JP6829276B2 - トナーバインダー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーバインダーに関する。
近年、電子写真システムの発展に伴い、複写機やレーザープリンター等の電子写真装置の需要は急速に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。
フルカラー電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に色画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して多色画像を得る方法や装置が知られている。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーはまず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
さらに、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
また、最近では用いられる転写材として、表面凹凸の大きい再生紙や、表面が平滑なコート紙など多くの種類の紙が用いられる。これらの転写材の表面性に対応するために、ソフトローラーやベルトローラーなどのニップ幅の広い定着器が好ましく用いられている。しかし、ニップ幅を広くすると、トナーと定着ローラーとの接触面積が増え、定着ローラーに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象が発生するため、耐ホットオフセット性が要求されるのが前提である。
上記に加えて、多色画像(フルカラー)は写真画像などの再現等から白黒画像(モノクロ)に比べてはるかに高い光沢が必要とされ、得られる画像のトナー層が平滑になるようにする必要がある。
したがって、高い光沢を有しながら耐ホットオフセット性を維持しつつ、低温定着性を発現させる必要があり、広いワーキングレンジで高光沢なトナー画像が要求されるようになってきている。
トナーバインダーは、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、保存性と定着性のバランスを取りやすいことから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂(トナーバインダーともいう)のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下する。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
その中で、低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーを含有するトナー組成物が知られている(特許文献1及び2参照)。しかし、近年、耐熱保存性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)の要望がますます高まっており、なお不充分である。
その他の方法として結着樹脂に非晶性樹脂と結晶性樹脂とを併用することで、結晶性樹脂の溶融特性から、トナーの低温定着性や光沢性が向上することが知られている(特許文献3)。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の耐ホットオフセット性やトナーの耐熱保存性に課題が生じる。
これに対し、溶融混練工程後に加熱処理を行い結晶性樹脂の結晶性を再現させる方法(特許文献4)、結晶性ポリエステルに用いられる構成成分として炭素数が8から62までの長鎖モノアルコールまたは長鎖モノカルボン酸を使用して結晶性を再現させる方法(特許文献5)が提案されている。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、粉砕する際の粉砕性が低下し、特に耐久性が不充分である。
また、溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献6)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度が未だ不充分である。
一方、定着温度幅を拡大させる方法として、不飽和カルボン酸を構成成分とするポリエステル樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献7)。
しかしながら、この方法は高温でのオフセット現象は防止できても、定着下限温度が不十分であり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には充分に答えられていない。
以上、述べたように、低温定着性、耐ホットオフセット性を維持しつつ、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、光沢性、耐久性のすべてを満足する優れたトナーバインダーは、これまでなかった。
特開2005−77930号公報 特開2012−98719号公報 特開2007−193069公報 特開2005−308995号公報 国際公開第2015/170705号 特開2011−197193号公報 特開2017−003985号公報
本発明は、低温定着性及び耐ホットオフセット性を維持しつつ、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性のすべてを満足する優れたトナーバインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)とをそれぞれ含有するトナーバインダーであって、前記ポリエステル樹脂(A)はポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、前記ポリエステル(A1)と前記結晶性ビニル樹脂(B)との重量比[(A1)/(B)]が49/51〜10/90であり、トナーバインダーが前記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有することを特徴とするトナーバインダーである。
但し、(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程での前記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのピークトップ温度である。
本発明により、低温定着性及び耐オフセット性を維持しつつ、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性に優れたトナーに用いられるトナーバインダーを提供することが可能になる。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)とを含有するトナーバインダーであって、上記ポリエステル樹脂(A)はポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、上記ポリエステル(A1)と上記結晶性ビニル樹脂(B)との重量比[(A1)/(B)]が49/51〜10/90であり、トナーバインダーが上記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有することを特徴とするトナーバインダーであることを特徴とする。
但し、(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程での上記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのピークトップ温度とする。
以下に、本発明のトナーバインダーを順次、説明する。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であるポリエステル樹脂(A)を必須成分として含む。
ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル(A1)を炭素−炭素結合により架橋した構造を有する樹脂である。炭素−炭素結合による架橋は、ポリエステル(A1)分子に含まれる炭素原子のうち少なくとも1つの炭素原子と、ポリエステル(A1)に含まれる他の炭素原子とが直接結合することにより形成される。
ここでいうポリエステル(A1)は特に限定はなく、炭素−炭素結合により架橋した状態となるものであればどのようなポリエステルでもよい。
なかでも架橋構造を形成し易いという観点から、好ましくは炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)である。
また、ポリエステル樹脂(A)の炭素−炭素結合による架橋の少なくとも一部は、上記ポリエステル(A11)分子に存在する一の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子がポリエステル(A11)分子に存在する他の炭素−炭素二重結合を構成していた炭素原子と結合することにより形成された炭素−炭素結合であることが好ましい。
一の炭素−炭素二重結合と他の炭素−炭素二重結合は、同一のポリエステル(A11)分子内に存在していてもよく、別々のポリエステル(A11)分子に存在していてもよい。
ポリエステル樹脂(A)は上記ポリエステル(A11)の炭素−炭素二重結合を反応させる他、加熱等による水素引き抜き反応によってポリエステル(A1)に含まれる炭素原子に結合した水素原子を引き抜いて架橋する方法(水素原子引き抜き反応とも言う)等によっても得ることができる。
炭素−炭素結合を生成する架橋反応の形態としては、例えば、不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖や側鎖に導入し、ラジカル付加反応、カチオン付加反応又はアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応、及び過酸化物等を用いて水素原子引き抜き反応によって分子間炭素−炭素結合を生成させる反応等が挙げられる。 なお、上記の架橋反応によってネットワークを形成したポリエステル樹脂はテトラヒドロフラン(以下、「テトラヒドロフラン」をTHFと略記することがある。)に溶解することができないため、架橋反応によってネットワークが形成されたポリエステル樹脂であることは、ポリエステル樹脂をTHFに溶解してTHFに不溶な成分(THF不溶解分)を有することで確認することができる。
本発明のトナーバインダーに用いるポリエステル樹脂(A)は、炭素−炭素結合を生成する架橋反応によりポリエステル(A1)を架橋した樹脂であり、これらの架橋反応の形態のうち、炭素−炭素結合を生成する架橋反応としては、粉砕性及び低温定着性の観点から、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)をラジカル付加反応、カチオン付加反応又はアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる方法が好ましい。
なお、ポリエステル樹脂(A)は炭素−炭素結合による架橋を有していればよく、エステル結合による架橋、重付加反応による架橋又はその両方による架橋等も有していてもよい。
また、ポリエステル樹脂(A)は、1種類のポリエステル樹脂からなっていてもよく、2種類以上のポリエステル樹脂の混合物であってもよい。
また、本発明のトナーバインダーにおいて、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)を含有し、不飽和カルボン酸成分(y)又は不飽和アルコール成分(z)のいずれかを必須成分とする構成成分を重縮合して得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。
さらに、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、上記必須成分以外に、飽和アルコール成分(x)や、飽和カルボン酸成分(w)を構成成分として含んでいてもよい。
また、ポリエステル(A11)はこれらの各成分を、それぞれ1種類ずつ用いて重縮合したものでもよく、各成分として複数種類を併用して重縮合したものでもよい。
なお、本明細書において、不飽和カルボン酸成分(y)であるか、飽和カルボン酸成分(w)であるかの判断に、芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
同様に、不飽和アルコール成分(z)であるか、飽和アルコール成分(x)であるかの判断に芳香環及び複素環の結合は考慮しない。
不飽和アルコール成分(z)としては、不飽和モノオール(z1)及び不飽和ジオール(z2)等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
不飽和モノオール(z1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノオールが挙げられ、好ましい例としては2−プロペン−1−オール、パルミトレイルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、エルシルアルコール及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
不飽和ジオール(z2)としては、炭素数2〜30の不飽和ジオールが挙げられ、好ましい例としてはリシノレイルアルコールが挙げられる。
飽和アルコール成分(x)としては、飽和モノオール(x1)、飽和ジオール(x2)及び3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
飽和モノオール(x1)としては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキルアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコール等)等が挙げられる。
これら飽和モノオールのうち画像強度及び耐熱保存性の観点から、好ましいものは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキルアルコールであり、より好ましくは炭素数8〜24の直鎖アルキルアルコールであり、さらに好ましくはドデシルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールである。
飽和ジオール(x2)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等)(x21)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)(x22)、炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)(x23)、上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数1〜30)(x24)、芳香族ジオール[単環2価フェノール(例えばハイドロキノン等)及びビスフェノール類等](x25)及び上記芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数2〜30)(x26)等が挙げられる。
これらの飽和ジオール(x2)のうち、低温定着性と耐熱保存性の観点から、炭素数2〜36のアルキレングリコール(x21)及び芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(x26)が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるもの等が挙げられる。
HO−Ar−P−Ar−OH (1)
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO−、−O−、−S−、又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール類とは、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA及び2,2’−ジエチルビスフェノールF等が挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。
これらビスフェノール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記することがある。)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(「1,2−プロピレンオキサイド」をPOと略記することがある。)、1,2−、2,3−、1,3−またはiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びこれらの2種以上の併用等が挙げられる。
耐熱保存性及び低温定着性の観点から、ビスフェノール類のAO付加物を構成するAOは好ましくはEO及び/又はPOである。また、AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、より好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜5モルである。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性、粉砕性及び耐熱保存性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO付加物(付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)及び/又はPO付加物(付加モル数は好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)である。
3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)としては、炭素数3〜36の3価以上の価数の脂肪族多価アルコール(x31)、糖類及びその誘導体(x32)、脂肪族多価アルコールのAO付加物(付加モル数は好ましくは1〜30)(x33)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)(x34)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)等が挙げられる。
炭素数3〜36の3価以上の価数の脂肪族多価アルコール(x31)としては、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物が挙げられ、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
糖類及びその誘導体(x32)としては、例えばショ糖及びメチルグルコシド等が挙げられる。
3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性との両立の観点から、炭素数3〜36の3価以上の価数の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)が好ましい。
飽和アルコール成分(x)のうち、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜36のアルキレングリコール(x21)、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)、炭素数3〜36の3価以上の価数の脂肪族多価アルコール(x31)及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)(x35)である。
飽和アルコール成分(x)として、耐熱保存性の観点からより好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜5)、炭素数3〜36の3〜8価の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては好ましくは3〜60)のAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜30)である。
さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜5)及び炭素数3〜36の3価の脂肪族多価アルコールであり、特に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数は好ましくは2〜3)及びトリメチロールプロパンである。
飽和アルコール成分(x)としては飽和ジオール(x2)と3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)を併用できる。併用する場合の飽和ジオール(x2)と3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)のモル比[(x2)/(x3)]は耐ホットオフセット性の観点から99/1〜80/20が好ましく、98/2〜90/10がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分(y)としては、不飽和モノカルボン酸(y1)、不飽和ジカルボン酸(y2)及びこれらの酸の無水物や低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
不飽和モノカルボン酸(y1)としては、炭素数2〜30の不飽和モノカルボン酸が含まれ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、4−ペンテン酸、2−エチル−2−ブテン酸、10−ウンデセン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びネルボン酸等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸(y2)としては、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸が含まれ、具体的にはドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸成分(y)のうち、低温定着性及び耐ホットオフセット性の両立の観点から、好ましくは炭素数2〜10の不飽和モノカルボン酸及び炭素数4〜18のアルケンジカルボン酸であり、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸及びフマル酸である。
さらに好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも同様に好ましい。
飽和カルボン酸成分(w)としては、例えば、芳香族カルボン酸及び脂肪族カルボン酸等が挙げられる。飽和カルボン酸成分(w)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族カルボン酸としては、例えば、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、4−エチル安息香酸、4−プロピル安息香酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、炭素数2〜50の脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
