JP7110277B2 - トナー用樹脂組成物 - Google Patents
トナー用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7110277B2 JP7110277B2 JP2020109619A JP2020109619A JP7110277B2 JP 7110277 B2 JP7110277 B2 JP 7110277B2 JP 2020109619 A JP2020109619 A JP 2020109619A JP 2020109619 A JP2020109619 A JP 2020109619A JP 7110277 B2 JP7110277 B2 JP 7110277B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- monomer
- acid
- toner
- weight
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結晶性樹脂をトナー用樹脂組成物として用いる方法などが知られており、ホットオフセット性との両立を図るために結晶性樹脂と非晶性樹脂を併用する方法(特許文献1、2)や、結晶性ポリエステルと非晶性樹脂とのブロックポリマーを使用する方法(特許文献3~6)などが開示されている。しかしながら連続での大量の両面印刷を行った場合や製本により、複数枚の紙面が重なりかつ印刷面同士が接する場合、放熱が間に合わず印刷物の束が蓄熱する。そのため定着後のトナー層の冷却速度が遅くなり、特に結晶性樹脂を使用している場合はトナー層が十分な弾性まで上がらないため、ドキュメントオフセットが発生しやすいという問題があり、低温定着性を優先するとドキュメントオフセットが生じるという問題がある。
また一方で、結晶性樹脂を使用しないトナー用樹脂組成物であっても低温定着性を向上させるため、ガラス転移点の低いポリマーを使用する場合には、このようなドキュメントオフセットが生じる。これを防ぐ方法として、ガラス転移点の低いポリマーとガラス転移点の高いポリマーをブロックポリマーにする方法(特許文献7)などが開示されている。しかしながら、この方法は結晶性樹脂を使用しないため結晶性樹脂を使用した場合に比べて低温定着性が不充分である。また、ガラス転移点の低いポリマーを使いつつ低温定着性と保存性を両立するためにブロックポリマー化する場合は、アニオン重合などの特殊な重合法を用いたプロセスや特殊な試薬の使用が必要であることが示されており、これらの工程は工業化時の課題となる。また、通常の耐熱保存性には問題はないが、ガラス転移点の低い部位のミクロな変形に起因すると推定される荷重がかかる条件下での耐熱保存性は未だ不充分である。
すなわち本発明は、ポリマー(A)を含有するトナー用樹脂組成物であって、ポリマー(A)が、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物の重合体であり、
単量体(a)が、炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、
単量体(b)が単量体(a)以外の単量体であって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが次の関係式(1)を満たし、ビニル基を有する単量体であり、ポリマー(A)を構成する単量体(a)の重量割合が前記単量体組成物の合計重量を基準として10~80重量%であり、ポリマー(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)が45~85℃であるトナー用樹脂組成物である。
関係式(1):{(dP)2+(dH)2}0.5≧8.3
炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有するビニルエステルとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有するビニルエステル[例えば、ステアリン酸ビニル、ベヘン酸ビニル、トリアコンタン酸ビニル及びヘキサトリアコンタン酸ビニル等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有するビニルエステル等が挙げられる。上記単量体は2種以上を併用してもよい。
これらの内、低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から好ましくは炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは、18~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは20~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、最も好ましいのはアラキジルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートである。
(1)α-メチルスチレンダイマーを連鎖移動剤として用いて上記単量体をラジカル重合し、得られたポリマーの末端にα-メチルスチレンダイマー由来のビニル基をもたせる方法。
(2)末端に水酸基を有する重合開始剤(例えば、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等)を用いて上記単量体をラジカル重合し、得られたポリマーの開始剤由来の末端水酸基と塩化アクリルとを反応させビニル基をもたせる方法。
関係式(1-2):14.5≧{(dP)2+(dH)2}0.5≧10.3
関係式(1-3):12.8≧{(dP)2+(dH)2}0.5≧10.3
単量体(c)としては、単量体(a)、単量体(b)以外の単量体であれば特に制限はないが、スチレン及びアルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン(例えばα-メチルスチレン及びp-メチルスチレン等)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル等が挙げられる。これらのうちトナーとしたときの保存安定性の観点から好ましくはスチレンである。
また、本発明のトナー用樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記のポリマー(A)の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150~280℃、より好ましくは160~250℃、さらに好ましくは170~235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2~40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006-243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕及び特開2007-11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム及びアルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点が、45℃以上であると荷重下での耐熱保存性が良好であり、80℃以下であると低温定着性が良好である。
機械的混合方法において、粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられ、溶融混合する場合の混合装置としては、二軸混練機、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
機械的混合方法を用いる場合の混合時の温度としては、50~200℃であることが好ましい。また、混合時間としては、0.5~24時間であることが好ましい。
溶剤に溶解する方法を用いる場合は、溶剤としては特に制限はなく、トナー用樹脂組成物を構成する全ての重合体を好適に溶解するものであればよい(トルエン及びアセトン等)。
溶剤を除去する時の温度は50~200℃であることが好ましいく、必要に応じて減圧や排風することで溶剤の除去を促進することができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナー用樹脂組成物100部に対して、好ましくは1~40部、より好ましくは3~10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、トナー用樹脂組成物100部に対して、好ましくは20~150部、より好ましくは40~120部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
これらの製造方法のうち、生産性の観点から混練粉砕法及び溶解懸濁法が好ましい。
