JP7221130B2 - トナーバインダー - Google Patents
トナーバインダー Download PDFInfo
- Publication number
- JP7221130B2 JP7221130B2 JP2019096149A JP2019096149A JP7221130B2 JP 7221130 B2 JP7221130 B2 JP 7221130B2 JP 2019096149 A JP2019096149 A JP 2019096149A JP 2019096149 A JP2019096149 A JP 2019096149A JP 7221130 B2 JP7221130 B2 JP 7221130B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acrylate
- acid
- carbon atoms
- parts
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Description
上述の適切な貯蔵弾性率変化を達成するために、従来のトナーバインダーでは、ポリエステルを主成分として用いている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、ポリエステルを主成分とするトナーバインダー及びこれを用いたトナーは、エチレン不飽和結合を有する単量体の付加重合物に比べて、吸湿を原因とする体積固有抵抗値の低下により帯電安定性が悪化するという問題がある。また、ポリエステルを主成分とするトナーバインダーを用いたケミカルトナーを製造する場合は、エチレン不飽和結合を有する単量体を用いる乳化重合や懸濁重合以外の、溶解懸濁法(例えば、特許文献3参照)や乳化凝集法(例えば、特許文献4参照)等の特殊な粒子化技術が必要となり製造コストがかかるという問題がある。
一方、ポリエステルの代わりに、従来のエチレン性不飽和結合を有する単量体の付加重合物を主成分として用いたトナーバインダーは、分子間凝集力がポリエステルに比べて小さいため、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立が困難である。
この課題解決のために、低分子量と高分子量の成分を併用する技術や(例えば、特許文献5参照)、高凝集力を持つ部位を構成単位に使用する技術(例えば、特許文献6参照)などが示されているが、いずれも定着温度範囲での貯蔵弾性率の上昇に伴い、低温定着性が不充分であるという問題がある。
そこで、エチレン不飽和結合を有する単量体の付加重合物のうち結晶性のアクリレート樹脂を用いることで低温定着性を向上できるとする技術(特許文献7~10など)が提案されている。
特許文献7では結晶性のアクリレート樹脂単独やスチレンとの共重合物を用いたトナーが示されている。結晶性のアクリレート樹脂単独では高い融点による保存性とシャープメルト性による低温定着性を達成できるが、高温弾性が不足するため、モノクロ用高速機などのニップ圧の高い定着機では耐ホットオフセット性が不足するという問題がある。
特許文献8、9では結晶性のアクリレート樹脂と架橋剤との組合せにより、上記の耐ホットオフセット性を解決しようとしているが、不溶成分の発生により水性媒体中への樹脂分散が困難になりケミカルトナーへの応用が難しく、粉砕トナーへの適用のみとなる事に加え、架橋による低温粘度が上昇する。そのため近年ますます求められるようになった低温定着性の要求を満たすことができない。
特許文献10では結晶性アクリレート樹脂を用いることで、クリアトナーのワックスによる質感のムラを抑える事に応用しているが、通常のトナーバインダーとして求められる低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができない。
すなわち本発明は、ビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、ビニル樹脂(A)が単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、単量体(a)が、鎖状炭化水素基を有し、鎖状炭化水素基の炭素数が18~36の(メタ)アクリレートであり、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、鎖状炭化水素基の炭素数が22の(メタ)アクリレート(a1)の重量割合が30~98.5重量%であり、鎖状炭化水素基の炭素数が20の(メタ)アクリレート(a2)の重量割合が0.1~20重量%であり、鎖状炭化水素基の炭素数が24の(メタ)アクリレート(a3)の重量割合が0.1~1重量%であるトナーバインダーである。
鎖状炭化水素基の炭素数が18~36の(メタ)アクリレートとしては、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、ミリシル(メタ)アクリレート及びドトリアコンチル(メタ)アクリレート等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらの内、(A)の結晶性やトナーの保存安定性の観点から好ましくは炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはオクタデシル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート及びリグノセリル(メタ)アクリレートであり、最も好ましいのはアラキジルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートである。
単量体(a)は少なくとも3種を併用しており、4種以上を併用しても良い。
炭素数1~30のイソシアネートとしては、モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t-ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6-ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロへキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート,水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソソアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
炭素数1~26のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t-ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール及びエルシルアルコール等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する炭素数1~30のイソシアネートとしては、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-[0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
なお、本明細書中、イソシアネート基を有する化合物及び構造における炭素数にはイソシアネート基(-NCO)に含まれる炭素数は含まない。
