JP7300309B2 - トナーバインダー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーバインダーに関する。
近年、電子写真技術を用いた複写機、プリンター等の印刷機器において、環境負荷及び高速化の観点からトナーの低温定着化が求められている。
電子写真プロセスでは感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像し、形成されたトナー像を紙等の記録媒体に転写した後、加熱により定着させて画像を形成している。このプロセスにおいて、トナーには帯電安定性、現像槽内で固着しない保存安定性及び高温での耐ホットオフセット性等が必須となる。
環境負荷及び高速化の観点からトナーを低温定着化する技術として、結着樹脂として用いられる非晶性ポリエステルやスチレン-アクリル樹脂のガラス転移温度を下げることが挙げられるが、この手法ではトナーの保存安定性が悪くなるという問題点がある。
そこで近年、シャープメルト性に優れた結晶性樹脂を結着樹脂として用いることで低温定着性を向上させる手法が提案されている。
前記結晶性樹脂として結晶性アルキルアクリレート及び/又は結晶性アルキルメタクリレートを構成成分とする結晶性ビニル樹脂を結着樹脂として用いることで低温定着性が向上することが知られている。(特許文献1~5)
しかし、例えば特許文献1ではビニル樹脂の結晶性が低いことに由来し、融点が低く、保管温度が50℃を超える場合、トナーの保存安定性が極端に悪くなる。特許文献2では、トナーバインダー中の前記ビニル樹脂の重量割合が低いことにより、シャープメルト性が損なわれ、低温定着性が満足いくものではなかった。特許文献3では、ビニル樹脂を構成するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートの重量割合が高く、結晶性が高いことに由来し、高温で非常に低粘度化するため、高温でのローラー剥離性が悪くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。特許文献4では吸湿性の高い単量体を用いているため、高温高湿下での樹脂の体積固有抵抗が低くなり、帯電性が悪くなる。特許文献5ではビニル樹脂の酸価が高く吸湿性が高いため、特に高温高湿下での樹脂の体積固有抵抗が低くなり、帯電安定性が悪くなる。
以上、述べたように、低温定着性と保存安定性を両立させつつ、耐ホットオフセット性及び帯電安定性を満足するトナーバインダーは、これまでなかった。
特開平6-175394号公報 特開2011-94136号公報 特開平11-44967号公報 特開2004-163956号公報 特開2007-193069号公報
本発明は、低温定着性と保存安定性を両立させつつ、耐ホットオフセット性及び帯電安定性を満足するトナーバインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、単量体(a)、単量体(a)以外の単量体(b)及びスチレンを必須構成単量体とするビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、単量体(a)が鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40の(メタ)アクリレート及び/又は鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40のビニルエステルであり、単量体(b)のハンセン溶解度パラメーター(HSP)の水素結合項(dH)が6.0以上13.0以下であり、ビニル樹脂(A)のDSC測定による融点が40~80℃であり、ビニル樹脂(A)の比誘電率ε’が2.2~4.0であり、ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値が3.0×1010~6.3×1011Ω・cmであり、トナーバインダーの重量を基準としてビニル樹脂(A)の重量割合が20.1~90重量%であり、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として単量体(a)の重量割合が15~90重量%であることを特徴とするトナーバインダーである。
本発明により、低温定着性と保存安定性を両立させつつ、耐ホットオフセット性及び帯電安定性を満足するトナーバインダーを提供することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、単量体(a)を必須構成単量体とするビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、単量体(a)が鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40の(メタ)アクリレート及び/又は鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40のビニルエステルであり、ビニル樹脂(A)のDSC測定による融点が40~80℃であり、ビニル樹脂(A)の比誘電率ε’が2.2~4.0であり、ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値が3.0×1010~6.3×1011Ω・cmであり、トナーバインダーの重量を基準としてビニル樹脂(A)の重量割合が20.1~99.9重量%であり、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として単量体(a)の重量割合が15~90重量%であることを特徴とするトナーバインダーである。
本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸あるいはアクリル酸を意味する。
本発明において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートあるいはアクリレートを意味する。
本発明のトナーバインダーは、単量体(a)を必須構成単量体とするビニル樹脂(A)を含有する。
上記の単量体(a)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40の(メタ)アクリレート及び/又は鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40のビニルエステルである。
鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40の(メタ)アクリレートとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、ミリシル(メタ)アクリレート、ドトリアコンタ(メタ)アクリレート等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40のビニルエステルとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有するビニルエステル[例えば、ステアリン酸ビニル、ベヘン酸ビニル、トリアコンタン酸ビニル及びヘキサトリアコンタン酸ビニル等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有するビニルエステル等が挙げられる。
これらの内、トナーの保存安定性の観点から好ましくは炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有するビニルエステルであり、更に好ましくは炭素数18~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び炭素数18~24の直鎖のアルキル基を有するビニルエステルである。単量体(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(a)の重量割合は、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として15~90重量%であり、好ましくは30~80重量%であり、更に好ましくは40~70重量%である。
単量体(a)の重量割合が15重量%未満であると低温定着性が悪化し、90重量%より大きいと耐ホットオフセット性が悪化する。