試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : HLC-8120〔東ソー(株)製〕
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度: 40℃
試料溶液: 0.25重量%のTHF溶液(不溶解分を孔径1μmのPTFEフィルターでろ過したものを用いる)
移動相 :テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
溶液注入量: 100μL
検出装置: 屈折率検出器
基準物質: 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)〔東ソー(株)製〕
単量体(a)中の二重結合量は核磁気共鳴分光分析(プロトンNMR)により求めた1分子あたりの重合性官能基数とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた数平均分子量(Mn)を用いて下記式より求めた。
単量体(a)中の二重結合量=[単量体(a)1分子あたりの重合性官能基数]×1000/[単量体(a)の数平均分子量(Mn)]
NMRチューブにサンプルを10mgはかりとり、重水素化溶媒(重クロロホルム)を0.45mL加えサンプルを溶解させた。
<測定条件>
核磁気共鳴分光分析(プロトンNMR)
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
測定周波数:400MHz
パルス条件: 5μs
積算回数: 16回
得られたスペクトルの積分値より、重合性官能基1つあたりに対する単量体の構成比を求めた。単量体の構成比と単量体の分子量から、NMRによる数平均分子量を算出し、GPCによる数平均分子量をNMRによる数平均分子量で割ることで単量体(a)1分子あたりの重合性官能基数を算出した。
<吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)>
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて-20℃まで冷却し、-20℃から20℃/分の条件で120℃まで第1回目の昇温を行った後10分間120℃保持を行い、続いて120℃から20℃/分の条件で-20℃まで冷却し、続いて-20℃から20℃/分の条件で120℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を吸熱ピークのピークトップ温度とした。
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定した。
ガラス転移温度の測定条件は以下の通り
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で-35℃まで冷却
(4)-35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析しガラス転移温度を求めた。
フローテスター{(株)島津製作所製、CFT-500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とした。
JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、酸価の測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)、水酸基価の測定溶媒はTHFとした。
オートクレーブにトルエン500部、ベヘニルアクリレート[日油(株)製、以下同様]460部、α-メチルスチレンダイマー[関東化学(株)製、以下同様]38部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で85℃まで昇温した。2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)[富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]4部をオートクレーブ内に仕込んだ。85℃で4時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製し、白色固体の単量体(a-1)を得た。単量体(a-1)中の二重結合量は0.23ミリモル/gであった。
オートクレーブにジメチルホルムアミド750部、ベヘニルアクリレート250部、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド][富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]2部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で130℃まで昇温し、3時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン2.5部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で1.8部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-2)を得た。単量体(a-2)中の二重結合量は0.17ミリモル/gであった。
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート206部、ステアリルアクリレート44部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-3)を得た。単量体(a-3)中の二重結合量は0.17ミリモル/gであった。
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート224部、スチレン26部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-4)を得た。単量体(a-4)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート226部、アクリロニトリル24部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-5)を得た。単量体(a-5)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
オートクレーブにジメチルホルムアミド850部、ベヘニルアクリレート150部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]15部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン11.7部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で9.5部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-6)を得た。単量体(a-6)中の二重結合量は0.95ミリモル/gであった。
オートクレーブにジメチルホルムアミド500部、ベヘニルアクリレート500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]1.25部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン0.55部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で0.45部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-7)を得た。単量体(a-7)中の二重結合量は0.046ミリモル/gであった。
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、リグノセリルアクリレート265部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-8)を得た。単量体(a-8)中の二重結合量は0.15ミリモル/gであった。
オートクレーブにジメチルホルムアミド500部、ベヘニルアクリレート500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]0.25部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン0.23部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で0.19部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a’-1)を得た。単量体(a’-1)中の二重結合量は0.020ミリモル/gであった。
