JP6983844B2 - トナーバインダーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナーバインダーの製造方法に関する。
近年、電子写真システムの発展に伴い、複写機やレーザープリンター等の電子写真装置の需要は急速に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。
フルカラー電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に色画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して多色画像を得る方法や装置が知られている。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーはまず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
更に、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
また、最近では転写材として、表面凹凸の大きい再生紙や、表面が平滑なコート紙等多くの種類の紙が用いられる。これらの転写材の表面性に対応するために、ソフトローラーやベルトローラー等のニップ幅の広い定着器が好ましく用いられている。しかし、ニップ幅を広くすると、トナーと定着ローラーとの接触面積が増え、定着ローラーに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象が発生するため、耐ホットオフセット性が要求される。
上記に加えて、多色画像(フルカラー)は写真画像等の再現等から白黒画像(モノクロ)に比べてはるかに高い光沢が必要とされ、得られる画像のトナー層が平滑になるようにする必要がある。
したがって、高い光沢を有しながら耐オフセット性を維持しつつ、低温定着性を発現させる必要があり、広いワーキングレンジで高光沢なトナー画像が要求されるようになってきている。
トナーバインダーは、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、耐熱保存性と定着性のバランスを取りやすいことから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
定着温度幅を拡大させる方法として、不飽和カルボン酸を構成成分とするポリエステル樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献1)。また、不飽和カルボン酸を構成成分とするポリエステル樹脂とビニル樹脂を結合させたポリエステル−ビニル複合樹脂も提案されている(特許文献2及び3)。
しかしながら、これらの方法は高温でのオフセット現象はある程度防止できても、定着下限温度が不充分であり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には充分に答えられていない。
一方で低温定着温度を下げる材料として結晶性ビニル樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献4及び5)。
しかしながら、この方法でも低温定着性が改良されるが、高温での耐ホットオフセット性が不充分であった。
以上、述べたように、低温定着性、耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性のすべてを満足する優れたトナーバインダーは、これまでなかった。
特開2017−003985号公報 特開2015−135485号公報 特開2018−054888号公報 特開2007−193069号公報 国際公開第2018/110593号
本発明は、低温定着性、耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性のすべてを満足する優れたトナーバインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、結晶性ビニル樹脂(B)の存在下でポリエステル(A1)を架橋する工程を有するトナーバインダーの製造方法であって、架橋反応の温度が100〜200℃であり、前記ポリエステル(A1)を架橋する方法が、下記方法(3)であるトナーバインダーの製造方法である。
方法(3):前記ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、前記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)の酸価と水酸基価との合計値が30〜150mgKOH/gであり、(A1)が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と多官能エポキシ化合物(E)とを反応させて架橋する方法。
本発明により、低温定着性、耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性に優れたトナーバインダーを提供することが可能になる。また、本発明の製造方法により得られるトナーバインダーは粉砕性にも優れる。
本発明のトナーバインダーの製造方法は、結晶性ビニル樹脂(B)の存在下でポリエステル(A1)を架橋する工程を有する。
以下に、本発明のトナーバインダーの製造方法を順次、説明する。
本発明のトナーバインダーの製造方法では、結晶性ビニル樹脂(B)の存在下で、ポリエステル(A1)を架橋してポリエステル樹脂(A)とするため、一般的に均一混合できない粘度差や溶解度パラメータ(以下、SP値と略記)差を有する結晶性ビニル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)とを均一な混合物とすることができ、広範囲な定着温度幅を有するトナーバインダーを得ることができる。
尚、上記の架橋反応によってネットワークを形成したポリエステル樹脂(A)はテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)に溶解することができないため、架橋反応によってネットワークが形成されたポリエステル樹脂であることは、ポリエステル樹脂をTHFに溶解してTHFに不溶な成分(THF不溶解分)を有することで確認することができる。
架橋工程におけるポリエステル(A1)の架橋方法は、下記方法(1)、(2)又は(3)であることが好ましい。
方法(1):ポリエステル(A1)が炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)であり、前記炭素−炭素二重結合を反応させて架橋する方法;
方法(2):ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、(A1)が有するカルボキシル基と3価以上の多価アルコール(s)の水酸基とを反応させて架橋するか、(A1)が有する水酸基と3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)のカルボキシル基及び/又は酸無水物基とを反応させて架橋する方法;
方法(3):ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、(A1)が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と多官能エポキシ化合物(E)とを反応させて架橋する方法。
これらの方法により得られるトナーバインダーは、ポリエステル(A1)の架橋反応が短時間で均一な混合物になり易く、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性のいずれの性能にも優れたトナーバインダーが得られることから好ましい。
また、結晶性ビニル樹脂(B)の存在下でポリエステル(A1)を架橋する際、ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)が反応してもよいが、低温定着性の観点から反応しない方が好ましい。
架橋方法(1)におけるポリエステル(A11)の炭素−炭素結合による架橋の少なくとも一部は、上記ポリエステル(A11)分子に存在する一の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子が、ポリエステル(A11)分子に存在する他の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子と結合することにより形成された炭素−炭素結合であることが好ましい。
一の炭素−炭素二重結合と他の炭素−炭素二重結合は、同一のポリエステル(A11)分子内に存在していてもよく、別々のポリエステル(A11)分子に存在していてもよい。
炭素−炭素結合を生成する架橋反応の形態としては、例えば、炭素−炭素二重結合をポリエステル(A11)の主鎖や側鎖に導入し、ラジカル反応開始剤(c)を作用させて、ラジカル反応開始剤(c)から発生するラジカルを利用して、ポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合同士を架橋反応により結合させることが好ましい。この反応の他にもカチオン付加反応又はアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させることもできる。
また、本発明における炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)を含有し、不飽和カルボン酸成分(y)及び不飽和アルコール成分(z)のいずれかを必須成分とする構成成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。
更に、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、上記必須成分以外に、飽和アルコール成分(x)や、飽和カルボン酸成分(w)を構成成分として含んでいてもよい。
また、ポリエステル(A11)はこれらの各成分を、それぞれ1種類ずつ用いて重縮合したものでもよく、各成分として複数種類を併用して重縮合したものでもよい。
尚、本明細書において、不飽和カルボン酸成分(y)であるか、飽和カルボン酸成分(w)であるかの判断に、芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
同様に、不飽和アルコール成分(z)であるか、飽和アルコール成分(x)であるかの判断に芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
不飽和アルコール成分(z)としては、不飽和モノオール(z1)及び不飽和ジオール(z2)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
不飽和モノオール(z1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノオールが挙げられ、好ましい例としては2−プロペン−1−オール、パルミトレイルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、エルシルアルコール及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
不飽和ジオール(z2)としては、炭素数2〜30の不飽和ジオールが挙げられ、好ましい例としてはリシノレイルアルコールが挙げられる。
飽和アルコール成分(x)としては、飽和モノオール(x1)、飽和ジオール(x2)及び3価以上の飽和ポリオール(x3)等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
飽和モノオール(x1)としては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキルアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコール等)等が挙げられる。
これら飽和モノオールの内、画像強度及び耐熱保存性の観点から、好ましいのは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキルアルコールであり、より好ましいのは炭素数8〜24の直鎖アルキルアルコールであり、更に好ましいのはドデシルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールである。
飽和ジオール(x2)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等)(x21)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)(x22)、炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)(x23)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物(好ましくは平均付加モル数1〜30)(x24)、芳香族ジオール[単環2価フェノール(例えばハイドロキノン等)及びビスフェノール類等](x25)及び上記芳香族ジオールのAO付加物(好ましくは平均付加モル数2〜30)(x26)等が挙げられる。
これらの飽和ジオール(x2)の内、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数2〜36のアルキレングリコール(x21)及び芳香族ジオールのAO付加物(x26)が好ましく、ビスフェノール類のAO付加物が更に好ましい。
上記AOとしては、アルキレン基の炭素数2〜4のもの(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン)が好ましい。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるもの等が挙げられる。
HO−Ar−P−Ar−OH (1)
一般式(1)におけるPは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO−、−O−、−S−又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。
一般式(1)で表されるビスフェノール類の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA及び2,2’−ジエチルビスフェノールFが挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール類のAO付加物を構成するAOとして耐熱保存性及び低温定着性の観点から好ましいのはEO及び/又はPOである。
また、AOの平均付加モル数は、好ましくは2〜30モル、より好ましくは2〜10モル、更に好ましくは2〜5モルである。
ビスフェノール類のAO付加物の内、トナーの定着性、粉砕性及び耐熱保存性の観点から好ましいのは、ビスフェノールAのEO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)及び/又はPO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)である。
3価以上の飽和ポリオール(x3)としては、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)、糖類及びその誘導体(x32)、脂肪族多価アルコールのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは1〜30)(x33)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x34)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)等が挙げられる。
炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)としては、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物が挙げられ、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
糖類及びその誘導体(x32)としては、例えばショ糖及びメチルグルコシド等が挙げられる。
3価以上の飽和ポリオール(x3)の内、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立の観点から、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)が好ましい。
飽和アルコール成分(x)の内、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の観点から好ましいのは、炭素数2〜36のアルキレングリコール(x21)、ビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)である。
飽和アルコール成分(x)として、耐熱保存性の観点からより好ましいのは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)、炭素数3〜36の3〜8価の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)であり、更に好ましいのは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)及び炭素数3〜36の3価の脂肪族多価アルコールであり、特に好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜3)及びトリメチロールプロパンである。
また、飽和アルコール成分(x)として、帯電安定性の観点から好ましいのはビスフェノール類のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜5)、3〜8価の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)であり、より好ましいのは、ビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は2〜5)であり、更に好ましいのはビスフェノールAのAO付加物(平均付加モル数は2〜3)である。
飽和アルコール成分(x)としては、飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)を併用できる。併用する場合の飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)のモル比[(x2)/(x3)]は耐ホットオフセット性の観点から99/1〜80/20が好ましく、98/2〜90/10がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分(y)としては、不飽和モノカルボン酸(y1)、不飽和ジカルボン酸(y2)、3価以上の不飽和ポリカルボン酸(y3)及びこれらの酸の無水物や低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
不飽和モノカルボン酸(y1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノカルボン酸が含まれ、例えばアクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、4−ペンテン酸、2−エチル−2−ブテン酸、10−ウンデセン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びネルボン酸等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸(y2)としては、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸が含まれ、例えばドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
3価以上の不飽和ポリカルボン酸(y3)としては、炭素数6〜50の3価以上のアルケンポリカルボン酸(具体的には、アコニット酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸及び4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸等のアルケントリカルボン酸;1−ペンテン−1,1,4,4−テトラカルボン酸、4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸及び3−ヘキセン−1,1,6,6−テトラカルボン酸等のアルケンテトラカルボン酸等)が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸成分(y)の内、低温定着性及び耐ホットオフセット性の両立の観点から、好ましいのは炭素数2〜10の不飽和モノカルボン酸及び炭素数4〜18のアルケンジカルボン酸であり、より好ましいのはアクリル酸、メタクリル酸、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸及びフマル酸であり、更に好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも同様に好ましい。
飽和カルボン酸成分(w)としては、例えば、芳香族カルボン酸及び脂肪族カルボン酸等が挙げられる。飽和カルボン酸成分(w)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族カルボン酸としては、例えば、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、4−エチル安息香酸、4−プロピル安息香酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、炭素数2〜50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
また、飽和カルボン酸成分(w)としては、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
これらの飽和カルボン酸成分(w)の内、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の観点から好ましいのは、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸であり、耐熱保存性及び帯電安定性の観点からより好ましいのは、安息香酸、アジピン酸、アルキルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用であり、更に好ましいのは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルであってもよい。
また、本発明におけるポリエステル(A11)の製造法は、特に限定されないが、前述のように1種類以上の不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)を含む構成成分を重縮合する方法が好ましい。
本発明における炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、特に限定されないが高温下での弾性を向上させる観点から非線形ポリエステルであることが好ましい。ポリエステル(A11)が非線形ポリエステルであることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。非線形ポリエステルは、例えば飽和アルコール成分(x)として飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)とを上記の割合で併用すること等によって得ることができる。
ポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル(A11)の重量に基づいて0.02〜2ミリモル/gであることが好ましく、より好ましくは0.06〜1.9ミリモル/g、更に好ましくは0.10〜1.5ミリモル/g、特に好ましくは0.15〜1.0ミリモル/gである。
炭素−炭素二重結合の含有量がポリエステル(A11)の重量に基づいて0.02〜2.0ミリモル/gである場合、好適に架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性が良好になる。
ポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合の含有量の測定方法は、特に制限されず、H−NMR、13C−NMR及び臭素価試験方法(JIS K2605)等により測定できる。実施例における炭素−炭素二重結合の含有量は以下の方法で測定した。
<サンプル調整>
13C−NMRチューブにサンプルを100mg、内部標準物質としてトリメチルシリルプロパンスルホン酸ナトリウムを10mg、緩和試薬としてCr(AcAc)を10mgはかりとり、重水素化溶媒(重ピリジン)を0.45ml加えて樹脂を溶解させる。
<測定条件>
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
積算回数:24000回
<解析及び計算>
例えば炭素−炭素二重結合がマレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸成分(z)であれば不飽和カルボン酸成分(z)由来の二重結合のカーボンのピーク(164.6ppm)の面積比と内部標準物質のカーボンのピーク(0ppm)の面積比から二重結合の含有量(mmol/g)を算出する。
ポリエステル(A11)の架橋反応のために用いるラジカル反応開始剤(c)としては、特に制限されず、無機過酸化物(c1)、有機過酸化物(c2)及びアゾ化合物(c3)等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用してもかまわない。
無機過酸化物(c1)としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
有機過酸化物(c2)としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
アゾ化合物(c3)としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
これらの中でも開始剤効率が高く、シアン化合物等の副生成物を生成しないことから、有機過酸化物(c2)が好ましい。
更に、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤がより好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤が更に好ましい。
ラジカル反応開始剤(c)の使用量は、特に制限されないが、ポリエステル(A11)を得るための重合反応に用いた不飽和カルボン酸成分(y)及び不飽和アルコール成分(z)の合計重量に基づいて、0.1〜50重量部が好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量が、0.1重量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、50重量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることが更に好ましく、10重量部以下であることが特に好ましい。
上記種類のラジカル反応開始剤(c)及び上記の使用量でラジカル重合した場合、好適にポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合同士の架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性と耐熱保存性及び画像強度が良好になることから好ましい。
架橋方法(2)におけるポリエステル(A12)は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有しており、ポリエステル(A12)がカルボキシル基を有する場合は、3価以上の多価アルコール(s)を用いて高温下でエステル化反応を行うことにより網目構造が形成され、架橋されたポリエステル樹脂が得られる。また、ポリエステル(A12)が水酸基を有する場合は、3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)を加えて高温下でエステル化反応を行うことにより、同様に架橋されたポリエステル樹脂が得られる。
架橋方法(3)におけるポリエステル(A12)は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有しており、多官能エポキシ化合物(E)を用いて重付加反応を行うことにより網目構造が形成され、架橋されたポリエステル樹脂が得られる。
ポリエステル(12)は、上記飽和カルボン酸成分(w)及び/又は上記不飽和カルボン酸成分(y)を含有するカルボン酸成分と、上記飽和アルコール成分(x)及び/又は不飽和アルコール成分(z)を含有するアルコール成分とを重縮合して得られたポリエステル樹脂であることが好ましく、各成分における好ましいものは、上記ポリエステル(11)の場合と同様である。
カルボン酸成分のカルボキシル基のモル数がアルコール成分の水酸基のモル数より過剰となる条件で反応させることにより末端官能基として水酸基よりカルボキシル基が多いポリエステル(12)が得られ、3価以上の多価アルコール(s)による架橋反応に好適に用いられる。
また、アルコール成分の水酸基のモル数がカルボン酸成分のカルボキシル基のモル数より過剰となる条件で反応させることにより末端官能基としてカルボキシル基より水酸基が多いポリエステル(12)が得られ、3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)による架橋反応に好適に用いられる。尚、ポリエステル(12)は、ポリエステル(11)と同様に炭素−炭素二重結合を有していてもよい。
ポリエステル(A12)は、特に限定されないが高温下での弾性を向上させる観点から非線形ポリエステルであることが好ましい。ポリエステル(A12)が非線形ポリエステルであることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。非線形ポリエステルは、例えば飽和アルコール成分(x)として飽和ジオール(x2)と3価以上の飽和ポリオール(x3)とをポリエステル(11)の説明部分に記載した割合で併用すること等によって得ることができる。
カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)の酸価と水酸基価との合計値は、特に制限されないが、30〜150mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは30〜150mgKOH/g、更に好ましくは30〜150mgKOH/g、特に好ましくは30〜150mgKOH/gである。
ポリエステル(A12)の酸価と水酸基価との合計値が30〜150mgKOH/gである場合、好適に架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性が良好になる。酸価と水酸基価との合計値が30未満であると架橋点間分子量が長く、ネットワーク構造が取りづらくなる場合がある。一方、酸価と水酸基価との合計値が150より大きいと架橋点間分子量が短く、不均一な架橋になる場合がある。
本発明における酸価及び水酸基価は、JIS K0070(1992)に規定の方法で測定することができる。