ビニル樹脂(A)は、単量体(a)をビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として15~90重量%(好ましくは30~80重量%であり、更に好ましくは40~70重量%)含んでいれば特に制限はないが、本発明のビニル樹脂(A)は、単量体(a)以外の単量体(b)を構成単量体として含んでもよい。単量体(b)は、単量体(a)以外の単量体であり、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の水素結合項(dH)が好ましくは、5.0以上15.0以下であり、更に好ましくは6.0以上13.0以下である。
単量体(b)の水素結合項(dH)が15.0を超えると、保存安定性及び帯電安定性が悪化し、5.0未満の場合は保存安定性が悪化する。
ハンセン溶解度パラメータとは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH)の3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項(dD)は分散力による効果、極性項(dP)は双極子間力による効果、水素結合項(dH)は水素結合力による効果を示す。
ハンセン溶解度パラメータの定義と計算はCharles M.Hansen著「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピュータソフトウェア「HSPiP4.1.0」を用いることにより、文献にパラメータ値の記載がない単量体に関しても、その化学構造からハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明では、文献にパラメータ値の記載がある単量体については、その値を用い、文献にパラメータ値の記載がない単量体に関しては、HSPiPを用いて推算したパラメータ値を用いる。
単量体(b)としては例えば、炭素数1~3の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b1)、炭素数1~3の炭化水素基を有するビニルエステル(b2)、アミンと(メタ)アクリル酸とのアミド(b3)、ニトリル基とビニル基とを有する化合物(b4)、ラクタム環とビニル基とを有する化合物(b5)、カルボキシル基とビニル基とを有する化合物(b6)、水酸基を有する(メタ)アクリレート(b7)及びアルデヒド基を有する(メタ)アクリレート(b8)等が挙げられる。単量体(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
以降、単量体(b)の化合物名に続けて記載した括弧内に単量体(b)のハンセン溶解度パラメーター(HSP)の水素結合項(dH)の値を記載した。
炭素数1~3の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b1)としては、アクリル酸メチル(9.4)、アクリル酸エチル(6.5)、アクリル酸プロピル(6.5)及びメタクリル酸メチル(5.4)等が挙げられる。
炭素数1~3の炭化水素基を有するビニルエステル(b2)としては、例えば、酢酸ビニル(6.8)、ビニル酪酸(6.2)及びイソプロペニルアセテート(6.2)等が挙げられる。
アミンと(メタ)アクリル酸とのアミド(b3)としては、アンモニアおよび炭素数1~8のアミンとアクリル酸及びメタクリル酸とを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
具体的には、アクリルアミド(12.8)、メタアクリルアミド(11.6)、N-メチルアクリルアミド(9.7)及びN-エチルアクリルアミド(8.7)等が挙げられる。
ニトリル基とビニル基とを有する化合物(b4)としては、炭素数1~5のニトリル基とビニル基とを有する化合物(例えばアクリロニトリル(6.8)、メタクリロニトリル(8.5)、4-ペンテンニトリル(5.7)、5-ヘキセンニトリル(5.2)及びα-クロロアクリロニトリル(5.2)等が挙げられる。
ラクタム環とビニル基とを有する化合物(b5)としては、炭素数4~8のラクタム環とビニル基とを有する化合物(例えば、ビニルピロリドン(5.9)、N-ビニルピロリドン(6.3)、N-ビニル-3-メチルピロリドン(5.7)、N-ビニルピペリドン(5.7)、N-ビニル-4-メチルピペリドン(5.5)、N-ビニル-カプロラクタム(5.5)及びN-ビニル-2-ピリドン(6.8)等が挙げられる。
カルボキシル基とビニル基とを有する化合物(b6)としては、炭素数1~9のカルボキシル基とビニル基とを有する化合物〔例えばメタクリル酸(13.4)、クロトン酸(14.4)、桂皮酸(10.9)、マレイン酸モノメチルエステル(12.7)、フマル酸モノメチルエステル(12.7)、イタコン酸モノメチルエステル(13.7)、シトラコン酸モノエチルエステル(13.9)、3-ブテン酸(14.1)、4-ペンテン酸(12.7)、5-ヘキセン酸(11.6)、6-ヘプテン酸(10.4)、7-オクテン酸(9.9)、8-ノネン酸(9.2)、9-デセン酸(8.6)、10-ウンデセン酸(7.9)及び11-トリデセン酸(7.8)〕等が挙げられる。
なお、本明細書中、カルボキシル基を有する化合物及び構造における炭素数には、カルボキシル基部分に含まれる炭素数は含まない。
水酸基を有する(メタ)アクリレート(b7)としてはメタクリル酸ヒドロキシエチル(13.4)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(13.7)(2-ヒドロキシプロピルエステル、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルエステルのいずれか又はその混合物)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(12.2)(2-ヒドロキシプロピルエステル、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルエステルのいずれか又はその混合物)、アクリル酸ヒドロキシブチル(13.0)及びメタクリル酸ヒドロキシブチル(11.7)等が挙げられる。
アルデヒド基を有する(メタ)アクリレート(b8)としては、アクロレイン(7.0)及びメタクリロレイン(5.8)等が挙げられる。
上記単量体(b)のうち低温定着性と保存安定性との両立の観点から好ましくは、炭素数1~3の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、炭素数1~3の炭化水素基を有するビニルエステル、炭素数1~8のアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド、炭素数1~5のニトリル基とビニル基とを有する化合物、炭素数4~8のラクタム環とビニル基とを有する化合物及び炭素数1~9のカルボキシル基とビニル基とを有する化合物である。
更に好ましくはメタクリル酸メチル、酢酸ビニル、ビニルプロピオン、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピロリドン、(無水)マレイン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等である。
ビニル樹脂(A)が単量体(b)を含む場合、ビニル樹脂(A)を構成する単量体中の単量体(b)の重量割合は、低温定着性や耐ホットオフセット性の観点から、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、好ましくは5~80重量%であり、更に好ましくは10~40重量%である。
ビニル樹脂(A)が単量体(b)を含む場合、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)と単量体(b)との重量比{(a):(b)}は低温定着性や保存安定性の観点から好ましくは98:2~15:85であり、より好ましくは90:10~50:50である。
ビニル樹脂(A)は構成単量体として、(a)及び(b)以外の単量体(c)を含んでもよい。単量体(c)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(c)としては、単量体(a)、単量体(b)以外の単量体であれば特に制限はないが、例えばスチレン、アルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン(例えばα-メチルスチレン及びp-メチルスチレン等)、アクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸が挙げられる。これらのうちトナーとしたときの保存安定性の観点から好ましくはスチレン及びマレイン酸である。