なお、本明細書中、カルボキシル基を有する化合物及び構造における炭素数には、カルボキシル基部分に含まれる炭素数は含まない。
なお、本明細書中、無水カルボン酸構造を有する単量体における炭素数には、カルボキシル基部分に由来する炭素数(2つ)は含まない。
まず、単量体(b2)~(b8)を得るための2つの化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物及び他方の化合物)のうち、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単量体(a)と反応させる。続いて、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合物に対して他方の化合物を反応させる。以上の手順によって、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合物」と「他方の化合物」とが結合してビニル樹脂(A)が得られる。この反応の際に、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と単量体(a)との重合物」と「他方の化合物」とが、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基又はビューレット基により結合されるため、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基をビニル樹脂(A)中に導入することができる。
上記方法の場合、ビニル樹脂(A)を構成する単量体として単量体(b2)~(b8)を用いているわけではないが、得られる化合物が同じであるため、便宜上、単量体(b2)~(b8)を用いたと表現する。
単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(c)としては、スチレン、アルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン(α-メチルスチレン及びp-メチルスチレン等)、アルキル基の炭素数が1~17のアルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレート等)及びエチレン性不飽和結合を有する炭素数2~22のアルコール(ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート及びビニルアルコール等)及びアルキル基の炭素数が1~17のアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート(ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、モノカルボン酸〔(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等が含まれ、好ましくは炭素数2~15のモノカルボン酸〕、ジカルボン酸〔(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等が含まれ、好ましくは炭素数2~15のジカルボン酸〕及びジカルボン酸モノエステル〔上記ジカルボン酸のモノアルキルエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル等が含まれ、好ましくは炭素数1~17のモノアルキル基)等〕等が挙げられる。
ビニルエステルモノマーとしては、脂肪族ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びイソプロペニルアセテート等が含まれ、好ましくは炭素数4~15の脂肪族ビニルエステル)、不飽和カルボン酸多価アルコールエステル〔エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が含まれ、好ましくは炭素数8~200の不飽和カルボン酸多価アルコールエステル〕及び芳香族ビニルエステル(メチル-4-ビニルベンゾエート等が含まれ、好ましくは炭素数9~15の芳香族ビニルエステル)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン及びオクテン等が含まれ、好ましくは炭素数2~10のオレフィン)及びジエン(ブタジエン、イソプレン、1,6-ヘキサジエン等が含まれ、好ましくは炭素数4~10のジエン)等が挙げられる。
これらのうち耐ホットオフセット性、保存安定性及び帯電安定性の観点から、好ましくはスチレン、アルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン、アルキル基の炭素数が1~17のアルキル(メタ)アクリレート及びカルボキシル基含有ビニルモノマーであり、特に好ましくはスチレン、メチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸である。また、これらを2種以上混合物してもよい。
装置(一例) : HLC-8120 〔東ソー(株)製〕
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をアパチャー1μmのPTFEフィルターでろ過したものを用いる)
移動相 :テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(重量平均分子量: 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)〔東ソー(株)製〕
Tmは(A)を構成する単量体の種類や構成比率(ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数を調整すること及び(A)を構成する単量体(a)の重量比率を調整する等)、重量平均分子量などで調整することができる。一般的には(a)の炭素数を増やす、(a)の重量比率を増やす、(A)の重量平均分子量を増やす等の方法によりTmを上げることができる。
<測定条件>
(1)30℃で10分間保持
(2)10℃/分で150℃まで昇温
(3)150℃で10分間保持
(4)10℃/分で0℃まで冷却
(5)0℃で10分間保持
(6)10℃/分で150℃まで昇温
(7)(6)の過程にて測定される示差走査熱量曲線の各吸熱ピークを解析する。
関係式(1-1):1.2≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
但し、計算値は小数点第2位を四捨五入して求めるものとする。
関係式(1-2):1.6≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
関係式(1-3):1.7≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.5
装置 :ARES-24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
ビニル樹脂(A)の酸価は、単量体の酸価及び酸価を有する単量体の含有量で調整できる。(A)の酸価は、例えばJIS K 0070などの方法で測定される。
また、本発明のトナーバインダーは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記のビニル樹脂(A)の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂(B1)はポリエステル(B11)を炭素-炭素結合により架橋した構造を有する樹脂であってもよい。ここで、炭素-炭素結合による架橋は、ポリエステル(B11)分子に含まれる炭素原子のうち少なくとも1つの炭素原子と、ポリエステル(B11)分子に含まれる他の炭素原子とが直接結合することにより形成される。ここでいうポリエステル(B11)は特に限定はなく、炭素-炭素結合による架橋を形成できるものであればどのようなポリエステルでもよい。なかでも架橋構造を形成し易いという観点から、好ましくは炭素-炭素二重結合を有するポリエステル(B111)である。
ポリエステル樹脂(B1)は上記ポリエステル(B111)の炭素-炭素二重結合を反応させる方法の他、加熱等による水素引き抜き反応によってポリエステル樹脂(B11)に含まれる炭素原子に結合した水素原子を引き抜いて架橋する方法(水素原子引き抜き反応とも言う)等によっても得ることができる。
さらに、炭素-炭素二重結合を有するポリエステル(B111)は、不飽和カルボン酸成分及び不飽和アルコール成分以外に、飽和アルコール成分や、飽和カルボン酸成分を構成成分として含んでいてもよい。
また、ポリエステル(B111)はこれらの各成分を、それぞれ1種類ずつ用いて重縮合したものでもよく、各成分として複数種類を併用して重縮合したものでもよい。
なお、本明細書において、不飽和カルボン酸とは、炭素原子間不飽和結合(芳香族炭化水素に含まれるものを除く)を有するカルボン酸のことであり、同様に不飽和アルコール成分とは、炭素原子間不飽和結合(芳香族炭化水素に含まれるものを除く)を有するアルコールのことである。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
これら飽和モノオールのうち、保存安定性の観点から、好ましいものは炭素数8~24の直鎖アルキルアルコールであり、更に好ましくはドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びこれらの併用である。
これらの飽和ジオール(x2)のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数2~36のアルキレングリコール(x21)及び芳香族ジオール(x25)が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2~4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2-又は1,3-プロピレンオキサイド、1,2-、2,3-、1,3-又はiso-ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
[式中、Pは炭素数1~3のアルキレン基、-SO2-、-O-、-S-、又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1~30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性、粉砕性及び耐熱保存性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO付加物(平均付加モル数は好ましくは2~4、より好ましくは2~3)及び/又はPO付加物(平均付加モル数は好ましくは2~4、より好ましくは2~3)である。
特に好ましくは、炭素数2~6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数は好ましくは2~5)及び炭素数3~36の3価の脂肪族多価アルコールであり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数は好ましくは2~3)及びトリメチロールプロパンである。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも同様に好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、炭素数2~50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、炭素数2~50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6~36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
また、飽和カルボン酸成分としては、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1~4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
保存安定性及び帯電安定性の観点から更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、アルキルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用である。特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルであってもよい。
まず、不飽和カルボン酸成分と不飽和アルコール成分の少なくともどちらかと、必要により飽和カルボン酸成分及び/又は飽和アルコール成分とを構成成分として縮合反応させて分子内に炭素-炭素二重結合を有するポリエステル(B111)を得る。次に、ポリエステル(B111)にラジカル反応開始剤を作用させて、ラジカル反応開始剤から発生するラジカルを利用して、ポリエステル(B111)中の不飽和カルボン酸成分及び/又は不飽和アルコール成分に起因する炭素-炭素二重結合同士を架橋反応により結合させる。これにより非線形ポリエステル樹脂を製造することができる。この方法は、架橋反応を短時間で均一にできる点で好ましい方法である。
ラジカル反応開始剤の使用量が0.1重量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、50重量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、30重量部以下であることが更に好ましく、20重量部以下であることが特に好ましく、10重量部以下であることが最も好ましい。
ポリエステル樹脂(B1)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
6.0E+02Pa以上だと定着が良好になる。一方で、3.0E+05Pa以下であると定着時に紙への接着が十分となる。
トナーバインダーの粘弾性につき、特に110℃での貯蔵弾性率[高温貯蔵弾性率G’(110℃)]は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは6.0E+02Pa以上、更に好ましくは1.0E+04Pa以上である。
なお、本明細書において、E+数字で表示する場合、E+02は100倍、E+05は100,000倍のように、数字の数だけゼロを付した数をかけることを意味する。
なお、トナーバインダーの損失弾性率及び貯蔵弾性率は、上記のビニル樹脂(A)の貯蔵弾性率G’の説明で述べた方法と同様の方法で測定することができる。
トナーバインダーの貯蔵弾性率及び損失弾性率は、ビニル樹脂(A)の重量平均分子量及び構成単量体の組成により、上記の好ましい範囲に調整することができる。、(A)の重量平均分子量を上げる、単量体の組成の極性を上げる等の方法によりトナーバインダーの貯蔵弾性率及び損失弾性率を上げることができる。
40℃以上ではトナーとした際の保存安定性が良好となる。一方で100℃以下であると低温定着性が良好となる。
なお、トナーバインダーの融解ピーク温度Tmは、ビニル樹脂(A)の融解ピーク温度Tmの説明で述べた方法と同様の方法で測定することができる。
トナーバインダーの融解ピーク温度Tmは、ビニル樹脂(A)を構成する単量体(a)の炭素数を調整すること及び(A)を構成する単量体(a)の重量比率を調整することにより、上記の好ましい範囲に調整することができる。(a)の炭素数を増やす、(a)の重量比率を増やす、(A)の重量平均分子量を増やす等の方法によりTmを上げることができる。また、(A)の含有量が少ない場合は、その他の樹脂(B)との|ΔSP値|を上げることでTmを下げずに維持することができる。
樹脂のSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
関係式(1):1.2≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
但し、計算値は小数点第2位を四捨五入して求めるものとする。
関係式(2):1.6≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
関係式(3):1.7≦ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)≦2.5
ln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)は、ビニル樹脂(A)の重量平均分子量や単量体(b)又は単量体(c)の種類及び量で調整することができる。ビニル樹脂(A)の重量平均分子量を減らす、(b)や(c)の極性を下げる、(b)の量を減らす、(c)の量を増やす等の方法によりln(G’Tm-10)/ln(G’Tm+30)を上げることができる。
なお、トナーバインダーの貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’は、上記粘弾性測定装置を用いて、ビニル樹脂(A)の説明で述べた方法と同様の方法で測定することができる。
トナーバインダーはビニル樹脂(A)を含有していれば特に限定されず、例えばビニル樹脂(A)並びに必要により用いるその他の樹脂(B)及び添加剤を混合する場合の混合方法は公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。また、(A)並びに必要により用いる(B)及び添加剤は、トナーを製造するときに同時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
混合時の温度としては、50~200℃であることが好ましい。また、混合時間としては、0.5~24時間であることが好ましい。
溶剤に溶解する方法を用いる場合は、溶剤としては特に制限はなく、トナーバインダーを構成する全ての重合物を好適に溶解するものであればよい(トルエン及びアセトン等)。
溶剤を除去する時の温度は50~200℃であることが好ましく、必要に応じて減圧や排風することで溶剤の除去を促進することができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは1~40部、より好ましくは3~10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは20~150部、より好ましくは40~120部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
<フロー軟化点〔T1/2〕>
降下式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT-500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔T1/2〕とする。
本発明のトナーバインダーをトナーとして用いる場合のトナーは、複写機及びプリンター等により支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、アラキジルアルコール50部、トルエン50部、アクリル酸18部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30ml/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、アラキジルアクリレート(a2-1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、リグノセリルアルコール50部、トルエン50部、アクリル酸15部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30ml/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10%重量水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、リグノセリルアクリレート(a3-1)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート[日油(株)製、以下同様]59.4部、製造例1で得たアラキジルアクリレート0.5部、製造例2で得たリグノセリルアクリレート0.1部、スチレン[出光興産(株)製、以下同様]20.0部、アクリロニトリル[ナカライテクス(株)製、以下同様]20.0部、カレンズMOI[2-イソシアナトエチルメタクリレート、昭和電工(株)製、以下同様]1.9部、パーブチルO[t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、日油(株)、以下同様]0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600[日東化成工業(株)、以下同様]0.5部を加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-1)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート49.0部、アラキジルアクリレート10.0部、リグノセリルアクリレート1.0部、スチレン20.0部、アクリロニトリル20.0部、カレンズMOI1.9部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600を0.5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-2)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート75.0部、アラキジルアクリレート4.5部、リグノセリルアクリレート0.5部、スチレン10.0部、アクリロニトリル10.0部、カレンズMOI1.9部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600を0.5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-3)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート65.0部、アラキジルアクリレート4.5部、リグノセリルアクリレート0.5部、スチレン15.0部、アクリロニトリル15.0部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-4)を得た。
オートクレーブにキシレン18.3部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート90.0部、アラキジルアクリレート0.1部、リグノセリルアクリレート0.1部、スチレン9.8部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.0部、及びキシレン13.3部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.7部で洗浄した。170℃で0.5時間保持後、さらにジ-t-ブチルパーオキシド0.5部投入し170℃で1時間反応させた。170℃で3時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-5)を得た。
オートクレーブにベヘニルアクリレート30.0部、アラキジルアクリレート2.0部、リグノセリルアクリレート0.1部、ステアリルアクリレート17.9部、トルエン35.0部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で60℃まで昇温した。スチレン15部、アクリル酸5部、メタクリロニトリル30.0部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5部、及びトルエン28.5部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を60℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをトルエン3.0部で洗浄した。さらに同温度で4時間保ち、1時間かけて80℃に昇温し、80℃で1時間保持した。さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を0.3部投入し80℃で2時間反応させた。120℃で6時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-6)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、アラキジルアルコール50部、トルエン50部、メタクリル酸22部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30ml/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10%重量水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、アラキジルメタクリレート(a2-2)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、リグノセリルアルコール50部、トルエン50部、メタクリル酸18部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30ml/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10%重量水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、リグノセリルメタクリレート(a3-2)を得た。
オートクレーブにベヘニルメタクリレート[BASF(株)製]59.8部、アラキジルメタクリレート0.1部、リグノセリルメタクリレート0.1部、トルエン35.0部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で60℃まで昇温した。スチレン15.0部、メタクリル酸8.0部、メタクリロニトリル17.0部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.0部、及びトルエン28.5部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を60℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをトルエン3.0部で洗浄した。さらに同温度で4時間保ち、1時間かけて80℃に昇温し、80℃で1時間保持した。さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を0.5部投入し80℃で2時間反応させた。120℃で6時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A-7)を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物740部、テレフタル酸118部、アジピン酸118部、トリメチロールプロパン13部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5~2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した。重合禁止剤としてtert-ブチルカテコール1部を入れ、さらにフマル酸を86部入れ、0.5~2.5kPaの減圧下に8時間反応させた後取り出し、ポリエステル(B111-1)を得た。ポリエステル(B111-1)のガラス転移温度は37℃、重量平均分子量24,000、酸価は2だった。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート39.6部、アラキジルアクリレート0.4部、スチレン30.0部、アクリロニトリル30.0部、カレンズMOI1.9部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600を0.5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A’-1)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート58.0部、リグノセリルアクリレート2.0部、スチレン20.0部、アクリロニトリル20.0部、カレンズMOI1.9部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600を0.5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A’-2)を得た。
オートクレーブにトルエン46部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート69.0部、アラキジルアクリレート20.6部、リグノセリルアクリレート0.4部、スチレン5.0部、アクリロニトリル5.0部、カレンズMOI1.9部、パーブチルO0.36部、及びトルエン23部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、メタノールを0.6部、ネオスタンU-600を0.5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、ビニル樹脂(A’-3)を得た。
<測定条件>
(1)30℃で10分間保持
(2)10℃/分で150℃まで昇温
(3)150℃で10分間保持
(4)10℃/分で0℃まで冷却
(5)0℃で10分間保持
(6)10℃/分で150℃まで昇温
(7)(6)の過程にて測定される示差走査熱量曲線の各吸熱ピークを解析する。
製造例1~3で得たビニル樹脂(A-1)~(A-3)をトナーバインダーとし、比較製造例1~3で得たビニル樹脂(A’-1)~(A’-3)を比較用のトナーバインダーとして、以下に記載の方法でトナー(T-1)~(T-3)、(T’-1)~(T’-3)を得た。 なお、着色剤(C-1)としてカーボンブラック[三菱ケミカル(株)製のMA-100]、離型剤(D-1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E-1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT-77]、流動化剤(F-1)として疎水性シリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
まず、ビニル樹脂(A)、着色剤、離型剤及び荷電制御剤を表2の配合比となるよう加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM-30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS-I]で分級し、体積平均粒径(D50)が7μmのトナー粒子を得た。次いで、トナー粒子100重量部に表2の配合比となるように疎水性シリカをサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
ポリエステル(B111-1)を30重量部、ビニル樹脂(A-4)70重量部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に52kg/時で供給し、同時にt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート2.0重量部を1.04kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、さらにベント口から10kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却することにより、本発明のトナーバインダーを得た。
実施例1においてビニル樹脂(A-1)に代えて得られたトナーバインダーを用いる以外は同様に実施して、体積平均粒径(D50)が7μmのトナー粒子及びトナー(T-4)を得た。
表2に示した重量部数のビニル樹脂(A)、ポリエステル(B111)を混合し、二軸混練器に供給し、同時にt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを供給して、実施例4と同様に架橋反応と有機溶剤の除去を行い、本発明のトナーバインダーを得た。
実施例1においてビニル樹脂(A-1)に代えて得られたトナーバインダーを用いる以外は同様に実施して、体積平均粒径(D50)が7μmのトナー粒子及びトナー(T-5)~(T-7)を得た。
装置 :ARES-24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
トナー(T-1)~(T-7)及び比較のトナー(T’-1)~(T’-3)について、以下の方法で低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、帯電安定性及び耐久性を評価した。その結果を表2に示す。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
45℃に温調された乾燥機に粒子状トナーを15時間静置し、ブロッキングの有無を目視で判断し、下記の基準で耐熱保存安定性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングは発生していない
△:一部にブロッキングが発生している
×:全体にブロッキングが発生している
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F-150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
トナーを二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
[判定基準]
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
Claims (2)
- ビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、ビニル樹脂(A)が単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、単量体(a)が、鎖状炭化水素基を有し、鎖状炭化水素基の炭素数が18~36の(メタ)アクリレートであり、ビニル樹脂(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、鎖状炭化水素基の炭素数が22の(メタ)アクリレート(a1)の重量割合が30~98.5重量%であり、鎖状炭化水素基の炭素数が20の(メタ)アクリレート(a2)の重量割合が0.1~20重量%であり、鎖状炭化水素基の炭素数が24の(メタ)アクリレート(a3)の重量割合が0.1~1重量%であるトナーバインダー。
- 鎖状炭化水素基の炭素数が22の(メタ)アクリレート(a1)がベヘニルアクリレートであり、鎖状炭化水素基の炭素数が20の(メタ)アクリレート(a2)がアラキジルアクリレートであり、炭化水素基の炭素数が24の(メタ)アクリレート(a3)がリグノセリルアクリレートである請求項1に記載のトナーバインダー。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018112398 | 2018-06-13 | ||
JP2018112398 | 2018-06-13 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019219655A JP2019219655A (ja) | 2019-12-26 |
JP7221130B2 true JP7221130B2 (ja) | 2023-02-13 |
Family
ID=69096438
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019096149A Active JP7221130B2 (ja) | 2018-06-13 | 2019-05-22 | トナーバインダー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7221130B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132851A (ja) | 2008-03-24 | 2010-06-17 | Sanyo Chem Ind Ltd | 樹脂粒子及びその製造方法 |
JP2011150320A (ja) | 2009-12-22 | 2011-08-04 | Mitsubishi Chemicals Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法及びトナー |
JP2015011316A (ja) | 2013-07-02 | 2015-01-19 | 藤倉化成株式会社 | トナー用相溶化剤、および電子写真用トナー |
JP2015135485A (ja) | 2013-12-20 | 2015-07-27 | キヤノン株式会社 | トナー及び二成分系現像剤 |
JP2015224213A (ja) | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 住友精化株式会社 | 粘性組成物 |
JP2016206262A (ja) | 2015-04-16 | 2016-12-08 | コニカミノルタ株式会社 | トナーおよびその製造方法 |
JP2017504704A (ja) | 2014-01-30 | 2017-02-09 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | 疎水性モノマーの樹脂支持による乳化重合 |
-
2019
- 2019-05-22 JP JP2019096149A patent/JP7221130B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132851A (ja) | 2008-03-24 | 2010-06-17 | Sanyo Chem Ind Ltd | 樹脂粒子及びその製造方法 |
JP2011150320A (ja) | 2009-12-22 | 2011-08-04 | Mitsubishi Chemicals Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法及びトナー |
JP2015011316A (ja) | 2013-07-02 | 2015-01-19 | 藤倉化成株式会社 | トナー用相溶化剤、および電子写真用トナー |
JP2015135485A (ja) | 2013-12-20 | 2015-07-27 | キヤノン株式会社 | トナー及び二成分系現像剤 |
JP2017504704A (ja) | 2014-01-30 | 2017-02-09 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | 疎水性モノマーの樹脂支持による乳化重合 |
JP2015224213A (ja) | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 住友精化株式会社 | 粘性組成物 |
JP2016206262A (ja) | 2015-04-16 | 2016-12-08 | コニカミノルタ株式会社 | トナーおよびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019219655A (ja) | 2019-12-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6948359B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6735416B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
WO2019225207A1 (ja) | トナーバインダー | |
JP6391626B2 (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP2016157119A (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP2019109535A (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP7256679B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7295695B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7108001B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP2017032980A (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP6829276B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6328712B2 (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP7221130B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6357504B2 (ja) | トナーバインダーおよびトナー | |
JP7181836B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6983844B2 (ja) | トナーバインダーの製造方法 | |
JP7162980B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP6781850B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP7118834B2 (ja) | トナーバインダー及び樹脂粒子 | |
JP7231479B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7463481B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7488868B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP7463218B2 (ja) | トナーバインダー | |
JP6814779B2 (ja) | トナーバインダー及びトナー | |
JP6357503B2 (ja) | トナーバインダーおよびトナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220331 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230110 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230116 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230131 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230201 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7221130 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |