JP7110277B2 - トナー用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー用樹脂組成物に関する。
電子写真装置に用いられるトナーは、起動時間短縮や高速印刷といったニーズに加え、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、低温定着性の向上が強く求められている。
トナーの定着温度を低くする手段として、結晶性樹脂をトナー用樹脂組成物として用いる方法などが知られており、ホットオフセット性との両立を図るために結晶性樹脂と非晶性樹脂を併用する方法(特許文献1、2)や、結晶性ポリエステルと非晶性樹脂とのブロックポリマーを使用する方法(特許文献3~6)などが開示されている。しかしながら連続での大量の両面印刷を行った場合や製本により、複数枚の紙面が重なりかつ印刷面同士が接する場合、放熱が間に合わず印刷物の束が蓄熱する。そのため定着後のトナー層の冷却速度が遅くなり、特に結晶性樹脂を使用している場合はトナー層が十分な弾性まで上がらないため、ドキュメントオフセットが発生しやすいという問題があり、低温定着性を優先するとドキュメントオフセットが生じるという問題がある。
また一方で、結晶性樹脂を使用しないトナー用樹脂組成物であっても低温定着性を向上させるため、ガラス転移点の低いポリマーを使用する場合には、このようなドキュメントオフセットが生じる。これを防ぐ方法として、ガラス転移点の低いポリマーとガラス転移点の高いポリマーをブロックポリマーにする方法(特許文献7)などが開示されている。しかしながら、この方法は結晶性樹脂を使用しないため結晶性樹脂を使用した場合に比べて低温定着性が不充分である。また、ガラス転移点の低いポリマーを使いつつ低温定着性と保存性を両立するためにブロックポリマー化する場合は、アニオン重合などの特殊な重合法を用いたプロセスや特殊な試薬の使用が必要であることが示されており、これらの工程は工業化時の課題となる。また、通常の耐熱保存性には問題はないが、ガラス転移点の低い部位のミクロな変形に起因すると推定される荷重がかかる条件下での耐熱保存性は未だ不充分である。
特開2007-147927号公報 特開2004-197051号公報 特開2012-27212号公報 特開2012-42939号公報 特開2012-42940号公報 特開2012-42941号公報 特開2013-97361号公報
本発明は、低温定着性と荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性に優れるトナーに適用しうるトナー用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリマー(A)を含有するトナー用樹脂組成物であって、ポリマー(A)が、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物の重合体であり、
単量体(a)が、炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、
単量体(b)が単量体(a)以外の単量体であって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが次の関係式(1)を満たし、ビニル基を有する単量体であり、ポリマー(A)を構成する単量体(a)の重量割合が前記単量体組成物の合計重量を基準として10~80重量%であり、ポリマー(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)が45~85℃であるトナー用樹脂組成物である。
関係式(1):{(dP)+(dH)0.5≧8.3
本発明により、低温定着性と荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性に優れるトナーに適用しうるトナー用樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナー用樹脂組成物は、ポリマー(A)を含有するトナー用樹脂組成物である。ポリマー(A)は、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物の重合体であり、単量体(a)が炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、単量体(b)が単量体(a)以外の単量体であって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが上記の関係式(1)を満たし、ビニル基を有する単量体である。
単量体(a)は、炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gである。詳細は定かではないが上記を満たすことで炭素数18~36の鎖状炭化水素基がポリマー(A)中に密に存在し、他の成分と相分離し易くなり、結晶化が促進され、トナー用樹脂組成物に用いた際に、耐熱保存性及び耐ドキュメントオフセット性に優れるトナーを得ることができると考えられる。単量体(a)は上記を満たす単量体であればどのような単量体でもよいが、低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から、炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び/又は炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有するビニルエステルから誘導される単量体であることが好ましい。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。また、単量体(a)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[例えばオクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、ミリシル(メタ)アクリレート及びドトリアコンタ(メタ)アクリレート等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有するビニルエステルとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有するビニルエステル[例えば、ステアリン酸ビニル、ベヘン酸ビニル、トリアコンタン酸ビニル及びヘキサトリアコンタン酸ビニル等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有するビニルエステル等が挙げられる。上記単量体は2種以上を併用してもよい。
これらの内、低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から好ましくは炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは、18~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは20~24の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、最も好ましいのはアラキジルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートである。
炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び/又は炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有するビニルエステルから誘導される単量体を合成する場合は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記単量体以外のものを反応させてもよい。例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、n-ブチルアクリレート、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられる。
単量体(a)を構成する炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び/又は炭素数18~36の鎖状炭化水素基を有するビニルエステルの重量割合は、単量体(a)の重量を基準として、低温定着性の観点から、80~100重量%であることが好ましい。
上記単量体を用いて得られた反応物の末端にビニル基をもたせる方法としては、例えば、以下の(1)及び(2)の方法が挙げられる。
(1)α-メチルスチレンダイマーを連鎖移動剤として用いて上記単量体をラジカル重合し、得られたポリマーの末端にα-メチルスチレンダイマー由来のビニル基をもたせる方法。
(2)末端に水酸基を有する重合開始剤(例えば、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等)を用いて上記単量体をラジカル重合し、得られたポリマーの開始剤由来の末端水酸基と塩化アクリルとを反応させビニル基をもたせる方法。
本発明における単量体(a)中の二重結合量は、低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から、単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、好ましくは0.10~0.33ミリモル/gである。二重結合量が0.045ミリモル/g以上であると低温定着性が良好となり、1.0ミリモル/g以下であると荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性が良好となる。単量体(a)中の二重結合量は、単量体(a)の重量平均分子量を1,000~22,000の範囲とすることで達成が容易となる。
本発明における単量体(a)の重量平均分子量は、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは1,000~22,000、より好ましくは3,000~10,000である。
単量体(b)は、単量体(a)以外の単量体であり、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが関係式(1)を満たす単量体である。詳細は定かではないが上記を満たすことでポリマー(A)を構成する単量体(a)と単量体(b)に極性差が生じ、炭素数18~36の鎖状炭化水素基がポリマー(A)中に密に存在し、他の成分と相分離し易くなり、結晶化が促進され、トナー用樹脂組成物に用いた際に、荷重下での耐熱保存性及び耐ドキュメントオフセット性に優れるトナーを得ることができると考えられる。
関係式(1):{(dP)+(dH)0.5≧8.3
好ましくは関係式(1-2)を満たすものであり、特に好ましくは関係式(1-3)を満たすものである。
関係式(1-2):14.5≧{(dP)+(dH)0.5≧10.3
関係式(1-3):12.8≧{(dP)+(dH)0.5≧10.3
ハンセン溶解度パラメータとは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH)の3成分に分割し、3次元空間に表したものである(単位は(cal/cm0.5)。分散項(dD)は分散力による効果、極性項(dP)は双極子間力による効果、水素結合項(dH)は水素結合力による効果を示す。
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算はCharles M.Hansen著「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピュータソフトウェア「HSPiP4.1.0」中のY-BM法を用いることにより、文献にパラメータ値の記載がない単量体に関しても、その化学構造からハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明では、文献にパラメータ値の記載がある単量体については、その値を用い、文献にパラメータ値の記載がない単量体に関しては、HSPiPを用いて推算したパラメータ値を用いる。
ハンセン溶解度パラメータを調整する方法としては、官能基の変更等が挙げられる。ニトリル基、エステル基等の双極子モーメントの高い官能基を含む単量体(b)や、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の水素結合性を有する官能基を含む単量体(b)を選択することで、dPやdHのパラメータを大きくすることができる。
単量体(b)は、単量体(a)以外の単量体で関係式(1)を満たす単量体であればどのような単量体でも構わないが、例えば、炭素数1~3の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートのうち前記関係式(1)を満たすもの(b1)、炭素数1~3の炭化水素基を有するビニルエステルのうち前記関係式(1)を満たすもの(b2)、アミンと(メタ)アクリル酸とのアミドのうち前記関係式(1)を満たすもの(b3)、ニトリル基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b4)、ラクタムと重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b5)、複素環式アミンと重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b6)、カルボキシル基と重合性二重結合を有する化合物 のうち前記関係式(1)を満たすもの(b7)、ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b8)、アルデヒド基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b9)、ウレタン基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b10)、ウレア基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b11)、及びエーテル基と重合性二重結合を有する化合物のうち前記関係式(1)を満たすもの(b12)等が挙げられる。単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
炭素数1~3の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b1)としては、アクリル酸メチル[関係式(1)左辺{(dP)+(dH)0.5の計算値は15.4(以下、同様に[ ]内は関係式(1)左辺の計算値である)]、アクリル酸エチル[9.0]、アクリル酸プロピル[8.3]、メタクリル酸メチル[8.5]等が挙げられる。
炭素数1~3の炭化水素基を有するビニルエステル(b2)としては、酢酸ビニル[9.9]、プロピオン酸ビニル[9.3]等が挙げられる。
アミンと(メタ)アクリル酸とのアミド(b3)としては、アンモニア又は炭素数1~8のアミンとアクリル酸又はメタクリル酸とを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
ニトリル基と重合性二重結合を有する化合物(b4)としては、アクリロニトリル[14.5]、メタクリロニトリル[12.8]、4-ペンテンニトリル[12.2]、5-ヘキセンニトリル[11.3]及びα-クロロアクリロニトリル[14.2]等が挙げられる。
ラクタムと重合性二重結合を有する化合物(b5)としては、N-ビニルピロリドン[10.2]、N-ビニル-3-メチルピロリドン[9.9]、N-ビニル-5-メチルピロリドン[17.7]、N-ビニルピペリドン[9.7]、N-ビニル-4-メチルピペリドン[9.2]、N-ビニル-カプロラクタム[9.0]及びN-ビニル-2-ピロリドン[11.8]等が挙げられる。
複素環式アミンと重合性二重結合を有する化合物(b6)としては、N-ビニルモルホリン[8.3]等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する化合物(b7)としては、アクリル酸[17.9]、メタクリル酸[12.3]、クロトン酸[16.0]、(無水)マレイン酸[17.9]、2-プロペン酸[11.9]、3-ブテン酸[15.8]、4-ペンテン酸[14.3]、5-ヘキセン酸[13.2]、6-ヘプテン酸[12.2]、7-オクテン酸[11.1]、8-ノネン酸[10.2]、9-デセン酸[9.8]、10-ウンデセン酸[8.9]等が挙げられる。
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する化合物(b8)としては、アクリル酸ヒドロキシエチル[18.8]、メタクリル酸ヒドロキシエチル[15.4]、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[15.9]、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[13.6]等が挙げられる。
アルデヒド基と重合性二重結合を有する化合物(b9)としては、アクロレイン[13.7]等が挙げられる。
ウレタン基と重合性二重結合を有する化合物(b10)としては、エチレン性不飽和結合を有するアルコールと、イソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体、及びアルコールと、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体であり、例えばメタノールと2-イソシアナトエチルメタクリレートの反応物[13.0]等が挙げられる。
ウレア基と重合性二重結合を有する化合物(b11)としては、エチレン性不飽和結合を有するアミンと、イソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体、及びアミンと、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体であり、例えばジブチルアミンと2-イソシアナトエチルメタクリレートの反応物[11.0]等が挙げられる。
エーテル基と重合性二重結合を有する(メタ)アクリレート(b12)としては、メタクリル酸グリシジル[10.3]等が挙げられる。
上記単量体(b)のうちドキュメントオフセット性及び荷重下での耐熱保存性の観点から好ましくは、(b1)、(b2)、(b4)~(b10)及び(b12)であり、より好ましくは、アクリル酸メチル[15.4]、アクリロニトリル[14.5]、メタクリロニトリル[12.8]、酢酸ビニル[9.9]、アクリル酸ヒドロキシエチル[18.8]、メタクリル酸ヒドロキシエチル[15.4]、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[15.9]、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[13.6]、アクリル酸[17.9]、メタクリル酸[12.3]、無水マレイン酸[17.9]、プロピオン酸ビニル[9.3]、N-ビニルモルホリン[8.3]、メタノールと2-イソシアナトエチルメタクリレートの反応物[13.0]、(メタ)アクリルアミド[17.6]、N-ビニルピロリドン[10.2]、アクロレイン[13.7]及びメタクリル酸グリシジル[10.3]であり、さらに好ましくはアクリル酸メチル[15.4]、アクリロニトリル[14.5]、メタクリロニトリル[12.8]、酢酸ビニル[9.9]、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[15.9]、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル[13.6]、アクリル酸[17.9]、メタクリル酸[12.3]、無水マレイン酸[17.9]、プロピオン酸ビニル[9.3]、N-ビニルモルホリン[8.3]、メタノールと2-イソシアナトエチルメタクリレートの反応物[13.0]、(メタ)アクリルアミド[17.6]、N-ビニルピロリドン[10.2]、アクロレイン[13.7]及びメタクリル酸グリシジル[10.3]である。
ポリマー(A)は構成単量体として前記単量体(a)及び単量体(b)以外に、(a)及び(b)以外の単量体(c)を含んでもよい。単量体(c)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(c)としては、単量体(a)、単量体(b)以外の単量体であれば特に制限はないが、スチレン及びアルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン(例えばα-メチルスチレン及びp-メチルスチレン等)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル等が挙げられる。これらのうちトナーとしたときの保存安定性の観点から好ましくはスチレンである。
ポリマー(A)を構成する単量体(a)の重量割合は、上記単量体組成物の合計重量を基準として、低温定着性及び荷重下での耐熱保存性の観点から、好ましくは10~80重量%である。より好ましくは10~50重量%である。単量体(a)の重量割合が10重量%以上であると低温定着性が良好となり、80重量%以下であると荷重下での耐熱保存性が良好となる。
ポリマー(A)を構成する単量体(b)の重量割合は、上記単量体組成物の合計重量を基準として、低温定着性や耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは20~90重量%であり、より好ましくは50~90重量%である。
ポリマー(A)を構成する単量体中に単量体(c)を含む場合、単量体(c)の重量割合は、上記単量体組成物の合計重量を基準として、荷重下での耐熱保存性の観点から、好ましくは36重量%以下である。
本発明におけるポリマー(A)は、単量体(a)及び単量体(b)と必要により用いる単量体(c)を含有する単量体組成物を公知の方法(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合及びリビングカチオン重合等)で重合することで製造できる。例えば、特開平5-117330号公報に記載の方法(前記単量体を溶媒(トルエン等)中でラジカル開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)とともに反応させ溶液重合法により合成する方法)等が挙げられる。
本発明におけるポリマー(A)の重量平均分子量は、荷重下での耐熱保存性の観点から、好ましくは5,000~3,000,000、より好ましくは30,000~400,000である。ポリマー(A)の重量平均分子量は、重合温度、ラジカル重合開始剤量、連鎖移動剤などで調整できる。
本発明におけるポリマー(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)は、低温定着性及び荷重下での耐熱保存性の観点から、好ましくは40~100℃であり、より好ましくは45~85℃、特に好ましくは50~70℃である。吸熱ピークのピークトップ温度が40℃以上の場合は荷重下での耐熱保存性が良好となり、100℃以下の場合は低温定着性が良好となる。
本発明のトナー用樹脂組成物は、ポリマー(A)以外の樹脂として公知であるその他の樹脂を含有してもよい。
また、本発明のトナー用樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記のポリマー(A)の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
その他の樹脂としては、例えばポリエステル樹脂(B)、(A)を除くビニル樹脂(C)等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリエステル樹脂(B)は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体であるポリエステル樹脂であればその樹脂の組成は特に限定されず、ビニル樹脂(C)は、例えば、スチレン単独の重合体、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、スチレン単独の重合体とポリエステル樹脂(B)とを結合した樹脂及びスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体とポリエステル樹脂(B)とを結合した樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分(x)としては、モノアルコール、ジオール及び3価以上の価数のポリオール等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
モノアルコールとしては、炭素数1~30の直鎖又は分岐アルキルアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコール等)等が挙げられる。
ジオールとしては、炭素数2~12のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール)、炭素数4~36のアルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、炭素数4~36の脂環式ジオール(例えば1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1~30)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2~30)、ポリラクトンジオール(ポリε-カプロラクトンジオール等)及びポリブタジエンジオール等が挙げられる。
3価以上の価数のポリオールとしては、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン及びポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えばショ糖及びメチルグルコシド等)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(AO単位の数として好ましくは2~30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等)のAO付加物(AO単位の数として好ましくは2~30)及びアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物等]等が挙げられる。
(x)のうち低温定着性、荷重下での耐熱保存性の観点で、好ましくはビスフェノール類のAO付加物(付加モル数2~3)、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールである。
ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分(y)としてはモノカルボン酸、ジカルボン酸、3価以上の価数のポリカルボン酸及びこれらの酸の無水物や低級アルキル(炭素数1~4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
モノカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)7~37の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、4-エチル安息香酸、4-プロピル安息香酸等)、炭素数2~50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等)等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数2~50のアルカンジカルボン酸{鎖状飽和炭化水素基の両末端にカルボキシル基を有するアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、鎖状飽和炭化水素基の末端以外にカルボキシル基を有するアルカンジカルボン酸(デシルコハク酸等)}、炭素数4~50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸等)、炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。
3価以上の価数のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6~36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)及び不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(Mn):450~10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
(y)のうち低温定着性及び荷重下での耐熱保存性の観点で、好ましくは炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸等)、2~50のアルカンジカルボン酸(アジピン酸等)、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)及びこれらの組合せである。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルであってもよい。
ポリエステル樹脂(B)は公知のポリエステルと同様にして製造することができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150~280℃、より好ましくは160~250℃、さらに好ましくは170~235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2~40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
重合触媒としては、反応性と環境保護の点から、チタン、アンチモン、ジルコニウム、ニッケル及びアルミニウムから選ばれる一種以上の金属を含有する重合触媒を用いるのが好ましく、チタン含有触媒を用いるのが更に好ましい。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006-243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕及び特開2007-11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム及びアルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
触媒の添加量は、反応速度が最大になるように適宜決定することが望ましい。添加量としては、全原料に対し、好ましくは10ppm~19000ppm、更に好ましくは100ppm~17000ppmである。添加量を10ppm以上とすることで反応速度が大きくなる点で好ましい。
アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)の仕込み比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは1/2~2/1、より好ましくは1/1.3~1.5/1、さらに好ましくは1/1.2~1.4/1である。上記水酸基は、アルコール成分(y)由来の水酸基であり、カルボキシル基は、カルボン酸成分(z)由来のカルボキシル基の合計である。
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点は、好ましくは45~80℃であり、より好ましくは50~80℃である。ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点は重量平均分子量、アルコール成分(x)、カルボン酸成分(y)の構造、組成比等で調整可能であり、エステル基濃度や芳香環濃度など、調整因子は一般的に知られている方法を用いることができる。
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点が、45℃以上であると荷重下での耐熱保存性が良好であり、80℃以下であると低温定着性が良好である。
ポリエステル樹脂(B)の軟化点は、荷重下の耐熱保存性の観点から好ましくは90~144℃であり、より好ましくは95~130℃であり、さらに好ましくは95~120℃である。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量は、低温定着性の観点から、好ましくは2,000~50,000である。
ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは4,000~100,000である。
ポリエステル樹脂(B)の酸価は、好ましくは1~30mgKOH/gであり、より好ましくは1~25mgKOH/gであり、さらに好ましくは1~20mgKOH/gである。
本発明のトナー用樹脂組成物は、ポリマー(A)を含有する。ポリマー(A)はトナーバインダー、分散剤、定着助剤として用いることができる。ポリマー(A)を分散剤及び定着助剤として用いる場合は、ポリマー(A)以外の樹脂として公知であるその他の樹脂をトナーバインダーとして用いてもよい。
ポリマー(A)をトナーバインダーとして用いる場合は、低温定着性と荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の観点から、トナー用樹脂組成物の合計重量を基準としてポリマー(A)の含有率が60重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90~100重量%である。また、トナー用樹脂組成物の合計重量を基準としてその他の樹脂の含有率が0~40重量%であることが好ましく、より好ましくは0~30重量%、さらに好ましくは0~20重量%、特に好ましくは0~10重量%である。
ポリマー(A)を分散剤及び定着助剤として用いる場合は、トナー用樹脂組成物の合計重量を基準としてトナー用樹脂組成物の合計重量を基準としてポリマー(A)の含有率が1~40重量%であることが好ましく、より好ましくは1~30重量%、さらに好ましくは1~20重量%、特に好ましくは1~10重量%である。また、その他の樹脂の含有率が60~99重量%であることが好ましく、より好ましくは70~99重量%、さらに好ましくは80~99重量%、特に好ましくは90~99重量%である。
本発明のトナー用樹脂組成物は、ポリマー(A)と上記のその他の樹脂等とを、単に公知の機械的混合方法を用いることによって均一混合することで製造する方法、及び(A)と上記のその他の樹脂等とを、溶剤中に同時に溶解して均一化し、その後溶剤を除去することで製造する方法等で得ることができる。
機械的混合方法において、粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられ、溶融混合する場合の混合装置としては、二軸混練機、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
機械的混合方法を用いる場合の混合時の温度としては、50~200℃であることが好ましい。また、混合時間としては、0.5~24時間であることが好ましい。
溶剤に溶解する方法を用いる場合は、溶剤としては特に制限はなく、トナー用樹脂組成物を構成する全ての重合体を好適に溶解するものであればよい(トルエン及びアセトン等)。
溶剤を除去する時の温度は50~200℃であることが好ましいく、必要に応じて減圧や排風することで溶剤の除去を促進することができる。
本発明のトナー用樹脂組成物をトナーとして用いる場合は、必要により着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、ピグメントレッド、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、ピグメントイエロー、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。着色剤は、これらのいずれか単独であってもよく、2種以上が混合されたものであってもよい。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末又はマグネタイト、ヘマタイト及びフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナー用樹脂組成物100部に対して、好ましくは1~40部、より好ましくは3~10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、トナー用樹脂組成物100部に対して、好ましくは20~150部、より好ましくは40~120部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、エステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-ドデセン、1-オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及びそれをさらに熱減成して得られるものを含む]、(例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体)、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[マレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物等]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHi-Mic-2095、Hi-Mic-1090、Hi-Mic-1080、Hi-Mic-1070、Hi-Mic-2065、Hi-Mic-1045、Hi-Mic-2045等が挙げられる。
パラフィンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のParaffin WAX-155、Paraffin WAX-150、Paraffin WAX-145、Paraffin WAX-140、Paraffin WAX-135、HNP-3、HNP-5、HNP-9、HNP-10、HNP-11、HNP-12、HNP-51等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社製のSasolwax C80等が挙げられる。
カルナバワックスとしては、株式会社加藤洋行社製の精製カルナウバワックス 特製1号等が挙げられる。
エステルワックスとしては、脂肪酸エステルワックス(例えば、日油社製のニッサンエレクトールWEP-2、WEP-3、WEP-4、WEP-5及びWEP-8等)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数30~50の脂肪族アルコールなどであり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数30~50の脂肪酸などであり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、三菱ケミカル社製のダイヤミッドY、ダイヤミッド200等が挙げられる。
上記の中では低温定着性の観点から好ましくは、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス及びエステルワックスが好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよく、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有重合体、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有重合体、含フッ素系重合体及びハロゲン置換芳香環含有重合体等が挙げられる。
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、炭酸カルシウム、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。トナーの帯電性の観点からシリカが好ましい。また、シリカは、トナーの転写性の観点から疎水性シリカであることが好ましい。
トナー中のトナー用樹脂組成物の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは30~97重量%、より好ましくは40~95重量%、さらに好ましくは45~92重量%である。着色剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0.05~60重量%、より好ましくは0.1~55重量%、さらに好ましくは0.5~50重量%である。離型剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%である。荷電制御剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.5~7.5重量%である。流動化剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~10重量%、より好ましくは0~5重量%、さらに好ましくは0.1~4重量%である。また、着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤の合計含有量は、好ましくは3~70重量%、より好ましくは4~58重量%、さらに好ましくは5~50重量%である。トナーの組成比率が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー用樹脂組成物をトナーとして用いる場合のトナーの製造方法は特に限定されず、混練粉砕法、乳化転相法、乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法及び乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。
これらの製造方法のうち、生産性の観点から混練粉砕法及び溶解懸濁法が好ましい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分をヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等で乾式ブレンドした後、二軸混練機、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等の連続式の混合装置で溶融混練し、その後ミル機等で粗粉砕し、最終的に気流式微粉砕機(例えば、超音速ジェット粉砕機等)等を用いて微粒子化して、さらに気流分級機等の分級機で粒度分布を調整することにより、トナー粒子[好ましくは体積平均粒径(D50)が5~20μmの粒子]とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3~15μmが好ましい。
乳化重合法及び懸濁重合法は、公知の方法[特公昭36-10231号公報、特公昭47-518305号公報、特公昭51-14895号公報等に記載の方法]を用いることができる。
溶解懸濁法及び乳化凝集法は、公知の方法[特許第3596104号公報、特許第3492748号公報等に記載の方法]を用いることができる。
本発明のトナー用樹脂組成物に用いられるトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル重合体、及びシリコーン重合体等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、1/99~100/0である。また、キャリアー粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー用樹脂組成物を含有するトナーは、電子写真用トナーとして複写機及びプリンター等により支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
本発明のトナー組成物は電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に好ましく用いることができる。更に好ましくは、フルカラー用の静電荷像又は磁気潜像の現像に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は重量部を示す。
単量体(a)、ポリマー(A)、その他の樹脂及びトナー等の各物性値については次の方法により測定した。
<数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)>
試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : HLC-8120〔東ソー(株)製〕
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度: 40℃
試料溶液: 0.25重量%のTHF溶液(不溶解分を孔径1μmのPTFEフィルターでろ過したものを用いる)
移動相 :テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
溶液注入量: 100μL
検出装置: 屈折率検出器
基準物質: 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)〔東ソー(株)製〕
<単量体(a)中の二重結合量>
単量体(a)中の二重結合量は核磁気共鳴分光分析(プロトンNMR)により求めた1分子あたりの重合性官能基数とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた数平均分子量(Mn)を用いて下記式より求めた。
単量体(a)中の二重結合量=[単量体(a)1分子あたりの重合性官能基数]×1000/[単量体(a)の数平均分子量(Mn)]
<サンプル調整方法>
NMRチューブにサンプルを10mgはかりとり、重水素化溶媒(重クロロホルム)を0.45mL加えサンプルを溶解させた。
<測定条件>
核磁気共鳴分光分析(プロトンNMR)
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
測定周波数:400MHz
パルス条件: 5μs
積算回数: 16回
得られたスペクトルの積分値より、重合性官能基1つあたりに対する単量体の構成比を求めた。単量体の構成比と単量体の分子量から、NMRによる数平均分子量を算出し、GPCによる数平均分子量をNMRによる数平均分子量で割ることで単量体(a)1分子あたりの重合性官能基数を算出した。
[測定方法]
<吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)>
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて-20℃まで冷却し、-20℃から20℃/分の条件で120℃まで第1回目の昇温を行った後10分間120℃保持を行い、続いて120℃から20℃/分の条件で-20℃まで冷却し、続いて-20℃から20℃/分の条件で120℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を吸熱ピークのピークトップ温度とした。
<ガラス転移温度>
示差走査熱量計(TA Instruments(株)製、DSC Q20)を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定した。
ガラス転移温度の測定条件は以下の通り
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で-35℃まで冷却
(4)-35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析しガラス転移温度を求めた。
<軟化点>
フローテスター{(株)島津製作所製、CFT-500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とした。
<酸価>
JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、酸価の測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)、水酸基価の測定溶媒はTHFとした。
<製造例1> [単量体(a-1)の合成]
オートクレーブにトルエン500部、ベヘニルアクリレート[日油(株)製、以下同様]460部、α-メチルスチレンダイマー[関東化学(株)製、以下同様]38部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で85℃まで昇温した。2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)[富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]4部をオートクレーブ内に仕込んだ。85℃で4時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製し、白色固体の単量体(a-1)を得た。単量体(a-1)中の二重結合量は0.23ミリモル/gであった。
<製造例2> [単量体(a-2)の合成]
オートクレーブにジメチルホルムアミド750部、ベヘニルアクリレート250部、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド][富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]2部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で130℃まで昇温し、3時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン2.5部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で1.8部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-2)を得た。単量体(a-2)中の二重結合量は0.17ミリモル/gであった。
<製造例3> [単量体(a-3)の合成]
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート206部、ステアリルアクリレート44部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-3)を得た。単量体(a-3)中の二重結合量は0.17ミリモル/gであった。
<製造例4> [単量体(a-4)の合成]
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート224部、スチレン26部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-4)を得た。単量体(a-4)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
<製造例5> [単量体(a-5)の合成]
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、ベヘニルアクリレート226部、アクリロニトリル24部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-5)を得た。単量体(a-5)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
<製造例6> [単量体(a-6)の合成]
オートクレーブにジメチルホルムアミド850部、ベヘニルアクリレート150部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]15部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン11.7部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で9.5部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-6)を得た。単量体(a-6)中の二重結合量は0.95ミリモル/gであった。
<製造例7> [単量体(a-7)の合成]
オートクレーブにジメチルホルムアミド500部、ベヘニルアクリレート500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]1.25部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン0.55部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で0.45部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a-7)を得た。単量体(a-7)中の二重結合量は0.046ミリモル/gであった。
<製造例8> [単量体(a-8)の合成]
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、リグノセリルアクリレート265部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a-8)を得た。単量体(a-8)中の二重結合量は0.15ミリモル/gであった。
<比較製造例1> [単量体(a’-1)の合成]
オートクレーブにジメチルホルムアミド500部、ベヘニルアクリレート500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温し、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]0.25部をジメチルホルムアミド50部に溶解した溶液を1時間かけて滴下を行った後、1時間反応を行って重合を完結させた。得られた溶液をメタノール沈殿法で精製して得た白色固体100部を、テトラヒドロフラン100部、トリエチルアミン0.23部を入れたガラス容器中に仕込んで溶解し、氷冷下で0.19部の塩化アクリル[関東化学(株)製、以下同様]を滴下して加え、2時間反応を行った。反応後の溶液をメタノール沈殿法で精製し白色固体の単量体(a’-1)を得た。単量体(a’-1)中の二重結合量は0.020ミリモル/gであった。
<比較製造例2> [単量体(a’-2)の合成]
製造例2のベヘニルアクリレート250部にかえて、パルミチルアクリレート250部とした以外は製造例2と同様にして単量体(a’-2)を得た。単量体(a’-2)中の二重結合量は0.16ミリモル/gであった。
<製造例9> [ポリマー(A-1)の製造]
オートクレーブにトルエン300部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。単量体(a-1)240部、スチレン360部、メタクリロニトリル240部、t-ブチルパーオキサイド-2-エチルヘキシルヘキサノエート[日油(株)製、以下同様]1.6部、及びトルエン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で1時間保ち重合を完結させた。冷却後にメタノール沈殿法で精製し、白色固体のポリマー(A-1)を得た。
<製造例10~21> [ポリマー(A-2)~(A-13)の製造]
単量体及び開始剤溶液を表1に記載の通り仕込んだ以外は製造例9と同様にしてポリマー(A-2)~(A-13)を得た。
<比較製造例3~7> [(A’-1)~(A’-5)の製造]
単量体及び開始剤溶液を表2に記載の通り仕込んだ以外は製造例9と同様にしてポリマー(A’-1)~(A’-5)を得た。
製造例9~21及び比較製造例3~7で得られたポリマー(A)及びポリマー(A’)の組成、計算値及び分析値を表1及び表2に示す。
Figure 0007110277000001
Figure 0007110277000002
<製造例22> [ポリエステル樹脂(B-1)の製造]
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物697部、テレフタル酸297部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、0.5~2.5kPaの減圧下220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させ、酸価が1mgKOH/g以下になった後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸10部を加え、1時間反応させたのち、スチールベルトクーラーを使用して非晶性ポリエステル樹脂(B-1)を得た。分析値を表3に示した。
Figure 0007110277000003
<実施例1~14及び比較実施例1~5>
製造例9~22と比較製造例3~7で得たポリマー(A-1)~(A-13)、(A’-1)~(A’-5)及びポリエステル樹脂(B-1)を表4及び表5の組成及び重量比でトナー用樹脂組成物(D-1)~(D-14)及び(D’-1)~(D’-5)とした。
Figure 0007110277000004
Figure 0007110277000005
[溶解懸濁法によるトナー(Ts1)の製造]
[微粒子分散液1の製造]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩[エレミノールRS-30、三洋化成工業社製]11部、ビニルベンゼン139部、メタクリル酸138部、アクリル酸ブチル184部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成してビニルポリマー(ビニルベンゼン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置[LA-920、株式会社堀場製作所製]で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
[ワックス分散液1の製造]
冷却管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、カルナウバワックス15部及び酢酸エチル85部を投入し、80℃に加熱して溶解し、1時間かけて30℃まで冷却し、カルナウバワックスを微粒子状に晶析させ、更に「ウルトラビスコミル」(アイメックス製)で湿式粉砕し[ワックス分散液1]を作製した。
[顔料マスターバッチの製造]
水1200部、カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、トナー用樹脂組成物(D-1)20部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を3本ロールを用いて90℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して顔料マスターバッチ[MB1]を得た。
[水相s1の製造]
撹拌棒をセットした容器に、水955部、[微粒子分散液1]15部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON7、三洋化成工業製)30部を投入し、乳白色の液体[水相s1]を得た。
[トナー(Ts1)の製造]
・粒子化
ビーカー内にトナー用樹脂組成物(D-1)191部、顔料マスターバッチ[MB1]25部、[ワックス分散液1]67部、酢酸エチル124部を投入して溶解・混合均一化し、[油相s1]を得た。この[油相s1]中に[水相s1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで減圧度-0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、水性着色重合体分散体(X1)を得た。
・分級
(X1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥した後に、分級機としてエルボジェット分級機[(株)マツボウ製、EJ-L-3(LABO)型]で、3.17μm以下の微粉が12個数%以下、8.0μm以上の粗粉が3体積%以下となるように、微粉及び粗粉を除去して着色重合体粒子[Cs1]を得た。
・外添処理
次に、得られた着色粉体の着色重合体粒子[Cs1]100部に対し、疎水性シリカ[アエロジルR972、日本アエロジル(株)製]を1部添加し、周速を15m/secとして30秒混合、1分間休止を5サイクル行い、トナー(Ts1)を得た。
<溶解懸濁法によるトナー(Ts2)~(Ts13)及び(Ts’1)~(Ts’5)の製造>
トナー用樹脂組成物(D-1)に代えて(D-2)~(D-13)及び(D’-1)~(D’-5)を用いること以外は上記と同様の手順でそれぞれ[油相s2]~[油相s17]を得て、表6及び表7に記載の組成でトナー(Ts2)~(Ts13)及び(Ts’1)~(Ts’5)を得た。
[混練粉砕法によるトナー(Tf1)の製造]
・混練
トナー用樹脂組成物(D-14)85部、着色剤としてカーボンブラック[MA-100、三菱ケミカル(株)製]6部、離型剤のカルナウバワックス4部、荷電制御剤[T-77、保土谷化学工業(株)製]4部を下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて各々の原料を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM-30]で混練した。
・粉砕、分級
ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製 LJ型]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS-I]で分級し、着色ポリマー粒子(Cf1)を得た。
・外添処理
ついで、着色ポリマー粒子(Cf1)100部に流動化剤として疎水性シリカ[アエロジルR972、日本アエロジル(株)製]1部をサンプルミルにて混合して、トナー(Tf1)を得た。
[評価方法]
以下に得られたトナーの低温定着性、荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cmの条件で通した時の最低定着温度(MFT)とホットオフセット温度を測定した。MFTが低いほど、低温定着性に優れることを意味する。この評価条件では、MFTは一般には115℃以下であることが好ましい。
<荷重下での耐熱保存性>
荷重(感光体とスリーブ部にかかる圧力)下での耐熱保存性(トナーのブロッキング)を評価するため次の方法で評価を行った。市販レーザープリンタ(LP-1400;セイコーエプソン製)を改造してA4ベタ画像を現像した後、現像ユニットごと取外し、50℃、湿度70%で24hr保管した後、感光体表面の一部をエアブローして残存したトナーの付着状態を目視確認し、再びマシンに戻したのち、再度現像して得た画像を目視評価した。
[判定基準]
◎:感光体上へのトナーの付着は見られず、再度現像を行っても画像不良なし
○:感光体上へのトナーの付着が見られ、再度現像を行うと1枚目にムラが見られ、2枚目以降は画像不良なし
×:感光体面にトナーの付着が見られ、現像を行うと画像ムラが発生し続け改善せず
<ドキュメントオフセット性>
上記低温定着評価の際に作成した定着画像を用いて、画像部と非画像部及び画像部とが重なりあうように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm相当になるように重しを載せ、55℃湿度50%の高温高湿槽で24時間放置した。放置後、重ねた2枚の定着画像の画像欠陥の程度を目視で判断し、下記の基準でドキュメントオフセット性(連続印刷した際の紙の耐ブロッキング性)を評価した。
ランク3、4では実用に耐えるレベルであるため合格とし、ランク2、1は不合格と判断した。
[評価基準(ランク)]
4:画像部、非画像部ともに全く画像移行が見られない。
3:画像部には白抜けは見られない。非画像部にわずかに画像移行が見られる。
2:画像部に白抜けがみられ、非画像部にも画像移行が見られる。
1:重ねた2枚のプリント物が接着したため剥がれなくなっていて、無理やり剥がすと紙の表層ごと剥がれて画像欠損が激しい。
上記の評価結果を表6、及び表7に示す。
Figure 0007110277000006
Figure 0007110277000007
表6及び表7の評価結果から明らかなように、実施例1~14に係るトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。
一方、比較例1~5に係るトナーは、いくつかの性能項目が不良であった。
本発明のトナー用樹脂組成物は、低温定着性と荷重下での耐熱保存性及びドキュメントオフセット性に優れ、電子写真、静電記録や静電印刷等に用いる、静電荷像現像用トナーとして好適に使用できる。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として好適である。

Claims (1)

  1. ポリマー(A)を含有するトナー用樹脂組成物であって、ポリマー(A)が、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物の重合体であり、
    単量体(a)が、炭素数18~36の鎖状炭化水素基とビニル基とを有する単量体であり、単量体(a)中の二重結合量が単量体(a)の重量に基づいて0.045~1.0ミリモル/gであり、
    単量体(b)が単量体(a)以外の単量体であって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項(dP)と水素結合項(dH)とが次の関係式(1)を満たし、ビニル基を有する単量体であり、ポリマー(A)を構成する単量体(a)の重量割合が前記単量体組成物の合計重量を基準として10~80重量%であり、ポリマー(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)が45~85℃であるトナー用樹脂組成物。
    関係式(1):{(dP)+(dH)0.5≧8.3
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