ビニル樹脂(A)を構成する単量体中の単量体(c)の重量割合は保存安定性の観点から、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、好ましくは0~40重量%であり、より好ましくは0~25重量%である。
本発明におけるビニル樹脂(A)は、単量体(a)を含有し、必要により用いる単量体(b)及び/又は必要により用いる単量体(c)を含有する単量体組成物を公知の方法(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合及びリビングカチオン重合等)で重合することで製造できる。例えば、特開平5-117330号公報に記載の方法(前記単量体を溶媒(トルエン等)中でラジカル開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)とともに反応させ溶液重合法により合成する方法)、及び特開平10-326026号公報に記載の方法で重合する方法等が挙げられる。
本発明におけるビニル樹脂(A)の重量平均分子量は、低温定着性及びトナーの耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは10,000~3,000,000、更に好ましくは50,000~500,000である。ビニル樹脂(A)の重量平均分子量は、重合温度、ラジカル重合開始剤量、連鎖移動剤などで調整できる。
ビニル樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(以降GPCと略記)を用いて以下の条件で測定する。
装置(一例) : HLC-8120 〔東ソー(株)製〕
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分を孔径1μmのPTFEフィルターでろ過したものを用いる)
移動相 :テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(重量平均分子量: 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)〔東ソー(株)製〕
本発明においてビニル樹脂(A)のDSC測定による融点は40~80℃であり、好ましくは45~75℃、更に好ましくは55~70℃である。
融点が40℃未満の場合は保存安定性が悪くなり、80℃を超えると低温定着性が悪くなる。
ビニル樹脂(A)のDSC測定による融点は、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の種類、構成比率及び重量平均分子量等で調整することができる。具体的には、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数を増やす、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)のの重量比率を増やす、ビニル樹脂(A)の炭素数の重量平均分子量を増やす等の方法により融点を上げることができる。例えば、単量体(a)の炭素数が22であり、単量体(a)の比率が40重量%の場合、重量平均分子量を5000以上とすることで、上記範囲となる。
ビニル樹脂(A)の融点は示差走査熱量計{例えばTA Instruments(株)製 DSC20}を用いて測定する。ビニル樹脂(A)を20℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度をビニル樹脂(A)の融点とする。
ビニル樹脂(A)の比誘電率ε’は2.2~4.0であり、好ましくは3.0~3.9、更に好ましくは3.0~3.7である。これにより、画像形成時において帯電したトナー粒子をより効率よく転写させることができる。
ビニル樹脂(A)の比誘電率ε’はビニル樹脂(A)を構成する単量体の種類、構成比率及び酸価で調整することができる。具体的には、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数を増やす、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数の重量比率を増やす、ビニル樹脂(A)の酸価を上げる等の方法により比誘電率を上げることができる。例えば、単量体(a)の重量比率が40%の場合、酸価を0以上にすることで比誘電率は上記範囲となる。
ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値は、3.0×1010~6.3×1011Ω・cmであり、好ましくは4.0×1010~3.0×1011Ω・cmであり、更に好ましくは4.0×1010~1.3×1011Ω・cmである。これにより、帯電安定性が良好となる。
ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値はビニル樹脂(A)を構成する単量体の種類、構成比率及び酸価等で調整することができる。具体的には、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数を減らす、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数の重量比率を下げる、ビニル樹脂(A)の酸価を下げる等の方法により体積固有抵抗値を上げることができる。例えば、ビニル樹脂(A)の重量比率が40%の場合、酸価を20以下とすることで、体積固有抵抗値は上記範囲となる。
ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値と誘電率は、以下の条件で測定した。
装置 : 安藤電気(株)製 TR-1100型誘電体損自動測定装置
安藤電気(株)製 TO-198型恒温槽
固体用電極: SE-70型固体用電極
測定環境 : 23℃、50%RH
ビニル樹脂(A)を成型用リング(塩ビ製、φ25mm、高さ5mm)に1.5g入れ、プレス機で98kN×10秒プレスし、厚さ約2.3mm、φ=25mmの円柱状に成型した。成型品を23℃、50%RHで30分以上放置し、成型用リングから外し、成型品の厚さをマイクロメーターで測定した(D、単位μm)。主電極と対電極に挟んで1kHzで測定し、CONDUCTANCE(Gx、単位nS)と静電容量(Cx、単位pF)を記録した。得られた数値を下記式(1)又は(2)に代入することにより体積固有抵抗値及び誘電率を算出した。
体積固有抵抗値=3.14×(0.9)/(Gx×D×10-13) (1)
誘電率=(14.39×Cx×D)/32400 (2)
ビニル樹脂(A)の比誘電率は、算出された誘電率と空気の比誘電率1.000585との比で求められる。
ビニル樹脂(A)の重量割合は、トナーバインダーの重量を基準として20.1~99.9重量%であり、好ましくは50~90重量%であり、更に好ましくは70~90重量%である。ビニル樹脂(A)の重量割合が20.1重量%未満の場合は低温定着性が悪くなる。
ビニル樹脂(A)の酸価は、好ましくは19.9mgKOH/g以下であり、更に好ましくは0~15mgKOH/gである。ビニル樹脂(A)の酸価が19.9mgKOH/g以下であれば、吸湿性が小さいため、保存安定性が良好である。
ビニル樹脂(A)の酸価は、単量体の酸価及び酸価を有する単量体の含有量を調整することで調整できる。ビニル樹脂(A)の酸価は、例えばJIS K 0070などの方法で測定される。
本発明のトナーバインダーは、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを必須構成単量体とする非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有していてもよい。本発明における非晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量計を用いて試料の転移温度測定を行った場合に、吸熱ピークのピークトップ温度が存在しないポリエステル樹脂のことである。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分(x)としては、炭素数2~4の脂肪族ジオール(x1)、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(x2)、(x1)と(x2)以外のジオール(x3)、3価以上のポリオール(x4)及びモノオール(x5)等が挙げられる。
炭素数2~4の脂肪族ジオール(x1)としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール及びジエチレングリコール等が挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(x2)としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数は好ましくは2~30)が挙げられる。
ビスフェノールAに付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2~4のアルキレンオキサイドが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-、2,3-、1,3-又はiso-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
(x1)と(x2)以外のジオール(x3)としては、炭素数5~36のアルキレングリコール、炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコール、炭素数6~36の脂環式ジオール、炭素数6~36の脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物及び2価フェノール等が挙げられる。
炭素数5~36のアルキレングリコールとしては、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール及び1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
炭素数6~36の脂環式ジオールとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
炭素数6~36の脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、炭素数6~36の脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数は好ましくは2~4)等が挙げられる。
2価フェノールとしては、単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)及びビスフェノールA以外のビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物(好ましくは平均付加モル数2~30)等が挙げられる。
ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノール化合物にアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)を付加して得られる。ビスフェノール化合物としては、下記一般式(4)で示されるものが挙げられる。
HO-Ar-X-Ar-OH (4)
[式中、Xは炭素数1~3のアルキレン基、-SO-、-O-、-S-又は直接結合を表わす。Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1~30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール化合物とは、例えばビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2-メチルビスフェノールA、2,6-ジメチルビスフェノールA及び2,2’-ジエチルビスフェノールF等が挙げられる。
3価以上のポリオール(x4)としては、炭素数3~36の3価以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール)、糖類及びその誘導体(例えばショ糖及びメチルグルコシド)、上記脂肪族多価アルコールのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは1~30)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2~30)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3~60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2~30)等が挙げられる。
モノオール(x5)としては、炭素数1~30のアルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)等が挙げられる。
上記非晶性ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分(x)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのアルコール成分(x)のうち低温定着性の観点から、好ましくは炭素数2~4の脂肪族ジオール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、更に好ましくは1.2-プロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物である。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分(y)としては、モノカルボン酸(y1)及びポリカルボン酸(y2)等が挙げられる。
モノカルボン酸(y1)としては、脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸及び芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸としては、炭素数1~30のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モニタン酸及びメリシン酸等)及び炭素数3~24のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸及びリノール酸等)等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸としては、炭素数7~36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、フェニルプロピオン酸及びナフトエ酸等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸(y2)としては、ジカルボン酸(y21)及び/又は3価以上のポリカルボン酸(y22)が挙げられる。
ジカルボン酸(y21)としては、炭素数4~36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸及びセバシン酸)、炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕、炭素数4~36のアルケンジカルボン酸(例えばドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸)、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)及びこれらのエステル形成性誘導体〔低級アルキル(アルキル基の炭素数1~4:メチル、エチル、n-プロピル等)エステル及び酸無水物、以下のエステル形成性誘導体も同様。〕等が挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸(y22)としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6~36の脂肪族ポリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)及びこれらのエステル形成性誘導体(酸無水物及び低級アルコールとのエステル等)等が挙げられる。
上記非晶性ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分(y)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのカルボン酸成分(y)のうち低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは炭素数4~36のアルカンジカルボン酸、炭素数4~36のアルケンジカルボン酸、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸であり、更に好ましくはアジピン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びトリメリット酸である。
アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは1/2~2/1、更に好ましくは1/1.3~1.5/1、特に好ましくは1/1.2~1.3/1である。
本発明において、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合は、公知のエステル化反応を利用して行うことができる。一般的な方法として、例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、重合触媒の存在下、反応温度が好ましくは150~280℃、更に好ましくは180~270℃、特に好ましくは200~260℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、特に好ましくは2~40時間である。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
重合触媒としては、反応性と環境保護の点から、チタン、アンチモン、ジルコニウム、ニッケル及びアルミニウムから選ばれる一種以上の金属を含有する重合触媒を用いるのが好ましく、チタン含有触媒を用いるのが更に好ましい。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006-243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕及び特開2007-11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム及びアルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
触媒の添加量は、反応速度が最大になるように適宜決定することが望ましい。添加量としては、全原料に対し、好ましくは10ppm~1.9重量%、更に好ましくは100ppm~1.7重量%である。添加量を10ppm以上とすることで反応速度が大きくなる点で好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は、好ましくは50~80℃であり、更に好ましくは55~70℃である。非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は重量平均分子量、アルコール成分(x)、カルボン酸成分(y)の構造、組成比等で調整可能であり、エステル基濃度や芳香環濃度など、調整因子は一般的に知られている方法を用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が、50℃以上であると保存安定性が良好であり、80℃以下であると低温定着性が良好である。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments(株)製 DSC20を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定した。ガラス転移温度の測定条件を記載する。
<測定条件>
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で-35℃まで冷却
(4)-35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
上記測定によって得られた示差走査熱量曲線から、縦軸を吸発熱量、横軸を温度とするグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
本発明における非晶性ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量は、低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくは3,000~300,000、更に好ましくは5,000~50,000である。本発明における非晶性ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量は、アルコール成分(x)、カルボン酸成分(y)の仕込み比で調整可能であり、非晶性ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量の測定は、ビニル樹脂(A)の重量平均分子量の測定と同様の方法で行える。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のTHF不溶解分は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、非晶性ポリエステル樹脂(B)の重量に基づき好ましくは0~50重量%、更に好ましくは0~35重量%である。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価は、好ましくは0~30mgKOH/gであり、更に好ましくは5~30mgKOH/gであり、特に好ましくは10~15mgKOH/gである。非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価が0mgKOH/g以上であれば帯電安定性が良好となり、30mgKOH/g以下であれば、保存安定性が良好となる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価は、単量体の酸価及び酸価を有する単量体の含有量を調整することで調整できる。非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価は、例えばJIS K 0070などの方法で測定される。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、好ましくは0~60mgKOH/g、更に好ましくは1~50mgKOH/g、特に好ましくは2~30mgKOH/gである。水酸基価が60以下であるとトナーに用いた時の帯電安定性及び保存安定性がより良好となる。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、単量体の水酸基価及び水酸基価を有する単量体の含有量を調整することで調整できる。非晶性ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、例えばJIS K 0070などの方法で測定される。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の軟化点は、保存安定性の観点から好ましくは90~144℃であり、更に好ましくは100~120℃である。
本発明における非晶性ポリエステル樹脂(B)の軟化点は以下の条件で測定される。
フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT-500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とする。
非晶性ポリエステル樹脂(B)を含む場合、ビニル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)との重量比は好ましくは99/1~20/80であり、更に好ましくは90/10~40/60である。99/1より大きければ帯電性能が悪化し、20/80未満であれば低温定着性能が悪化する。
本発明においてトナーバインダーの融点は40~80℃であり、好ましくは45~75℃、更に好ましくは55~70℃である。
融点が40℃以上の場合は保存安定性が良好となり、80℃以下の場合は低温定着性が良好となる。
なお、トナーバインダーの融点はビニル樹脂(A)の融点と同様の条件で測定される。
本発明のトナーバインダーの酸価は、好ましくは0~30mgKOH/gであり、更に好ましくは1~20mgKOH/gである。トナーバインダーの酸価が0mgKOH/g以上であれば帯電安定性が良好となり、30mg以下であれば、保存安定性が良好となる。
トナーバインダーの酸価は、例えばJIS K 0070などの方法で測定される。
本発明のトナーバインダーはビニル樹脂(A)を20.1~99.9重量%含有していれば特に限定されず、例えば、ビニル樹脂(A)と上記非晶性ポリエステル樹脂(B)等とを混合する場合の混合方法は公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。また、ビニル樹脂(A)、非晶性ポリエステル樹脂(B)及び必要により用いる添加剤は、トナーを製造するときに同時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、二軸混練機、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
溶剤混合の方法としては、ビニル樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し(A)及び(B)を均一化させた後、脱溶剤し粉砕する方法や、(A)及び(B)を溶剤に溶解し(A)及び(B)の溶剤溶液を水中に分散させ(A)及び(B)を均一分散化させた後、脱溶剤する方法などがある。
本発明のトナーバインダーをトナーとして用いる場合は、必要により着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。例えば、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、ピグメントレッド、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、ピグメントイエロー、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1~40部、更に好ましくは3~10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20~150部、更に好ましくは40~120部である。
離型剤としては、軟化点が50~170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、エステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
なお、離型剤の軟化点は非晶性ポリエステル樹脂(B)の軟化点と同様の条件で測定される。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-ドデセン、1-オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及びそれをさらに熱減成して得られるものを含む]、(例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体)、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[マレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物等]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHi-Mic-2095、Hi-Mic-1090、Hi-Mic-1080、Hi-Mic-1070、Hi-Mic-2065、Hi-Mic-1045、Hi-Mic-2045等が挙げられる。
パラフィンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のParaffin WAX-155、Paraffin WAX-150、Paraffin WAX-145、Paraffin WAX-140、Paraffin WAX-135、HNP-3、HNP-5、HNP-9、HNP-10、HNP-11、HNP-12、HNP-51等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社製のSasolwax C80等が挙げられる。
カルナバワックスとしては、株式会社加藤洋行社製の精製カルナウバワックス 特製1号等が挙げられる。
エステルワックスとしては、脂肪酸エステルワックス(例えば、日油社製のニッサンエレクトールWEP-2、WEP-3、WEP-4、WEP-5及びWEP-8等)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数30~50の脂肪族アルコールなどであり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数30~50の脂肪酸などであり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、三菱ケミカル社製のダイヤミッドY、ダイヤミッド200等が挙げられる。
上記の中では低温定着性や耐ホットオフセット性の観点から好ましくは、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス及びエステルワックス及びアミドワックスである
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよく、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有重合体、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有重合体、含フッ素系重合体及びハロゲン置換芳香環含有重合体等が挙げられる。
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ炭酸カルシウム、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。トナーの帯電性の観点からシリカが好ましい。また、シリカは、トナーの転写性の観点から疎水性シリカであることが好ましい。
本発明のトナーバインダーをトナーとして用いる場合のトナーの組成比は、本発明のトナーバインダーがトナーの重量を基準として、好ましくは30~97重量%、更に好ましくは40~95重量%、特に好ましくは45~92重量%である。
着色剤はトナーの重量を基準として、好ましくは0.05~60重量%、更に好ましくは0.1~55重量%、特に好ましくは0.5~50重量%である。
離型剤はトナーの重量を基準として、好ましくは0~30重量%、更に好ましくは0.5~20重量%、特に好ましくは1~10重量%である。
荷電制御剤はトナーの重量を基準として、好ましくは0~20重量%、更に好ましくは0.1~10重量%、特に好ましくは0.5~7.5重量%である。
流動化剤はトナーの重量を基準として、好ましくは0~10重量%、更に好ましくは0~5重量%、特に好ましくは0.1~4重量%である。
また、添加剤の合計含有量はトナーの重量を基準として、好ましくは3~70重量%、更に好ましくは4~58重量%、特に好ましくは5~50重量%である。
トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナーバインダーをトナーとして用いる場合のトナーの製造方法は特に限定されず、混練粉砕法、乳化転相法、乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法及び乳化凝集法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
これらの製造方法のうち、生産性、低温定着性および保存性の観点から混練粉砕法および溶解懸濁法が好ましい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分をヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等で乾式ブレンドした後、二軸混練機、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等の連続式の混合装置で溶融混練し、その後ミル機等で粗粉砕し、最終的に気流式微粉砕機等を用いて微粒子化して、さらにエルボジェット等の分級装置で粒度分布を調整することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5~20μmの微粒子とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
具体的には、電解水溶液であるISOTON-II(ベックマン・コールター社製)100~150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1~5mL加える。さらに測定試料を2~20mg加え、試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1~3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして50μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナー粒子の体積平均粒径(D50)(μm)、個数平均粒径(μm)、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)を求める。
乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3~15μmが好ましい。
乳化重合法及び懸濁重合法は、公知の方法[特公昭36-10231号公報、特公昭47-518305号公報、特公昭51-14895号公報等に記載の方法]を用いることができる。
溶解懸濁法及び乳化凝集法は、公知の方法[特許第3596104号公報、特許第3492748号公報等に記載の方法]を用いることができる。
本発明のトナーバインダーに用いられるトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル重合体、及びシリコーン重合体等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、1/99~100/0である。また、キャリアー粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナーバインダーは、電子写真用トナーとして複写機及びプリンター等により支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り部は重量部を示す。なお、以下において、実施例7、9、10、15、16、23、25、26、31及び32は参考例1~10を意味する。
<製造例1>
オートクレーブにキシレン17部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。単量体(a)であるベヘニルアクリレート[日油(株)製、以下同様]50部、単量体(c)であるスチレン[出光興産(株)製、以下同様]25部、単量体(b)であるアクリロニトリル[ナカライテクス(株)製、以下同様]23.5部、単量体(b)であるメタクリル酸[ナカライテクス(株)製、以下同様)]1.5部、パーブチルD[ジ-t-ブチルパーオキシド、日油(株)、以下同様]0.15部及びキシレン17部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で2時間保ち重合を完結させたのち、170℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A1)を得た。ビニル樹脂(A1)の重量平均分子量、融点、体積固有抵抗値、比誘電率及び酸価を表1に記載した。
<製造例2~10>
表1記載の単量体の組成に基づきそれぞれの単量体及びラジカル開始剤を指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてビニル樹脂(A2)~(A10)を得た。分析値はそれぞれ表1に示したとおりであった。
<製造例11>
撹拌機付のオートクレーブにキシレン[ナカライテクス(株)製、以下同様]100部、単量体(a)であるベヘニルアクリレート100部、チオグリコール酸1.5部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で85℃まで昇温した。ジ-t-ブチルパーオキシド[アゾV65、富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]0.80部を仕込み、オートクレーブ内温度を85℃のまま同温度にコントロールしながら3時間かけて重合を行った。その後更に105℃まで昇温し、105℃で1時間撹拌した後に30℃まで冷却した。冷却後、反応容器内に単量体(b)であるメタクリル酸ヒドロキシエチル(東京化成工業(株)製)2.5部を加え55℃まで昇温した後、シジクロヘキシルカルボジイミド(東京化成工業(株)製)4部、4-メチルアミノピリジン(東京化成工業(株)製)0.1部、t-Buハイドロキノン(東京化成工業(株)製)0.1部をクロロホルム20部に溶解した混合液を1時間かけて滴下した。その後更に55℃で5時間撹拌を行った。その後35℃まで冷却して固形分を除いた溶解分をメタノール沈殿法により精製した。得られた固形分を減圧乾燥して白色固体のマクロモノマーを得た。白色固体のマクロモノマーは重量平均分子量が6,000、融点が65℃であった。
さらに、別のオートクレーブにキシレン17部を仕込み、窒素で置換した後、170℃まで昇温した。次いで、同温度で白色固体のマクロモノマー64部、単量体(b)であるメタクリル酸メチル[ナカライテクス(株)製、以下同様]30部、単量体(b)であるメタクリロニトリル[ナカライテクス(株)製、以下同様]16部、単量体(b)であるメタクリル酸4部、パーブチルD0.15部及びトルエン17部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で2時間保ち重合を完結させたのち、170℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A11)を得た。ビニル樹脂(A11)の重量平均分子量、融点、体積固有抵抗値、比誘電率及び酸価を表1に記載した。
<比較製造例1~3>
比較製造例1~3は表1に記載の単量体の組成に基づきそれぞれの単量体を指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてビニル樹脂(A’1)~(A’3)を得た。分析値はそれぞれ表1に示したとおりであった。
Figure 0007300309000001
表1中、単量体(b)及び単量体(c)の化合物名に続けて記載した括弧内に単量体(b)及び単量体(c)のハンセン溶解度パラメーター(HSP)の水素結合項(dH)の値を記載した。
<製造例12>
[非晶性ポリエステル樹脂(B1)の製造]
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物164部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物577部、テレフタル酸260部、無水トリメリット酸24部及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、0.5~2.5kPaの減圧下230℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させ、酸価が1mgKOH/g以下になった後、180℃に冷却した。無水トリメリット酸21部を加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して非晶性ポリエステル樹脂(B1)を得た。分析値は表2に示したとおりであった。
Figure 0007300309000002
<実施例1>[トナーバインダー(C1)の製造]
ビニル樹脂(A1)85.0部及び、非晶性ポリエステル樹脂(B1)15.0部を混合し、小型二軸混練機[株式会社 井元製作所製 IMC-IADA型]に45g/分で供給し、100℃、180rpmで混練した。得られたものを室温まで冷却することにより、本発明のトナーバインダー(C1)を得た。
<実施例2~18>[トナーバインダー(C2)~(C16)の製造]
表3に示した重量部数のビニル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とを混合し、実施例1と同様にして、本発明のトナーバインダー(C2)~(C16)を得た。
<比較例1~3>[トナーバインダー(C’1)~(C’3)の製造]
表3に示した重量部数のビニル樹脂(A’)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とを混合し、実施例1と同様にして、トナーバインダー(C’1)~(C’3)を得た。
Figure 0007300309000003
表3にトナーバインダーの分析値を示す。
トナーバインダーの融点は下記の方法で測定した。
トナーバインダーの融点は示差走査熱量計(「TA Instruments(株)製 DSC20を用いて測定した。トナーバインダーを20℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程のビニル樹脂(A)由来の吸熱ピークのトップを示す温度を融点とした。
トナーバインダーの酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、酸価の測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)とした。
<実施例17><トナー組成物(Ts1)の製造>
[ワックス分散液1の製造]
冷却管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、カルナウバワックス15部及び酢酸エチル85部を投入し、80℃に加熱して溶解し、1時間かけて30℃まで冷却し、カルナウバワックスを微粒子状に晶析させ、更に「ウルトラビスコミル」[アイメックス製]で湿式粉砕し(ワックス分散液1)を作製した。
[微粒子分散液1の製造]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩[エレミノールRS-30、三洋化成工業社製]11部、スチレン139部、メタクリル酸138部、アクリル酸ブチル184部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成してビニルポリマー(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液1)を得た。(微粒子分散液1)をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA-920)で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
[顔料マスターバッチの製造]
水1200部、カーボンブラック[キャボット社製、リーガル400R]40部、実施例1で製造したトナーバインダー(C1)20部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を3本ロールを用いて90℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して顔料マスターバッチ(MB1)を得た。
[水相s1の製造]
攪拌棒をセットした容器に、水955部、(微粒子分散液1)15部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液[エレミノールMON7、三洋化成工業製]30部を投入し、乳白色の液体(水相s1)を得た。
[トナー組成物(Ts1)の製造]
ビーカー内にトナーバインダー(C1)191部、顔料マスターバッチ(MB1)25部、(ワックス分散液1)67部、酢酸エチル124部を投入して溶解・混合均一化し、(油相s1)を得た。この(油相s1)中に(水相s1)600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで減圧度-0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、水性着色重合体分散体(X1)を得た。
水性着色重合体分散体(X1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥した後に、分級装置(エルボジェット、マツボウ(株)製)で、3.17μm以下の微粉が12個数%以下、8.0μm以上の粗粉が3体積%以下となるように、微粉及び粗粉を除去して着色重合体粒子(Cs1)を得た。
次に、得られた着色粉体の着色重合体粒子(Cs1)100部に対し、疎水性シリカ[アエロジルR972、日本アエロジル(株)製]を1部添加し、周速を15m/secとして30秒混合、1分間休止を5サイクル行い、トナー組成物(Ts1)を得た。
<実施例18~32、比較例4~6><トナー組成物(Ts2)~(Ts16)及び(Ts’1)~(Ts’3)の製造>
トナーバインダー(C1)に変えて(C2)~(C16)及び(C’1)~(C’3)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順でそれぞれ[油相s2]~[油相s16]及び[油相s’1]~[油相s’3]を得て、表4~6記載の組成でトナー組成物(Ts2)~(Ts16)及び(Ts’1)~(Ts’3)を得た。
Figure 0007300309000004
Figure 0007300309000005
Figure 0007300309000006
[性能評価]
得られたトナーバインダーの低温定着性、保存安定性、耐ホットオフセット性、帯電安定性の測定方法、評価方法、判定基準を以下の方法で行った。その結果を表4~6に示した。
<低温定着性>
トナー組成物を紙面上に0.8mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。この評価条件では一般に140℃以下が必要とされる。
<保存安定性>
50℃、湿度80%に温調調湿された乾燥機にトナー組成物を15時間静置し、ブロッキングの有無を目視で判断し、下記の基準で保存安定性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングは発生していない
×:ブロッキングが発生している
<耐ホットオフセット性>
トナー組成物を紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる。このときトナー組成物を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cmの条件で通した時のホットオフセット温度を測定した。この評価条件では一般に140℃以上が必要とされる。
<帯電安定性>
トナー組成物0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F-150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、相対湿度(1)50%(2)85%で8時間以上調湿する。
ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10および60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。相対湿度50%の摩擦時間10分の帯電量をもって飽和帯電量とした。また、「相対湿度85%の摩擦時間60分の帯電量/相対湿度50%の摩擦時間60分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[帯電安定性の判定基準]
◎:0.6以上
○:0.5以上、0.6未満
△:0.3以上、0.5未満
×:0.3未満
表4~6の評価結果から明らかなように、本発明のトナーバインダーを用いたトナー組成物(実施例17~32)は、比較のトナー組成物(比較例4~6)と比べて、低温定着性と保存安定性を両立させつつ、耐ホットオフセット性及び帯電安定性が著しく良好である結果が得られた。
本発明のトナーバインダーは、低温定着性と保存安定性を両立させつつ、耐ホットオフセット性及び帯電安定性に優れるため、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナー及びトナーバインダーとして好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 単量体(a)、単量体(a)以外の単量体(b)及びスチレンを必須構成単量体とするビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、単量体(a)が鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40の(メタ)アクリレート及び/又は鎖状炭化水素基を有する炭素数21~40のビニルエステルであり、単量体(b)のハンセン溶解度パラメーター(HSP)の水素結合項(dH)が6.0以上13.0以下であり、ビニル樹脂(A)のDSC測定による融点が40~80℃であり、ビニル樹脂(A)の比誘電率ε’が2.2~4.0であり、ビニル樹脂(A)の体積固有抵抗値が3.0×1010~6.3×1011Ω・cmであり、トナーバインダーの重量を基準としてビニル樹脂(A)の重量割合が20.1~90重量%であり、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として単量体(a)の重量割合が15~90重量%であることを特徴とするトナーバインダー。
  2. ビニル樹脂(A)の酸価が19.9mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナーバインダー。
  3. トナーバインダーがアルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを必須構成単量体とする非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有し、非晶性ポリエステル樹脂(B)の軟化点が90~144℃である請求項1又は2に記載のトナーバインダー。
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