架橋方法(2)における3価以上の多価アルコール(s)としては、上記3価以上の飽和ポリオール(x3)等が挙げられ、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立の観点から、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(平均付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)が好ましく、特に好ましいのは、トリメチロールプロパンである。
架橋方法(2)における3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)としては上記3価以上の不飽和ポリカルボン酸(y3)、上記炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸、上記炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸及びこれらの無水物等が挙げられ、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の観点から好ましいのは、炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸及びその無水物であり、耐熱保存性及び帯電安定性の観点からより好ましいのは、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物であり、更に好ましいのはトリメリット酸及び無水トリメリット酸である。
架橋方法(3)における多官能エポキシ化合物(E)としては芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環式系ポリエポキシ化合物、脂環式系ポリエポキシ化合物及び脂肪族系ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体、多価フェノールのグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン及びその他の芳香族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、リモネンフェノールノボラック型エポキシ樹脂等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
その他の芳香族系ポリエポキシ化合物としては、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
複素環式系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
脂環式系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。脂環式系としては、前記芳香族系ポリエポキシ化合物の核水添化物も含む。
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル体、脂肪族多価カルボン酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂肪族多価カルボン酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
これらの多官能エポキシ化合物のうち、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の観点から、好ましくは芳香族系ポリエポキシ化合物、脂環式系ポリエポキシ化合物、脂肪族系ポリエポキシ化合物であり、より好ましくは芳香族系ポリエポキシ化合物であり、さらに好ましくはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
架橋させる際のポリエステル(A12)と3価以上の多価アルコール(s)の重量比[(A12):(s)]は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、99.8:0.2〜80:20が好ましく、より好ましくは99.5:0.5〜85:15、更に好ましくは99.2:0.8〜88:12、特に好ましくは99:1〜90:10である。
また、ポリエステル(A12)に架橋反応させる3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)の重量比[(A12):(t)]は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、99.8:0.2〜90:10が好ましく、より好ましくは99.7:0.3〜92:8、更に好ましくは99.6:0.4〜94:6、特に好ましくは99.5:0.5〜95:5である。
架橋させる際のポリエステル(A12)と多官能エポキシ化合物(E)の重量比[(A12):(E)]は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、99.8:0.2〜80:20が好ましく、より好ましくは99.5:0.5〜85:15、更に好ましくは99.2:0.8〜88:12、特に好ましくは97:3〜90:10である。
本発明におけるポリエステル(A1)は、公知のポリエステルと同様にして製造することができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、より好ましくは160〜250℃、更に好ましくは170〜235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2〜40時間である。反応速度を向上させるために常圧(圧力が80〜120kPa)の工程に加え、減圧する工程を有することが好ましく、減圧度は好ましくは20kPa以下であり、より好ましくは15kPa以下であり、さらに好ましくは10kPa以下であり、特に好ましくは5kPa以下である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。
エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒{チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)及びそれらの分子内重縮合物等}及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル等)及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましいのはチタン含有触媒である。
また、ポリエステル重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4−tert−ブチルカテコール、4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール及びヒンダードフェノール化合物等が挙げられる。
反応において用いるポリエステル(A1)のアルコール成分と酸成分の仕込み比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比([OH]/[COOH])として、好ましくは1/2〜2/1、より好ましくは1/1.3〜1.5/1、更に好ましくは1/1.2〜1.4/1である。ポリエステル(A1)がポリエステル(A11)である場合には、不飽和カルボン酸成分(y)と不飽和アルコール成分(z)のいずれか一方又は両方を含んでいればよい。
本発明におけるポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、−35〜55℃であることが好ましい。
TgA1が55℃以下であると低温定着性が良好になり、−35℃以上であると耐熱保存性が良好になる。ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、より好ましくは−30〜52℃であり、更に好ましくは−25〜50℃であり、特に好ましくは−20〜45℃である。
尚、ガラス転移温度(Tg)は、例えばTA Instruments(株)製、DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
本発明におけるポリエステル(A1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるピークトップ分子量Mpは2,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜20,000であり、更に好ましくは4,000〜12,000である。
ポリエステル(A1)のピークトップ分子量Mpが2,000〜30,000であると、光沢性、低温定着性及び耐ホットオフセット性が好ましくなる。
ここでピークトップ分子量Mpの算出方法について説明する。
まず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン試料を用いて検量線を作製する。
次に、GPCにより試料を分離し、各保持時間における分離された試料のカウント数を測定する。
次に、上記検量線の対数値と得られたカウント数とから試料の分子量分布のチャートを作成する。分子量分布のチャート中のピーク最大値がピークトップ分子量Mpである。
尚、分子量分布のチャート中の、複数のピークがある場合は、それらのピークの中の最大値がピークトップ分子量Mpとする。尚、GPC測定の測定条件は、以下の通りである。
本発明におけるポリエステル等の樹脂のピークトップ分子量Mp、数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)、重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
ポリエステル(A1)の酸価は、帯電安定性及び耐熱保存性の観点から好ましくは0.1〜30mgKOH/gであり、より好ましくは0.1〜25mgKOH/gであり、更に好ましくは0.1〜10mgKOH/gであり、特に好ましくは、1〜10mgKOH/gである。酸価が0.1mgKOH/g以上であると帯電安定性が良好となり、酸価が30mgKOH/g以下であると耐熱保存性が良好となる。
本発明における結晶性ビニル樹脂(B)の「結晶性」とは、後述の示差走査熱量計を用いたトナーバインダーの吸熱ピークトップ温度(Tm)の測定と同様に測定した場合に、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを意味する。
本発明における結晶性ビニル樹脂(B)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とする重合物であることが好ましい。また結晶性ビニル樹脂(B)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)を(B)の全構成単量体の重量を基準として15〜99重量%含有することが好ましい。(B)は(a)を構成単量体として15〜99重量%含有することにより結晶性を有する。また、(a)の炭素数が21以上であることにより耐熱保存性が良好となり、炭素数が40以下であることにより低温定着性が良好となる。
(a)としては直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、トリアコンタ(メタ)アクリレート及びドトリアコンタ(メタ)アクリレート等]及び分岐のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート[2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらの内、トナーの耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性、粉砕性及び画像強度の観点から、好ましいのは直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましいのは直鎖のアルキル基(炭素数18〜30)を有する(メタ)アクリレートであり、更に好ましいのはオクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート及びトリアコンタ(メタ)アクリレートであり、特に好ましいのはオクタデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートである。
鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
結晶性ビニル樹脂(B)はトナーの耐ホットオフセット性、耐熱保存性、粉砕性及び帯電安定性の観点から構成単量体として鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)以外に、ビニル基を有する炭素数6以下の単量体(b)を構成単量体として含有してもよい。
単量体(b)としては炭素数6以下の(メタ)アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びエチル−2−(ヒドロキシメチル)アクリラート等]、炭素数6以下のビニルエステルモノマー[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酢酸イソプロペニル等]、炭素数6以下の脂肪族炭化水素系ビニルモノマー[エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン及び1,5−ヘキサジエン等]及びニトリル基を有する炭素数6以下の単量体[(メタ)アクリロニトリル等]等が挙げられる。
これらの内、好ましいのは、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルである。
単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
結晶性ビニル樹脂(B)は耐熱保存性、耐ホットオフセット性の観点から構成単量体として鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)及び単量体(b)以外の単量体(d)を含有してもよく、単量体(d)としては、スチレン系モノマー(d1)、炭素数が6を超える(メタ)アクリル系モノマーの内の鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)を除く(メタ)アクリル系モノマー(d2)、炭素数が6を超えるビニルエステルモノマー(d3)及びニトリル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基とエチレン性不飽和結合とを有する炭素数が6を超える単量体(d4)等を構成単量体として有するものが好ましい。単量体(d)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
スチレン系モノマー(d1)としては、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン及びp−メチルスチレン等)等が挙げられる。
これらの内で好ましいのはスチレンである。
(メタ)アクリル系モノマー(d2)としては、アルキル基の炭素数が4〜17のアルキル(メタ)アクリレート[ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレート等]、アルキル基の炭素数が4〜17のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が4〜17のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]及び炭素数8〜20の不飽和カルボン酸と多価アルコールとのエステル[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
これらの内で好ましいのはブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びそれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマー(d3)としては、炭素数7〜15の脂肪族ビニルエステル及び炭素数9〜15の芳香族ビニルエステル(例えばメチル−4−ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
ニトリル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基とエチレン性不飽和結合とを有する炭素数が6を超える単量体(d4)としては、ウレタン基を有する単量体(d41)、ウレア基を有する単量体(d42)、アミド基を有する単量体(d43)、イミド基を有する単量体(d44)、アロファネート基を有する単量体(d45)及びビューレット基を有する単量体(d46)等が挙げられる。
ウレタン基を有する単量体(d41)としては、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2〜22のアルコール(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール等)と炭素数1〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体並びに炭素数1〜26のアルコールとエチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
炭素数1〜30のイソシアネートとしては、モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t−ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6−ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,3−シクロへキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソソアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
炭素数1〜26のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとしては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−[0−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
ウレア基を有する単量体(d42)としては、炭素数3〜22のアミン[一価のものとして例えば、1級アミン(ノルマルブチルアミン、t−ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、2級アミン(ジエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン及びジノルマルブチルアミン等)アニリン及びシクロヘキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
アミド基を有する単量体(d43)としては、炭素数1〜30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数3〜30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
イミド基を有する単量体(d44)としては、アンモニアとエチレン性不飽和結合を有する炭素数4〜10の無水カルボン酸(無水マレイン酸及びジアクリル酸無水物等)を公知の方法で反応させた単量体、及び炭素数1〜30の1級アミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数4〜10の無水カルボン酸を公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
アロファネート基を有する単量体(d45)としては、ウレタン基を有する単量体(d41)と炭素数1〜30のイソシアネートを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
ビューレット基を有する単量体(d46)としては、ウレア基を有する単量体(d42)と炭素数1〜30のイソシアネートを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
単量体(d4)を用いることで、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を結晶性ビニル樹脂(B)中に導入することができる。
尚、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を結晶性ビニル樹脂(B)中に導入する方法としては、上記単量体(d41)〜(d46)を用いる方法のほかに、以下の方法を用いることもできる。
まず、単量体(d41)〜(d46)を得るための2つの化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物及び他方の化合物)の内、エチレン性不飽和結合を有する化合物を鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)と反応させる。続いて、上記エチレン性不飽和結合を有する化合物と(a)との重合体に対して他方の化合物を反応させる。以上の手順によって、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と(a)との重合体」と「他方の化合物」とが結合して結晶性ビニル樹脂(B)が得られる。この反応の際に、「エチレン性不飽和結合を有する化合物と(a)との重合体」と「他方の化合物」とが、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基又はビューレット基により結合されるため、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を結晶性ビニル樹脂(B)中に導入することができる。
上記方法の場合、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体として単量体(d4)を用いているわけではないが、得られる化合物が同じであるため、便宜上、単量体(d4)を用いた又は構成単量体として単量体(d)を含有すると表現する。
これらの単量体(d4)の内、好ましいのは、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートとメタノールの反応物及び2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートとジノルマルブチルアミンの反応物である。
これらの単量体(d)の内、低温定着性、耐熱保存性、粉砕性及び原料価格の観点から好ましいのはスチレン、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートとメタノールの反応物及び2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートとジノルマルブチルアミンの反応物であり、更に好ましいのはスチレンである。
結晶性ビニル樹脂(B)は構成単量体として鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)、単量体(b)及び単量体(d)以外のその他の単量体を含有してもよく、例えばジビニルベンゼン及びアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)の重量割合は、上述の通り、結晶性ビニル樹脂(B)の重量を基準として、15〜99重量%であることが好ましい。(a)の重量割合が15重量%以上であると低温定着性が良好であり、99重量%以下であると耐ホットオフセット性が良好である。更に低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の点から、(a)の重量割合はより好ましくは30〜99重量%であり、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜90重量%、最も好ましくは50〜85重量%である。
耐熱保存性の観点から、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体中には、更に単量体(b)を含むことが好ましく、更に単量体(d)を含むことがより好ましく、単量体(b)と単量体(d)の合計が結晶性ビニル樹脂(B)の重量を基準として2〜50重量%であることが更に好ましい。
本発明における結晶性ビニル樹脂(B)は、下記関係式(1)を満たすことが耐熱保存性及び帯電安定性の観点から好ましい。
1.1≦|SP(x)−SP(a)|≦8.0 (1)
関係式(1)におけるSP(a)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)の単独重合物のSP値であり、SP(x)は、(a)以外の全ての単量体の重合物のSP値である。
尚、本発明におけるSP値(cal/cm0.5は、Robert F Fedorsらの著によるPolymer engineering and science第14巻、151〜154ページに記載されている方法で計算した25℃における値である。
また、トナーにした際の耐熱保存性の観点から、1.5≦|SP(x)−SP(a)|≦6.0を満たすことがより好ましい。
また、結晶性ビニル樹脂(B)が、THF不溶解分を含む場合、THF不溶解分の含有量は1.0重量%以下であることが好ましく、0.1〜1.0重量%であることがより好ましい。
尚、結晶性ビニル樹脂(B)は、THF不溶解分を含まないことが低温定着性の観点から好ましい。
結晶性ビニル樹脂(B)の酸価は耐熱保存性及び帯電性の観点から40以下であることが好ましく、より好ましくは0〜20であり、更に好ましくは0〜5である。
結晶性ビニル樹脂(B)の酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定することができる。
結晶性ビニル樹脂(B)のMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、1,000〜300,000が好ましい。
結晶性ビニル樹脂(B)のMwは、トナーの耐ホットオフセット性、耐熱保存性及び低温定着性観点から、1,000〜300,000が好ましい。
結晶性ビニル樹脂(B)のMn及びMwはポリエステル樹脂と同様の方法で測定できる。
本発明における結晶性ビニル樹脂(B)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)、必要に応じて用いる単量体(b)及び単量体(d)を含有する単量体組成物を公知の方法(特開平5−117330号公報等に記載の方法)で重合することで製造できる。例えば、上記単量体を溶媒(トルエン等)中でラジカル反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)とともに反応させる溶液重合法により製造することができる。
また、ラジカル反応開始剤は上記記載のラジカル反応開始剤(c)を用いてもよい。また、ラジカル反応開始剤(c)として好ましいものも上記記載と同様である。
本発明の方法により得られるトナーバインダーは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の結晶性ビニル樹脂(B)の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
また、ポリエステル樹脂(A)及び結晶性ビニル樹脂(B)以外の樹脂並びに公知の添加剤(離型剤等)を含んでもよい。
上述の通り、本発明のトナーバインダーの製造方法は、結晶性ビニル樹脂(B)の存在下でポリエステル(A1)を架橋する工程を有する。また、架橋工程におけるポリエステル(A1)の架橋方法は、下記方法(1)、(2)又は(3)であることが好ましい。
方法(1):ポリエステル(A1)が炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)であり、前記炭素−炭素二重結合を反応させて架橋する方法;
方法(2):ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、(A1)が有するカルボキシル基と3価以上の多価アルコール(s)の水酸基とを反応させて架橋するか、(A1)が有する水酸基と3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)のカルボキシル基及び/又は酸無水物基とを反応させて架橋する方法;
方法(3):前期ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、(A1)が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と多官能エポキシ化合物(E)とを反応させて架橋する方法。
架橋工程においてポリエステル(A1)及び結晶性ビニル樹脂(B)を混合する方法は一般的に行われる公知の方法等でよく、混合方法としては、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。
溶剤混合に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、THF、メチルエチルケトン及びアセトン等が挙げられる。
混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
溶融混合及び溶剤混合の内、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
なかでも結晶性ビニル樹脂(B)とポリエステル(A1)とを溶融混合しながらポリエステル(A1)を架橋する方法が好ましい。
(A1)と(B)を溶融混合しながら架橋方法(1)により(A1)を架橋する方法としては、ポリエステル(A11)と結晶性ビニル樹脂(B)との混合物を二軸押出機に一定速度で注入し、同時にラジカル反応開始剤(c)も一定速度で注入し、100〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせる方法や、ポリエステル(A11)と結晶性ビニル樹脂(B)とを反応槽等のバッチ式混合装置に仕込んで溶融させて均一混合した後、ラジカル反応開始剤(c)を仕込んで、100〜200℃の温度で架橋させる方法等が挙げられる。
二軸押出機を用いる場合、二軸押出機に投入又は注入される反応原料であるポリエステル(A11)と結晶性ビニル樹脂(B)は、それぞれ樹脂反応溶液から冷却することなくそのまま直接押出機に注入するようにしてもよいし、また一旦製造した樹脂を冷却、粉砕したものを二軸押出機に供給することにより行ってもよい。
(A1)と(B)を溶融混合しながら架橋方法(2)により(A1)を架橋する方法としては、ポリエステル(A12)と結晶性ビニル樹脂(B)とを反応槽等のバッチ式混合装置に仕込んで溶融させて均一混合した後、3価以上の多価アルコール(s)又は3価以上のポリカルボン酸又はその無水物(t)を仕込んで、100〜200℃の温度でエステル化反応させる方法等が挙げられる。
(A1)と(B)を溶融混合しながら架橋方法(3)により(A1)を架橋する方法としては、ポリエステル(A12)と結晶性ビニル樹脂(B)とを二軸押出機に一定速度で注入し、同時に多官能エポキシ化合物(E)も一定速度で注入し、100〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせる方法や、ポリエステル(A12)と結晶性ビニル樹脂(B)とを反応槽等のバッチ式混合装置に仕込んで溶融させて均一混合した後、多官能エポキシ化合物(E)を仕込んで、100〜200℃の温度で架橋させる方法等が挙げられる。
本発明におけるトナーバインダー製造時(架橋反応前)の、ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)の重量比[(A1):(B)]は、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の点から、5:95〜50:50が好ましく、より好ましくは10:90〜45:55であり、更に好ましくは13:87〜42:58であり、特に好ましくは15:85〜40:60である。
ポリエステル(A1)を架橋する温度は、架橋の均一性や生産性の観点から好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは120〜195℃であり、更に好ましくは130〜190℃であり、特に好ましくは140〜190℃である。架橋する温度が200℃を超えると結晶性ビニル樹脂の分解が起こってしまうため耐熱保存性が悪化する場合があり、架橋する温度が100℃より低いと樹脂粘度が高く架橋の均一性が悪化する場合がある。
二軸押出機等の連続式混合装置を用いて架橋される方法における架橋工程の時間は、架橋の均一性や生産性の観点から、好ましくは1〜300分、より好ましくは2〜240分、更に好ましくは3〜180分、特に好ましくは4〜120分である。
反応槽等のバッチ式混合装置を用いて架橋される方法における架橋工程の時間は、架橋の均一性や生産性の観点から、好ましくは30〜600分、より好ましくは60〜540分、更に好ましくは90〜480分、特に好ましくは120〜420分である。
方法(1)及び方法(2)で架橋する場合、ポリエステル(A1)の架橋時及び/又は架橋後に反応系内を減圧する工程を有することが好ましい。方法(1)で架橋する場合、前述した通り有機溶剤や開始剤分解残渣等を除去するためである。また、方法(2)で架橋する場合、ポリエステル(A12)のエステル化を促進させるため減圧する方が好ましいためである。減圧工程は、架橋反応の開始と同時、架橋反応中又は架橋反応後のいずれの時期に開始してもよい。
減圧工程の温度は、脱揮効率や生産性の観点から好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは120〜195℃であり、更に好ましくは130〜190℃であり、特に好ましくは140〜190℃である。減圧する際の温度が200℃を超えると結晶性ビニル樹脂の分解が起こり耐熱保存性が悪化する場合があり、減圧する際の温度が100℃より低いと樹脂粘度が高く効率が悪くなる場合がある。
架橋方法(1)における減圧工程の時間は、耐熱保存性及び生産性の観点から、好ましくは1〜300分、より好ましくは2〜240分、更に好ましくは3〜180分、特に好ましくは4〜120分である。
架橋方法(2)における減圧工程の時間は、耐熱保存性、耐ホットオフセット性及び生産性の観点から、好ましくは30〜600分、より好ましくは60〜540分、更に好ましくは90〜480分、特に好ましくは120〜420分である。
減圧工程における減圧度は、耐熱保存性、耐ホットオフセット性及び生産性の観点から、好ましくは0.01〜30kPa、より好ましくは0.05〜20kPa、更に好ましくは0.08〜10kPa、特に好ましくは0.1〜5kPaである。
本発明において、架橋工程及び減圧工程以外の工程は特に制限されず、一般的なトナーバインダーの製造工程を採用することができる。
例えば、溶融混合して架橋工程を行った場合はトナーバインダーを取り出して、また、溶剤混合して架橋工程を行った場合は脱溶剤後にトナーバインダーを取り出して粉砕する工程を設けることができる。また、溶剤混合して架橋工程を行った場合、水中に分散させた後、造粒及び脱溶剤する工程を設けることができる。更に得られた粒状のトナーバインダーに添加剤を公知の方法等で混合する工程を設けることもできる。
本発明の方法により得られるトナーバインダーは、示差走査熱量測定(DSC測定ともいう)により得られる示差走査熱量曲線において、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有することが好ましく、上記ピークトップ温度(Tm)を45〜80℃の範囲に少なくとも1個有することがより好ましい。上記ピークトップ温度(Tm)が上記範囲にあると、トナーバインダーの低温定着性、耐熱保存性及び光沢性のバランスがよい。これは結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)で結晶性ビニル樹脂(B)が急激に溶融してトナーバインダーを低粘度化するためであり、またトナー化した際に必要な保管安定性を満足するためである。
但し、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程における示差走査熱量曲線における、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのトップを示す温度である。また、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークが複数ある場合には(Tm)は、それぞれの吸熱ピークから計算される吸熱量が最も大きい吸熱ピークのピークトップ温度である。
トナーバインダーの吸熱ピークトップ温度(Tm)は、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)の炭素数を調整すること、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する(a)の重量比率を調整すること及び上記関係式(1)を満たすこと等により上記の好ましい範囲に調整することができる。一般的には(a)の炭素数を増やす、(a)の重量比率を増やす、結晶性ビニル樹脂(B)の重量平均分子量を増やすことにより吸熱ピークトップ温度(Tm)が上がる。また、結晶性ビニル樹脂(B)の含有量が少ない場合は、ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)とのSP値の差を大きくすることで吸熱ピークトップ温度(Tm)が下がりにくくなる。
吸熱ピークトップ温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて、下記条件で測定される値である。示差走査熱量計としては、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20等を用いることができる。
<測定条件>
(1)30℃で10分間保持
(2)10℃/分で150℃まで昇温
(3)150℃で10分間保持
(4)10℃/分で0℃まで冷却
(5)0℃で10分間保持
(6)10℃/分で150℃まで昇温
(7)(6)の過程にて測定される示差走査熱量曲線の各吸熱ピークを解析する。
本発明の方法により得られるトナーバインダーは、示差走査熱量測定(DSC)を行った際に得られた示差走査熱量曲線において、−30℃〜80℃の温度範囲に、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有することが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点は、35〜65℃の温度範囲にあることがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点が、−30℃以上の温度範囲にある場合、耐熱保存性が良好になり、80℃以下の温度範囲にある場合、定着性が良好になる。
尚、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)により決定することができる。ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20等を用いることができる。
<測定条件>
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で−35℃まで冷却
(4)−35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析する。
本発明の方法により得られるトナーバインダーは、THF不溶解分を含む場合がある。
トナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量(重量%)は、光沢性、耐ホットオフセット性及び低温定着性の観点から、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは、15重量%以下であり、特に好ましくは、0.1〜10重量%である。
トナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量(重量%)は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mLのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量をTHF不溶解分の重量とし、試料の重量からTHF不溶解分の重量を引いた重量をTHF可溶分の重量とし、THF不溶解分とTHF可溶分の重量%を算出する。
本発明の方法により得られるトナーバインダーのMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立の観点から、500〜24,000が好ましく、より好ましくは700〜17,000、更に好ましくは900〜12,000である。
本発明の方法により得られるトナーバインダーのMwは、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性との両立の観点から、5,000〜120,000が好ましく、より好ましくは7,000〜100,000、更に好ましくは9,000〜90,000であり、特に好ましくは10,000〜80,000である。
本発明の方法により得られるトナーバインダーの分子量分布Mw/Mnは、トナーの耐ホットオフセット性、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、2〜30が好ましく、より好ましくは2.5〜28、更に好ましくは3〜26である。
本発明の方法により得られるトナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、トナーバインダーの重量に基づいて20〜2000ppmであることが好ましい。有機溶剤含有量が2000ppm以下であると耐熱保存性及び臭気が良好となり、20ppm以上であると低温定着性及び光沢性が良好になる。トナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、より好ましくは20〜1500ppmであり、更に好ましくは30〜1000ppmであり、特に好ましくは40〜500ppmである。
特にポリエステル(A1)をラジカル反応開始剤(c)を用いて架橋反応させラジカル反応開始剤(c)の分解物が発生する反応を用いた場合でも発生した分解物である有機溶剤含有量を上記範囲にすることにより、臭気、耐ホットオフセット性、粉砕性、画像強度及び流動性に優れたトナーを得ることができる。
有機溶剤含有量を制御する方法としては、例えば、ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ビニル樹脂(B)及びトナーバインダーを製造する際の(1)有機溶剤使用量の制御、(2)開始剤量の制御(開始剤分解物の制御)、(3)(1)及び(2)で使用した有機溶剤及び開始剤分解残渣の脱溶剤による制御等が挙げられる。
(3)において、有機溶剤を脱溶剤する方法及び開始剤分解残渣を脱溶剤する方法としては、特に限定されないが、上記減圧工程で脱溶剤する方法やトナーバインダーを粉砕したものを二軸押出機に供給し、溶融搬送しながらベント口から減圧を行う方法が挙げられる。このとき、溶融温度や軸回転数、減圧度等を調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。また、トナーバインダーを粉砕したものを脱溶剤の対象となる有機溶剤の種類に応じて温度及び圧力(常圧ないし減圧)が調整された乾燥機に入れることで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。尚、攪拌機を用いて撹拌しながら減圧してもよい。このとき、温度や減圧度、撹拌速度等を調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。脱溶剤の温度は、好ましくは20〜200℃、より好ましくは30〜170℃、更に好ましくは40〜160℃である。脱溶剤の減圧度について好ましくは0.01〜100kPa、より好ましくは0.1〜95kPa、更に好ましくは1〜90kPaである。
また、短時間で脱溶剤する方法が、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)のエステル交換反応が起こりにくく、耐ホットオフセット性と低温定着性が良好なため好ましい。
有機溶剤の含有量(ppm)は、例えばガスクロマトグラフ分析やガスクロマトグラフ質量分析等の下記条件で測定することができる。
実施例におけるトナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、以下の条件で測定した。
[ガスクロマトグラフ分析測定条件]
ガスクロマトグラフ :Agilent 6890N
質量分析装置 :Agilent 5973 inert
カラム :ZB−WAX(液相:(14%−シアノプロピル−フェニル)メチルポリシロキサン) 0.25mm×30m df=1.0μm
カラム温度 :70℃→300℃(10℃/分)
インジェクション温度:200℃
スプリット比 :50:1
注入量 :1μL
ヘリウム流量 :1mL/分
検出器 :MSD
トナーバインダーが含有する有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、へプタン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、スチレン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、ジクロロメタン、オルトジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、無水酢酸、酢酸、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、トリエチルアミン、ピリジン、アセトフェノン、t−ヘキシルアルコール、t−アミルアルコール及びt−ブトキシベンゼン等が挙げられる。
これらの内、耐熱保存性及び臭気の観点から、好ましいのは炭素数が2〜10である化合物であり、より好ましいのは炭素数が3〜8である化合物であり、更に好ましいのはアセトン、イソプロピルアルコール及びt−ブタノールである。
本発明の方法により得られるトナーバインダーを用いてトナーを製造する際に、本発明のトナーバインダー以外に、必要により、着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等から選ばれる1種以上の公知の添加剤等を用いることができる。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料及び顔料等のすべてを使用することができる。例えば、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、着色剤は、これらは単独であってもよく、2種以上が混合されたものであってもよい。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、トナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは3〜10重量部である。尚、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによるフロー軟化点(T1/2)が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、エステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
離型剤のフロー軟化点(T1/2)は以下の条件で測定される値である。
<フロー軟化点(T1/2)の測定方法>
降下式フローテスター[たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点(T1/2)とする。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及びそれをさらに熱減成して得られるものを含む]、(例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体)、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHi−Mic−2095、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045等が挙げられる。
パラフィンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のParaffin WAX−155、Paraffin WAX−150、Paraffin WAX−145、Paraffin WAX−140、Paraffin WAX−135、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−51等が挙げられる。
フィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社製のSasolwax C80等が挙げられる。
カルナバワックスとしては、株式会社加藤洋行社製の精製カルナウバワックス 特製1号等が挙げられる。
エステルワックスとしては、脂肪酸エステルワックス(例えば、日油社製のニッサンエレクトールWEP−2、WEP−3、WEP−4、WEP−5及びWEP−8等)等が挙げられる。
高級アルコール類としては、炭素数30〜50の脂肪族アルコール等であり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸類としては、炭素数30〜50の脂肪酸等であり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、三菱ケミカル社製のダイヤミッドY、ダイヤミッド200等が挙げられる。
上記の中では低温定着性の観点から好ましくは、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス及びエステルワックスが好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよく、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、炭酸カルシウム、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。トナーの帯電性の観点からシリカが好ましい。また、シリカは、トナーの転写性の観点から疎水性シリカであることが好ましい。
トナー中のトナーバインダーの含有量はトナー重量に基づき、好ましくは30〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%、更に好ましくは45〜92重量%である。
着色剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0.05〜60重量%、より好ましくは0.1〜55重量%、更に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の含有量の合計量はトナー重量に基づき、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは4〜58重量%、更に好ましくは5〜50重量%である。
トナーの組成比を上記の範囲とすることで、耐ホットオフセット性、画像強度、耐熱保存性、流動性、帯電安定性、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性が良好なトナーを容易に得ることができる。
本発明の方法により得られるトナーバインダーを含有するトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
尚、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター{例えば、商品名:マルチサイザーIII[ベックマン・コールター(株)製]}を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明の方法により得られるトナーバインダーを含有するトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。キャリア粒子を用いる場合、トナーとキャリア粒子との重量比は、1/99〜99/1が好ましい。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明の方法により得られるトナーバインダーを含有するトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
本発明のトナー及びトナーバインダーは電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられる。更に詳しくは、特にフルカラー用に好適な静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、「部」は重量部を示す。
<製造例1> [ポリエステル(A11−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)としてのビスフェノールA・EO2.0モル付加物741部及びトリメチロールプロパン13部、飽和カルボン酸成分(w)としてのテレフタル酸124部及びアジピン酸115部並びに触媒としてのチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した。重合禁止剤としてのtert−ブチルカテコール1部を入れ、更に不飽和カルボン酸成分(y)としてのフマル酸を86部入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下に8時間反応させた後取り出し、ポリエステル(A11−1)を得た。
上記の方法で測定したポリエステル(A11−1)のガラス転移温度は38℃、ピークトップ分子量は11000、酸価は2mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/g、二重結合量は0.69ミリモル/gであった。
<製造例2〜8> [ポリエステル(A11−2)〜(A11−8)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した飽和アルコール成分(x)、飽和カルボン酸成分(w)及び不飽和カルボン酸成分(y)を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル(A11−2)〜(A11−8)を得た。表1に得られたポリエステル(A11−2)〜(A11−8)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、水酸基価及び二重結合量を記載した。
<製造例9> [ポリエステル(A12−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)としてのビスフェノールA・EO2.0モル付加物813部、飽和カルボン酸成分(w)としてのテレフタル酸70部、アジピン酸147部及び無水トリメリット酸24部並びに触媒としてのチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した後取り出し、ポリエステル(A12−1)を得た。表1に得られたポリエステル(A12−1)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、水酸基価及び二重結合量を記載した。
<製造例10〜12> [ポリエステル(A12−2)〜(A12−4)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した飽和アルコール成分(x)、飽和カルボン酸成分(w)及び不飽和カルボン酸成分(y)を仕込み、それ以外は製造例9と同様に反応を行い、ポリエステル(A12−2)〜(A12−4)を得た。表1に得られたポリエステル(A12−2)〜(A12−4)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、水酸基価及び二重結合量を記載した。
<製造例13> [ポリエステル樹脂(A12−5)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)としてのビスフェノールA・PO3.0モル付加物717部、トリメチロールプロパン10部、飽和カルボン酸成分(w)としてのテレフタル酸236部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させ、酸価が1mgKOH/g未満であることを確認した後、180℃まで降温した。アジピン酸113部を入れ2時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に3時間反応させ、酸価30mgKOH/gであることを確認した後取り出し、ポリエステル(A12−5)を得た。表1に得られたポリエステル(A12−5)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、水酸基価及び二重結合量を記載した。
<製造例14> [ポリエステル樹脂(A12−6)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)としてのビスフェノールA・EO2.0モル付加物695部、トリメチロールプロパン12部、飽和カルボン酸成分(w)としてのテレフタル酸182部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させ、酸価が1mgKOH/g未満であることを確認した後、180℃まで降温した。アジピン酸195部を入れ2時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に3時間反応させ、酸価28mgKOH/gであることを確認した後取り出し、ポリエステル(A12−6)を得た。表1に得られたポリエステル(A12−6)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価、水酸基価及び二重結合量を記載した。
<比較製造例1> [ポリエステル(A11’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(w)を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、比較例で用いる炭素−炭素二重結合を有さないポリエステル(A11’−1)を得た。表1に得られたポリエステル(A11’−1)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価及び二重結合量を記載した。
<比較製造例2> [ポリエステル(A11’−2)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、飽和アルコール成分(x)としてのプロピレングリコール710部、飽和カルボン酸成分(w)としてのテレフタル酸775部、触媒としてのチタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)0.6部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水と過剰のプロピレングリコールを留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応後取り出し、比較例で用いる炭素−炭素二重結合を有さないポリエステル(A11’−2)を得た。尚未反応で回収されたプロピレングリコールは325部であった(従って、表1のプロピレングリコール量を385部と記載している)。表1に得られたポリエステル(A11’−2)のガラス転移温度、ピークトップ分子量、酸価及び二重結合量を記載した。
Figure 0006983844
<製造例15> [結晶性ビニル樹脂(B−1)の製造]
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート[以下においてC22アクリレートと略記、日油(株)製、以下同様]450部、スチレン[出光興産(株)製、以下同様]150部、アクリロニトリル[ナカライテクス(株)製、以下同様]150部、ジ−t−ブチルパーオキシド[パーブチルD、日油(株)製、以下同様]1.5部、及びキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン12部で洗浄した。更に同温度で4時間保ち重合を完結させた。100℃で3時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−1)を得た。表2に組成を記載した。
上記の方法で測定した結晶性ビニル樹脂(B−1)の吸熱ピークトップ温度は60℃、酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量は14000、|SP(x)−SP(a)|は3.6(cal/cm0.5であった。
<製造例16> [結晶性ビニル樹脂(B−2)の製造]
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例15と同様に反応を行い、結晶性ビニル樹脂(B−2)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
尚、表2におけるC18アクリレート(a−2)は、協栄社化学(株)製のステアリルアクリレート(オクタデシルアクリレート)である。
<製造例17> [結晶性ビニル樹脂(B−3)の製造]
オートクレーブにトルエン470部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。C22アクリレート500部、スチレン250部、アクリロニトリル250部、メタクリル酸[東京化成工業(株)製]20部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩[エレミノールJS−2、三洋化成工業(株)製]5部、2−イソシアナトエチルメタクリレート[カレンズMOI、昭和電工(株)製]19部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[パーブチルO、日油(株)製]3.7部、及びトルエン240部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。更に同温度で4時間保ち重合を完結させたのち、ジノルマルブチルアミンを16部、ビスマス系触媒[日東化成工業(株)製、ネオスタンU−600]を5部加え、90℃で6時間反応を行った。その後100℃にて脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−3)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−3)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
<製造例18> [トリアコンタアクリレートの製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1−トリアコンタノール[東京化成工業(株)製]50部、トルエン50部、アクリル酸12部[三菱ケミカル(株)製]、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を300mmHgに調整し、生成する水を除去しながら更に3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、トリアコンタアクリレート(表2中ではC30アクリレートと略記)を得た。
<製造例19〜22及び比較製造例3〜4> [結晶性ビニル樹脂(B−4)〜(B−7)、(B’−1)及び(B’−2)の製造]
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例15と同様に反応を行い、結晶性ビニル樹脂(B−4)〜(B−7)、(B’−1)、(B’−2)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−4)〜(B−7)、(B’−1)、(B’−2)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。尚、結晶性ビニル樹脂(B’−1)及び(B’−2)は鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)の含有量が15重量%未満であるため、明確な吸熱ピークが存在せず、結晶性ビニル樹脂(B)には該当しない。
尚、酢酸ビニル(b−2)及びブチルアクリレート(d−3)は下記のものを用いた。
酢酸ビニル:日本酢ビ・ポバール(株)製
ブチルアクリレート:東京化成工業(株)製、表2中ではC4アクリレートと略記
<製造例23> [結晶性ビニル樹脂(B−8)の製造]
オートクレーブにキシレン250部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で105℃まで昇温した。C22アクリレート600部、スチレン75部、アクリロニトリル225部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル[三菱ガス化学(株)製]100部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[パーブチルO、日油(株)製]10部及びキシレン700部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を105℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン50部で洗浄した。更に同温度で4時間保ち重合を完結させた。170℃で3時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−8)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−8)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
<製造例24> [結晶性ビニル樹脂(B−9)の製造]
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で120℃まで昇温した。C22アクリレート450部、スチレン75部、アクリロニトリル225部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート[パーブチルI、日油(株)製]1.5部及びキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を120℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン50部で洗浄した。更に同温度で1時間保った後、1時間かけて130℃まで昇温した。更に同温度で2時間保ち重合を完結させた。170℃で3時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−9)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−9)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
<製造例25> [結晶性ビニル樹脂(B−10)の製造]
オートクレーブにトルエン150部と酢酸ビニル75部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で60℃まで昇温した。C22アクリレート300部、スチレン51部、アクリロニトリル25部、酢酸ビニル100部、アクリル酸24部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[V−65、富士フイルム和光純薬(株)製]5.0部及びトルエン325部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を60℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをトルエン50部で洗浄した。更に同温度で1時間保った後、1時間かけて80℃まで昇温した。更に同温度で1時間保ち重合を完結させた。120℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−10)を得た。表2に得られた結晶性ビニル樹脂(B−10)の吸熱ピークトップ温度、酸価、重量平均分子量及び|SP(x)−SP(a)|を記載した。
Figure 0006983844
<実施例1> [トナーバインダー(C−1)の製造]
ポリエステル(A11−1)32部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)68部を混合し、二軸混練機[(株)栗本鉄工所製、S5KRCニーダー]に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてのt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−3)1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、更にベント口から5kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却することにより、実施例1に係るトナーバインダー(C−1)を得た。
<実施例2〜12> [トナーバインダー(C−2)〜(C−12)の製造]
表3に示した重量部数のポリエステル(A11)、結晶性ビニル樹脂(B)を混合し、二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、表3に示した架橋温度で実施例1と同様に架橋反応と有機溶剤の除去を行い、実施例2〜12に係るトナーバインダー(C−2)〜(C−12)を得た。
尚、表2〜表4中のラジカル反応開始剤(c)は以下の通りである。
(c−1):ジ−t−ブチルパーオキシド
(c−2):t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
(c−3):t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート
(c−4):t−ブチルパーオキシベンゾエート
(c−5):2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
<実施例13> [トナーバインダー(C−13)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A11−2)20部及び結晶性ビニル樹脂(B−8)80部を混合し、160℃で均一化した。その後ジ−t−ブチルパーオキシド1部を投入し、160℃で3時間架橋反応行った。その後、160℃で4時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧し、開始剤由来の分解生成物を除去した。得られたものを冷却することにより、実施例13に係るトナーバインダー(C−13)を得た。
<実施例14> [トナーバインダー(C−14)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A11−5)30部及び結晶性ビニル樹脂(B−8)70部を混合し、175℃で均一化した。その後ジ−t−ブチルパーオキシド2部を投入し、175℃で1時間架橋反応行った。その後、175℃で2時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧し、開始剤由来の分解生成物を除去した。得られたものを冷却することにより、実施例14に係るトナーバインダー(C−14)を得た。
<実施例15> [トナーバインダー(C−15)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A11−1)20部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)80部を混合し、150℃で均一化した。その後ジ−t−ブチルパーオキシド3部を投入し、150℃で5時間架橋反応行った。その後、150℃で6時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧し、開始剤由来の分解生成物を除去した。得られたものを冷却することにより、実施例15に係るトナーバインダー(C−15)を得た。
<実施例16> [トナーバインダー(C−16)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−1)19.5部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)80部を混合し、180℃で均一化した。その後無水トリメリット酸0.5部投入し30分均一化した後、5時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例16に係るトナーバインダー(C−16)を得た。
<実施例17> [トナーバインダー(C−17)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−2)29部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)70部を混合し、190℃で均一化した。その後無水トリメリット酸1部投入し30分均一化した後、5時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例17に係るトナーバインダー(C−17)を得た。
<実施例18> [トナーバインダー(C−18)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−3)18部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)80部を混合し、170℃で均一化した。その後トリメチロールプロパン2部投入し30分均一化した後、3時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例18に係るトナーバインダー(C−18)を得た。
<実施例19> [トナーバインダー(C−19)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−4)29.5部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)70部を混合し、175℃で均一化した。その後無水トリメリット酸0.5部投入し30分均一化した後、7時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例19に係るトナーバインダー(C−19)を得た。
<実施例20> [トナーバインダー(C−20)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−4)39部及び結晶性ビニル樹脂(B−5)60部を混合し、195℃で均一化した。その後無水トリメリット酸1部投入し30分均一化した後、7時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例20に係るトナーバインダー(C−20)を得た。
<実施例21> [トナーバインダー(C−21)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−3)14部及び結晶性ビニル樹脂(B−6)85部を混合し、160℃で均一化した。その後トリメチロールプロパン1部投入し30分均一化した後、6時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例21に係るトナーバインダー(C−21)を得た。
<実施例22> [トナーバインダー(C−22)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−1)14部及び結晶性ビニル樹脂(B−4)85部を混合し、185℃で均一化した。その後無水トリメリット酸1部投入し30分均一化した後、4時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例22に係るトナーバインダー(C−22)を得た。
<実施例23> [トナーバインダー(C−23)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−2)23部及び結晶性ビニル樹脂(B−7)75部を混合し、190℃で均一化した。その後無水トリメリット酸2部投入し30分均一化した後、2時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。得られたものを冷却することにより、実施例23に係るトナーバインダー(C−23)を得た。
<実施例24> [トナーバインダー(C−24)の製造]
ポリエステル(A12−5)40部、結晶性ビニル樹脂(B−9)60部、jER157S70[ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製、以下同様、エポキシ当量209](E−1)1.1部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール[富士フイルム和光純薬(株)製、以下同様]0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−24)を得た。
<実施例25> [トナーバインダー(C−25)の製造]
ポリエステル(A12−5)60部、結晶性ビニル樹脂(B−9)40部、jER157S70(E−1)2.1部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−25)を得た。
<実施例26> [トナーバインダー(C−26)の製造]
ポリエステル(A12−5)40部、結晶性ビニル樹脂(B−10)60部、jER157S70(E−1)4.0部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−26)を得た。
<実施例27> [トナーバインダー(C−27)の製造]
ポリエステル(A12−5)60部、結晶性ビニル樹脂(B−10)40部、jER157S70(E−1)6.5部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−27)を得た。
<実施例28> [トナーバインダー(C−28)の製造]
ポリエステル(A12−5)40部、結晶性ビニル樹脂(B−9)60部、jER1001[ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル(株)製、以下同様、エポキシ当量470](E−2)3.0部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−28)を得た。
<実施例29> [トナーバインダー(C−29)の製造]
ポリエステル(A12−5)60部、結晶性ビニル樹脂(B−9)40部、jER1001(E−2)6.0部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−29)を得た。
<実施例30> [トナーバインダー(C−30)の製造]
ポリエステル(A12−6)40部、結晶性ビニル樹脂(B−9)60部、jER157S70(E−1)1.2部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−6)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−30)を得た。
<実施例31> [トナーバインダー(C−31)の製造]
ポリエステル(A12−6)60部、結晶性ビニル樹脂(B−9)40部、jER157S70(E−1)2.0部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−6)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−31)を得た。
<実施例32> [トナーバインダー(C−32)の製造]
ポリエステル(A12−5)40部、結晶性ビニル樹脂(B−9)60部、EPPN−201[フェノールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製、以下同様、エポキシ当量193](E−3)1.1部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、160℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−32)を得た。
<実施例33> [トナーバインダー(C−33)の製造]
ポリエステル(A12−5)60部、結晶性ビニル樹脂(B−9)40部、EPPN−201(E−3)2.2部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、160℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−33)を得た。
<実施例34> [トナーバインダー(C−34)の製造]
ポリエステル(A12−5)20部、結晶性ビニル樹脂(B−10)80部、jER157S70(E−1)1.9部及びエポキシ化触媒であるイミダゾール0.1部を混合し、二軸混練機に80kg/時で供給し、180℃で5分間90rpmで混練押出して架橋反応を行った。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A12−5)がエポキシ化合物により変性されたポリエステル樹脂を含有したトナーバインダー(C−34)を得た。
<比較例1〜5> [トナーバインダー(C’−1)〜(C’−5)の製造]
表4に示した重量部数のポリエステル(A11)又は(A11’)と、結晶性ビニル樹脂(B)又は結晶性ビニル樹脂(B’)を混合し、実施例1と同様に二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応を行い、比較例1〜5に係るトナーバインダー(C’−1)〜(C’−5)を得た。
<比較例6>[トナーバインダー(C’−6)の製造]
ポリエステル(A11−1)32部を二軸混練機に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてのt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−3)1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、更にベント口から10kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合し冷却した。得られた樹脂32部と結晶性ビニル樹脂(B−1)68部を再び二軸混練機に52kg/時で供給して溶融混練し、得られたものを冷却することにより比較例6に係るトナーバインダー(C’−6)を得た。
<比較例7>[トナーバインダー(C’−7)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、ポリエステル(A12−2)29部及び無水トリメリット酸1部を混合し、190℃で均一化した。その後5時間0.5〜2.5kPaの条件で減圧エステル化を行い、架橋反応を行った。ここに結晶性ビニル樹脂(B−1)70部を投入し、溶融混練した後、得られたものを冷却することにより比較例7に係るトナーバインダー(C’−7)を得た。
Figure 0006983844
Figure 0006983844
Figure 0006983844
上記の方法で、各実施例及び各比較例に係るトナーバインダーの有機溶剤の含有量、結晶性ビニル樹脂(B)に由来する吸熱ピークトップ温度(表3、表4及び表5中では、単に吸熱ピークトップ温度と記載)、ガラス転移温度、THF不溶解分を測定した。結果を表3、表4及び表5に示す。実施例1〜34、比較例1及び3において(B)由来の吸熱ピークは1つのみであった。また、トナーバインダーのDSC測定により求められた(B)由来の吸熱ピークトップ温度は、表2に示したビニル樹脂に由来する吸熱ピークトップ温度と対応していることを確認した。
比較例2、比較例4及び比較例5は(B)を含まないため、(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)の値が観測できなかった(表2中、「−」で示している)。また、比較例3では、ガラス転移温度が−35℃以下であったため、ガラス転移温度を「−」と記載している。
<実施例35> [トナー(T−1)の製造]
実施例1に係るトナーバインダー(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱化学(株)製、MA−100]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練した。次いで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]を用いて微粉砕した後、エルボージェット分級機[(株)マツボー製、EJ−L−3(LABO)型]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
次いで、トナー粒子100部に流動化剤としてのコロイダルシリカ[日本アエロジル(株)製、アエロジルR972]1部をサンプルミルにて混合して、実施例35に係るトナー(T−1)を得た。
<実施例36〜68> [トナー(T−2)〜(T−34)の製造]
表6〜表8に記載した原料の配合部数で、実施例35と同様にトナーを製造し、実施例36〜68に係るトナー(T−2)〜(T−34)を得た。
<比較例8〜14> [トナー(T’−1)〜(T’−7)の製造]
表8に記載した原料の配合部数で、実施例35と同様にトナーを製造し、比較例8〜14に係るトナー(T’−1)〜(T’−7)を得た。
得られたトナー(T−1)〜(T−34)及び(T’−1)〜(T’−7)について、以下の方法により低温定着性、耐ホットオフセット性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性、耐久性及び粉砕性を測定又は評価した結果を表6〜表8に記載した。
[評価方法]
<低温定着性>
トナーを紙面上に1.00mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。
この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜200℃の範囲を5℃刻みで通した。
次に定着画像へのコールドオフセットの有無を目視し、コールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
この評価条件では、MFTは一般には125℃以下であることが好ましい。
<耐ホットオフセット性>
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜200℃の範囲を5℃刻みで通した。
次に定着画像へのホットオフセットの有無を目視し、ホットオフセットの発生温度を測定した。
ホットオフセットの発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。この評価条件では、180℃以上であることが好ましい。
<画像強度>
上記の低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600−5−4(1999)に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはB以上であることが好ましい。
<耐熱保存性>
トナー1gを密閉容器に入れ、温度50℃、湿度50%の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが全く発生しておらず、耐熱保存性に優れる。
△:一部にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が劣る。
×:全体にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が大きく劣る。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分後の帯電量/摩擦時間10分後の帯電量」を計算し、これを帯電安定性指数とした。帯電安定性指数が大きいほど帯電安定性に優れることを意味する。この評価条件では0.7以上であると好ましい。
<光沢性>
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、トナーの定着を行った。
次に、トナーが定着した紙面の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を、コールドオフセットの発生温度(MFT)以上の温度からホットオフセットが発生した温度まで、5℃ごとに測定し、その範囲において最も高い光沢度(最大光沢度)(%)をトナーの光沢性の指標とする。
例えば、120℃では10%、125℃では15%、130℃では20%、135℃では18%であれば、130℃の20%が最も高い値なので20%を採用する。
光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この評価条件では、10%以上が好ましい。
<耐久性>
トナーを二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[シャープ(株)製、AR5030、]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
[判定基準]
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
<粉砕性>
トナー(T−1)〜(T−34)及び(T’−1)〜(T’−7)に用いたそれぞれのトナーバインダー85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱化学(株)製、MA−100]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え、ヘンシェルミキサー日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練して得た混合物を冷却後に8.6メッシュパス〜30メッシュオンの大きさに粉砕分級したものを粉砕性評価用粒子として用い、この粉砕性評価用粒子を超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.64MPa
粉砕時間:15分
セパレ−ター周波数:150Hz
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕性評価用粒子としては、微粉砕物を分級せずにそのまま使用し、その体積平均粒径(μm)をコールターカウンター[商品名:マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)]により測定した。
体積平均粒径が小さいほど、粉砕性に優れることを意味する。この評価条件では、8.0μm以下であることが好ましい。
Figure 0006983844
Figure 0006983844
Figure 0006983844
表6〜表8の評価結果から明らかなように、実施例35〜68に係るトナー(T−1)〜(T−34)はいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。
一方、比較例8〜14に係るトナー(T’−1)〜(T’−7)は、いくつかの性能項目が不良であった。
本発明の製造方法により得られたトナーバインダー及びそれを用いたトナーは、低温定着性及び耐ホットオフセット性を維持しつつ、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性に優れ、電子写真、静電記録や静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーバインダー及びトナーとして好適に使用できる。
更に、塗料用添加剤、接着剤用添加剤及び電子ペーパー用粒子等の用途にも好適である。

Claims (7)

  1. 結晶性ビニル樹脂(B)の存在下でポリエステル(A1)を架橋する工程を有するトナーバインダーの製造方法であって、架橋反応の温度が100〜200℃であり、前記ポリエステル(A1)を架橋する方法が、下記方法(3)であるトナーバインダーの製造方法。
    方法(3):前記ポリエステル(A1)がカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)であり、前記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステル(A12)の酸価と水酸基価との合計値が30〜150mgKOH/gであり、(A1)が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と多官能エポキシ化合物(E)とを反応させて架橋する方法。
  2. 前記ポリエステル(A1)の架橋時及び/又は架橋後に反応系内を減圧する工程を有する請求項に記載のトナーバインダーの製造方法。
  3. 前記結晶性ビニル樹脂(B)が、必須構成単量体として鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレート(a)を(B)の全構成単量体の重量を基準として15〜99重量%含有する請求項1又は2に記載のトナーバインダーの製造方法。
  4. 前記結晶性ビニル樹脂(B)が、更にビニル基を有する炭素数6以下の単量体(b)を必須構成単量体とする重合物である請求項に記載のトナーバインダーの製造方法。
  5. 架橋する前の前記ポリエステル(A1)と前記結晶性ビニル樹脂(B)の重量比[(A1):(B)]が、5:95〜60:40である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーバインダーの製造方法。
  6. 前記ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)が、−35〜55℃である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーバインダーの製造方法。
  7. 得られたトナーバインダーの下記測定条件による第2回目の昇温過程における示差走査熱量曲線が、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有する請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーバインダーの製造方法。
    [測定条件]
    示差走査熱量計を用いて、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温を行う。
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