環2価フェノール(例えばハイドロキノン等)及びビスフェノール類等]及び上記芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは平均付加モル数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。
アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等)である。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物は、一般的に、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
HO−Ar−P−Ar−OH (1)
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO−、−O−、−S−、又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール類とは、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA及び2,2’−ジエチルビスフェノールFが挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。
これらビスフェノール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記することがある。)、プロピレンオキサイド(「1,2−プロピレンオキサイド」を意味し、以下、POと略記することがある。)、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
耐熱保存性及び低温定着性の観点から、ビスフェノール類のAO付加物を構成するAOは好ましくはEO及びPOである。AOの平均付加モル数は、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、好ましくは2〜30モル、より好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜5モルである。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO付加物及びPO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)である。
3価以上の飽和ポリオール(x3)としては、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)、糖類及びその誘導体(x32)、脂肪族多価アルコールのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは1〜30)(x33)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x34)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)等が挙げられる。
炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)としては、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物が挙げられ、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
糖類及びその誘導体(x32)としては、例えばショ糖及びメチルグルコシド等が挙げられる。
3価以上の飽和ポリオール(x3)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立の観点から、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)が好ましい。
これらの飽和アルコール成分(x)として2価のジオール(x2)と3価以上のポリオール(x3)を併用することは、耐熱保存性と耐ホットオフセット性観点から好ましい。
これらの飽和アルコール成分(x)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)、及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)である。
耐熱保存性の観点からより好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)、炭素数3〜36の3〜4価の脂肪族多価アルコール及び(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)である。
さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、炭素数3〜36の3価の脂肪族多価アルコール及びビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)であり、特に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン及びビスフェノールAのAO付加物(AO単位の数として好ましくは2〜3)である。
飽和アルコール成分(x)としては飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)を併用することが好ましい。併用する場合の飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)のモル比[(x2)/(x3)] は耐ホットオフセット性の観点から99/1〜80/20が好ましく、98/2〜90/10がより好ましい。
飽和カルボン酸成分(y)としては、芳香族カルボン酸(y1)と脂肪族カルボン酸(y2)が挙げられる。
飽和カルボン酸成分(y)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族カルボン酸(y2)としては、炭素数2〜50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
芳香族カルボン酸(y1)としては、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、4−エチル安息香酸、4−プロピル安息香酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
飽和カルボン酸成分(y)として、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
これらの飽和カルボン酸成分(y)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸である。
保存安定性、帯電性及び帯電安定性の観点からより好ましくは、安息香酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用である。
さらに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A1)は、特に限定はしないが高温下での弾性を向上させる観点から非線形ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、本発明におけるポリエステル樹脂(A1)の製造法は特に限定はしないが、前述のようにアルコール成分とカルボン酸成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。さらにポリエステル樹脂(A1)が非線形ポリエステル樹脂であることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。非線形ポリエステル樹脂は、例えば構成原料である飽和アルコール成分として3価以上の飽和ポリオール(x3)を用いる場合や、飽和カルボン酸成分として炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはこの酸無水物もしくは低級アルキルエステルを用いる場合などが挙げられる。非線形であることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A1)は、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)である。ここでいう炭素−炭素二重結合量とはポリエステル樹脂(A1)を構成するアルコール成分、カルボン酸成分等の原料の合計1g中に含まれる炭素−炭素二重結合のミリモル数のことである。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.05g)及びビスフェノールAビスフェノールA・PO2モル付加物(0.95g)から構成されたポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の合計1gに対して分子量が116のフマル酸を0.05g有しているため、
0.05/116×1000=0.43ミリモル/gとなる。
この場合のポリエステル樹脂はポリエステル樹脂(A1)に該当する。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.3g)及びビスフェノールAビスフェノールA・PO2モル付加物(0.7g)を使用した場合は、原料の合計1gに対して分子量が116のフマル酸を0.3g有しているため、
0.3/116×1000=2.59ミリモル/gとなる。
この場合のポリエステル樹脂はポリエステル樹脂(A1)に該当しない。
本発明におけるポリエステル樹脂(A1)の炭素−炭素二重結合量は、耐ホットオフセット性、耐マイクロオフセット性及び耐熱保存性の観点から0.02ミリモル/g以上であり、好ましくは0.10ミリモル/g以上であり、より好ましくは0.15ミリモル/g以上である。また、低温定着性、耐マイクロオフセット性及び光沢性の観点から2.00ミリモル/g以下であり、好ましくは1.00以下であり、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.50以下である。
ポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤及び前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で混合する工程の際に、ポリエステル樹脂(A1)の炭素−炭素二重結合量が上記範囲内であることでポリエステル樹脂(A1)の炭素−炭素二重結合同士が架橋された炭素−炭素結合を有する非線形ポリエステル樹脂がポリエステル樹脂(B)中に均一に形成されやすく、ポリエステル樹脂中に着色剤及び離型剤を均一に分散した状態で固定化されやすくなる。
本発明において、ポリエステル樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(B)等は、公知のポリエステルと同様にして製造することができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、より好ましくは160〜250℃、さらに好ましくは170〜235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒{チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)及びそれらの分子内重縮合物等}及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル等)及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
また、ポリエステル重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン及びヒンダードフェノール化合物等が挙げられる。
アルコール成分とカルボン酸成分の合計の仕込み比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、より好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
ポリエステル樹脂(A1)中のテトラヒドロフラン(以下、THFと略称することがある)溶解分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量(Mw)は、耐マイクロオフセット性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性及び光沢性の両立の点から、2,000〜40,000であることが好ましく、より好ましくは重量平均分子量が7,000〜38,000であり、さらに好ましくは重量平均分子量が12,000〜25,000である。なお、GPC測定の測定条件は、以下のとおりである。
本発明において、ポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)及びトナー中の樹脂の重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)、数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)、ピークトップ分子量(以下、Mpと略称することがある。)は、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるようにポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
ポリエステル樹脂(A1)のガラス転移温度(Tg)は、−20〜60℃であることが好ましく、Tgが60℃以下であると低温定着性が良好になり、−20℃以上であると耐熱保存性が良好になる。より好ましくは−10〜50℃、さらに好ましくは0〜40℃であり、特に好ましくは15〜38℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
具体的には、試料5mgをDSC装置の容器に入れ、ガラス転移終了時より約30℃高い温度まで毎分20℃で加熱し、ガラス転移温度より約50℃低い温度まで毎分60℃で冷却した後、ガラス転移終了時より約30℃高い温度まで毎分20℃で加熱する。
上記測定から吸発熱量と温度とのグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
ポリエステル樹脂(A1)のフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、低温定着性と耐熱保存性の観点から、60〜170℃が好ましく、さらに好ましくは70〜150℃、特に好ましくは80〜130℃である。
軟化点(Tm)は以下の方法で測定される。
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点(Tm)とする。
ポリエステル樹脂(A1)の酸価は、帯電性安定性の観点から好ましくは0〜30mgKOH/g、さらに好ましくは0〜25mgKOH/g、特に好ましくは0〜10mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂(A1)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A1)の水酸基価は、低温定着性、光沢性、耐熱保存性及び耐マイクロオフセット性の観点から好ましくは1〜100mgKOH/g、より好ましくは5〜70mgKOH/g、さらに好ましくは10〜40mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、ポリエステル樹脂(A1)の120℃での粘度ηPa・sである粘度ηA1は、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤及び荷電制御剤との混合性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐マイクロオフセット性並びに光沢性の観点から、1〜10,000Pa・sが好ましく、さらに好ましくは、30〜5,000Pa・s、最も好ましくは100〜3,000Pa・sである。
本発明において、ポリエステル樹脂(A1)の120℃での粘度ηPa・sである粘度ηA1は、下記粘弾性測定装置を用いて測定される。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:100℃
昇温終了:200℃
本発明により製造されるトナーは、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(B)の重量を基準として0.02ミリモル/g未満であるポリエステル樹脂(B)を必須成分として製造される。
ポリエステル樹脂(B)は、アルコール成分とカルボン酸成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であり、炭素−炭素二重結合を0.02ミリモル/g未満であればどのようなアルコール成分とカルボン酸成分を用いてもよい。
炭素−炭素二重結合を有する成分としては、不飽和カルボン酸成分(z)及び不飽和アルコール成分(w)が挙げられる。また炭素−炭素二重結合を有さない成分としては、飽和アルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分としては、(A1)の不飽和アルコール成分(w)及び飽和アルコール成分(x)と同様のものが挙げられる。
これらのアルコール成分のうち、低温定着性と耐熱保存性との両立の観点から好ましくは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)である。
耐熱保存性の観点からより好ましくは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)である。
さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール及びビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)であり、特に好ましくは、プロピレングリコール及びビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜3)である。
ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分としては、(A1)の不飽和カルボン酸成分(z)及び飽和カルボン酸成分(y)と同様のものが挙げられる。
これらのカルボン酸成分のうち、低温定着性と耐熱保存性との両立の観点から好ましいものは、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸である。
耐熱保存性、帯電性及び帯電安定性の観点からさらに好ましくは、安息香酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。
特に好ましくは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(B)は線形ポリエステル樹脂であっても非線形ポリエステル樹脂であってもよいが、低温定着性及び耐熱保存性の観点から線形ポリエステル樹脂が好ましい。
また、ポリエステル樹脂(B)としては、低温定着性の観点からテトラヒドロフラン不溶解分を実質的に含まないものが好ましい。テトラヒドロフラン不溶解分を含まなければ微量の架橋点を有していても好ましく、分子末端を飽和ポリカルボン酸(3価以上のものでもよい)の無水物の無水トリメリット酸、無水フタル酸及び無水マレイン酸等で変性したものも好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(B)の重量を基準として0.02ミリモル/g未満であるポリエステル樹脂(B)である。ここでいう炭素−炭素二重結合量とはポリエステル樹脂(B)を構成するアルコール成分、カルボン酸成分の原料の合計1g中に含まれる炭素−炭素二重結合のミリモル数のことである。計算方法は上記ポリエステル樹脂(A1)の場合と同等である。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)の炭素−炭素二重結合量は、低温定着性、光沢性、耐マイクロオフセット性の観点から0.02ミリモル/g未満であり、好ましくは0.01ミリモル/g以下であり、より好ましくは0ミリモル/gである。
ポリエステル樹脂(B)のテトラヒドロフラン溶解分のMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立の観点から、1,000〜15,000が好ましく、より好ましくは1,500〜5,000、さらに好ましくは2,000〜4,000である。
ポリエステル樹脂(B)のテトラヒドロフラン溶解分のMwは、トナーの耐ホットオフセット性と耐熱保存性と低温定着性との両立の観点から、2,000〜30,000が好ましく、より好ましくは3,000〜10,000、さらに好ましくは4,000〜8,000である。
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、30〜100℃であることが好ましく、Tgが100℃以下であると低温定着性が良好になり、30℃以上であると耐熱保存性が良好になる。より好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃であり、特に好ましくは55〜65℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
ポリエステル樹脂(B)のフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、低温定着性と耐熱保存性の観点から、60〜170℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
ポリエステル樹脂(B)の酸価は、帯電性安定性の観点から好ましくは0〜50mgKOH/g、さらに好ましくは1〜40mgKOH/g、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂(B)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、低温定着性、光沢性、耐熱保存性及び耐マイクロオフセット性の観点から好ましくは1〜100mgKOH/g、より好ましくは5〜80mgKOH/g、さらに好ましくは10〜60mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、ポリエステル樹脂(B)の120℃での粘度ηPa・sである粘度ηBは、ポリエステル樹脂(A1)、着色剤、離型剤及び荷電制御剤との混合性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐マイクロオフセット性並びに光沢性の観点から、0.1〜10,000Pa・sが好ましく、さらに好ましくは、1〜5,000Pa・s、最も好ましくは10〜1,000Pa・sである。
本発明において、ポリエステル樹脂(B)の120℃での粘度ηPa・sである粘度ηBは、下記粘弾性測定装置を用いて測定される。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:100℃
昇温終了:200℃
使用した原料全体に対するポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との重量比〔(A1)/(B)〕は、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の点から、5/95〜50/50が好ましく、さらに好ましくは7/93〜45/60であり、特に好ましくは、10/90〜40/60である。
本発明で製造されるトナーは、ポリエステル樹脂(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を必須成分として製造される。
架橋剤(c)はポリエステル樹脂(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応すればどのようなものでもよいが、例えば、ラジカル反応開始剤(c1)及びリビングラジカル重合用添加剤(c2)が挙げられる。ラジカル反応開始剤(c1)から発生するラジカルを利用して、ポリエステル樹脂(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応させて、炭素−炭素二重結合同士で架橋反応が起って化学結合した変性樹脂を製造する方法は好ましい方法である。
ラジカル反応開始剤(c1)としては、特に制限されず、アゾ化合物及びジアゾ化合物(c11)や有機過酸化物(c12)が用いられる。(c)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アゾ化合物及びジアゾ化合物(c11)としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
有機過酸化物(c12)としては、特に制限されないが、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
リビングラジカル重合用添加剤(c2)としては、特に制限されないが、具体的には、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ヨードイソ酪酸等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、触媒としては、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)及び塩化銅(II)等の金属塩類が挙げられる。さらに配位子としてプロピルピリジルメタンイミン等のアルキルピリジルメタンイミンが挙げられる。
これらの架橋剤(c)のうち、反応性、耐ホットオフセット性及び耐マイクロホットオフセット性の観点から好ましくは、有機過酸化物(c12)である。より好ましくはt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びジ−t−ブチルパーオキシドt−ブチルパーオキシベンソエートである。
臭気の観点から好ましくはアゾ化合物又はジアゾ化合物(c11)であり具体的には2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
架橋剤(c)の使用量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との合計の100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましい。
架橋剤の使用量が、0.01重量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、30重量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましく、5重量部以下であることが特に好ましい。
上記種類の架橋剤(c)、および、上記の使用量でポリエステル(A1)を架橋した場合、好適に架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性と耐熱保存性及び画像強度が良好になることから好ましい。
本発明の製造方法で用いる着色剤としては、着色剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料及び顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト及びフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量はトナーの画像濃度及び低温定着性の観点から、本発明の製造方法により得られるトナー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜70重量部、より好ましくは40〜60重量部である。
本発明で製造されるトナーは、離型剤を必須成分として製造される。
離型剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、並びにサゾールワックス等が挙げられる。
上記の中では低温定着性や耐ホットオフセット性の観点から好ましくは、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス及びエステルワックスが好ましい。
離型剤としては、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、さらに好ましくは50〜140℃、次にさらに好ましくは50〜120℃である。
離型剤の含有量は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、本発明の製造方法により得られるトナー100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。
本発明で製造されるトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤、離型剤及び架橋剤(c)以外に、必要により、荷電制御剤及び流動化剤等からなる群より選ばれる1種以上の公知の添加剤を使用してもよい。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム及び炭酸バリウム等が挙げられる。
荷電制御剤はトナー100重量部に対して、0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
流動化剤はトナー100重量部に対して、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0.1〜4重量%である。
また、着色剤、離型剤及び添加剤の合計量はトナー重量に基づき、3〜70重量%、好ましくは4〜58重量%、より好ましくは5〜50重量%である。トナー中の着色剤、離型剤及び添加剤の合計量が上記の範囲であることで耐ホットオフセット性、帯電性、トナーの流動性、耐熱保存性及び帯電安定性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明の製造方法により得られるトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、好ましくは1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明の製造方法においては、耐マイクロオフセット性、低温定着性、耐ホットオフセット性、光沢性及び帯電安定性の観点から、ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)の120℃での粘度が次の関係式(1)を満たす必要がある。
0.1≦ηA1/ηB≦125 (1)
好ましくは関係式(2)を満たすものであり、より好ましくは関係式(3)を満たすものであり、さらに好ましくは関係式(4)を満たすものである。

1≦ηA1/ηB≦110 (2)
5≦ηA1/ηB≦95 (3)
10≦ηA1/ηB≦70 (4)
ηA1/ηBを調整するには、例えば、ηA1/ηBを小さくする場合(ηA1を小さくする場合)、ポリエステル(A1)の分子量を小さくする、またはガラス転移温度を小さくする、軟化点を小さくする等で達成できる。
ηA1/ηBを調整するには、例えば、ηA1/ηBを小さくする場合(ηBを大きくする場合)、ポリエステル(B)の分子量を大きくする、またはガラス転移温度を大きくする、軟化点を大きくする等で達成できる。
ηA1/ηBを調整するには、例えば、ηA1/ηBを大きくする場合(ηA1を大きくする場合)、ポリエステル(A1)の分子量を大きくする、またはガラス転移温度を大きくする、軟化点を大きくする等で達成できる。
ηA1/ηBを調整するには、例えば、ηA1/ηBを大きくする場合(ηBを小さくする場合)、ポリエステル(B)の分子量を小さくする、またはガラス転移温度を小さくする、軟化点を小さくする等で達成できる。
ηA1/ηBの値はポリエステル樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(B)を構成するアルコール成分及びカルボン酸成分を上記記載の好ましい成分とすることで目的の範囲に調整することが容易となる。
上記の関係式(1)を満たすことでポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤及び前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で混合する工程の際に、ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との粘度差が小さくなり、ポリエステル樹脂(A1)の炭素−炭素二重結合同士が架橋された炭素−炭素結合を有する非線形ポリエステル樹脂がポリエステル樹脂(B)中に均一に形成されやすく、また、マイクロオフセット性が改良され易くなることから、ポリエステル樹脂中に着色剤、離型剤を均一に分散した状態で固定化されやすくなると推定される。
本発明の製造方法により得られるトナーは、使用したポリエステル樹脂(A1)及び/又はポリエステル樹脂(B)が芳香族カルボン酸(y1)を含有する成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂である場合、トナー中のモノマーとして残留する芳香族カルボン酸(y1)の含有量がトナーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmであることが帯電安定性の観点から好ましく、飽和カルボン酸(y1)の含有量は、より好ましくは50ppm〜8000ppmであり、さらに好ましくは70ppm〜7000ppmであり、特に好ましくは100ppm〜3000ppmである。
なお、トナー中のモノマーとして残留する芳香族カルボン酸(y1)の含有率は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)または液体クロマトグラフ(LC)で測定することができる。
LC/MSの測定条件としては、例えば下記の条件が挙げられる。
また、本発明のフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LC/MSの測定条件>
LC/MS測定装置:「LCMS−8030」[(株)島津製作所製]
カラム:「InertSustain C18」(粒子径:2.0μm、内径:2.1mm、長さ:100mm)[ジーエルサイエンス(株)製]
移動相:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=48/52(体積%)
注入量:0.4μl
流速:0.2ml/min
カラム温度:40℃
イオン化法:ESI(−)
測定モード:SIM 165
LCの測定条件としては、例えば下記の条件が挙げられる。
また、本発明のトリメリット酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LCの測定条件>
LC測定装置:「ACQUITY UPLC H−Class」[Waters製]
カラム:「CAPCEL PACK C18」(粒子径:5μm、I.D.:4.6mmφ、
長さ250mm)[SHISEIDO製]
移動相:0.05%リン酸水溶液/メタノール=80/20(体積%)
注入量:10μl
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
検出器:「PDA検出器」[(株)島津製作所製]
検出波長:230nm
本発明の製造方法により得られるトナーは−20℃〜80℃の温度範囲に示差走査熱量測定(DSC)によるチャートでガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有することが耐熱保存性と低温定着性との点から好ましく、より好ましくは30℃〜70℃、さらに好ましくは40℃〜65℃である。ガラス転移点を示す変曲点を2個以上有してもよく、そのうちの1個がこの温度範囲であればよい。
なおトナーのガラス転移温度(Tg)はポリエステル樹脂(A1)と同様の方法で測定することができる。
本発明の製造方法により得られるトナーの酸価は、帯電性安定性の観点から好ましくは1〜50mgKOH/g、より好ましくは5〜25mgKOH/g、さらに好ましくは10〜20mgKOH/gである。
トナーの酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
本発明の製造方法により得られるトナーの水酸基価は、低温定着性、光沢性、耐熱保存性及び耐マイクロオフセット性の観点から好ましくは2〜100mgKOH/g、より好ましくは10〜70mgKOH/g、さらに好ましくは20〜40mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明の製造方法により得られるトナー中のテトラヒドロフラン溶解分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量(Mw)は、耐マイクロオフセット性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性及び光沢性の両立の点から、2,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは重量平均分子量が6,000〜70,000であり、さらに好ましくは重量平均分子量が10,000〜40,000である。なお、GPC測定の測定条件は、上記のとおりである。
本発明の製造方法により得られるトナーのフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、低温定着性と耐熱保存性との観点から、60〜170℃が好ましく、より好ましくは75〜150℃、さらに好ましくは90〜135℃である。なおフローテスターの測定条件はポリエステル樹脂(A1)に記載のとおりである。
本発明の製造方法により得られるトナー中のテトラヒドロフラン不溶解分の量(ゲル量)は、耐ホットオフセット性、低温定着性及び光沢性の両立の点から、1〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%であり、さらに好ましくは5〜25重量%である。
本発明の製造方法により得られるトナー中のTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した固形分の重量をTHF不溶解分の重量とする。
トナーの製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤を事前に粉体混合する工程と、前記混合して得られたものと前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で溶融混合する工程を含むことが必須であり、上記原料の混合性や分散性、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐マイクロオフセット性の観点から混合する際の上記原料の温度は好ましくは90〜180℃であり、さらに好ましくは120〜160℃である。50℃未満であると、ポリエステル樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(B)の粘度が高く樹脂が均一に混合しづらく、200℃を超えるとポリエステル樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(B)の粘度が低く、樹脂と着色剤とが均一に混合しづらくなる
た上記成分以外の荷電制御剤及び/又は流動化剤も同時に混合してもよい。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。本発明の温度範囲で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、二軸混練器、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
溶剤混合の方法としては、ポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤及び架橋剤(c)を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解又は分散し、均一化させた後、必要により脱溶剤する方法などがある。
なかでもポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤を事前に粉体混合した後、ポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤及び架橋剤(c)を溶融混合しながらポリエステル樹脂(A1)を架橋する方法が好ましく、このような混合を行うための具体的方法としてはポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤をヘンシェルミキサーを用いて粉体混合した後、さらにポリエステル樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤を二軸混練機に一定速度で注入し、同時にラジカル反応開始剤(c)も一定速度で注入し、50〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせるなどの方法等がある。
た、溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
本発明のトナーの製造法のその後の工程については公知の混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、混合する工程の後、粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(Dv50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(Dv50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、混合する工程の後、混合物を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径(Dv50)は、3〜15μmが好ましい。
本発明の製造方法により得られるトナーは、複写機及びプリンター等により支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
本発明の製造方法により得られるトナーは電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられる。更に詳しくは、特にフルカラー用に好適な静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられるトナーに関する。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り部は重量部を示す。
<製造例1> [ポリエステル樹脂(A1−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物733部、テレフタル酸132部、アジピン酸142部、トリメチロールプロパン21部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した。重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、さらにフマル酸を48部入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下に8時間反応させた後取り出し、ポリエステル(A1−1)を得た。
前記の方法でのポリエステル(A1−1)の炭素−炭素二重結合量は0.38ミリモル/g、THF溶解分の重量平均分子量(Mw)は21100、120℃における粘度ηA1は321Pa・sだった。また、ガラス転移温度、軟化点、酸価及び水酸基価は表1に記載した。
<製造例2〜9> [ポリエステル(A1−2)〜(A1−9)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル(A1−2)〜(A1−9)を得た。表1に得られたポリエステル(A1−2)〜(A1−9)の炭素−炭素二重結合量、THF溶解分の重量平均分子量(Mw)、120℃における粘度ηA1等の物性を記載した。
<比較製造例1> [ポリエステル(A1’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル(A1’−1)を得た。表1に得られたポリエステル(A1’−1)の炭素−炭素二重結合量、THF溶解分の重量平均分子量(Mw)、120℃における粘度ηA1等の物性を記載した。
なお、ポリエステル(A1’−1)は炭素−炭素二重結合量が2.00ミリモル/gより大きく(A1)の基準を満たさないものである。
Figure 0006826576
<製造例10> [ポリエステル樹脂(B−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部、イソフタル酸316部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ酸価が15程度となったところで取り出し、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
前記の方法でのポリエステル樹脂(B−1)の炭素−炭素二重結合量は0ミリモル/g、120℃における粘度ηBは73Pa・sだった。また、THF溶解分の重量平均分子量、ガラス転移温度、軟化点、酸価及び水酸基価は表2に記載した。
<製造例11> [ポリエステル樹脂(B−2)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部、ビスフェノールA・PO3モル付加物320部、イソフタル酸315部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ酸価が21程度となったところで取り出し、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。
前記の方法でのポリエステル(B−2)の炭素−炭素二重結合量は0ミリモル/g、120℃における粘度ηBは23Pa・sだった。また、THF溶解分の重量平均分子量、ガラス転移温度、軟化点、酸価及び水酸基価は表2に記載した。
<製造例12> [ポリエステル樹脂(B−3)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物742部、テレフタル酸282部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後、180℃まで降温し、無水トリメリット酸34部を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(B−3)を得た。
前記の方法でのポリエステル(B−3)の炭素−炭素二重結合量は0ミリモル/g、120℃における粘度ηBは298Pa・sだった。また、THF溶解分の重量平均分子量、ガラス転移温度、軟化点、酸価及び水酸基価は表2に記載した。
<製造例13> [ポリエステル樹脂(B−4)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物742部、テレフタル酸282部、フマル酸1部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後、180℃まで降温し、無水トリメリット酸34部を加え、常圧密閉下1時間反応後取り出し、ポリエステル樹脂(B−4)を得た。
前記の方法でのポリエステル(B−4)の炭素−炭素二重結合量は0.01ミリモル/g、120℃における粘度ηBは320Pa・sだった。また、THF溶解分の重量平均分子量、ガラス転移温度、軟化点、酸価及び水酸基価は表2に記載した。
Figure 0006826576
<実施例1> [トナー(T−1)の製造]
ポリエステル樹脂(A1−1)27部、ポリエステル樹脂(B−1)73部、着色剤のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8部、離型剤のカルナバワックス3部、荷電制御剤T−77[保土谷化学製]2部をまず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で上記予備混合物を30kg/時で供給し、同時に架橋剤であるt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c1−1)2部を0.60kg/時で供給して150℃、20分間、250rpmで混練押出しして架橋反応を行った。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(Dv50)が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
<実施例2〜12、15、17> [トナー(T−2)〜(T−12)、(T−15)、(T−17)の製造]
表3に記載した重量部数のポリエステル(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練器に供給し、同時に架橋剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応を行い、その後も実施例1と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−2)〜(T−12)、(T−15)、(T−17)を得た。
なお、表3及び4中の架橋剤(c)は以下のとおりである。
(c1−1):t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート
(c1−2):2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)
<実施例13> [トナー(T−13)の製造]
表3に記載した重量部数のポリエステル(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練器に供給し、同時に架橋剤(c)を供給して、温度を150℃から120℃に変更する以外は実施例1と同様に架橋反応を行い、その後も実施例1と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−13)を得た。
<実施例14> [トナー(T−14)の製造]
表3に記載した重量部数のポリエステル(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練器に供給し、同時に表3に記載した架橋剤(c)を供給して、温度を150℃から90℃に変更する以外は実施例1と同様に架橋反応を行い、その後も実施例1と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−14)を得た。
<実施例16> [トナー(T−16)の製造]
ポリエステル樹脂(A1−9)27部、ポリエステル樹脂(B−1)73部、着色剤のカーボンブラックとしてリーガル400R[キャボット社製]6部、離型剤のパラフィンワックスとしてHNP−9[日本精蝋社製]5部、荷電制御剤T−77[保土谷化学製]2部をまず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で上記予備混合物を30kg/時で供給し、同時に架橋剤であるt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c1−1)0.5部を0.15kg/時で供給して150℃、20分間、250rpmで混練押出しして架橋反応を行った。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(Dv50)が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−16)を得た。
<比較例1〜4> [トナー(T’−1)〜(T’−4)の製造]
表4に記載した重量部数のポリエステル(A1)又は(A1’)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練器に供給し、同時に架橋剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応を行い、その後も実施例1と同様にトナーを製造し、トナー(T’−1)〜(T’−4)を得た。なお(T’−1)及び(T’−2)は炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)を使用していない。また、(T’−3)及び(T’−4)はηA1/ηBの範囲が式(1)を満たしていない。
<比較例5> [トナー(T’−5)の製造]
表4に記載した重量部数のポリエステル(A1)、ポリエステル樹脂(B)、着色剤、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練器に供給し、同時に表3に記載した架橋剤(c)を供給して、温度を150℃から45℃に変更する以外は実施例1と同様に架橋反応を行い、その後も実施例1と同様にトナーを製造し、トナー(T’−5)を得た。なお(T’−5)はトナーを製造する際の混合時の温度が45℃であり、本発明のトナーの製造方法に該当しない。
<比較例6> [トナー(T’−6)の製造]
ポリエステル樹脂(A1−3)27部及びポリエステル樹脂(B−1)73部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に52kg/時で供給し、同時に架橋剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)2.0部を1.04kg/時で供給して160℃、7分間、90rpmで混練押出して架橋反応を行い、混合で得られたものを冷却することにより、トナーバインダーを得た。
さらにトナーバインダー100部に対して、着色剤のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学製]2部を加え、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で120℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(Dv50)が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、トナー(T’−6)を得た。なおトナー(T’−6)はトナーバインダーを製造する際にポリエステル樹脂(B)中でポリエステル樹脂(A1)と架橋剤(c)を反応させ架橋反応を行っているため、トナーを製造する際、実質的にポリエステル樹脂(A1)及び架橋剤(c)は存在しておらず、本発明のトナーの製造方法に該当しない。
Figure 0006826576
Figure 0006826576
[評価方法]
以下に、得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、耐マイクロオフセット性、耐熱保存性及び帯電安定性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.85mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/秒、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時の最低定着温度(MFT)を測定した。
最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。この評価条件では、温度が高いほどオフセットが発生しにくいことを意味し、180℃以上であると実際の使用態様でオフセットの発生を抑制できる。
<耐マイクロオフセット性(マイクロオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価する際、トナーを載せた紙を外圧ローラーに通した直後、トナーを載せていない新しい紙を通し、その紙に付着した着色剤由来の付着物の有無を目視評価し、下記の判定基準で判定した。
[判定基準]
A:定着領域ではマイクロオフセット発生なし
B:MFT+50℃以上の温度からホットオフセット温度までマイクロオフセット発生
C:MFT+50℃未満の温度からホットオフセット温度までマイクロオフセット発生
<耐熱保存性>
トナー1gを密閉容器に入れ、温度50℃、湿度50%の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
A:ブロッキングが全く発生していない。
B:一部にブロッキングが発生している。
C:全体にブロッキングが発生している。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
表3及び4の評価結果から明らかなように、本発明の実施例1〜17のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。
一方、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)を使用していない比較例1と2のトナー、ηA1/ηBの範囲が式(1)を満たしていない比較例3と4のトナー、トナーを製造する際の混合時の温度が45℃と低い比較例5のトナー及びトナーを製造する際、実質的にポリエステル樹脂(A1)及びラジカル反応開始剤(c)は存在していない比較例6のトナーはいずれかの性能項目が不良であった。
本発明の製造方法により得られるトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性、耐マイクロオフセット性、光沢性、耐熱保存性、帯電安定性に優れ、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーとして好適に使用できる。
更に、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。

Claims (4)

  1. 炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(A1)の重量を基準として0.02〜2.00ミリモル/gであるポリエステル樹脂(A1)、炭素−炭素二重結合量がポリエステル樹脂(B)の重量を基準として0.02ミリモル/g未満であるポリエステル樹脂(B)、着色剤及び離型剤を事前に粉体混合する工程と、前記混合して得られたものと前記(A1)が有する炭素−炭素二重結合と反応し得る架橋剤(c)を50℃〜200℃で溶融混合する工程を含み、前記(A1)と前記(B)の120℃での粘度が以下の式(1)を満たすトナーの製造方法。
    0.1≦ηA1/ηB≦125 (1)
    [ηA1は120℃でのポリエステル樹脂(A1)の粘度ηPa・s、ηBは120℃でのポリエステル樹脂(B)の粘度ηPa・sである。]
  2. 使用した原料全体に対するポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B)との重量比〔(A1)/(B)〕が5/95〜50/50である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. ポリエステル樹脂(A1)中のテトラヒドロフラン溶解分の重量平均分子量(Mw)が2,000〜40,000である請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. ポリエステル樹脂(A1)及び/又はポリエステル樹脂(B)が芳香族カルボン酸(y1)を含有する成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であり、トナー中のモノマーとして残留する芳香族カルボン酸(y1)の含有量がトナーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmである請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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