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、パルミチルアクリレート250部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a’-2)を得た。単量体(a’-2)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
オートクレーブにトルエン300部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。単量体(a-1)240部、スチレン360部、メタクリロニトリル240部、t-ブチルパーオキサイド-2-エチルヘキシルヘキサノエート[日油(株)製、以下同様]1.6部、及びトルエン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で1時間保ち重合を完結させた。冷却後にメタノール沈殿法で精製し、白色固体のポリマー(A-1)を得た。
単量体及び開始剤溶液を表1に記載の通り仕込んだ以外は製造例9と同様にしてポリマー(A-2)~(A-13)を得た。
単量体及び開始剤溶液を表2に記載の通り仕込んだ以外は製造例9と同様にしてポリマー(A’-1)~(A’-5)を得た。
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物697部、テレフタル酸297部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、0.5~2.5kPaの減圧下220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させ、酸価が1mgKOH/g以下になった後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸10部を加え、1時間反応させたのち、スチールベルトクーラーを使用して非晶性ポリエステル樹脂(B-1)を得た。分析値を表3に示した。
製造例9~22と比較製造例3~7で得たポリマー(A-1)~(A-13)、(A’-1)~(A’-5)及びポリエステル樹脂(B-1)を表4及び表5の組成及び重量比でトナー用樹脂組成物(D-1)~(D-14)及び(D’-1)~(D’-5)とした。
[微粒子分散液1の製造]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩[エレミノールRS-30、三洋化成工業社製]11部、ビニルベンゼン139部、メタクリル酸138部、アクリル酸ブチル184部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成してビニルポリマー(ビニルベンゼン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置[LA-920、株式会社堀場製作所製]で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
[ワックス分散液1の製造]
冷却管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、カルナウバワックス15部及び酢酸エチル85部を投入し、80℃に加熱して溶解し、1時間かけて30℃まで冷却し、カルナウバワックスを微粒子状に晶析させ、更に「ウルトラビスコミル」(アイメックス製)で湿式粉砕し[ワックス分散液1]を作製した。
[顔料マスターバッチの製造]
水1200部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、トナー用樹脂組成物(D-1)20部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を3本ロールを用いて90℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して顔料マスターバッチ[MB1]を得た。
[水相s1の製造]
撹拌棒をセットした容器に、水955部、[微粒子分散液1]15部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON7、三洋化成工業製)30部を投入し、乳白色の液体[水相s1]を得た。
・粒子化
ビーカー内にトナー用樹脂組成物(D-1)191部、顔料マスターバッチ[MB1]25部、[ワックス分散液1]67部、酢酸エチル124部を投入して溶解・混合均一化し、[油相s1]を得た。この[油相s1]中に[水相s1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで減圧度-0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、水性着色重合体分散体(X1)を得た。
・分級
(X1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥した後に、分級機としてエルボジェット分級機[(株)マツボウ製、EJ-L-3(LABO)型]で、3.17μm以下の微粉が12個数%以下、8.0μm以上の粗粉が3体積%以下となるように、微粉及び粗粉を除去して着色重合体粒子[Cs1]を得た。
・外添処理
次に、得られた着色粉体の着色重合体粒子[Cs1]100部に対し、疎水性シリカ[アエロジルR972、日本アエロジル(株)製]を1部添加し、周速を15m/secとして30秒混合、1分間休止を5サイクル行い、トナー(Ts1)を得た。
トナー用樹脂組成物(D-1)に代えて(D-2)~(D-13)及び(D’-1)~(D’-5)を用いること以外は上記と同様の手順でそれぞれ[油相s2]~[油相s17]を得て、表6及び表7に記載の組成でトナー(Ts2)~(Ts13)及び(Ts’1)~(Ts’5)を得た。
・混練
トナー用樹脂組成物(D-14)85部、着色剤としてカーボンブラック[MA-100、三菱ケミカル(株)製]6部、離型剤のカルナウバワックス4部、荷電制御剤[T-77、保土谷化学工業(株)製]4部を下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて各々の原料を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM-30]で混練した。
・粉砕、分級
ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製 LJ型]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS-I]で分級し、着色ポリマー粒子(Cf1)を得た。
・外添処理
ついで、着色ポリマー粒子(Cf1)100部に流動化剤として疎水性シリカ[アエロジルR972、日本アエロジル(株)製]1部をサンプルミルにて混合して、トナー(Tf1)を得た。
以下に得られたトナーの低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cm2の条件で通した時の最低定着温度(MFT)とホットオフセット温度を測定した。MFTが低いほど、低温定着性に優れることを意味する。この評価条件では、MFTは一般には115℃以下であることが好ましい。
荷重(感光体とスリーブ部にかかる圧力)下での耐熱保存性(トナーのブロッキング)を評価するため次の方法で評価を行った。市販レーザープリンタ(LP-1400;セイコーエプソン製)を改造してA4ベタ画像を現像した後、現像ユニットごと取外し、50℃、湿度70%で24hr保管した後、感光体表面の一部をエアブローして残存したトナーの付着状態を目視確認し、再びマシンに戻したのち、再度現像して得た画像を目視評価した。
[判定基準]
◎:感光体上へのトナーの付着は見られず、再度現像を行っても画像不良なし
○:感光体上へのトナーの付着が見られ、再度現像を行うと1枚目にムラが見られ、2枚目以降は画像不良なし
×:感光体面にトナーの付着が見られ、現像を行うと画像ムラが発生し続け改善せず
上記低温定着評価の際に作成した定着画像を用いて、画像部と非画像部及び画像部とが重なりあうように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重しを載せ、55℃湿度50%の高温高湿槽で24時間放置した。放置後、重ねた2枚の定着画像の画像欠陥の程度を目視で判断し、下記の基準でドキュメントオフセット性(連続印刷した際の紙の耐ブロッキング性)を評価した。
ランク3、4では実用に耐えるレベルであるため合格とし、ランク2、1は不合格と判断した。
[評価基準(ランク)]
4:画像部、非画像部ともに全く画像移行が見られない。
3:画像部には白抜けは見られない。非画像部にわずかに画像移行が見られる。