また、飽和カルボン酸成分(w)としては、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
これらの飽和カルボン酸成分(w)のうち、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の観点から好ましいものは、炭素数7〜37の芳香族モノカルボン酸、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸である。
耐熱保存性及び帯電安定性の観点からより好ましくは、安息香酸、アジピン酸、アルキルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用である。さらに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。また、これらの酸の無水物や低級アルキルエステルであってもよい。
また、本発明のトナーバインダーにおけるポリエステル(A11)の製造法は、特に限定はしないが、前述のように1種類以上の不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)を含む構成成分を重縮合する方法が好ましい。
本発明のトナーバインダーにおいて、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)は、特に限定はしないが高温下での弾性を向上させる観点から非線形ポリエステルであることが好ましい。ポリエステル(A11)が非線形ポリエステルであることにより、耐熱保存性と耐ホットオフセット性が向上する。非線形ポリエステルは、例えば飽和アルコール成分(x)として飽和ジオール(x2)と3価以上の価数の飽和ポリオール(x3)とを上記の割合で併用すること等によって得ることができる。
本発明のトナーバインダーにおいて、ポリエステル(A11)を含むポリエステル(A1)等は、公知のポリエステルと同様にして製造することができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、より好ましくは160〜250℃、さらに好ましくは170〜235℃で構成成分を反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、より好ましくは2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒{チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)及びそれらの分子内重縮合物等}及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル等)及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
また、ポリエステル重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン及びヒンダードフェノール化合物等が挙げられる。
反応において用いるポリエステル(A1)の飽和アルコール成分(x)及び不飽和アルコール成分(z)と不飽和カルボン酸成分(y)及び飽和カルボン酸成分(w)との合計の仕込み比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比([OH]/[COOH])として、好ましくは2/1〜1/2、より好ましくは1.5/1〜1/1.3、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。ポリエステル(A1)がポリエステル(A11)である場合には、不飽和カルボン酸成分(y)と不飽和アルコール成分(z)のいずれか一方又は両方を含んでいればよい。
本発明のトナーバインダーでは、ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、−35〜42℃であることが好ましい。
TgA1が42℃以下であると低温定着性が良好になり、−35℃以上であると耐熱保存性が良好になる。ポリエステル(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、より好ましくは−30〜42℃であり、さらに好ましくは−25〜40℃であり、特に好ましくは−25〜37℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばTA Instruments(株)製、DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
本発明のトナーバインダーにおいて、ポリエステル(A1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるピークトップ分子量Mpは2,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜20,000であり、さらに好ましくは4,000〜12,000である。
ポリエステル(A1)のピークトップ分子量Mpが2,000〜30,000であると、光沢性、低温定着性及び耐ホットオフセット性が好ましくなる。
ここでピークトップ分子量Mpの算出方法について説明する。
まず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン試料を用いて検量線を作製する。
次に、GPCにより試料を分離し、各保持時間における分離された試料のカウント数を測定する。
次に、上記検量線の対数値と得られたカウント数とから試料の分子量分布のチャートを作成する。分子量分布のチャート中のピーク最大値がピークトップ分子量Mpである。
なお、分子量分布のチャート中の、複数のピークがある場合は、それらのピークの中の最大値がピークトップ分子量Mpとする。なお、GPC測定の測定条件は、以下のとおりである。
本発明のトナーバインダーにおいて、ポリエステル等の樹脂のピークトップ分子量Mp、数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)、重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
ポリエステル(A1)の酸価は、帯電安定性の観点から好ましくは0〜30mgKOH/gであり、より好ましくは0〜25mgKOH/gであり、さらに好ましくは0〜10mgKOH/gであり、特に好ましくは、0.1〜10mgKOH/gである。
ポリエステル(A1)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A)の製造法は、好ましいものとして以下の方法が挙げられる。
まず、不飽和カルボン酸成分(y)と不飽和アルコール成分(z)の少なくともどちらかと、必要により飽和カルボン酸成分(w)及び/又は飽和アルコール成分(x)とを構成成分として縮合反応させて分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)を得る。次に、ポリエステル(A11)にラジカル反応開始剤(c)を作用させて、ラジカル反応開始剤(c)から発生するラジカルを利用して、ポリエステル(A11)中の不飽和カルボン酸成分(y)及び/又は不飽和アルコール成分(z)に起因する炭素−炭素二重結合同士を架橋反応により結合させる。これによりポリエステル樹脂(A)を製造することができる。この方法は、架橋反応を短時間で均一にできる点で好ましい方法である。
ポリエステル(A11)の架橋反応のために用いるラジカル反応開始剤(c)としては、特に制限されず、無機過酸化物(c1)、有機過酸化物(c2)及びアゾ化合物(c3)等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用してもかまわない。
無機過酸化物(c1)としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
有機過酸化物(c2)としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
アゾ化合物又はジアゾ化合物(c3)としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
これらの中でも開始剤効率が高く、シアン化合物などの有毒な副生成物を生成しないことから、有機過酸化物(c2)が好ましい。
さらに、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤がより好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン及びジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤がさらに好ましい。
ラジカル反応開始剤(c)の使用量は、特に制限されないが、ポリエステル(A11)を得るための重合反応に用いた不飽和カルボン酸成分(y)と不飽和アルコール成分(z)の合計重量に基づいて、0.1〜50重量部が好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量が、0.1重量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、50重量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましく、10重量部以下であることが特に好ましい。
上記種類のラジカル反応開始剤(c)及び上記の使用量でラジカル重合してポリエステル樹脂(A)を作製した場合、好適にポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合同士の架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性と耐熱保存性及び画像強度が良好になることから好ましい。
ポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル(A11)の重量に基づいて0.1〜1.2ミリモル/gであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.1ミリモル/g、さらに好ましくは0.3〜1.1ミリモル/g、特に好ましくは0.4〜1.0ミリモル/gである。
炭素−炭素二重結合の含有量がポリエステル(A11)の重量に基づいて0.02〜2.0ミリモル/gである場合、好適に架橋反応が起こり、トナーの耐ホットオフセット性が良好になる。
本発明のトナーバインダーにおいて、ポリエステル(A11)中の炭素−炭素二重結合量とはポリエステル(A11)を構成するアルコール成分、カルボン酸成分等の原料の合計1g中に含まれる炭素−炭素二重結合のミリモル数のことである。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.1g)及びビスフェノールA・PO2モル付加物(0.9g)を使用した場合は、原料の合計1gに対して炭素−炭素二重結合を1つ含有し分子量が116のフマル酸を0.1g有しているため、
0.1/116×1000=0.86ミリモル/gとなる。
例えばポリエステル樹脂の原料としてフマル酸(0.3g)及びビスフェノールA・PO2モル付加物(0.7g)を使用した場合は、原料の合計1gに対して炭素−炭素二重結合を1つ含有し分子量が116のフマル酸を0.3g有しているため、
0.3/116×1000=2.59ミリモル/gとなる。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)とを含有する。またポリエステル樹脂(A)はポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)との重量比[(A1)/(B)]は49/51〜10/90である。
ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)との合計重量に基づく結晶性ビニル樹脂(B)の重量割合が51重量%未満だと低温定着性が損なわれ、また結晶性ビニル樹脂(B)の重量割合が90重量%より大きいと耐ホットオフセット性、帯電安定性及び画像強度が損なわれる。
[(A1)/(B)]はトナーとした際の低温定着性、耐ホットオフセット性、画像強度、耐熱保存性及び帯電安定性の観点から、好ましくは49/51〜13/87であり、更に好ましくは49/51〜15/85であり、特に好ましくは42/58〜18/82であり、最も好ましくは40/60〜20/80である。
結晶性ビニル樹脂(B)は、単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であることが好ましく、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体の合計重量を基準として30〜99重量%であることが好ましい。30重量%以上であると低温定着性が良好になり、99重量%以下であると耐ホットオフセット性が良好になる。
さらに低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の点から、32〜97重量%がより好ましく、さらに好ましくは35〜95重量%であり、特に好ましくは37〜92重量%であり、最も好ましくは40〜90重量%である。
なお、本発明における「結晶性」とは後述するDSC測定の第1回目の昇温過程において、DSC曲線が明確な吸熱ピークトップ温度を有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークトップ温度とは、吸熱量の極大値を持つようなピーク温度のことをいう。
前記の単量体(a)は、鎖状炭化水素基を有する炭素数21〜40の(メタ)アクリレートである。単量体(a)として炭素数21以上であると耐熱保存性が良好となり、炭素数40以下であると低温定着性が良好となる。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
単量体(a)としては直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、トリアコンタ(メタ)アクリレート及びドトリアコンタ(メタ)アクリレート等]及び炭素数18〜36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらの内、トナーの耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性、粉砕性及び画像強度両立の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは直鎖のアルキル基(炭素数18〜30)を有する(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは直鎖のアルキル基(炭素数22〜30)を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましいのはベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート及びトリアコンタ(メタ)アクリレートであり、最も好ましくはベヘニルアクリレートである。
単量体(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
結晶性ビニル樹脂(B)は構成単量体として上記単量体(a)以外に、スチレン系モノマー(b1)、単量体(a)以外の(メタ)アクリル系モノマー(b2)、ビニルエステルモノマー(b3)及び脂肪族炭化水素系ビニルモノマー(b4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(b)を構成単量体として含有してもよく、耐ホットオフセット性及び帯電安定性の観点から(b)を含有することが好ましい。
単量体(b)の内、スチレン系モノマー(b1)としては、スチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン)などが挙げられる。
これらのうち好ましくはスチレンである。
単量体(b)の内、(メタ)アクリル系モノマー(b2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜17のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜17のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜17のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数8〜20の不飽和カルボン酸多価アルコールエステル並びに(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びそれらの2種以上の混合物である。
単量体(b)の内、ビニルエステルモノマー(b3)としては、炭素数4〜15の脂肪族ビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びイソプロペニルアセテートなど)並びに炭素数9〜15の芳香族ビニルエステル(例えばメチル−4−ビニルベンゾエートなど)等が挙げられる。
これらのうち好ましくは酢酸ビニルである。
単量体(b)の内、脂肪族炭化水素系ビニルモノマー(b4)としては、炭素数2〜10のオレフィン( 例えばエチレン、プロピレン、ブテン及びオクテンなど)、炭素数4〜10のジエン( 例えばブタジエン、イソプレン及び1,6−ヘキサジエンなど)等が挙げられる。
これらの単量体(b)の内、低温定着性、耐熱保存性、粉砕性及び原料価格の観点から好ましいのはスチレン、アルキル基の炭素数が1〜17のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数4〜15の脂肪族ビニルエステルであり、さらに好ましくはスチレン、メチル(メタ)アクリレート及び酢酸ビニルである。
結晶性ビニル樹脂(B)は構成単量体として前記単量体(a)及び(b)以外に単量体(d)を含有してもよく、耐熱保存性及び耐ホットオフセット性の観点から、(d)を含有することが好ましい。単量体(d)は、単量体(a)及び(b)以外の単量体であって、ニトリル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミド基、アロファネート基及びビューレット基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。
単量体(d)の内、ニトリル基を有する単量体(d1)としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。
単量体(d)の内、ウレタン基を有する単量体(d2)としては、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2〜22のアルコール(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びビニルアルコール等)と炭素数1〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体、並びに、炭素数1〜26のアルコールとエチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
炭素数1〜30のイソシアネートとしては、モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t−ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシナエート、2−エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6−ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート,1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3−シクロペンテンジイソシアネート,1,3−シクロへキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート,水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソソアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
炭素数1〜26のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール及びエルシルアルコール等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜30のイソシアネートとしては、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸 2−[0−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
なお、本明細書中、イソシアネート基を有する化合物及び構造における炭素数にはイソシアネート基(−NCO)に含まれる炭素数は含まない。
単量体(d)の内、ウレア基を有する単量体(d3)としては、炭素数3〜22のアミン[一価のものとして例えば、1級アミン(ノルマルブチルアミン、t−ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、2級アミン(ジエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン及びジノルマルブチルアミン等)アニリン及びシクロヘキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2〜30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
単量体(d)の内、アミド基を有する単量体(d4)としては、炭素数1〜30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数3〜30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
単量体(d)の内、イミド基を有する単量体(d5)としては、アンモニアとエチレン性不飽和結合を有する炭素数4〜10の無水カルボン酸(無水マレイン酸及びジアクリル酸無水物等)を公知の方法で反応させた単量体、及び炭素数1〜30の1級アミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数4〜10の無水カルボン酸を公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
単量体(d)の内、アロファネート基を有する単量体(d6)としては、ウレタン基を有する単量体(d2)と炭素数1〜30のイソシアネートを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
単量体(d)の内、ビューレット基を有する単量体(d7)としては、ウレア基を有する単量体(d3)と炭素数1〜30のイソシアネートを公知の方法で反応させた単量体等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体中の単量体(b)と単量体(d)との合計重量割合が結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体の合計重量を基準として1〜70重量%であることが画像強度、耐熱保存性及び帯電安定性の観点から好ましく、より好ましくは3〜68重量%であり、さらに好ましくは5〜65重量%であり、特に好ましくは8〜63重量%であり、最も好ましくは10〜60重量%である。
本発明のトナーバインダーにおける結晶性ビニル樹脂(B)は、下記関係式(2)を満たすことが耐熱保存性及び帯電安定性の観点から好ましい。
関係式(2):1.1≦|SP(x)−SP(a)|≦8.0
関係式(2)において、SP(a)は、単量体(a)の単独重合物の溶解度パラメータ(以降SP値と略記)であり、SP(x)は、単量体(a)以外の全ての単量体の重合物のSP値である。
なお、本発明のトナーバインダーにおけるSP値(cal/cm0.5は、Robert F Fedorsらの著によるPolymer engineering and science第14巻、151〜154ページに記載されている方法で計算した25℃における値である。
また、トナーにした際の耐熱保存性の観点からは、1.5≦|SP(x)−SP(a)|≦6.0を満たすことがより好ましく、1.7≦|SP(x)−SP(a)|≦4.0を満たすことがさらに好ましい。
|SP(x)−SP(a)|が、1.1(cal/cm0.5以上であると、樹脂(B)の融点が適度であり、8.0(cal/cm0.5以下であると共重合性が良好であり、樹脂の不均一化が生じてゲル化しやすくなるという問題が生じにくい。|SP(x)−SP(a)|は、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体モノマーを選定する事で、調整することができる。
結晶性ビニル樹脂(B)がTHF不溶解分を含む場合、THF不溶解分の含有量は1重量%以下であることが好ましく、0.1〜1.0重量%であることがより好ましい。
なお、(B)はTHF不溶解分を含まないことが低温定着性の観点から好ましい。
結晶性ビニル樹脂(B)のTHF可溶分のMnは、トナーの低温定着性、耐熱保存性及び耐久性の観点から、1,000〜300,000が好ましく、より好ましくは1,500〜100,000であり、さらに好ましくは2,000〜50,000であり、特に好ましくは2,500〜30,000である。
結晶性ビニル樹脂(B)のTHF可溶分のMwは、トナーの低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性の観点から、1,500〜600,000が好ましく、より好ましくは2,500〜200,000であり、さらに好ましくは3,000〜100,000であり、特に好ましくは4,000〜80,000である。
結晶性ビニル樹脂(B)のMn及びMwの測定はポリエステル樹脂と同様の方法で測定できる。
本発明のトナーバインダーにおける結晶性ビニル樹脂(B)は、単量体(a)と、必要に応じて用いる単量体(b)及び/又は単量体(d)とを含有する単量体組成物を公知の方法(特開平5−117330号公報等に記載の方法)で重合することで製造できる。例えば、上記単量体を溶媒(トルエン等)中でラジカル反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)とともに反応させる溶液重合法により合成することができる。
また、ラジカル反応開始剤は上記記載のラジカル反応開始剤(c)を用いてもよい。また、ラジカル反応開始剤(c)として好ましいものも上記記載と同様である。
本発明のトナーバインダーは、本発明の効果を阻害しない範囲で、結晶性ビニル樹脂(B)の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)とを後述する方法で混合すること等で得られるが、好ましくは、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)と結晶性ビニル樹脂(B)とが混合した状態で、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)由来の炭素−炭素二重結合同士を架橋したトナーバインダーである。この方法により得られるトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)の架橋反応が短時間で均一になり易く、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の観点から好ましい。
なお、本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)及び結晶性ビニル樹脂(B)以外の樹脂並びに公知の添加剤(離型剤等)を含んでも良い。
本発明のトナーバインダーは、示差走査熱量測定(DSC測定ともいう)により得られる結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有する。上記ピークトップ温度(Tm)が本範囲にあると、トナーバインダーの低温定着性、耐熱保存性及び光沢性のバランスがよい。これは結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を示す温度で結晶性ビニル樹脂(B)がシャープメルト化して低粘度化するためであり、またトナー化した際に必要な保管安定性を満足するためである。
但し、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのトップを示す温度である。
吸熱ピークトップ温度(Tm)はトナーとした際の低温定着性及び耐熱保存性の観点から、好ましくは43〜95℃であり、より好ましくは45〜90℃であり、さらに好ましくは48〜88℃であり、特に好ましくは50〜68℃である。
トナーバインダーの吸熱ピークトップ温度(Tm)は、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体(a)の炭素数を調整すること、結晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体(a)の重量比率を調整すること、などにより上記の好ましい範囲に調整することができる。一般的には単量体(a)の炭素数を増やす、単量体(a)の重量比率を増やす、結晶性ビニル樹脂(B)の重量平均分子量を増やす、ことにより吸熱ピークトップ温度(Tm)が上がる。また、結晶性ビニル樹脂(B)の含有量が少ない場合は、ポリエステル樹脂(A)との|ΔSP値|を上げることでTmが下がらずに維持できる。
吸熱ピークトップ温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて、下記条件で測定される値であり、(6)の過程にて観測できる各吸熱ピークを解析することで得られる。示差走査熱量計としては、例えば、TA Instruments(株)製、DSC Q20等を用いることができる。
<測定条件>
(1)30℃で10分間保持
(2)10℃/分で150℃まで昇温
(3)150℃で10分間保持
(4)10℃/分で0℃まで冷却
(5)0℃で10分間保持
(6)10℃/分で150℃まで昇温
本発明のトナーバインダーは、本発明のトナーバインダーを用いて示差走査熱量測定(DSC)を行った際に得られたチャートにおいて、−30℃〜80℃の温度範囲に、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点を少なくとも1個有することが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点は、25〜65℃の温度範囲にあることがより好ましい。 ガラス転移温度(Tg)を示す変曲点が、−30℃以上の温度範囲にある場合、耐熱保存性が良好になり、80℃以下の温度範囲にある場合、低温定着性が良好になる。
本発明のトナーバインダーの貯蔵弾性率G’は、トナーにした際の耐ホットオフセット性と低温定着性の観点から、関係式(1)を満たすことが好ましい。
関係式(1):1.2≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
但し、計算値は小数点第2桁を四捨五入して求めるものとする。
より好ましくは関係式(1−2):1.3≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.4を満たすことであり、さらに好ましくは関係式(1−3):1.4≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.2を満たすことであり、特に好ましくは関係式(1−4):1.4≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.0を満たすことである。
関係式(1)及び関係式(1−2)〜(1−4)において、G’Tm−10は、トナーバインダーの温度が(Tm−10)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)であり、G’Tm+30は、トナーバインダーの温度が(Tm+30)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)である。
ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)は、ポリエステル(A1)と結晶性ビニル樹脂(B)の重量比、結晶性ビニル樹脂(B)の重量平均分子量、単量体(a)、単量体(b)又は単量体(d)の種類及び量で調整することができる。具体的には、ポリエステル(A1)の重量比を小さくする、結晶性ビニル樹脂(B)の重量平均分子量を減らす、単量体(b)や単量体(d)の極性を下げる、単量体(a)や単量体(b)の量を増やす、単量体(d)の量を減らすことによりln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)が上がる。
本発明における貯蔵弾性率G’は、下記粘弾性測定装置を用いて以下の条件で測定する。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
本発明のトナーバインダーは、THF不溶解分を含む場合がある。
本発明のトナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量(重量%)は、低温定着性、光沢性及び耐ホットオフセット性の観点から、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは0.1〜45重量%であり、最も好ましくは1〜40重量%である。
本発明のトナーバインダー中のTHF不溶解分の含有量(重量%)は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mLのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量をTHF不溶解分の重量とし、試料の重量からTHF不溶解分の重量を引いた重量をTHF可溶分の重量とし、THF不溶解分とTHF可溶分の重量%を算出する。
本発明のトナーバインダーのTHF可溶分のMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立の観点から、500〜24,000が好ましく、より好ましくは700〜17,000、さらに好ましくは900〜12,000である。
本発明のトナーバインダーのTHF可溶分のMwは、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性との両立の観点から、5,000〜120,000が好ましく、より好ましくは7,000〜100,000、さらに好ましくは9,000〜90,000であり、特に好ましくは10,000〜80,000である。
本発明のトナーバインダーのTHF可溶分の分子量分布Mw/Mnは、トナーの耐ホットオフセット性と耐熱保存性と低温定着性との両立の観点から、2〜30が好ましく、より好ましくは2.5〜28、さらに好ましくは3〜26である。
本発明のトナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、トナーバインダーの重量に基づいて50〜2000ppmであることが好ましい。有機溶剤含有量が2000ppm以下であると耐熱保存性及び臭気が良好となり、50ppm以上であると低温定着性及び光沢性が良好になる。トナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、より好ましくは70〜1500ppmであり、さらに好ましくは90〜1000ppmであり、特に好ましくは100〜500ppmである。
特にポリエステル(A1)をラジカル反応開始剤(c)を用いて架橋反応させラジカル反応開始剤(c)の分解物が発生する反応を用いた場合でも発生した分解物である有機溶剤含有量を上記範囲にすることにより、臭気、耐ホットオフセット性、粉砕性、画像強度及び流動性に優れたトナーを得ることができる。
有機溶剤含有量を制御する方法としては、例えば、ポリエステル樹脂(A)、結晶性ビニル樹脂(B)及びトナーバインダーを製造する際の(1)有機溶剤使用量の制御、(2)開始剤量の制御(開始剤分解物の制御)、(3)(1)及び(2)で使用した有機溶剤、及び開始剤分解残渣の脱溶剤による制御等が挙げられる。
(3)において、有機溶剤を脱溶剤する方法及び開始剤分解残渣を脱溶剤する方法としては、特に限定ないが、トナーバインダーを粉砕したものを連続式混合装置に供給し、溶融搬送しながらベント口から減圧を行う方法等が挙げられる。このとき、溶融温度や軸回転数、減圧度などを調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。また、トナーバインダーを任意の温度下で減圧操作することでも脱溶剤できる。なお、攪拌機を用いて撹拌しながら減圧してもよい。このとき、温度や減圧度、撹拌速度などを調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。脱溶剤の温度について好ましくは20〜200℃、より好ましくは30〜170℃、さらに好ましくは40〜160℃である。脱溶剤の減圧度について好ましくは0.01〜100kPa、より好ましくは0.1〜95kPa、さらに好ましくは1〜90kPaである。
一方、連続式混合装置にて原料を反応させながら、同時にベント口から減圧を行うこともできる。また、反応容器中に原料を仕込んで反応させた場合、反応後にそのまま減圧操作にて脱溶剤する方法でも脱溶剤を行うことができる。このとき、上記と同様の項目を調整することで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。
あるいは、トナーバインダーを粉砕したものを脱溶剤の対象となる有機溶剤の種類に応じて温度及び圧力(常圧ないし減圧)が調整された乾燥機に入れることで、トナーバインダー中の有機溶剤量を制御できる。
また、短時間で脱溶剤する方法が、ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)のエステル交換反応が起こりにくく、耐ホットオフセット性と低温定着性が良好なため好ましい。
なお、有機溶剤の含有量(ppm)は、例えばガスクロマトグラフ分析やガスクロマトグラフ質量分析等の下記条件で測定することができる。
実施例及び比較例に係るトナーバインダー中の有機溶剤の含有量は、以下の条件で測定した。
[ガスクロマトグラフ分析測定条件]
ガスクロマトグラフ :Agilent 6890N
質量分析装置 :Agilent 5973 inert カラム :ZB−WAX(液相(14%−シアノプロピル−フェニル)メチルポリシロキサン)0.25mm×30m df=1.0μm
カラム温度 :70℃→300℃(10℃/分)
インジェクション温度:200℃
スプリット比 :50:1
注入量 :1μL
ヘリウム流量 :1mL/分
検出器 :MSD
トナーバインダーが含有する有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、へプタン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、スチレン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、ジクロロメタン、オルトジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、無水酢酸、酢酸、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、トリエチルアミン、ピリジン、アセトフェノン、t−ヘキシルアルコール、t−アミルアルコール及びt−ブトキシベンゼンなどが挙げられる。
これらのうち、耐熱保存性及び臭気の観点から、好ましくは炭素数が2〜10である化合物であり、より好ましくは炭素数が3〜8である化合物であり、さらに好ましくはアセトン、イソプロピルアルコール及びt−ブタノールである。
トナーバインダーの製造方法について説明する。
トナーバインダーはポリエステル樹脂(A)及び結晶性ビニル樹脂(B)を含有していれば特に限定されず、例えば上記ポリエステル樹脂(A)及び上記結晶性ビニル樹脂(B)や添加剤を混合する場合の混合方法は一般的に行われる公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂(A)、結晶性ビニル樹脂(B)及び必要により用いる添加剤は、トナーを製造する時に同時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、二軸押出機、二軸混練機、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
溶剤混合の方法としては、上記ポリエステル樹脂(A)及び上記結晶性ビニル樹脂(B)を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、均一化させた後、脱溶剤及び粉砕する方法や、上記ポリエステル樹脂(A)及び上記結晶性ビニル樹脂(B)を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、水中に分散させた後、造粒及び脱溶剤する方法、及び結晶性ビニル樹脂(B)とポリエステル(A11)との溶融混合しながらポリエステル(A11)を架橋する方法などがある。
なかでも結晶性ビニル樹脂(B)とポリエステル(A11)との溶融混合しながらポリエステル(A11)を架橋する方法が好ましく、この溶融混合を行うための具体的方法としてはポリエステル(A11)と(B)との混合物を連続式混合装置に一定速度で注入し、同時にラジカル反応開始剤(c)も一定速度で注入し、100〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせるなどの方法がある。
このとき、連続式混合装置に投入又は注入される反応原料であるポリエステル(A11)と結晶性ビニル樹脂(B)は、それぞれ樹脂反応溶液から冷却することなくそのまま直接連続式混合装置に注入するようにしてもよいし、また一旦製造した樹脂を冷却、粉砕したものを連続式混合装置に供給することにより行ってもよい。
また、溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、必要により着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料及び顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、着色剤は、これらは単独であってもよく、2種以上が混合されたものであってもよい。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによるフロー軟化点(T1/2)が50〜170℃のものが好ましく、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
離型剤のフロー軟化点(T1/2)は以下の条件で測定した。
<フロー軟化点(T1/2)の測定方法>
降下式フローテスター[たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点(T1/2)とする。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体及びサゾールワックス等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数30〜50の脂肪族アルコールなどであり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数30〜50の脂肪酸などであり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末及び炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
トナー中のトナーバインダーの含有量はトナー重量に基づき、好ましくは30〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは45〜92重量%であり、着色剤が、好ましくは0.05〜60重量%、より好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.5〜50重量%であり、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等の添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%であり、荷電制御剤が、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7.5重量%であり、流動化剤が、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは4〜58重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。
トナーの組成比を上記の範囲とすることで、耐ホットオフセット性及び帯電安定性が良好なトナーを得ることができる。
本発明のトナーバインダーを含有するトナーの製造方法は特に限定されず、混練粉砕法、乳化転相法、乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法及び乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、トナー粒子[好ましくは体積平均粒径(D50)が5〜20μmの粒子]とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII[ベックマン・コールター(株)社)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。キャリア粒子を用いる場合、トナーとキャリア粒子との重量比は、1/99〜99/1が好ましい。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
なお、本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、キャリア粒子を含まなくてもよい。
本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、及びポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
本発明のトナーバインダーを用いて作成したトナー組成物は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられる。さらに詳しくは、特にフルカラー用に好適な静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、「部」は重量部を示す。
<製造例1> [ポリエステル(A11−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物741部、テレフタル酸118部、アジピン酸120部、トリメチロールプロパン13部、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら2時間反応させた。次に、0.5〜2.5kPaの減圧下に5時間反応させた後、180℃まで降温した。重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、さらにフマル酸を86部入れ、0.5〜2.5kPaの減圧下に8時間反応させた後取り出し、ポリエステル(A11−1)を得た。
前記の方法で測定したポリエステル(A11−1)の二重結合量は0.7ミリモル/g、ガラス転移温度(TgA1)は37℃、だった。また、ポリエステル(A11−1)は吸熱ピークトップ温度(Tm)を有していなかった。
<製造例2〜6> [ポリエステル(A11−2)〜(A11−6)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル(A11−2)〜(A11−6)を得た。表1に得られたポリエステル(A11−2)〜(A11−6)のガラス転移温度(TgA1)、ピークトップ分子量、酸価、及び二重結合量を記載した。また、ポリエステル(A11−2)〜(A11−6)は吸熱ピークトップ温度(Tm)を有していなかった。
<比較製造例1> [ポリエステル(A11’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載したアルコール成分とカルボン酸成分を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、炭素−炭素二重結合を有さないポリエステル(A11’−1)を得た。
Figure 0006829276
<製造例7> [結晶性ビニル樹脂(B−1)の製造]
オートクレーブにキシレン183部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート[以下においてC22アクリレートと略記、日油(株)製、以下同様]600部、スチレン[出光興産(株)製、以下同様]200部、アクリロニトリル[ナカライテスク(株)製、以下同様]200部、ジ−t−ブチルパーオキシド[パーブチルD、日油(株)製、以下同様]2.0部、及びキシレン133部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン17部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保ち、単量体(a)の反応率を確認した。単量体(a)の反応率が98%未満であったため、さらにジ−t−ブチルパーオキシドを0.5部投入し、反応率が98%以上まで反応させた。100℃で3時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−1)を得た。
表2に組成及び物性を記した。
Figure 0006829276
なお、表2中、ステアリルアクリレート及びブチルアクリレートは下記のものを用い、トリアコンタアクリレートは製造例8で合成した。
ステアリルアクリレート:協栄社化学製
ブチルアクリレート:東京化成工業製
<製造例8> [トリアコンタアクリレートの合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1−トリアコンタノール50部、トルエン50部、アクリル酸12部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30ml/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を300mmHgに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、トリアコンタアクリレートアクリレートを得た。
単量体(a)の反応率はNMRやGCなど、残存する単量体量を同定する方法で算出することができるが、ここではNMRで算出した。
<測定条件>
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
積算回数:4回
緩和時間:1秒
<サンプル調整>
NMRチューブにサンプルを100mg、重水素化溶媒(例えば重クロロホルム)を0.8ml加え樹脂を溶解させた。
<解析及び計算>
反応前の単量体(a)のプロトンの面積、残存する単量体(a)のプロトンの面積並びに単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積に基づき、下記の式により反応率を算出した。
反応率:[{反応前の単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}−{残存する単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}]/{反応前の単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}×100
例えば単量体(a)がベヘニルアクリレートであれば、二重結合炭素に結合しているプロトン(約6.4ppm)と、鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトン(約0.9ppm)を使用した。
<製造例9〜18> [結晶性ビニル樹脂(B−2)〜(B−11)の製造]
オートクレーブにキシレン183部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例7と同様に反応を行い、結晶性ビニル樹脂(B−2)〜(B−11)を得た。
<製造例19> [結晶性ビニル樹脂(B−12)の製造]
オートクレーブにトルエン150部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で60℃まで昇温した。表2に記載した原料及びトルエン325部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を60℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをトルエン25部で洗浄した。同温度で1.0時間保った後、1.0時間かけてオートクレーブ内温度を80℃まで昇温した。更に同温度で1.0時間保った後、単量体(a)の反応率を確認した。単量体(a)の反応率が98%未満であったため、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を5.0部投入し、反応率が98%以上まで反応させた。120℃で8時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−12)を得た。
<比較製造例2> [結晶性ビニル樹脂(B’−1)の製造]
オートクレーブにキシレン183部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。表2に記載した原料をキシレン100部とともにオートクレーブに滴下し、それ以外は製造例5と同様に反応を行い、結晶性ビニル樹脂(B’−1)を得た。(B’−1)は吸熱ピークトップ温度を有していなかった。
<実施例1> [トナーバインダー(C−1)の製造]
ポリエステル(A11−1)32部及び結晶性ビニル樹脂(B−1)68部を混合し、二軸混練機[(株)栗本鐵工所、S5KRCニーダー]に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、さらにベント口から10kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A11−1)が炭素−炭素結合により架橋されたポリエステル樹脂(A)を含有した実施例1に係るトナーバインダー(C−1)を得た。
<実施例2〜13、15〜19> [トナーバインダー(C−2)〜(C−13)、(C−15)〜(C−19)の製造]
表3に示した重量部数のポリエステル(A11)、結晶性ビニル樹脂(B)を混合し、二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応と有機溶剤の除去を行い、ポリエステル(A11−1)〜(A11−6)が炭素−炭素結合により架橋されたポリエステル樹脂(A)を含有した実施例2〜13、15〜19に係るトナーバインダー(C−2)〜(C−13)、(C−15)〜(C−19)を得た。
なお、表3中のラジカル反応開始剤(c)は以下のとおりである。
(c−1):t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート
(c−2):ジ−t−ブチルパーオキシド
<実施例14> [トナーバインダー(C−14)の製造]
ポリエステル(A11−1)30部及び結晶性ビニル樹脂(B−9)70部を混合し、二軸混練機[(株)栗本鐵工所製、S5KRCニーダー]に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間90rpmで混練押出して架橋反応を行い、さらにベント口から50kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却することにより、ポリエステル(A11−1)が炭素−炭素結合により架橋されたポリエステル樹脂(A)を含有した実施例14に係るトナーバインダー(C−14)を得た。
<比較例1〜3> [トナーバインダー(C’−1)〜(C’−3)の製造]
表3に示した重量部数のポリエステル(A11)又は(A11’)と、結晶性ビニル樹脂(B)又は(B’)を混合し、実施例1と同様に二軸混練機に供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)を供給して、実施例1と同様に架橋反応を行い、比較例1〜3に係るトナーバインダー(C’−1)〜(C’−3)を得た。なお、(C’−1)について前記の方法でTHF不溶解分を測定した結果、THF不溶解分を含有していなかった。これは、ポリエステル樹脂(A)を含有していないためであると考えられる。また、(C’−2)は結晶性ビニル樹脂(B)を含有していない。(C’−3)は結晶性ビニル樹脂(B)の含有量が少ない。
Figure 0006829276
上記の方法で、各実施例及び各比較例に係るトナーバインダーの結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(表3中では、単に吸熱ピークトップ温度と記載)、ガラス転移温度、有機溶剤の含有量を測定した。また、温度が(Tm−10)℃及び(Tm+30)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(G’)を測定し、ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)を算出した。結果を表3に示す。また、比較例2では、結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度が40〜100℃に存在しなかったため、ガラス転移温度を「−」と記載している。
<実施例20> [トナー(T−1)の製造]
実施例1に係るトナーバインダー(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱ケミカル(株)製、MA−100]8部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]を用いて微粉砕した後、エルボージェット分級機[(株)マツボー製、EJ−L−3(LABO)型]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤としてコロイダルシリカ[日本アエロジル(株)製、アエロジルR972]1部をサンプルミルにて混合して、実施例20に係るトナー(T−1)を得た。
<実施例21〜38> [トナー(T−2)〜(T−19)の製造]
表4に記載した原料の配合部数で、実施例20と同様にトナーを製造し、実施例21〜38に係るトナー(T−2)〜(T−19)を得た。
<比較例4〜6> [トナー(T’−1)〜(T’−3)の製造]
表4に記載した原料の配合部数で、実施例20と同様にトナーを製造し、比較例4〜6に係るトナー(T’−1)〜(T’−3)を得た。
[評価方法]
以下に、得られたトナー(T−1)〜(T−19)及び(T’−1)〜(T’−3)の低温定着性、耐ホットオフセット性、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に1.00mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜230℃の範囲を5℃刻みで通した。次に定着画像へのコールドオフセットの有無を目視し、コールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味し、この評価条件では、MFTは一般には125℃以下であることが好ましい。
<耐ホットオフセット性>
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜230℃の範囲を5℃刻みで通した。次に定着画像へのホットオフセットの有無を目視し、ホットオフセットの発生温度を測定した。
ホットオフセットの発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。この評価条件では、180℃以上であることが好ましい。
<粉砕性>
トナー(T−1)〜(T−19)及び(T’−1)〜(T’−3)に用いたそれぞれのトナーバインダー85部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱ケミカル(株)製、MA−100]を8部、離型剤のカルナバワックスを4部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]2部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、二軸混練機で混練して得た混合物を冷却後に8.6メッシュパス〜30メッシュオンの大きさに粉砕分級したものを粉砕性評価用粒子として用い、この粉砕性評価用粒子を超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.64MPa
粉砕時間:15分
セパレ−ター周波数:150Hz
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕性評価用粒子の微粉砕物を分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター[商品名:マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)]により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
粒子径が小さいほど、粉砕性に優れることを意味する。この評価条件では、7.0μm以下であることが好ましい。
<画像強度>
上記の低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600−5−4(1999)に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重が加わる様にして手かき法によりかけ引っ掻き硬度試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはHB以上であることが好ましい。
<耐熱保存性>
トナー1gとアエロジルR8200(エボニックジャパン(株)製)0.01gをシェイカーで1時間混合する。混合物を密閉容器に入れ、温度40℃、湿度80%の雰囲気で48時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが全く発生しておらず、耐熱保存性に優れる。
△:一部にブロッキングが発生しているが、耐熱保存性に優れる。
×:全体にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が大きく劣る。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpmで10分間及び60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量をブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いて測定した。
得られた値を用いて「摩擦時間60分後の帯電量/摩擦時間10分後の帯電量」を計算し、これを帯電安定性指数とした。
本帯電安定性指数が大きいほど帯電安定性に優れることを意味する。この評価条件では0.9以上であると好ましい。
<光沢性>
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、トナーの定着を行った。次に、トナーが定着した紙面の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を、コールドオフセットの発生温度(MFT)以上の温度からホットオフセットが発生した温度まで、5℃ごとに測定し、その範囲において最も高い光沢度(最大光沢度)(%)をトナーの光沢性の指標とする。例えば、120℃では10%、125℃では15%、130℃では20%、135℃では18%であれば、130℃の20%が最も高い値なので20%を採用する。
光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この評価条件では、15%以上が好ましい。
<耐久性>
トナーを二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[シャープ(株)製、AR5030]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
[判定基準]
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
Figure 0006829276
表4の評価結果から明らかなように、実施例20〜38に係るトナー(T−1)〜(T−19)はいずれもすべての性能評価において優れた結果が得られた。一方、比較例4〜6に係るトナー(T’−1)〜(T’−3)は、いくつかの性能項目が不良であった。
本発明のトナーバインダーは、低温定着性及び耐ホットオフセット性を維持しつつ、粉砕性、画像強度、耐熱保存性、帯電安定性、光沢性及び耐久性に優れ、電子写真、静電記録や静電印刷等に用いる、静電荷像現像用トナーとして好適に使用できる。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として好適である。

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂(A)と結晶性ビニル樹脂(B)とをそれぞれ含有するトナーバインダーであって、前記ポリエステル樹脂(A)はポリエステル(A1)が炭素−炭素結合により架橋された樹脂であり、前記ポリエステル(A1)と前記結晶性ビニル樹脂(B)との重量比[(A1)/(B)]が49/51〜10/90であり、トナーバインダーが前記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークトップ温度(Tm)を40〜100℃の範囲に少なくとも1個有することを特徴とするトナーバインダー。
    但し、(Tm)は、示差走査熱量計を用いて測定され、トナーバインダーを30℃で10分間保持し、30℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃で10分間保持し、続いて10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃で10分間保持し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程での前記結晶性ビニル樹脂(B)由来の吸熱ピークのピークトップ温度である。
  2. 前記ポリエステル(A1)が、炭素−炭素二重結合を有するポリエステル(A11)である請求項1に記載のトナーバインダー。
  3. トナーバインダー中の有機溶剤の含有量が50ppm以上2000ppm以下である請求項1または2に記載のトナーバインダー。
  4. 前記結晶性ビニル樹脂(B)が単量体(a)を必須構成単量体とする重合物であり、前記単量体(a)が直鎖のアルキル基(炭素数18〜36)を有する(メタ)アクリレート及び/又は炭素数18〜36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、(B)を構成する単量体中の(a)の重量割合が、(B)を構成する単量体の合計重量を基準として30〜99重量%である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
  5. トナーバインダーが関係式(1)を満たす請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
    関係式(1):1.2≦ln(G’Tm−10)/ln(G’Tm+30)≦2.6
    [関係式(1)において、G’Tm−10は、温度が(Tm−10)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)であり;G’Tm+30は、温度が(Tm+30)℃である時のトナーバインダーの貯蔵弾性率(Pa)である。]
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