2:画像部に白抜けがみられ、非画像部にも画像移行が見られる。
1:重ねた2枚のプリント物が接着したため剥がれなくなっていて、無理やり剥がすと紙の表層ごと剥がれて画像欠損が激しい。
一方、比較例1~5に係るトナーは、いくつかの性能項目が不良であった。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として好適である。
Claims (1)
- ポリマー(A)を含有するトナー用樹脂組成物であって、ポリマー(A)が、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物の重合体であり、
単量体(a)が、炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、
単量体(b)が単量体(a)以外の単量体であって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが次の関係式(1)を満たし、ビニル基を有する単量体であり、ポリマー(A)を構成する単量体(a)の重量割合が前記単量体組成物の合計重量を基準として10~80重量%であり、ポリマー(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)が45~85℃であるトナー用樹脂組成物。
関係式(1):{(dP)2+(dH)2}0.5≧8.3
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019126092 | 2019-07-05 | ||
JP2019126092 | 2019-07-05 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021012364A JP2021012364A (ja) | 2021-02-04 |
JP7110277B2 true JP7110277B2 (ja) | 2022-08-01 |
Family
ID=74226613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020109619A Active JP7110277B2 (ja) | 2019-07-05 | 2020-06-25 | トナー用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7110277B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001134021A (ja) | 1999-11-08 | 2001-05-18 | Toagosei Co Ltd | 静電写真用液体現像剤 |
JP2015127805A (ja) | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2016218237A (ja) | 2015-05-20 | 2016-12-22 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2015127806A5 (ja) | 2014-11-26 | 2017-12-21 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2787792B2 (ja) * | 1992-01-30 | 1998-08-20 | 富士写真フイルム株式会社 | 静電写真用液体現像剤 |
JP6410579B2 (ja) | 2013-11-29 | 2018-10-24 | キヤノン株式会社 | トナー |
-
2020
- 2020-06-25 JP JP2020109619A patent/JP7110277B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001134021A (ja) | 1999-11-08 | 2001-05-18 | Toagosei Co Ltd | 静電写真用液体現像剤 |
JP2015127805A (ja) | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2015127806A5 (ja) | 2014-11-26 | 2017-12-21 | ||
JP2016218237A (ja) | 2015-05-20 | 2016-12-22 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021012364A (ja) | 2021-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6942886B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6948359B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6965296B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7256679B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP2019109535A (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP7195707B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP2020101789A (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP7110277B2 (ja) | トナー用樹脂組成物 | |
JP7300309B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP2010266904A (ja) | トナー用樹脂 | |
JP7132979B2 (ja) | トナー用ポリエステル樹脂及びトナーの製造方法 | |
JP6781850B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP7295695B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6818162B2 (ja) | 樹脂粒子及びトナーの製造方法 | |
JP2011008191A (ja) | トナー用樹脂組成物およびトナー組成物 | |
JP7295696B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6826576B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP7463481B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP2020008816A (ja) | トナー用結着樹脂組成物 | |
JP7430062B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP7488868B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7202349B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7174098B2 (ja) | トナーバインダーの製造方法 | |
JP7221130B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6814779B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210406 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220114 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220208 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220316 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220715 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220720 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7110277 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |